おはようございます。日本共産党議員団の松沢千鶴と真崎一子です。
まず最初に真崎が総括質疑をします。
まず《待機児童の問題について》です。
先日子ども子育て審議会で大いに話題になったのが保育の待機児童と保育士の処遇改善の問題でした。尼崎市の保育所入所待機児童数は、2017年は156人、18年148人そして19年は236人でした。昨年10月から幼児教育・保育の無償化制度が開始され、保育施設等に通う3~5歳児の保育料が無償になりました。それに伴って保育需要が多くなり待機児童が増えたと思っていましたが、増えた要因はそれだけではなかったようです。
保育の弾力運用というのは施設の保育面積と保育士の確保ができれば、定員の20%増しで受け入れが可能となります。しかし19年度は当初計画では238人の受け入れを計画していましたが106人しか受け入れができず、132人は待機児童となりました。その原因は保育士の確保ができなかったことなどにありました。
保育園の経営者は「保育士が1・2年で辞めていく。保育士の勤務時間は8時間なのに、子どもの預かりは最長11時間、保育士は毎日のように長時間勤務が続き疲れてやめる。募集しても来ない」と言われていました。
尼崎市の待機児童は全国でもワースト5位。兵庫県は明石・西宮市に次いで尼崎市です。その待機児童と保育士の確保に市が本気で取り組まないと解決しない問題です。
質問します。保育士確保は園だけの努力では限界があります。
尼崎市の対応策は、国レベルを超えた市独自の施策にはなっていません。給料の上積み等思い切った対策を考えてほしいと思いますが、いかがですか?
答弁要旨
本市では、平成29年度から毎年度、保育士確保・定着に向けた補助制度を創設しており、そのうち保育士宿舎借り上げ支援事業のように国の補助対象事業もございますが、新卒保育士就労支援事業、奨学金返済支援事業、潜在保育士就労支援事業については、市独自の事業であり、制度の利用者が急増しております。さらに、補助制度以外にも保育士就職フエアや潜在保育士向けの研修等も実施する中、市内の保育士数も年度を追うごとに増えていることから、本市の事業が保育士の確保に一定、寄与しているものと考えております。引き続き保育士確保は本市の重要な課題であるという認識のもと、効果的な取組みを行って参ります。以上
また経営者は「抜本的な解決は、保育単価と保育基準を改正することだ」ともいわれていました。保育士の連日の長時間労働は保育基準が守られていない証拠です。
質問します。国に抜本的な保育単価と保育基準の法改正を求めるべきです。いかがですか?
答弁要旨
保育士の処遇改善や業務負担の軽減等につきましては、最近においても3年続けて全国市長会や中核市市長会を通じて、国への要望等を行ってきております。内容につきましては、・
・公定価格における基本分単価や処遇改善等加算について、十分な財政措置を講じること(H30、R1、R2)・保育士の勤務条件の緩和や業務負担の軽減を図るため、保育士の配置基準を見直すこと(H30、R1、R2)・処遇改善制度の更なる充実等により、保育士の安定的確保を図ること(H30)などの項目です。今後も引き続き要望して参ります。以上
産休等代替(だいたい)職員費補助金は約12万円の予算で不用額は0でした。当初から産休要員は1人分だけでいいということでしょうか?
保育園長は「アルバイトもパートも来ない。派遣会社から頼むと市の補助金が入らない」といいます。市は兵庫県の要綱に「派遣会社からの派遣職員でないこと」という条件に準じて行っているとのことですが、それでは保育園は代替え職員を雇用することができません。
質問します。産休代替(だいたい)職員の新たな市独自の補助制度の創設を考えてほしいが、いかがでしょうか?
答弁要旨
産休等代替職員費補助事業は、職員が産休や傷病のために、有休により長期間休暇を取得する場合で、法人保育施設等が直接代替職員を雇用するのに必要となる賃金について補助対象としているものです。この事業は法人保育施設が直接、代替職員に支払う賃金に対して補助を行う制度であることから、派遣会社から派遣される職員の経費については補助対象外としておりますが、保育士確保を推進する観点からも他都市の状況調査等も含め今後研究して参ります。以上
次行きます《おくやみコーナーのワンストップについて》
9月議会のわが会派の川崎議員のワンストップ窓口の考え方についての質問に「総合相談窓口については、市民一人ひとりに寄り添う中で住民ニーズを把握し、次の支援策へつなげていく必要があると考えてる」との当局の答弁でした。市民と寄り添う姿勢は大いに共感するものです。今回私は、お悔みコーナーのワンストップについて質問をします。
1年ほど前Kさん80歳代男性から相談を受けました。「入院している家内が死んだら死後手続きが大変だと聞いた。息子は筋ジストロフィーで入院しているので、すべて私がしなくてはならない。どんな手続きが必要か教えて」という内容でした。早速手続き一覧をお届けしました。先日「とても自分一人では手続きできそうにない、司法書士を頼みたい」と言われました。
先日、私が初めて「おくやみコーナーの開設を」と質問のきっかけとなったIさんは、「おくやみコーナーの新聞の切り抜きを集めといたよ、頼むよー」と要望を託されました。
また北海道の若い友人から「私も死亡手続きのワンスットプ窓口は必要だと思います。父が亡くなった時一人で大変心細くとっても疲れました」とメールが届きました。
市政を動かすのはそんな市民の小さな声です。2年前にもおくやみコーナーのワンストップ窓口の開設を求めました。
質問します。その後「おくやみコーナー」開設についての検討はされましたか?
