2023.9月議会 山本なおひろの一般質問と当局答弁要旨【住宅や店舗リフォーム助成・生活保護行政について】

日本共産党議員団の山本直弘です。

私は、地域経済対策として「住宅リフォーム助成制度」「店舗リフォーム助成制度」の創設と、生活保護行政に関わるいくつかの事項について質問いたします。

さて、共産党議員団は先月の17日、18日の2日間、行政視察に行きました。

1日目は東京都世田谷区、2日目は群馬県高崎市で、高崎市では住宅リフォ一ム助成制度、高崎市においては「高崎市住環境改善助成事業」と、店舗リフォーム助成制度、高崎市においては「高崎市まちなか商店リニューアル助成事業」とよばれる施策について学びました。

 

今、かつてない円安と、物価高騰、原材料不足などにより、多くの中小業者は経営がゆきづまり、新型コロナの感染症法上の分類が2類から5類に移行しても、業態によっては期待されたほど業績が回復せず、コロナ下を上回るペースで倒産件数が増加しています。そして、中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化し、今後さらに中小企業・中小業者の倒産・廃業が増える可能性があります。地域経済の主役である中小企業・中小業者支援が今ほど必要な時はありません。

高崎市の「住環境改善助成事業」は、市民が市内業者に住宅の修繕や改修工事を依頼すると、助成金として工事に要した費用の30%、上限20万円を支給し、間接的に市内申小企業・業者を支援する制度です。

同時に既存住宅の長寿命化や住環境の改善を図ることを目的としています。エアコンや給湯器、便器などの製品単体の購入は対象外ですが、外壁や屋根の塗装などの外装工事、浴室やキッチンなどの水回り改修工事、壁紙の張替えや障子ふすま、畳の取り替えなど、非常に多くの種類の工事が助成対象になっています。

 

予算規模は、当初予算で1億円、申請は500件の見込みですが、補正予算5千万円を足して2022年度は1億5千万円、805件の申請。総工事費951,051千円で、予算額の6倍以上の経済流通となっています。

当初は、東日本大震災の影響で業績が落ち込む市内中小企業の支援事業として創設され、3年間実施して、その後継続するかどうかを検討するということでしたが、市民からの継続の要望が強く13年も続いているということです。

いわゆる「住宅リフォーム助成制度」、名称は各自治体により様々ですが、高崎市も含め2020年10月時点で、全国327の自治体で実施されています。

兵庫県内では、12の市町で実施。神戸市や姫路市、明石市で実施され、阪神間ではお隣の西宮市や宝塚市、川西市など、全国に倣って市内経済活性化の目的で積極的に実施しています。

 

尼崎市でも長年、中小業者団体をはじめ、多くの市民が同制度の創設を求めてきましたが、財政的な制約などで実現には至っていません。高崎市の取り組みを聞いてわたしは、この制度はコロナと物価高騰等で疲弊した市内中小企業・中小業者と、住宅のリフォームを希望する市民が潤うことで、市内経済循環の起爆剤になりうる制度だと思いました。

同時に、申請者の7096以上が65歳以上の高齢者であることからして、この制度は高齢者の住宅環境の改善に寄与するものだということです。

おたずねいたします。

Q1 尼崎市でも、地域経済対策として「住宅リフォーム助成制を創設する考えはありませんか

答弁要旨

本市では、先進市の調査・研究を行った上で、居住中の住宅に対し「エコリフォーム助成」を実施しておりました。

しかしながら、本市には、約8,000戸の空き家があることから、まずは、その対策に注力すべきとの考えのもと、「エコリフォーム助成」を終了し、空き家を改修するための補助事業を開始したものであり、これらが活用されることで、地域経済対策に寄与していると考えていることから、地域経済対策として、「住宅リフォーム助成事業」を設ける予定はございません。

また、国においては、住宅の改修費補助として「こどもエコすまい支援事業」を創設するなど、様々な補助制度を設けておりますので、これらの国の制度を本市においても情報発信し、制度の活用を促進することで、地域経済対策に寄与するものと考えております。(以上)

 

 

