2017.12月議会・小村潤議員の一般質問の発言と答弁概要です

日本共産党議員団の、こむら潤です。

今日は、市長の政治姿勢について、中学生・高校生の自衛隊職業体験学習について、中学校教員による部活動指導についておたずねします。

尼崎市は、市民の生命、身体及び財産を保護するために、国民保護計画を定めています。

基本的考え方の中で、国際平和のための取り組みとして、国の平和と国民の安全を確保するためには、国を中心とした諸外国との良好な協調関係の確立や国際社会との協力などにより、尼崎市においても、国際平和を希求する立場から、世界平和都市宣言や核兵器廃絶平和都市宣言の理念に基づき、国際交流など様々な取り組みを展開しています。

2007年3月に作成されたものですが、2015年12月に、兵庫県国民保護計画の修正に合わせて修正がされています。そしてその平和を根本で支えてきたのが日本国憲法第9条です。

第1項には戦争放棄、第2項では戦力不保持をうたっています。

ところが安倍首相はこの憲法9条に自衛隊を書き込んで、9条の規定を形骸化させようとしています。法律の世界では、「後から作った法律は、前の法律に優先する」ことが一般原則とされます。ですから、仮に9条2項が残されたとしても、後から作った条項で自衛隊が明記されれば、こちらが優先され、9条2項の空文化=死文化に道を開くことになるのではないかと危惧します。憲法が書き換えられてよい、ということになれば、本市の「尼崎市国民保護計画」も、同様のことが起きるのではないか、市民の安全確保の行く末がかかった問題となってきます。

 

Q1.そこで市長にお尋ねします。平和と市民の安全確保の観点から、憲法9条を改定すべきでないと思いますが、市長の見解をお聞かせ下さい。

答弁

憲法第9条は、前文と合わせ、日本が平和国家として歩むことを規定したものであるとともに、先の戦争を教訓とし、平和な社会の実現に向けて、たゆまぬ努力を誓う、その決意が込められたものと受け止めております。よって、私個人といたしましては、9条を守っていくべきだと考えているところですが、いずれにしましても、憲法改正につきましては、十分な国民的議論がなされるべき問題だと思います。以上

 (こむら)こうした自衛隊の明文化について物議が醸される中、本市では子ども達の教育活動の中に、自衛隊が関わるということがありました。最近では、2016年8月に実施された、琴の浦高等学校「キャリア教育推進事業」における自衛隊生活体験と、今年11月の大庄中学校「トライやるウィーク推進事業」における体験活動です。

Q2.お尋ねします。高等学校の「キャリア教育推進事業」、中学校の「トライやるウィーク推進事業」それぞれの目的をお聞かせください。

答弁

高等学校における「キャリア教育推進事業」は、企業や官公庁などで様々な職業体験を行うことを通して、生徒が自己の将来のあり方、生き方について考え、主体的に生きていく力を身につけることを目的にしております。また、中学校における「トライやるウィーク推進事業」は、他者と協力・協働して社会に参画する態度や自ら考え主体的に行動し、問題を解決する能力等を育成するため、生徒の主体性を尊重した多様な社会体験活動を通じ、生徒のキャリア形成を支援するとともに、地域に学び、共に生きる心や感謝の心を育み、自律性を高めるなど、「生きる力」の育成を図ることを目的としております。以上

 

Q3.重ねてお尋ねします。教育委員会では、この高校生、中学生を自衛隊の職業体験学習に参加させることを事前に把握していたのでしょうか。また、これまでにも自衛隊で職業体験した実績はありますか。

答弁

それぞれの学校が、生徒の興味・関心をもとに、地域や学校の実情に応じて創意工夫する中で、社会体験活動の実施内容、実施時期、体験先等を決めており、教育委員会が事前の把握はしておりませんが、事業終了後に、実施報告書の提出を求めております。また、自衛隊での職業体験につきましては、過去3年間で、高等学校では1校が毎年実施しており、中学校では2校で1年ずつの実施がございます。以上

 

