2023年10月 松沢ちづる議員 決算総括質疑と答弁要旨

引き続き松澤千鶴が質疑を行います。よろしくお願いします。

はじめに、不用額についてお聞きします。

2022年不用額は85億円にもなっています。コロナ対策で国から交付されたワクチン接種と低所得者支援給付金の国庫支出金の過剰交付分は国に返還するので、これを差し引けば実質は64億円程度になります。これは、教育費当初予算の35.6%、土木費の37.6%に当たります。

また、2021年度の不用額は55.7億円、2020年度は51.2億円となっています。

 

Q1 不用額がこれくらいの規模で毎年度出てくることについて、当局はどのように捉えているのですか。

 

答弁要旨

地方自治法などにおいて、地方公共団体は議決を経た予算の範囲内でしか予算を執行することができないため、その制度上、不用額は必ず発生するものでございます。

本市の令和4年度の不用額自体は86億円であり、全体の予算額2,355億円に占める割合は約3.60/oであ

りますことから、本市の財政規模から考えますと、決して過大な規模ではないものと認識しております。

参考に申し上げますと、令和3年度決算になりますが、公表されている類似他都市と比較して、不用額の予算額に占める割合は本市が最も低くなっております。以上

 

 

Q2 予算の執行については、9月と12月に進捗状況をチェックすると聞きますが、執行残について、他への流用などをその際に検討するのですか。

 

答弁要旨

毎年度9月と12月に予算の執行状況を確認し、1年間の決算額の見込を算出しておりますが、その目的は、事業費の執行残を把握することだけではなく、当初予算で見積もった歳入が予定通り見込まれるかなどを確認し、今後の予算の執行を調整することや、年度途中に発生した施設の設備の故障などの新たな需要を把握するものでございます。その結果、必要なものにつきましては、補正予算や流用により予算を措置し、適宜対応しております。以上

 

我が会派は冬休み・夏休みの間に築40年を超える小中学校の視察を行っています。そこでわかったことは、予算が限られているという理由で、補修が不十分だということです。ある学校では校舎1Fの手洗い場が排水不良で使えない、トイレ棟が排水不良で臭い・暗い、つり戸が重くて開閉できない等で子どもたちが使わない、跳び箱やマットが破れている、グランドの側溝が変形して蓋が開けられず溜まった砂や泥が取れないため雨が降ると水たまりができる。しかし予算の関係で今年は1.5mぐらいしか補修できなかったなどです。

公園の整備不十分もよく市民から声が上がりますが、これも予算が限られており・・・が当局の答えです。たとえば公園の歩道の凸凹を直して欲しい、トイレを洋式にして欲しい、草を刈ってほしい、木の剪定をしてほしいなどです。

市はお金がないと言いますが、不用額がいつも50億円ぐらいあるではありませんか。

 

Q3 市民の願いに少しでも応えていくために、予算執行チェックの精度を高め、不用額は年度内に積極的に活用すべきと考えますがいかがですか。

 

答弁要旨

先ほど申し上げましたとおり、都度予算の執行状況を確認するとともに、新たな需要も把握し、事業の規模や実施時期も考慮した上で、必要な事業については補正予算や流用により予算を措置し、適宜対応しているところでございます。

一方で、当初予算で議決いただいた事業において、実際に不用額が生じる見込みかどうか年度末に近付かなければ判断が難しいものも多くあります。

こうした不用額については、補正予算としてご提案する時期や残された事業期間の関係から他の事業に活用することが難しく、結果的に不用額として決算の際にご報告することになるものでございます。

以上

 

 

 

予算は限られた財政の下で、優先順位をつけて組まれています。編成作業の

中で、市民からの強い要望があっても、各部局の要望があっても、当然カットも減額もされます。だからこそ、不用額は年度内に他に流用あるいは補正予算を積極的に組み、行政サービスを向上させるべきではないかと考えます。

 

次は予備費についてです。

2022年度予算で、予備費は従来の1億円から2億円に倍加されました。今年度も引き続き2億円です。

Q4 なぜ倍加したのかについて、当局の見解を述べてください。

 

