2019.6月議会・小村潤議員の一般質問の発言と答弁概要です

日本共産党議員団のこむら潤です。

今日は、学校の安全管理体制について、学校の部活動における体罰問題について、高齢者の住宅問題と空き家対策について、質問します。

 はじめに、学校の安全管理体制についてです。

本年度当初予算の主要事業「施策評価をふまえた重点化施策」の中で、教育委員会は「防犯カメラなどを活用した学校安全管理体制の再構築」として今年10月から一斉に、小学校と特別支援学校の安全管理員による安全管理体制を7.5時間から2時間に縮小し、インターホンと遠隔操作式施錠装置の活用に加え、新たに防犯カメラ等を設置し、「スクール・サポート・スタッフ」、「保護者・地域による見守り活動」等をくみ合わせて安全環境の最適化を図るとしています。

このことについて、私は一人の親の立場で考えた時、「人による門前の安全管理をいきなり2時間に減らすのは危険ではないか」と感じたため、質問をいたします。

この事業について、学校関係者や保護者の方々にもどう思うか尋ねてみました。中学校に勤める、ある女性教員は「小学校が対象の話なので始めて聞いたが驚いた。中学校で不審者が侵入した事案も起きており、自分が保護者の立場なら安全管理員は2時間では不安で仕方ない。」と話していました。小学校で、門前で人が守っていることによる安心感は計り知れません。保護者に聞いても、「防犯カメラだけでよい」という声は聞きません。防犯カメラの設置は、もちろん何か起きた時の証拠として記録する事は重要ですが、引き続き安全管理員の目が必要だと感じています。犯罪の抑止力を高めるのならば、イミテーションカメラの設置や「防犯体制強化、特別警戒中」と看板で掲示するだけでも、一定の効果はあるといわれています。事業イメージでは、「安全管理員は一つの門の常駐監視や巡回をしていて、ほかの門の監視機能に課題がある。防犯カメラを設けることにより、昼間だけでなく夜間も常時不審者を監視できるようになる」とうたっていますが、そもそも、この安全管理員は、何のために置かれるようになったのかを再確認する必要があると思います。学校安全管理員配置事業趣旨には、「2001年6月に発生した大阪教育大付属池田小事件、2003年12月に宇治市や伊丹市の学校において発生した不審者による児童負傷事件をうけ、事件事故のない安心安全な学校生活を確保するため」と記されています。

 

お尋ねします。安全管理とは校内や通学路で子どもを危険から守ることで、防犯カメラにより夜間の不審者監視も可能だという説明は、子どもの安全管理とは目的が違うように思いますが、いかがですか。

 

答弁

安全管理員は、門扉前での外来者の確認と目的場所への誘導、門扉の開閉、不審者と判断した場合の学校職員への連絡、学校敷地内・校舎の巡回監視などを業務としておりますが、特定の門に配置され、学校敷地内・校舎の巡回以外の大半の業務時間は、特定の門に常駐していることから、その他の門の監視機能に課題があります。

こうしたことから、安全管理員が常駐している門も含めて、主要な門に防犯カメラを設置し、常時、不審者を監視できるよう機能強化を図り、学校の安全性をより高めようとするものであり、防犯カメラの性能も技術革新により、夜間も昼間も同様の映像が記録できることから、結果として、夜間も不審者の監視ができることになったものです。過去には、小学校に不審者が夜間に侵入した事案も発生しており、他市では防犯カメラに犯人の映像が記録され、逮捕につながった事例もありますので、学校における児童の安全の確保上、夜間の安全管理も重要なものと考えております。以上

 

また、主要事業説明には本年度当初予算が5,438万円、前年度比1,627万円の減額となっています。主目的は、安全環境の最適化ではなく、人件費のコストカットなのではないですか。

答弁

学校安全関係事業は、事件・事故のない安全安心な学校生活の維持を目的とするものであり、最小の経費で最大の効果を上げるよう、安全管理員が常駐している門も含めて、主要な門に防犯カメラを設置することにより、事業費を抑制しつつも、機能強化を図り、子どもたちの学校生活の安全性をより高めるものでございます。以上

 

 (こむら)教育委員会は2月の予算委員会の中で、「2時間で安全管理をどのように守れるのか」という質問に対し、「2時間という範囲をどこに充てるかは学校の状況によって違うが、例えば朝、門前で子ども達を迎え入れるために校長や教職員、PTA、見守りボランティア等の方が立っているので、この体制を強化して安全確保に努める」との答弁でした。

