2016.6月議会、市長提案議案に対する辻おさむ議員の反対討論です

 日本共産党議員団の辻おさむです。議案第82号、84号、85号について、反対討論を行います。

 まず、議案第82号 一般会計補正予算についてです。

 この議案は、(仮称)北部保健福祉センターを設置するにあたって、塚口さんさんタウン内の床を借りるための敷金および賃借料を増額補正する内容が含まれています。福祉事務所が現在の本庁1か所から2か所になるのは市民にとって利便性が高まります。しかし、市内6か所ある保健機能を支所からなくし、2か所に減らすことは、尼崎市政にとって大きな変化です。かつて尼崎は野草市長が「健康福祉都市」をめざし、6保健所=実際には4保健所2保健センター体制をとり、市民の健康を守る砦の役割をはたしてきました。その後、1保健所6保健センターとなり、さらに6保健センターが支所と統合され6保健担当となりましたが、少なくとも6行政区に保健機能が配置されていました。他都市に誇れる尼崎市のきめ細かさでした。これを2か所にするのは、尼崎市民にとって大きな変化となります。とくに、乳幼児健診を受ける場所が6カ所から2カ所に減り、武庫、小田、園田地域では、従来よりもかなり遠くまで行かないと健診が受けられません。子育てにとって必要な健康診断の受診率が低下するという懸念は、いまだに払拭されていません。また、地域保健の最前線で市民とつながっている保健師さんの顔が見えにくくなります。日本共産党議員団は、市民サービスの低下をもたらす保健機能の2か所化のための補正予算に反対です。

 次に、議案第84号 市税条例等の一部改正についてです。

 同改正案の中身の一つに、法人市民税率を12.1%から8.4%に引き下げ、また中小法人の市民税の不均一課税について法人税割額から控除する額を、当該法人税割額に現行12.1分の2.4から8.4分の2.4を乗じる額に変更する内容が含まれています。これは、消費税を10%に増税するにあたって、地域間格差を是正するためのものです。消費税増税は、少なくとも2年半延期される見通しです。それならば、この税制改正がいま必要なのかが問われます。日本共産党は、自治体間の税収格差の是正は、地方交付税の財源保障と財政調整の両機能を強化することで行われるべきだと考えます。今回の改正は、消費税10%への増税と、地方財政が消費税に頼らざるを得なくなるという危険をはらんでいます。企業にとっては、地方の法人市民税が減額される半面、国税の地方法人税が増やされるため、負担の増減はありません。しかし地方自治体ではどうでしょうか。市当局の試算でも、法人市民税は、平成28年度にくらべ、29年度で4億6000万円、30年度で15億1000万円も減額となります。また、消費税が10%になった場合、市への地方消費税交付金は増えますが、増加した分、同額の地方交付税が減ることになります。一方、法人市民税の減収分の地方交付税での保障は75%しかされません。そのため、今回の改正によって平成30年度は実質約3億7千万円減額することになります。よって、尼崎市に財政にマイナスの影響を与える条例改正に反対します。

 次に、議案第85号 園田東会館の設置および管理に関する条例の改正についてです。

 戸ノ内にある園田東会館を廃止し、現在の戸ノ内会館を新たな園田東会館とする条例改正案です。旧同和施策の延長である総合センターが集約され、減らされていくことは了とします。しかし、戸の内地域は、同和地域ではないにもかかわらず、同和地域とみなして同和対策を行ってきたことは、正しいこととは言えません。その建物を存続する今回の改正案に反対します。ご賛同のほど、よろしくお願いしまして、私の反対討論を終わります。ご清聴、ありがとうございました。

2016.6月議会・松沢ちづる議員の一般質問の発言と答弁概要

第一登壇

介護保険制度がはじまって17年目を迎えています。家族介護から社会的介護へと発展的展開の意義はありましたが、安心の介護は実現したでしょうか。「介護心中」「介護殺人」は表面化している事件だけでも年間50件から70件、ほぼ毎週1件の頻度で起きています。

家族が要介護状態になったために仕事を辞める「介護離職」は年間10万人、特養待機者は52万人。65歳以上・1号被保険者の介護保険料基準額は、この間でほぼ2倍に引き上がり、生活への負担を重くしています。また、介護事業所や施設では全産業の平均賃金より月10万円も低い賃金と重労働が改善されず、人手不足が常態化しています。

さらに、今後少子高齢化が進む中、介護保険制度自体の維持が可能かという問題に直面しています。国は、社会保障の理念である憲法13条や25条でうたっている個人の尊厳・権利と公的責任を、「自助」「共助」「公助」という言葉で変質させてきました。2014年成立した医療介護総合確保推進法はその極みともいえると思います。公的負担を抑える目的で「川上から川下へ」、従来入院治療が必要とされてきた患者のケアは病院から在宅医療へ誘導しており、それによって地域には重症患者が増えるので、介護保険サービスは重度の人に「重点化、効率化」しよう、軽度者に対するサービスは市町村事業に移行したり、軽度者の「生活支援」と住宅改修・福祉用具は原則自己負担しようとする内容です。「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように」という多くの人が望ましいと考えるイメージだけを強調し、具体的には地域の自主性や主体性、自己責任を求めるばかりです。肝心の財政面では2015年6月閣議決定された「骨太の方針2015」で、社会保障の自然増を3年間で9000億円から15000億円も削減することを目安にしています。すでに特養の入所対象は要介護3以上に狭め、年金収入280万円以上の人は介護保険サービスの利用者負担を2倍に、また低所得者の補足給付も対象を狭め、自己負担、家族負担を重くしました。この一連の流れの中に、尼崎市が来年4月から実施しようとしている介護予防・日常生活支援総合事業があるわけです。これまで要支援者の訪問介護・通所介護は介護保険給付のサービスとして位置付けられていましたが、来年、介護保険給付から外され市町村が独自に行ってきた地域支援事業に移されます。しかし、市町村事業への移行は「要支援」だけにとどまりません。国はすでに「要介護1・2」についても検討を進めています。今年度末には結論を出し、来年度国会で法改定に突き進もうと考えています。

ここでお尋ねします。今、尼崎市が直面しているのは、超高齢者社会がやってくる、在宅医療の推進で地域に重症患者が増える、そうなっても持続可能な介護保険制度の運営を行うためにどうしていけばいいのかという問題だという認識でいいでしょうか。

答弁

少子高齢化の進展に伴い、介護や支援が必要な高齢者が年々増加する中で、「共助」の仕組みである介護保険制度につきましては、国において様々な見直しが行われてきましたが、社会保障制度として持続可能な運営を図ることは、本市のみならず、自治体に共通する極めて重要な取組みであると考えております。一方で、今後、更に深刻化が懸念される重度在宅介護の増加や、団塊の世代の後期高齢化に対応しつつ、高齢者が住み慣れた地域で生活を維持できるようにしていくためには、従来の行政主体の「共助」や「公助」の仕組みだけでは限界があるものと考えております。とりわけ、単身の高齢者等が多い本市において、今後、高齢者を取り巻く様々な課題に、より的確に対応していくためには、地域の多様な主体による「自助」と「互助」の仕組みを含め、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援を包括的に確保していく「地域包括ケアシステム」の構築こそが、本市が今後さらに取り組むべき最も重要な課題であると考えております。

介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業と略します。)には上限額が決められます。事業開始する前年の要支援者の訪問介護・通所介護・ケアプランの給付額と介護予防事業費の合計に75歳以上の高齢者人口ののびを掛け合わせて算出します。尼崎市の推計では早ければ2018年にも上限額をオーバーするようです。そのため市は①基準、サービス単価の緩和②介護予防効果を高める多様なサービス体制を構築し健康寿命を伸ばすこと③それを推し進めるためには行政・市民・事業者が協力し合うことが必要だとしています。具体的には訪問によるサービスでは、現行の専門職によるものの他に、18時間・3日程度の研修を受けた生活・介護支援サポーターが安い単価で生活支援を行うことや、地域のボランテイアによる支え合い活動を考えています。通所型サービスでは、現行にほぼ近いもの以外に、今年度新規事業として高齢者いきいきサロンを行うことにしています。

 果たしてこれで、高齢者が地域で住み続けられるまちづくりができるのでしょうか。市が2月に要支援者と介護事業所にアンケート調査を実施し、3月には事業者説明会を実施していますが、その結果にもふれながら第2登壇ではこの観点から1問1答形式で質問していきます。

 

第2登壇

市は総合事業に移行となっても、サービスを利用する際の入り口は「要介護認定調査」だと、これまで説明されています。国はこれさえも安上がりに済ませるために、基本チェックリストでも構わないとしています。市があえて入口を「要介護認定調査」に決められた理由は何ですか

答弁

厚生労働省のガイドラインでは、要介護認定を受けなくとも、基本チエックリストを活用し、生活機能の低下がみられた場合には、サービスを受けることが可能とされております。しかしながら、支援が必要な方に必要なサービスを効果的にご利用いただくためには、まず申請者が自らの身体状況や介護環境等の現状を認識し、家族や、支援を行う介護従事者と必要な情報共有を図ることが何よりも重要であると考えております。加えて、要介護認定を受けることで、訪問看護や福祉用具の貸与などの介護予防給付サービスの利用の可否確認をはじめ、利用者の既往歴などの医療情報を主治医から得られることで、利用者の自立支援や介護予防のためのより効果的なケアマネジメントが行いやすくなることから、本市では、要介護認定を受けていただくことを基本に考えております。

医療面の押さえもして申請者の把握をすることは、ケアプランを立てていくうえで非常に重要です。一人ひとりの申請者に寄りそった対応でとても評価できます。

次に、総合事業に基準・サービス単価の引き下げを導入することが市民に及ぼす影響について、お聞きしていきます。

まず、デイサービスの単価変更ですが、これは一定評価できるものです。現行介護予防の費用体系が月単位の定額、つまりセット料金なので、入浴は家でもできるけどデイサービスでも利用する、車の送迎がなくても通える人も送迎バスを利用するといった状況があります。市の案ではセット料金を一つ一つに分解しているので、必要なサービスを必要な回数選択でき、全て利用したら現行の報酬単価となり、事業所にとっても収入減にはなりません。アンケート結果で市民やデイサービス事業所から一定理解されたゆえんだと思います。問題の多くは訪問型の生活支援サービスにあると思います。掃除・買物・調理などのサービスは専門職でなくてもできるだろうという発想が前提にあると思います。

まず、担い手の問題です。市は元気な70代の方も多くなってきているので、この方たちにも担い手の一人となって頑張っていただきたいと考えていますが、そういう高齢者が巷にいるのかどうかです。全国統計で65歳以上の就労者が昨年度730万人、10年前の1.5倍に増えています。貯蓄が少なく年金だけでは暮らしていけないと生活のために働く65~69歳は51.9%、半分以上です。

尼崎市では65歳以上の就労状況はどうなっていますか

答弁

市内の65歳以上の就労状況につきましては、公表されている直近の平成22年度の国勢調査結果によりますと、市内の65歳以上の就業者数は、19,692人となっており、老年人ロ(65歳以上)106,070人の約18.6%となっております。

みなさん、生活のために働けるうちは働いています。市はこうした方々にボランテイアとして地域の支え合いの活躍を期待しますが、今でも、地域社協で役員のなり手がいないと悲鳴が上がっています。地域の老人会も世話役を引き受ける人がいなくて、老人会そのものが減少しています。また、18時間・3日程度の生活・介護支援サポーター研修を受けた人に、掃除や調理、買い物などの生活支援を有償ボランテイアとしてやってもらうことも期待しています。有資格者でも介護現場は低賃金のために応募しても人が集まらない状況です。ましてや無資格となれば更に低い賃金なるでしょう。誰が手をあげますか。

市は、ボランテイアやサポーターの確保がどれくらい可能と考えていますか。

答弁

現在、本市では、多様な主体の事業参画を図るため、国のガイドラインに基づき、認知症状による専門的支援や身体的介護が必要な利用者については、有資格者等の訪問介護員によるサービス提供を、また、軽度な状態の要支援者に対する家事支援については、訪問介護員に加え、新たな担い手の参画を検討しております。ご指摘のように、介護現場では、人材の確保が大きな課題になっており、現時点で人材確保の見通しについて言及することは困難でございますが、必要な人材の確保に向けては、雇用契約に基づくもののほか、地域団体やNPO、ボランティアグループの一員として、有償または無償で参画する仕組みなど、希望者が活動スタイルやライフスタイルに応じて主体的に取り組めるよう、活動の選択肢を拡げる中で、一人でも多くの方に参画いただけるよう努めてまいりたいと考えております。

