2020.9月議会 徳田稔議員の一般質問と当局答弁概要

2020年9月議会 徳田みのる議員の一般質問と当局答弁概要

第1登壇

 日本共産党議員団の徳田稔です。私は新型コロナ感染拡大のなかでの経済対策、国の自治体戦略2040構想での自治体のあり方、社会福祉協議会への市業務の委託、生活保護受給者の熱中症による孤独死などについて順次お聞きします。

 

まず、新型コロナウイルス感染拡大の中の経済対策についてです。

 

 新型コロナウイルス感染が広がる中で、医療崩壊の危機が訴えられ、併せて国民への自粛要請によって、中小企業・小規模事業者は経営難に陥り、失業者が増加、多くの医療機関も経営が悪化、市民のいのちとくらしの危機的な状況が続いています。

 憲法では、第25条2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」としています。

 このようなコロナ禍では、公衆衛生、医療体制の強化とともに、地域の産業や雇用、人々の暮らしを守っていかなければなりません。

 そのような中で、内閣府が8月17日に2020年4月から6月期の国内総生産(GDP)速報値を発表しました。年率換算で27.8%と大幅に下落、9月8日にはさらに28.1%減へ下方修正されました。昨年10月からの消費税10%増税で弱体化した日本経済に、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけ、戦後最悪の落ち込みとなっています。

コロナ禍でいためつけられている雇用や営業への支援を抜本的に強化するとともに、経済の立て直しには、国民・市民の懐を温める思い切った対策の実施が求められています。

 国の持続化給付金は事業者の支援として、売上が50%以上減少し、大きな影響を受けた事業者に法人200万円、個人事業者100万円を給付します。

家賃支援給付金は、家賃負担の支援として、地代家賃の一部を6カ月分、法人は最大600万円、個人事業者は最大300万円を給付します。

 雇用調整助成金は、事業主が労働者の雇用維持を図るために、労働者に支払う休業手当、賃金などの一部を助成するもので、9月末までの特例措置は12月末へ延長されました。

杭瀬のあるカラオケスナックはコロナ感染拡大で客の足が止まり廃業、美容室は、持続化給付金で当面をしのいでいるが苦しい、飲食店からは、阪神尼崎駅近くをはじめ各地で悲鳴の声が上がっています。

国は、国内旅行を支援するGOTOトラベルやプレミアム食事券とポイントを付与するオンライン飲食予約のGOTOイートなどを行いますが、コロナ危機から市民生活を守るためには、消費税の減税が一番有効な対策です。

世界各国では、コロナウイルス感染拡大が経済を直撃する中で、打撃を受けている業界を支え、消費を活性化させるために、日本の消費税にあたる付加価値税の減税をイギリス、ドイツ、オーストリアなど20か国で実施しています。

 

Q1,お尋ねします。消費税率の5%への引き下げで景気を刺激させ、経済を活性化させるよう、国に求めるべきと考えますがいかがですか

 

答弁要旨

 消費税につきましては、国と地方を通じた財政の健全化や社会保障施策の財源となるものであり、市歳入の一部となるものでございます。

 今般の新型コロナウイルスによる本市への影響につきましては、市民生活や地域経済への打撃により市税の大幅な減収等、財政運営への大きな影響が危惧される状況でございます。

 こうしたことから、ご指摘のような税率の引き下げにつきましては、税率変更いよる事業者への負担も伴うため慎重な対応が必要であるものと認識しております。

 また、本市におきましては、国の交付金を活用する中で、「尼崎のお店まるごと応援プロジェクト」をはじめ、10月から実証実験で実施する「SDCs地域ポイント制度推進事業」などを通じて、消費喚起を促進し、地域経済の振興と活性化につなげてまいりたい。

 

持続化給付金や家賃支援給付金の申請は1回限りで、経営維持に必要な固定費の支払いに事欠く事態になっています。コロナ感染が長期化する中では、多くの事業者は継続のために再給付を求めています。

 

 

Q2、お尋ねします。持続化給付金と家賃支援給付金の再給付を国に求めるべきではないでしょうか、お答えください

 