しかし、教職員の働き方を改善し、負担軽減を図るとりくみの一方で、教職員に朝のあわただしい時間の負担を増やしてしまう恐れがあります。スクール・サポート・スタッフも必ず安全管理に従事できるわけではありません。業務は教員の仕事を補助的にサポートすることが目的です。PTAでは保護者の就業率も高くなっており、朝の見守り運動に協力を得られないケースも増えています。安定した安全管理ができる人の配置が必要です。

 

お尋ねします。「学校周辺での児童生徒の安全管理」に専属で責任をもつ人員をきちんと確保すべきであると考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。

答弁

教育委員会といたしましては、地域の皆さまによる地域全体で児童を見守る活動が児童に対する犯罪をなくし、大きな事故・事件・犯罪の被害の抑制につながっていると認識しております。そうした中で、児童の見守り隊のボランティアの方々の高齢化に伴い、一部の人に負担がかかるなど、活動が難しくなってきておりますが、今後、地域学校協働本部などと連携しながら、学校と地域の交流の中で、新たな地域の人材育成も検討しながら、今後も子どもたちの安全確保に努めていきたいと考えております。以上

 

 (こむら)4月に我が会派は、市内に移転して間もない、あまよう特別支援学校を視察しました。

「あまよう」では、登校時間と下校時間に大きなバスが学校敷地に出入りする上、保護者が自家用車で子どもを送迎することも多く、日中にも車の出入りが頻繁にあります。安全管理員の存在が、事故防止とスムーズな学校運営に大きく貢献していることがわかりました。

また、「安全管理員体制見直しの初期段階では、特別支援学校は縮小される学校の対象にはしないと説明されていたが、予算案の段階で対象となっていて、非常に残念に思っている」と学校関係者のお話をお聞きしたところです。

 

お尋ねします。どのような経緯で、あまよう特別支援学校の安全管理体制も縮小対象に含むことになったのですか?

答弁

あまよう特別支援学校につきましては、特別支援学校の特殊性があり、昨年9月の時点までは安全管理体制見直しの対象外となっておりました。しかし、昨年10月、教員が子どもたちと向き合う時間を確保するため、新年度から小学校においてスクールサポートスタッフの配置を検討するにあたり、特別支援学校においても併せて検討したところ、当該スタッフによる安全管理機能の補完も可能であり、特別支援学校においても総合的にはスクールサポートスタッフの配置が学校運営上より柔軟な対応が可能と判断したことから、見直しの対象としたものでございます。以上

 

(こむら) 不登校の子どもたちを支える点でも、安全管理員が日中、門前にいることは無駄ではありません。登校時間を過ぎてから、ぽつりぽつりと登校する子どももいます。

がんばって学校に足を向けた子どもたちが門をくぐるのを励まし、「さあ、教室に行っといで」と気持ちを支えてくれるのが安全管理員です。これが、無人でインターホン対応になるとどうでしょうか。

低学年の子どもには、インターホンを自分で押し、一人で鉄の門を開けて入る勇気が出るでしょうか。保護者が門の前まで子どもを連れて登校させた後、安全管理員の方が保護者と会話している光景もよく見られます。保護者の不安な気持ちに寄りそう役目も見逃せません。こうした顔の見える関係性は、机上の計画では見いだせない効果ではないでしょうか。

 

お尋ねします。安全管理員は警備という面だけではなく、常時、人がいることで学校を様々な意味で守ることができていると思いますが、いかがですか?

答弁

学校安全管理員は業務の中で、ご指摘のような登下校時の子どもたちへの声かけや保護者と会話を交わすこともございます。これは子どもたちが安心して学校で過ごせる環境づくりの一つとして有意義なものと考えております。今後につきましては、教職員はもちろんのこと、地域のボランティアの方々へも協力を求める中で、これまでと同様、子どもたちへの登下校時の声かけ等に努めてまいりたいと考えております。以上

 

(こむら)日中は職員室のモニター前に四六時中、人が張り付いて監視しているわけにはいきません。現在でも、「職員室が手薄になることはある」「PTAの活動で職員室に用があり訪ねたが無人だった」といった声を教員や保護者から聞いています。

