2021年9月議会 決算特別委員会 川﨑としみ議員の意見表明

2021年10月11日 川﨑議員が共産党議員団を代表して意見表明をしました。

 

日本共産党の川崎としみです。共産党議員団を代表して2020年度決算等に意見表明を行います。

 コロナ禍のもとで、私たちは様々な点で、今日の社会の脆弱性に気付かされました。

何十年も続けてきた新自由主義的な考え方を改めていかなければならないと思います。

なんでも効率化、なんでも民営化について見直していく地点に立たされていると考えます。

自己責任を押し付けるのではなく、公共の果たす役割を広げ、危機に対応できるゆとりある社会を創り出していかなければなりません。

 

そのためには、当面新型コロナウイルス対策の取組が必要です。海外の進んだ国で行っている、ワクチンの追加接種(ブースター)とともに、「大規模、頻回、無料」のPCR検査、これをセットでやって経済を回すということが行われていかなければなりません。国民のくらしと営業が痛んでいるわけですから、持続化給付金と家賃支援給付金の第2弾の支給が必要です。コロナで生活が困っている方に対して一律10万円の特別給付金を出すなど、これらの対策を国に求めていかなければならないと考えます。

 

 そして、こうしたとりくみとともに、コロナ後の社会をみすえた行政運営が必要です。

 

 市の総合計画の見直しが始まっていますが、2年後の2023年度からの実施では、今の緊急事態に対応できません。

特に財政運営規律の見直しが求められています。

市債残高を最優先で減らす方向ではなく、もっと緩やかな期限と期間にして、全国中核市のなかで6番目の財政力を生かした、ポストコロナの社会を見据えた施策に転換し、それを前倒しに実行すべき対策を講じるべきではないでしょうか。

 

 

 私たちは近年の地球温暖化による自然災害の脅威に際して、今の気候変動を止めるための取り組みを強めていかなければなりません。

今や若い研究者が、地球環境を守る活動が最善、最優先だと、気候革命をとの声をあげています。地球環境の危機的状況から脱するためには、日常を革命的に変化させていかなければならないと主張するようになってきています。

 市は、気候危機打開のための宣言を行いましたが、目標値の設定については、さらなる太陽光エネルギー等の活用等を積極的に行う計画づくりを伴い、適切なものにするよう求めるものです。

国のエネルギー計画の見直しを求めていくととともに、私たちの生活の有り様を根本から見直していくことが必要です。この10年間がカギを握っていると思います。省エネ、再エネを生活の隅々にまで広げていかなければなりません。

 

 

 それでは2020年度決算の個別の課題について述べてまいります。

 

・コロナ対策について(保健所の職員増員と公衆衛生の拡充)

 

 この秋以降にも第6波の襲来が専門家によって指摘されています。医療・介護・保育などケア労働に携わる人への支援策を強め、ケアに手厚い社会をつくっていかなければなりません。変異するコロナに対応して、これまでの感染大爆発を引き起こさないよう、民間の協力も得て無症状で発症していない人を発見・保護する検査体制の抜本的な拡充が必要です。保健所の体制を強化すべきです。一時的な増員でなく、恒常的に専門家を増やすことが求められます。

 

・再生可能エネルギーへの転換

 

気候危機対策、6月の尼崎市気候非常事態行動宣言での二酸化炭素の排出基準は、2013年比で50%以上に引き上げ、再生可能な自然エネルギーを積極的に活用できる施策の充実が求められます。太陽光発電を増やし、そのエネルギーを優先的に活用できる条件整備が急がれています。

 

・自転車マナーの向上

 

 尼崎市は、治安とマナーが悪いとのイメージが定着しており、その改善が進んで今では言わば風評被害に悩まされているといった側面があるのかもしれません。この問題を克服していくためには、さらなる防犯対策や交通マナーを高める取り組みをつよめ、市のイメージを向上させていく広報活動を充実すべきです。

 

・子ども医療費の無償化について

 

 兵庫県下で一番遅れている施策です。2020年度決算ベースでは、入院・通院を無償化し所得制限を現行通りとした場合その費用は2億3700万円、所得制限を撤廃した場合、約3億3600万の財源が必要だということです。コロナ対策が含まれているので、それがなくなれば試算している以上の経費が必要だということですが、当面、所得制限ありからでも出発して、この施策の拡充を求めます.

 

・空き家利活用

 

 今年度実施した空き家所有者へのアンケート調査では、相続してもそのまま空き家にしておくとの回答が45.5%もあるということでした。終活など所有者が生きているうちの早期対策を推進すべきです。さらに、新婚世帯向けにとか対象を限定した空き家利活用の施策ではなく、広範囲に利用できる事業を実施すべきです。また店舗や住宅にまで対象を広げたリフォーム助成制度を創設して、地域内の経済循環を促進する経済活性政策を実行することを求めます。

 

・生活保護

 熱中症対策としてクーラーの設置など初めて保護申請をする人には補助が認められています。しかしこれまで生保を利用してきた人にはクーラーが壊れても補助制度がありません。熱中症など命に係わる問題に非情な国の制度の見直しを求めるとともに、市が独自でできる施策を実施すべきです。

 また、利用者の生活相談に応えていくためには、利用者に寄りそう相談活動が求められており、ケースワーカーの担当する件数を最低でも国基準の80世帯に引き上げる取り組みが必要です。

 

・国民健康保険料

 高すぎる国民健康保険料、介護保険料の引き下げのために、基金の活用や一般会計からの繰り入れなど積極的な対策を講じるべきです。

・保育士の人材確保、配置基準の見直しで処遇改善

 2019年、2020年と隠れ待機児童数はいずれも670人程度、2021年度は865人相当になるということです。保育所の待機児童対策は、規制の緩和ではなく、保育の質を確保した認可保育所の増設で、対応すべきです。