次に支援を受ける側の要支援者について伺います。

アンケート結果によれば、生活・介護支援サポーターの支援について、一人暮らし・夫婦のみ・2世代世帯いずれでも「受けたくない」が「受けたい」を上回っています。男女別でも、前期高齢者・後期高齢者別でも同様の結果が出ています。ここには、現行のホームヘルパーによる安心のサービスが奪われる不安や、個人のプライバシーに他人が土足で入ってくることへの拒否感が表れていると思います。「地域の支え合い」と言う表現は響きよく耳に入ってきますが、実の所、つい最近まで同じ老人会で活動していたような間柄の人に仕事として支援してもらうことになり、支援される側の尊厳を傷つけることになるのではないでしょうか。アンケート結果について、この部分の市の見解を伺います。市は、現行サービスとサポーターによる基準緩和型サービスの振り分け基準を「要介護認定調査表」の結果に求めています。「寝たきり度」の指標では、「屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない」ランクAの状態ならば現行どおりホームヘルパーの支援対象にします。「認知度」の指標では、「日常生活に支障をきたすような症状・行動、意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても、誰かが注意していれば自立できる」Ⅱaの状態ならば現行どおりホームヘルパーの支援対象にします。しかしそれ以外は、無資格のサポーターの支援で構わないという振り分けです。はたして妥当でしょうか。ノンフィクション作家で「高齢社会をよくする女性の会」副理事長、厚労省の社会保障審議会委員も務めた沖藤典子氏は、ホームヘルパーによる掃除、調理、人との関わりを「三種の神器」と呼んでおられます。住まいが清潔であることがどれだけ健康を守るか。ヘルパーのつくる食事は質素でも家庭の味。そしてヘルパーが外の風を運んでくれる。会話して気持ちがまぎれ精神的に活発になる。この3つをしっかり守る「生活援助の効果」が状態悪化を防ぐ砦だと話されています。専門的な観察眼も記録もない無資格者の生活支援では、介護の質の低下を招き介護状態の重度化が進んでしまうと警告されています。

市はこの指摘をどう受け止めますか。認定調査票の「寝たきり度」「認知度」の指標に関わらず、要支援者の生活支援は資格を持つヘルパーで現行どおりに実施すべきではないですか。

答弁

今回のアンケートのうち、ご紹介いただいた質問項目において、住民やボランティアによる家事援助等を「あまり受けたくない」と消極的に捉えた方が、希望する方よりも多かったことにつきましては、具体的な支援内容等を例示しない中で、希望の有無のみを問う質問内容であったことが影響しているものと考えております。一方で、ご指摘のように、新たなサービス内容や担い手などに不安を抱く利用者がおられることも認識しているところであり、今後、地域で支えあうことの必要性等を含め、総合事業の実施方針や概要などが定まり次第、利用者の皆様には、あらゆる機会を捉えて情報発信を行い、事業に対する理解を深めてまいります。

 

次に、介護事業所のアンケート結果からお聞きします。

基準緩和型の総合事業への参入について、「参入する、前向きに検討する」が訪問介護事業所で生活支援型34%、身体型44%、通所介護事業所で23%ありました。そのほとんどが「損益は関係なし、支出の方が多くなるだろう、でも参入しないと(対象者が困る)」と応えています。対象者の生活実態を知っている専門家だからこその苦渋の選択ではないでしょうか。また、事業所の収支につては訪問介護で「赤字」36.1%「概ね均衡」44.4%、通所介護は「赤字」41.6%「概ね均衡」34.5%、いずれもたいへん厳しい運営状況になっています。これについては、大阪社会保障推進協議会が今年1月に行った大阪市内の事業者アンケート調査でも同様の結果が出ています。昨年4月の介護報酬マイナス改定の影響と思われます。職員確保では「一時的に不足、常に不足」が訪問介護事業所で89.9%、通所介護事業所で73.5%です。お手元にお配りしている資料、訪問介護事業所の職員募集広告をご覧ください。これはある社会福祉法人の事業所のものです。市内で介護保険制度が始まった当初から事業を行ってきた法人ですから、給与水準は「いわゆる尼崎平均」と言えると思います。そこでこの程度です。とても低賃金です。アンケートの自由筆記欄には、「最低賃金さえ払えない。この報酬で働けますか」「誇りをもってやっているヘルパーのやる気を削ぐ」「事業所存続は難しい」等々、戸惑いや怒りの声が集中しています。

市は持続可能な介護保険制度のためだと言ってサービス単価の引き下げを考えていますが、報酬を引き下げられる側の介護事業所は昨年4月の介護報酬マイナス改定と人材確保難にあえいでいます。全く現状無視ではないですか。

答弁

介護人材の確保が社会的な課題となる中で、国は総合事業において、専門的サービスと地域の助け合いの融合を大きな事業テーマにしており、ゴミ出しなどのいわゆる軽易な家事支援については、資格の有無を問わずに、新たに多様な担い手の参画を得て実施していくことを基本としております。そのため、本市におきましても、担い手の裾野を拡げるための取組を進めることとしており、新たな担い手の育成にあたりましては、兵庫県や県内各市町とも連携する中で、利用者が不安を抱くことがないように、必要なサービスの質が確保される研修を実施してまいりたいと考えております。

国はすでに要介護12についても要支援同様に介護保険給付から外して市町村の総合事業に移行させる計画を進めています。国が介護保険外しをしても、市は総合事業の中で介護サービス体制をつくらなければならず、その一番のパートナーが介護事業所です。そこを潰すような方法はとることは、いずれ介護の受け皿全体の不足を招くと危惧します。市はどう考えますか。 

答弁

これまでからご答弁しているとおり、総合事業では、多様な主体による支援体制の充実を目指しており、新たな担い手の活用に向けて参画の裾野を拡げるとともに、有資格者等の専門人材については、要介護者支援に重点化を図っていくことを基本としております。現在、こうした考えのもと、多様な主体による効果的な支援内容等を検討しておりますが、支援対象者のケアマネジメントにあたっては、寝たきり度や認知度などの指標等も活用する中で、これまでと同様に、専門的支援を要する方への必要なサービスの提供はもとより、利用者が自らの状態に応じて必要なサービスを選択できるよう、取り組んでまいりたいと考えております。  

病院から在宅へ、地域包括ケアシステムをすすめる切り札として国が提示した夜間対応型訪問介護事業所は市内で「0」、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業所は小田・武庫それぞれに1ヵ所、園田に2カ所しかありません。専門職の配置が24時間求められる割に収入が見込めず、今後も増設される見込みは少ないと言われています。やはり在宅介護の要となるのは訪問介護と通所介護、市が廃業に追い込むようなことをしてはいけないと強く指摘しておきます。

1号被保険者の介護保険料がどんどん引き上げられていることも問題です。基準額で2000年スタート当初よりすでに2倍近くになっており、市の試算では2020年には7104円2.37倍となります。高齢者にとって重い負担です。介護保険の財政は、公費50%、保険料50%の配分になっており、65歳以上の1号被保険者が納める介護保険料が全体の22~23%程度を占めている構図です。そのため、介護保険サービスの量が増えれば、必然的に保険料が上がり、事業所の報酬単価を上げれば、それはそのまま介護保険料の引き上げに表れます。だからといって保険料を上げないためにサービスの抑制をすることは、介護を必要とする高齢者の命や生活の維持を脅かし、報酬単価を引き下げることは必要な介護の質を低下させます。国は国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設けました。国民は介護保険事業に要する費用を公平に負担することを担保に、要介護状態になっても必要なサービスを利用しながら日常生活を送ることができるはずでした。しかし、現実はどんどん変わってきています。憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とうたっています。憲法25条2項では「国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と書かれています。解決の道は、国の介護への財政負担をもっと多くすることに限ると思います。

この点について、市長の見解をもとめます。

答弁

総合事業では、多様な主体による効率的な地域支援の体制づくりを進めるため、前年度の事業実績を基本に、後期高齢者数の伸び率等を勘案する中で、翌年度の事業費の上限額が定められる仕組みとなっております。そうした中で、ご指摘の介護事業者を取り巻く環境については認識しておりますが、本市の現在の試算では、今後とも認定者数及びサービス利用者数の伸びが、後期高齢者数の伸びを上回ることが見込まれております。従って、現行どおりのサービス単価を維持した場合には、早い段階で上限額を超過することが避けられず、本市の厳しい財政状況等を踏まえる中では、定められた範囲内で事業構築せざるを得ない状況でございます。今後におきましても、本市を取り巻くこうした状況等についても十分に説明する中で、関係者の理解を深めてまいりたいと考えております。

これまでの質疑応答で明らかとなったのは、総合事業には上限額が設定され、その範囲内で事業を行うと、要支援者のケアに質の低下が生じかねない。介護事業所にさらなる減収をもたらし運営状況を悪化させ、介護の量も低下する危険性があるということです。

2014年法改正が行われた際、参議院で次のような付帯決議がされています。「介護予防訪問介護及び介護予防通所介護の地域支援事業への移行に当たっては・・・・利用者のサービス選択の意思を十分に尊重するとともに、地域間においてサービスの質や内容に格差が生じないよう、市町村及び特別区に対し財源の確保を含めた必要な支援を行うこと」とあります。

市が今行うべきは、とりあえず基準緩和型は導入しないで、現行サービスを継続し介護の質と量を確保すること。国に対して、総合事業内で要支援者へのケアが従来どおりにできるよう財政措置を行うよう要請することではないでしょうか。

答弁

議員ご指摘の見直し内容につきましては、報道によりますと、昨年、財務省が「財務制度分科会」に対して、社会保障制度の今後の改革案として提示したことを受け、今後、厚生労働省の社会保障審議会の部会において議論が行われる予定とされております。本市といたしましては、総合事業の目指すところは、将来の高齢者の地域生活を支えるための担い手の裾野を拡げることであり、重要な担い手である事業所を淘汰しようとするためのものではないと認識しておりますが、要介護1・2に係る見直しが行われることとなれば、事業所経営への影響も考えられることから、今後とも国の動向等を注視してまいりたいと考えております。

本市では、これまでから、介護保険制度の適正な運営に努めてきておりますが、高齢化の進展とともに介護サービス等の総費用が増大してきていることから、介護保険料とともに、自治体の財政負担も増大してきております。国庫負担割合の引き上げについては、保険料や自治体の財政負担の軽減につながることから、これまでから全国市長会における重点提言として、継続的に国に要望を行っておりますが、今後におきましても、あらゆる機会を捉えて国に要望してまいりたいと考えております。

 

次に、地域支え合い活動、介護予防活動についてお聞きします。

市は、地域支え合い活動、介護予防活動について、それぞれどのような展開を考えていますか。

答弁

今後、総合事業を通じて、地域の実情等に応じた支え合いの仕組みを構築していくためには、住民やNPOなどの多様な主体に積極的にご参加いただくことが何よりも重要であると考えております。このため、本市では、地域の様々な活動が、単に要支援者に対するサービス提供にとどまることなく、互いに支え合える地域づくりにつながるよう、多様な方の参画を得ながら、まずは、地域の中で顔の見える関係づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

また、介護予防活動への今後の取組みにつきましては、健やかな高齢期を過ごしていただくため、平成26年度から実施している、いきいき百歳体操の普及促進をはじめ、新たに実施する高齢者ふれあいサロンの設置の支援など、今後とも、身近な地域の中で、高齢者が気軽に介護予防活動などに参加できる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 

・高齢者いきいきサロン事業の展開、・いきいき100歳体操の自主的な活動、・市民団体による介護保険で対応できない生活上の支援活動。これらはまさに住民主体で行われるべきもので、これらの活動が地域で広がっていくことが、年をとっても元気に安心して住み続けられる「地域づくり」の一つになると思います。これらの活動は高齢者の方々の日常生活を豊かにするものですが、「何らかの介護が必要」と認定された方の生活支援を任される受け皿となり、地域が責任を持たされるようなものではありません。あくまで自主的、ご近所のお付き合い支え合いに留めるべきです。多大な責任転嫁は、せっかく支え合いの輪を広げようと考える市民の足を止めることになると思います。今、まさに介護保険が岐路に立たされていると思います。それは、最初にも述べましたが、「医療介護総合確保推進法」「骨太の方針2015」に表れているように、国が描く介護保険の姿は、重度者のみに重点化、効率化され、軽度者のケアは十分な財政措置もしないで市町村に移していくものです。しかしこれでは、市町村の介護力は低下し、介護保険法にうたわれている「要介護状態になっても・・・その人が尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営むこと」は困難になります。今でも、高い保険料を払うのにいざサービスを利用しようと思ってもさまざまに適用条件があって必要な介護サービスが利用できない、サービスを利用しないのに保険料は自動引き落としされる、生活が厳しくて払えない等々、高齢者の生存権を脅かしています。市は市民に対して、住民の福祉の増進を図ることを基本として、行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担っています(地方自治法第4条)。国の社会保障削減政策を受動的に進めるのではなく、市民の立場から介護の質と量の維持・改善をしっかり目指していただきたいです。