答弁

 国の持続化給付金と家賃支援給付金につきましては緊急事態宣言の発令を受け、営業自粛等により特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業を継続していただく目的等で現在も給付を行っているものでございます。

 今後につきましては、感染拡大状況や国・県の動向等を注視していく中で、国への要望について状況を見定めてまいります。

 

 先日、ハローワーク尼崎の所長にお会いし、市内の雇用状態をお聞きしました。雇用調整助成金の新型コロナ感染症にかかる特例措置で中小企業は通常は助成率3分の2ですが10分の10に、申請条件の大幅な緩和などで、相談、申請が5月から急増し職員を倍増して対応しているとのことです。

市内の有効求人倍率も悪化し続けています。これまで減少傾向にあった新規求職者は6月に急増、コロナに関連した解雇や雇い止めのなどの労働者数は8月28日までに全国で4万9千人、県下で1735人にのぼり、その6割が非正規雇用です。これはハローワークの特別相談で把握された数で、専門家によると、この7倍の方が解雇や雇い止めで職を失っていると言われています。

コロナ禍で、ある市業務の委託事業所で働く労働者が賃金の不払いを受けたことに、労働組合が指摘して是正されました。市の委託事業所で労働基準法違反が発生していたわけです。

市公共調達基本条例では業務を委託している事業所に、労働関係法令の遵守報告書提出を義務付けていますが、その対象事業所は、工事請負契約は予定価格が1億5千万円以上、委託契約は予定価格が1千万円以上で、先ほどの労働基準法違反していた事業者は提出義務はありませんでした。

 2018年9月議会・決算特別委員会総括質疑で、公共調達基本条例に賃金条項を盛り込むことを求めた私の質問に、市長は「しっかりと労働環境の確保も含めた労働の質、ひいては私たちが発注している業務の質を確保していく、市内業者の育成にもつなげていくということをもって、スタートを切った条例で、その推移や進捗を見ながら、今後も引き続き注視しながら充実を必要があれば図っていく」と答弁されています。

 

Q3,そこでお尋ねします。新型コロナ感染拡大が広がる中で、労働環境が悪化しています。市公共調達基本条例に定められている労働関連法令の遵守状況報告の対象事業所拡大と賃金条項を盛り込むべきと考えますが見解をお聞かせください

 

答弁

 尼崎市公共調達基本条例では、労働関係法令の遵守状況を確認する対象契約として、予定価格が一億5000万円以上の工事請負契約及び予定価格が1000万円いじょうの清掃、警備、保守など定型的な役務の提供を受ける常務委託契約のほか、指定管理業務などを対象としており、この対象範囲につきましては、事業者の負担や事務量などを勘案して設定いたしております。

 また、いわゆる賃金条項につきましては、賃金の額は使用者と労働者の間で決めるべきものであること、経営者の裁量や経営に及ぼす影響が大きいこと、政策効果を踏まえた適正な水準の賃金設定が困難であることから、盛り込まなかったものであり、現時点で対象契約の範囲や賃金条項を盛り込むことに対する考え方に変わりはございません。なお、これまでは条例の対象となる契約に対して指導等をおこなうこととしていましたが、コロナ禍の中で、労働者のより適正な労働環境の確保を図るため、令和2年7月から工事請負約款等を改正し、市が契約を締結する案件について、通報・相談等があった場合は、受注者に報告をもとめ、関係部局等と連携して対応していくこととしております。

 

 本市が実施している事業所景況調査によれば、事業所の業況判断に用いる「DI」値は、「好転」と「悪化」の比率を数値化したものですが、全産業にわたり急激に悪化し、緊急事態宣言が発令された4月以降の落ち込みは顕著で、市内経済の低迷を裏づけるものであり、景気減速が拡大していること示しています。

中小企業が取引先の倒産や自然災害などで経営に支障が生じているときに、市長が認定すれば信用保証協会より、通常とは別枠で保証が得られるセーフティネット認定の制度があります。

この認定は、すでに4月以降、3343件にのぼり、リーマンショックの時を大きく上回り、中小企業の経営難の実態を現わしています。

事業者が雇用調整助成金を受給して事業を継続していくためには、まず借り入れなどで資金を確保して従業員に給料を支払っておかなければなりません。

この様に事業者は給料、仕入れ、固定費を支払うための運転資金を求めています。

 

