6月議会、真崎一子議員の一般質問に対する当局の答弁です

質問

尼崎市民の暮らしは大変厳しい状況にあると思うが、市長はどのように認識しているか。

答弁

ここ数年、本市の個人市民税収入はほぼ横ばいとなっており、雇用情勢も改善傾向にあり、経済情勢はやや回復の兆しを見せています。しかしながら、個人市民税の所得割納税義務者一人当たりの所得金額は阪神間でも低く、小中学校の就学援助率や、生活保護の保護率が高い状況となっております、こうした状況も踏まえ、子どもの貧困対策を含む、社会全体で子ども。子育てを見守る体制の構築など、今般策定します尼崎版総合戦略において、次の世代により良い明日をつなげるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

質問

児童扶養手当の増額及び5年からフ年後に減額される措置をしないよう国に働きかけてはどうか。

答弁

児童扶養手当は、児童扶養手当法に基づき、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当でございます。また、この手当においては、受給開始から5年又は7年を経過すると、自立を促進するという趣旨から、就業が困難な事情がないにも関わらず、就業意欲がみられない者については、手当額の2分の1相当額が支給停止になることが法で定められております。こうしたことから、本市では、自ら自立を図るという法の趣旨に鑑み、適切な手当の支給に加え、母子父子自立支援員による各種制度の情報提供をはじめ、ハローワークとの連携強化を図りながら、自立・就労支援に取り組んでいるところでございます。したがいまして、児童扶養手当の増額及び一部支給停止による減額措置の見直しに特定して、国に働きかけることは考えておりませんが、全国市長会として、子どもの貧困対策は国の役割と責任において推進するよう、また、必要な財源を確保し、役割に応じた国・地方間の財源配分をすることを関係各省庁に要望する予定でございます。なお、本市では一部支給停止となっている受給者は、平成26年度末で、全受給者のうちo,26%でございます。

質問

母子家庭等医療費助成制度をもとの所得制限に戻すよう、県に働きかけてください。

答弁

母子家庭等医療費助成制度をもとの所得制限に戻すことにより、一人親家庭と同程度の所得水準にある両親のいる家庭との間で、医療費助成の対象範囲や負担額において不均衡が生じることにもなります。従いまして、ご質問の趣旨のみの働きかけを行うことは考えておりませんが、今後、必要な人に必要な支援ができる、よりよい制度となるように、機会を捉えて働きかけてまいります。

質問

県が実施しないようなら、市独自でも取り組んでいただきたいが、どうか。

答弁

母子家庭等医療費助成事業を見直し前の所得制限で実施することは、先ほども申し上げましたとおり、不均衡が生じることになります。また、市単独で実施いたしますと、新たに約1億円の財源が必要となり、厳しい財政状況が続く本市にとっては大きな財政負担にもなります。従いまして、見直しの趣旨、及び財政上の観点からも実施は困難と考えております。

質問

これまで市が負担していた財源を使い、所得制限の緩和を求めるが、いかがか。

答弁

母子家庭等医療費助成事業の見直しにつきましては、医療費助成の対象範囲や負担額において不均衡が生じており、より公平な制度として維持するために見直しを実施したものでございますので、従前、市が負担しておりました範囲で所得制限を緩和するという考えはございません。

質問

低所得世帯の無料化、または2割の自己負担を1割にするなど、無料化に向けて1歩前に進めてはいかがか。

答弁

こども医療費助成事業につきましては、県の制度に加え、市の単独事業で中学3 年生までの入院の全額助成を実施しており、安心して子どもを産み育てる環境づくりの一助となるよう取り組んでいるところでございます。議員ご提案のような新たな医療費助成を行うことは、福祉医療制度が県と市が共同で実施するのが基本となっている中で、仮に県が実施するというのなら別ですが、現在の厳しい財政状況の中で、あえて市単独で実施をしていく状況ではございません。

質問

公共施設再配置計画により地域保健担当が2か所に集約されることで、地域から保健師がいなくなり、地域が見えない状況をつくりださないか。家庭訪問や住民のSOSにこれまでどおりきめ細やかな対応ができるのか。