 

2016.6月議会・川崎としみ議員の一般質問の発言と答弁概要

日本共産党の川崎敏美です。

子ども子育て支援新制度がスタートして2年目の年度となっています。

そこで、児童ホーム、子どもクラブ等の事業について質問をしていきたいと思います。

はじめに、「保育所落ちたのは私だ」という切実な声があがり、全国で8万3375人(2015年4月時点)の保育所の待機児童対策が全国的な課題となっており、その解決のための取り組みが急がれています。今ある保育施設の弾力的運用でこの問題は解決できません。

認可保育所を建設してよりよい環境の公的保育制度のもとで、待機児童をなくしてしてほしいというのが、保護者の共通の願いとなっています。就学前だけにとどまらず、学齢期の子どもたちの保育も同様に社会が担っていってほしい、自治体の子育て政策を充実させてというのが保護者の願いです。ここにおいても待機児童対策が求められています。子育て世代を応援して、子どもたちが健やかに成長していける環境づくりに取り組んでこそ、未来の扉を開くことができます。人口減少が進んでいるからといって施策の停滞を招いては、市政の発展は得られません。若者の多くが低賃金、長時間労働で、結婚して、子どもを産み育てることを諦めざるを得ない現実に直面しています。その中で共働きで頑張って子育てに挑戦する若い世代を応援する、そんな尼崎市市政であってほしいと思います。

尼崎の学童保育の制度は、東京オリンピックの翌年の1965年(昭和40年)難波児童館の開設とともに始まりました。1969年竹谷児童ホームを無料で開設、1971年「1小学校区1児童ホーム」の開設を求める請願が全会一致で可決され、それ以来ほぼ毎年4か所ずつ開設して、1983年武庫の里児童ホームの開設で全小学校(当時45校)に児童ホームが完成しています。こうして児童ホームがつくられてきた背景には、長年に及ぶ保護者、市民のねばり強い運動がありました。保護者が児童ホームと連携して、日々のおやつの手配をする、年間の行事に運動会やドッジボール大会、かつてはスキー教室の開催なども行われ、健全に児童を育てていくことにも積極的に貢献してきました。私の子どももここで育ち、運動会で縄跳びに挑戦決められた時間とびきったわが子の姿を見た時、また子どもたちがひたむきに一斉にけん玉に打ち込む姿は壮観で、いたく感動したことを昨日のように思いだします。尼崎の児童ホームは全国的に他市に先駆けて公設・公営で、しかも長年無料の制度として取り組まれてきました。児童館の廃止とともに放課後の子どもの居場所がなくなり、新たに子どもクラブ等が設置される、利用者が増え続けている状況の下で、保護者の変化もあって大きく様変わりしてきています。しかしそうした状況の下でも、20年、30年と働き続けてきた指導員が存在するように、こうした人たちの支えの下で、児童ホームが成り立っています。以下、本市の取り組みが具体的にどのようになされているか、子育て応援の施策となっているかとの観点で、質問を行っていきたいと思います。

児童ホームと子どもクラブの運営について

児童ホームの申し込み手続きの変更について、今年度から児童ホームの入所申請、申し込み方法や受付の時期が変更されています。今年、1月15日まで1次募集が行われました。2月22日から3月5日まで2次募集が行われました。ここでは待機児童が生じた児童ホームの受付を行わなくなりました。この告知を当局はホームページ上で行っていましたが、保護者に周知徹底できていませんでした。結果、窓口で混乱が起きていました。「せっかく申し込みに来たのに待機があるところは受け付けないとはどういうことか」とのやり取りが繰り返され、怒って帰る保護者も出ています。窓口の対応も一様でなく、なぜ申し込みが遅れたのか執拗に聞かれたり、申し込みが遅れた理由を書かされたり、大変嫌な思いをした、中には正当な理由がなければ受付けないかのような言動もあったということです。

この点について、私は予算委員会の分科会で、この措置は「待機児童の把握につながらない、今後も募集を続けるべき」と指摘し、その場で「対応する」との当局の答弁でした。それをうけて、3月29日から4月8日までの随時募集がはじまり、5月以降も毎月の締め切りを8日までとして行なうようになりました。しかしここにも問題があります。申し込み日を月初めの1日から8日まで限定していることです。この期間内に申し込みができなかった家庭は、また1か月待って、申し込みをしなければならないということになっています。随時募集で、待機が出ている同じホームへの申し込みを4名が行ったところ、いずれも申し込みが遅れた理由をしつこく聞かれた後、2名が申し込みができなかったという事態が生じています。応募の要件が整っている書類があれば、本来、無条件で受理されなければならないと思います。仕事を休んで申し込みに行っている利用者の事情はおかまいなしの冷たい対応ではないでしょうか。また2次募集で待機のある児童ホームへの申し込みに来た保護者に、随時募集の案内をしているのでしょうか?直接連絡をしていないのであれば、もはや子育て世帯を支援する姿勢をなくしている対応だと言わざるを得ません。

お尋ねします。今年度の児童ホームの申し込み手続きの変更で、待機児童にすらなれない、行政から見放される子どもを生んでいることに、これを重大な問題として認識しているのか?市の見解を求めます

答弁

以前からご説明申し上げてますとおり、平成28年度向け児童ホームの入所申請手続きにつきましては、保護者のお声から入所決定通知の前倒しを図ることを主な目的として、受付期間の延長も行う中で、手続きの変更を行ったものでございます。こうした中で、4月1日入所に向けた処理が一定完了いたしました、3月29日からは、募集期間内に申請出来ていなかった児童について受付けを行っているところでございます。なお、空き定員のある児童ホームを対象に、一定の受付け期間を設けておりますのは、申請順での入所決定ではなく、募集期間内に申請された保護者の児童や家庭の状況を審査し、優先度の高い児童を決定しようとするものでございます。また、定員に達している児童ホームにおきましては、申請いただいたとしても入所が出来ませんので、児童や家庭の状況を十分お聞きするなかで、対応が必要な児童につきましては、待機児童として、こどもクラブでの緊急対応をさせていただき、児童ホームの定員に空きが生じましたら順次入所のご案内をしているところでございます。

 

次に児童ホームの待機児童対策についてです。

現在の児童ホームは41の小学校すべてで、40人定員が33か所、60人定員が16か所で運営されています。複数の施設があるのは8校です。今年度、待機児童の総数は、4月1日現在で、339名となっています。前年度376名、新制度が始まる前の年度の2014年は179名でした。さらに詳しく見ていきますと、待機児童は41校中、22校で発生しています。ニケタ以上の待機がいるのは13校で、20人を超えている学校は7校あります。立花北20人、園田北20人、小園23人、園和25人、名城25人、武庫38人、そして最大が定員40名の潮が45人となっています。潮ではホームに入所しているのは1年生が43人、2年生が1人だけという状況で、これまで上級生が下級生にホームのルールを教えていた習慣ができなくなり、例えば手洗いをしてタオルで拭いておやつを食べる等のことを、指導員がすべて手取り足取りで同じことを何度も1年生に教えなければならないといった状況となっています。しかも一斉に同じ時間に1年生がホームに来るため、混乱状況の中で対応を迫られています。

お尋ねします。定員の倍を超えている潮など、全体的に待機児童増加の予測、具体的な対策を何故検討できなかったのか?抜本的な待機児童対策がハード面からも必要となっていますが、どのような計画の見通しを持っているのでしょうか、お答えください

答弁

本市の待機児童対策につきましては、「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、公設公営の施設整備に加えて、民間事業所の活用により定員増に取り組んでいくこととしております。こうした中で、将来推計に基づき、平成28年度におきましては、塚ロ小学校及び金楽寺小学校について、施設整備等によりクラス増を図り、また、民間児童ホームの活用により、待機児童を解消したところでございます。今年度につきましても、待機児童が多く見込まれる武庫児童ホームを施設整備することにより、平成29年度向けにクラス増を図ってまいります。こうしたように、緊急性を要する児童ホームから順次定員増により、待機児童の解消に取り組んでまいりました。来年度以降につきましても、こういった取組により待機児童の解消に取り組んでまいります。

待機になった子どもは、放課後をどう過ごしているのでしょうか。待機児童として子どもクラブで受け入れる、ホーム間交流ということで近くに空きの余裕がある別の学校のホームに通う、民間の事業所に通うなどのことができている子どもは、少なくとも最低限の安全は守られているでしょう。しかし、子どもクラブやホーム間交流に行けない子ども、民間には行けない子ども、これらの行政の手から漏れた子どもたちの居場所はどうなっているのでしょうか?ほとんどの子どもたちは待機のまま児童ホームを体験することもできず卒業していきます。

お尋ねします。市はこれら待機になっている子どもたちの追跡調査を行っていますか?

答弁

さきほどこ答弁申し上げましたとおり、入所出来なかった保護者に対しましては、①定員に空きのある近隣の児童ホーム、②民間児童ホーム、③こどもクラブでの緊急対応、のご案内をさせていただいているところでございます。こうしたなかで、大半の保護者がこどもクラブでの緊急対応を希望され、児童ホームに空きが生じるまでの間、こどもクラブをご利用いただいておりますが、民間児童ホーム利用の有無など、保護者や児童の現状把握にさらに努め、利用者支援の視点から必要な対応を行ってまいります。

待機児童対策の一つとして、近隣の受け入れ可能な学校に行ってもらうという、ホーム間交流というのがあります。潮での待機児童が、ホーム間交流で1年生が1名浜児童ホームに、2年生と3年生の2名が下坂部に行っていました。ところが、この3名全員が4月いっぱいで、ホーム間交流を打ち切られるという、これまでになかった出来事が起こっています。浜小学校までの距離約1.2キロ、子どもの足では25分かけて1年生の子はどのような思いで通っていたのでしょうか。自分の責任でも何でもないのに、待機になったがために、自分の学校のホームに入れてもらえず、友達もいないなじみのない別の学校に行かされる、ようやく新しい環境にも慣れたかなと思っていた矢先、それも断ち切られたのです。ようやく新しい学校に期待と夢を膨らませて入学してきた子が、あちこちたらいまわしされ、つまはじきされる、この子はどんな気もちだったでしょうか。これはある意味行政によるいじめではありませんか。

お尋ねします。途中でのホーム間交流の取り消しの理由はどういうことだったのか?

ホーム間交流で受け入れた子どもの退所決定はよほど慎重に行うべきだったのではないでしょうか?見解を求めます

答弁

児童ホームの入所申請をいただき、入所出来なかった保護者に対しましては、利用者支援の視点で、①定員に空きのある近隣の児童ホーム、②こどもクラブへの参加に加え、③放課後児童健全育成事業として届出がございました、民間児童ホームの情報提供を行っているところでございます。こうしたなかで、職場の場所など諸条件を勘案されたなかで、近隣の児童ホームへの入所を選択された保護者もございます。入所後の児童の通所状況等を踏まえるなかで、再度、保護者とご相談させていただいた結果、保護者の申し出により、児童が通学する学校のこどもクラブで放課後を過ごすこととなったものでございます。

待機児童で、希望する者は子どもクラブでの受け入れ等でも対応しています。

しかし児童ホームの待機児童はみんなそこに行くわけではありません、指導員がいない、生活の場であるとの位置づけがないため自然と通わなくなるという現象が現れています。また、児童ホームの子がたくさん来ている子どもクラブには、一般児童が利用しにくいということも出てきています。この間、私は、現場の職員のみなさんの意見や状況を直接確かめるためにいくつかの児童ホームと子どもクラブを訪問させていただきました。また嘱託労組の役員、指導員のみなさんとも懇談させていただきました。おはなしを聞く中で、子どもクラブで、児童ホームの待機児を受け入れることで、子どもクラブの職員に大きな負担が生まれ、運営が大変困難な状況が生まれていることが分かりました。初めて子どもたちにかかわるといった補助員では、子どもにどのように向き合っていかなければならないのか、子どもの状況に応じた適切な言葉かけなど、子どもに寄り添う関係がなかなかつくれないといった問題点が出てきています。 職員研修制度、特に新しい職員への研修が現場でのぞまれています。子どもクラブで採用された臨時職員といえども、土曜日開所で児童ホームの運営にかかわるという場面も相当出てきています。また障害を抱えている子どもたちにも向き合わなければならないということもあります。専門性が必要とされる職場での研修それ以前のレクチャーが不十分との声をききます。

お尋ねします。研修制度の実施について考えをお示しください。新規採用のレクチヤー、職員への研修制度を充実させることについて市はどう考えるのか?