Q4,お尋ねします。市が今年度からやめた中小企業融資を復活させ、またコロナ対策の特別融資の実施が必要と考えますがいかがでしょうか

 

答弁

 本市中小企業融資制度につきましては、利用者の利便性及び制度の効果手kいかつ効率的な運用の観点から、今年度から県融資制度への一元化を行いました。

 今般の新型コロナウイルス感染症による中小企業への金融支援につきましては、すでに関係機関との連携のもと、経営相談窓口の設置およびせ―府ティーネット補償認定などの対応策を講じており、加えて、県の実施する中小企業融資制度や政府系金融機関等において実質的な無利子・無担保融資が実施されているところで誤字余す。こうした情報を踏まえますと、本旨の中小企業ひゅうし制度を復活させる意義は低いものと考えていまs。

 また、さらなる金融支援につきまいsても、現時点では実施の要諦はございませんが、今後、市内企業における資金需要を注視しながら、必要に応じて関係機関との検討をしてまいりたいと考えております。

 

さて自治体戦略2040構想での自治体のあり方についてです。

 

 私は、昨年の9月議会で総務省の自治体戦略2040構想について、市長に見解をお聞きしました。国が示しているこの構想は、高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、自治体職員を今の半数で業務が対応できるスマート自治体への転換、行政の推進を1つの自治体でこなすのではなく、広域連携、圏域を越えてこなす、いわゆる「フルセット主義からの脱却」などがうたわれています。

この「圏域」を越えた新たな広域の連携の構想について、2019年2月に行った共同通信社の自治体調査によれば、反対が賛成を上回り、反対理由は「地方の声を踏まえて慎重に議論すべき」「自治が失われるおそれがある」となっています。

総務省のこの様な戦略に、地方制度調査会第1回総会で、全国市長会の立谷(たちや)会長は「これは自治体の努力に水を差す」と厳しく批判しています。この様に国が示している自治体戦略2040構想は大きな問題点を含んでいます。

さてコロナ感染が拡大する中で、全国公立私立病院連盟の邉見会長は、「医療には本来、ゆとりが必要だが、それがまったくない。そこにコロナが襲ってきた」とコロナ危機で浮き彫りになった日本の医療の脆弱性を訴えられています。これは長年にわたって社会保障費削減が進められてきた結果にほかなりません。この社会の脆弱化は、介護、障害福祉、保育、雇用、経済、教育などあらゆる分野に及んでいます。

コロナ危機を乗り越えた先には、ケアに手厚く、人間らしく働けるルールをつくる、ひとり一人の学びを保障し、危機にゆとりをもって対応できる経済社会を作っていかなければなりません。

さて昨年9月議会の自治体戦略2040構想に対する私の一般質問に市長は、「国の動向等を注視しながら、市議会や市民の皆様とともに考え議論する機会を持つ中で、具体的な課題抽出や対応策について検討していく」と答弁されました。

 

Q5,改めてお聞きします、コロナ感染が広がり、自治体のあり方が大きく問われています。自治体戦略2040構想は、自治体のめざすべき方向に逆行していると考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

 議員ご指摘のとおり、当初「自治体戦略2040構想研究会の報告」については、自治体の意見が十分に反映されておらず、地方創生の流れに水を差すとの見解から、第32次地方制度調査会において、全国市長会の立谷(たちや会長から問題提起がなされ、現地調査も含めた調査審議を経て、地方制度調査会答申が取りまとめられるに至りました。

 そうした中における、とりわけ、議員ご指摘の広域連携につきましては、今後の人口減少社会において、市民サービスの維持・工場をいかに図っていくかといった手段として、あくまで自治体自身が主体的に判断し、必要に応じた連携を進めていくべきであると考えております。

自治体戦略2040構想そのものが自治体の目指すべき方向性に逆行するものとは考えておらう、同様の問題意識に基づく地方制度調査会答申については、将来的に人口構成バランスが大きく変わって行く中において、社会の仕組みやありかたも変貌を遂げていかなければならないといった着眼は有意義であると考えており、本市においても、次期総合計画策定に向けた点検の中で、参考にさせていただいたところです。