 (こむら)つぎに中学校教員による部活動指導について、質問します。

今、学校現場における教師の多忙化、業務の多様化が問題視されています。とくに中学教員の、放課後・休日における部活動の指導の負担について、課題が持ち上がっています。

私は、ある中学生の保護者の方から、相談を受けました。運動部に子どもが所属しているが、顧問の先生が行き過ぎた指導をしているようで、子どもの気持ちや体調が心配だ、というお話でした。中学校で教員を務める私の友人からも、休日返上で運動部の指導や試合の引率にあたり、とてもきついと聞いたことがあります。私自身、中学校のクラブの外部指導者を務めさせていただいていることもあり、現在の部活動の現状はどのようになっているのかと、この度の質問に至りました。

これまでにも、尼崎市のみならず全国において、学校の部活動、特に運動部の活動について、体罰の問題や、行き過ぎた指導・活動内容、大きな大会などに勝つことに執着したハードなスケジュールなど、問題点があがる中で、部活動の見直しがなされてきました。

1997年、当時の文部省は「運動部活動のあり方に関する調査研究報告書」の中で、各学校の運動部活動において設定する休養日等の参考例を「中学校は週2日以上」「高等学校は週1日以上」設けると示しました。しかしながら、これはあくまで参考例に過ぎず、現場の学校では実際にはほとんど守られていない状態でした。子ども達にとって運動部活動が負担となるだけでなく、学校現場でいじめや不登校対応、学力向上など教職員の業務も多様化し、クラブ顧問教員の負担が深刻になってきました。

5年前の2012年、全日本教職員組合の勤務実態調査では、部活動顧問の教員の40.8%が、月100時間以上も残業していました。なかでも、部活動の顧問を断りにくい青年教職員は過酷で、約4割の顧問が土日とも活動していました。兵庫県教育委員会では、2013年に兵庫県の運動部活動ガイドライン「いきいき運動部活動」を出しました。また「ノー部活デー」を設定し、各校へ通知しています。

 

Q4.そこでお尋ねします。本市でも、県のガイドラインに基づき「ノー部活デー」の取り組みがされているとのことです。この趣旨・内容をお聞かせください。また、中学校教員の部活動における現状について、顧問担当の状況、放課後の活動時間、休日の活動時間をお聞かせください。

答弁

本市におきましては、生徒や教職員の心身のリフレッシュを促し、生徒のゆとりある生活と実りある部活動の実現につながることから、兵庫県のガイドラインに基づき「ノー部活デー」の取組みを進めています。その内容といたしましては、平日は週1日以上、土日等の休業日は月2回以上、「部活動を行わない日」を設定することになっております。また、現在、全ての中学校で複数顧問制を導入し、教職員の負担軽減につなげているところであり、活動時間につきましては、中学校校長会の申し合わせにより、平日の完全下校時刻を2月~11月は19時、12月~1月は18時30分と定めております。なお、休日の活動時間につきましては、設定しておりません。以上

 

 (こむら)これで一回目の質問を終わります。

 

第二登壇

 (こむら)憲法9条については、直接市政や日常生活に関わりのないことのように見えますが、戦後から現在に至る市民の暮らしの向上と本市の発展は、平和であってこそ、憲法あってこその賜物ではないでしょうか。市長におかれましては、これからも憲法を大切にする市政運営へと取り組まれますことを要望します。自衛隊の職業体験について、ご答弁いただきました通り、本市における高校生の「キャリア教育推進事業」は、授業のない日に企業や官公庁などで様々な職業体験をおこなうことを通して、自己の将来のあり方、生き方について考え、主体的に生きていく力を身につけることを目標として実施されています。中学生の「トライやるウィーク推進事業」は、兵庫県が「生徒たちに時間的、空間的なゆとりを確保し、地域や自然の中で、生徒の主体性を尊重した様々な活動や体験を通して、豊かな感性や創造性などを自ら高めることができるよう支援するなど、「心の教育」を確実に推進するために、1998年度よりおこなわれてきたものです。自衛隊は、安保法制によって急激にその任務の質が変化してきています。今、憲法にも自衛隊が書き込まれようとしている中で、自衛隊が軍隊としての要素が色濃くなるなど、戦後の学校教育とはなじまないもの、なじませてはいけないものであると思います。

