日本共産党議員団の川崎敏美です。会派を代表して、2024年度予算並びに関連議案、施政方針についてお聞きします。
はじめに能登の能登半島の地震で被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げ、一刻も早い復興をお祈りします。
まず国政についてです。国民の暮らし破壊と大軍拡の2024年度予算が3月2日の土曜日に、衆議院本会議で可決されました。自民党派閥のウラ金事件をめぐり、国民の厳しい批判がわき起こる中、政治倫理審査会を開催したとはいえ政府・与党が説明責任を全く果たさないまま、予算だけは衆議院を通過させるという暴挙が行われました。私たちは今度の予算案については、過去最大規模の8兆円に迫る軍事費が突出しており、アメリカの世界戦略の一翼を担って敵基地攻撃能力の保有などを進めるもので、もはや日本国憲法と両立し得ない軍事最優先の予算だと批判しています。
【平和問題について】
2022年12月、私は松本市長に対して就任後初の代表質問を行いました。岸田政権の暮らし、憲法、平和を破壊する危険な大軍拡の動きについて、3つの問題を指摘しました。第1に「敵基地攻撃能力」を保有していく。第2に、軍事費を「5年間で総額43兆円」にする。第3に、その財源として「足らない部分は増税」などの指示を出したという問題でした。この道を進んでしまったら、暮らし、憲法、平和の3つが壊されてしまう。そこで質問は、「日本は法治国家であるのに、憲法を無視して戦争をする国づくりが、国会での議論もなしに決められることについて、市長はどう考えるのか」と聞きました。
市長の答弁は、「私自身、日本が過去に戦争の悲惨さを経験し、戦争による被害者を絶対に出さないと強く願う心と、大きく変化する日本をめぐる安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土・領空・領海を守るという政府が果たすべき大きな役割を想像する中で、一国民として、非常に揺れ動いているというのが率直な、見解です。」と述べ、「現時点では、政府・与党における議論の段階であると認識しており、まだまだ多くの論点があることから、今後、国会において丁寧な議論がなされることを期待しています。」と答弁されました。
その後1年余りの間に、ロシアによるウクライナ侵略は2年におよび、さらに昨年はイスラエルのガザ攻撃が世界の平和を脅かすようになっています。混迷を極めている国際情勢とともに、日本の戦争する国づくりへの暴走は歯止めがきかない状況となっており、市長の就任時よりまさに悪化していると思います。
Q1 こうした戦争する国づくりへの暴走に対して、改めて市長のお考えをお聞かせください。
答弁要旨
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、ガザ地区の危機など国際情勢は混迷を極め、収束の気配が見えない中、日々、人々の命と平和な暮らしが脅かされていることについて、大変心を痛めております。日本が過去に戦争の悲惨さを経験し、戦争による被害者を絶対に出さないと強く願う心と、大きく変化する国際情勢をめぐる安全保障の中で、様々な論点を踏まえた丁寧な議論がなされることを期待するという気持ちに変わりはございません。以上
尼崎市はこれまで、1957年「平和都市宣言」、1985年「核兵器廃絶平和都市宣言」に続き、2010年「核兵器の廃絶と恒久平和の実現を求める意見書」を議決しています。積極的に反核平和の誇りある態度を表明してきました。今後とも、松本市長もこの精神を引き継ぐ平和へのアピールを行なっていただきたいと思います。
【マイナンバー保険証について】
今年12月から予定されている、健康保険証廃止の問題についてです。政府は、マイナポイント付与というアメを使っても進まないマイナンバーカード普及に業を煮やして、紙の保険証廃止というムチのやり方を強引に進めました。昨年、医師の団体の、兵庫県保険医協会から「健康保険証の廃止反対について」の請願が出されました。
それは、利用率が一桁で低迷しているにも関わらず、県内6割以上の医療機関でマイナ保険証によるトラブルが起きている状況があり、これまでの保険証を廃止すれば、さらなる混乱を招くことを危惧したものでした。病院窓口でのカードの読取り機器の不具合によるトラブルのみならず、他人の医療情報が紐づけされ、誤った処方箋が発行される危険性、障害者や高齢者の利用に際し、施設の職員に情報管理の負担がのしかかる懸念など、このまま健康保険証廃止が強行されれば、大変な混乱状況が起きる危惧は全く払拭されていません。
また、マイナ保険証を持たない市民には、プッシュ型で「資格確認書」なるものを発行するとしています。マイナ保険証をもつ市民と、もたない市民との間で医療費の自己負担額に少額とはいえ差が設けられていることは、憲法で定める法の下の平等に反します。
本来、マイナンバーカードの取得は任意のはずです。これまで何ら問題がない紙の保険証をなくす必要性は全くありませんし、むしろ情報漏洩や窓口トラブルを抱えているマイナ保険証を強制することこそ道理がないと言わなければなりません。
Q.2 尼崎市民の2割を占める国民健康保険加入者がいる行政の長として、マイナ保険証を押し付ける国に対して、紙の保険証を残すべきと求めるべきと考えます。見解を求めます。
答弁要旨
国の法改正等により、健康保険証の廃止時期が、令和6年12月2日と定められたことから、同日以降は新規の保険証を発行することができなくなったものでございます。
健康保険証の廃止後は、保険証の利用登録がされたマイナンバーカードを持たない被保険者も保険診療を受けられるよう、資格確認に必要な事項を記載した資格確認書を職権により交付することとなっております。
これにより、全ての被保険者が、これまでどおり、必要な保険診療を受けていただくことができるものと認識しております。
そうしたことから、本市では国に対して、紙の保険証を残すように求める考えはございませんが、今後、必要な情報を被保険者の皆様に丁寧にお知らせし、健康保険証の廃止に伴う不安軽減に努めるとともに、国の方針に基づき、適切に対応してまいります。以上
【自治体のデジタル化 トランスフォーメーション】
自治体のデジタル化、トランスフォーメーションを実行していく上で、課題になるのが、国が示す標準化は全国共通のもので、自治体が独自に取り組んでいる国以上の施策については、それをシステムに反映していく費用は自治体の負担となることがいわれています。標準化については、市長は昨年国に対して国の費用負担等をふやす要望を直接されているということでした。なかなか国は各自治体の独自施策をこのシステムに組み込んでいくことに消極的だと思います。
Q .3具体的に尼崎では独自施策はどのようなものがあるのでしょうか。またその施策をシステムに取り込んでいくための費用について、試算されているのでしょうか.まだその域まで作業が進んでいないのであれば、この問題にどのように対処されているのでしょうか?