答弁

こどもクラブ、児童ホームに従事する職員につきましては、保育士や教員免許等を有する有資格の職員を中心に配置し、遊びと交流及び生活の場として安心・安全な環境を提供しているものでございます。社会環境の変化を含め、こどもを取り巻く環境も変化しており、加えまして児童ホームにつきましては、「子ども・子育て支援新制度」の施行に伴い、高学年の受け入れやさらなる質の向上が求められております。こうしたなかで、職員に対する研修につきましては、採用前の事前研修、採用後の新任職員研修を行っており、年間の研修計画に基づき、外部講師等による研修等をきめ細やかに実施することにより、職員の資質・能力の向上を目指しているところでございます。また、児童ホーム職員に係る都道府県認定資格者研修につきましても、順次、派遣を行い、職員の質の向上や設備運営基準条例の遵守に向けて取り組んでいるところでございます。

以上で第1問をおわります。

2登壇

第1問のまとめ、今年度の受付制度の変更は待機児童の把握を行わない、市が本気で待機児童対策に取り組むという姿勢が見えてきません。しかも子育て世代への支援というより冷たく突き放すという結果をもたらしています。仕事を休んで申し込みに来たものを、待機が出たところは受付なかった、随時募集では期日を過ぎているので来月来なさいとか、とんでもない対応をしています。申し込みは原則いつでも受け付けるべきです。以上要望しておきます。

それでは、第2問に移ります。

待機児童対策として、児童ホームは暫定、弾力的運用で40人定員は44人、60人定員は70人まで受け入れを増やして対応しており、その総数は32か所177名となっています。国の基準では施設の定員は40名、児童一人当たり1.65平方メートルの広さが必要とされています。特に定員を超えて受け入れている児童ホームでは、机や備品等が置かれているスペースを除くと、この基準に満たない施設がほとんどで、すし詰め状態となっています。昨年度、塚口では増設のための予算がつきました、しかし工事入札の不調で建設が遅れ、余裕教室を代用しての対応が行われています。潮は学校内の敷地が狭いために2階建ての施設にすべきです。また今年増設の予算がついた武庫は子どもクラブと児童ホームそれぞれ、余裕教室が使われています。児童ホームの新たな施設は現在平屋の予定ですが、ここも2階建てにすべきではないでしょうか。児童ホームが2分化されて、新しい施設、古い施設と子どもが振り分けられて不平等が生まれてしまいます。

お尋ねします。特に来年度も近隣のマンション人口の上昇で、大幅に申し込みが増大すると思われる潮と、すでに建設計画がある武庫はきちんと対策をとるべきです。武庫については、去年の塚口のように入札の不調があっても、もっと早くから準備して、建設が遅れる状況を繰り返さないで確実に実行できる対策が求められています。潮についても今年度中でも思い切った対策を行うべきだと思いますが、市の答弁を求めます

答弁

今年度施設整備を行います武庫小学校につきましては、秋からの工事着工に向けて、現在、業務を進めているところでございます。また、潮小学校につきましては、児童数全体が増加いたしますので、学校、教育委員会との協議はもちろんでありますが、民間事業所の活用などの対応も検討しているところでございます。なお、待機児童につきましては、こどもクラブで対応を行っているところでございます。

次に障害児の受け入れ問題について、お伺いします。

今年度、職員の障害児加配が昨年は20人だったのに、今年は6人へと減少しているということを現場の指導員さんからお聞きしました。障害をかかえて入所されている子どもたちの人数はたいして変わっていないのに、障害児加配が減少しているということです。現状障害を持った子どもたちは、安心して保育が受けられているのでしょうか。

お尋ねします。障害児の受け入れはこの3年間でどの程度受け入れてきたのか、また今年度より加配が極端に減少している理由についてお尋ねします

答弁

障害児の受け入れ状況につきましては、過去3年間の5月1日現在の入所状況としまして、65人、69人、79人となっております。また、児童ホームの加配臨時職員につきましては、児童の状況や児童ホームの利用人数、職員の配置状況などを踏まえるなかで、障害児加配も含め全体として、過去3年間で33人、38人、43人と増員を図り、必要な配置を行っているところでございます。

次に、学校との連携の問題についてです。

学校内外での連携で児童ホームや子どもクラブの運営を後押しする体制が求められています。教育委員会から所管が変わって以降、それまでとれていた保健室との連携がとれなくなっている状況が生まれており、子どもの症状に対応しての専門家の具体的なアドバイスが学校内で得られにくくなっているとの問題があります。

お尋ねします。普段からの学校内での連携強化、緊急時の対応を行う必要があると思われますが、当局の見解を求めます

答弁

本市の児童ホームについては、全て小学校敷地内に設置しているという環境の中、運動場、体育館など学校施設を利用させていただいているところでございます。同時に、児童の状況など、適宜、学校との連携を密に行うなかで、継続した保育に努めているところであり、こどもの病気や、けがを含め緊急時においても、必要に応じて保健室との連携するだけにとどまらず、日常的に保健室の先生に研修講師としてご指導いただくなど、いろいろなところで連携させていただいているところでございます。

次に民間活用の問題についてです。

市は学童保育についても、民間の活用を推進するという立場から、市のホームページで民間の学童保育の開設状況について、11の事業所の案内をしています。これらの事業所は、定員は6人から50人まで、場所も各地にちらばっています。利用料も月額5000円から39800円とバラバラです。子どもの育ち、生活の場としての最低の基準、環境を備えているのか、市はこれらの施設を学童保育の場として適正かどうかを判断したうえで、案内を掲載しているのでしょうか?

放課後対策の民間の活用について、現行は入所不許可決定通知に案内のビラを入れるということがされていますが、利用料に格差があり、施設基準や運営指針等、市の指導を位置づけ、一定の活用のルール化が必要だと思います。また公的な補助がこれら民間にはなされているのでしょうか?市の見解を求めます。

答弁

本市では、子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、国の基準に準拠した児童ホ・一ム事業の設備運営基準を定め、公設、民間児童ホームいずれの施設においても、基準を遵守する中で事業を実施する必要がございます。なお、利用料等に差が生じておりますのは、この基準を遵守する中で、事業所ごと開所時間をはじめ事業内容が異なっているためでございます。また、こうした民間児童ホームに対して補助金を交付しており、国・県の補助制度を基本に、児童ホーム事業として必要な運営経費に対して交付しているものでございます。

次に職員配置の基準についてです。

昨年、私は児童ホームの土曜日開所と、延長保育の問題について質問しました。必要な人員が集まらないので児童課の職員も現場に出て対応するとの答弁でした。

お尋ねします。今年の職員の配置基準は、児童ホーム、子どもクラブともに守られているのでしょうか?

答弁

ご存じのように、児童ホーム事業につきましては、子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、設備運営基準が定められ本市におきましても、条例を制定したところでございます。このなかで、職員の配置基準につきましては、支援の単位ごとに、有資格者などを2名以上配置することが規定されております。こうしたなかで、本市におきましては、従来より40人定員については、2名、60人定員については、3名の保育士資格などを有する嘱託職員を配置する他、児童の状況、児童数等に応じて、保育資格などを有する臨時職員を配置しているところでございます。また、こどもクラブにつきましては、法律その他国が示した配置基準はございませんが、有資格者を含め、3名の職員が従事し、安全・安心に過ごせる環境づくりを行っているところでございます。

次に運営費の問題についてお伺いします。

児童ホーム、子どもクラブの年間予算が大変少なくて遊びの道具や教材を購入するにも大変苦労されていることをお聞きします。また児童ホームで保護者が集まって会議を行ったりすると、畳のささくれが衣服に着いて、「ホームのお土産もらって帰るわ」などの会話がされるそうです。畳の交換ができない、余裕教室のドアが歪んで開かないから年中開けっ放し、クーラーがすぐ止まるなど、施設の改修がままならないということも聞いてきました。

お尋ねします。児童ホーム、子どもクラブともにこれらの予算の増額は検討されるべきです。備品の補修についても、必要な改修を直ちに行う予算をつけるべきではないでしょうか?市の見解を求めます

答弁

児童ホーム、こどもクラブにつきましては、厳しい財政状況の中にあっても、子ども・子育て支援新制度への対応などもあり、ここ数年、施設整備を精力的に行い、児童ホームの定員拡大や放課後の居場所としての環境整備に全力で努めてきたところでございます。また、日々の修繕につきましては、安全・安心など緊急性を加味しながら修繕等を行い、安全で快適に過ごせる場所の提供に努めているところでございます。

以上で第2問を終わります。

3登壇

私は、児童ホーム、子どもクラブは子育て政策の一環としての位置づけが、きちんとなされているのか、疑問に思っています。待機がある児童ホームへの申し込みは受け付けないという姿勢、待機児童にもなれない、待機になっても子どもクラブにしか行けない、そこをやめると追跡調査もされずほったらかしにされる、一体子どもたちの安全な居場所はどこにあるのでしょうか。これでは、子育て世代に尼崎で安心して子育てできないと思われても仕方がありません。

児童ホームも子どもクラブも現場は混乱、職員にそのシワ寄せが押し付けられています。臨時職員で雇用された人が、労働条件と待遇の悪さから長続きしない職場となっています。待機児童対策は、全児童対策の子どもクラブで代用するのではなく、きちんと留守家庭児童対策として、生活の場として子どもたちを受け入れるべきです。 そのためには待機が見込まれる児童ホームの2か所化が必要とされています。施策の狭間でいつも犠牲になるのは子どもたちです。最大の被害者は子どもたちです。この子どもたちを救うためには、とにかく人と予算をつけることが求められています。

最後に市長に質問です。子育て支援の重要な柱として児童ホーム、子どもクラブをきちんと位置づけ、必要な対策をとるべきです。教育委員会との連携のもと、こども青少年本部を設置、その本部長に座った市長自ら、その決意をお聞かせください

答弁

本市では、留守家庭児童対策の児童ホームと、全ての児童が自由に遊べるこどもクラブをともに全小学校に設置し、全国的にも先進的な取組として、放課後児童対策事業を実施してまいりました。こうしたなかで、平成26年8月、国からも、文部科学省、厚生労働省連名により、「放課後子ども総合プラン」が示され、同一の小学校内での児童ホーム事業、こどもクラブ事業の連携した実施促進の考え方とともに、市長部局と教育委員会の連携した放課後対策について示されたところです。昨年度策定しました、次世代育成支援対策推進行動計画におきましても、こうした国の動向も踏まえつつ、引き続き、ご指摘の通り、本市の子ども・子育て支援の重要な施策の1つとして、両事業の連携を、さらに進めていくこととしております。これからも、地域の皆様をはじめ多くの関係者の協力を得て、全ての児童が放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行う環境を整えてまいりたいと考えております。

以上で私のすべての質問を終わります。

 

 

2016.6月議会・徳田みのる議員の一般質問の発言と答弁概要

第1登檀

日本共産党議員団の徳田稔です。

市内事業者の景況調査結果、市長の政治姿勢、国民健康保険の都道府県単位化、(仮称)尼崎市自治のまちづくり条例について市長の見解をお聞きします。

まず市内事業者の景況調査結果についてです。

安倍首相は来年4月からの消費税率10%への引き上げを2年半、再延期すると表明しました。2014年4月に消費税を8%に引き上げて以来、国内総生産の6割を占める個人消費は冷え込み続けています。消費税の8%への増税から2年あまりが経過しましたが、個人消費は増税前に比べて、2年間一貫してマイナスが続いています。今年1月から3月期の数値でも、個人消費は増税前に比べても、実質で年額8兆円も落ち込んでいます。市は4半期ごとに市内の事業所景況調査を行っています。今年1月から3月期の尼崎市事業所景況調査は、3月時点の調査で、市内600社へアンケートを郵送して調査を行い、回答率は34.5%でありました。この結果では、景気動向指数DI値、企業の業績がよくなったと回答した企業の比率から悪くなったと回答した比率を差し引いた数値です。このDI値が一昨年の消費税8%への引き上げ後の6月の調査ではマイナス14.4でしたが、今回はマイナス18.3とマイナス幅が拡大し、大幅に落ち込んでいます。市内事業所の景況判断は事業所の全業種で大幅な落ち込みを示し、市内企業の景気後退が続いていることを現しています。