 以上で第1問を終わります。

 

第2登壇

ご答弁ありがとうございます。公共調達基本条例に、条例の制定当初の目的は、ワーキングプアの解消することにあります。また中小企業融資については、「県の融資を活用してください」とのことですが、日本で有数の中小企業が集積している本市の施策に中小企業融資がないことは残念です。コロナ禍のもと、今だからこそ、公共調達基本条例の改善や中小企業融資の復活を行うべきであることを強く求めておきます。

 

 第2問に入ります。

第1問で紹介した全国公立私立病院連盟の邉見会長が述べられているように、コロナ感染が広がる中で、医療には本来ゆとりが必要だが、そこにコロナが襲い、日本の医療の脆弱さが明らかになった。コロナ後の社会を見据えると、国の自治体戦略2040構想がめざす、いわゆる「フルセット主義からの脱却」ではなく、まさに「自治体のなかで完結できる」ゆとりある自治体、市民の目線で運営する自治体こそ求められています。

さて次期総合計画策定に向けた第5次尼崎市総合計画の点検結果が、8月11日開催の総合計画審議会で示されました。この点検結果では、自治体によるフルセット主義を脱し、圏域を越えたさらなる連携、新しい公共私相互関係を構築する「プラットフォーム・ビルダー」への転換の視点、圏域単位、あるいは圏域を越えた都市・地方の自治体間での連携などが列挙され、総務省の2040構想の考え方が随所に盛り込まれています。

 

Q6,お尋ねします。次期総合計画策定に向けた第5次総合計画の点検結果では、2040年を見据えた取りまとめとなっていますが、国が示す自治体戦略2040構想の視点で取りまとめられているのでしょうか、お答えください。

答弁

 本市が実施した「次期総合計画策定に向けた第5次総合計画の点検」につきましては、現総合計画が令和4年度末をもって計画期間が終了することから、時代認識や市民意識の変化などの把握を通じて点検を行い、次期総合計画策定に向けた検討の視点について整理したものでございます。

 その点検項目の一つとなる「現総合計画策定時との時代認識の比較」では、中長期の指針となる総合計画の策定にあたっての将来予測という観点で、人口減少、少子高齢化が進む2040年ごろに着目し、顕在化する課題については「自治体戦略2040構想研究会の報告」も参考としておりますが、あくまで市として人口減少社会等に対応するために必要と考えられる視点を整理したものでございます。いずれにいたしましても、次期総合計画の策定にあたりましては、この点検結果およびそれに対する総合計画審議会からいただいた意見を踏まえつつ、今後刻々と変わる社会経済情勢等を見据えながら、様々な視点からの検討が必要であると考えております。

 年4月、吹田市が中核市に移行されましたが、これを機会に隣接する西宮・尼崎・豊中・吹田の4つの中核市が府県を越えて、新たな都市間で抱えている課題の解決に、連携して取り組んでいく組織を、4市の頭(かしら)文字を並べた「N」「A」「T」「S」ナッツと表現し、1月25日に連携シンポジウムが開催されました。

このナッツの取り組みに対し、市長は市ホームページの活動日記の中で、「連携そのものが目的化するのではなく」と述べられています。

 ところが、この第5次総合計画の点検結果では、「西宮、尼崎、豊中、吹田という隣接する中核4市の連携が生まれたように、各自治体によるフルセット主義を脱し、これまでの圏域を越えたさらなる連携の視点が必要である」と、国の自治体戦略2040構想の視点で述べられています。

 

Q7,お尋ねします。府県を越えて隣り合う西宮、尼崎、豊中、吹田の4市の連携組織「ナッツ」の設立目的について具体的にお答えください。

答弁

 「ナッツNATS」につきましては、令和2年4月1日に吹田市が中核市へ移行したことで、西宮市、尼崎市、豊中市、吹田市の中核市4市がつらなることになり、このことは全国でも初めてのケースとなることから、府県を超えて広域的に連携し、ネットワークの在り方を模索するため、吹田市の呼びかけにより圏域行政の枠組みの形成に向けて取り組みを始めたものでございます。

