2020.9月議会 川崎としみ議員の一般質問と当局答弁概要

 日本共産党議員団の川崎としみです。今回の一般質問では主に職員のみなさんの働き方問題を取り上げたいと思います。

 今回の新型コロナウイルスパンデミックの中で、職員のみなさんの奮闘ぶりが注目され期待されています。この間の職員のみなさんの奮闘に心から感謝申し上げ、敬意を表したいと思います。

 全国の自治体職員が自身の健康と命を懸けて向き合う姿は、9年前の東日本大震災の時のことが思い起こされます。

今回のことは全ての人の命にかかわることですから、これまで以上に自治体職員の仕事の大切さが理屈抜きで理解されてきていると思います。

 これまでの自治体職員が削減され続けてきたこと、コストと効率性の論理の「改革」が断行されてきたこと、これらが間違いであったことが如実に示されたのではないでしょうか。

 自治体職員には、住民のニーズの多様化によりますます高い質の仕事を求められてきたにもかかわらず、全国的に一般行政部門の定員は、25年前と比べて54万人、2割以上も削減されています。

 

(ア)市の職員人数の変化

市の職員の人数また非正規との構成割合は、25年前と比較してどのくらいになっているのでしょうか?尼崎市の実態について事前にお聞きしました。

25年前の市職員の数は5614人ですべてが正規職員だったと思われるとのことです。(他の働き方が統計的には数字で把握されていないから不明とのこと)現在は、正規職員3135人と再任用フルタイム職員122人(65歳までのOB)を加えて3257人の正規職員となっています。25年前と比較すると正規職員は2357人減少しています。

その差をカバーしているのが1815人の非正規職員です。

つまり25年前は、正規が5614人とした場合、今は正規3257人と非正規1815人を合計すると5072人で、542人減少しています。比較すると25年前の約90%となっています。しかし正規職員だけの数を見ると58%となっており尼崎市は4割以上も職員を減らしてきているということになります。

(人口488.586人→463.236人減少率94.8%)

(イ)長時間労働と健康問題

【事例1】ある正規職員の働き方についてです。

『昨年1年間だけでも、80時間を超えて働く月が何回もあった。産業医との面談を4回行ってきたが、状況は変わらず、結果長時間労働が繰り返され、また産業医との面談、でも解決できずに同じ状況を繰り返している。市民のためにと思えばやりがいのある公務員としての仕事だけれども、土・日も出勤、自分の時間も持てない今の状況から抜け出すためには、仕事をやめざるを得ないと思っている。』との話を聞きました。

たまたまこの職場には人手が不足していたからこのような問題が起こったのでしょうか。それとも個人の働き方に問題があったのでしょうか、周囲の職員はなぜ助けないのでしょうか、チームとしての仕事の取り組みができていないのはなぜでしょう。所属長は職員の仕事の管理をしなくてもいいのでしょうか?

単月で、または2月から6か月間の平均で過労死ラインの81時間以上の残業をしている職員は産業医と面談することになっています。その人数について当局に確認したところ、市長部局で90人(2797人中3.2%)教育委員会で6人(県費負担の先生は除いて451人のうち1.3%)、公営企業局4人(300人中1.3%)となっています。この状況は昨年度の状態です。

産業医との面談は100人中1人から3人程度で、長時間労働が蔓延しているとは思えない実態です。しかし事例(1)のような複数回、産業医との面談を繰り返している実態は見えてきません。問題は偏在しているのではないでしょうか。

 

Q1.お尋ねします。産業医との面談を繰り返しているケースはどのくらいあるのでしょうか。このような問題が、解決されなかったのは、何が原因だったのでしょうか。職員数を減らしてきたからこのような長時間労働の問題が起こってきているのでしょうか?市の見解を求めます。

答弁要旨

昨年度、複数回にわたり産業医面談の対象となった職員は市長部局で25人でございます。その原因としては災害対応をはじめ、急な制度変更への取組み、予算編成や人事異動、議会対応など、時期の集中や業務の性質によるものが大部分を占めております。

また、過去に行いました行財政改革計画に基づく大幅な定数削減につきましては、事務事業の見直し等に合わせた業務量の縮減や民間委託を行う中で、進めた

ものでございますが、「あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクト」策定後は、増大する行政ニーズに対応するため、業務量に見合った定数の調整を行うことで、一定の体制の維持・強化を図り、令和元年度におきましては財政