お尋ねします。この事業所景況調査の結果から、市内でも一昨年の消費税8%への増税の影響が続いていると考えるべきと思いますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

本市が実施している事業所景況調査における事業所の景況感では、消費税増税後となる2年前の4月から6月期と、最新の調査となる今年1月から3月期を比べますと3.9ポイントの落ち込みが見られ、2年前から経年で見ますと、全体的にはほぼ横ばいとなっており、結果的には景況感を測るDI値が改善されておりません。2年前の消費税増税後は、DI値の動きを見ましても、小売業を中心に増税により少なからず影響があったものと考えられますが、産業全体の景況感につきましては、海外市場の影響、円高株安、電気料金や原材料費の高騰、また従業員不足など、様々な要因による結果であると認識しております。

次に消費税率引き上げに対する市長の政治姿勢をお聞きします。

私は、消費税率の5%から8%への引き上げの際に、市長に消費税増税の中止を表明するように求めましたが、市長は将来にわたり社会保障制度を安定的に運営していくためには、増税は避けられないと答弁されました。税制の基本は能力に応じて公平に負担する応能負担ですが、消費税はこの原則に反しています。また、所得税の負担率ですが、この負担率は年間所得1億円をピークに低下します。1億円以上の高額所得者は株などの売買による利益が多くを占めるためです。所得税の最高税率は45%ですが、株売買の利益にかかる所得税は15%と優遇されています。いまタックスヘイブン、海外の租税回避地を利用し超高額所得者の課税逃れが大きな問題となっています。このタックスヘイブンを使った課税逃れの金額は、法人税だけでも全国で20兆円とも30兆円とも言われています。財源の確保は消費税に頼るのではなく、優遇税制を改め、応能負担の税制の原則に基づいた集め方、適正な課税を行えば、財源は確保できます。

そこでお尋ねします。消費税率10%への引き上げについて、増税延期ではなく、増税中止を国に求めるべきではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

現在のところ、国も地方も、社会保障関連経費を、赤字国債や臨時財政対策債などの、いわゆる「借金」で補っている状況にある中、「国・地方を通じた財政の健全化」、「社会保障の持続可能性」、「世代間の公平」という観点を踏まえると、偏在性が少ない安定的な財源を確保していくことが不可欠であると考えております。こうしたことから、「社会保障と税の一体改革」において、消費税率の引き上げにより対応を図ることは、必要な取組であると考えており、このたび、引き上げ時期の延期が示された中で、国に対しましては、引き続き社会保障の充実などに着実に取り組めるよう、中核市市長会をはじめ自治体間の連携も図りながら、必要な財源の確保を求めてまいりたいと考えております。

次に、国民健康保険の都道府県単位化の問題についてです。

尼崎市の国民健康保険料は阪神間で一番高い保険料が続き、市民のくらしを苦しめています。年所得200万円の40歳代の夫婦、子ども2人の4人家族の国保料は年額49万円にのぼっています。今年度の国保料決定通知書が来週に届きます。今年も、高すぎる保険料が払えないと国保課窓口にたくさんの市民が訪れると思います。昨年5月、国は国民健康保険法の一部を改正し、2018年度から国保の運営を都道府県と市町村が共同で担うことになりました。県が財政運営の責任主体で,保険証は県国保証となり、県が国保財政運営の責任を持つことになります。県は、医療給付費から公的などによる収入を差し引いて、県全体で集めるべき保険料収納必要額を算出し、それを医療費水準や所得水準に応じて市町村の納付金を算出します。市町村は、県が決定した納付金を納めることになります。そのため市町村は被保険者から国保料の賦課,徴収を行います。具体的には、全国統一の算出基準をもとに、県が市町村ごとの標準保険料率を示します。市町村はそれを参考にして保険料率を決めます。加入者から保険料を徴収、保険証の発行など資格管理はこれまで通り市町村が行います。

そこでお尋ねします。国保の都道府県単位化で市の国保の業務はどのように変わるとお考えでしょうか

答弁

平成30年度からの国保都道府県単位化による大きな目的は、都道府県が国保の財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効果的な事業の確保などの国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化することでございます。具体的には、都道府県単位化により、県が財政運営の責任主体となり、国保運営方針に基づき市町が県に納める国保事業費納付金の額を決定するとともに、財政安定化基金の設置・運営を行うことになります。また、市町は地域住民と直接顔の見える関係の中で、①被保険者証等の発行といった資格管理、②保険給付、③保険料率の決定や賦課・徴収、④特定健診・特定保健指導といった保健事業などを実施していくことになるものでございます。

保険料の賦課決定権はあくまで市町村にありますが、尼崎市は兵庫県が策定する標準保険料率を使って賦課し、徴収を行うのでしょうか。

答弁

国保の都道府県単位化により、平成30年度から県が国保財政運営の責任主体となります。兵庫県は国保運営方針に基づき、県全体の国保医療費などをもとに各市町の標準保険料率を示すことになり、各市町においては、県が示した市町ごとの標準保険料率を参考に賦課、徴収することになります。しかしながら、本市の国保が独自に行う給付事業や保健事業などを実施する場合には、保険料率に影響を与えることになりますことから、今後の独自施策のあり方がどの程度、保険料に影響するかといったことも含めて考え方を取りまとめ、国保運営協議会にお示しできるよう進めてまいります。

また県への納付金は100%納付が義務つけられています。県が決定する納付金を全額、保険料で徴収できない場合にはどうされるでしょうか。お答えください

答弁

国保の都道府県単位化にあたり、財政の安定化を図るため、都道府県に国保財政安定化基金が設置されます。この国保財政安定化基金は、平成30年度以降、市町の保険料収納不足や県の保険給付費の増などにより、財源不足となった場合などに貸付を受けることで、一般財源からの財政補てん等を行う必要がないよう、県に設置されるものでごさいます。万一、保険料収納額が確保できず、財源不足となった場合、この国保財政安定化基金から貸付を受けることができる制度となっておりますが、そういった財源不足が生じないよう、収納対策に取り組んでまいります。

次に(仮称)尼崎市自治のまちづくり条例(以下、自治条例と言います)についてお尋ねします。

市は、尼崎市をくらしやすいまちにしていくため、自治の基本理念や基本的な事項を明らかにするとともに、市民、市議会及び行政のそれぞれの権利や責務、役割を定め、市民による自治のまちづくりをすすめる自治条例を検討しています。日本共産党議員団は、この自治条例の制定を否定するものではありませんが、制定にあたっていくつかの点について市長の見解をお尋ねします。まず総合計画との関連です。これまで総合計画でまちづくりの方向性を示し、行政運営の総合的な指針となる、最上位の行政計画、尼崎市総合計画(ひと咲き、まち咲き、あまがさき)を策定しています。また自治条例もまちづくりの方向性を示すものです。

お尋ねします。この総合計画と自治条例はどのような関連性を持つものとなるのでしょうか、市長の見解をお聞かせください

答弁

総合計画は、市民、事業者、行政が目指す「ありたいまち」の姿と、まちづくりを進めていくうえでの基本的な考え方や各施策分野における取組の方向性を示したもので、計画期間を定め、議決を経た本市の最上位の計画です。その中で、特に「まちづくりの進め方」において、「市民主体の地域づくり」、「ともに進めるまちづくり」、「まちづくりを支える行政のしくみづくり」を掲げるなど、本市のまちづくりにおいて必要な考え方を示しています。こうした総合計画の考え方も踏まえ、「(仮称)尼崎市自治のまちづくり条例」では、まちづくりの理念などを定め、将来にわたり、市民の市政や地域への参画、市民が自治の力を発揮するための環境を創っていこうとするものです。

今回検討している自治条例では、市民の権利及び責務の中で、市民は、市政のまちづくりに参画するにあたっては、他者への理解の姿勢を持つとともに、自らの発言と行動に責任を持つように努める。また、市民、協働によるまちづくりを行うにあたって、お互いを理解するとともに、自発性及び自主性を尊重するように努めるとして、支え合うまちづくりをうたっています。一方、国の社会保障制度改革推進法の基本的な考え方として、自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくことと、自立、自助が強調されています。

お尋ねします。国の社会保障制度の基本的な考え方の下で、自治条例が実施されれば、この条例が自助・自立を市民に押しつけるものになっていくのではと懸念しています。市長の見解をお聞かせください。

答弁

一連の社会保障制度改革に関しましては、持続可能な社会保障制度の確立を図ろうとするものであり、そのなかで自助、共助、公助の必要性についても示されているものと認識しております。議員ご指摘の、市民の自助・自立に関してでございますが、本市ではこれまでから、「孤立から自立は生まれるものではなく、市民の自立については社会における支え合いと相互不可分であり、自立しているから支え合える、また支え合えているから自立できるという関係にある」との認識をお示ししてまいりました。今回の「尼崎市自治のまちづくり条例」におきましても、「地域をよりよくしていくのは私たち一人ひとりだという自覚と行動」、「お互いを尊重し支え合うコミュニティ」、「市民の参画と協働」といった自治の力を育み、一人ひとりの力がまちづくりに活きるよう、取り組んでいこうとしているものであり、決して市民に自助・自立を押し付けようとするものではございません。

 

以上で第1問を終わります

 

 

第2登檀

まず国民健康保険の都道府県単位化です。

県が定めた統一的な県国保運営方針に沿って、事務の標準化、 広域化が推進されることになるとして、 尼崎市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、市独自事業の見直しを検討していくとしています。

その検討項目は,①財政健全化のための一般会計からの繰り入れ、②多人数世帯の保険料の特別減免、③結核・精神医療付加金及び葬祭費、④あんま・マッサージ・はり・きゅう施術費助成、⑤特定健診となっています。1人当たり国保料の負担軽減を図るため、4億円を一般会計から繰り入れていることや、多人数世帯の保険料の負担軽減を図るために、国保料の基準総所得に対する負担率が20%を超える世帯に対して特別減免を行っていることは、高すぎる国保料に対する市民の悲鳴に市が応えたものです。感染症の予防及び患者に対する医療や障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための結核・精神医療賦課金、葬祭費は被保険者が死亡したとき葬祭を行う者に対しの支給、あんま・マッサージ・はり・きゅう施術費の助成制度など、市民の切実な要求に基づいて実施されているものです。特定健診は医療費の適正化の積極的な取り組みとして行われています。いずれも市民にとってなくてはならない施策となっています。

この法定外事業について、昨年4月17日の衆議院厚生労働委員会で日本共産党堀内照文衆議院議員の質問に対して、厚生労働省は「一般会計からの繰り入れには、それぞれの自治体で判断をいただく」「これを制度によって禁止すると言うふうなことは考えていない」と答弁されています。また、この問題に関して、今年3月の大阪社会保障推進協議会の質問に対して、厚生労働省の担当者は、「都道府県国民健康保険運営方針はあくまで技術的助言であり、法的拘束力はない。保険料賦課の権限はこれまでと同様に市町村にある。一般会計からの法定外繰り入れは市町村の政策判断で実施するもので、必ずしも解消、削減すべきものではない」と回答しています。

お尋ねします。厚生労働省の担当者は、都道府県国保運営方針はあくまで技術的助言であると述べています。市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、独自事業の見直しを検討していくとしています。市民の切実な要求に基づいて行われている、いまの独自事業は継続すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

現在行っている、本市国保の独自施策につきましては、今後予定されている国保の広域化を見据える中で、保険料や財源も含めて、そのあり方を検討していく必要がございます。これらの独自施策につきましては、一定の段階で考え方を取りまとめ、国保運営協議会において審議していただくとともに、関係団体との話合いの場を持つ等、可能な限り丁寧な対応に努めてまいります。

