2022.6月議会 松沢ちづる議員の一般質問と答弁要旨

 

日本共産党議員団の松沢ちづるです。

東園田町総合会館の建替え工事が2020年から開始され、2021年7月完成しましたが、追加工事の代金をめぐってトラブルが発生。建設業者が会館のカギを管理運営者の東園田町会に渡さないため、建物はできたのに10か月たった今も利用ができない状態になっています。

 

私は、東園田町総合会館の建替えをめぐって、2つの観点から質問をします。

 

一つは、トラブルにかかわっての市の責任、もう一つは地域コミュニティの拠点づくりについてです。

この問題は、2012年今から10年前より地元住民の強い願いの下、市と地域が話し合いを重ねる中、建替えのために市は公金2億円を地域に交付することになった経過があります。1期目の議員はその経過をあまりご存じないと思います。かいつまんで経過を紹介します。資料①をご参照ください。これは、4月16日に行われた元島の内から公共施設をなくさない会・現園田フォーラム主催の市民説明会で配布された資料を基に、私がまとめたものです。

2011年尼崎市公共施設最適化の方針が示され、その中で、園田支所と園田地区会館はなくし、東高校跡地にそれに代わる新施設 園田東生涯学習プラザを造ることがあきらかになりました。猪名川と藻川に挟まれた東園田・地元で島之内と呼ぼれている地域では、園田地区会館が唯一の公立コミュニティ施設であり、また園田地区会館は他地域と比較しても大変利用率が高く、島之内から地区会館がなくなることは、地元の人たちにとって大問題でした。

園和連協は、地区会館の老朽化が前提にあることから「園田地区会館を現在地に建てる」要望書を当局に提出し、2012年から14年にわたって3回話し合いが持たれました。また、2014年住民運動として「島之内から公共施設をなくさない会」が結成され、署名活動が行われ短期間で16,000筆が集まり、その年の

7月市長に要望書が提出されました。

2015年3月市は市民説明会を開催。市は園田地区会館の場所に北消防署園田分署を新築し、3階部分に市民が利用できる多目的ホールを設置することを提案しましたが、園和連協も「なくさない会」も現在地建替えを強く要望されました。

2017年9月議会に現地建て替えを求める陳情が園和連協と「なくさない会」から出され、継続審議になりました。

2017年11月市は競馬組合拠出の2億円(5年分)を上限として地域に交付し、東園田保育所跡地に東園田町総合会館の改築を提案しました。しかしこれに対し、園和連協、なくさない会ともに阪急園田駅北側にある東園田町総合会館の場所に建替えることを強く望まれ、市と地元との協議は続きました。

2018年7月30日地元の要望に沿って東園田町総合会館の場所に建替えるとして、市・園和連協・東園田町会の間で、「東園田町総合会館の建替えについての確認書」が取り交されました。

また、この確認書の締結に基づき、建替え準備委員会が設置されました。委員会の構成は東園田町会・なくさない会・専門家として運動にかかわってきたM氏・市の資産統括・大規模市有地活用担当、園田地域振興センターです。ここでの市の立ち位置は、参加可能な範囲でオブザーバー参加ということでした。

 

Ql お尋ねします。市は、建替え準備委員会に参加可能な範囲でオブザーバー参加していたとのことですが、参加可能な範囲とはどういうことでしょうか。また、オブザーバー参加とした意図は何ですか。

 

答弁

 東園田町総合会館建て替え準備委員会は、東園田町会と公共施設をなくさない会において主体的に発足されたものであり、同準備委員会から本市関係課に対しオブザーバー参加を要請されたことから、スケジュール的に可能な範囲で参加するとともに、求めに応じて助言を行ってきたものでございます。

 

 

次に、公共施設マネジメント計画では、地域所有の福祉会館や集会所などの大規模改修や建替えについては触れられていません。しかし東園田町総合会館の建替えには公金が投入され、地域コミュニテ/の拠点づくりの支援とされました。