類似団体と同程度の職員規模になっております。

今後につきましても、ICT化の推進等による抜本的な業務手法の見直しや、より積極的な事務改善に加え、事業の休廃止等による職員数に合わせた業務量の調

整を行うなど、働き方改革に向けた取組を進めながら、効果的かつ効率的な執行体制を構築する中で、長時間労働の縮減にも取り組んでまいります。以上

 

産業医との面談を行っても、労働安全衛生上、形だけであるということは多くの職員が感じていることであり、また職員労働組合も指摘し改善を要望しているが、改善が進まない実態であるということです。

 

Q2. 残業時間が過労死ラインを超えているにもかかわらず、それが改善されない原因は何なのか?産業医との面談は、その人の働き方の改善に向けてどのように生かされているのか?お答えください。

 答弁要旨

超過勤務の縮減に取り組む中、依然として1か月あたり80時間を超える超過勤務を行う職員が一定数見られる要因としましては、仕事の進め方や職員の意識などの面にも課題があると考えており、今年度からは、新たに策定した特定事業主行動計画2020のもと、災害対応等を除く超過勤務には上限を設け、全庁的にこの遵守を徹底することを通じて、業務の見直しや意識改革などの促進を図っているところです。

また、産業医面談につきましては、まず職員と面談を行い、超過勤務の実績や体調確認のチエックシート等を参考に健康状態を確認し、その内容を踏まえて所属長とも面談を行い、長時間勤務が続いている場合は配慮を促すほか、健康上特に注意が必要な職員については、長時間勤務を制限すべきとの意見を伝えるなど、健康管理の視点から長時間勤務が改善されるよう努めているところでございます。以上

 

ここまで過労死ラインを超えて働いている人の問題を取り上げてきましたが、そこまで至らなくても、残業をする職員はどの程度存在するのでしょうか。市職員組合から得られたデータに基づいて、質問します。

 

労働時間とワークライフバランス

 仕事と生活が調和したワーク・ライフ・バランスが成長戦略の最重要課題とされていますが、自治体職場ではその達成は容易ではありません。ワーク・ライフ・バランス社会とは、①就労による経済的自立が可能で、②健康で豊かな生活のための時間を確保できる、③多様な働き方・生き方の選択ができる社会です。性や年齢にかかわらず、だれもが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、育児や介護など生活状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されているということです。

事例(1)の職員にとっては、ワークライフバランスの生活とは無縁です。ほぼ連日残業を行い、土日も返上で働き、このような状況を何年も続けてきているとのことです。

その他にも、職員の皆さんの声を紹介します。

【事例2】ある職場ではコロナ禍の下で、これまでの相談と比較して市民の相談件数の5年分に相当する数がこの3か月間で押し寄せた、日々面談におわれる一日で、その事務処理を残業をしてこなしてきた。

ゴールデンウイークも出勤で休むことができなかった。事務補助員が増員されて少しは助かったが、本音の所では専門性を備えた正規職員の補充が欲しかった。

ピーク時には電話の応対など市民の相談受付を事務補助員に行ってもらった。しかし、市民の抱えている潜在的な問題を様々な角度から聞き出し、問題を見出しそれを解決に導いていく相談活動には限界があることを感じた。もっと余裕のある職員配置でなければと思った。

また現場の状況について部課長がもっと把握して実状に見合った対策を行ってほしいとの要望が出されていました。

コロナで大変だからと、年1回の上司との懇談がなくされた、逆にこのような時だからこそ話を聞いてほしいと訴えていました。

【事例3】

時短を申請している職員がコロナ禍で時間通り帰れずに、周りがその方の仕事をフォローしてがんばったが、仕事が回らない状況で、時短申請しているその方は、ついに保育園が預かりができなくなる中で、遠く離れた実家に子どもを預けて急場をしのいでくれた。

【事例4】ある職場では、業務の疲れとともに職場内でのトラブルでメンタル疾患となり、休まざるを得なくなっているが、人員補充がされずその方の仕事も分担するということになり過酷となっている。

これらの事例は、コロナ禍のもとでどこの職場でも起こっていることだと推察できます。だからと言って放置できる問題でもないと思います。

Q3.これらの事例について市は現状を把握しているのか、また職員の働き方の現状について、市長はどのような感想をお持ちでしょうか?

