2016.9月市議会・徳田みのる議員の一般質問の発言と答弁概要

第一登壇

日本共産党議員団の徳田稔です。まず9月9日に、北朝鮮が核実験を強行しました。同日、稲村市長も抗議電報を打たれました。核実験強行はこの間繰り返された弾道ミサイル発射とともに世界の平和と安定にとって重大な脅威であるとともに、国連安保理決議、6カ国共同声明、日朝平壌(ぴょんやん)宣言に違反する暴挙であります。日本共産党は、この無法な暴挙をきびしく糾弾するものです。

 さて私は、今回の一般質問です。

国の洪水浸水想定見直しによる対策、市の借り上げ復興住宅、アスベスト被害者対策について市長の見解をお聞きします。

まず国の洪水浸水想定区域見直しについてです。8月31日の台風10号では、岩手県や北海道で大きな被害をもたらしました。特に、岩手県では岩泉町の高齢者グループホームで9人が犠牲となるなど、岩手県内全体では、9月11日現在、20人の方がなくなられ、いまだに4人が行方不明と大きな被害をもたらしました。この台風10号によって犠牲になられた皆さんへ心よりご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆さんへお見舞い申し上げます。

 さて近年記録的な豪雨により河川の堤防が決壊するなどして甚大な被害を受けています。これは地球温暖化による異常気象が原因と言われています。昨年は、9月9日から10日にかけての北関東地方を中心に大雨が降り、茨城県では鬼怒川の堤防が決壊し大きな被害が発生しました。兵庫県内では2009年8月の台風9号では佐用町をはじめ兵庫県西部では大きな被害をもたらしました。

 このような近年頻発(ひんぱつ)する想定を超える浸水被害の多発等を踏まえ、国は想定し得る最大規模の洪水等に対する避難体制等の充実・強化を図ること等を目的として昨年7月に水防法の一部を改正しました。そして国土交通省近畿地方整備局猪名川河川事務所は、今年6月13日に、この水防法改正をふまえて、これまで公表していた洪水浸水想定区域等を見直しました。

 これまでは、戦後最大流量を記録した1953年9月の降雨量、24時間に279ミリの2倍の総雨量を想定していましたが、今回、これまでより厳しい降雨量、9時間で380ミリへ変更しました。そして想定最大規模の洪水により浸水が想定される区域と深さに加え、家屋倒壊等をもたらすような氾濫の発生が想定される区域を示した家屋倒壊等氾濫区域を示しました。

 そして第1回猪名川・藻川の大規模氾濫に関する減災対策協議会が8月19日に、猪名川河川事務所、気象庁、大阪府、兵庫県、豊中、池田、伊丹、川西、尼崎の各市の出席のもとに開かれ、尼崎市からは土木部長が出席されています。5年間で達成すべき減災の為の目標として、猪名川・藻川の大規模水害に対し、逃げ遅れゼロ、社会経済被害の最小化をめざすとしています。目標達成に向けた3本の柱として①逃げ遅れゼロに向けた迅速かつ的確な避難行動の為の取り組み、②洪水氾濫による被害の軽減・避難時間の確保のための水防活動の取組み、③一刻も早い生活再建及び社会経済活動の回復を可能とするための排水活動のとりくみを上げています。そして次回の協議会は10月下旬の開催の予定となっています。

 そこでお尋ねします。今回の猪名川河川事務所の浸水想定見直し等を市はどのように受け止めているのか。そしてこれを受けて市がどうff対応しようとしているのでしょうか。お答えください。

答弁要旨

本年6月14日に国土交通省(猪名川河川事務所)から発表されました猪名川・藻川の洪水浸水想定区域等の見直しについては、①想定される最大規模の降雨量を9時間総雨量380mmとし、浸水想定区域や浸水の深さを見直しました。また、②水平避難を促すため木造2階建家屋の倒壊の恐れを想定した「家屋倒壊等氾濫想定区域」を新たに設定しております。こうしたことから、想定を超える被害が発生することを念頭に、これまで推し進めております自助・共助・公助が一体となった避難体制等の充実・強化をより一層進めて参りたいと考えております。なお、本市の新たな洪水ハザー一ドマップにつきましては、今後、武庫川についても同様の見直しが予定されることから、兵庫県の動向を踏まえながら変更し、市民にお知らせしていくこととしております。(以上)