今年1月25日には、この4市長が一堂に会し、様々な課題の解決に向けた広域的な取り組みの可能性を議論するシンポジウムを吹田市で開催したところです。まさに連携することそのものを目的かするのではなく、あくまで市民サービスの向上に寄与する取り組みであるかどうか、主体的に判断し、必要に応じて連携を図ってまいります。

次に、2019年度決算の施策評価のなかの総合指標によるまちづくりの評価についてです。施策評価では「令和元年のファミリー世帯の転出超過数は292世帯となり、前年より35世帯増加した。ファミリー世帯の転出超過は3年連続で減少し改善傾向にあるが、目標である基準値からの半減に向けては、やや悪化の結果となり、大規模な住宅開発が終了した影響を受けたものと推測されます」と述べられています。

一方、次の項では「就職や結婚を機に本市に住まわれた若い世代の方々が、ファミリー世帯になってからも住み続けていただけるよう教育や子育てなど多様な取り組みを総合的に進めていく」と教育・子育て施策の重要性が述べられています。

しかし総合評価では、「ファミリー世帯の転出超過の改善のためには良好な住宅が供給される街づくりを進める必要がある」と、教育や子育て環境の改善の取り組みが後方に追いやられています。

そして第5次総合計画点検結果でも、「人口動態と住宅供給について高い相関関係がある」と、施策評価結果と同じように述べられています。 

 

Q8,お尋ねします。施策評価や次期総合計画策定に向けた第5次総合計画の点検結果でファミリー世帯の転出超過を改善するためには、住宅の開発だけでなく、教育や子育て施策に重点を置く記述にすべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

 本市の人口は、平成28年から令和元年まで、社会動態が4年連続で転入超過となり、平成30年と令和元年については、その社会動態が自然動態の現象を上回り、2年連続で人口増加に転じました。

 転入超過の要因としては、近年若い単身世代を中心に転入が大幅に増加していることによるものであり、通勤などの利便性の良さが評価され、そうした若い世代がファミリー世帯になってからも住み続けていただくように教育や子育て支援などの取組にも注力していく必要があると考えています。

一方、ファミリー世帯については、転出超過が続いていますが、「本当に住みやすい街大賞」に選ばれるなど、まちの評価やイメージが高まっている、この好機を逃さず、本市の様々な取り組み魅力を効果的に発信していくとともに、その受け皿としてファミリー世帯向けの良好な住宅が供給されるようなまちづくりに取り組むことが重要であると認識しております。住宅の供給量と社会動態の因果関係は強いという傾向は他市かにありまsが、単に住宅開発のみで、定住や転入が促進されるとは考えておらず、市民ニーズに応じた多様な取組を総合的に進め、まちの魅力を創造していくことによって、ファミリー世帯の定住転入をはかる必要があると考えております。

 

次に尼崎市社会福祉協議会への業務委託についてです。

 

 先日、園田地域から選出されている市会議員全員で尼崎市社会福祉協議会から2019年度決算の説明を受けました。特に、私が注目したのは6カ所の地域振興センターにある、社協が市から委託を受けている「保健福祉申請受付窓口」の業務です。

決算資料では19人の職員で支出額は6338万円で、市からの受託額は4260万円、差し引き2077万円の大幅な赤字となっています。

 先日発表された指定管理制度の制度運用の見直しでは、市と指定管理者がパートナーシップを築き、お互いの強みを生かしていくためには、施設の設置目的や政策的課題の共有、コミュニケーション、相互理解、尊重などが重要と規定されています。これは社協のこの窓口委託でも言えることではないでしょうか。

 このような大きな赤字のもとでは、市民により沿った保健福祉の受付事業の継続ができるのか疑問です。社協に委託している申請窓口では、一部その場で手続きが完結せず、後日、書類は郵送で送付されます。市民は窓口交付を求めています。

 

Q9、お尋ねします。社会福祉協議会に委託している保健福祉申請受付窓口業務を直営に戻し、窓口交付などで市民サービスの向上を図り、社協の財政赤字解消の一助にすべきではないでしょうか、お答えください。

 