お尋ねします。他の業務の片手間に安全管理ができる、という認識自体が危険であると考えますが、いかがですか?市民の安全を守る観点から、市長の見解をお聞かせください。

答弁

門扉は、基本、登校後、施錠されており、校内には一般の人は入れない状態となります。来訪者があったときは、インターホンを鳴らしてお知らせするので、その時に防犯カメラで不審者かどうかを確認することとなります。また、防犯カメラ設置後は、インターホン付きカメラのモニターに加え、事務室と職員室にモニターを1台追加いたしますことから、事務員と教頭のいずれかが来訪者を確認できる状態となります。更に、スクールサポートスタッフが配置されますと事務室あるいは職員室のいずれかで、業務に従事いたしますことから、仮に多忙であったとしても来訪者を確認できる目が増えることになりますことから、決して片手間ではなく、教職員の誰かが来訪者を確認できる状態を確保できると考えております。以上

 (こむら)次に、部活動の指導について、質問します。

市立尼崎高等学校の部活動での体罰問題が、テレビや新聞などで大きく報道されました。

一校だけの問題ではなく、市の教育活動そのものの姿勢が問われる重大な問題であると指摘します。文部科学省は、2013年3月に体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について通知を出しており、その中で「部活動は学校教育の一環として行われるものであり、生徒をスポーツや文化等に親しませ、責任感、連帯感の涵養(かんよう)等に資するものであるといった部活動の意義をもう一度確認するとともに、体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるという認識を持ち、部活動の指導に当たる教員等は、生徒の心身の健全な育成に資するよう、生徒の健康状態等の十分な把握や、望ましい人間関係の構築に留意し、適切に部活動指導をすることが必要」だと説明しています。   

日本共産党は、暴力をふるう体罰だけでなく、どのようなハラスメントも人権を侵害するもので許されるものではないと考えています。ことに教育の場においては、子ども達の生涯にわたる人格形成に大きく関わります。健全な育成をおびやかす状況はすぐに改めなければなりません。

 今年に入り、いくつもの問題が発覚しています。

  1. 中学校サッカー部の生徒が、他校の遠征試合を観戦に行った際、本来制服着用の決まりがあるところを私服で行ったため、他校の指導者に指導された際、殴る蹴るなどの体罰が行われた。
  2. 市立尼崎高等学校の男子バレー部で、些細な事からコーチが執拗な体罰をおこない、男子生徒に脳震盪や鼓膜裂傷などのけがを負わせたにも関わらず、救急車を呼ぶなどの措置をおこなわず、学校及び教育委員会への詳細な報告を怠っていた。
  3. 市立尼崎高等学校の野球部指導者が、学校行事の際、野球部生徒の態度が悪いと指導する際、体罰をおこなった。
  4. 中学校の教諭が、体育大会の練習中に見学している生徒の態度に指導する際、体罰をおこない、教頭に速やかな報告ができていなかった。その他にも、私はある中学校の運動部に子どもを通わせている保護者から「顧問の指導が常識の範囲を超えており、行き過ぎだと感じて子どもの安全を心配している。学校や顧問に伝えても適切な改善がなく、顧問から保護者の自分に直接電話をしてきては、子どもの進路などをちらつかせるパワハラがある。」という声をお聞きし、教育委員会に相談したこともあります。直接、殴る蹴るなどの身体的暴力をおこなっていなくても、指導者という立場を振りかざした威圧的で強権的な指導や、行き過ぎた理不尽な指導をおこなっていることも考えられます。本来、「パワーハラスメント」という言葉は労働者が職場の上司などから受ける「嫌がらせ」を指すものですが、部活動における、立場を利用した嫌がらせ、負のストレスを与えるやり方についても、同様に重く受け止める必要があるのではないでしょうか。

 

教育長にお尋ねします。こうした本市の教育現場における体罰問題について、どのように感じておられますか?