答弁要旨
自治体情報システム標準化の目的は、行政運営の効率化、住民サービス・利便性の向上、システム運用上の経費の削減に加え、システム統一により全国共通のサービスを迅速に各自治体へ展開できることとされています。
一方、例えば、国民健康保険における、あん摩、マッサージ、針、灸などの費用助成など、各自治体における条例を根拠とした助成制度などの独自施策については国の標準化の対象ではないことから、標準化に準拠したシステムと独立して動作するプログラムやシステムとのデータ連携などにより対応することとなります。
現時点においては、標準化に準拠したシステムへの対応状況を確認する作業を最優先で進めている段階であり、標準化の対象とならない独自施策などに係る経費までは試算できておらず、今後、精査が必要ですが、その対応に当たりましても、費用対効果の視点を十分に踏まえつつ、システム標準化を理由とした市民サービスの低下を招くことがないよう、引き続き着実に取組を進めてまいります。以上
【子ども子育てアクションプランについて】
子育て政策を思い切ってこの3年間で前進させるとの市長の決意が集められた「こども子育てアクションプラン」には、子育て政策を一気に前進させるために今後の3年間の計画を定め50億円を投資するとのことです。一定の評価が与えられると思います。
残念なのは、これまで市民が要求し、松本市長も公約として掲げてきた18歳までの子どもの医療費の完全無料化と、全国的にも進んでいる小中学生に対する給食の無償化の取り組みが、今年度の予算にも示されていない点です。
Q .4 所得制限をなくし、18歳までの子どもの医療費の完全無料化についての、具体的な計画を示してください。
答弁要旨
子どもの医療費助成の18歳までの拡充については、私が公約でお約束した「子育て支援のさらなる充実」を具現化するものとして位置付けた「あまがさき子ども子育てアクションプラン」にも記載しており、私の任期中に必ず拡充したいと考えています。
就任直後の令和5年度予算において、就学前の子ども医療費完全無償化を制度化しましたが、制度のスタートが令和5年7月からであったこともあり、更なる医療費助成の拡充に向けては、その効果を一旦確認・精査した上で、スケジュールや拡充内容などを検討していきたいと考えています。以上
Q .5 義務教育は無償とするとした憲法で保障された権利として、給食の無償化を進める努力を行っていただきたい、見解をお示しください。
答弁要旨
給食費の無償化については、本市の財政状況等を踏まえた責任ある検討が必要であると認識しており、財政運営方針で定めた収支均衡や適正な公債費水準等の財政運営の考え方、子育て支援策のきめ細やかさとの両立の可否、さらにはその施策効果などについて、丁寧な研究・検討が求められるものと考えています。
まずは、任期内に実現することをお約束した「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」に盛り込んだ、3つの観点からの負担軽減策を実現していくことを目下の目標としつつ、給食費の無償化についても、排除はせずに、もう少し長い視野を持って検討していきたいと思います。以上
【保育所の民間移管について】
神戸新聞が川西市にある社会福祉法人「光会」の不祥事をこの2月3日に報道したことにより、激震が起こりました。この法人は南武庫之荘保育所の民間移管を受けたところで、この4月から正式に運営を引き継ぐということになっていたからです。
神戸新聞の記事は、昨年12月に川西市が施設に18件の行為(例えば、保育士が園児に勉強嫌いは将来、肉体労働やなと話したり、理事長が保護者に、好きじゃない子は放っておくとの発言。決まった時間以外にトイレに行かせなかった。園児の容姿や雰囲気からあだ名をつけて呼ぶ)等、について不適切であると判断し改善勧告を行った、それ以前にも指導を行ったが対応が不十分だったため勧告となったということです。
議員団としても早速、川西に行き、もと保育士であった議員から聞き取りを行ってきました。この法人は過去にも2004年、児童に対する不適切保育や保育実施義務不履行で、保護者らから裁判に訴えられ、最高裁まで上告された事件を抱えていたということも聞きました。また以前から、保育士が頻繁に変わるなど川西の保育関係者には問題ありの保育園であると知られていたようです。
市は今回の報道があって、初めてこの川西市の改善勧告の事実を知ったということでした。私が疑問に思ったのは、裁判まで訴えられていたという事実を、南武庫之荘保育所の民間移管先を決める選定委員会(3年前?)では資料として出されていなかったという問題です。2022年8月の「第4次保育環境改善及び民間移管計画における南武庫之荘保育所の移管を受ける社会福祉法人の決定について」という文書の中で、選定委員会がこの法人を選定した理由が述べられています。「応募法人の中で、これまでの公立保育所運営・保育内容を継承しつつ、子どもたちのより良い成長のために保護者との意思疎通に努め、安定的・継続的な保育所運営を行い、児童・保護者・地域等と信頼関係の維持・向上ができる最も優良な法人であるため」とあります。当時の選定委員会での審議がどうであったのか、改めて問い直さなければならないと思います。
民間移管先も公共サービスの担い手として、次のようなことが求められています。公共サービスは、国民住民の基本的人権の保障を担うものであり、法令を遵守して行わなければなりません。したがって公共サービスを狙おうとする事業者については、過去の事故歴・不法行為歴・違法行為歴が開示され、十分に審査されるべきです。問題があれば公共サービスの担い手とされるべきではありません。
南武庫之荘保育所では、この法人による4月からの本格的稼働に向けて、23年度内までは引き継ぎ保育がおこなわれています。移管先が今後どのような保育を実施するのか、市がどのような指導監督ができるのかが問われています。市は当面の対応について、2回の保護者説明会開催や4月からの見守り保育の強化、三者協議会の充実などと議会に報告をしています。しかし、市の対策はいずれも対処療法で今回の衝撃を払拭できるものではないと感じています。
Q .6 お尋ねします。民間移管のルールを改正すべきです。まずは選定委員会のあり方、民間移管以降守るべき条項に違反した際には強い罰則を作るべきです。抜本的な対策を求めます。
答弁要旨
この度、南武庫之荘保育所の民間移管法人が川西市から改善勧告を受けたとの報道に関して、現在、南武庫之荘保育所に通所されている保護者及びこの4月に新たに入所される保護者の方々に対しまして、御不安と御心配をおかけしておりますこと、まずはお詫び申し上げます。
この移管法人につきましては、条例に基づき設置し、学識経験者、市民団体の代表や移管保育所の保護者代表から構成する第三者機関である「移管法人選定委員会」の審議を経て、移管法人として選定しておりますが、今回の事例を踏まえ、今後の公立保育所の民間移管に係る法人選定に当たり、応募法人が過去に受けた行政指導や行政処分の取扱事例、さらには選定の取消事由について、他都市での取扱い事例も参考にしながら、早急に検討をして参ります。以上
【不登校対策について、その要因について】
子どもの権利条約の批准から、今年で30年を迎えます。しかし、日本政府は権利条約の実施に全く無関心の姿勢を取り続けています。いじめ、不登校は増加傾向を続け、日本の子どもたちの自己肯定感は、国際比較で顕著に低く、10代の自殺率の高さは世界の中で際立っています。日本の子どもたちが強いストレス状態にあることを示しています。国連子どもの権利委員会は、「過度の競争的な教育システムが子どもの発達に障がい」をもたらしているとの勧告を日本政府に繰り返していますが、政府は「拘束力はない」などと聞く耳を持ちません。それどころか自民党政治は教育基本法を改悪し、全国学力テスト体制を押し付け、教育を数値で評価し競わせ、学校と子どもたちを競争教育へと駆り立てています。その結果教育の自主性を損ない、上からの締め付けを強化し、学校をさらに息苦しい場にしています。
