2016.6月議会・徳田みのる議員の一般質問の発言と答弁概要

第1登檀

日本共産党議員団の徳田稔です。

市内事業者の景況調査結果、市長の政治姿勢、国民健康保険の都道府県単位化、(仮称)尼崎市自治のまちづくり条例について市長の見解をお聞きします。

まず市内事業者の景況調査結果についてです。

安倍首相は来年4月からの消費税率10%への引き上げを2年半、再延期すると表明しました。2014年4月に消費税を8%に引き上げて以来、国内総生産の6割を占める個人消費は冷え込み続けています。消費税の8%への増税から2年あまりが経過しましたが、個人消費は増税前に比べて、2年間一貫してマイナスが続いています。今年1月から3月期の数値でも、個人消費は増税前に比べても、実質で年額8兆円も落ち込んでいます。市は4半期ごとに市内の事業所景況調査を行っています。今年1月から3月期の尼崎市事業所景況調査は、3月時点の調査で、市内600社へアンケートを郵送して調査を行い、回答率は34.5%でありました。この結果では、景気動向指数DI値、企業の業績がよくなったと回答した企業の比率から悪くなったと回答した比率を差し引いた数値です。このDI値が一昨年の消費税8%への引き上げ後の6月の調査ではマイナス14.4でしたが、今回はマイナス18.3とマイナス幅が拡大し、大幅に落ち込んでいます。市内事業所の景況判断は事業所の全業種で大幅な落ち込みを示し、市内企業の景気後退が続いていることを現しています。

お尋ねします。この事業所景況調査の結果から、市内でも一昨年の消費税8%への増税の影響が続いていると考えるべきと思いますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

本市が実施している事業所景況調査における事業所の景況感では、消費税増税後となる2年前の4月から6月期と、最新の調査となる今年1月から3月期を比べますと3.9ポイントの落ち込みが見られ、2年前から経年で見ますと、全体的にはほぼ横ばいとなっており、結果的には景況感を測るDI値が改善されておりません。2年前の消費税増税後は、DI値の動きを見ましても、小売業を中心に増税により少なからず影響があったものと考えられますが、産業全体の景況感につきましては、海外市場の影響、円高株安、電気料金や原材料費の高騰、また従業員不足など、様々な要因による結果であると認識しております。

次に消費税率引き上げに対する市長の政治姿勢をお聞きします。

私は、消費税率の5%から8%への引き上げの際に、市長に消費税増税の中止を表明するように求めましたが、市長は将来にわたり社会保障制度を安定的に運営していくためには、増税は避けられないと答弁されました。税制の基本は能力に応じて公平に負担する応能負担ですが、消費税はこの原則に反しています。また、所得税の負担率ですが、この負担率は年間所得1億円をピークに低下します。1億円以上の高額所得者は株などの売買による利益が多くを占めるためです。所得税の最高税率は45%ですが、株売買の利益にかかる所得税は15%と優遇されています。いまタックスヘイブン、海外の租税回避地を利用し超高額所得者の課税逃れが大きな問題となっています。このタックスヘイブンを使った課税逃れの金額は、法人税だけでも全国で20兆円とも30兆円とも言われています。財源の確保は消費税に頼るのではなく、優遇税制を改め、応能負担の税制の原則に基づいた集め方、適正な課税を行えば、財源は確保できます。

そこでお尋ねします。消費税率10%への引き上げについて、増税延期ではなく、増税中止を国に求めるべきではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

現在のところ、国も地方も、社会保障関連経費を、赤字国債や臨時財政対策債などの、いわゆる「借金」で補っている状況にある中、「国・地方を通じた財政の健全化」、「社会保障の持続可能性」、「世代間の公平」という観点を踏まえると、偏在性が少ない安定的な財源を確保していくことが不可欠であると考えております。こうしたことから、「社会保障と税の一体改革」において、消費税率の引き上げにより対応を図ることは、必要な取組であると考えており、このたび、引き上げ時期の延期が示された中で、国に対しましては、引き続き社会保障の充実などに着実に取り組めるよう、中核市市長会をはじめ自治体間の連携も図りながら、必要な財源の確保を求めてまいりたいと考えております。

