総括質疑
続いて、真崎一子が質問します。
2023年度の中学生の就学援助費は新入学用品費が、国の基準では6万3000円に。近隣都市では伊丹、宝塚、明石市は6万3000円、西宮市は6万円になりました。尼崎市は4万7400円のまま、その差は1万5600円です。
小学校は24年度から新入学用品費は、国の基準では5万7060円に。伊丹、宝塚、明石、西宮市は5万4060円です。ここでも、尼崎市は4万600円でありその差は1万3460円です。
私は昨年の9月議会で、新入学用品費を他都市並みに引き上げるべきと質問しました。教育委員会は「新入学学用品費は、児童生徒が新しい学校生活をスタートさせる際に、学用品等の調達の一助にしていただくもの。そのため、近年の物価高騰の傾向などから、設定金額の増額は必要であると考えている。しかしながら、設定金額には増額の予算措置が必要となるので、今後、関係部局と協議しながら設定金額の引き上げを検討していく」との答弁がありました。私は来年度の予算に当然反映されていると期待をしていました。ところが小中学校とも据え置きとなりました。
質問1:教育委員会は、設定金額の引き上げについて検討をされましたか。
その内容をお示しください。
答弁要旨
令和7年度の就学援助費のうち、新入学学用品費の予算につきましては、令和8年度新入生の入学前支給分について、近隣市の状況などを調査したうえで、小学校新入生は57,060円に、中学校新入生は63,000円になるよう、それぞれ増額を検討したところでございます。
以上
先日わが会派にメールがきました。内容の一部を紹介します。
「今年4月から小学校に入学する子どもがいる、ひとり親世帯の母です。就学援助制度のその1つである就学援助に係る小学校新入学用品費のことですが、我が家は本年度、支給認定を受けることができたのでとてもありがたく思っています。この話を伊丹市に住む親せきに話したら、伊丹市と尼崎市では金額が1万円以上違うと教えられました。
市のHPを確認したら尼崎市は4万600円、伊丹市は5万4060円でした。他の都市はどうなっているのだろうと西宮市も見てみました。伊丹市と同額です。
市の財政状況により変わるのは仕方ないことだと認識しておりますが、尼崎市だけなぜこのように異様に低額なのでしょうか。せめて隣の市と同じ額まで引き上げることは難しいのでしょうか。これからも尼崎で子育てをしていきたいです。よろしくお願いします。」という内容でした。
質問2:教育委員会はこのメールにどのように応えますか。
答弁要旨
教育委員会としましては、本市の新入学学用品費の設定金額が近隣市の額より低いという現状を重く受け止めており、今後も、本市の設定金額を近隣市並みに増額するために関係部局と協議を行い、できるだけ早期に取り組んでまいります。以上
2025年度入学する就学援助をうける準要保護の子どもは、小学1年は477人
中学1年生は639人です。国基準まで上げる場合、新入学用品費に1781万9820円の上乗せが必要です。
就学援助を必要とする子どもに小中学校入学用品費を国基準まで引き上げて、「ようこそ尼崎の公立学校へ」と一緒にお祝いの気持ちがあってもいいのではないでしょうか。子どもにとっては市の財源の問題は関係ありません、子どもの権利です。
本市は「だれも取り残さない」との方針を掲げているのに、経済的にしんどい家庭の子どもは、小学入学時から社会から置き去りにされているではありませんか。
次は、公立武庫幼稚園、園和北幼稚園のあり方について
代表質疑で川崎議員は「尼崎就学前教育ビジョン」(以後教育ビジョン)の廃園計画を中止して公立幼稚園を残すべきと質疑をしました。教育長は「教育ビジョンに基づき、9園のうち3園を廃園するとともに、残る6園のうち4園で3年保育等の充実策を実施することとした。幼稚園は、人格形成の基礎を培うとても大切な時期のため、適切な人数の中での保育が望ましいと考えており、丁寧に進めていく」と答弁されました。
共産党議員団は、廃園計画は中止をして公立幼稚園は残すべきと考えます。そうしなければ、障がい児やグレーゾーンの子どもたちや、民間幼稚園で費用負担に耐えられない子どもたちの行き場がなくなります。またインクルーシブ教育の推進の為にも公立幼稚園は必要であると考えるからです。
