稲村市長に提出した2018年度予算に対する要望書の全文

尼崎市長 稲村和美様

        2018年度予算に対する要望書                                                 

                    日本共産党尼崎市会議員団

 市長をはじめ職員のみなさんが、地方自治法に基づいて、市民の平和とくらしを守り発展させるため、日々ご尽力頂いていることに、敬意を表します。安倍政権は立憲主義を否定して、憲法をないがしろにする政治をすすめています。今後はますます憲法改定に拍車がかかることを、大変危惧しています。さて、2018年度は、国民健康保険の広域化が実施される年となります。「高すぎる保険料、これでは支払うことも生活することもできない」と市民から悲鳴の声が上がっています。市民が払える保険料にするために、引き続き一般会計からの繰り入れを強く求めます。また子育て世帯の定住・転入の促進、経済の好循環で、地域の活性化を図り、平和で安心してくらせる市政運営をめざされることを強く要望します。以下、来年度予算に対する日本共産党議員団の要望書を提出させていただきます。よろしくご配慮いただきますようお願いいたします。

国への要望

1 「原発ゼロ」の政治決断を行い、原発の再稼働は中止し、再生可能エネルギーへの転換を加速させるよう強く求めること。

2 憲法9条を守り、憲法違反の秘密保護法、安保関連法制、共謀罪法は廃止を求めること。

3 労働者派遣法の改悪は更なる貧困格差を生み出し、本市にとっても財政基盤を脆弱にする。労働者派遣法の抜本改正、「残業代ゼロ法案」の撤回、サービス残業を根絶する罰則強化、残業時間の上限を法律で規制する労働者基準法改正を求めること。

4 アベノミクスによって貧困と格差は更に深刻となっている。国は、2020年10月に消費税10%増税を行おうとしているが、市民の暮らしも地域産業も壊す消費税増税は行わないよう求めること。また、アベノミクスで唯一潤っている大企業や富裕層へ優遇税制は行わないよう求めること。

5 地方交付税について、近年改善しつつあるが基準財政需要額、基準財政収入額ともに実態との乖離をなくすようひきつづき求めること。

6 障害者総合支援法は、「基本合意」や「骨格提言」に基づいて見直すようひきつづき求めること。

7 障害者支援法に基づく福祉サービスを受けている障がい者が、65歳になると介護保険に移行し、サービスの量が不足したり自己負担が生じる場合が出てくる。障害者支援法を優先するよう求めること。

8 難病対策として、低所得者の医療費免除を求めること。

9 障害者支援事業所への報酬は月払いに改め、基本報酬単価を引き上げるよう求めること。

10 生活保護扶助費基準・住宅扶助基準・冬季加算を元に戻し、夏季加算を創設すること。また、母子加算の削減や級地の見直し等、さらなる生活保護基準の引き下げをしないよう求めること。

11 生活保護世帯の子どもの大学・専門学校への進学を認め、低所得世帯の学費免除と給付型奨学金の拡充を求めること。

12 生活保護ケースワーカー数について、社会福祉法(第15条所員の定数)は「標準数」としているが、見直し前の「法定数」に戻すよう求めること。

13 予測される南海トラフ巨大地震・津波に対する防災対策については、市民力の強化にも増して自治体職員の果たす役割が大きい。災害対策本部の体制強化が図れるよう、財政措置を求めること。

14 国民健康保険について、各自治体独自の一般会計からの繰り入れを認めること。また、インセンティブで自治体間に競争をさせる保険者努力支援制度は止めるよう求めること。

15 介護保険の利用者負担は全て1割に戻し、補足給付の対象も元に戻すよう求めること。

16 介護予防日常生活支援事業は上限額設定を撤廃し、必要な対象者の支援が継続できるよう求めること。また、要介護1・2まで対象を拡げないよう求めること。

17 全産業の平均給与より月10万円以上も低い保育・介護など福祉現場で働く労働者の処遇改善をさらに行い、質の確保とともに保育所・特別養護老人ホームの待機児者解消に迅速に対応するよう求めること。

18 「アスベストは公害」の立場に立ち、認定被害者の医療費負担は全額加害企業と国に求めること。また、中皮腫の早期発見につなげるために、所見の変化が分かる経年的な検診制度と治療法の早期確立を国の責任でおこなうよう求めること。