次に、国民健康保険の都道府県単位化の問題についてです。

尼崎市の国民健康保険料は阪神間で一番高い保険料が続き、市民のくらしを苦しめています。年所得200万円の40歳代の夫婦、子ども2人の4人家族の国保料は年額49万円にのぼっています。今年度の国保料決定通知書が来週に届きます。今年も、高すぎる保険料が払えないと国保課窓口にたくさんの市民が訪れると思います。昨年5月、国は国民健康保険法の一部を改正し、2018年度から国保の運営を都道府県と市町村が共同で担うことになりました。県が財政運営の責任主体で,保険証は県国保証となり、県が国保財政運営の責任を持つことになります。県は、医療給付費から公的などによる収入を差し引いて、県全体で集めるべき保険料収納必要額を算出し、それを医療費水準や所得水準に応じて市町村の納付金を算出します。市町村は、県が決定した納付金を納めることになります。そのため市町村は被保険者から国保料の賦課,徴収を行います。具体的には、全国統一の算出基準をもとに、県が市町村ごとの標準保険料率を示します。市町村はそれを参考にして保険料率を決めます。加入者から保険料を徴収、保険証の発行など資格管理はこれまで通り市町村が行います。

そこでお尋ねします。国保の都道府県単位化で市の国保の業務はどのように変わるとお考えでしょうか

答弁

平成30年度からの国保都道府県単位化による大きな目的は、都道府県が国保の財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効果的な事業の確保などの国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化することでございます。具体的には、都道府県単位化により、県が財政運営の責任主体となり、国保運営方針に基づき市町が県に納める国保事業費納付金の額を決定するとともに、財政安定化基金の設置・運営を行うことになります。また、市町は地域住民と直接顔の見える関係の中で、①被保険者証等の発行といった資格管理、②保険給付、③保険料率の決定や賦課・徴収、④特定健診・特定保健指導といった保健事業などを実施していくことになるものでございます。

保険料の賦課決定権はあくまで市町村にありますが、尼崎市は兵庫県が策定する標準保険料率を使って賦課し、徴収を行うのでしょうか。

答弁

国保の都道府県単位化により、平成30年度から県が国保財政運営の責任主体となります。兵庫県は国保運営方針に基づき、県全体の国保医療費などをもとに各市町の標準保険料率を示すことになり、各市町においては、県が示した市町ごとの標準保険料率を参考に賦課、徴収することになります。しかしながら、本市の国保が独自に行う給付事業や保健事業などを実施する場合には、保険料率に影響を与えることになりますことから、今後の独自施策のあり方がどの程度、保険料に影響するかといったことも含めて考え方を取りまとめ、国保運営協議会にお示しできるよう進めてまいります。

また県への納付金は100%納付が義務つけられています。県が決定する納付金を全額、保険料で徴収できない場合にはどうされるでしょうか。お答えください

答弁

国保の都道府県単位化にあたり、財政の安定化を図るため、都道府県に国保財政安定化基金が設置されます。この国保財政安定化基金は、平成30年度以降、市町の保険料収納不足や県の保険給付費の増などにより、財源不足となった場合などに貸付を受けることで、一般財源からの財政補てん等を行う必要がないよう、県に設置されるものでごさいます。万一、保険料収納額が確保できず、財源不足となった場合、この国保財政安定化基金から貸付を受けることができる制度となっておりますが、そういった財源不足が生じないよう、収納対策に取り組んでまいります。

次に(仮称)尼崎市自治のまちづくり条例(以下、自治条例と言います)についてお尋ねします。

市は、尼崎市をくらしやすいまちにしていくため、自治の基本理念や基本的な事項を明らかにするとともに、市民、市議会及び行政のそれぞれの権利や責務、役割を定め、市民による自治のまちづくりをすすめる自治条例を検討しています。日本共産党議員団は、この自治条例の制定を否定するものではありませんが、制定にあたっていくつかの点について市長の見解をお尋ねします。まず総合計画との関連です。これまで総合計画でまちづくりの方向性を示し、行政運営の総合的な指針となる、最上位の行政計画、尼崎市総合計画(ひと咲き、まち咲き、あまがさき)を策定しています。また自治条例もまちづくりの方向性を示すものです。