答弁要旨

地方公務員は、全体の奉仕者として市民の生活を守る責務があり、今回のような非常事態の時こそ、その責務を果たすべく最前線で行動することが求められており、今般のコロナ禍におきましても、職員は懸命にその対応にあたってきております。

こうした中、ご指摘のような、一時的に業務が集中しワークライフバランスを保つことの難しい事例等が生じていることは認識しており、特定の部署や職員への業務の集中など、組織マネジメント上の課題が今般のコロナ禍の中で、より顕著に現れているのではないかと感じております。こうした職場や職員への対応といたしましては、産業医に加え産業カウンセラーも個別にカウンセリングを実施するなど、職員の心と体の健康管理には一層留意しているところでありますが、組織のマネジメントカの向上に努め、職員が安心して職務を遂行し、市民生活を守ることができるよう取り組んでまいります。

 

市職員組合から得た資料によると、2019年度の超勤が年間360時間超の職員は、全庁の職場で153人います。最も多い部局は健康福祉局の33人、ついで教育委員会が27人となっています。突出している健康福祉局の2019年度の超過勤務時間は、合計62,022時間です。

課で言えば教育委員会事務局幼稚園高校企画推進担当が7名で3517時間、平均して1人502時間で群を抜いています。こども青少年局児童課が8名で3723時間。平均して1人465時間です。課のすべての職員が同じように残業や土日出勤をするのではないでしょうから、一部の職員に過重負担が生まれていると考えられます。それにしても多すぎます。

 

Q4.お尋ねします。超過勤務が突出している2つの課は、何が原因でこのような状況となっているのでしょうか?具体的に改善策を講じるべきだと思いますが、お答えください。

答弁要旨

昨年度の児童課において超過勤務時間が多かった理由といたしましては、職員の人事異動に伴うものや、年度途中の職員の休職に加え、職員の退職といった特殊な要因が重なったことが原因であると考えております。

今年度は、欠員補充など体制も整備したため、昨年度のような超過勤務時間にはならないものと考えております。以上

 

昨年度の幼稚園・高校企画推進担当は、主に、令和元年10月から始まる幼児教育無償化に係る業務を担当し、限られた大変短い期間の中で準備を行う必要が

あったことから、業務量が一時期に集中し、超過勤務が増加したことが、主な要因と考えております。

当時、職員の負担軽減を図るため、複数の臨時的任用職員を任用するとともに、超過勤務が長時間に及ぶ職員については、産業医面談等により、心身面のケア

に努めるなど、超過勤務の抑制に向けた対策を講じてきたところでございます。

今年度からは、教育委員会におきましても、市長事務部局と同じように、超過勤務命令の上限時間を設定するとともに、一時期に増加する業務に対する体制の弾力的見直しなど、機動的かつ柔軟に業務量の平準化を図り、より一層の超過勤務の縮減と職員の健康管理に努めてまいりたいと考えております。(以上)

 

これも同様に提供を受けた資料ですが、2018年に休職している職員は全体で49人でした。疾患別による集計がされおり、一番多い疾患は「精神および行動の障害」による休職で、全体の83.7%(41人)となっています。そのうち、18歳~34歳までの占めている割合が37%(15人)となっており、若年層のメンタル疾患の割合が大変高くなっています。

 

Q5.お尋ねします。18歳から34歳までの若年層が休職しており、その理由のほとんどが「精神および行動の障害」という実態は、働き方、働かせ方に問題があるということを示していると思いますが、当局の見解を示してください。

答弁要旨

精神および行動の障害、いわゆるメンタル不調による休職者は、すべての年代において発生しており、年代別の職員数の割合からいうと、若年層が特に多いというわけではありませんが、休職者全体で見るとメンタル不調の割合は高くなっているところでございます。

メンタル不調の原因としては、コミュニケーション不足等による人間関係に起因するもの、本人の能力や性格によるもの、業務の質及び量が要因となるもの、あるいは家庭の事情によるものなど、さまざまな要素が複合的に関係しており、一概に特定することは困難でございます。

こうしたことから今後も、個々の事例にあわせた細やかな対応を行ってまいります。以上

職員のワークライフバランスを実現することは、職員自身だけでなく、住民が受けるサービスの質的向上という点からも重視すべきです。その実現を阻止している要因は何なのか、具体的にみていきたいと思います。

 