就学前教育というのは3歳児からです。公立幼稚園も3歳児から教育を積極的に行うのは当然のことです。そんな思いで今回、2年保育のまま運営される武庫幼稚園と園和北幼稚園についての質問をしたいと思います。
武庫幼稚園は、武庫中と武庫小が隣接し、法人保育園もある地域に位置する公立幼稚園です。7,8年前は150~140人を超す子どもの数でにぎわっていました。多くの親子の往来が日常で、地域コミュニティの拠点だったように思います。それがここ数年90~60人台に半減し、昨年には42人、今年4月の新入園児は27人全園で44人。1年前の教育ビジョン策定時に武庫幼稚園に話を聞きに行きました。職員は「これまで子育て支援事業を行ってきた。でも3歳児になったら他の幼稚園に入園し、4歳児の新入園につながらない」と残念そうでした。新入園幼児が年々減っている中、今でも市内でも多く特別支援が必要な幼児 (インクルーシブ教育)の受け入れを行っています。
質問4:なぜ、武庫幼稚園を3歳児からの受け入れをされなかったのか。インクルーシブ教育を提唱するのであれば、3歳児からの受け入れが最適ではありませんか。
答弁要旨
市立幼稚園では、未就園児を対象に体験保育等の子育て支援事業を実施しておりますが、事業に参加する保護者の中には、3歳児から市立幼稚園に入園したいと考えている方が多くおられます。また、3年間という長い期間、指導計画等に基づく集団保育を経験することは、子どもの育ちの視点からも良い影響があると考えられること等から、3年保育の実施自体は望ましいと考えております。
一方で、人材や財源に限りがあり、どうしても存続する全ての園では3年保育が実施できない状況にある中、少しでも幼児にとって望ましい状況になるよう検討した結果、武庫幼稚園については、近隣に私立幼稚園等の施設数が多く、3年保育を受ける環境が比較的整っていることから、全市的視野のもと現行維持の2年保育としたものでございます。(以上)
次に、(旧)園和幼稚園の廃止が議会に上がった時、保護者から「幼稚園残してほしい」いう運動が起った際、耐震化していた園和北幼稚園が残ることになりました。
そして今、地域の障がいを持つ子どもの保護者や園和北幼稚園を利用している保護者から「園和北を3年保育にしてほしい、橋を渡って園田幼稚園に行くのが困難」との声が上がっています。
園和北幼稚園は、以前は60人以上いた子どもの数が30人台まで減ってきています。今年の4月の新入園児は16人全園で34人。ここで3歳児保育をしなければ公立として生き残れません。
教育ビジョンでは、公立幼稚園は新入園幼児が3年連続して、定員の半数以下(4歳児の定員は30人)となった場合は原則として廃止するとしています。
質問5:この2つの幼稚園、 3歳児の受け入れが出来なければ、この先厳しい現実が待っているのではと危惧します。今からでも3歳児の受け入れは可能だと思います。
教育委員会の見解はいかがですか。
答弁要旨
先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、人材や財源には限りがあるため、地域ニーズ等を踏まえ、4園での3年保育実施としたものでございます。
しかしながら、これ以上園児数を減らさないという考えから、「尼崎市就学前教育ビジョン」において、3年保育を実施しない2園においても、インクルーシブ教育の充実や一時預かり事業の時間延長といった拡充策等を実施することといたしました。
今後も引き続き、6園全園において、市民が入園したいと思えるような魅力ある園づくりに全力で取り組んでまいります。以上
外国籍の子どもを含めた、インクルーシブ教育を行う役割を担っている公立幼稚園です。すべての幼稚園で3歳児保育を実践し、地元の小学校につなげる公立幼稚園は必要です。
加齢性難聴者の補聴器助成制度について
高齢者の健康と生活の質を高めるために、これまでも年金者組合の請願陳情を審議し、党議員団として繰り返し、難聴高齢者の補聴器購入費用助成制度(以下、助成制度という)の実施を求めてきました。今回はフレイル対策の観点からお聞きします。