お尋ねします。この総合計画と自治条例はどのような関連性を持つものとなるのでしょうか、市長の見解をお聞かせください

答弁

総合計画は、市民、事業者、行政が目指す「ありたいまち」の姿と、まちづくりを進めていくうえでの基本的な考え方や各施策分野における取組の方向性を示したもので、計画期間を定め、議決を経た本市の最上位の計画です。その中で、特に「まちづくりの進め方」において、「市民主体の地域づくり」、「ともに進めるまちづくり」、「まちづくりを支える行政のしくみづくり」を掲げるなど、本市のまちづくりにおいて必要な考え方を示しています。こうした総合計画の考え方も踏まえ、「(仮称)尼崎市自治のまちづくり条例」では、まちづくりの理念などを定め、将来にわたり、市民の市政や地域への参画、市民が自治の力を発揮するための環境を創っていこうとするものです。

今回検討している自治条例では、市民の権利及び責務の中で、市民は、市政のまちづくりに参画するにあたっては、他者への理解の姿勢を持つとともに、自らの発言と行動に責任を持つように努める。また、市民、協働によるまちづくりを行うにあたって、お互いを理解するとともに、自発性及び自主性を尊重するように努めるとして、支え合うまちづくりをうたっています。一方、国の社会保障制度改革推進法の基本的な考え方として、自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくことと、自立、自助が強調されています。

お尋ねします。国の社会保障制度の基本的な考え方の下で、自治条例が実施されれば、この条例が自助・自立を市民に押しつけるものになっていくのではと懸念しています。市長の見解をお聞かせください。

答弁

一連の社会保障制度改革に関しましては、持続可能な社会保障制度の確立を図ろうとするものであり、そのなかで自助、共助、公助の必要性についても示されているものと認識しております。議員ご指摘の、市民の自助・自立に関してでございますが、本市ではこれまでから、「孤立から自立は生まれるものではなく、市民の自立については社会における支え合いと相互不可分であり、自立しているから支え合える、また支え合えているから自立できるという関係にある」との認識をお示ししてまいりました。今回の「尼崎市自治のまちづくり条例」におきましても、「地域をよりよくしていくのは私たち一人ひとりだという自覚と行動」、「お互いを尊重し支え合うコミュニティ」、「市民の参画と協働」といった自治の力を育み、一人ひとりの力がまちづくりに活きるよう、取り組んでいこうとしているものであり、決して市民に自助・自立を押し付けようとするものではございません。

 

以上で第1問を終わります

 

 

第2登檀

まず国民健康保険の都道府県単位化です。

県が定めた統一的な県国保運営方針に沿って、事務の標準化、 広域化が推進されることになるとして、 尼崎市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、市独自事業の見直しを検討していくとしています。

その検討項目は,①財政健全化のための一般会計からの繰り入れ、②多人数世帯の保険料の特別減免、③結核・精神医療付加金及び葬祭費、④あんま・マッサージ・はり・きゅう施術費助成、⑤特定健診となっています。1人当たり国保料の負担軽減を図るため、4億円を一般会計から繰り入れていることや、多人数世帯の保険料の負担軽減を図るために、国保料の基準総所得に対する負担率が20%を超える世帯に対して特別減免を行っていることは、高すぎる国保料に対する市民の悲鳴に市が応えたものです。感染症の予防及び患者に対する医療や障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための結核・精神医療賦課金、葬祭費は被保険者が死亡したとき葬祭を行う者に対しの支給、あんま・マッサージ・はり・きゅう施術費の助成制度など、市民の切実な要求に基づいて実施されているものです。特定健診は医療費の適正化の積極的な取り組みとして行われています。いずれも市民にとってなくてはならない施策となっています。

この法定外事業について、昨年4月17日の衆議院厚生労働委員会で日本共産党堀内照文衆議院議員の質問に対して、厚生労働省は「一般会計からの繰り入れには、それぞれの自治体で判断をいただく」「これを制度によって禁止すると言うふうなことは考えていない」と答弁されています。また、この問題に関して、今年3月の大阪社会保障推進協議会の質問に対して、厚生労働省の担当者は、「都道府県国民健康保険運営方針はあくまで技術的助言であり、法的拘束力はない。保険料賦課の権限はこれまでと同様に市町村にある。一般会計からの法定外繰り入れは市町村の政策判断で実施するもので、必ずしも解消、削減すべきものではない」と回答しています。

お尋ねします。厚生労働省の担当者は、都道府県国保運営方針はあくまで技術的助言であると述べています。市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、独自事業の見直しを検討していくとしています。市民の切実な要求に基づいて行われている、いまの独自事業は継続すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

