2012年9月議会一般質問 田村征雄:河川堤防の液状化耐震調査について

2012年9月13日 日本共産党議員団 田村征雄

<河川堤防の液状化耐震調査について>

 次に、津波防災対策について伺います。

 東日本大震災からちょうど1年6か月に達したところです。いまなお、2814人が行方不明であり、34万人が避難されたままです。
これまで、防潮堤のことや避難誘導のことを取り上げてきましたが、今回は、河川堤防対策です。

 8月29日に、内閣府が、「南海トラフ」を震源とするマグニチュード9.1の巨大地震が起きた場合、最悪で32万3千人が犠牲になるとの、新たな地震の被害想定を発表しました。

尼崎に到達する津波高は5メートルとされました。

 全体で、従来の犠牲者数を13倍も上回る想定をしたのは、グニチュード9クラスの巨大地震を「想定外」として備えを欠き、甚大な被害を生んだ東日本大震災の反省を踏まえたためです。
 注目すべきは被害想定の大きさではなく、手だてを尽くせば被害を少なくできることを明確にしていることです。
 つねに「最悪」を想定し、「命を守ることを最優先」にすることを防災の鉄則にすべきです。国、地方自治体、住民のレベルで、地域の状況をつかみ、避難体制の整備などを点検し、改善する日常的な取り組みが急がれます。

 さて、尼崎は、市域の大半が海抜ゼロメートル地域であり、地盤の状況から、液状化の被害が懸念されます。

 東日本大震災では、東北地方から関東地方の広範囲にわたり、2000箇所の堤防が損壊しました。
 過去の地震による堤防の被害と比較して、範囲も規模も甚大であり、河川堤防の耐震性確保の必要性や、そのあり方を見直す必要があります。
 財団法人・国土技術研究センターが、昨年5月に、国土交通省の委員も含めた専門家による「河川堤防耐震対策緊急検討委員会」を立ち上げ、4か月後の昨年9月に「報告書」をまとめました。
 報告書は、東日本大震災の揺れが、大きな振動が長時間続いたことから、「被災した堤防」の「大規模な変形(沈下、のり面の崩れ、亀裂等)の原因は液状化であった」と結論づけ、「従来から被害の形態として想定されていた基礎地盤の液状化を原因とするものが多数発生した他、これまで地震による堤防の被災として主眼が置かれていなかった堤体の液状化による被災が多数発生した」と指摘しています。
 つまり、これまでになかった堤防そのものが液状化して、壊れてしまったというのです。
 武庫川、猪名川、藻川の堤防も、土で出来ている堤防です。地震で堤防が壊れたところに、津波が来たり、集中豪雨による増水があったりでは、尼崎の町はひとたまりもありません。
 報告書では、堤体の液状化を対象として耐震性能照査を行う必要性を指摘しています。

⑧そこで質問します。

 武庫川、猪名川、藻川の堤防について、国および県は、堤防本体の液状化を対象とした耐震性能調査をしているのでしょうか。まだであれば、国、県に調査を求めるべきではありませんか。答弁願います。

<都市整備局長答弁>

 財団法人国土技術研究センターが、東日本大震災を踏まえた今後の河川堤防の耐震対策の進め方について、昨年9月にまとめた報告書では、これまでの基礎地盤の液状化による沈下変形に加え、今後は、堤防本体の液状化による沈下、変形も耐震性能調査の対象に含める必要があるとしております。
 この報告書を受け、今年2月に、国土交通省が「河川堤防の耐震点検マニュアル」を改定し、その中で、堤防本体の液状化に対する点検について実施していくことを明記しております。
 お尋ねの尼崎市域の武庫川、猪名川、藻川の堤防につきましては、国及び県が、この耐震点検マニュアルに基づき、堤防本体の液状化も含めた耐震点検を、現在、行っているところであり、点検の結果によって、今後、必要な対策について、検討していくと伺っております。