次に生活保護行政に関わり、いくつか質問いたします。

まず、物価高騰にともなう電気代の値上げにより、生活保護利用者はエアコン使用をためらい、それによって命の危険にさらされている問題です。

今年の夏も異常な暑さで、9月2日朝日新聞で報道されたように、今年の7月は観測史上最も暑い7月だったことに続き、8月もここ126年で最も暑かった8月であることが、気象庁データの分析から判明しました。これまでの記録だった2010年8月の平均気温を約0.4度上回り、平均気温が最も高い1か月ともなりました。巷で言われているように、正に地球環境が、「温暖化」を超えて「沸騰化」している現状で、日中はもちろん、朝晩もエァコンを使用しないと過ごせない日々が続きました。

昨年の調査ですが、全大阪生活と健康を守る会連合会が行った、2022年夏の生活実態アンケート(247人からの回答)では、回答した生活保護世帯の9割が自宅にエアコンを設置しているにもかかわらず(1割の世帯は設置していないことは驚きですが)、実際に使用しているのは5割で、半数が扇風機などでしのいでいるということです。

おたずねいたします。

Q2.生活保護世帯がエアコン使用を控えている実態を把握していますか。

答弁要旨

エアコンについては、新規申請時の面談、実地調査の際に保有の有無を確認しているほか、定期的な家庭訪問の際には、生活状況を確認する中で、エアコンの使用状況等についても適宜確認を行っており、エアコンを保有している方でも電気代の負担が気になり使用を控えるという声をよくお聞きしています。

こうした声も踏まえ、全国市長会等を通じまして、すべての生活保護受給世帯に対して冷房器具使用に係る電気料金相当分を扶助する制度の創設について要望を行っており、引き続き国への要望を行ってまいります。以上

 

次に店舗リフォーム助成制度についてです。

高崎市においては「高崎市まちなか商店リニューアル助成事業」は、市内商業の活性化を目的に、商売を営んでいる人、またはこれから営もうとする人が、「店舗の改装」や「店舗等でする備品の購入」に対し、100万円を上限に、その費用の2分の1を補助する事業です。

2020年からはHACCP (ハサップ)にもとつく、飲食店衛生向上特別枠が設けられました。また、利用回数については2018年からは2回目、昨年2022年度からは3回目の利用が可能となりました。

設立の経緯は、2012年の7月から9月の3か月間で、職員が市内300店舗を訪問し聞き取り調査を行った結果、約20%が「店舗の改装を検討している」と回答し、その内、約半数が「補助があれぼ改築したい」という声があり、この結果を踏まえ、翌年2013年度から始まった制度で、11年間続いているということです。

2022年度の予算規模は、当初予算3億5千万円で補正予算1億円を追加して4億5千万円。申請件数840件に対して515件の決定件数に対し、助成されたのは3億7千万円で、それによって施行された工事費は8億円となっています。

利用者からは、「商売のやる気が出た」「改装で売り上げが伸びた」「新規のお客様が増えた」といった喜びの声と共に、工事を施行した業者からも「経営意欲が増した」「忙しくなり、先々のことが考えられるようになった」という声が寄せられ、相乗効果が生まれているということでした。また、施行業者を市内業者に限定したことで、小規模事業者や中小企業者に仕事が回る仕組みになっていて、経営が安定し、事業主だけではなく、そこで働く従業員の仕事への意欲の向上が図られ、雇用の安定と定着につながっているそうです。

「店舗リフォーム助成制度」も、名称は各自治体により様々ですが、高崎市も含め2023年10月時点で、全国201の自治体で実施されています。

おたずねいたします。

Q3.尼崎でも、事業者訪問や聞き取り調査をこれまでおこなってきていると思いますが、店舗リフォームに対する要望はつかんでいますか。

答弁要旨

商業団体との会合や事業所訪問など、日頃の業務を通じ、お聞きしている市内事業者からの声としましては、店舗のリフォームについてのご意見もありますが、多くは人手不足や後継者が見つからないといったものであり、その他、キャッシュレスへの対応や商店街への防犯カメラの設置、アーケードの改修など、様々なご意見をお聞きしています。以上

Q4。地域経済対策として「店舗リフォーム助成制度を創設する考えはありませんか。

答弁要旨

店舗リフォーム助成制度につきましては、対象となる施行業者を市内事業者に限定することで、店舗改装の受注機会の拡大やリフォームに関連した備品の購入など、一定の経済効果が発生するものと考えられます。

一方で、今年度実施しています「脱炭素化設備等導入促進支援事業」は、中小企業者の設備導入を支援するとともに、新たに市内事業者に担っていただく簡易省エネ診断を創設し、市内間取引を促進していくことで、市内事業者支援と地域経済対策にもつながっているもので、予定していた100件を超える申請をいただく中、より大きな経済効果が得られるものと考えています。