答弁

体罰は違法行為であるのみならず、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員及び学校への信頼を失墜させる行為であり、いかなる場合であっても決して許されるものではありません。これまでから学校における体罰禁止について、周知徹底を図ってきたところですが、こうした中、市立尼崎高等学校や市立中学校で体罰事案が発生したことについては、大変申し訳なく思っております。今後、市立学校園を児童生徒が安心して通える場所とするため、全市立学校園を対象に体罰実態調査を実施するとともに、体罰根絶に向けた有識者会議(仮称)の助言を頂きながら、体罰根絶に向けた具体的方策をスピード感をもって検討してまいります。以上

 

 (こむら)部活動には、専門的な技術指導を補助する目的で、外部講師を付けることができます。外部講師には、兵庫県教育委員会の教職員研修資料「いきいき運動部活動」にもとづいて研修がおこなわれており、年一回、すべての部活動外部講師に受講するよう通知されています。

 

質問します。教員や臨時講師で、部活動の指導にあたる者、また本年度より実施されている部活動指導員に対しては、外部講師と同様の研修会はおこなわれていますか?

答弁

議員ご指摘のとおり、課外クラブ技術指導者、いわゆる外部講師については「いきいき運動部活動」等に基づいた研修を毎年実施しておりますが、本年度より実施される部活動指導員に対しても、同様の研修を、今後行ってまいりたいと考えております。また、本市では、国が策定した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」や県の「いきいき運動部活動」をふまえ、平成31年4月に「尼崎市立中学校部活動の方針」を策定したところでございます。この、「尼崎市立中学校部活動の方針」は、部活動指導に携わる教職員に対し、学校を通じて周知されておりますが、今回の体罰事案を受け、より適切な運動部活動の指導ができるような研修の実施等の対策を検討してまいります。以上

 

 

 (こむら)次に、高齢者の住宅問題と、空き家対策に関してお聞きします

最近、市民の皆さんから「空き家がふえた」という声をよくお聞きするようになりました。

昨年の台風の時には、隣の空き家の壁が倒れ掛かってきそうだ、という相談や、人通りの多い道に面した崩壊寸前の危険空き家の相談、また両隣とも住人が亡くなったり転居したりと空き家になり心細いが、自分も高齢で終の棲家なので、どこにも移らず残っている、という話など、高齢化と空き家の話題が尽きません。

私が住んでいる大庄地区は、高齢化率が他の地域より高く、昨年のデータでは総人口に対する75歳以上の方の割合が、本市全体では13.6%に対し、大庄地区は16.7%です。築40~50年以上の古い住宅に、長年住み続けてきた方が多く、子や孫は離れて暮らしているか、身寄りのないひとり暮らしの高齢者も多くなっています。国土交通省によると、全国で65歳以上の単身世帯は2010年で498万人、20年後の2030年には730万人に達すると予測しています。こういった一人暮らしの高齢者が亡くなったあと、身寄りがない、あるいは相続人も資金がなく解体や改築もできず空き家のまま放置される、といったケースが増えています。大庄地区は、住宅が密集した区域もあり、防災・防犯・街の景観の観点で見ても空き家が増えるのは望ましくありません。

過去にも様々な会派議員が、空き家対策や住宅の家賃補助など、住まいの問題について質問されておりましたが、「国や県の制度があり、紹介をしている。本市が独自で助成制度をつくったり、規制緩和や助成対象の拡大はおこなわない。」など、消極的な答弁ばかりだったと認識しております。市民がおのおのに抱いている「なんとか街をよりよくしたい」という思いを、質問にしたいと思います。本市が本年度予算で主要事業にあげられた「密集住宅市街地整備促進事業」では、防災街区整備地区計画の区域内を対象に、老朽住宅の解体費用の一部を助成するとしています。

 

お尋ねします。尼崎市密集市街地整備・改善方針が立てられたのはいつですか?この方針では、対象区域の実情を十分に踏まえ、課題に適切に対応していく必要があり、住民が主体となって合意を形成し、相互連携を図りつつ、まちづくりに取り組むこととなっており、「まちづくり勉強会」「まちづくり協議会」「まちづくり推進協議会」と段階的に進めるとしています。かなり年数が経過しているようですが、進捗状況はどうでしょうか?

