参政党のスパイ防止法 国民主権を守る民主的な運動を「国体」破壊の運動と決めつけ取り締まろうとの狙い

参政党がスパイ防止法に躍起になっています。
秋の臨時国会にむけ「スパイ防止法案」の提出を準備していると表明しました。法案の内容は検討中だといいます。
同党は参院選公約に「日本版『スパイ防止法』の制定」を掲げていました。
日曜討論でも梅村氏がそれについて言及していました。

同党や維新、国民民主などがあげるスパイ防止法には多くの懸念があります。

参政党・維新・国民民主の主張と懸念

参政党の神谷宗幣代表は「官僚や公務員の思想を洗い出す必要がある」と発言しており、思想統制につながる意図があるのではないかと受け止められています。

また、維新や国民民主も「諸外国並みのスパイ防止法を制定する」と公約に掲げていますが、報道の自由や市民活動への影響についての説明は不十分です。

彼らの主張からは、「国家秘密」や「スパイ行為」の範囲が広く不明確で、行政の恣意的な運用を許す可能性があります。
また、取材や市民活動が「スパイ行為」とみなされる恐れも。
憲法で保障された「知る権利」「表現の自由」が制限される可能性が高いと指摘されています。過去の1985年の法案では、報道関係者の通常の取材行為が処罰対象になる懸念がありました。

懲役5年〜10年など重い刑罰が検討されており、未遂や共謀、煽動まで処罰対象になる可能性があります。

参政党代表は「国体の破壊」や「天皇制の打破」などの思想に言及しており、思想統制につながる危険性があります。

1985年に自民党が提出した「国家秘密法案」は、言論の自由を脅かすとして廃案になりました。当時も統一教会系団体が法案推進に関与していたことから、思想的・宗教的な背景との関係性も注目されています

 
保守系の政党がこぞって「スパイ防止法」と言っているのなら、
保守系メディアもこぞって「スパイ防止法」の賛成記事を書いているか?
というと、そうではありません。

保守系メディアの報道傾向

  • 産経新聞は、参政党や国民民主の躍進を受けて「スパイ防止法が焦点に浮上」と報じていますが、法案の中身や言論統制の懸念にはほとんど触れていません。

  • 読売新聞は、中国の反スパイ法改正や邦人拘束事件に対する警戒感を強調していますが、「日本もスパイ防止法を制定すべき」と明言する論調は見られません。

つまり、保守系メディアでも安全保障の重要性を認めつつも、スパイ防止法の必要性については慎重な姿勢を保っているように見えます。

1985年の国家秘密法案の廃案という歴史的教訓があるため、報道機関は「言論の自由」への影響に敏感なのではないでしょうか。
また、法案の具体的な条文や運用設計が不透明な段階で賛成を表明することは、大手メディアとしては慎重になるのだと思います。

しかし、ネット上ではデータもエビデンスも一切不明なデマや陰謀論的な内容の、いわば「個人メディア」の記事や動画がいっぱい拡散されています。
あたかもそれが「正義」であるかのような誤解を与え、それがデマであったとしても処罰もされないという野放し状態であるということです。

日本共産党としては…

神谷氏は会見で「スパイ防止法で思想統制や思想のチェックをするつもりはない」としつつ、「昔、共産主義者がやっていた天皇制の打破とか国体の破壊とか、そういうことを言って実際に計画したり行動すること、もしくはそういう団体に情報を流すことに問題があり、それをチェックする法律をつくらなければならない」などと主張しました。

 「国体」とは戦前のような天皇絶対の国家体制を意味します。戦前の天皇制政府は、治安維持法などで、「国体」に反対する者に極刑(死刑)を科し、日本共産党などを徹底弾圧し、広く国民を監視して自由と民主主義を圧殺しました。この反省から、現行の日本国憲法には「思想・信条の自由」「表現の自由」などが規定されました。

 「スパイ防止法」制定を目指す参政党の方針は、国民主権を守る民主的な運動を「国体」破壊の運動と決めつけ取り締まろうとの狙いをうかがわせるもので、戦前回帰の極めて危険な道です。

7月24日しんぶん赤旗より一部引用
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik25/2025-07-24/2025072404_02_0.html