国立長寿医療センターは「①70歳代の男性で1人/5人、女性で1人/10人が日常生活に支障をきたす難聴者。②年を重ねても維持されやすい知的な能力である知識力が、難聴がある場合に低下する。③「情報処理のスピード」は一般的に50歳中ごろ以降に低下を示すが、難聴のある場合はより急速に低下することがわかった。聴力は補聴器など活用すれば知的な能力の衰えを緩やかにすることができる。補聴器が難聴者の認知機能に役に立つのかについては、世界中で精力的な研究が行われている」と見解を述べています。
(資料をご覧ください)兵庫県が2023年に補聴器使用前後の社会参加について調査を行いました。その結果は自治会やボランテア、趣味・スポーツ等の活動すべてにおいて「変化なし」が多く。社会参加活動への意欲については「補聴器を使用したことで社会参加活動がしやすくなった」が最も多くありました。質問します。
質問6:国立長寿医療センターの研究報告・兵庫県が行った補聴器活用調査の結果についてどのような見解をお持ちですか。
答弁要旨
議員ご案内の国立長寿医療研究センターの発表における、「補聴器の使用が認知機能の低下を抑制する可能性」については、期待をもって注視しております。
一方、同センターの発表では、「補聴器が難聴者の認知機能維持に役立つかどうかは研究途上である」といった旨の見解もあり、「高齢難聴者に対する補聴器装着と認知機能低下との相関関係」に係る研究については、未だ結論が出ていない状況となっています。
また兵庫県の調査では、補聴器の使用が社会参加活動日数や活動意欲の維持に繋がった可能性が認められた一方で、「補聴器使用に違和感があり使用しなくなった」といった意見も報告されています。
これらを受け、本市としても、国に対して、全国市長会等を通して、「難聴と認知機能低下との関連性の究明」や「補聴器購入に対する助成制度創設」に係る要請を行っており、引き続き、国の対応を注視する中で、効果的な支援のあり方を研究して参ります。(以上)
私の友人Sさんは、75歳で訪問介護のヘルパーとある病院の役をしています。会議で人の話が聞き取りにくくなり仕事をやめるか、高価な補聴器を購入するか迷ったそうです。思い切って両耳で40万円の補聴器を購入しました。軽症から中等症で装着したため、最初からとっても馴染んでつけることができました。そして今も元気で社会活動やヘルパーの仕事に誇りをもって励んでいます。40万円する補聴器でも保証は5年間。働いているから買えたけど、年金暮らしならとても買える額ではありません。Sさんは「私が仕事や会議に出席できるのは補聴器のおかげ」といいます。
もう一つのケースを紹介します。
Kさんは75歳です。Sさんと同じ高価な補聴器で装着を試みました。重症の難聴で装着時に頭に突き刺さるような不快感があり、一定期間装着し続けなければならないのですが、苦痛に我慢できなくてあきらめました。装着には個人差が大きいようです。
兵庫県の「補聴器使用前後の社会参加についての調査」でも、補聴器に馴染むことができずに途中で辞退された方も多かったようです。人によって難聴の程度や体質にも個人差があったのではと思います。
兵庫県は一人2万円、400人限定で始めました。費用は800~1000万円の予算で出来ます。
質問7:この事業を実施するのになにが問題なのでしょうか。実施できない理由をお聞かせください。
答弁要旨
先程もこ答弁申し上げたとおり、「高齢難聴者に対する補聴器装着と認知機能低下との相関関係」については、期待をもって注視しておりますが、未だ研究途上です。こうした中で、本市独自で助成制度を設計するにあたっては、適切な政策効果の分析はもとより、助成する範囲や条件、継続して使用いただくための対策、さらには財政面についても十分考慮する必要がございます。
従いまして、現時点においては、市単独で助成制度を実施するのではなく、国に対して、「難聴と認知機能低下との関連性の究明」と合わせて、全国一律の「補聴器購入に対する助成制度創設」に係る要望を継続して参りたいと考えています。以上
難聴高齢者への助成制度に取り組む自治体が全国で広がっています。2021年には36自治体だったのが、24年5月の時点で286自治体に広がり、東京都では90%をこえる市区町村で実施しています。兵庫県では明石市や相生市をはじめとする14の自治体で助成が行われています。1年前と比べると倍増しすごい勢いで広がっています。