答弁要旨
「おくやみコーナー」につきましては、「コーナー」の設立の経緯や業務内容、実施場所や人員体制などについて、先進市や阪神間他都市の取組み状況等を電話照会、ホームページでの調査を行ってきたところでございます。調査の結果、「コーナー」の設置のためには、まずは多くの人が相談できる窓口の確保、申請書の様式の統一化、専門知識を有する職員の配置などが重要なポイントであることが確認できました。こうした調査結果から、種々課題も判明しましたので、検討を進めていくにあたっては、これらを整理、調整していく必要があると考えております。以上
Iさんが私に託したのは、毎日新聞が今年2月にシリーズで出した記事でした。その記事に基づいて質問します。
大分県別府市が初めてのおくやみコーナーを開設しました。遺族はまず「お客様シート」に住所・氏名・葬儀の日付等必要事項を記入。それをもとに受付職員が決まった書式でパソコンに入力。各課はこれを共有し、同時に関係ある担当課の端末に来庁者を告げるメッセージが表示されます。これで遺族が出向いた時には「お待ちしていました」となり、後は説明を受けて署名・押印すればよい。窓口に担当職員を呼ぶこともできます。
2年前の私のワンスットップ整備の要望に対して、当局は「本市で亡くなる方の数が、年間で約5,000人にのぼることから、窓口の設置スペースや人員体制等に課題があり、困難。市民課窓口において、亡くなられた方の年齢等を聞き取り、必要な窓口の案内を行っている」との答弁でした。このシステムが順調に機能すれば職員の時間短縮にもなり、関連部署からも喜ばれているということです。なくなる人が多いからできないというのは、やる気がない言い訳にすぎません。
質問します。必要書類の一元化については、尼崎でも取り入れることが出来るのではありませんか。市の考えをお聞かせください。
答弁要旨
死亡に伴う手続きに必要な書類は多岐にわたることから、手続き書類を一元化することは、ご遺族の負担軽減につながるものと考えております。現在、使用されている各種申請書については、それぞれの目的のために作成されており、様式に統一性がないことから、今後、関係部局と「おくやみ」に係る手続き書類の一元化に向けて研究を進めてまいります。以上
「たらい回しにしないでほしい」「同じことを何度も書かせないで」死後の手続きに対する遺族の不満は大きくこの二つです。三重県松坂市は、申請書の一括作成を各課共有すること、さらに独自工夫を加え「予約制」を導入。あらかじめ来庁時間を決めておけば、関係各課は必要書類をそろえる準備が出来、窓口時間をさらに短縮できます。そして死亡届受付時に配布するおくやみハンドブックの作成をしました。ここには遺言書、生命保険の請求、車の名義変更、不動産の登記など必要な書類と手続き先の電話番号を一覧表にまとめています。時間短縮だけが目的ではなく、職員が市民と本気で向き合うことで「ワンストップ窓口」が成り立っていることに感動しました。
質問します。現時点において、なにがおくやみコーナー設立のハードルとなっているのでしょうか?