(ウ)年齢構成のアンバランス

市は、一時期、現在30代から40代初めとなる職員の新規採用を控えたため、この世代の職員が不足しており年齢構成のアンバランスという問題を抱えています。結果、新卒の20台の職員にとっては、年齢が近くて身近な存在としての30代の職員が少ないために、職場への慣れや受け入れに一定の困難性が認められるなどの声があります。また将来的にも問題が現れてくるのではないでしょうか。

宝塚市などが行ったように、就職氷河期の人たちを積極的に採用するなどと同様な、対策を講じてもいいのではないでしょうか。

 

Q6.今後、職員構成上の年齢構成のアンバランスという問題克服のために中途採用試験などに取り組む考えはないのか、お聞かせください。

答弁要旨

一時期凍結していた職員採用試験を再開した後は、受験対象年齢を以前と比べ5歳高く設定するなど、年齢構成のアンバランス解消を図るとともに、将来に向けて組織力を維持していくため、能力や意欲のある若手職員の積極的な管理職登用に努めているところでございます。

また、今年度実施の職員採用試験におきましては、就職氷河期世代の就労支援及び社会参加支援の観点から、就職氷河期世代を対象とした試験区分を設けたところでございます。

今後も、社会情勢に応じつつ、組織力の維持・向上を念頭に置いて、職員採用等を行ってまいります。以上

 

(エ)若手職員の養成

 一般職の新採用の職員の異動が概ね10年間で3度あり、各職場で様々な体験を積んで、10年目以降本人の希望に基づく配置をするというジョブローテーションという制度があります。しかし、新人を受け入れる側の職場では、せっかく育ても他に移ってしまって仕事の専門性や経験が蓄積されずに、また新たな職場で一からの出直しになっている面が出てきており、その当人ならず育てる側の職員の士気が低下するという問題があるとのことです。実際に新しい職場になじめずやめていく人をたくさん見てきた、ベテラン職員の声もあります。本人や新人を受け入れた職場の意見を聞きながら人事を行うべきではないのか。10年経ったら、本当に自分がやりたい仕事につけるのでしょうか。実態は希望を出しても、ほとんど受け入れてもらえないというのが職員から聞いた声です。機械的な新人育成スタイル、研修制度となっていないか、見直すべきではないでしょうか。

また入職して1年目の職員が、2年目には市外に出向を命じられて、まだ自分の所の市の状況も把握できていないのに、早期の他所への出向は問題があるのではないかとの声もあります。

 

Q5.若手職員の養成について、ジョブローテーョンの見直し、早期の他職場への出向等、現場の声を聞き改善策を行うべきだと思いますが、市はどのようにお考えですか?

答弁要旨

若手職員の人事配置につきましては、ジョブローテーションの考え方に基づき、採用後10年間に2、3箇所程度の職場を経験し、行政職員としての資質を養い、基礎的知識や対応力を身につけることを基本としつつ、以降のキャリアパスを見出し、適性に着目した人事異動を行うよう努めているところでございます。

こうした考えは人材育成ひいては組織力の強化につながるものと考えており、今後も、若手職員の人事配置につきましては、所属の意見や職員本人の希望も十分参考にしながら、能力を活かし、やりがいを感じながら、成長を促していけるような観点で行ってまいりたいと考えております。以上

 

(オ)機構改革のありかた

 市制100周年の記念事業や、子どもの育ちを重視して、市長部局と教育委員会の垣根をなくす等、様々な理由でこの間機構改革が行われてきました。内部的にも職員の異動が多すぎて、専門性や技術が継承されない、課によっては正規・非正規の数が逆転したなど、弊害が生まれているということをお聞きします。

また、保育の無償化にかかわる業務が、幼稚園を司る教育委員会と保育園の市長部局とで別々に行なわれており、事務処理に限ってヨコの連携をすれば作業の効率化ができて、現場の職員負担を軽減させることができるのではないかということも現場の声として聞いています。事務の統合などもっと臨機応変の対応もあってよいのではないかと思います。

 

Q6.機構改革が相次いだこの間の取り組みについて、どのように総括しているのか?また事務の効率化のために積極的にヨコの連携を強めて、事務処理を統合することを臨機応変に実施することで、職員の負担を軽減することはできないのでしょうか。