本市の不登校児童生徒の状況は、2018年度は小中学校合わせて674人、20年度は807人、22年度では1352人、わずか5年間で2倍以上と増加の一途をたどっています。全国的にも尼崎市は不登校児童生徒が多いのが特徴です。今後も増加傾向は続く見通しとしています。不登校の原因は何か、様々な要因が考えられると思います。その中でも、私は競争教育の弊害という問題が大きな壁となっているのではないかと思っています。子どもたちを学力競争に追いやる全国学力テスト、あまがさきステップアップ事業は中止すべきだと思います。そして子どもたちの人間として生きる力が育まれる教育の充実を求めるものです。
Q.7 過度の競争教育が子どもの学びたいという意欲を阻害し、多くの不登校状態を引き起こしているのではないかと思いますが、見解はいかがですか?
答弁要旨
全国学力・学習状況調査やあまっ子ステップ・アップ調査は、児童生徒の一人ひとりの学力を競うものではなく、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析するとともに、学力向上の取組の成果や課題を検証し、その改善を図るために実施しております。
その結果については、児童生徒の学習のつまずきを把握し、その解消を図るとともに児童生徒の学びたいという意欲を大切にした授業を目指す教員の授業力の向上に活かしていくものであると考えております。
しかしながら、議員ご指摘のように全国的にも不登校児童生徒数は、増加の傾向にあり、本市はそれを上回って増加しております。不登校の要因は、本人・家庭・学校・社会環境等、様々な要因が複合的に重なり合っているため、増加の要因を特定することは難しいと考えておりますが、教育委員会といたしましては、各学校において、子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合う支援を行うとともに、その個性や特性を理解し、ほっとすてっぷやサテライト教室など一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援にも取組んでまいりました。
令和6年度から新たな取組として、教室での学びにしんどさを抱える児童生徒の居場所・回避場所となる「校内サポートルーム・エリア」の環境整備を進め、児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう努めてまいります。以上
【障害者施策の見直しについて】
障害者に優しいまちづくりについてです.
私は2019年6月議会で、『障害者権利条約のなかで示されている「合理的配慮をおこなわないことは差別である」との考えこそ、全庁に徹底すべきである』と質問しました。市は、「不当な差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」については、障害者差別解消法において、行政機関の法的義務となっており、職員対応要領を通じて、全職員に周知徹底を図っていかなければなりません。と答弁されました。
この質問から5年経ちましたが、障がい者施策は前進しているのでしょうか。
一例として、以前私が一般質問で取り上げた、障害者の【タクシーチケット】問題についてです。前年度タクシーチケットを受け取った人は、次の年もほとんどが継続して利用されています。大阪市などは、チケットを郵送しているのに、尼崎市では市役所まで足を運んでこれを受け取りに行っています。中にはタクシーチケットを受け取るためにタクシーを使う人もいます。郵送しない市の言い分は、タクシーチケットをもらえる条件が変わる人がいるので、それを確認するために市役所に来てもらうということでした。こうした対応は未だに変わっていません。
障害者の生活と権利を守る尼崎連絡協議会が、毎年市に対する統一要求書を提出し、市当局との懇談会を行っています。昨年12月私もその場に同行してこの団体と市のやりとりを聞かせてもらいました。何年も続けて要望している項目があまりにも多いことに驚きました。
要望の中に、移動支援事業についての項目がたくさんありました。あえてすべての要望を紹介します。『①8時間をこえる支援を実施した場合も、その時間に応じた報酬を。②早朝、夜間加算の設定を。③通勤、通学、日中事業所への通所、退所についても、緊急時だけでなく、日常的に移動支援が利用できるように、柔軟な対応を。④家族の状況など必要に応じて幼児期の障害児にも移動支援の利用を認めてほしい。⑤児童、65歳以上の高齢者についても、18歳以上65歳未満の障害者と同等の報酬としてほしい。』などです。移動支援事業についてのこれらの要望は過度なものなのでしょうか?障がい者の皆さんにとっては日常を安全に過ごしていくためには、私にはごく当たり前の要望だと思えました。市の担当者の受け答えの中でも、障害者の皆さんにとって、切実な要望であることは、わかっているけど現状対応できないからということも見て取れました。確かに予算の問題とか法的な規制や制度があるからすぐに改善や要望を満たすことはできないとの状況があるのは理解できます。しかし、国や県が制度を変える、大幅な予算増がもたらされない限り、いつまでも据え置きされるということは不合理です。
もう一点、気になるやりとりがありました。『日常生活用具給付等事業について、おむつの支給券をおしりふきもセットとして位置付けてほしい。』といったものです。柔軟な対応がなぜできないのかといった問題でした。市の本気の姿勢、取り組みを見せてほしいと思います。要望に対してできない理由を述べるのではなく、こうした点で改善を図ったということを懇談会ではもっと増やしてほしいと思います。
Q .8 お尋ねします。障がい者に寄り添う行政運営について、市長の考えをお示しください。
答弁要旨
障害者施策については、歴史的には、行政の支援体制が手薄な時代から、当事者や支援者が施策の充実に向けて引っ張り、行政を動かしてきた分野だと理解をしています。
市長として、そうした歴史を謙虚に受け止めた上で、当事者に寄り添い、できるだけ、きめ細やかに支援をしていくことを重視した政策運営を行っていきたいと思っています。こうした視点から、2月には、障害者施策を担っている事業者の皆様との車座集会を開催したり、各施設を訪問したりしたところです。
一方、行政の世界では、「神は細部に宿る」とも言われています。一見、「不可能」と思われるようなことも、制度の運用次第で「可能」となる場合もあります。
私自身が、できるだけ、個別の訴えを聞く努力を継続しつつ、制度の中で、どういった工夫が可能なのかなど、担当部局としっかりと議論を行い、必要な見直しを行うなど、一人ひとりの課題に寄り添った対応を心がけてまいります。以上
また、毎年予算編成においては全てをゼロベースから見直し、スクラップ・アンド・ビルドで対応するということが基本方針となっています。しかし課によってはこれらの対策が困難で、前年とほとんど変わらない硬直した予算となっているのではないでしょうか。
Q.9 市民の要望に積極的に応えていく対策として、一定の資金を財政調整基金から運用する制度を考えるとか、特別の対策を講じてほしいと思うのですが、検討される考えはありませんか?