 

答弁

尼崎市密集市街地整備・改善方針は平成17年3月に策定し、本市の密集市街地の整備・改善手法や優先度を定めております。この方針に基づき、平成17年度より、火災が発生した場合に延焼危険性があり優先度が高い重点密集市街地において説明会を開催するなど、意識啓発を行い、地元発意によるまちづくり勉強会の開催や、まちづくり協議会の設立を行ってまいりました。

その後、平成23年度から29年度の間に、市内5地区において防災街区整備地区計画を策定し、建替え時の壁面後退や道路空間の確保、建物の耐火規制などを定めて、住民主体による災害に強いまちづくりを進めて・おります。以上

 

 (こむら)これまで、我が会派議員は、国が策定した「新たな住宅セーフティネット制度」の活用について質問を重ねてきました。この制度は、高齢者や障がい者、ひとり親世帯、低所得者など、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅を、家主が申請登録することで、登録住宅の改修費の補助や家賃補助、家賃債務保証料の負担軽減が受けられるものです。

 

質問します。本市は兵庫県の「ひょうご住まいづくり協議会」に参画し、県の制度としてセーフティネット制度の取り組みにあたっているそうですが、この「住宅セーフティネット制度」は、現在どのくらいの方が登録されていますか?

答弁

新たな住宅セーフティネット制度における、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録につきましては、平成29年10月の法施行とともに実施しておりますが、床面積や耐震性を有するなど、登録には一定の要件があり、問い合わせはあるものの、現時点で本市での登録はございません。以上

 

 

第二登壇

 

 ご答弁いただきました、夜間の不審者監視については安全管理とはやはり別事業ではないかと思いました。スクールサポートスタッフや地域ボランティアは確実な安全管理にならないとあらためて感じました。「インターホンがなったら応対する」と言いますが、「じゃあ、不審者はインターホンを鳴らして入ってくるのか?ということなんです。悪意を持って侵入してくる人はいつどうやって入ってくるかわからないわけですから、やはり人による安全管理は必要だと思います。

また、体罰問題について、本市の今年4月に出されたガイドラインは私も見ましたが薄っぺらくて通り一遍のことが書かれているだけだと感じました。しっかりと練り直していただきたいと思います。

 

それでは、学校安全管理員配置事業について、質問を続けます

ある安全管理員をされている方から2時間への体制縮小についてご意見をいただきました。

「5月に入ってから、シルバー人材センターからの連絡網で一方的に知らされた。安全管理員の意向も聞かずに決められており、なぜ2時間にするか?の説明責任が果たされておらず、一同憤慨している。安全管理員として働く者の意見をまず聞く場を設けるべきだ」と強い憤りを訴えておられます。

たった2時間の勤務では仕事として成り立たないと、安全管理員をやめるという声も上がっているそうです。また、「学校の安全管理は児童全員の安全を守るため、子ども一人ひとりの顔を覚え、その顔色や表情も見るようにしている。いつもと違う表情の時は、家庭内暴力を受けていたケースもあった。2時間労働では、他の管理員に互いの申し送りも十分にできず、安全管理の流れを把握することができない」とのことでした。

 

お尋ねします。現場の声も聞かず、安全管理員の配置時間を2時間にしたのはなぜですか?このままでは安全管理員の担い手が不足する恐れもあると思います。安全管理員の皆さんに趣旨説明をおこなう場を設けるべきだと思いますが、いかがですか?

答弁

安全管理員の見直しにつきましては、事業開始当初と比べ、市内の事件発生件数が減少してきたこと、防犯カメラの性能の技術革新があり、防犯カメラの活用による不審者侵入防止策が主流となってきたこともあり、事前に学校現場とも協議を重ねる中で決定したものでございます。

シルバー人材センターとの契約締結にあたっては様々な課題はありましたが、働く場所の確保は大切であるとのことで、2時間の見直しについてご理解いただきました。安全管理員に趣旨説明を行う場の設定につきましては、委託契約であることから、考えておりませんが、シルバー人材センターには十分に理解を求めていきたいと考えております。(以上)

 

 

 (こむら)次に、部活動の指導のあり方について、質問を続けます。

文科省による通知には、部活動指導について言及した項もあります。

(1)部活動は学校教育の一環であり、体罰が禁止されていることは当然である。成績や結果を残すことのみに固執せず、教育活動として逸脱することなく適切に実施されなければならない。

(2)他方、運動部活動においては、生徒の技術力・身体的能力、又は精神力の向上を図ることを目的として、肉体的、精神的負荷を伴う指導が行われるが、これらは心身の健全な発達を促すとともに、活動を通じて達成感や、仲間との連帯感を育むものである。ただし、その指導は学校、部活動顧問、生徒、保護者の相互理解の下、年齢、技能の習熟度や健康状態、場所的・時間的環境等を総合的に考えて、適切に実施しなければならない。 指導と称し、部活動顧問の独善的な目的を持って、特定の生徒たちに対して、執拗かつ過度に肉体的・精神的負荷を与える指導は教育的指導とは言えない。  