 答弁要旨

機構改革にあたりましては、各年度における重点課題を踏まえた推進体制の強化を含め、今日的な行政課題に対して迅速、柔軟に対応するための組織体制を整

備しており、市政推進に関して一定の効果があったものと考えております。

また、年々多様化、複雑化する行政需要に対応するため、組織体制の整備とあわせまして、施策評価においても関連する施策間の連携を確認するなど、組織をまたいだ連携強化を進めておりますほか、事務処理の統合やICT化の推進に伴う働き方改革の推進等、事務改善を進めているところでございます。

今後につきましても、引き続き本市全体における効果的かつ効率的な執行体制の構築に向けた取組を進めてまいります。以上

 

 職員の人事評価制度

 人員削減の影響もあって自治体職員は仕事が過密化し日常的な残業に追われ、かつての「楽な公務員」というイメージからかけ離れた現実となっていると思います。こうした状況が続けば住民サービスの低下を招いてしまうのではないかと懸念しています。

職員の人事や給与などの勤務条件を規定する地方公務員法が2014年に改正され人事評価制度が義務付けられました。人事評価は上司と部下とのコミュニケーションの円滑化や仕事に関連する能力開発だけに使用されるならば意味はあります。しかし今回の導入のねらいは、「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎」に活用することを義務づけています。

給与や一時金に人事評価を直接反映させることは職員に大きな影響をもたらします。職員間で摩擦も発生しかねません。中には分限(解雇)の手段に使おうとしている自治体すらあります。それだけに公正な評価が必要です。

人事評価制度の導入が義務付けられてから5年が経過しました。総点検が必要だと思われます。

 

Q7.尼崎における職員の人事評価制度は、どのように行なわれているのか?5年間実施してきて、今後の課題をどのようにとらえているのでしょうか?

 答弁要旨

従前から職員の育成を目的に人事評価制度を運用してまいりましたが、平成25年度に評価結果と処遇反映を繋げた制度に大巾に改定いたしました。

具体的には、上司と部下との面談、部下が上司を評価する多面アンケート、不服申立て制度、職員アンケートや評価者研修といった公平公正かつ効果的に制度運用を図る仕組みを導入し、現在に至っております。

これまでの評価結果の分析から「マネジメント能力」や「自ら課題を解決する能力」が職員の弱みとして浮かび上がっており、それらの向上を図ることが課題でございます。昨年度には、本市の人材育成基本方針である「はたら

きガイド」を見直し、その中で人事評価項目の再編も行いましたが、その際には「マネジメント能力」や「考える力」に重きをおき、具体的な行動事例も作成いたしました。

こうした内容がしっかりと職員間に浸透していくよう、人事評価制度の運用に努めてまいります。(以上)

 

以上で第1問を終わります。

 

第2登壇

尼崎市は、正規雇用の定員削減による人手不足を、労働密度の引き上げ、恒常的な長時間労働、非正規職員化、業務の民間委託、アウトソーシングなどという手法で、乗り切ろうとしてきました。その結果、職員のワーク・ライフ・バランスや住民サービスの提供という点で大きな問題が生じているのではないでしょうか。必要な所に必要な手立てを行うこと、何よりも人的な手当てが必要です。

 

引き続き働き方改革、働かせ方改革の問題を続けます。

 

非正規の職員のありかた

全国平均では非正規の職員の割合は5人に一人と20%の構成比率となっています。尼崎市では正規職員(3257人)と非正規職員(1815人)で、全体5,072人の約35%を非正規職員が占めています。そしてその非正規職員の内訳は、①再任用短時間職員78人、②会計年度任用職員の非常勤行政事務員1065人、③会計年度任用職員の非常勤OB事務員120人、④会計年度任用職員の非常勤事務補助員552人となっています。

非正規職員は、働く時間も限られており、1年ごとの契約更新と、雇用は不安定です。賃金も最低賃金を少し上回る水準で、経済的自立は困難です。

住民サービスの向上という点からも、抜本的な改善が不可欠であり、非正規労働者保護のための法律も公務の分野に広げることも課題となっていると思います。  

今の制度のもとでは、採用試験に合格して正規になる道以外、いつまでも非正規のままです。雇用形態も異なり、格差も生まれて、同一労働・同一賃金も守れない状況で、働かせ方改革が求められていると思います。

非正規の人でも正規職員並みに仕事ができる能力を持つ人はたくさんいると思われます。年齢制限なしに正職に引き上げていく制度をつくるべきだと考えます。

 