答弁要旨
本来、財政調整基金の役割は、経済の不況等による大幅な税収減や災害発生等による支出の増加など、予期せぬ事態に対応するための基金です。従いまして、議員ご要望のソフト事業など継続的な事業に活用される財源には適さないものと考えています。こうしたことから新たな政策、とりわけソフト事業を実施するに当たっては、既存事業の実施手法の再検討、事業の廃止や大幅な縮小など、抜本的な見直しを進めるといったスクラップ&ビルドのほか、決算剰余を活用した市債の早期償還による公債費の低減などの手法により全庁的に財源を確保した上で、優先度の高い市民サービス向上に向けた政策の実施に努めていきます。以上
【高齢者の住宅問題について】
次に高齢者の住宅問題についてです。
住宅街は古いアパートや文化住宅が取り壊され、新しい戸建て住宅・マンションが建設されています。そんな古い住宅に住んでいるのはほとんどが高齢者です。最近、複数の高齢者から市営住宅に入れないかと相談を受けました。85歳の男性は年金が月5万円しかありません、5万の家賃を支払って、生活費はたくわえを取り崩す生活、その方は80歳まで仕事をしていました。もう一人の相談者94歳の方は生活保護を受けています。足腰は弱くなっていますが、気持ちがしっかりされている方で、ケア付き高齢者住宅は入りたくないと一人暮らしを望んでいます。お二人とも古い住宅を取り壊すからと退去を迫られています。かといって、火の元が不安、孤独死が心配、バリアフリーなら家賃が高いと、様々な不安材料から民間の住まいがなかなか見つからないということです。市営住宅や県営住宅にも、応募していますが当選しません。このような高齢者はたくさんいらっしゃると思います。
市は来年度予算で、子育て世帯の市営住宅10戸を利便性がいい場所に優先枠で設けるとしています。それを否定するものではありません。だれもとりのこさない町というのであれば、高齢者の住まいについても目を向け、制度の充実を行うべきではないでしょうか。
Q .10 低所得高齢者の住居補助制度の充実、高齢者のための市営住宅を増やすことが求められています。市の考えはいかがですか?
答弁要旨
日常生活に支障のある高齢者の方が、住み慣れた自宅で、安全に自立した生活を送るための相談、手すりの取付けなど自宅改修費用の助成事業を現在も実施しており、これらは、市営住宅においても実施が可能です。
また、市営住宅については、高齢者が入居しやすいよう、抽選時の優先入居枠の設定、高齢者のみが申込みできる部屋を設けるなどの取組も行っています。加えて、昨年9月より、定期募集で入居者のなかった部屋については、常時募集にするなど、高齢者などが入居できる機会の拡充にも努めています。
市営住宅の管理戸数については、今後の持続可能な管理運営の観点から、削減することとしていますが、低所得者の方々の大切なセーフティネット機能でもありますので、こういった機能については、引き続き、維持できるように留意してまいります。以上
【地域経済の活性化について】
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、2類から5類に移行し、徐々にコロナ前の日常生活を取り戻しつつありますが、現下のコロナ感染の広がりは決して油断できません。
新型コロナ禍によって、わが国の医療保険体制の脆弱性が露呈され、医療福祉労働者に多くの負担がかかったと同時に、地域で営々と商売をする市民も計り知れない甚大な影響を受けました。飲食・製造・サービスをはじめとした地域の中小業者は地域経済の主役です。コロナ禍による地域経済への影響を行政としても調査し把握する必要があると思います。
コロナ禍に追い打ちをかけるように、未曽有の物価高騰が地域経済に暗い影を落としています。日経平均はバブル後最高値を更新といった、一見日本経済が回復しているかのようにマスコミは報道していますが、原材料高騰や人手不足、消費税インボイス制度強行など中小業者を取り巻く環境は景気回復とは無縁です。
市はこれまで、地域通貨あま咲きコインを活用した市内小売業者に対する施策を行ってきました。
次は、市民と建設業者、小売店舗が潤う「商店リニューアル助成事業」「住宅リフォーム助成制度」などの思い切った地域経済活性化の施策を講じるべきです。
高崎市の「住環境改善助成事業」は、市民が市内業者に住宅の修繕や改修工事を依頼すると、助成金として工事に要した費用の30%、上限20万円を支給し、間接的に市内中小企業・業者を支援する制度です。同時に既存住宅の長寿命化や住環境の改善を図ることを目的としています。エアコンや給湯器、便器などの製品単体の購入は対象外ですが、外壁や屋根の塗装などの外装工事、浴室やキッチンなどの水回り改修工事、壁紙の張替えや障子ふすま、畳の取り替えなど、非常に多くの種類の工事が助成対象になっています。
ここでの2022年度の予算規模は、当初予算で申請は500件の見込みで1億円でしたが、申込が多く補正予算5千万円を足して1億5千万円、805件の申請となっています。この事業の総工事費951,051千円で、予算額の6倍以上の経済流通となっています。
当初は、東日本大震災の影響で業績が落ち込む市内中小企業の支援事業として創設され、3年間実施して、その後継続するかどうかを検討するということでしたが、市民からの継続の要望が強く13年も続いているということです。
このように、地域経済活性化に有効な住宅リフォーム助成制度創設の我が会派の要望に対し当局は、昨年の12月議会での山本議員の質問に、「本市では空き家対策をしているから」実施しないなどと答弁しています。筋の通らない詭弁だと言わなければなりません。また、経済的な効果は期待できないと決めつけて、これらの事業の実施に背を向けてきました。高崎市の例では6倍の経済効果が現れています、実際は消費財の購入を含めるともっと高い効果が生まれています。
Q .11 市内循環型経済を発展させる一助として、商店リニューアル助成事業や、住宅リフォーム助成制度の実施について再考を求めます、いかがでしょうか?