(3)部活動は学校教育の一環であるため、校長、教頭等の管理職は、部活動顧問に全て委ねることなく、その指導を適宜監督し、教育活動としての使命を守ることが求められる。

この文部科学省の体罰・指導についての見解は、体罰について禁止する立場がはっきりと書かれている半面、解釈によっては体罰を「熱心な指導」と言いかねない危険性ももっています。この点においてしっかりと教育の現場で議論を深め、「いかなる暴力も教育的指導と認めない」という認識を確認する必要があります。

これまで、2004年、06年、09年と、我が会派議員が体罰問題について質問してきました。この中でも「教育委員会は体罰を行き過ぎた指導、熱心な指導ととらえていないか」という質問に対し「いかなる状況においても、体罰は人権を侵害し、信頼を失う行為であり、教育的な効果を見いだせるとは考えていない」との答弁、また「議会での答弁がきれいごとだけになっていないか。体罰を一掃する仕組みづくりをおこなう気があるのか。体罰に対する認識を職員会議などで一致させ、校内で体罰を行わない指導のあり方を模索すべきでは?」という質問には「教師の指導力を向上させ、職員間においても指導等についてお互いに指摘し合えるような関係を構築していくことが体罰防止につながると考える」と答弁されています。

 

お尋ねします。幾度となく議会でも体罰問題が取り上げられ、その都度、反省と課題解決の答弁を繰り返されてきましたが、なぜ、今回またこのように体罰が行われたのでしょうか。

理由をお聞かせ下さい。

答弁

4月29日に市立尼崎高等学校男子バレーボール部での体罰事案が発生した原因として、まずは自身の指導力不足を暴力に頼ってしまったという加害コーチの資質の問題があると考えております。

しかし、常態化していた過去の体罰も含め、これまで被害生徒からの相談や救済を求める声が学校管理職や教育委員会に届かなかったことを鑑みますとバレー部全体の中に体罰を容認する空気があったこと、部内での隠ぺい体質が蔓延していたこと、また部の運営に対する学校管理職をはじめとするチエック体制が脆弱であったのではないかという疑念を抱かざるを得ず、これらを招いた背景には、長年の学校や部活動の運営の中で築かれてきた非常に根深い組織風土があるのではないかと考えています。以上

 

 (こむら)先ほど、光本議員の質問で、現在の教育振興基本計画には体罰について対策されていなかったことがわかりましたが、教育委員会がこれまで、体罰問題を重く受け止めてこなかった証だと感じ、残念でなりません。部活動の外部講師は教育現場経験がない方が多く、指導方法について研修が必要ですが、外部講師よりも長時間指導にあたり、主導権を持っている顧問や監督といった指導者こそ生徒への影響力が大きく、きちんと指導のあり方を身につけておくべきです。

 

お尋ねします。部活動指導に携わる教職員への徹底した研修会や、部活動の指導のあり方を考える機会を、学校任せだけにせず教育委員会主導でも設けるべきだと思いますが、教育長のお考えはいかがですか?

 

答弁

教育委員会といたしましては、これまでも部活動指導に携わる教職員に対し、体罰禁止も含めた部活動の適切な指導について、研修を行ってまいりましたが、今回のような体罰事案が起こってしまい、今までの研修が不十分であったと、反省しております。今後、新たに全中学校と高等学校の課外クラブ担当者に対し、体罰防止を目的とした研修会を行うと共に、各学校においては、兵庫県教育委員会が作成した「NO!体罰」の資料を活用した研修を徹底するなど、二度と体罰事案を起こさないよう努めてまいります。以上

 

(こむら)また、さきほど紹介したような、部活動に不安や悩みを抱えて誰に相談すればよいのか困っている生徒や保護者もいます。

 

お尋ねします。保護者や生徒の声に、学校や教育委員会は誠実に対応できていますか?気軽に部活動の悩みについて相談できる窓口が必要だと考えますが、いかがですか?