答弁要旨
本市の取扱件数を考慮しますと、議員ご指摘の「予約制」をとるにしても手続き内容の多さから一定の手続き時間が必要となります。このため、その間の待合スペースをも考慮した事務スペースが必要となり、現在の本庁舎の状況を考慮しますと、「おくやみコーナー」の設置には課題があるものと考えております。また、「おくやみ」の手続き書類の一元化、関係各課との連携や手順の調整といった課題、併せて、「おくやみ」の手続きは、多種多様でもありますので、必要な手続きが何かを適切に見極め、それに応じた説明を適切に行える人材の育成においても課題があると考えております。以上
神奈川県大和市は、「遺族支援コーナー」を開設、書類様式を統一し、予約制を導入しました。また「おひとりさま支援コンシェルジュ」と言って単身高齢者に対して葬儀や墓、亡くなった後の遺品整理などに相談に乗る案内係を設けました。さらにエンデングノートを無料配布し、市役所にもって行くと、封をして保管するサービスです。
私は、尼崎でも課題である単身高齢者の見守りも兼ねて、6行政区にある地域振興センターが中心になって、単身高齢者が安心して暮らせるようにエンデングノートの記載と保管の支援を行うことができるのではないかと思います。
質問します。一つの「おくやみコーナー」から職員が知恵を出し、高齢者の見守りまで発展させる。素晴らしい発想だと思いますが、市の見解をお聞かせください。
答弁要旨
議員ご紹介の大和市の事例も含めまして、関係部局内で情報共有し、研究してまいります。以上
おくやみコーナーのワンストップ窓口は、市職員のやる気にかかっている最高の市民サービスです。職員の業務量は増えません。事業費はほとんどかからない、地域の事情に合わせてバージョンアップできる。結果的には職員の手間も省ける、そして何よりも市民に喜ばれ「叱られることが仕事だと思っていたが、ここまで感謝されてうれしい」というのがおくやみコーナーを開設した自治体担当者の本音です。是非検討してほしい。
《がん検診の受診率向上》について
国立がんセンターの統計によると、男女ともに2人に1人はがんに罹患すると言われています。男性では胃がん・大腸がんが9・10人に1人、女性は乳がんが9人に1人、大腸がんが12人に1人の割合で罹患します。しかし早期発見・治療することで、完治が可能な疾患です。
がん検診は、無症状な早期がん、がんになる可能性が高い前期がん(たとえばポリープ等)の発見に効果があり、早期治療・完治を可能にします。
私の夫の超早期胃がんが発見されたのはやはり検診でした。ポリープを採取し精査したところがん細胞が発見され、改めてカメラ下で根底まで取り除く手術を受け10日間の入院を経て完治しました。その経験があるので検診の有効性・必要性を強く感じています。
資料をご覧ください。尼崎市のがん検診率は兵庫県下でも一番低いことがわかります。尼崎市はヘルスアップ戦力事業で、特定健診は全国でも先駆けて行い、注目を浴びた自治体です。市民の健康への意識も高いのでは思っていました。しかしながらがん検診率の低さはいったいどういうことでしょうか。
質問:県内でもダントツがん検診率が低い、その原因となっているのは何と分析されていますか?
答弁要旨
がん検診の受診状況といたしましては、いずれのがん検診も受診率が兵庫県内でも低位にあり、受診率向上に向けた効果的な対策の実施が課題であると認識しております。平成28年度に実施した「尼崎市健康づくりアンケート」では、がん検診の未受診理由として「忙しくて時間がない(16.4%)」「健康だから受診する必要がない(5.5%)」「費用がかかる(11.1%)」といった項目が挙がっておりますが、本市といたしましては、がん検診の受診場所を十分に確保できていないことも、受診率が低位である要因の一つであると考えています。以上
尼崎市のがんによる死亡率の統計によると、男女とも肺がんによる死亡率が最も高い状況です。次いで男性は胃がん、女性では大腸がんと続きますが、いずれの疾患でも全国平均より高く推移しています。やはり検診率をあげて早期発見に取り組みことが重要です。
質問:がん検診率とがんによる死亡者数が多いことについての関連はどのように考えていますか?
答弁要旨
一般的には受診率を上げることが死亡率を下げることになりますが、実際には、がんを早期に発見し早期に治療することで死亡率が低下することにつながると考えております。以上
私の知り合いなどでもおられるのですが、行きつけのクリニックでの保険内診療の中で、胃カメラや肝臓のエコー等をされています。がん検診では胃カメラの受診料は4300円です。負担感が強いのではないかと思います。
兵庫県下で検診率が一番高い猪名川町では、検診の自己負担はありますが、例えば肺がん検査200円、胃がんの検査でも600円です。これなら受けてみようという気になると思います。
尼崎市はヘルスアップ事業との相乗効果を期待して「スズメ通信」には「がん検診を一緒に受けましょう」言う案内が同封されており「そろそろ特定健診しないといけないなあ」という気になります。そして私の場合はがん検診のオプションをつけて特定検診の受診予約をします。
ヘルスアップ戦力事業とがん検診のそれぞれの良いところと利便性をタイアップしたら相乗効果が期待されます。そのことを市民に積極的にアピールをすることが必要です。
質問:さらなる 検診率を上げる努力が必要、今後どのようにやっていきますか。
がん検診は企業検診で行ったら県に情報が行きます。保険診療でも市には情報は来ません。だから市の受診率はそう上がるものではありません。でも県下で尼崎が一番悪いというのはあまりにもひどい。受診率目標の50%を達成すれば、がんで亡くなる人が確実に減ります。
答弁要旨
特定健診とがん検診の同時受診は、受診率の向上対策として国や県からも推奨されており、本市においてもすでに実施しております。今後はこうした機会を拡大するため、医療機関や地域巡回拡為検診の更なるを図るとともに、市民の皆様にがん検診について正しい知識をもっていただき、早期発見の重要性を理解していただけるよう、普及・啓発にも努めていきたいと考えています。以上
次は松沢議員に代わります。