答弁要旨
ご提案の「商店リニューアル助成制度」は、助成がなくともいずれ実施されるであろう店舗改修を前倒しして行うものであり、新たなリニューアル需要を生むものではないことから、本市としましては、地域経済効果や省エネ効果を考えますと、小売店舗等については、市内事業者による簡易省エネ診断から設備導入までを補助する「脱炭素化設備等導入促進支援事業」、商店街活性化につながる「空き店舗改修」を優先することが望ましいと考えています。
次に住宅についてですが、本市には、約8,000戸の空き家があり、他都市に比べ空き家が多いという事実があり、都市活性化上の課題にもなっています。このため、居住中の住宅への「エコリフォーム助成」ではなく、活用可能な空き家の利活用を促進することで、本市が抱える空き家問題と地域経済活性化を同時に解決できることから、「空き家改修助成」を開始したものです。
このような小売店舗、空き家の対応により、地域経済の活性化に寄与していきたいと考えています。
以上
以上で第一問を終わります。
第二登壇
【公共調達基本条例の見直しについて】
2008年、議員提案によって「尼崎市における公共事業及び公契約のあり方に関する基本条例」が提出され、約8年の議論を経て、ようやく2016年公共調達基本条例が尼崎では制定されました。もっと早く制定されていれば、日本で一番の条例を制定した市として名を残すことができたのにと、提案議員の一人からよく聞かされました。しかし残念なことはそれだけではありません、尼崎のこの条例には、賃金条項が盛り込まれませんでした。第1条で「この条例は公共調達に関する基本方針を定め、市長等および受注者等の責務を明らかにするとともに、公共調達に関する基本的な事項を定めることにより、これらに基づく公共調達に関する取り組みを推進し、もって地域経済の持続的な発展及び市民福祉の増進に寄与することを目的とする」とあります。その逐条解説にもこの条文の制定の背景として「事務事業のアウトソーシングを今後も推進して行くにあたり、公共調達にかかる業務の適正な履行及びその質の確保を図るため、公共調達に係る業務に従事する労働者が労働関係法令の遵守された環境で働けるよう発注者として勤める責務がある」とされています。そして、この条例では契約者から労働関係法令やその他の労働、雇用または社会保険に関する法令の遵守状況の報告と説明責任を求める、規定、違反があったときのその後の手続きについても定めています。しかし公契約のもとで働く労働者の賃金条項、違反した際の罰則規定の定めがないことから、真に公契約のもとで働く労働者の権利が守られているかというと、そこには疑義が生じる余地が残されています、この条例の課題だと思います。
Q .12 市長は公共調達基本条例の課題について、どのような認識をお持ちでしょうか?
Q 13 .公共調達基本条例が2016年に制定(施行2018年)されてから、8年が経過、賃金条項を盛り込んだ検討を含め、この条例の見直しを行うことについてどう考えますか?
答弁要旨
尼崎市公共調達基本条例では、4つの基本方針を掲げ、この方針に基づき、より市内事業者への受注機会が増えるような指名選定や、社会的課題の解決に取り組む市内工事事業者の優遇、一定金額以上の契約に対する労働関係法令の遵守状況を確認するための報告書の提出などの取組を推進しています。
議員が課題とされている賃金についても、事業者から提出された労働関係法令の遵守状況を確認するための報告書を見る限り、業務に従事する労働者の最低の賃金単価は年々、確実に上昇してきています。また、条例に違反した際の定めについては、違反事業者名の公表や入札参加停止措置などを盛り込んでいるところです。
なお、賃金を含む労働条件の改善についてメッセージを出していくことは、政治の大切な役割と考えますが、例えば、労働基準法や最低賃金法に定める労働条件を超えた部分について、労働関係法令ではなく、公共調達基本条例という別の手段によって事実上制約していくことは、労働者、使用者、政府の代表からなる三者構成によって、労働基準等に関する合意形成を図ることを基本理念とする、例えばILO国際労働機関や国の労働政策審議会における考え方と異なるものであり、行政の在り方として慎重に考えなければならないものと認識しています。以上
高知市の公共調達条例には、労働報酬下限額の規定があり、今年1月に49の職種について新たな下限額が定められています。同様に、東京杉並区では今年2月に、51の職種について新たな下限額が定められています。これらの自治体では物価高騰に対応した賃金が公契約のもとで働く労働者のために、定められていると思います。では尼崎市ではどうでしょうか、何年も賃金が全く同じ状況がずっと続いているのではないでしょうか。そこで働く労働者の賃金が何年も変わらないということになっているのであれば、この条例の役割が果たされていないということになるのではないでしょうか。地域経済の発展により積極的に寄与していく条例改正が必要となっているのでありませんか。
【災害対策について】
能登半島地震を受けて、尼崎市は救命活動、倒壊診断、避難所支援、上水道の調査等、職員を派遣しました。現地へ行かれた職員の皆さんに敬意を表するとともに、当局の素早い対応に感謝申し上げます。
石川県は「平成の大合併」などの影響をうけ、自治体の力が弱くなっていました。能登半島の地理的な特徴もあり、災害直後の被害状況の把握が困難でした。道路が徹底的に寸断され、自動車がつかえない場合はどう対応するのか。孤立集落が多数発生し何週間も物資が届けられない状況がありました。食糧や水、トイレの供給が遅れ人々の暮らしが破壊されました。1か月たってやっと仮設住宅が供給されつつありますが、希望者8000件に対し、300戸ほどの供給ではまだまだ圧倒的に不足しています。
石川県地域防災計画が1997年当時の想定から見直しがされていなかったことが明らかになりました。能登半島では2007年にも震度6強を観測する地震が起きているにも関わらず、防災計画の見直しができていなかったことは問題です。
石川県災害危機管理アドバイザーを務める、室崎益輝神戸大学名誉教授は「阪神淡路大震災を受けて作られた計画の見直しを提案してきましたが、政府の地震調査委員会による長期評価の結果を待つ形となり、20数年見直しが進んでいなかった。悔やまれるのは地域の高齢化や過疎化といった社会情勢の変化を反映できていなかったことです」と言われています。
尼崎市の防災計画は毎年度、見直しがされています。その中で気になるのが、自治体力は弱まっていないか?つまり職員のマンパワーが発揮できるのかという問題です。今の職員数で大災害時に救出、瓦礫処理、道路の補修、避難所の管理運営等、担当する局が複数の救援をできるのか?