 

答弁

今回の尼崎市立尼崎高等学校男子バレーボール部を発端とする一連の体罰事案を受け、実施した体罰に関する調査におきまして、新たに体罰が複数あがっていることから、これまでの学校や教育委員会における相談体制が不十分ではなかったか、反省しているところでございます。教育委員会といたしましては、体罰根絶に向けた取り組みの具体策として、市のホームページにメールやFAXによる体罰の通報窓口を設けるなど、生徒や保護者の悩みに誠実に対応できる体制を作ることで、今後、二度とこのような事態を繰り返すことのないようにつとめてまいります。以上

 

 (こむら)つづいて、高齢者の住宅問題について質問を続けます。

密集市街地が多い大庄地区ですが、防災街区整備地区に含まれていないので、助成対象外となっているのは残念です。今年の二月、大庄地区の密集市街地のアパートで火災が発生し、高齢者がおひとり亡くなられました。命は助かったものの、着の身着のままで焼け出された住民の皆さんは、たちまち全財産を無くしました。アパート全焼の原因の一つに、消火活動の遅れが考えられます。住宅が密集し道が狭く、消防車が侵入できない、水栓から火事場にホースが届かない状況で、あっという間に火が回ったとのことでした。防災街区整備地区でなくても、このように、市民の命がかかった喫緊の課題があります。地域住民からも「火事が起きた時が本当に怖い。はやく対策を考えてほしい」と声が上がっています。密集市街地整備の進捗状況を見ると、市街地の整備はすぐには解消できない長期の課題であることがわかります。

 

お尋ねします。密集市街地の整備について、柔軟に、積極的に、そして対象地区の拡大や見直しも含めてあらゆる対策を即急に試みてほしいと思います。これまで、密集市街地や老朽空き家問題に対して「他都市の事業実績や全市的なニーズを見据えて研究する」とか「固定資産税の減免制度は空き家対策に効果がない」という消極的なご答弁が続いておりますが、動き出す時が来ていると思います。前向きな対策を考えていただけますか?

答弁

これまでに防災街区整備地区計画を策定した5地区以外の密集市街地におきましても、第1問でお答えいたしましたように、地元説明会などの意識啓発やまちづくりに精通したコンサルタント派遣などを行うことにより、密集市街地の解消に向けた、地区計画やまちづくりルールなどの住民主体の取り組みを促進してまいります。また、老朽危険空家の解決に向けては、所有者による自主的な除却が原則となるため、所有者を調査し、助言・指導を行うことが最も重要な取り組みであります。しかしながら、経済的な理由が、除却が進まないことの主な要因のひとつとなっているため、除却補助制度の充実に向けて、今年度は他都市の情報収集と事例研究を行ってまいりたいと考えております。一方で、新たな老朽危険空家の発生抑制も重要であることから、所有者への啓発や利活用支援の取り組みを、関係団体と協力しながら引き続き進めてまいります。以上

 

住宅セーフティーネット制度も実用されていない状況がわかりましたが、今後の改善策は考えていますか?

 

答弁

住宅確保要配慮者への住宅の供給については、さらなる取組を進めていく必要があると考えております。今年度はまず市内の民間賃貸住宅の所有者を対象としたアンケートを実施し、所有者の意識や住宅の規模、耐震性の有無などの実情を調査し、課題を分析することとしております。そのうえで、必要な取組について福祉部局と連携しながら検討を進め、改定する住宅マスタープランに必要に応じ反映してまいります。以上

 

 

 (こむら)次に民間の賃貸住宅に住む高齢者の住宅問題です。

ある78歳の男性からの相談では「URマンションに妻と二人で暮らしているが、どちらかが死別すれば、家賃を含め生活費が払えなくなる」と将来の不安を話されました。男性の年金が月12万円、妻が9万円で、URの家賃は6~7万円です。配偶者が亡くなると一人分の年金で家賃、保険料、光熱費、医療費等を支払ったら、手元に残らないとのことでした。所得に応じて家賃が決まる市営住宅を申し込むよう勧めました。国土交通省によると、築40年以上の民間賃貸に住む単身高齢者世帯は4割を超えています。こうした家賃負担が困難になるケースが増えるのではないでしょうか。

 

お尋ねします。公営住宅は、 公営住宅法第1条で、「国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするもの」と定められたものです。