Q5.お尋ねします。豊かな人間性をはぐくむ学校教育の場に、自衛隊はふさわしくないと考えますが、いかがですか。

答弁

体験活動の場所については、生徒の興味・関心、主体性を尊重し、地域や学校の実情に応じて選定されており、県が作成した職場体験活動場所の具体例も参考にしております。今回、自衛隊において行われた具体的な体験活動の内容は、ロ一プワークの実習や救命講習、災害緊急時の対応のほか、挨拶や時間厳守など社会人・職業人として必要な礼儀を学ぶものであり、トライやるウィークの目的に沿ったものであると考えております。いずれにいたしましても、各学校が、生徒の主体性を尊重し、より効果的な体験ができるよう、活動場所や内容の把握に努め、必要に応じて指導助言をしてまいります。以上

 

 (こむら)次に運動部活動について、質問を続けます。

今年2017年におこなわれた、スポーツ庁の実態調査では、公立中学校の運動部活動の顧問教員で、学校の業務と部活の両立に限界を感じている人は5割近いという結果が出されました。これは、全国から抽出した公立中学校と高校800校余りの教員や生徒、保護者らを対象に実施されたものです。これによると、公立中学校教員では、部活の悩みについて、複数回答でたずねたところ「公務との両立に限界を感じる」が47.9%、「自身の指導力の不足」が45.1%、「校務が忙しくて思うように指導できない」と「心身の疲労・休息不足」はいずれも5割を超えました。平日1日当たりの指導時間は「2~3時間程度」がもっとも多い39.6%でした。文部科学省は、中学校の運動部活動について、休養日を適切に設定するよう求める通知を、全国の教育委員会、都道府県知事などに出しています。2016年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)で、国公私立全体で週1日の休養日が54.2%、2日が14.1%で、22.4%が全く設けていませんでした。2割を超える中学校が休養日を設けていなかったということで、教員や生徒の負担軽減を図ることが重要だと判断したものです。文科省の通知では、「適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は、教員、生徒ともにさまざまな無理や弊害を生む」と改めて指摘しています。活動時間や休養日の実態を把握し、休養日の設定を、中学で週2日、高校で週1日などとする1997年の例を参考に、「学校の決まりとして休養日を設定すること等を通じて、運動部活動の適切な運営を図る」ことを求めています。文部科学省は今年2017年度に実態調査を行い、2018年3月までに適切な練習時間や休養日の設定に関するガイドライン(指針)を策定する方針も表明しています。国のガイドラインが、20年ぶりにあらためられることになります。

Q6.お尋ねします。本市でも、「大きな大会前などは休めない」「テスト前の休暇期間でも短時間だが練習に呼び出された」という生徒の状況も聞いています。学校現場の実態をつかみ、「ノー部活デー」をさらに徹底するべきだと思いますが、いかがですか。

答弁

「ノー部活デー」の取組みについては、生徒や教職員の心身のリフレッシュを促し、生徒のゆとりある生活と実りある部活動につながることであることから、大切なことだと認識しています。

各学校の練習状況につきましては、県の基準に則り、4カ月ごとに調査し、実態把握をしております。その結果、平成29年度の第1期調査結果では、「ノー部活デー」の達成率が92%という結果でありました。教育委員会といたしましては、今後とも校長会、中学校体育連盟理事会、体育主任会、部活動担当者会等あらゆる機会をとらえ、「ノー部活デー」の周知徹底を図ってまいります。以上

 

 (こむら)また、スポーツ庁の調査結果にもあるように、「自身の指導力の不足」を感じる顧問教員も少なくないことから、専門性のあるクラブの場合、知識や経験が豊富で的確な指導やアドバイスを行うことができる教員を顧問につけるか、外部からの技術指導者が必要だとおもいます。外部講師については、運動部だけでなく、文化部であっても、専門的な知識や技術指導者が必要です。たとえば、やったことのないスポーツの部活の顧問を受け持ったり、美術の専科教諭でないのに美術部の顧問になると、顧問が専門的な指導をすることが難しくなるからです。実際にそのようなケースは多々あります。