また総務省消防庁が1月23日「23年度版消防白書」を公表しました。非常時でも自治体が業務を続けるうえで特に必要な6要素すべてを網羅した業務継続計画(BCP)を作っている自治体は4割だということです。その項目は①市長不在時の明確な代行順位や職員の参集体制 ➁本庁舎が使えなくなった時の代替え庁舎の特定は? ③電気、水、食料品の確保は? ④災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保は? ⑤重要なデーターのバックアップは? ⑥非常時優先業務の整理、です。尼崎市はこの計画をつくっているのでしょうか。しっかりとしたチェックが必要だと思います。
Q 14 本市は自治体職員を減らしてきたことによる、影響をどう考えているのか?また災害時に万全な体制をとっていくための方策について、どのように対応していくのですか。
答弁要旨
本市における防災体制につきましては、平成30年の台風21号での災害対応を教訓に、防災体制や配備指令等の見直しを行い、地域防災計画で定められている業務を遂行するため、’各局長が、災害状況に応じて、自らの権限において、柔軟に配備体制を敷くことで、限られた人員で、的確に災害対応できる体制を構築しています。
さらには、職員の参集状況や被害状況等について一元管理を行い、リアルタイムで状況を全庁的に共有できる災害マネジメントシステムを導入し、効率的な情報収集体制の構築を行うとともに、職員研修や訓練を通じて、職員のスキルアップを図る取組みを行っています。
引き続き、様々な想定のもと、迅速かつ的確に災害対応が行えるよう、体制整備に努めていくとともに、大規模災害時には、被災市のみで対応することが困難なことから、応援協定などを活用しながら、市民の生命と財産を守ることを最優先に対応してまいります。以上
自治体職員を減らしてきた、その一つが、じんかい収集の見直しです。
25年4月から市内で排出される一般家庭ごみの収集運搬業務について、委託範囲をみなおす。より効率的な業務執行体制の構築を図る」というものです。現在の市直営24%、民間委託76%を、直営15%、委託を85%にする。直営車両22台から17台とし5台を減車する。市直営の正規職員を20名減らす。というものです。
東日本大震災時、被災地支援に往来する、じんかい収集車で高速道路がいっぱいだったという語り草があります。災害時の対応、また他市への応援体制が市直営15%でできるのでしょうか。被災地支援や本市の有事に市民生活を守り、復興へと導くためにゴミの撤去は重要です。まさしく市民の奉仕者として公共の役割が問われるべき業務です。
じんかい収集を民間移管するようになった当初、4割は公共で残すということを尼崎市職労との間でやりとりしていたのではなかったでしょうか。
Q 15 塵芥収集の公的サービスを後退させることは、本来の災害対策の取り組みとしてあるべき姿に逆行していると思いますが、市の見解は?
答弁要旨
災害時におきましては、市は避難者を含む住民の日常ごみに加え、多量に発生する災害がれきの処理を行う必要がありますが、被災市のみの能力で行うことが困難である中、全国の自治体が現地に応援職員を派遣し、処理することになります。
尼崎市災害廃棄物処理計画においても、県、廃棄物事業者団体、さらには、関西広域連合や国に協力を仰ぎ、広域連携体制のもと支援を受け処理を行う計画となっており、大規模災害時には、市職員は直接、廃棄物の処理を行うことよりも、受援体制の構築や応援者への指示が重要な役割となります。
そのためには、市域の実情をよく知る職員の存在は重要であり、必要最小限の人員・機材の精査を行った上で、これまでの知識・技術を継承した直営体制を保持することが、じんかい収集における災害への備えだとの考えのもと、取組を進めているところです。以上
さらに、下水道業務の見直しについてです。
能登半島地震では上下水道が破壊され、住民は水が使えずトイレの使用、入浴、食料等インフラの改修に苦労されています。いまだ上下水道が使えない状況が人々の命と健康が維持できない、故郷に住めない状況に追い込んでいます。
そんな中で、2024年度本市の公営企業会計下水道事業は、ウォーターPPPの導入調査、東部雨水ポンプ場の建替えをPPP/PFIを検討し、長期契約性能発注、官民連携での下水道の維持管理と更新を一体的にマネジメントする方式で民間活用を積極的に推し進めるというものです。国はさらに財政支援として、地方自治体が民間事業者から受け取る運営権の対価を利用して、上下水道事業の財源として発行していた地方債の元本を一括繰り上げ返済する際には、国に支払うはずの利息を返済済み分は除いて全面免除できる特例を設けています。このことは期限を区切って水道民営化を国が強引に推し進めるということになります。
市民は阪神大震災そして4年前の台風21号時の停電と断水を経験しました。そして今回の能登半島地震です。水は命の源であることを肝に銘じています。下水道の建設、運営・維持管理は民間丸なげではなく、公共の果たす役割こそ強化すべきです。
Q.16下水道事業、東部雨水ポンプ場の建設、維持管理は公共が行うべきと考えます。当局の考えをお示しください。
答弁要旨
現在、本市の下水道事業におきましては、経験豊富な技術職員の減少や老朽化施設の急増、将来投資額の縮減などの課題を抱えていることから、「ウォーター一一PPP」をはじめとする官民連携により、こうした課題の解決を図っていく必要があります。
特に、下水道事業における「ウォーターPPP」の導入につきましては、今後、下水道管の改築の国庫補助事業の採択要件となることから、維持管理と改築更新の一体マネジメント方式の検討を進めてまいります。
また、東部雨水ポンプ場の建替えにつきましても、市の方針に基づき、 「PPP/PFI手法」を検討します。
今後とも民間事業者との連携・協力体制を構築することにより、迅速に緊急措置や応急復旧を実施し、早期の機能回復を図り、市民の皆様に安全・安心な下水道サービスの提供が維持できるよう、努めてまいります。以上
【体育館の断熱化・空調設備について】
昨年の夏は平均気温が1898年の統計開始以来最高を記録するなど、学校体育館への空調設備が改めて緊急課題となっています。また頻発する豪雨災害や能登半島地震など、学校体育館は指定避難所として活用されることからも空調設置が急がれるところです。自治体が設置する場合、国からの財政支援には文科省の学校施設環境改善交付金(ここでは断熱対策を実施しているところが対象)や、総務省の緊急防災・減災事業債があります。こうした国からの財政支援を活用して、早期に体育館の空調設置を行うべきだと思います。具体的な計画をつくるべきではないでしょうか。
Q.17 体育館の断熱化・空調整備をすすめる計画を、来年度あらためて実施する考えはありませんか?