 

Q2 お尋ねします。東園田についてはどのような考えのもとでの判断だったのですか。お答えください。

 

答弁

 地区会館と地域振興センターの複合化による建て替えにつきましては、施設の老朽化対策や地区のコミュニティ創造の拠点づくりのために本市の喫緊の課題として取り組みを進めてきたものでございます。

 このうち、園田地区の複合施設につきましては、統合後の新施設、現在の園田東生涯学習プラザを尼崎東高校跡地に建設することから、猪名川と藻川に挟まれた、いわゆる島之内地域から貸館機能を有する公共施設がなくなることに対して、地元から陳情や要望が出され、地域や施設の利用者の皆様方と幾度も協議・調整を行う中で、東園田町総合会館を阪急園田駅前の元の会館のあった場所に新たに建て替えることに決まったものでございます。

 そうした中、新たな東園田町総合会館に係る建設経費につきましては、旧の東園田町会館についても、昭和49年の園田競馬場焼き討ち事件を契機に全額競馬組合の財源で整備された経過があり、兵庫県競馬組合と調整を進める中で、今回の新会館の建て替えにつきましても市税を投入することなく、特例的に競馬組合からの周辺整備事業負担金を活用し、東園田町会に補助金を交付し、同会が会館を整備することで合意を得て、取り組みを進めてきたものでございます。

 

これで1問目を終わります。次からは、1問1答方式で質問していきます。

 

参考資料②をご覧ください。

これは当局からいただいた建替え準備委員会の資料と地元の住民運動団体「園田フォーラム」が新会館建設の経過としてまとめられた資料を基に、私なりに整理したものです。なお、園田フォーラムとは「島之内から公共施設をなくさない会」が2018年12月発展解消し、運動が引き継がれた団体です。

2019年12月~1月にかけて入札準備、そして結果不調となっています。

 

Q3 市の事業の場合であれば、入札不調となった時はその原因を分析すると思います。いかがですか。

 

答弁

 本市において入札不調となった場合、不調となった原因を分析し、仕様書及び見積価格の検証・見直しを行い、再度入札することとしております。

 

Q4 今回の入札不調となった際、市はどんな対応をしましたか。

 

答弁

 東園田町会からは、入札不調となったこととあわせて、今後の方針として最低価格の事業者との交渉もしくは設計の見直しを検討する旨の報告を受けたところであり、市としては事業者の決定等に介入すべきではないとの基本的な認識のもと、東園田町会の方針を尊重してきたものでございます。

 

Q5 民民の事業とはいえ、公金2億円が交付された事業です。上手く展開していないのなら助言指導が必要だったのではありませんか。

 

答弁

 東園田町総合会館建設工事については、東園田町会から適時に報告を受けることにより進捗状況を把握するとともに、その都度必要な助言を行ってきたものでございます。その中で工期の遅れについても報告を受けておりましたが、今回のトラブルが明らかになるまでそれ以外は問題なく進捗しているものと認識しておりました。

 

自治のまちづくり条例第5条に市長等の責務があります。市長等は、自治のまちづくりを支援するとともに、協働によるまちづくりを推進するものとすると書かれています。今回の新会館の建設にあたっては、第一登壇で経過を紹介しましたが、市は地元の要望を受けとめ合意形成を図ってきました。その過程は、自治のまちづくりを推進する取組そのものだったと評価するものです。ただ、2億円の工事をきっちりと行う力量が地域団体に備わっていたのかという点で、当局の見極めに不十分さがあったのではないかと私は思います。ここを見極め的確に支援をしていたら、今回のトラブルも未然に防ぐことができたのではないでしょうか。

 

Q6 当局はどのように捉えていますか。

 