 保育士の保育士不足の解消策はやればやるほど自治体間競争となり、結局は財政力の良しあしに左右されてしまいます。基本は国の政策的な転換を求めるべきですが、国の制度改善を待つのではなく、市独自の配置基準などの見直しを実行して、安心して子どもが預けられる環境、保育士の労働環境を整備して、保育士の確保をはかるべきです。

・公立保育所の建て替え

  公立保育所として残す老朽化した、杭瀬、次屋、武庫南の建て替え計画を直ちに策定し、

ゼロ歳児保育の拡充、定員の拡大を図るべきです。

 

・保育副食費への補助制度

  副食費が公定価格から外され、主食費とともに保護者から徴収されています。保育の一環と   

  して、主食・副食費への補助を行うべきです。

 

・児童ホーム建て替えと待機児童対策

  40人定員の児童ホームの増設や、余裕教室を活用して、待機児解消を行うべきです。

 

・尼崎城

 コロナ禍の下で入場者数が激減して、予定していた収入が見込めず4千万円ほども一般会計から補填しなければならない状況となっています。不安定要素がありすぎるインバウンド頼みの観光事業のあり方を改めるべきです。プロポーザル方式による委託運営に対する見直しが求められます。

 

・いじめ体罰

 いじめ、体罰は人権問題である立場からの取り組みの強化が求められています。そして問題

が生じたときに、できるだけ早期に事実関係を把握し問題を整理し、課題を共有する体制が

求められています。

 

・教育 ICT活用

 児童、生徒たちがタブレットを文房具のように活用するということが一つの目安ととらえられています。そのための教職員の研究課題が増え、業務が大変になるといった状況が生まれかねません。教職員の負担軽減の取り組みが必要です。また家庭にWi-Fiがあるのか、こうした機器に家族が通じているかで、家庭環境の違いによる、利用度の格差防止にも配慮すべきです。

 

・中学校給食

 食中毒やアレルギー対策が万全で安心、安全の中学校給食の実施を求めます。また民間による事業の実施状況を検証する第3者機関の設置の検討を求めます。

 

・あまよう特別支援学校

子どもの送迎に保護者が必ず付き添わなければならない体制の改善を行い、利用者の負担軽減をはかることを求めます。

 

・あまっ子ステップアップ調査事業

  これまでも共産党議員団は、年度末にかかっていく実施時期の問題点を指摘するとともに、教職員や生徒に負担を強いる、根底に学力至上主義の考え方があると批判してきました。子どもたちの学力調査は悉皆的に全員に対する調査でいいのかと指摘する研究者の意見もあります。調査分析結果をどのように現場に生かしていくのか、現場の教職員とともにこれまでの取り組みを検証し、今後の実施について検討すべきです。

 

・市営住宅 

 市は市営住宅建て替え等・基本計画で、市営住宅の管理戸数10,887戸から9,255戸まで削減する計画をすすめています。今でも応募が多く、市営住宅の戸数削減はすべきではありません。また空き家となっている住宅の再利用を期限付きで行うなどの検討とともに、高齢者、身障者が安心して住める、住宅をもっと整備すべきだと考えます。

 

・貯留管事業

  武庫分区に建設予定の雨水貯留管は10年降雨確率に対応するもので、下水道の内水対策として取り組まれています。武庫川が氾濫したらどうなるのか、集中豪雨の時の内水浸水対策はどうするのか、総合的な治水対策のなかでこの事業のあり方を見直すべきです。

 

・防災訓練

 毎年行わなければならない防災訓練が、コロナ禍のもとで自粛されています。しかし規模を縮小する等、様々工夫して毎年実施すべきです。

 

・総合センターの在り方

  他の公共施設と比較して、休館の設定や委託料等に問題があり、検証が必要です。

 

・業務執行体制見直しによるアウトソーシングは、

 すでに本庁の市民課窓口やサービスセンター、さらに上下水道の各種業務、道路や公園の維持などが実施されています。これまでも偽装請負、市職員のスキルや、市民サービスの低下問題など、指摘してきました。

特に災害時の対応がどうなるのかは災害が起こってからでないとわからない問題です。

ゴミ収集についても、市は直営の比率を2018年の52%から、19年は35%、そして21年度はさらに24%にまで引き下げ、アウトソーシングを加速させています。災害時対応や、高齢者の見回りなど、直営であったからこそできた対応力がますます失われてしまいます。すでに実施済みの業務執行体制の検証を行い、今後の実施を検討すべきです。

・マイナンバーカード

 マイナンバーカードは情報漏えいや、なりすまし被害の防止策が完全ではありません。

また、今後さらに個人情報が集積され、その情報が企業に提供される恐れがあります。

個人情報の秘匿権がないがしろにされる危険性があります。

さらに国によって情報の一元化が進み、個人情報がすべて管理されることに対する不満、政府を信頼できないということがその普及が伸び悩んでいる原因だと考えます。やみくもな普及推進策には反対します。

 

・園田西武庫線

  いまだに地元住民との合意が得られていない中で、工事が進行中です。市民は「生活環境を破壊される」「個人資産を奪われる」「周辺住民のコミュニケーションが分断される」といった不安をかかえています。市は県に対して地元住民との合意を得る努力をさらに行い、合意が得られるまで工事は凍結すべきです。

 

・モーターボート事業会計

  モーターボート事業について、センプルピアの開催日数は、ここ数年、来地元合意の180日間を大きく超えており、なし崩し的な開催は問題です。

 

以上で日本共産党の意見表明を終わります。