Q8. 非正規の人でも、年齢制限なしに正職に引き上げていく制度をつくるべきだと考えますが、市の考えをお示しください。

答弁要旨

常勤職員の採用には、地方公務員法上、平等取扱いが求められるとともに、競争試験等により常勤職員としての能力実証を行う必要があるとされております。

こうしたことを踏まえますと、本市で会計年度任用職員として任用されていたことをもって、常勤職員の採用において優先的な取扱いとすることは、平等取扱いの観点から問題があり、また、常勤職員と従事する業務の性質が異なる会計年度任用職員としての働きぶりをもって、常勤職員としての能力実証をすることも難しいと考えております。

したがいまして、現行法上、競争試験等により常勤職員として採用されることを除いては、会計年度任用職員を常勤職員に引き上げる制度を設けることはできないものと考えております。以上

 

AI・ロボティクスと公務労働

2018年に発表された「自治体戦略2040」「スマート自治体」構想では、人口減少がやってくるから、それに備えるためにAIとロボティクス(これまで手作業でやっていた、定型の事務処理をパソコン内で自動処理するシステム)を活用して自治体職員を半分にするという方針が掲げられています。つまりは人口減少を口実に、自治体のあり方を変えて、公共サービスの産業化、民間化を進めていこうということです。

しかし、ただでさえ諸外国と比べても公務員数が最少人数となっているのが日本の実態です。2005年の統計で、人口千人当たりの公務員数をみると、英35.9人、仏42.7人、独69.6人、米73.9人、日本は29.6人にしかすぎません。この理屈は筋が通っていません。

AI導入の注意点として3つの事があげられると思います。①住民サービス向上のためにAIをどのように使うのか②導入されたAIがそれぞれの職場の仕事のツールとして機能しているのか③長時間過密労働の軽減になっているのか?

その事例の紹介として、さいたま市での保育所入所の振り替え実務のAI導入実験をご紹介したいと思います。

2016年から1年間かけて準備。およそ考えられる入所申請者の様々な希望(市民ニーズ)に応じる制度設計を行った。(その内容は、申請者の勤務状況、介護の有無などから生じる保育所入所に関する優先順位、各家庭の姉妹・兄弟の同一保育所での入所希望、同一保育所への希望でも空き枠がない場合は一人でも入所させるのか、同時に入所できるまで待機するかなど)

こうしたデータの入力を行ったのち、AIを稼働させたところ、これまでの保育所300カ所・8,000人の振り替え作業に30人で延べ1,500時間もかかっていたものが、ほんの数秒でできたということです。手作業との一致は93.1%に達しました。しかし2020年は機械トラブルで使えず、急きょ手作業で対応したとのことです。

この導入実験での検証の中で、さいたま市の職員は、AI導入は、保育課の担当している業務の一部でしかない、AIによって保育課の職員を代替えすることが可能とするのは一面的にすぎないと述べています。つまりAIを使うことは、業務の効率化を生み出すが、人間が入力や制度設計や運用の手直し等携わらなくてはならない、あるいはAIに不都合が生じたときの対策を講じておく必要があるといった点から、必ずしも、職員の削減につながらないということを主張しています。

尼崎市でも今年度の主要事業でAIによるさいたま市と同様の取り組みが予定されており、AIの活用により、業務効率化・適正化ワークライフバランスの推進を図るとしています。(8.646千円の事業費、300時間削減)その進捗状況はどうなっているのでしょうか?

 

Q.9 AIとロボティクスの活用、その進捗状況について教えて下さい。

答弁要旨

まず、AIに関しましては、平成30年6月より、市民からの問い合わせにAIを活用して対話型で回答するrAI案内サービス」の実証実験を行っております。また、今年度から保育所入所事務にAIを導入することとし、先日、導入事業者を決定し、システム導入を進めているところでございます。

次に、ロボティクス(RPA)に関しましては、昨年度は3課4事務に先行導入し、年間相当で1,371時間の効率化を、今年度は新型コロナウィルス感染症関連で、保育料の減免入力事務等に導入し、1,000時間以上の効率化を実現しており、さらに実施業務を追加してまいります。

以上

AIは自治体職員に代わって公務労働を担えるわけではありません。AIを補助手段ツールとして、どのような業務にどのような形で使うことが、住民サービスの向上になるかを問う必要があります。提供するIT企業に任せるのでなく、現場で議論する必要があります。