答弁要旨
体育館の断熱化・空調整備につきましては、児童生徒の熱中症対策や災害対応の観点からも、その必要性を認識しておりますが、本市は学校数が多く、その整備や維持管理には大きな財政支出が伴う、仮に現在、断熱化されていない多くの学校体育館に空調設備を整備したとしても大変非効率なものになってしまうなど様々な課題があります。
現在、学校施設の整備改修については、老朽化した校舎の建替えや大規模改修、トイレの洋式化、照明器具のLED化など児童生徒の安心安全な教育環境を維持・確保していくため、多(ざ)額の経費が必要で、一定の財源の中で優先順位をつけて取組を進めているところです。
来年度ただちに体育館の空調整備についての計画を策定する予定はございませんが、その必要性は認識しておりますので、他都市の事例や機器メーカーからの情報収集など、実現に向けて、より実効性のある空調設備の調査・検討を進めてまいります。以上
【多文化共生について】
国際化がすすむ現代社会において、多文化共生社会に対する市民意識の向上は益々重要になってきています。とりわけ在留外国人の人権擁護と雇用、地域住民との共生、子どもたちの学習の場の提供など、外国人の人々が尼崎市で暮らしていく上で、行政の役割は多岐にわたります。
朝鮮や韓国、ベトナム、ネパールなど、国籍は様々ですが、文化や生活習慣の違いによって、困りごともまた様々です。市は、昨年「尼崎市外国人生活実態アンケート調査」を行い、「子ども子育て」「仕事」「住んでいる場所」「防災」などについて、18歳以上の市内在住の外国人市民に聞き、対象者の1割から回答がありました。このアンケート調査の実施については、在留外国人の今の状況を把握するうえで画期的な取り組みだと評価します。今後この調査結果を市政運営にどう生かしていくのかが問われます。言葉や習慣、文化が違う異国の地で生活する在留外国人の方の姿が浮き彫りになるとともに、様々な行政課題が見えてきたのではないでしょうか。
Q.18 この調査を通じて、市長は一番にとりくむべき多文化共生のための行政課題は何であると感じられていますか?
答弁要旨
「尼崎市外国人生活実態アンケート調査」の実施にあたりましては、他市のように組織だった外国人コミュニティの存在を把握できていない中、市内の日本語学校、技能実習生の監理団体、国際交流協会等の関係団体に対し、周知等の協力依頼を行いました。
その結果、1,059件の回答をいただいたものの、回答率は約1割にとどまり、アンケート結果からも本市には組織だったコミュニティがほとんどないことが改めて明らかになるなど、外国籍住民に対する情報伝達に課題があると感じています。
外国籍住民が今後益々増加すると見込まれる中で、課題を抱えていても適切な情報が得られない、相談できないといった方もおられると想定されることから、外国籍住民が地域から孤立しないよう、日本人と外国人とが相互理解に努め、外国人が本市の地域社会に溶け込みやすい環境を作る必要があると考えております。以上
特に、アンケートの「7 防災(災害への備え)について」回答は、年明け早々発生した能登半島地震の前であったにかかわらず、不安に感じる災害のトップが地震とされていることからしても、能登半島地震後、外国人の方の地震大国日本に住んでいる不安はより大きくなっていると思われます。
能登半島地震で被災した外国人技能実習生が情報や支援の不足で困っている問題について、日本ベトナム友好協会が2月23日、オンラインで支援報告会を開いています。現地には1203人もの東アジア、東南アジアの実習生がいるにもかかわらず、政府が実習生の被災状況で把握しているのは避難所にいる30人だけで、それ以外の人に支援や情報が届かない状態となっているそうです。
Q .19 いざ災害時には、地域にどれだけの外国人がいるのかがお互いに分かり合えるコミュニティの創造が求められていると思います。市は今後の取り組みとしてどのようなことを重視していきますか?
答弁要旨
外国籍の住民が地域で孤立せず、災害時に適切な行動をとるためには、災害情報を確実に入手する手法の確認や、地域におけるコミュニティへの参画と地域住民による理解が重要であると考えています。
今年度、小田地域では、地域発意により、地域住民との交流の場づくりとして、「外国人のための防災イベント」が開催され、外国籍住民18人の参加もあったことから、このような事例を参考に、他の地域においても地域特性を踏まえた取組を進めてまいります。
また、外国籍の方が働く事業者、日本語教室など多くの外国籍の方が集う場において、避難場所や避難情報等防災情報をまとめた新たなリーフレットによる啓発を行う他、自主防災訓練等への参加の呼び掛けなど、地域住民と交流できる場づくりにも取り組み、外国籍の方も安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。以上
【犯罪被害者支援について】
2月25日付の神戸新聞の社説に、犯罪被害者に対する社会で支える意識を高めたいと記事がありました。その一部を紹介します。『国は、犯罪被害者の遺族に支払う給付金の最低額について、現行の320万円から1000万円超の水準にまで引き上げることを決めた。現在の制度では、死亡した被害者の収入、その人が一家の生計を支えていたかどうかをもとに給付額を算定している。そのため、被害者が子供や無職で収入がない場合は給付額が低くなりがちだ。2021年の大阪・北新地のクリニック放火殺人事件では休職中の犠牲者らが多く、制度の見直しを求める声が高まっていた。遺族や被害者が、事件直後の苦しい時期を乗り切るには、給付金の迅速な支給が欠かせない。しかし、これまでは申請から支給決定まで平均9か月もかかっていた。被害者側の声に耳を傾けながら、きめ細かい制度を実現してもらいたい。独自の被害者支援策を講じている自治体もある。兵庫県明石市は加害者から賠償金が支払われない場合、最大300万円を立て替える制度を設けている。被害者の転居費や教育費も補助している。こうした支援をさらに拡充してほしい。途方に暮れる遺族や被害者に寄り添い親身になって相談に乗ることも大事な役割だ。』と述べています。この記事は」多くの犯罪被害者の皆さんを励ましています。(2/14神戸新聞の記事参照)