答弁要旨

年度途中に発生する不測の事態への対応については、極力、補正予算を編成し、議決をいただくことを基本としていますが、災害発生後轟旧など、言義会の謙をいた

だく暇がない緊急の事態などへの対応については、予備費を活用しているところです。^

こうした中、令和2年度以降は新型コロナウイルス感染症という、これまで我々が経験したことのない事態へ対応しなければならず、どのような予算措置が必要かも予め見通すことができない中で、迅速に市民の方々へ必要な支援を届けるための備えとして、予備費の予算額を従来の1億円に加え、コロナ対応分として別途1億円を計上し、活用してきたものです。

なお、5月にコロナの感染症法上の位置づけが2類相当から5類に移行したことを受け、今後、事態の急変などがない限り、令和6年度予算からは従来の予備費1億円に戻す予定にしております。

以上

 

 

Q5 緊急対策への対応は、そのためにこそ財政調整基金があるのではないですか。

 

 予備費を1億円増額することは、どこかの会計で1億円減額するということです。減額ではなく、1億円あったら何ができるか、多様な市民ニーズにどう応えられるのかを考えるべきです。財政民主主義の立場から、安易に予備費を増額することは見直すべきです。

 

 

次はモーターボート競走事業についてです。

 公営ギャンブルは法律によって運営され、その収益の一部は地方自治体にとっては公共事業の財源になるものとされ、本決算案でも一般財源に38億円繰り入れられています。昨日他会派が「議会もボートレースが更に収益を上げることを応援している」といった表現をされましたが、日本共産党議員団はそのような立場ではありません。まず、このことははっきり言っておきます。

 2022年4月モーブィあまがさきがオープンしています。モーブィあまがさきを造る際、日本共産党議員団は女性や子どもにボートレースをアピールするものではないかと追及しました。当局は全く別のものだと答弁しています。しかし、今回9月議会の他会派の一般質問への答弁では「ファミリー層の定着」と表現しており、これまでの考えを覆したと私は感じました。

 

Q6 お尋ねします。モーブィあまがさきは子どもの頃からボートレースを身近なものにする手段の一つと考えているのですか。

 

答弁要旨

近年、ボートレース業界としてボートレース場を「地域に親しまれる施設」にするべく、モーヴィ以外にもスケートボード場やボルダリング設備を併設するなど、様々な取り組みを進めているところでございます

ボートレース尼崎といたしましては、場内の遊休スペースを活用し、令和4年4月に「ボートキッズパークモーヴィあまがさき」をオープンし、多くの方にご利用いただき大変好評をいただいております。

このモーヴィにつきましては、ファミリー層にとって楽しめる場所、お出かけ先の一つとなれることで「地域に開かれた場所」「地域に貢献する施設」を目指しているもので、本場開催日以外の土日祝日や学校の長期休業日にも開催しております。

したがいまして、委員ご指摘の「子どもの頃からボートレースを身近なものにする」手段として、モーヴィをオープンしたものではございません。

以上

 

 

 他会派の一般質問で外国人観光客を呼び込む方向について問われた当局は、尼崎に在住する外国人に対して、多言語で事業紹介することを考えていると答弁されていました。

 

Q7 外国籍市民にボートレースを知らしめるとは、どのような意図があるのですか。

 

答弁要旨

尼崎市における外国籍住民は年々増加の一途をたどっているところでございます。

こうしたことから、ボートレース尼崎といたしましても、外国籍住民の皆さんにも、余暇のレジャーとして、ボートレースを楽しんでいただくことを意図し、外国語によるパンフレットや動画を既に作成しており、広報に努めているところでございます。以上

 

公営ギャンブルだからいいのでしょうか。賭博に変わりはありません。その収益は人の不幸によって得られるものです。ギャンブル依存症の特効薬は、ギャンブルをやらない環境を作ることではないですか。ギャンブルに頼る市財政でいいのか。尼崎市は、収益向上ばかりに走り、ギャンブル依存症にならないように常に理性的であるべきです。

 

 

次は、国民健康保険事業についてです。

 兵庫保険医新聞によれば、尼崎市は保険証未交付率が県下で5年連続ワースト1となっています。2022年調査時で未交付率が7.3%、県平均は1.7%であり、尼崎が際立っています。健康保険証が手元になければ、受診時窓口負担は10割となり、必要な医療が受けにくい状況を市が作っているということです。