答弁

 今回の補助金の支出に関しましては、その根拠となる市の方針決済に基づき、東園田町会へは適時、確認、助言等を行う中で適正に執行してきたものと考えておりますが、今回トラブルに至ったことを踏まえますと、補助金の規模や交付先が自治会であったことなどから、さらなるリスクを予見した対応も必要だったのではないかと認識しているところでございます。

 

・地域課の役割の範躊を超えるもの

・自治のまちづくりを進めるうえで、その拠点となる施設づくりで建設工事を巡ってのトラブル発生。そのため、そこを活動の場にしようと心待ちにしていた地域住民が大きな被害を被っている。

 

Q7 東園田町総合会館の建替えにかかわって、自治のまちづくりについて当局は何を学び教訓としましたか。

 

答弁

今回の建替えにかかわり、市としましては、東園田町会から適時報告を受ける中で必要な助言を行ってきたものですが、今後、自治のまちづくりを進めていく観点からは、各段階での決定のプロセスにおいて可能な選択肢が十分に考慮されているか、何らかのリスクを見通していないか、地域住民の意向が十分に考慮されているか、何らかのリスクを見落としていないか、地域住民の意向が十分に反映されているかなどについてもより確認し、助言を行うことも必要であったと認識しているところです。

 

地域住民にとっては、一日も早く会館が利用できるようになることが一番の願いです。

 

Q8 そのために、今当局にできることは何だとお考えですか。

 

答弁

 島之内地域における地域コミュニティの維持・増進のためには、東園田町総合会館が一日も早くオープンし、地域住民の方々が利用できるようになることが極めて重要であると考えております。

そのため、現在、係争中の訴訟については引き続き注視するとともに、東園田町会やその他地域の声を丁寧に聴く中で、状況を積極的に把握し、また、必要な助言やサポートを行うなど可能な限りの支援を行ってまいります。

 

次に地域コミュニテイの拠点づくりについてです。(Q2に対する当局答弁にそって意見)。地域には東園田以外にも町会所有の福祉会館やその他施設が、コミュニティ活動の拠点として存在しています。その中でも、市民有志によって運営されている塚口南地域学習館についてお尋ねします。

 

Q9 南塚口町に塚口南地域学習館があり、多くの市民が利用をされています。ここは、公共施設マネジメント計画上どんな位置づけになっていますか。

 

答弁

 旧公民館分館である地域学習館につきましては、平成29年度策定の「第一次尼崎 市公共施設再編計画」に先行して取組を行っている施設であり、施設の老朽化等に対応した大規模修繕等を行うことなく施設が使用でき、かつ、地域での自主運営をお引き受けいただける場合には、地域団体等に貸付を行い、運営を行っていただくこととしております。

 

QlO また、市のHPには、施設案内として名称と住所だけ掲載され、問い合わせ先が総合政策局協働部生涯学習!推進課とありますが、どんな位置づけですか。

この施設の保全に、市は現在どんな支援をしていますか。

 

答弁

 塚口南地域学習館は、元は園田公民館の分館でしたが、施設の老朽化など今後の維持・管理は困難であるとし、「”あまがさき“行財政構造改革推進プラン」の平成22年度に計上した改革改善事業として、建物の運営等を地域団体等へ移管することや、土地や現在の建物を無償でお貸しすることとなり、現在に至っています。その事務を生涯学習推進課が担っている状況です。

 施設の保全については、塚口南地域学習館の管理運営協議会と土地・建物使用貸借契約を結び、この契約において、施設の維持管理に必要な修繕等を随時実施しております。令和3年度には通路点字シートの修繕、令和2年度には屋上防水工事を行ったものでございます。

 

塚口南地域学習館の前身は園田公民館分館でした。2012年度に市内に16あった分館が廃止された際、いくつかの分館は地元の町会や団体が管理運営するとして残りましたが、3年間の期間限定の運営補助金が無くなった時点でほとんどは閉館になりました。それでも存続した唯一の施設です。地元の有志による運営協議会によって維持管理されています。