そうした中、現在のところ、店舗リフォーム助成制度を実施する考えはございませんが、店舗リフォームに活用可能な金融機関における融資の情報のPRや、引き続き、事業者ニーズに加え、経済効果も含めた地域経済対策に資する事業について、検討してまいります。以上

次に、生活保護に関わってお聞きします。

総務省の調査で、昨年5月~9月の熱中症の救急搬送状況は、「65歳以上の高齢者」が最も多く55%、発生場所は「住居」が最も多く40%で、「道路」(17%)「屋外」(12%)を大きく上回っています。

生活保護利用者には自宅で過ごす高齢者も多く、年々気温が上昇する中、猛暑対策は急務です。保護費がじわじわと減らされる中、エアコンの修理、買い替えにともなう費用は利用者負担になっています。厚生労働省は2018年から保護世帯ヘエアコン購入費の支給(現在、最大6万2千円)を認めていますが、

条件は新規保護開始か、転居先にエアコンがない場合などに限られています。保護利用が長い人ほど古いエアコンを使っていて、故障しやすく、「故障したらどうしようもない」という声も聞かれます。社会福祉協議会の貸付制度はありますが、保護費減額や物価高騰で返済していく余裕はありません。

千葉県流山市では、低所得世帯を対象にエアコン新規購入・買い替え費用の補助制度(最大4万5千円、保護世帯は買い替えのみですが最大3万円)が今年の6月から実施されています。

おたずねいたします。

 

Q5.生活保護受給者にエアコンの新規購入・買い替え費用を補助する制度をつくるべきではないでしょうか。

答弁要旨

冷房器具(エアコン)の新規購入に関しては、一定の要件に該当し、真にやむを得ないと実施機関が認めたときに生活保護制度で支給できるとの規定がある一方で、買い替えについては支給できる規定がなく、毎月の保護費のやり繰りや社会福祉協議会の貸付事業の利用を助言することとなります。

このように、現時点の生活保護制度においては、買い替えに係る費用は日々の生活費に含まれるとの整理がなされていることから、市独自に補助を行うという考えはございませんが、保護費のやり繰り等で冷房器具の買い替えに至らない状況があることも勘案し、全国市長会等を通じて、すべての生活保護受給世帯に対して冷房器具の設置や買替えを支給対象とするよう求めているところであり、引き続き国への要望を行ってまいります。以上

 

私は昨年9月の第9回定例会一般質問で、生活保護のしおりのパンフを市の施設、生涯学習プラザなどに置いて、市民に制度の周知をするべきだと求めました。それは、政府の意図的な誘導によって、市民の中に生活保護を受給することが後ろめたい、恥だといった観念が浸透しているのではないかという懸念があったことが理由です。そうではなく憲法25条で保障された、その時代、社会に応じて、最低限度の生活を下回らないよう、国が最低生活費を保障した—と言っても不十分な金額ですが—生存権、国民が政府に要求できる社会権であること。これがまだまだ市民の中に浸透していない。むしろ偏見と差別をもつ人が多い状況を憂慮して求めたものでした。誰もがいつ何時、何らかの事情で職を失い、収入源が絶たれることは起こりうることです。そういった時に雇用保険の失業給付など、社会のセーフティーネットの存在はその社会の暮らしやすさを計る大きな指標であります。

生活保護制度はそういった社会のセーフティーネットの根幹、大本ともいうべき、重要な制度であることは疑う余地はありません。

Q6.生活保護制度の周知のためのポスター、チラシを作成し、生涯学習プラザなど公共施設に掲示、常備し、保護受給者に対する差別や偏見、分断をなくすための一助にすべきだと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

生活にお困りの方に対しましては、南北保健福祉センターのしごとくらしサポートセンターにおいて、生活全般の相談を受けており、それぞれの状況を丁寧にお聞きし、各種支援策を紹介する中で、生活保護制度の案内も行っています。

その上で、相談者が希望される場合や職員が必要と判断する場合は生活保護の窓口を案内し、そこでさらに詳しい説明を行い、必要な支援に繋げています。

このように、支援が必要な方に対しては、個別の事情を踏まえた相談・支援を実施しているため、市独自で生活保護に特化したポスターなどを作成する考えはありませんが、生活保護制度は憲法で定められた権利であり、生活保護を必要とされる方が申請に抵抗感を抱かれるようなことがないように丁寧に制度の説明を行い、寄り添った対応を心がけてまいります。(以上)