現在の計画のように市営住宅の戸数を減らすのではなく、低所得の高齢者が住みやすい市営住宅を増やすべきだと思いますが、どうでしょうか。

答弁

本市の市営住宅の管理戸数は、現在、約1万戸であり、全国の中核市や類似都市と比較してもかなり多い状況であるため、将来にわたる財政負担の点から、建替えや廃止により管理戸数を削減していくこととしております。また、存続することとしている市営住宅の中には、耐震性能やエレベーターがないなどバリアフリー性能に課題があり、高齢者が入居しにくいものがあります。このような課題に対応するため、市営住宅の建替えなどによる耐震化や、エレベーター設置によるバリアフリー化を行い、安全で、高齢者が入居しやすい市営住宅の整備を進めているところでございます。以上

 

 

第三登壇

 

 最後は、要望にとどめます。

安全管理員の体制については、奇しくも先日、川崎市で登校中の児童が殺傷される悲惨な事件が発生したような社会背景の中で、もっとも重点的に人員を導入して対策を図るべきところではないでしょうか。この度、教育委員会に安全管理員の趣旨などをうかがった折り、今後の安全管理体制について5月30日にいただいた説明では「事業開始から10年以上経過し、開始当初に比べ、社会環境にも変化がみられる。」「本市と同様、安全管理員を配置している西宮市でも半日の勤務体制」などの理由で、見直しがされた、とのことです。しかし、児童が巻き込まれる犯罪や事故は、10年たって無くなるものではなく、いつ、どこで起こるかわかりません。本市の安全管理体制は効果のある事業として継続すべきです。万全の対策を緩めるべきではなく、安全管理員体制を一斉に縮小することのないよう、再検討を強く要望いたします。

 

 体罰問題について、2013年2月のしんぶん赤旗で、当時起こった体罰問題について取り上げられた記事を抜粋して紹介します。『大阪・桜宮高校のバスケットボール部での体罰・自殺事件という心の痛む深刻な事態から、学校のスポーツ部活動で「勝つために必要」と黙認・隠ぺいされてきた体罰・暴力指導の実態が、つぎつぎに明るみに出ています。柔道女子ナショナルチームの選手15人は連名で、「暴力行為やハラスメントがあった」「心身ともに深く傷ついた」として監督・コーチを告発しました。「安心して競技ができる環境に」と訴えた選手たちの行動は、選手の声が「内部では封殺された」もとで、やむにやまれずに取った行動でした。なぜ、「スポーツ指導」ということで、生徒や競技者への暴力行為や暴言が許されてきたのでしょうか。なぜ、部員や選手の声は黙殺され、自殺にまで追い込まれ、決死の思いで告発をしなければならないのでしょうか。生命の尊厳と人権が乱暴に踏みにじられる指導のあり方と体質は異常です。いうまでもなく、学校の教育でも一般社会でも、体罰や暴力、ハラスメントは許されるものではありません。スポーツは野蛮な暴力を根絶し、民主的な人間関係を生み出す文化として発展してきたのです。そこに暴力を持ち込むこと自体、根本に反する行為として指弾されなければなりません。』昨日は体罰問題に関する有識者会議の設置、体罰根絶プロジェクトチームの立ち上げが発表されました。この度、本市で起きた体罰事件を教訓にし、今度こそ根底からしっかりと調査し、膿を出し切り、体罰やハラスメントのない部活動や学校になるよう、特に専門性の高まる高等学校の部活動、市尼体育科は、スポーツの成績だけでなく、体罰ゼロについてもプロフェッショナルになるよう、本気の対策を求めます。

 

 高齢者の住宅問題、空き家対策については、ファミリー世帯の定住・転入促進を前面に推し出す本市ですが、高齢者が安心できる施策が見えません。先日、私は大庄の老人クラブ連絡会総会に出席しました。そこで市長からのメッセージが代読されましたが、「ファミリー世帯の定住・転入促進、シビックプライドの醸成とシチズンシップの向上をめざす」といったカタカナ言葉が並び、高齢者に寄りそう言葉には感じられませんでした。これまで尼崎に愛着をもって住み続け、本市の発展を支えてこられた、高齢者の市民にこそ「さいごまで尼崎にすんでよかった」と思ってもらえることが、未来の展望にもつながるのではないでしょうか。衣食住は人間の生活の基本です。なかでも住居は公共の支えが不可欠です。「住まいは福祉」の観点で取り組んでいただきたいと思います。せっかくある県や国の制度が活かされるよう検証し、改善策を講じて市民に啓発する、とことん地域に密着して実情に応じた対策を模索する、などの丁寧で積極的な対策を求めます。

以上で私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。