なぜ活動が続いているのか。それは住民ニーズが高く、それに応える使命感を運営協議会のメンバーがお持ちだからだと思います。この地域には小中学校がありません。地域的には立花と園田の行政区の境界に位置しますが、どちらの生涯学習プラザも遠く、また、町会所有の福祉会館は1か所、阪急の高架下にあるのみです。それだけに、コミュニティ活動の拠点として塚口南地域学習館は地域住民に必要とされているわけです。

 

Q11 施設の老朽化が進み、白い建物ですが外壁のくろずみが広がっています。

運営協議会のみなさんからは、外壁をきれいにして欲しいとの声をお聞きしています。

市はこの声を受け止め、対応するつもりはありますか。

 

答弁

 運営協議会との貸借契約においては、使用上の経費負担について基準を双方合意の上、設けています。

 この基準では、建物の土台、柱、天井、屋根等の主要構造部分にかかる修繕は本市負担としていますが、学習館の運営に支障をきたすような大規模修繕が必要な場合は、修繕を行わず廃止すると取り決めております。

 お尋ねの「外壁をきれいに」との要望については、外壁の劣化度や防水の強度など大規模修繕の可能性も視野に入ってくることから、今後、運営協議会の見解やご意向など改めて確認する必要があると考えております。

 

 私は合唱団に所属し、今は定期演奏会に向けて週1回塚口南地域学習館を利用しています。また、合唱団で年に数回「うたおう会」を企画し、多くの市民のみなさんとともにこの施設を利用しています。最近、行ったうたおう会に、東京でうたこえ運動をやっている方が参加されました。彼は何も口には出されませんでしたが、学習館の天井をまじまじと見ておられました。天井には大きな雨漏りのシミと剥がれそうな天井板がぶら下がっていました。私は、市の市民サービスの現状を見透かされたようで、たいへん恥ずかしい気持ちになりました。

2014年出された公共施設マネジメント基本方針では、中長期的な視点で計画的・戦略的に保有、処分、維持、活用等を行い、身の丈に合った施設保有量・施設規模となるよう、マネジメントしていく必要があるとして、市有建築物を対象に公共施設マネジメント計画をつくりました。

一方、2018年制定された自治のまちづくり条例では、地域コミュニティの重要性がうたわれ、当然のこととしてコミュニティ活動の拠点となる場の必要性も求められています。

公共施設マネジネント計画によって活動拠点がなくなってしまうことを問題として、東園田では10年にわたって市と協議する中、新会館の建設に取り組むことになりました。また、 FM計画の対象外施設である塚口南地域学習館では、見通しがない中、施設維持に不安を抱きながらの地域活動が行われています。

 

Ql2 公共施設マネジメント計画対象の施設の取組だけでなく、地域コミュニティの活動拠点への予防も含めた保全支援を充実させる方向を示すべきです。いかがですか。

 

答弁

 地域コミュニティを活性化していく上で、子どもから高齢者まで多様な世代が集える身近な地域活動・交流の「場」は必要であると認識しております。

 そうした、より身近なコミュニティ活動の拠点として、各連協や単協等が活用する「集会所」が市内に260施設ほどあり、それぞれに運営を行っておられますが、その中には「集会所」の老朽化や担い手不足等により、地域での維持管理が困難になってきているところもあると認識しております。

 地域の「集会所」が、自主的な運営を続けていくためには、独自に収入を得るなどの必要性があることは認識しておりますが、市としては、これまでも一般質問でご答弁したように個別の施設維持管理に対する助成は考えておりません。

 そのため、必要に応じて他の助成制度のご案内、利用率向上に向けた貸室の広報や貸室条件の緩和など、自主財源の確保に向けた支援を行っていきたいと考えております。

 また、集会所の維持管理そのものが不要となる学校の空き教室など、新たな「場」を選択しとして視野に入れていただけるようにするなど、集会所を持たない連協等に対する支援策の検討も行って参りたいと考えております。