次に自治条例です。

自治条例の地域コミュニティと自治では、市民は、地域のコミュニティを構成する一員として,お互い様の精神と対話の姿勢を持って、お互いにくらしやすい地域づくりに取り組むように努めるとしています。地域コミュニティの組織として市民活動団体への加入や活動に参加し、それぞれの能力をまちづくりに活かすよう努めるとなっています。市民活動団体はそれぞれの要求に基づいて組織されている団体がほとんどです。要求に基づき自主的に運営されている市民活動団体へまちづくりの責務を課すことは、組織の崩壊を招く恐れもあります。また市民活動団体の主要な団体として地域社協を想定されています。しかし市民の社協への組織率が3割台の地域も残されています。市は地域別予算制度の導入を計画されています。市民がひとしくまちづくりの推進を行っていかないと、地域別予算の実効性も保障されません。豊中市など多くの自治体では、地域におけるまちづくりを推進していくための組織として、自主的な自治協議会や自治推進委員会を設けています。

お尋ねします。市民の社協への加入率が低い地域がある中で、市民によるまちづくりの推進がひとしくできるとお考えでしょうか

市民がひとしく、まちづくりを進めていくためには、市民活動団体に頼るのではなく、自治協議会、あるいは自治推進委員会など独自の自治制度を検討する必要がないでしょうか。市長の見解をお聞かせください

答弁

社協への加入率にかかわらず、市内には、数多くの地縁団体やテーマ型団体による地域活動が展開されており、安心安全のまちづくりや身近な地域活動を支える市民運動推進協議会のほか、地区計画にかかるまちづくり協議会、社会福祉連絡協議会で行われている高齢者等見守り安心委員会や地域福祉会議、さらには、学校におけるPTA活動など、個別のテーマによって活動の母体や活動範囲が異なる団体が、地域でまちづくりに取り組んでいるところでございます。このような中で、本市において、今後の地域における自治のまちづくりを進めるに当たっては、こうした団体間のつながりをさらに深め、それぞれの持つ力が地域コミュニティに発揮されるような関係を築いていく必要があると考えております。そうしたことから、地域振興センター機能の再構築を図る中で、6地区ごとに、多様な主体が参画し、つながりを深められるような話し合いや交流などの場づくりや、地域の人材育成の支援、また、情報発信活動の支援など、様々な支援に努めてまいりたいと考えております。

 

市民の市政への積極的な参加は、市職員によるわかりやすく丁寧な説明と、市民の声を十分に聞く姿勢が欠かせません。職員の皆さんの能力が問われます。現在、施策の内容などを市民の皆さんに説明する市民説明会、市民の集まりに職員が出向き、市の現状や取り組みについて説明する市政出前講座、市民の多様な意見を公募する市民意見公募手続き・パブリックコメントなどがあります。

お尋ねします。市民説明会、出前講座など市民へのわかりやく丁寧な説明と市民の声を十分に聞くパブリックコメントを自治条例の中できちんと位置付ける必要があると考えますが市長の見解をお聞かせください

答弁

「尼崎市自治のまちづくり条例」は、本市を魅力的でくらしやすいまちにしていくため、本市における自治の基本理念をはじめ、各主体の役割などを示し、将来にわたり自治のまちづくりを進めていくための条例としたいと考えております。そのため、議員ご指摘の市民説明会や出前講座などの個々の事業について、具体的に定めることは考えておりません。しかしながら、ご質問のような各事業の取組につきましては、お示しした理念を共有し、行政としての説明責任を果たすことや、参画の機会づくりに努めるなかでは非常に重要なものであると考えておりますので、常に改善に努め、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

札幌市や熊本市など各地で自治条例のなかに公的オンブズマン制度が設けられています。

この制度は、市政に関する苦情を公平かつ中立的な立場で、簡易迅速に処理することにより、市民の権利と利益の保護を図り、市政に対する理解と信頼を高めるものです。具体的には、市政のことで困っている市民の申し立てを受付、苦情を調査し、市政の改善を図ることなどを目的とする制度です。行政の監視などのために任意に活動している民間オンブズマンとは異なります。

お尋ねします。公的オンブズマン制度等の新たな制度を検討したのでしょうか。お聞かせください

答弁

他都市において、公的オンブズマン制度等を条例に位置付けている例は承知いたしておりますが、本市におきましては、先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、本市における自治の基本理念や各主体の役割などを中心に条例案の策定作業を進めてきたところであり、公的オンブズマン制度などの具体的な方策を定めることについては考えておりません。

次に、子どもの人権と自治条例との関係です。

自治条例では、子どもは18歳未満の市民を言うとして、子どもは、社会の一員として年齢や成長に応じて、市政やまちづくりについての権利と責務を有するとしています。子どもの権利条約を基に、子どもの人権を定める、尼崎市子どもの育ち支援条例では、子どもの成長過程において、生きる、育つ、守られる、参加する権利といった子どもの人権が尊重されるとともに、多様な人々とのかかわりや様々な経験を重ねることにより、自分を大切にする心、他人を尊重する心、規範意識などがはぐくまれ、社会の一員として様々な責任を果たすことができる大人へと成長することととらえています。子どもの権利条約では、子どもは様々な権利を有しているとなっていますが、義務は「他の人に迷惑をかけてはならない」との規定しか見当たりません。

お尋ねします。自治条例の中での子どもの権利と責務について、市民検討会議での議論の中味と、なぜ子どもの責務をいれたのか、お聞かせください

答弁

市民懇話会におきましては、子どもの権利やそれを守るための方法などを中心に議論を行ってきたところでございます。そうしたなかで、子どもについてもひとりの市民として尊重されるとともに、何らかの責務もあるのではないかとの議論があり、子どもの育ち支援条例について参考としたところでございます。同条例第9条第1項におきましては、「子どもは、様々な責任を果たすことができる大人へと成長することができるよう、(中略)その年齢及び成長に応じ、学ぶこと及び主体的に考え行動することに努めなければならない」との規定もあることから、その趣旨も踏まえて、自治のまちづくり条例においても子どもの権利と責務について規定したところでございます。

この自治条例では、公職選挙法に定める尼崎市議会及び市長の選挙権を有する者は、将来にわたって市に重大な影響を及ぼすと考えられる事項に関し、その総数の6分の1以上の者の連署を持って、市長に対して住民投票の実施を請求することができる。市長は請求があったときには、住民投票を実施しなければならないと、常設型住民等投票を規定しています。住民投票には、有権者の50分の1以上の署名を集め市長へ請求し、これにより市長は住民投票を実施する条例案を市議会に提出し、可決されれば住民投票を実施する、条例の制定請求による個別型住民投票と、有権者の一定数以上の署名を集め市長に請求し、市長が条例に基づいて実施する常設型住民投票があります。この常設型住民投票は議会の議決を要しないで、実施できるもので、個別型に比べて時間を要しません。全国的には個別型住民投票制度が多数となっています。

お尋ねします。今回の自治条例で個別型住民投票ではなく、常設型住民投票としたのは、なぜでしょうか。市民検討会議ではどのような議論がされたのでしょうか。

質問

個別型ではなく常設型の住民投票としたのはなぜか。市民会議での議論の中身は。

答弁

行政運営に当たりましては、公選で選ばれた首長と議会の二元代表制により、それぞれの権能を発揮しながら進めていくことが原則であると考えております。しかしながら、その意思形成過程におきましては、様々な機会を設け、まちづくりの主体である市民の参画を得て、意見を聞きながら方針等に反映していくことが大切であると考えております。中でも市民生活に重大な影響を及ぼす事項につきましては、市民の一定程度の発議をもって、必要な時期に市民が直接意思表示を行える機会を担保しておくことが必要であるとの考えから、常設型の住民投票としているところでございます。また、市民懇話会では、地方自治法における「直接請求」などの既存の制度も含めた住民投票制度の内容について学ぶとともに、意見交換では、「どのようなことに直接意思表示をしたいか」や、「常設型住民投票のメリット・デメリット」、また「制度化するとした場合に必要な要件」について議論を行い、多様な意見をいただいたところでございます。

お尋ねします。自治条例の住民投票は有権者の6分の1の賛同が必要となっています。6分の1の判断基準はどこにおいているのでしょうか。市長の見解をお聞かせください

答弁

先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、行政運営に当たりましては、公選で選ばれた首長と議会の二元代表制により、それぞれの権能を発揮しながら進めていくことが原則であると考えております。そうしたなかで、参画の手段として住民が直接意思表示を行うに当たっては、相応のハードルを設ける必要があると考えており、市民懇話会の議論においても「制度の濫用を招く可能性」について意見があったところでございます。一方で、法律における事例として、「市町村の合併の特例等に関する法律」では、6分の1以上の連署をもって、協議会設置の是非を問う住民投票を請求した場合には、必ず住民投票を実施しなければならない、といった規定がございます。こうしたことも踏まえ、本市における発議権の設定においては、同法における規定と同様、公職選挙法上の選挙権を持つ者の6分の1以上の署名とすることが妥当であると考えたところでございます。

 

この自治条例の制定に向けて、市民検討会議やタウンミーティングなどが開催されてきました。自治条例に対する市民の意識の醸成は感じられず、市民的論議が十分にされているとは思いません。

尋ねします。自治条例を9月議会に提出を予定されています。もっと時間をかけて市民に内容を知らせ、意見を求め、十分な論議の時間を保障すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

本条例案の策定に当たりましては、平成25年度以降、市民懇話会やタウンミーティング、フォーラムなどを継続して開催し、多くの市民(のべ937名)の参画を得て、今後のまちづくりに必要な市民、行政の基本的な考え方や姿勢などについて、ともに学び、考え、意見交換を重ねてまいりました。こうした取り組みを経て、今後、条例案を上程する段階へと進めてまいりたいと考えているところでございます。今後も市民の皆さんに条例の内容をお知らせしていく努力を続けてまいりますとともに、条例案を策定する過程以上に、制定後の取組が大変重要でありますことから、学校教育や社会教育の場面なども含め、広く周知を図り、条例の趣旨について考える機会をつくっていくとともに、さらなる自治のまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

以上で第2問を終わります。

第3登檀

第3問は要望に留めておきます。

消費税増税について市長は今回も将来にわたり社会保障制度を安定的に運営していくためには消費税の増税は避けられないと述べられました。市長、消費税と社会保障の財源をリンクさせることはやめるべきです。消費税を上げることができなければ、社会保障を我慢せよということにつながるからです。財源は消費税だけではありません。所得税、法人税など様々な税金があります。第1問で指摘したような所得税の優遇税制、中小企業に比べて有利な大企業の優遇制度、タックスヘイブン・租税回避地を利用した課税逃れなどにメスを入れるだけでも、十分な財源が確保できることを指摘しておきます。

国民健康保険都道府県単位化についてです。答弁では、一般会計からの繰り入れ、結核・精神医療付加金、あんま・マッサージ・はり・きゅう施術費助成などは削減の方向でないかと強く感じました。この国保都道府県単位化に際して、厚生労働省は国保財政へ3400億円投入する。これは1人1万円の保険料引き下げ効果があると強調しています。現在の全国の市町村の一般会計からの法定外繰り入れ総額は3900億円にのぼっています。この総額3900億円の法定外繰り入れがなくなれば、国の3400億円投入の財政効果はなくなるどころか、マイナスの財政効果となってしまいます。この法定外繰り入れを維持していかないと国保料のアップにつながっていきます。市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、一般会計からの国保会計への繰り入れなど、独自事業の見直しを検討していくとしています。市民の切実な要求に基づいて行われている、いまの独自事業は継続することを重ねて要望しておきます。

自治条例についてです。市が検討されている自治条例について、様々な点から市長の見解をお聞きしてきましたが、私の腹に落ちる答弁となっていません。多くの市民の皆さんも同じ気持ちの方も多いと思います。市民的に議論をつくすほど、自治条例は市民に定着していきます。自治条例のような市政の基本的な考え方を決める条例は、時間をかけてじっくり議論していくことが必要です。市長、この自治条例案を、十分に時間をかけ、市民的な論議を行っていこうではありませんか。以上で私のすべての質問をおわります。ご清聴ありがとうございました

2016.6月議会の真崎一子議員の一般質問の発言と答弁概要

 

日本共産党議員団のまさき一子です。

今年4月14日、16日熊本・大分を大地震が襲いました。家屋の倒壊や土砂崩れ等で亡くなられた方、助かった命を避難生活の中でなくされた方に対し、心からのお悔み申し上げます。また被災された方々にお見舞い申し上げます。 