 

次に保護利用者の車利用に関することについておたずねいたします。

私が相談に乗っている受給者の方で、コロナ禍で仕事が全くなくなってしまい、生活に困窮した建設業を営んでいる方がいらっしゃいます。申請時、今後仕事をしていく上でこれまで使っていた車は、現場に行くことはもちろん、道具を積むためにどうしても必要ということで、保有が認められました。しかし、仕事が入ることはいまだになく、再起のめどがたっていない状況が続いています。そんな中、収入認定の度に「次に仕事がなかったら車保有を取り消す可能性がある」などと、ケースワーカーから言われているそうです。

ご本人は、「車を取り上げられたら事業を続けることができなくなる。生活保護から自立するためにも、もう少し長期的に見てほしい。」と困惑しています。

おたずねいたします。

Q7.生活保護受給者の自動車については、画一的に所有を打ち切るのではなく、個別の事情を最大限斟酌し、配慮すべきだと思いますがいかがですか。

答弁要旨

生活保護受給者が自営業等を行うために自動車を保有している場合、その保有可否の判断においては、当該自動車が、事業を行うためのものであるか、また事業の種別、地理的要件、処分価値、維持費なども踏まえ、総合的に判断を行っています。

また、コロナ禍における時限的対応として、現時点において収益がない場合であっても、コロナ終息後において、収入が増加すると考えられる場合には、車両のほかにも自営に必要な店舗、機械器具等の資産について、一定の経過期間は処分を猶予することとされており、画一的に所有を取り消すことは行っていませんが、当該処分の猶予期間は、原則概ね6か月」とされていることから、期限到来後には、改めて、保有可否の判断を行うこととしているものです。以上

 

まとめ

まず申し上げたいのは、地域内循環型経済こそ、地域経済再興の道であるということです。

コロナ禍の以前から、消費税の8%10%増税の影響により、中小企業・業者は疲弊していました。そこにコロナ禍によって追い打ちをかけられた。

今後、地域経済を再興、発展させるためには、大型店や、外資を呼び込むことでなく、地域の中小企業・中小業者を行政施策で支援しつつ、地産地消をはじめ、地域内循環型の経済へ抜本的に転換していくことが必要だと思います。

私はその起爆剤として、この「住宅リフォーム助成制度」「店舗リフォーム助成制度」がなりうると確信いたします。

これまで市は「需要の先食いでしかなく、経済効果は薄い」と制度の実施に後ろ向きな姿勢を続けてきました。であるなら、全国でこれだけ多くの自治体で、継続してされていることについて説明がつかないではありませんか。

また、生活保護制度に関わる質問をしましたが、国の生活保護施策待ちでなく、その不十分な隙間を埋めるような市としてのフォローが今、求められています。

毎年の猛暑と、未曽有の物価高騰により、生活保護利用者をはじめ低所得者に命の危険が現実にさしせまっている。国に対して夏季手当の創設を求めると共に、エアコン購入費・修繕費の助成や、電気代の補助など、憲法25条の実践ともいうべき、市民のいのちと健康を守るための市の取り組みがかつてなく求められているのではないでしょうか。

「誰一人取り残さない」を掛け声だけに終わらせないためにも、抜本的な施策の転換こそ必要であることを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

 

 

 

 

議員の出張や視察・政務活動費の報告が市議会HPに

 

夏は市議会の各会派の視察などが続きます。

政務活動費を使っての視察や出張の報告書が

市議会のホームページで閲覧できます。

日本共産党議員団では、7月自治体学校参加についての報告をあげています。

(8月の視察については、後日の報告となります。)

令和5年度出張報告書等|尼崎市公式ホームページ (city.amagasaki.hyogo.jp)

 

●令和4年度政務活動費収支報告書・経理帳簿・支出書及び領収書も

掲載されています。

政務活動費|尼崎市公式ホームページ (city.amagasaki.hyogo.jp)

 

政務活動費は税金です。使い方は慎重かつ厳重にされなければなりません。

その政務活動費の使途についての大きな疑惑をひきおこし、

2度の辞職勧告決議を受けてもなお、市議会議員の座に

居座りつづけている元維新の会 光本けいすけ市議についての

不正を糺す会のブログを紹介します。

政務活動費の不正疑惑を糺す会ブログ (ameblo.jp)