19 ギャンブル依存症をさらに増幅させる「カジノ設置法」は廃止するよう求めること。

20 中学3年生まで35人以下学級を実施するよう、ひきつづき求めること。

21 中学校給食を全ての自治体で実施するよう、制度化を求めること。

22 子どもの貧困問題解決の一助として、さらなる児童扶養手当の増額を求めること。

23 マイナンバー制度は「なりすまし」詐欺や情報漏えいなどの危険がある。運用を止めるよう求めること。

24 核兵器禁止条約を一刻も早く批准するよう求めること。

25 鉄道各社に対して、ホームドアの早期設置を進めるよう求めること。

26 無料低額診療事業は、薬代も支援対象にするよう制度の創設を求めること。

兵庫県への要望

27 子どもの医療費を所得制限なしで中学卒業まで無料にするよう、ひきつづき求めること。

28 障害者医療費助成制度について、身体障がい者は3級・知的障がい者は中度・精神障がい者は2級まで対象を拡充すること。また、所得制限については本人所得を基本とするようひきつづき求めること。

29 液状化による沈下が想定される武庫川堤防尼崎側の、耐震調査を実施するよう求めること。

30 武庫川河川敷公園は毎年のように豪雨被害を受けている。抜本的に洪水対策を強化するよう求めること。

31 県道園田西武庫線の藻川工区について、住民合意が得られるまで架橋等の工事は凍結するよう求めること。

32 兵庫県公立高校の学区は尼崎学区に戻すこと。当面は、公立高校のクラス数を増やすよう求めること。

33 中学3年生まで35人以下学級を実施するよう求めること。また、達成するまでは対応策として教職員の加配を行うこと。

34 いじめ、不登校、非行などの問題発生予防、教師の多忙解決のために必要な教職員を配置するよう求めること。

35 本市で行っている尼っ子健診の結果、中学生の半分が生活習慣病予備軍となっており、食育の強化が求められている。そのため、栄養教諭を小・中学校全てに配置するよう求めること。

36 学校生活支援教員の大幅な増員および拡充と、通級指導教室の設置を求めること。

37 県立尼崎総合医療センターの五合橋線南行きバス停、尼宝線時友バス停にベンチを設置するよう求めること。

38 通学路である尼宝線の西大島・大島南・口ノ開歩道橋について、子どもたちの安全確保のために改修を求めること。

39 鉄道各社に対して、ホームドアの早期設置を進めるよう求めること。

市への要望

企画財政局・総務局

40 財政確保の観点からも、ファミリー世帯の定住・転入の促進は不可欠である。そのため

①学校給食法に基づく中学校給食を、自校調理方式で早期に実施すること。

②中学卒業まで、子どもの医療費を無料にすること。

③基礎学力および応用力向上に必要な教職員について、学校現場が要望している人数加配を行うこと。

41 移譲後の阪神バス路線運行について検証を行っているが、市民要望を踏まえて地域交通の充実に努めること。特に、園田、武庫川、上之島地域から県立尼崎総合医療センターへの直通    

バス路線の設置を求める要望が出ている。早急に設けるよう、阪神バスに強く働きかけること。

42 公共調達基本条例について、実施後の検証を行うこと。「労働関係法令遵守報告書」の分析を行い、今後の改善に努めること。

43 熟度の低い段階から行われている市民意見聴取プロセス(パブリックコメント)は、市民に内容が十分に伝わりにくい場合がある。市民説明会や市報、ホームページでの開設の改善を含め、丁寧な説明に努力すること。多くの市民から反対意見が寄せられた計画は、市民意見に真摯に向き合い、市民の理解が得られるまで実施しないこと。

44 旧聖トマス大学跡のグラウンドは売却しないこと。そして、グラウンドや一部施設は、地域住民が利用できるようにすること。

45 市内各所でバス停ベンチの設置を求める要望がある。調査をして阪神バスと協議し、早急に設置すること。

46 市民サービスの低下、職員の奉仕の精神やスキルまで奪うものになる「更なるアウトソーシング」は中止すること。

47 高齢者等福祉施設や病院の防災訓練に対して、ひきつづき市から防災士等の派遣をすること。また、各施設の訓練を掌握して交流を深めること。

48 防災ハンドブックの内容を適宜更新して、あらゆる機会を通じて市民が学べるよう周知徹底に努めること。

49 ひきつづき全市を対象にした広域的な避難訓練を定期的に行うこと。地域特性に適する避難計画と訓練を、学者専門家と協働して行うこと。

50 保健福祉センターの2カ所集約が進んでいるが、乳幼児健診が遠くなり、また地域から保健師がいなくなる。柔軟な対応ができるようにするため、支所・地区会館の合築にあたっては、乳幼児健診が可能となるように施設整備をすること。

51 大庄西中学校、啓明中学校、若葉小学校跡地については、住民意見を尊重し防災などの課題解決とまちの活性化に役立つものとすること。

52 旧若草中学校跡地は、地域住民の意見を十分反映させて特養建設などに活用すること。

53 武庫川河川敷公園については、台風・洪水による被害が相次いでいるため、復旧だけでなく地盤の改良など洪水がおこっても被害を抑える構造とすること。

54 南海トラフ地震の津波や水防法の改正により大きな被害が想定されている猪名川、藻川、神崎川流域について、越流などによる浸水対策の強化を行うこと。

55 PFI方式で武庫3住宅の建替えを行っているが、地域経済にどのような影響を及ぼしたかなど、きっちりと検証を実施すること。

健康福祉局

56 乳幼児健診は、支所と地区会館を合築する新複合施設で行えるようにすること。また、地域保健・地域福祉の申請窓口業務は社会福祉協議会に委託するのではなく、市職員で行うこと。