Q7.お尋ねします。現在の、部活動における外部技術指導者の導入状況をお聞かせください。

答弁

本市におきましては、学校が部活動を充実させるために、技術指導を行う指導者を必要とした場合、学校の申請に基づき、教育委員会が外部から課外クラブ技術指導,者を招聴し、部活動を積極的に支援しております。課外クラブ技術指導者につきましては、11月末現在、中学校17校中、13校に、運動部25人、文化部12人を配置しているところでございます。以上

 

 (こむら)ある学校では、ひとつのクラブに複数の顧問がいるのに専門外ばかりで、「どんな活動をさせればいいのか、どんな道具が必要かも見当がつかず、困ってしまう。」ということをお聞きしました。

尼崎市教職員組合からは「外部指導者制度が充実するのであれば、本来の教育活動に専念することができ、多忙化も解消されるので喜ばしいことだ」というのが共通の思いだとうかがいました。

Q8.お尋ねします。外部指導者の充実を含め、部活動における教員の負担軽減を進めるべきだと思いますが、いかがですか。

答弁

文部科学省においては、学校教育施行規則の一部を改正し、単独での指導や大会への引率等を行うことを職務として行える「部活動指導員」の制度化を図ったところであります。そうしたことから、本市においても、部活動における教員の負担軽減を進めるために、これまで実施してきた「課外クラブ技術指導者」との関係も整理しつつ、財政的な面も考慮し、「部活動指導員」の体制整備を行うなど、導入に向けた検討を進めてまいります。以上

 

これで二回目の質問を終わります。

 

第三登壇

 (こむら)最後は要望を述べます。子ども達の職業体験学習では、一般的で身近な職業を体験する中で、自らが暮らす地域社会の一員として生きる力を育むことが大切であると考えます。わが国でも戦前・戦中には、「はじめから戦争に没頭していったわけではなかった」「いつのまにか慣らされ、それが当たり前になっていった」、最後には1941年から1947年までほんの6年の間に、国民学校令や戦時教育令のもと、子ども達が知らず知らずのうちに、戦争へと向かう教育がおこなわれた経緯があります。私は昨年「この世界の片隅に」という、こうの史代(ふみよ)さん原作の映画を鑑賞しました。「戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ18歳の少女が、日ごとに戦禍の激しくなる中で、懸命に生きていこうとする姿」を描いたアニメ作品です。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこの映画で描かれている暮らしとはどんなものか、と自分の身に置き換えてみた時、「いつのまにか物がなくなり」「いつのまにか人の死が日常になっていく」様子に衝撃を受けたと共に「そんな事は、二度と繰り返してはならない」という強い思いを抱きました。子ども達が体験する一つ一つが、私たち全体の未来につながっていくことを、教育を担う教育委員会には、とくに意識して、慎重におこなっていただきたいと思います。中学校・高等学校の職業体験学習で、自衛隊をリストに入れないことを強く要望します。

 

部活動については、本市教育委員会でもしっかりとした対策を工夫されていることがうかがえました。しかしながら、実際のところは学校現場の裁量に委ねられていることもあり、場合によっては守られていないこともあります。相談に来られた保護者の方は、「市や県の教育委員会にも何度も相談したが、その時は改善したようでも、また元に戻る。子どもは先生が怖くて、反論や意見ができなくなっている。行き過ぎた指導で、子どもにもしもの事があったらと思うと不安でならない。」と心情を訴えておられました。業指導する教員も務が多忙になれば、心の余裕がなくなり、不適切な指導をしてしまうこともあるのではないでしょうか。教育委員会からの、継続的な見守りや状況把握も必要かと思います。教員の働き方の改善、子ども達の健やかな成長のためにも、「誰もが楽しく続けられる部活動」であるべきです。現場や子ども達の声も反映された部活動の環境改善を要望し、私の質問を終わります。