 そもそも保険者である尼崎市の責任として、被保険者に保険証を届ける責任があるのではないでしょうか。 

 

Q8 お尋ねします。なぜ、こんなことになっているのですか。

 

答弁要旨

本市国民健康保険における保険証の交付にあたりましては、保険料に未納がある世帯に対しては、保険証を郵送交付するのではなく、生活状況の確認や納付相談を行うためにご来庁いただく中で、有効期間の短い短期証を窓口交付しているところでございます。

しかしながら、来庁に応じていただけない世帯も数多く存在していることが保険証未交付の主な要因となっております。短期証の交付にあたりましては、対象世帯との納付相

談の場を確保することが重要であると考えておりますので、来庁案内ハガキの送付や、土曜日や日曜日の休日開庁を実施するなど、来庁していただきやすいような取組みを行っております。

一方で、医療機関受診等のために短期証を必要とされている世帯に対しては、すみやかな交付にも努めているところでございます。以上

 

 

2023年2月 第2次債権管理推進計画が策定されました。そこには、国保の被保険者は低所得の人が多いという構造的な課題があること、特に尼崎は阪神間でも被保険者基準所得が低い状況にあり、このことが保険料の滞納要因のひとつになっていると分析されています。

 しかし、具体的な債権管理では、新たな滞納を発生させないという考えから、窓口では今年度の保険料+前年までの滞納分が示され、これをどうやって今年度中に納めていくのかと被保険者は突きつけられています。また、自営業者は事業の運転資金である売掛金や請負代金までが調査されて、血も涙もない徴収強化となっています。

 

Q9 お尋ねします。これが公平・公正な負担の姿なのでしょうか。債権管理とは、滞納している市民を追い詰めることですか。

 

答弁要旨

国民健康保険事業を安定的に運営していくためには、賦課された保険料は平等に納めていただく必要がございます。

保険料の納付にあたりましては、所得に応じた法定軽減や市独自の減免を適用しても、なお生活に困窮し、納付が困難な方に対しては、個別の事情をお聞きする中で分割納付の取扱いを行うなど、その状況に応じた対応を行っております。

また、滞納処分につきましては、国税徴収法に基づく財産調査を実施しており、やむを得ず差押えを行う際にも、事前に差押通知等の文書を送付することで、納付相談に応じていただける機会を設けることにより、段階的な対応に努めているところでございます。

今後とも、可能な限り滞納世帯の個別事情に配慮しながら、滞納額の解消に向けた取り組みを進めてまいります。(以上)

 

 WHOも高く評価している日本の国民皆保険制度の一翼を担う国民健康保険ですが、他の健康保険に比べて保険料が非常に高いことが問題です。他の健康保険にはない均等割りや平等割が保険料を吊り上げています。

 現在、7割・5割・2割の法定軽減の制度があり、尼崎市は一般財源からそのための繰り入れを行っています。5世帯に3世帯がその適用になっています。また、国保の基金を年度ごとの保険料アップを抑制するために取り崩して対応しています。しかしそれでもまだ高すぎて、保険料の滞納は解消していません。滞納世帯は2020年7180世帯、21年7122世帯、22年度8043世帯となっています。滞納問題は深刻です。

 第2次債権管理推進計画では、収納率は全国や県下の状況などを踏まえて今後2028年までの目標数値を掲げています。目標実現のための取組は、口座引き落としの推奨や徴収強化など、これまでと変わらない方向です。これでは、数字の一人歩きで、決して収納率アップには繋がらないという印象を私はもっています。

 

滞納になってしまう根本原因である高すぎる保険料を、他の健康保険料並みに減額することがやるべきことではありませんか。国に対し、国保への財政措置をせよと求めるべきです。

 

 

全国知事会や市長会を通じて、国に強く働きかけをするよう求めます。また、国が対応するまでは、市独自の取組で高すぎる国保料引き下げを行え。

 

 

 これで日本共産党議員団の質疑を終わります。時間の都合で言い尽くせなかった点については、意見表明などで明らかにしていきます。