熊本は私の故郷です。故郷を突然襲った大地震、一日でも早い生活再建、復興を願って地震に関連した質問を行います。まず最初に、熊本県と大分県を中心にした九州地方の連続地震が続く中、鹿児島県川内原発1.2号機が、全国で唯一運転を続けていることに不安が広がっています。4月14日、16日の、熊本地方から始まった一連の地震は、熊本県益城町(ましきまち)から熊本市内へ、阿蘇地方から大分県内へと震源が広がり、一つの断層帯で発生した地震が別の断層帯の地震を誘発するかってない事態となりました。5月6・7日には、薩摩半島西方(にしかた)沖を震源地として連続地震が発生しました。この海底を通る活断層の延長上に川内原発があります。今回地震を起こしている布田川(ふたがわ)断層帯・日奈久(ひなく)断層帯は、南西側には川内原発、東側には四国・伊方原発があります。その危険性を考えれば、国は唯一稼働している川内原発の停止は当然検討するべきです。地震国日本で絶対安全な地域はありません。いったん過酷事故を起こせば、原発がどんな被害をもたらすのか、私たちは十分に福島の原発事故で学んだはずです。特に九州各地の地震の活性化は、阿蘇山をはじめとする雲仙、霧島、桜島などの火山活動に影響する可能性が懸念されており、原発の稼働を続ける危険性は明らかです。今こそ政府と電力事業者は、国民の命とくらしを最優先に、川内原発の運転中止を考えるべきです。稲村市長は、東日本大震災が起こった時に、原発の方向性を問われ、「将来的には原発はなくしていくほうが望ましい」と答えられました。そこで質問します。

質問1、今回の熊本地震の状況を見て、あらためて原発はなくしていくという、市長の決意をお聞かせください。いまだに川内原発が動いていることについて、市長はどのようにお考えでしょうか。川内原発の稼働継続を中止するよう、国に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか

答弁

原子力発電所に関連する一連の質問にお答えします。この度の熊本地震を受け、改めて、わが国は大規模な自然災害に見舞われるリスクが高いということを痛感しました。そのような中、原子力発電所については、出来る限り速やかに、計画的になくしていくことが望ましいと考えます。川内原発に関して申し入れをする予定はありませんが、これまでもこ答弁申し上げてきましたとおり、原子力施設の安全性確保はもちろんのこととして、原子力発電所に依存することのないエネルギー施策の推進と放射性廃棄物の処理について、政府は早急に道筋を明確にすべきだと考えております。

次に《公共施設の耐震化について》です。

4月14日に震度7の熊本地震、震源地は熊本県益城町(ましきまち)、被害は益城町~熊本市内におよび、建物はひびが入り、家具が倒れ散乱しました。地震による直接死は9人。強い余震が続く中で人々は市町村が指定した避難所に避難をしました。4月16日未明、再び震度7の地震が、益城町を含む南阿蘇地域から大分県にまで被害が拡大しました。1回目でひびが入ったがかろうじて建っていた家屋が倒れ被害が広がりました。ライフラインは断たれ、高速道路、空港までもが運用できずに熊本県内が孤立状態になりました。2回目の地震による死者は40人。行方不明者1名はいまだに発見されていません。これまで経験したことがない想定外の大地震により、尼崎市役所と同じように老朽化した宇土市役所が倒壊しました。宇土市役所は、十数年前の耐震診断で震度6~7の地震には耐えられないとしながらも、財政上の理由で建て替えを先延ばししていました。地震後は隣接する市民体育館で業務を行っています。どんなに職員や市民に不便さや困難をもたらしたことでしょう。尼崎市では今年3月議会で、本庁舎の耐震化工事をおこない、現庁舎を今後20年間は使えるように延命化を図るということです。私は4月16日の熊本地震の映像を見て、今でも50年以上経過した本庁舎は同じような大規模地震が起こった場合、耐えられるのだろうかと不安になりました。たぶんここにいる人誰もが同じ気持ちになったのではないかと思います。

質問2、熊本地震と同じような地震が起こった場合、耐震化工事をしたとしてもすでに50年以上が経過した尼崎市役所は建っていることができますか。また、耐震化計画はどれくらいの地震に耐えられるものを想定しているのですか。

答弁

本庁舎のうち南館と議会棟につきましては、今年度、耐震補強工事に着手する予定であり、補強後の耐震性能は、耐震改修促進法等に基づき、震度6から7程度の規模の地震に対して、構造体の部分的な損傷は生じるものの、建物が倒壊し、または崩壊する危険性は低く、人命の安全確保が図られるよう計画しております。なお、お尋ねのありました、震度7の揺れが連続して発生した熊本地震につきましては、現在の関係法令等が想定していなかったことであり、現在、国土交通省において、建築物被害の調査・分析がなされているところでございます。

質問3、本庁舎が傾むいたり倒壊した場合も想定しておかなければなりません。その場合災害対策本部等の市役所機能はどこに設置されるのですか

答弁

災害対策本部につきましては、原則として本庁舎北館4階4-1会議室に設置することとしておりますが、本庁舎が被害を受けて使用できない場合には、本市地域防災計画に示すとおり、防災センターに設置することとしております。また、防災センターについても使用できない状況となった場合には、北部防災センターをはじめとする他の公共施設を活用することとしております。

これで第1問目を終わります。

第2登壇

 現在国内の電力消費は原発がなくても賄える水準で、川内原発を停止しても電力不足は起こりません。地震活動の活発化で危険な川内原発の停止は、切実な願いだけではなく実現可能な対策です。日本共産党議員団は、市長に「国に鹿児島川内原発の稼働継続を中止する等の申し入れを行うことの要望書」を、4月22日に提出しました。川内原発は予防的にも直ちに停止し、全国の原発は停止したまま廃止に向かうことこそ「地震大国」日本の取るべき道と考えます。

 5月24日の新聞報道で、海上保安庁が南海トラフ地震の想定震源域で、2006年度から行った海底地殻変動の観測結果をまとめ、南海巨大地震を引き起こす海側のプレートが陸側に入り込んで蓄積された「南海トラフのひずみ確認」と発表しました。このデータを分析すると、陸側プレートと海側プレートの沈み込みが年間2㎝~5.5㎝移動している。動きが大きい場所ほどひずみも大きい。南海トラフ巨大地震の一つ東海地震の想定震源域とマグニチュード8クラスだった東南海地震(1944年)と南海地震(1946年)の震源域の周辺に大きなひずみを確認しました。東・南海巨大地震で想定されるひずみの範囲は、西は宮崎県沖から東へ四国、和歌山、三重、愛知・静岡県沖に広範囲に示されています。想像を絶する巨大地震と津波が広範囲に起こるということです。また、大阪には豊中から大阪市内、岸和田を縦断している「上町断層帯」はマグニチュード7.5クラスの地震が、今後30年間で発生する可能性が活断層の中では高いグループとされています。大阪府と隣接する尼崎市は大きな影響は免れません。まさしく「地震大国日本」において減災と備えは各自治体の大きな課題であるといえます。

第2問目は、近い将来起こるであろう巨大地震への備えについて質問していきます。

 まずは、《被災地支援について》熊本地震が起こった当初から、人命救助、水、食料、生活用品の輸送、給水活動、避難所や車中泊等の健康相談、被災した家屋の応急危険度判定、被害程度の認定活動等、必要な時期に的確な現地支援に努められた市職員のみなさんに敬意を表します。消防救助隊、保健師、水道局職員、被災建築物応急危険度判定士、家屋被害認定士など、専門職員が派遣され、被災された人たちと寄り添いながら活躍されました。21年前に起こった、阪神淡路大震災を経験した職員が少なくなっています。しかし東日本大震災時も人命救助・被災地の復興のために職員を派遣し、今も継続しています。その継続した支援が熊本でも主導的に被災地の職員へのノウハウの伝達に生かされている、とお聞きしました。

質問4、東日本大震災では長期間にわたり、職員を派遣し継続的な支援ができました。熊本地震の場合は継続的な支援を行っていくのでしょうか。また今後はどんな職種が、求められますか

答弁

今回の熊本地震における被災地支援につきましては、発災直後から、緊急消防援助隊や先遣調査隊の派遣をはじめ、保健師の派遣など各分野での支援を行って参りました。その後、関西広域連合において、大阪府が大津町を、兵庫県とその他の府県で益城町をカウンターパートとして支援を行うこととなり、本市からは家屋被害認定士を派遣した他、現在は、家屋解体の受付業務等を支援するため、短期で職員を派遣しております。ご質問の今後の長期派遣及びその職種につきましては、現時点で決定しておりませんが、引き続き関西広域連合等と調整を図りながら、被災地のニーズに即した、積極的な支援を行って参りたいと考えております。

 稲村市長は5月19日に記者会見をされました。熊本地震の復興支援にいった経験を踏まえた記者会見の内容だったと思います。そこで質問します。

質問5、市長が言われる、災害時対策本部のあり方を検討するというのは、どんな問題意識を持っておられるのでしょうか 

答弁

このたびの熊本地震では、わが国で観測史上初となる28時間内に、二度の震度7の地震に見舞われるとともに、1500回以上の余震が発生しております。このことで、多数の建物が壊れ、亡くなられた方の多くは二度目の地震により倒壊した住宅の下敷となるなど、建築基準への課題や、テントや車中泊の避難生活による健康対策、避難者の把握、行政による初動対応など様々な課題が見受けられました。これらの課題や、本市からの人的支援・先遣隊等の報告を踏まえ、本市災害対策本部の各部のガイドライン等に、これらの課題対応を反映させる必要があると認識しました。このことから、特に初動期の各部の対応や避難所等の開設・運営について、庁内全体で協議しながら、検証・見直しを行っていきたいと考えております。

 次は《避難生活のあり方について》

避難所の機能については、熊本地震では段ボールで区切り、狭い・プライバシーが保てないなどの深刻な状況が今も続きています。またトイレ不足・水不足、長時間の同一姿勢によるエコノミークラス症候群等、ストレスの蓄積による災害関連死が20人。2回の震度7の大地震で被災者から「一体どうなるのか。もう助からないのでは。本当に死ぬかと思った。」と強い恐怖を感じた人も少なくありませんでした。避難生活が長期化する中でストレスの蓄積と今後の見とおしがつかない不安が限界に達しています。自主避難所や車中泊を強いられている人には救援物資が届かない、中には長期間おにぎりとインスタントみそ汁のみ、パンのみ等栄養面でも問題があり、被災地では管理栄養士の支援要請が求められました。市長は、記者会見で避難所の運営について見直しを進めると表明されました。

質問6、あらゆる地震の特徴を想定した対策や、避難生活が長期期間にわたることも考慮した避難所のあり方も考える必要がると思います。どのような検討がされているのですか

答弁

現在、本市の地域防災計画の災害想定のうち、内陸型地震である上町断層帯地震の場合では、最大震度7、地震発生1日後の避難者数は約33万人、海溝型地震である南海トラフ巨大地震では、最大震度6強、最短117分で最大4mの津波が到達し、地震発生1週間後の避難者数は約3万8千人となっております。この度の熊本地震では、被災者が自宅に戻れず車中泊等の避難生活も長期化したことから、避難者の把握や避難生活の環境、救援物資の配送などの課題が見受けられました。これらのことを踏まえ、今後、災害対策本部の各部のガイドラインを見直していきたいと考えております。

 熊本地震による避難生活が課題となっています。大きな地震が連続して発生する下で、自家用車での車中泊や路上での避難生活を余儀なくさせられている被災者、大きな余震が続く中でも不安を抱えながら壊れた自宅に戻らざるを得なくなっている被災者もいる中で、すべての被災者の避難生活の改善が求められました。車中泊を始めたのは子どもの夜泣きが心配だから。避難所で子どもの声でトラブルが起きたと聞いて、車で生活している」と軽自動車に4歳・2歳の子と親子4人で寝泊まりする家族もいました。この家族には支援団体から、キャンピングカーを借りることができたそうです。公園にテント村ができましたが気温が急激に上昇したり、朝夕は寒さが残り体調不良を訴える人も多かったと聞きました。また自主避難したところが、指定避難所ではないため食料の支給がされなかった。という問題もありました。そもそも、熊本地震では事前に指定されていた県内の避難所のうち約70か所が、地震で損壊して使用できなくなりました。熊本市内の171か所の避難所のうち33か所が使えなくなりました。うち26か所が公立小中学校の体育館や校舎です。耐震化工事は2013年度で終了していたのにもかかわらずです。しかし建物の骨格部分ではなく、天井、照明器具、外壁など「非構造部材」の地震対策が終わっていなかったのです。そのため、車中泊や野宿をせざるを得なかった被災者もいました。尼崎市の避難所の確保と耐震化は大丈夫ですか。21年前の阪神淡路大震災、5年前の東日本大震災、今回の熊本地震等、地震規模が想定できない状況があります。近い将来に起こるであろうと言われている南海トラフ巨大地震等の備えは、大きく構える必要があると考えます。尼崎市は避難所に指定してある、小中高の学校の耐震化率は96.5%で、統廃合した小中学校の改築工事が残るだけとなりました。また各地域の支所・地区会館は順次、新耐震の施設に建て替える計画です。