 

Q10.AI活用にあたって職員の参加、住民のニーズ把握のためにどのようなことが行われていますか、お答えください。

答弁要旨

まず職員の参加につきましては、ICTセミナーへの参加や先進自治体との情報交換などで、AIを学んだ情報政策課職員と、業務改善の必要がある所管課職員が、

改善が必要な事務に、どのようなAIが適しているかを議論し、ICT事業者によるデモンストレーションや実証実験を行った上で、AIを活用した業務改善を実施しています。

次に住民ニー一ズの把握につきましては、rAI案内サービス」において、利用者アンケートを実施し、その結果をもとに、利用者が求める機能改善を図っています。今後も市民ニーズの把握に努め、AIシステムの改善を進めてまいります。

 

ワンストップサービス

これまで市は南北の保健福祉センター、そして今回のコロナ関連の総合相談窓口などワンストップサービスでのぞむとしてきました。しかし実際のところ、これらの相談窓口では、相変わらず市民があの窓口、この窓口と動かざるを得ない状況となっているのではありませんか。最初の電話での相談、直接対面で相談を受ける人がどのような経験があるのかという事も問われています。コロナで忙殺されたとき受付を非正規の人に行ってもらうなどの対応で急場しのぎをせざるをえなかったという事もありますが、本当に住民により相談活動を行っていくためには、専門家の配置、公務として相手の人権を尊重する対応等プロフェッショナルな応対が求められていると思います。さらにそれぞれの部署での対応がチームで連携して行うなど結束力を高めていく取り組みが必要とされていると思います。

特に南部の保健福祉センターに住民票などの発行、照会体制がないことは致命的だと思うのですが、改善は検討されないのでしょうか。

 

Q11.これまでの総合相談窓口としてのワンストップサービスについて、当局はどのように評価し、今後の課題をどのように考えているのか。今後他の部署にも広げていく計画はありませんか?

答弁要旨

総合相談窓口につきましては、市民一人ひとりに寄り添う中で住民ニーズを把握し、次の支援策へつなげていく必要があると考えております。

南北保健福祉センターや新型コロナウイルス総合サポートセンターも市民に寄り添い、できる限りワンストップで市民ニーズに対応するよう設けたものです。

保健福祉センターやコロナウイルス総合サポートセンターの運用で得られた経験を踏まえ、今後はICT化の推進や組織をまたいだ事務の連携強化を進めながら、限られた財源や人的資源の中で、引き続き市民生活に寄り添った行政サービスの提供に努めてまいります。

以上

 

さらに総合相談のワンストップサービスの拡充を求める、市民からの要望はいまだに強いものがあります。例えば死亡届や高齢者・障害福祉の相談窓口などです。そのためには、相談者の接遇にたけた、相談内容を的確につかめる、高い専門性を有する、チーム対応ができる等、職員の配置が必要です。

 

アスベスト

今年の通常国会で6月に大気汚染防止法が改正されています。そのなかでアスベスト、石綿粉じんに対する規制に関する一部改定法案も可決・成立しました。これまで、非飛散性であるとして、規制が先送りされていた「レベル3」石綿含有建材(壁材など)が使われた建物解体に伴う石綿飛散防止対策が盛り込まれています。

 

石綿は2006年の全面禁止になるまでおよそ1000万トンが輸入されています。石綿含有建材は、建築基準法で耐火・不燃材とされたことから、鉄筋コンクリートの建物だけでなく、多くの木造戸建て住宅などにも使用され、その数はおよそ3千3百万棟にも及びます。8年後の2028年には解体のピークを迎えるといわれており、今回の大気汚染防止法改正では石綿飛散によるばく露を防ぐための抜本的な飛散防止対策が期待されていました。

2018年の石綿による中皮腫や肺がんによる死亡者数は4650人にのぼり、交通事故の死亡者数3532人を大きく上回っています。尼崎では国内で最大の被害を生んでいます。

静かな時限爆弾と言われた石綿は、深刻な健康被害を引き起こしてきました。石綿粉じんは花粉の1500分の1で0.02マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)と微細なため、解体工事等で飛散した石綿粉じんを吸い込むことでばく露し、その後数十年から40年程度で中皮腫や胸膜プラーク、肺がん、石綿肺といった生命にかかわる重大な疾患を発症させます。