57 介護保険料を滞納するとサービス利用時自己負担は3割となるが、滞納の根本的原因は無年金・低年金であり、3割負担は制度利用ができないというものである。よって、滞納状況や対象者の状況を考慮した柔軟な対応をすること。

58 特別養護老人ホーム増設は、介護職員不足で社会福祉法人が入札に手上げができない状況にある。介護職員の処遇改善と介護事業所への支援を行い、施設整備の促進と入所待機者解消を進めること。

59 介護予防日常生活支援総合事業について、有資格者による生活支援を行い報酬単価は現行と同額にすること。国に対して必要な財源措置を求めること。

60 障がい者の地域活動支援事業について、移動支援や移動を伴う居宅介護を利用した場合に実績記録に目的地を記載することは止めるよう求める。また、支援内容による利用制限も改めること。利用者の行動干渉は「権利条約」の理念に逸脱するものであり、改善を求める。

61 障がい者(児)の相談支援事業については、対象者(児)のニーズに沿ったサービス利用計画案に基づいて、必要とされるサービスの種別や支給量(時間数・日数など)を決めること。ガイドラインに基づく一方的な支給量削減は行わないこと。

62 アスベストによる深刻な健康被害が相次ぎ、中皮腫や肺がんで亡くなる人が後を絶たない。ハイリスク者に対して、恒常的な健康管理体制を確立すること。

63 旧小田南中学校など旧クボタ神崎工場周辺の学校卒業生に、アスベスト被害が多発している。クボタがアスベストを使って操業していた時期に在校していた人に対して、積極的にアスベスト検診を勧めること。

64 スクールソーシャルワーカーが2014年度から3名増員され6名になっているが、6名で全小中学校の対応ができているのか検証すること。そのうえで、ワーカーの適切な勤務時間や配置を進めること。

65 子どもの医療費は、中学卒業まで所得制限なしで通院も無料にすること。 

66 無料低額診療事業適用者への支援として、薬局一部負担金について市の補助を創設すること。

67 夜間・休日急病診療所の深夜帯(午前0時から6時)の小児救急医療を復活すること。また、早急な建て替えを進めること。

68 福祉避難所を増やし、要援護者や家族に周知すること。また、旧聖トマス大学跡の看護学校はベット、日常生活介助品などが整っており、新たに福祉避難所とすること。

69 生活保護の「不正受給」に対する取り組みとして、市のホームページに「不正受給」の情報が掲載されている。市民に通報も呼びかけているが、監視と差別を誘発しかねない。通報の呼びかけは削除すべきである。

こども青少年本部事務局

70 市は、2017年度に初めて子どもの貧困に関わる生活実態調査を行った。このデータを分析し有効な支援体制を早急に構築すること。

71 子ども食堂を実施している個人や団体に、財政支援を行うこと。

72 老朽化した公立保育所全ての建替え計画を策定し、早急に建替えを進めること。また、待機児童対策の中心は、公立保育所の建替えによる定員増・0歳児受け入れとすること。

73 公立保育所の企業への移管は絶対に行わないこと。

74 子どもの貧困や虐待が大きな社会問題となるなど保育を取り巻く環境は大きく変化しており、10年前に策定した「公立保育所の今後の基本方向」は今の状況にマッチしていない。「基本方向」に基づく第4次民間移管計画は、一旦凍結し見直すこと。

75 抜本的な民間保育園の保育士の処遇改善が必要である。国に求めるとともに、市独自の処遇改善策を講じること。

76 保育料はそもそも国基準を限度額にすること自体が、「日本一高い」と言われるゆえんである。限度額を引き下げ、負担感の高いD階層の更なる軽減を行うこと。

78 0歳児保育を実施する民間保育園に、市独自の加算補助を行うこと。

79 児童ホームの待機児対策として、市が率先して民間児童ホームを勧めるのではなく、公立児童ホームの増設等で対応すること。

80 児童ホームは生活の場にふさわしく拡充すること。子どもクラブとの統合は行わないこと。

81 児童館事業を復活し、中・高校生の居場所づくりを促進すること。

都市整備局

82 尼崎市自転車ネットワーク整備方針に基づき、歩行者道・自転車道・車道の区分の明確化を促進すること。自転車の交通ルールについての啓もう活動を促進すること。

83 駅前の不法駐輪はかなり改善されてきたが、更に全市的に駐輪対策を促進すること。

84 市営住宅マスタープランおよび公共施設マネジメント基本方針では「市営住宅の戸数を減らす」としているが、入居希望者が非常に多いことを配慮し、市営住宅の戸数は減らさないこと。