現在行っている、本市国保の独自施策につきましては、今後予定されている国保の広域化を見据える中で、保険料や財源も含めて、そのあり方を検討していく必要がございます。これらの独自施策につきましては、一定の段階で考え方を取りまとめ、国保運営協議会において審議していただくとともに、関係団体との話合いの場を持つ等、可能な限り丁寧な対応に努めてまいります。

次に自治条例です。

自治条例の地域コミュニティと自治では、市民は、地域のコミュニティを構成する一員として,お互い様の精神と対話の姿勢を持って、お互いにくらしやすい地域づくりに取り組むように努めるとしています。地域コミュニティの組織として市民活動団体への加入や活動に参加し、それぞれの能力をまちづくりに活かすよう努めるとなっています。市民活動団体はそれぞれの要求に基づいて組織されている団体がほとんどです。要求に基づき自主的に運営されている市民活動団体へまちづくりの責務を課すことは、組織の崩壊を招く恐れもあります。また市民活動団体の主要な団体として地域社協を想定されています。しかし市民の社協への組織率が3割台の地域も残されています。市は地域別予算制度の導入を計画されています。市民がひとしくまちづくりの推進を行っていかないと、地域別予算の実効性も保障されません。豊中市など多くの自治体では、地域におけるまちづくりを推進していくための組織として、自主的な自治協議会や自治推進委員会を設けています。

お尋ねします。市民の社協への加入率が低い地域がある中で、市民によるまちづくりの推進がひとしくできるとお考えでしょうか

市民がひとしく、まちづくりを進めていくためには、市民活動団体に頼るのではなく、自治協議会、あるいは自治推進委員会など独自の自治制度を検討する必要がないでしょうか。市長の見解をお聞かせください

答弁

社協への加入率にかかわらず、市内には、数多くの地縁団体やテーマ型団体による地域活動が展開されており、安心安全のまちづくりや身近な地域活動を支える市民運動推進協議会のほか、地区計画にかかるまちづくり協議会、社会福祉連絡協議会で行われている高齢者等見守り安心委員会や地域福祉会議、さらには、学校におけるPTA活動など、個別のテーマによって活動の母体や活動範囲が異なる団体が、地域でまちづくりに取り組んでいるところでございます。このような中で、本市において、今後の地域における自治のまちづくりを進めるに当たっては、こうした団体間のつながりをさらに深め、それぞれの持つ力が地域コミュニティに発揮されるような関係を築いていく必要があると考えております。そうしたことから、地域振興センター機能の再構築を図る中で、6地区ごとに、多様な主体が参画し、つながりを深められるような話し合いや交流などの場づくりや、地域の人材育成の支援、また、情報発信活動の支援など、様々な支援に努めてまいりたいと考えております。

 

市民の市政への積極的な参加は、市職員によるわかりやすく丁寧な説明と、市民の声を十分に聞く姿勢が欠かせません。職員の皆さんの能力が問われます。現在、施策の内容などを市民の皆さんに説明する市民説明会、市民の集まりに職員が出向き、市の現状や取り組みについて説明する市政出前講座、市民の多様な意見を公募する市民意見公募手続き・パブリックコメントなどがあります。

お尋ねします。市民説明会、出前講座など市民へのわかりやく丁寧な説明と市民の声を十分に聞くパブリックコメントを自治条例の中できちんと位置付ける必要があると考えますが市長の見解をお聞かせください

答弁

「尼崎市自治のまちづくり条例」は、本市を魅力的でくらしやすいまちにしていくため、本市における自治の基本理念をはじめ、各主体の役割などを示し、将来にわたり自治のまちづくりを進めていくための条例としたいと考えております。そのため、議員ご指摘の市民説明会や出前講座などの個々の事業について、具体的に定めることは考えておりません。しかしながら、ご質問のような各事業の取組につきましては、お示しした理念を共有し、行政としての説明責任を果たすことや、参画の機会づくりに努めるなかでは非常に重要なものであると考えておりますので、常に改善に努め、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