阪神間ではまだまだ普及していませんが、尼崎市が阪神間で一番に始めたら「高齢者を誰も取り残さない、孤立させない」街になるのではないでしょうか。先ほども言いましたが800~1000万円で出来る事業で、自治体として大きなアピールになります。
質問8:補聴器助成で、市民一人ひとりが生き生きと社会活動ができる、フレイル予防の一環としてでも、高齢者すべての人を対象にするのでなく、限定的でも実施するべきです。前向きの検討を要望します。いかがですか。
答弁要旨
繰り返しになりますが、「高齢難聴者に対する補聴器装着と認知機能低下との相関関係」については、未だ国において研究途上であり、こうした中、本市独自の政策効果の分析は困難です。
そのため、たとえ、限定的であったとしても、市が税を投入し補助制度を実施することには慎重であるべきものと考えております。以上
最後は地域クラブ活動の推進についてです。
本市の事業の目的は、「少子化や教員不足で競技種類の減少などにより、部活動での経験の機会が縮小している。尼崎市立中学校の生徒が、将来にわたってスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保するために、学校の部活動から地域移行を進める」とのことです。国が示すガイドラインに沿って原則すべての自治体で、地域移行を目指すものです。
尼崎市の場合直営地域クラブと認定地域クラブに移行をするとされています。
2025年度は、市内3地区(大庄・中央・小田)で先行的に直営地域クラブを設置するとしています。地域クラブの運営はスポーツ振興事業団(以後スポ振)が事務局となり、市との協働のもと、各地域クラブの統括や、指導者の研修、地域クラブの設置・認定等を行う。特に体罰等発生しないよう、指導者の質の確保、研修を徹底していくとあります。これまでスポ振は市民へのスポーツの振興や健康増進の推進に力を入れてきました。
質問9:地域クラブに対するスポ振の役割とはなにですか。
答弁要旨
スポーツ振興事業団は、市民のスポーツ活動や健康づくりを推進していく上での重要な市のパートナーです。子どもの多様なスポーツ活動等の機会確保を目的とした地域クラブ活動の取組におきましても、クラブの設置・運営や指導者の量と質の確保など、市と緊密に連携する中で、全体をコーディネートする運営主体としての役割を担っていくこととしております。以上
質問10:地域クラブへの教育委員会の果たす役割とはなんでしょうか。地域クラブは教育の一環として捉えるのでしょうか。教育委員会は具体的に何をするのですか。
答弁要旨
地域クラブ活動は、学校管理外の活動ではありますが、国において「学校部活動の教育的意義を継承・発展」するものとして位置付けられており、本市においても同様の認識のもとで取組を進めて参ります。
教育委員会といたしましては、活動場所となる学校施設の使用に関する調整や、学校現場と連携した広報支援の実施、指導者の量と質の確保に向けて、希望する教員が関わりやすい環境づくりなどを主導的に担ってまいります。以上
質問11:子どもの意見を聞いたということですが、この意見は計画にどう反映されていますか。
答弁要旨
地域クラブ活動に係る取組方針の策定にあたり実施した生徒アンケートでは、子どもたちが興味関心を持つ競技や活動が多岐にわたること、週3回程度の活動を希望する声が多いこと、自分にあった活動を選びたいという意向があることが明らかになりました。
これらを踏まえ、本市では、週3回程度の活動を基本とし、公費を投入して運営する「直営地域クラブ」と、より多様な活動が期待される民間や地域団体などによる「認定地域クラブ」の二本柱で取組を進めることとしております。以上
地域移行に際して、指導者の確保や質の保障、処遇については問題が山積されています。
教育委員会として、地域から出てくる要望に対してどのように応えるのか。どうかかわるのかが、問われています。
万全な準備と取り組み状況が、学校関係者、地域に共存され、様々な課題、問題解決に協働して取り組む体制構築が必要だと要望します。以上で、私のすべての質問を終わります。