核兵器禁止条約の署名・批准を求める請願に対する賛成討論(こむら潤議員)

12月議会最終の12月23日の本会議で、私も紹介議員になった核兵器禁止条約の署名・批准を求める請願の採決がありました。

採決を前に共産党議員団の小村潤議員と緑のかけはしの山崎憲一議員が賛成討論、あまがさき志誠の会の丸岡鉄也議員が反対討論を行い、賛成20、反対19の僅差で採択されました。

 そして政府関係機関への意見書提出について公明党の真鍋修司議員が反対討論を行いましたが、賛成多数で可決し、政府関係機関へ意見書を送付しました。

 請願採決で丸岡議員は「アメリカの核の傘のもとで日本の安全が保障されている」、意見書採決では真鍋議員が「この条約によって核保有国と非核国との溝が深まった、日本はその架け橋になるべきだ」と反対討論をしました。

核兵器禁止条約の署名批准に関する請願と意見書の採決態様
 
 賛成 共産党、緑のかけはし、市民グリーンクラブ、維新の会,
         無所属
 
 反対 公明党、あまがさき志誠の会

こむら潤議員の賛成討論

日本共産党議員団のこむら潤です。会派を代表し、請願第2号「核兵器禁止条約の署名・批准についての請願」に対する賛成討論をいたします。

請願要旨に記されているように、201777日、国連本部において核兵器禁止条約が122か国の賛成で採択され、本年1024日、条約に批准する国が50ヵ国に達し、新年122日に正式発効される運びとなりました。ご存知の通り、残念ながら我が国は被爆国であるにも関わらず、いまだ核兵器禁止条約に批准をしておりません。

 

日本共産党は、2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議や2017年の核兵器禁止条約の国連会議に、市民社会の一員として参加してきました。禁止条約の国連会議には被爆国の政党として公式に「要請文」を提出し、志位委員長が演説を行ない、会議主催者、各国政府などと懇談・要請するなど、精力的に活動をしました。「ヒバクシャが受けた、容認できない苦しみと被害を心に留める」という条約の前文には、被爆者の方が自身のつらい体験を語りながら核廃絶を求めてきたことへの敬意が表れています。あらためて核兵器の非人道性を明確に押し出し、史上初めて、核兵器が国際的に違法であると「悪の烙印」が押された点でも画期的な条約です。

 

20世紀、植民地体制下にあった100を超えるアジアやアフリカの多くの国々が、独立し主権国家として発展しました。21世紀、一握りの大国が世界政治を思いのままに動かしていた時代は終わり、核を持たない小さな国同士が対等な関係でもって対話と連帯を重ね、被爆体験者自らが呼びかけたヒバクシャ署名に賛同して、市民社会とともに核兵器禁止条約をつくってきたのです。我が党は、今年1月に一部改定した党綱領の中で、「核兵器を軍事戦略の柱にすえて独占体制を強化し続ける核兵器固執勢力の企みは根強いが、この逆流は『核兵器のない世界』をめざす諸政府、市民社会によって、追い詰められ、孤立しつつある。」と世界情勢の大きな構図を明らかにしてきました。

 

一方、日本政府が2019年の国連総会に提出した核兵器問題の決議案は、核兵器禁止条約を全く無視するとともに、核兵器廃絶を「究極の目標」として永久に先送りし、2000年の「核兵器廃絶の明確な約束」や2010年の「核兵器のない世界を実現するための枠組み作り」など、これまでのNPT再検討会議の合意を「書き換える」という、核保有国に追随する姿をあらわにしました。共同提案国も、2016年の65ヵ国から27ヵ国に激減し、非核保有国からは批判を受けました。しかも、賛成した核保有国はイギリスだけで、政府がすすめる核・非核両国の「橋渡し」の破綻は、はっきりしました。

 

今、我が国が核兵器禁止条約に署名、批准することこそが、唯一の戦争被爆国としての国際的責務と考えます。よって、本請願の願意に賛成を表明いたします。

 

政府関係機関に送付した意見書
 核兵器禁止条約の署名.批准に関する意見書

被爆70年に当たる令和2年10月24日、核兵器禁止条約の発効要件を満たす50か国の批准(加入書を含む)が寄託されました。

 平成29年7月7日、ニューヨークの国連本部において、核兵器禁止条約が122か国の賛成で採択されてから、丸3年の歳月を経て達成された快挙です。この日から90日を経た来年の早い時期に、核兵器禁止条約は発効することになり、名実ともに核兵器はこの条約によって禁止されます。被爆者が訴え続けてきた「核兵器をなくせ」を実現する確かな道が開かれました。

 

 しかし、核兵器不拡散(NPT)で核兵器の所有が認められている核兵器国5か国とその同盟国、他の核保有国4か国もこの条約に不参加であり、残念ながら唯一の戦争被爆国の日本も参加していません。

 

 今日まで日本政府は、核兵器は人道法の精神に反するが実定法は存在しないので違法ではない、国際司法裁判所は核兵器の威嚇と使用は違法としながらも、国家の存亡がかかる状況下での判断はしないとしていることをもって、核兵器の使用は国際法では禁止されないとの見解を取り、核抑止による安全保障政策を取り続けてきましたが、日本政府、国会は今や核兵器の全面禁止の先頭に立つべきです。直ちに、核政策を転換し、速やかに核兵器禁止条約に署名、批准し核なき世界の実現の先頭に立つことを求めます。

 

 被爆者は国内外で、原爆は人類と共存できない絶対悪の兵器であることを、証言し続けてきました。平成28年からは核兵器の禁止、廃絶の条約をすべての国が結ぶことを求める訴えに対する国内外の市民の賛同を呼び掛ける「ヒバクシャ国際署名」を推進してきました。

 

 今や世界の核保有国の市民の多くが、核兵器が反人道的兵器で不要なものであることを知ることとなりました。そして、莫大な費用や時間、人材をかけて製造し、所有することは、国際法違反となります。しかし、核兵器使用の危機は払しょくされておらず、万一使用されることになれば、その被害は計り知れません。

 

 被爆者の願いは「ふたたび被爆者をつくらない」ことです。高齢化した被爆者に残された時間は僅かです。

 よって、政府におかれましては、核兵器禁止条約に署名し批准するよう、強く要請いたします。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

 

令和2年12月23日           尼崎市議会議長