答弁

 保健福祉申請窓口につきましては、公共施設の最適化の取り組みの一環として保健福祉業務の集約再編を行う中、各支所の窓口で担ってきた地域福祉や地域保健の業務を南北2か所の保健福祉センターに集約して機能強化を図る一方で、高齢者等オン負担に配慮し、身近な地域の保健福祉の窓口として、6地区に残し、維持してきたものです。

 またその運営に関しましては、市の保健福祉業務について一定の専門的知識を有するとともに、社会福祉協議会支部職員を通じて、地域でお困りの方を早期の支援につなぐ役割を担っていることから、申請受付窓口業務を尼崎市社会協議会に委託しているものです。 必要な委託料の積算に関しましては、想定される来所数や業務量、必要経費等も踏まえ、社会福祉協議会とも協議する中で、今後とも適正な委託料の算定に努めてまいります。

 

次に生活保護受給者の孤独死についてです。

  さて8月18日に市営住宅にお住いの70歳男性の生活保護受給者が熱中症で孤独死されました。この方は、人と関わりたくないと介護保険の活用を拒否され、保護課でビラを見て、有償ボランティアの買い物支援を活用されていました。

買い物支援は昨年9月から始まり、支援の際には、事前にボランティアの方が電話をかけてから訪問します。すぐに電話に出られないときも、必ず後で電話があり、連絡が取れないことはありませんでした。このボランティアの方は7月中旬に、買い物支援を受けている方の体力が弱っており、エアコンも故障して、小さな扇風機のみと、保護課へ状況報告をされていました。

8月17日、買い物支援を行うためボランティアの方が朝から何度も電話しても、つながりません。心配になり、南部保健福祉センターの保護課担当者へ、急いで確認してくださいと電話しましたが、電話を受けた方は、再度電話するのみ、結局、翌日、警察と保護課で部屋に入ったときはすでに熱中症と思われる症状で亡くなっていたとのことでした。

 さっそく私も同席してボランティアのコーディネーターの方と保護課の担当者と話し合いましたが、保護課の担当者は「緊急性が感じられず、翌日になった」とのことでした。

 

Q10,お尋ねします。この生活保護受給者の熱中症による孤独死について、保護課はどの様な検証をされたのでしょうか。

 

答弁

 お尋ねの事案につきましては、有償ボランティアによる買い物支援を受けていた方で、日常生活は一定程度自立しており、また、ほぼ毎月就労収入の申告のため来所されていました。ボランティアの方から8月17日15字30分ごろ、保健福祉センターへ連絡いただきましたが、体調面での急変を予見できず、その日は連絡を待つことにし、翌日の朝、現地に向かい、その後、亡くなっている所を救急隊員が発見し、疎遠であった兄に連絡し、引き継ぐことになったものでございます。

 ご本人に対しては、これまでから地域包括支援センターと連携し、介護保険制度の活用を働きかけておりましたが拒否されており、また、壊れたエアコンについては、何れ自分で買い替えるとのことでしたが、実現しておりませんでした。

保健福祉センターとしましては、今回の事案を教訓として、改めて生活保護受給世帯に対して担当職員が定期的な訪問調査課t同を実施する中で、生活保護寿y区湯syあとの信頼関係を深め、生活状況や健康状態の変化、扶養義務者との交流や困りごとなどを丁寧に聞取り、関係機関等と連携して、生活保護受給者の社会的な孤立の防止に努めてまいります。

 

 保護課との話し合いの中で、この方のケースワーカーチームは5人で900人を担当していると驚くような報告がされました。これは660世帯になります。ワーカー1人欠員となっていたとのことですが、ケースワーカー配置の国の標準値はワーカー1人に80世帯で、実態は単純計算で1人が132世帯を担当していることになります。これではこのような緊急事態に対応できないのは、当然のことではないでしょうか。

 

Q11、お尋ねします。今回の生活保護受給者の熱中症による孤独死は、国の基準より少ないケースワーカーの配置数により、保護受給者への目配りが欠けていたことが原因であると考えますが、市長の見解をお答えください。

 

答弁

 生活保護受給世帯が抱える様々な課題に寄り添って適切な支援を行うためには一定の体制整備を要するところでありますが、急施を要する場合については、職員の配置数の多寡にかかわらず適切な対応を行うことがケースワーカー業務の基本であると考えております。