答弁

現在検討中の公共施設の最適化に向けた取組につきましては、地域保健担当の業務を市内南北2か所に保健福祉センターとして集約し、保健と福祉部門の連携による総合相談窓口機能の充実と健診等の環境改善を図っていこうとするものでございます。集約に当たりましては、保健師の担当する地域は従来どおりで変更する予定はございません。また、地域での保健師活動の際には、保健福祉センターから遠くなる地域を考慮して、短時間で担当地域に出向くことができるよう移動手段などの整備や、直接家庭訪問等が困難なケースについては、地域で柔軟に対応できるように工夫を考えており、地域から保健師がいなくなり地域が見えなくなることはないものと考えております。さらには、保健福祉センターに集約することで、福祉部門のケースワーカー等との情報交換や同行訪問の機会が増え、迅速な対応や多方面からの対応が可能となり、支援の充実を図ることができます。また、従来どおり地域振興センターをはじめ他局とも連携し、専門性の高い家庭児童相談員・婦人相談員・子育てコミュニティワーカー等を軸にしながら、保健師は見守りや家庭訪問を通して地域住民の健康に関する身近な相談相手として、今後もこれまでと同じようなきめ細やかな対応を遂行してまいります。

質問

公立保育所の今後の基本的方向が制定されてからs年がたつが、この間子どもの貧困が広がり、虐待など困難を抱えた家庭が増えているのではないか。

答弁

公立保育所では、家庭環境に対する配慮など、保育を行う上で特に配慮が必要とされる入所児童とその家庭状況の把握に努めており、近年こうした児童数につきましては、年度によって増減している状況があります。こうした家庭環境等に配慮の必要な入所児童につきましては、子どもの状況を踏まえた保育の実施を始め、保護者へのサポート、また状況に応じて関係機関に繋ぐなど必要な支援を行っております。

質問

公立保育所は、保育に欠ける子どもの受け皿であり、これ以上数を減らさないよう、民間移管は再検討する必要があると思うが、どうか。

答弁

公立保育所の民間移管は、o歳児保育をはじめ、多様化する保育ニーズヘの対応や老朽化した施設の改修など、市内の保育環境を充実させていくために計画的に推進しているものでございます。残る公立保育所が果たすべき役割につきましては、「公立保育所の今後の基本的方向」に定めているものでございます。今後につきましても、この基本的方向を踏まえ、引き続き保護者の皆様へのご理解も賜る中で、公立保育所の民間移管を進めてまいります。

質問

「子供の貧困対策に関する大綱」を受けて、今後どのような支援事業を考えているのか。

答弁

子どもの貧困対策は、「子供の貧困対策に関する大綱」の基本的な方針において、基本としては一般的な子ども関連施策をベースとするものであり、子どもの成育環境や保育・教育条件の整備、改善充実を図ることが不可欠であると示されております。本市におきましては、平成2フ年度の主要取組項目に沿って、子ども関連施策の充実を図っているところです。今後につきましては、当該大綱に示された重点施策に係る国の動向を注視し、当該大綱を踏まえた事業展開が図られるよう、教育・保健・福祉などの庁内関係部局との情報共有や連携に努めてまいります。

質問

きめ細かな対応をするためのスクールソーシャルワーカーの人員確保はできているのか。今後の増員計画はどうなっているのか。

答弁

本市の子どもの育ち支援ワーカーによる活動は、平成22年度の事業開始から5年間で、小学校33校、中学校15校の合計48校、約B割の学校で活用され、相談件数も当初の年間111件から202件へと増加しております。このように、ワーカーが支援している学校や相談件数も徐々に増加しており、学校現場からも認知され、一定の評価をいただくなど、これまでの活動実績等を勘案すると、支援の体制は整いつつあるものと考えております。今後とも、教師とワーカーなどの個々の連携に留まらず、教育委員会や学校と福祉事務所など組織間の情報共有や連携を強化するとともに、事例研究型研修などで支援する側のスキルの向上を図るなど、更にきめ細やかな対応をめざし、相談件数の推移や支援のニーズを見極めながらワーカーの適切な配置を進めて参りたいと考えております。

質問

子どもの貧困の実態調査を行ってほしいと思うがいかがか。

答弁

「子供の貧困対策に関する大綱」にも示されておりますとおり、国は、地方公共団体が子どもの貧困対策を企画・立案し実施できるよう、全国的な子どもの貧困の実態について調査研究するとともに、特色ある先進施策の事例などの情報提供に努めるとしています。本市といたしましては、これら国が行う実態調査等の情報把握に努めるとともに、本市の各種データも含め、関係部署と共有し、本市における子どもの貧困対策の取組に活用したいと考えております。