尼崎市内には昨年の12月議会でも述べましたが、犯罪被害にまきこまれた方が少なからずいらっしゃいます。20年以上も犯罪被害の後遺症から抜け出せないラーメン屋さんの話、犯人の逆恨み等の二次被害から逃れようと尼崎から姫路に転居した藤本さんの話、近年大阪のスナックで妹を殺されたお兄さんのこと、西梅田クリニックの犯罪被害者の存在など紹介させていただきました。
兵庫県が昨年5月、犯罪被害者支援条例を策定しました。その内容は被害者への相談体制が一定充実されてはいるものの、具体的な支援策は尼崎市の支援条例とほとんど変わらない内容で失望しています。県ならもっと高い水準の支援策が講じられると期待していたからです。県の支援計画がさらに充実し、支援条例の制定が全県下の自治体に広がることを期待します。
去年の12月議会では、尼崎市の支援条例も明石市の取り組みまで引き上げるべきとの質問をしました。市は、明石の支援の内容は国が本来行うべきものが入っており、市としてはそこまでのことは考えていないが、制定してから8年も経つ市条例の見直しは、課題であると答えられました。
Q .20 改めて犯罪被害者の被害に遭う以前と同様の日常生活を、少しでも取り戻していくために、今日の被害者の置かれている状況に照らして、市としてできる取り組み、条例改正等を行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
答弁要旨
本市における犯罪被害者支援の取り組みは、平成24年に市議会にて採択された請願を受け、平成27年に条例を策定し、主として被害直後における経済面や日常生活面の支援に取り組んできたところです。
議員ご紹介のとおり、国では令和6年度の早期に犯罪被害者給付金の支給額を大幅に引き上げる方針が示されており、兵庫県においても昨年に犯罪被害者支援条例を策定し、取り組みを始められたところです。
本市としましても、条例制定後一定の年数が経過していることから、支援制度の検証、見直しが必要であると認識しており、国や県の動向を注視するとともに、支援策に係る関係各課による全庁横断的な連携会議での検証や、犯罪被害者当事者や民間支援団体、弁護士等の有識者からご意見を伺いながら、今後の支援策の方向性を定めていきたいと考えております。以上
【大阪・関西万博について】
政府が去年の12月19日、2025年大阪・関西万博の費用の「全体像」を公表しました。万博に「直接資する事業」の国費負担は1647億円と算定しました。他に会場周辺のインフラ整備費に国費負担を含め8390億円かかると試算しています。
大阪・関西万博の費用は上振れを繰り返してきました。2018年に1250億円だった会場建設費は1・9倍の2350億円に膨れ上がりました。国と大阪府・市、民間が3分の1ずつ負担するため、会場建設費は国が783億円を支出することになります。これとは別に「日本館」整備費など837億円も国負担であることが11月に判明しました。
「会場周辺のインフラ整備」「アクセスの向上」などのインフラ整備費は、会場となる夢洲(ゆめしま)への地下鉄・大阪メトロ中央線の延伸費用、夢洲と市街地をつなぐ高速道路の整備費などが含まれています。これらの事業費も当初計画から大幅に増額された経過があります。
費用がかさんでいるのは、軟弱地盤や土壌汚染など多くの問題を抱える夢洲を万博会場に決めたからです。夢洲には万博後にカジノを中核とした統合型リゾート(IR)が整備される計画です。カジノのためのインフラ・アクセス整備を、万博の名で巨費を投じて進めていることは明白です。
「全体像」ではインフラ整備費総額は、会場周辺インフラなどの費用も含めて約9兆7000億円に上るとしました。うち約5兆9280億円は「広域的な交通インフラの整備」として、中国地方や四国の自動車道の整備なども列挙されています。
政府は「万博の有無にかかわらず実施する事業」などと説明しますが、大阪・関西万博との関連性は乏しく、万博費用の実態をますます不透明にしています。
メディアの世論調査でも万博の計画通りの開催を求める声は16・5%(「産経」12日付)と2割にも達しません。規模縮小・費用削減・延期・中止が多数です。岸田政権と大阪府・市や日本維新の会は万博に固執する姿勢を改め、中止の決断をすべきです。
なぜ万博を中止すべきか、4つの理由があると思います。
①日本国民はもとより府民・市民からさえ支持をえておらず、民意からかけ離れたイベントになりつつある。②夢洲は大規模施設の建設に不適切な場所であり、万博会場の設営費は当初の2倍、今後どれほど増大するのか見通しが立っていない。③外国のパビリオン建設が決定的に遅れており、それを取り戻すのが時間的、時期的に不可能になりつつある。④無理に無理を重ねて大阪万博を強行しようとすれば、世界における日本の信用や信頼が地に落ちる。
さらに万博の後に控えるカジノの導入と開業の見通しがさらに不透明になっており、夢洲への投資が巨大な負債となってはねかえってくる危険があります。
今年4月までに万博中止を決めれば、日本政府が博覧会国際事務局に払う補償金は350億円です。それ以降だと830億円に増加します。万博経費の膨張が予測される中で、一刻も早く中止を決定することが重要になっています。
万博に対する市の姿勢は、これまで県と連携して協力する、万博協会にも研修目的で職員を派遣していますし、万博を訪れる外国人のインバウンド効果を期待して、観光誘致を図るとして、万博に前のめりの姿勢をとっています。この政策は転換すべきではないでしょうか。
Q .21 市長は万博の中止を求める世論についてどのような見解をお持ちでしょうか?
答弁要旨
大阪・関西万博につきましては、「2025年日本国際博覧会協会」が国家的プロジェクトとして開催するもので基礎自治体としては、開催の是非に関し、意見を言う立場にはないと考えています。
一方で、万博会場となる大阪市に隣接している本市としましては、フェニックス事業用地が会場外駐車場として利用されるなど、市内経済への波及効果が見込まれることから、会場外駐車場の隣地で行われる「ひょうご万博楽市・楽座」や、万博会場での「リージョナルデー(市町の日)」を活用するなど、インバウンドも含め、誘客に向けた取組を進める中、交流人口の増加など、万博後にもつなげてまいりたいと考えています。以上
以上ですべての質問を終わります。総括質疑で、ここで取り上げられなかった問題、いただいた答弁をさらに深めていきます。ご清聴ありがとうございます。