本市におきましては、高齢者世帯の訪問や就労支援等においては行政事務員が対応するなどにより、ケースワーカーの負担の軽減を図り、適正保護の実施に努めているところでございます。

 当該世帯に対しては、県が定める年2回以上の訪問も実施しており、また、直近では7月27日に保健福祉センターに来所いただき生活状況についても確認しており、孤独死の原因がケースワーカーの配置数によるものではないと考えております。

 

次に、市営住宅の建て替えについてです。

 

本市の市営住宅の多くは1960年後半から70年代にかけて建設され、旧耐震基準の建物が55%を占めています。そのため建て替え計画を策定し、これまで時友、西昆陽、宮ノ北住宅を順次建て替えてきました。

そして次の建て替え計画は、旧若草中学校跡地1万3千㎡に、浜つばめ、浜つばめ改良、西川、西川平七改良、常光寺改良住宅の5つの市営住宅を集約して、新しい市営住宅を建設するもので、建設工事着工は、2025年以降の予定です。

私は、7月13日の旧若草中学跡地への市営住宅建て替え説明会に出席しました。参加者から市営住宅を集約するのではなく、現在地で建て替えを求める声が相次いでいました。

特に常光寺改良住宅の入居者からは、同住宅は高齢者が多く、住まいが杭瀬地域から、JR神戸線を越えて西川の地域になり、小学校。中学校の校区や居住環境も大きく変わるので困る。「現地で建て替えてほしい」との声が大きく上がっていました。

同改良住宅のある自治会役員は「突前、説明会の数日前に自治会へ旧若草中学校跡地での建て替えありきで説明があり、驚いている」と憤慨されています。

 

Q12,お尋ねします。この市営住宅建て替え計画について、常光寺改良住宅の入居者にアンケートなどで事前に意見を聞いたのでしょうか。また住民・自治会と合意形成を図って進めるべきと考えますが、見解をお聞かせください。

答弁

 市営住宅の建て替えは、現入居者の負担軽減や事業費の圧縮などを図りながら、合理的計画的に進めていく必要があり、建て替え場所についても、周辺に適地があれば移転両党も軽減できる「非現地建替え」を基本としております。

 議員もお尋ねの常光寺改良住宅についても、こうした考え方のもと、北に500mのところにある旧若草中学校跡地において、他の市営住宅も含めて集約建替えを行うこととしたものであり、これまでに行ってきた建替えについても、入居者に対して現地建替えの是非を問うようなアンケートは行っておりません。

なお、移転先につきましては、旧若草中学校跡地にできる新住宅以外にも、耐震性が確保された他の市営住宅にも移転していただけるようにしておりますので、今後とも入居者の意向を丁寧に確認しながら、事業を進めていきたいと考えております。

 

さて尼崎の公立の杭瀬保育所は築45年が経過し建物の老朽化が激しく、しかも壁にアスベストが含まれているために建て替えが急がれています。ところが周辺に建て替え用地がないとして一向に進んでいません。

 

Q13,お尋ねします。常光寺改良住宅の建てかえは現地で建て替えし、杭瀬保育所の移転と合わせて建設すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

 答弁要旨

 先ほどご答弁いたしましたように、常光寺改良住宅は、周辺の市営住宅も含めて旧若草中学校跡地に集約して建て替えることとしており、集約建替に伴い新たに発生する市営住宅の余剰地活用につきましては、ファミリー世帯の定住、転入を図るために民間に売却するほか、保育所などの必要な公共施設の利用も含めて検討していきたいと考えております。

 

次に県立尼崎総合医療センターへのバス路線についてです。

 

県立尼崎総合医療センターが市民の運動で2015年7月にオープンしました。そして市民から、総合医療センターへ乗り換えなしで行けるバスを求める声が上がりました。市議会へも陳情が提出されましたが不採択となり、その後も粘り強い運動が継続して取り組まれてきました。