85 市は県の「ひょうごあんしん賃貸住宅事業」をすすめているが、家賃補助は含まれていない。公営住宅入居資格のある住宅確保配慮者の住宅対策として、家賃補助制度を創設すること。

86 空家リフォーム助成制度を創設すること。

87 木造住宅耐震補強の公的補助制度を、市民に周知すること。

88 金楽寺町の復興借り上げ住宅の借り上げ期限20年が到来する。ひきつづき居住を希望する人に対しては、個別借り上げを行うこと。

消防局

89 消防職員の充足率が67%程度である。緊急時等に十分体制が取れるよう、職員の増員をおこなうこと。

教育委員会

90 中学3年生までの35人以下学級を実施すること。また、達成するまでは、対応策として教職員の加配を行うこと。

91 中学校給食は、自校調理方式と親子方式を導入し早期に実施すること。

92 尼っ子健診の結果、中学生の約半分以上が生活習慣病予備軍となっており、食育の強化が求められている。そのため、栄養教諭を小・中学校全てに配置すること。

93 老朽化した学校トイレを改修すること。また、校舎の各階にトイレを設置すること。

94 車いすや階段を利用できない児童生徒のために、エレベーターを設置すること。

95 中断している学校プール改修計画を復活させ、残りの事業計画を作成すること。

96 冷房の効きが悪い全館空調式の学校は、夏までに改善すること。

97 給食費の保護者負担を軽減すること。

98 準要保護世帯の就学援助入学準備金について、来年度から支給時期の前倒しおよび増額をすること。

99 図書司書を全ての小・中学校に配置すること。

100 給食費・教材費等の徴収事務は、教師の教育活動から外し、市の責任で行うこと。

101 課外クラブ指導員を増員すること。

102 特別支援学級や普通学級の生活介助員が不足している実態を調査し、子どもの実情に合わせて増員すること。

103 夏休みのプール開放は、全ての小学校で市の責任で実施すること。

104 阪神間で一番高い市立幼稚園の保育料を引き下げること。

105 尼崎養護学校について

  ①災害発生時に避難ができるよう十分対策を図ること。

  ②通学バスの運行について、学校敷地への出入り口付近の住民説明を丁寧に行い、理解協力を求めるとともに、安全対策を十分に行うこと。

市民協働局

106 国民健康保険について

 ①高すぎる保険料を引き下げること。都道府県単位になっても、一般会計からの繰り入れ(財政健全化繰入、多人数世帯等の負担軽減を図る繰り入れ)は減額せず継続すること。

 ②市の独自事業(結核・精神医療付加金および葬祭費、あんま・マッサージ・はり・きゅう施術助成、特定健診)も継続すること。

 ③国民皆保険の主旨にのっとり、未納保険料の有無にかかわらず正規の国民健康保険証を全ての世帯に送付すること。

 ④国民健康保険料減免制度をさらに拡充すること。

 ⑤国民健康保険の一部負担金減免制度は、所得激減を条件とせずに生活困窮世帯も対象とするなど、使いやすく安心して受診できる制度に改善すること。

 ⑥預金残高があっても、事業継続上必要不可欠の運転資金である場合がある。国民健康保険料徴収のために、本人の承諾なしに一方的に資産調べや差押えは行わないこと。差押え禁止財産は差し押さえないこと。

 ⑦分納誓約時に、納税者を一方的に追い詰めるだけの「分納誓約額算出書兼確認書」を求めないこと。

107 市民課窓口業務の民間委託をやめ、市職員で行うこと。

108 地域総合センターは、市民誰もが利用しやすいものにすること。

109 LGBTの啓もうをさらに進めること。

110 旧梅香小学校跡に造られる複合施設の大・中・小ホールは、かつての労働福祉会館のように市民の使い勝手が良いものにすること。

111 公民館・地区会館・女性センターなど、公共施設の音響設備を改善すること。

112 貸館の利用料は、市民が利用しやすい料金体系に改めること。

113 各支所及び新複合施設に証明コーナーを置き、市職員を配置すること。

経済環境局

114 太陽光パネル設置を促進するために、一般住宅への補助制度を復活すること。

115 地域振興を図るために、小規模企業振興基本法に基づいて、小規模企業、特に小企業に対する振興策を強化すること。そのために、全ての中小業者の実態調査を行うこと。

116 制度融資の利子補給・保証料補助は、困難をかかえる中小業者が活用しやすい元気の出る小企業融資にすること。

117 地域経済活性化のために、住宅・店舗リフオーム助成事業を創設すること。