質問7、避難所の確保は、小中高校、地域総合センターと建て替え計画中の各地区会館で十分足りているとお考えでしょうか。 

答弁

本市の指定避難場所としましては、公立の小中学校を中心に、現在78箇所を指定しており、約7万5千人を収容出来ると見込んでおります。また、南海トラフ巨大地震等による津波対策として、現在345箇所、約32万3千人を収容できる津波等一時避難場所を指定しております。さらに本市だけで受入れが出来ない場合には、阪神7市1町との間で締結しております「災害応急対策活動の相互応援に関する協定」や、兵庫県及び県下全ての市町と締結しております「兵庫県及び市町相互間の災害時応援協定」において、被災者の受入れについて、相互に応援することとなっております。今後も引き続き、避難所の確保に努めて参りたいと考えております。

 今回の地震では避難所の生活は多くの問題を抱えています。プライバシー対策の仕切りや更衣室がない等生活改善が求められました。2011年3月25日に東日本大震災時の避難生活を受けて、内閣府の政策統括官、被災者行政担当の参事官が出した通知「避難所の生活環境の整備について」では、簡易ベッド、畳、マット、カーペット、パーテーション、テレビ、ラジオ、冷暖房機、仮設洗濯場、仮設トイレ、簡易シャワー、仮設風呂を設置しなさいと書いてあります。私は、地震の恐怖感や命からがら避難所まで逃げてきた市民にとって、最初にほっとできるのが避難所だと思います。でもその後、避難生活が長期化することで、ストレスやトラブルも多くあります。少しでも快適な避難生活が送れるように努力するのが行政の仕事です。最低限の備品の調達と設置は責任もっておこなってほしい。それは決して贅沢な要望ではありません。

質問8、国が通知した最低限の「避難所の生活環境の整備について」を受けての市はどのように対応されていますか

答弁

本市地域防災計画には、避難者の生活に支障を来さないよう、指定避難場所の設備について計画的な機能の充実に努めることとしております。このことから、大規模災害時には市や関係機関が保有する設備等を、可能な限り活用することはもちろんのこと、加えて本市では、避難場所における多種多様なニーズに広く対応できるよう、民間事業者との生活物資や食料品、段ボール製簡易ベッド等の物資供給にかかる協定締結にも取り組んできたところです。今後につきましては、快適な避難所生活の実現のため、必要に応じた支援物資が供給できるよう、様々な民間事業者と協定を締結していくとともに、その物資を速やかに避難所で活用できるよう、各部ガイドラインの見直し等も進めてまいります。

 尼崎市の備蓄状況は、6か所の各行政区で小学校1校に倉庫を設け、お米5100食や毛布1230枚、各種トイレ等20台を備蓄しています。しかし各行政区の避難所の収容可能人員は1万人~1万6000人に比べると、とても足りる数ではありません。すべての学校に備蓄品を準備するのも、費用もかかり、備品を順次更新するのも大変です。すべての避難者のために生活必需品の確保ができればいいのですがそれは不可能です。市民の危機意識を啓発し、日ごろから必要備品は最低限備えておく心がけは必要だと思います。私の娘婿は、今どきの子で地震の備えには無頓着な子だと思っていました。熊本地震が起こって、家に行ってみると大きなバックが用意してありました、どこかに行くのかと聞いたら「地震の備えで、せめて子どもの着替えと、おむつ、食べるものはまとめておこうと思って」と準備していました。人の意識というのは、人の親になったら変わるんだと感心しました。私も21年前の阪神淡路大震災後は、水や食料品等の避難備品をそろえたり、家具の固定等をしました。しかし月日とともに風化していきました。なかなか危機意識を持続させるのは難しいと実感しています。熊本地震をきっかけに、市民が避難訓練や地震の備え意識する、啓発活動が必要だと思います。

質問9、市民への災害時の備えやくりかえし避難訓練等の啓発活動を、行政がリードしてほしいと思いますが、いかがでしょうか

答弁

市民の災害に対する関心は、東日本大震災以降、非常に高くなっており、平成27年度に約60件実施した市政出前講座の他、地域における防災マップづくりや「1。17は忘れない」地域防災訓練をはじめ、地域の皆様が自主的に実施されている防災訓練等で、兵庫県防災士会と連携を行いながら、災害時への備えについての講座や避難訓練の内容を充実させる等、防災意識の啓発に取り組んでおります。また、熊本地震以後、市ホームページにて、市民に対し避難袋の用意、家具の固定、避難場所の確認等をあらためて呼び掛けることで、災害時での備えの意識付け等も行っており、今後も引き続き、様々な機会を捉えて啓発して参ります。

 最後に《福祉避難所について》です。

熊本地震の被災地で、障がい者や介護を必要とする高齢者を受け入れる「福祉避難所」が十分機能していませんでした。被災者数が最多の熊本市では、福祉避難所として指定した176か所のうち開設は37か所と約2割にとどまっています。益城町は指定した5か所すべてで開設できず、阿蘇市も受け入れ協定を結んでいた17施設の受け入れはゼロ。介護が必要な人でも車中泊を強いられている中、施設の被災や住民が避難して受け入れの余地がないなどが障害になっていました。

福祉避難所というのは、災害時一般避難所で生活困難な高齢者や難病患者、妊産婦らを受け入れる。災害救援法に基づき公費で運営される。国の指針で、手すりやスロープなどが設置され、バリアフリー化された施設で、要支援者10人につき相談員1人を配置するなどの要件が定められています。熊本市は受け入れが難航している理由として、①地震前から定員に達しており新規の受け入れができない。➁施設職員が被災して勤務できず人手が足りない。③施設が損壊して安全性が確認できずトイレなども使えない。などを挙げています。産まれたばかりの赤ちゃんが車中泊をしていて、沐浴ができないという状況もありました。視覚障がい者が一般の避難所で、トイレに行くことができずオムツでの対応をしなければならない等、人の尊厳にかかわる事態もありました。熊本地震では、障害者や高齢者等の災害時に一層弱い立場に置かれる人たちが、避難生活で人間らしく送れる保障は、現状では整っておらず、非常に多くの課題があることが浮き彫りになりました。尼崎市は総合老人福祉センター、長安寮、身体障害者福祉センター、たじかの園、あこや学園、身体障害者デイサービスセンターの6施設を福祉避難所として指定しています。しかし災害時使えない施設も出てくる中で、全く足りないのは、熊本地震の事例からもあきらかです。尼崎市はこの度、要援護者リストを完成させました。13万4000人をリストに掲載しています。災害時の要援護者は9万5638人。また要援助者を対象にアンケート調査をしました。自分の名前を名簿化し、リストを地域に繋ぐことに承諾した人は5万510人です。

質問10、要援護者の名簿化はできました。各地域につなげる支援体制はどの程度できていますか

答弁

先ほど上松議員にもお答えいたしましたとおり、現在は、わかりやすい避難行動支援の指針づくりや、名簿の提供に際しての個人情報保護等に関する協定書の作成を進めています。今後、こうした取組みを経て、地域の皆様にご理解をいただきながら避難支援の体制づくりを進めてまいります。

 この度、市が準備している福祉避難施設の収容可能な人数は500人。要援護を希望する人のわずか1%です。これでは到底、災害時の要援護者のニーズに合った安心・安全対策とは言えません。また混乱の中、1施設に何十人・何百人と多人数の収容は不可能です。尼崎市には、介護老人保健施設が12施設、特別養護老人ホーム24施設、また多くのデイサービスをおこなう老人施設があります。障がい者施設や相談支援事業所も8か所あります。障害者作業所も福祉施設としての機能が備わっています。これらの施設等に、あらかじめ福祉避難所として、災害時には生活困難者の受け入れの協定を結ぶことが必要だと思います。

質問11、市も民間の福祉施設と協定を結ぶ努力はされていると思いますが、協定が進まない理由は何なのでしょうか。

答弁

ご承知のとおり、福祉施設については、災害後も入所者等に対して、それまで提供してきた福祉サービスを継続する必要があることや、利用スペースや人材等の確保の問題があること、また、通所施設の場合は、そもそも施設に宿泊機能が備わっていないことなどが協定が進まない理由としてございます。一方で、あらかじめ協定を締結することは難しいが、災害時にはできる範囲での協力を行いたいという声もお聞きしております。何れにしても、福祉避難所の更なる確保は重要な課題でありますので、引き続き関係施設と本市とで協議を行い、協力を求めて参ります。

質問12、また、建設予定の尼崎養護学校、看護学校や青少年施設として整備される旧聖トマス大学の施設も、福祉避難所として十分な活用ができると思いますが、いかがですか

答弁

市内に移転、改築する尼崎養護学校については、危機管理安全局と共に福祉避難所や津波等一時避難場所等の設置及び活用方法等について、教育委員会との協議を進めてまいります。また、旧聖トマス大学にある建物についても、今後、施設の利用方法を検討する中で、福祉避難所等としての活用方法も検討してまいります。

 いざ災害時には、受け入れ困難な施設も出てくるでしょう。介護職員も日常的に人手不足であり、災害時にはさらにマンパワー不足が顕著になり困難な課題もあります。しかし協定結んだら自覚をもって避難訓練や備えなどの努力も行われるのではないでしょうか。1施設の受け入れは少人数でも構わない、多くの施設で受け入れる努力をして頂きたいことを求めて、私のすべての一般質問を終わります。

6月市議会の一般質問が決まりました

 6月市議会の一般質問が決まりました。日本共産党議員団の質問者は次の通りです。

 ぜひ傍聴ください。 

真崎一子議員

 6月8日(水)午後2時頃より

  熊本地震について

   尼崎市役所の耐震化、避難生活のあり方、福祉避難所、被災地支援

  市長の政治姿勢について 

徳田稔議員

 6月9日(木)午後1時20分頃より

  市長の政治姿勢について

  尼崎市事業所景況調査結果について

  国民健康保険都道府県単位化について

  市民自治基本条例について

川崎敏美議員

 6月10日(金)午前10時より

  市長の政治姿勢について

  子育て支援策について

  児童ホームの待機児童対策について

  子どもクラブの運営等について 

松澤千鶴議員

 6月10日(金)午後2時20分頃より

  介護予防・日常生活支援総合事業について

  市長の政治姿勢について

第16回尼崎市議会定例会・6月議会がはじまります

 第16回尼崎市議会定例会・6月議会が6月7日(火)から22日(水)まで、16日間の日程で始まります

本会議

 6月7日(火)午前10時30分より      提案理由説明

 6月8日(水)から10日(金)午前10時より 一般質問

 6月22日(水)午前10時より        委員長報告・採決

委員会

 6月15日(水)午前10時より  文教委員会、建設消防企業委員会

 6月16日(木)午前10時より  健康福祉委員会、経済環境市民委員会

 6月17日(金)午前10時より  総務委員会

自治のまちづくり条例(尼崎市自治基本条例)を一緒に考えよう

 市は、稲村市長の選挙公約に基づき、まちづくりに関わる役割を盛り込んだ住民自治の基本的なあり方を示す「尼崎市自治基本条例」の策定にむけて取り組みを進めています。

 この条例案では、第6章(参画)で常設の住民投票制度が設けられています。自治のまちづくり条例(尼崎市自治基本条例)を、市出前講座で説明を受けて、市民の皆さんといっしょに考え、今後の議会活動に生かしていきたいと思います。ぜひご参加ください。

  日本共産党尼崎市議団・出前講座

    (仮称)自治のまちづくり条例案(尼崎市自治基本条例)

  日時 5月18日(水)午後6時30分より

  場所 尼崎市中小企業センター会議室(502号)

  説明 尼崎市市民協働局/協働・男女参画担当者

      主催 日本共産党尼崎市会議員団