札幌市や熊本市など各地で自治条例のなかに公的オンブズマン制度が設けられています。

この制度は、市政に関する苦情を公平かつ中立的な立場で、簡易迅速に処理することにより、市民の権利と利益の保護を図り、市政に対する理解と信頼を高めるものです。具体的には、市政のことで困っている市民の申し立てを受付、苦情を調査し、市政の改善を図ることなどを目的とする制度です。行政の監視などのために任意に活動している民間オンブズマンとは異なります。

お尋ねします。公的オンブズマン制度等の新たな制度を検討したのでしょうか。お聞かせください

答弁

他都市において、公的オンブズマン制度等を条例に位置付けている例は承知いたしておりますが、本市におきましては、先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、本市における自治の基本理念や各主体の役割などを中心に条例案の策定作業を進めてきたところであり、公的オンブズマン制度などの具体的な方策を定めることについては考えておりません。

次に、子どもの人権と自治条例との関係です。

自治条例では、子どもは18歳未満の市民を言うとして、子どもは、社会の一員として年齢や成長に応じて、市政やまちづくりについての権利と責務を有するとしています。子どもの権利条約を基に、子どもの人権を定める、尼崎市子どもの育ち支援条例では、子どもの成長過程において、生きる、育つ、守られる、参加する権利といった子どもの人権が尊重されるとともに、多様な人々とのかかわりや様々な経験を重ねることにより、自分を大切にする心、他人を尊重する心、規範意識などがはぐくまれ、社会の一員として様々な責任を果たすことができる大人へと成長することととらえています。子どもの権利条約では、子どもは様々な権利を有しているとなっていますが、義務は「他の人に迷惑をかけてはならない」との規定しか見当たりません。

お尋ねします。自治条例の中での子どもの権利と責務について、市民検討会議での議論の中味と、なぜ子どもの責務をいれたのか、お聞かせください

答弁

市民懇話会におきましては、子どもの権利やそれを守るための方法などを中心に議論を行ってきたところでございます。そうしたなかで、子どもについてもひとりの市民として尊重されるとともに、何らかの責務もあるのではないかとの議論があり、子どもの育ち支援条例について参考としたところでございます。同条例第9条第1項におきましては、「子どもは、様々な責任を果たすことができる大人へと成長することができるよう、(中略)その年齢及び成長に応じ、学ぶこと及び主体的に考え行動することに努めなければならない」との規定もあることから、その趣旨も踏まえて、自治のまちづくり条例においても子どもの権利と責務について規定したところでございます。

この自治条例では、公職選挙法に定める尼崎市議会及び市長の選挙権を有する者は、将来にわたって市に重大な影響を及ぼすと考えられる事項に関し、その総数の6分の1以上の者の連署を持って、市長に対して住民投票の実施を請求することができる。市長は請求があったときには、住民投票を実施しなければならないと、常設型住民等投票を規定しています。住民投票には、有権者の50分の1以上の署名を集め市長へ請求し、これにより市長は住民投票を実施する条例案を市議会に提出し、可決されれば住民投票を実施する、条例の制定請求による個別型住民投票と、有権者の一定数以上の署名を集め市長に請求し、市長が条例に基づいて実施する常設型住民投票があります。この常設型住民投票は議会の議決を要しないで、実施できるもので、個別型に比べて時間を要しません。全国的には個別型住民投票制度が多数となっています。

お尋ねします。今回の自治条例で個別型住民投票ではなく、常設型住民投票としたのは、なぜでしょうか。市民検討会議ではどのような議論がされたのでしょうか。

質問

個別型ではなく常設型の住民投票としたのはなぜか。市民会議での議論の中身は。

答弁

行政運営に当たりましては、公選で選ばれた首長と議会の二元代表制により、それぞれの権能を発揮しながら進めていくことが原則であると考えております。しかしながら、その意思形成過程におきましては、様々な機会を設け、まちづくりの主体である市民の参画を得て、意見を聞きながら方針等に反映していくことが大切であると考えております。中でも市民生活に重大な影響を及ぼす事項につきましては、市民の一定程度の発議をもって、必要な時期に市民が直接意思表示を行える機会を担保しておくことが必要であるとの考えから、常設型の住民投票としているところでございます。また、市民懇話会では、地方自治法における「直接請求」などの既存の制度も含めた住民投票制度の内容について学ぶとともに、意見交換では、「どのようなことに直接意思表示をしたいか」や、「常設型住民投票のメリット・デメリット」、また「制度化するとした場合に必要な要件」について議論を行い、多様な意見をいただいたところでございます。