 

ところで、JR立花駅北側の立花商店街周辺で、立花市場とコープ立花店が取り壊され、高層の建物が建設予定です。既存の施設にはアスベストが含まれており、解体工事の影響はどうなるのかと、周辺住民が説明会を求めて、8月25日と27日にコープ立花店に関する説明会が行われています。私も説明会に参加して確認したところ、工事の際には大気濃度測定などが行われ、レベル1・2の建材については、飛散防止対策も一定進んでいるかと見受けられました。しかしレベル3建材については「飛散性が低い」とのこれまでの認識で、養生して集塵排気装置を使用するとまではなっていませんでした。

 

Q12.石綿が含まれていると想定される解体工事に際して、市の指導はどのようになされているのでしょうか?

答弁要旨

本市が行っている、飛散性及び非飛散性アスベストの除去に関する主な指導につきましては、法令等に基づく届出や作業基準の順守に加え、本市独自の取り組みとして、アスベスト含有建材の見落としによる解体を防ぐために、把握できた約1,000件のすべての解体現場への立入りを実施し、現地において建材の確認方法や作業方法などの指導を行っております。

さらに、飛散性アスベストの除去工事の際には、集じん装置等の検査や除去開始時の簡易測定に加え、除去期間中の抜き打ち検査、除去後には業者立会いのもとでの完了検査などの取り組みにより、一層の飛散防止対策に向けて指導を行っているところでございます。

以上

 

今回の法の大気汚染防止法の改正で求められていたものの、大気濃度測定の義務化は見送り、レベル3建材を規制の対象に加えているが、飛散防止措置を義務付けていないなど不十分なものとなっています。

 

Q13.自治体においてレベル3建材を含むすべての建材に対して、大気濃度測定の義務化や隔離養生等、必要な飛散防止の措置が求められていると思いますが、市はどのように考えていますか?

答弁要旨

本市のアスベスト除去時における飛散防止対策につきましては、「大気汚染防止法」及び兵庫県が定める「環境の保全と創造に関する条例」に基づき実施しているものでございます。

今回の大気汚染防止法の改正では、除去時の「大気濃度測定の義務付け」が「引き続き検討課題」として見送られましたが、本市では環境省の「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル」を参考に、飛散性アスベストを除去する際には大気中のアスベスト濃度測定を指導しており、事業者において測定が行われております。

また、非飛散性アスベストにつきましても、兵庫県の条例に基づく作業基準を順守するよう指導しております。

本市におきましては、引き続き法令や兵庫県が定める条例等による対応に加え、現地での確認及び指導を基本とした対応を行い、飛散防止対策に努めてまいりたいと考えております。(以上)

 

第3登壇

ここでは要望を述べさせていただきます。

 

2019年度超過勤務手当等実績によると、全庁の超過勤務時間数は28万時間を超えています。少し乱暴な計算かもしれませんが、超勤の時間給は2割5歩増しで2,500円で換算すると、残業代の総額は約7億円を超えます。すぐに、すべて残業をなくすことはできませんから、この金額の半分3億5千万円を活用して新たな雇用を増やすことは可能ではないでしょうか。一人につき400万円とみると87人新たな人員を増やすことができます。非正規の人を正規職員に引き上げれば、元々賃金を200万円支払っているのでの160人を超える人員を確保できることになります。この人たちの総労働時間は一人年間2000時間とすると32万時間、昨年の総残業時間28万時間を余裕をもってカバーすることができるようになります。ワークライフバランスが取れた職場を実現することが可能となるのではないでしょうか。

ぜひとも真剣に検討されることを要望するものです。

 

正規、非正規を問わず一人ひとりの職員が大切にされる市であってほしいと思います。職場によっては繁忙期だけでなく、恒常的に長時間労働が蔓延して人手が足りない、なかなか人の手当てがされない。こうした状況が続けば、職員のスキルは下がり、ひいては市民サービスの低下を招かないか、心配するところです。

ある若手職員の話、「公務員として仕事をやることは、直接市民からありがとうと言われる、市民から感謝されていると思うとやりがいがある仕事」ということを聞きました。多くの職員がそのような思いを共有されていることと思います。

職員がこれからも働きがいを感じて仕事ができる環境、職場を整えていくべきだと考えます。

以上で私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。