その間、市バスが阪神バスへ移譲されました。そして地域の強い要求により、ついに19年4月から2路線の総合医療センター経由が実現し、市民から大変喜ばれています。

ところが、その路線の1つ、22系統の路線は阪急園田駅から園田支所、尾浜を経由して阪神尼崎駅行きですが、この路線の総合医療センター経由は平日9時~16時台で、外来で通院の場合は、午前8時30分の受付開始に間に合わないと、早朝の時間からの運行を求める声が相次いでいます。

昨年、7月には地域住民の皆さんが市長に「22系統は朝から総合医療センター経由にしてほしい」と要請しましたが、実現していません。

 

Q14,お尋ねします。阪急園田駅から尾浜経由、阪神尼崎行きの、22系統の路線の7時台、8時台に各1本、総合医療センター経由にするよう阪神バスに強く求めるべきと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。

答弁要旨

 阪急園田駅を出発し県立尼崎総合医療センターを経由して阪神尼崎に至る系統(22-2)については、平成31年4月の路線改変に際し、従来の22系統のいいt部(平日9時から16時の時間帯に運航している計9本)を分岐し、スポーツセンター経由から総合医療センター経由に変更されたものです。

この路線改変に伴い、総合医療センターへのアクセス向上が図られたところですが、22系統の営業係数、100円の収入を得るのに要する費用を著す指標は、路線改変前の平成30年度の143に対し、令和元年度は153となり、収支が悪化する結果となりました。 ご質問の件につきましては、これまでも阪神バス株式会社と協議を行ってきておりmさうが、22系統の一部を医療センター経由に変更すれば、速達性や定時制を求められる朝のラッシュ時において運行時間の増加、約7分につながることになり、また、新たに増便するとすれば運転手不足や採算性の確保といった課題があることから、実施は困難であるとの回答を頂いております。

コロナ禍においてバス事業者の経営上状況も悪化しており、厳しい状況にはありますが、市民の利便性を考え、引き続き、様々な協議を続けてまいります。

 以上で第2問を終わります

 

第3登壇

 

第3問は、要望と意見にとどめておきます。

 地域保健福祉申請受付の社協への委託については、社協の大幅な赤字です。赤字解消のため、保健福祉窓口を直営に戻すことにより、併せてこれまで一部できなかった窓口交付も可能になるのではないでしょうか。

 活保護受給者の熱中症による孤独死についてですが、根本原因は、ケースワーカーの配置が少なすぎることです。最近、党議員団への相談に、生活保護受給者へのワーカーからの説明が不十分であるために、内容が正確に伝わらず、誤解しているケースが増えています。ワーカーの方が多忙すぎるためと思います。

今回の孤独死の発見が遅れた原因も、ワーカーの配置が少なすぎるためです。市民の命の尊厳が守られる体制を構築していかなければなりません。

 常光寺改良住宅の建て替えについては、地元に残りたい方は、別の市営住宅を斡旋する事とのことですが、私は、建て替えは自治会と合意のもとに進めることを改めて強く求めておきます。建て替えは、引き続き近くの常光寺北、常光寺第2改良が計画されています。その建て替えと杭瀬保育所建設を含め、一体で早急に検討すべきではないでしょうか。

 尼崎総合医療センター経由のバス路線についてですが、地域の基幹病院への通院の足の確保は重要です。阪急園田駅北始発の22系統は、7時台、8時台にそれぞれ2便ずつあります。そのうちの1つを総合医療センター経由にすれば、通勤客への影響も最少に防げるのではないでしょうか、市民の要望に合わせたバス路線の変更を、阪神バスに強く求めるべきです。

  国の自治体戦略2040構想については、日本弁護士連合会が、憲法上の保障である地方自治の本旨との関係で、看過(かんか)できない問題であると、国に意見書を上げています。

また雑誌「ガバナンス」2018年9月号の特集「基礎自治体の行方」において片山元総務相をはじめとするすべての寄稿者も厳しく批判しています。

 しかし、第5次総合計画の点検結果は、国の2040構想で示されている文章そのものが、随所に盛り込まれているわけです。市長はこの問題について、昨年の市長の答弁で市民や議会に意見を聞いていくと述べられていますが、そうであれば総合計画点検結果からは2040構想に関する文章を削除すべきではないでしょうか。

 

  以上で、私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。