お尋ねします。自治条例の住民投票は有権者の6分の1の賛同が必要となっています。6分の1の判断基準はどこにおいているのでしょうか。市長の見解をお聞かせください

答弁

先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、行政運営に当たりましては、公選で選ばれた首長と議会の二元代表制により、それぞれの権能を発揮しながら進めていくことが原則であると考えております。そうしたなかで、参画の手段として住民が直接意思表示を行うに当たっては、相応のハードルを設ける必要があると考えており、市民懇話会の議論においても「制度の濫用を招く可能性」について意見があったところでございます。一方で、法律における事例として、「市町村の合併の特例等に関する法律」では、6分の1以上の連署をもって、協議会設置の是非を問う住民投票を請求した場合には、必ず住民投票を実施しなければならない、といった規定がございます。こうしたことも踏まえ、本市における発議権の設定においては、同法における規定と同様、公職選挙法上の選挙権を持つ者の6分の1以上の署名とすることが妥当であると考えたところでございます。

 

この自治条例の制定に向けて、市民検討会議やタウンミーティングなどが開催されてきました。自治条例に対する市民の意識の醸成は感じられず、市民的論議が十分にされているとは思いません。

尋ねします。自治条例を9月議会に提出を予定されています。もっと時間をかけて市民に内容を知らせ、意見を求め、十分な論議の時間を保障すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

本条例案の策定に当たりましては、平成25年度以降、市民懇話会やタウンミーティング、フォーラムなどを継続して開催し、多くの市民(のべ937名)の参画を得て、今後のまちづくりに必要な市民、行政の基本的な考え方や姿勢などについて、ともに学び、考え、意見交換を重ねてまいりました。こうした取り組みを経て、今後、条例案を上程する段階へと進めてまいりたいと考えているところでございます。今後も市民の皆さんに条例の内容をお知らせしていく努力を続けてまいりますとともに、条例案を策定する過程以上に、制定後の取組が大変重要でありますことから、学校教育や社会教育の場面なども含め、広く周知を図り、条例の趣旨について考える機会をつくっていくとともに、さらなる自治のまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

以上で第2問を終わります。

第3登檀

第3問は要望に留めておきます。

消費税増税について市長は今回も将来にわたり社会保障制度を安定的に運営していくためには消費税の増税は避けられないと述べられました。市長、消費税と社会保障の財源をリンクさせることはやめるべきです。消費税を上げることができなければ、社会保障を我慢せよということにつながるからです。財源は消費税だけではありません。所得税、法人税など様々な税金があります。第1問で指摘したような所得税の優遇税制、中小企業に比べて有利な大企業の優遇制度、タックスヘイブン・租税回避地を利用した課税逃れなどにメスを入れるだけでも、十分な財源が確保できることを指摘しておきます。

国民健康保険都道府県単位化についてです。答弁では、一般会計からの繰り入れ、結核・精神医療付加金、あんま・マッサージ・はり・きゅう施術費助成などは削減の方向でないかと強く感じました。この国保都道府県単位化に際して、厚生労働省は国保財政へ3400億円投入する。これは1人1万円の保険料引き下げ効果があると強調しています。現在の全国の市町村の一般会計からの法定外繰り入れ総額は3900億円にのぼっています。この総額3900億円の法定外繰り入れがなくなれば、国の3400億円投入の財政効果はなくなるどころか、マイナスの財政効果となってしまいます。この法定外繰り入れを維持していかないと国保料のアップにつながっていきます。市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、一般会計からの国保会計への繰り入れなど、独自事業の見直しを検討していくとしています。市民の切実な要求に基づいて行われている、いまの独自事業は継続することを重ねて要望しておきます。

自治条例についてです。市が検討されている自治条例について、様々な点から市長の見解をお聞きしてきましたが、私の腹に落ちる答弁となっていません。多くの市民の皆さんも同じ気持ちの方も多いと思います。市民的に議論をつくすほど、自治条例は市民に定着していきます。自治条例のような市政の基本的な考え方を決める条例は、時間をかけてじっくり議論していくことが必要です。市長、この自治条例案を、十分に時間をかけ、市民的な論議を行っていこうではありませんか。以上で私のすべての質問をおわります。ご清聴ありがとうございました