 家屋倒壊等氾濫区域とは、堤防決壊に伴い、直接基礎の木造家屋の倒壊・流失をもたらすような激しい氾濫流や河岸浸食が発生することが想定される区域としています。市内では東園田、田能、椎堂、戸の内、猪名寺、食満、瓦宮、小中島、善法寺、額田、高田町など猪名川、藻川沿いの地域の一部が示されています。6月14日の神戸新聞の報道では、猪名川、藻川に挟まれた東園田町で、これまで3.3メートルだった浸水の深さが5.7メートルになったところもあり、阪急園田駅前も2.5メートルから3.8メートルへ見直され、周辺では4日以上にわたって水没してしまうと予想されるとしています。

 そして猪名川河川事務所は、これらの情報により、市町村長による避難勧告等の適切な発令や住民等の主体的な避難の取り組みが進むことを期待するとしています。さらに洪水浸水想定区域等は、浸水区域に含まれる市町村に通知され、市町村は、今後、早期の立ち退き避難が必要な区域を示した洪水ハザードマップを作成することになっています。市は、これまで今年9月1日には図上による防災総合訓練、地域の様々な避難訓練などが実施してきました。また防災ブックの全世帯への配布など防災意識の醸成に努力されています。

 そこでお尋ねします。猪名川河川事務所の洪水浸水想定区域等の見直しに伴い、市民の防災意識をさらに高めるためにも、猪名川・藻川流域の市民を対象にした住民説明会を開くことが必要と考えます。また旧東高校の跡地の藻川に隣接して特別養護老人ホームの建設が計画されています。この場所はまさに川沿いの一部が家屋倒壊等氾濫区域となっています。建設計画の見直しが必要ではないでしょうか。市長の見解をお聞かせください。

答弁要旨

これまでも、市民の皆様には、平常時から洪水を始めとする様々な災害から身を守る方法等を備える取組みを行って頂くため、尼崎市防災ブックの全戸配布を始め、近年多数の市民に参加いただいている市政出前講座や地域の防災マップ作り、防災訓練などを通じまして、洪水などに対する避難行動を始め、本市の災害の危険性について説明し、積極的に情報発信を行っております。こうしたことから、今回新たに発表された浸水想定等につきましても、引き続き、各種の防災関連事業やその他様々な機会をとらえ市民へ説明・情報発信を行っていくことはもとより、適切な避難行動をとっていただけるよう、今後も引き続き、防災意識の向上に向け、啓発等に努めていきたいと考えております。以上

答弁要旨

尼崎東高校跡地の活用に向けては、地域住民の代表者や公募市民などで構成する市民検討会が設置され、住宅開発や憩い・交流スペース、運動スペースや高齢者支援施設等を盛り込んだ「土地活用の方針」が策定されています。その「方針」では、「水害に備えたまちづくり」を進めるため、一定の高さを確保し、周辺住民の一時避難場所としても活用できる建物の整備を、土地活用の方向性の一つに定めております。そのような中で、特別養護老人ホームにつきましては、入所を希望する要介護高齢者が多いにも関わらず、用地の確保が難しく、整備促進が大きな課題になっておりますが、こうした大規模市有地の有効活用は非常に効果的な手法であることから、現在、当該跡地において、特別養護老人ホームの整備を計画するとともに、同ホームには、周辺住民に対する一時避難施設としての役割についても期待しているところでございます。このため、現在のところ、当該跡地における特別養護老人ホームの建設計画を見直しする考えはございません。以上

 東園田町、椎堂、田能の島之内の皆さんは、園田地区会館の現在地での建て替えを求められています。一昨年11月には同趣旨で地域住民過半数のⅠ万6千人の署名が本市議会へ提出され審議未了となっています。また昨年6月にも園和社会福祉協議会の会長さん13人の連名で、園田地区会館の現在地での建て替えの4度目の要望書が稲村市長へ提出されました。園田地区会館の現在地での建て替えを求める要望理由の一つが、災害時の指定避難所の確保で、その必要性がさらに増していると言えます。市が計画している園田地区会館跡に建設予定の北消防署園田分署の上階に設置される多目的ホールは、消防署が管理するため、津波一時避難所にはなりますが、今の園田地区会館が担っている災害時の指定避難所にすることはできません。

 お尋ねします。洪水浸水想定区域の見直しで、島之内での指定避難所の確保は大きな課題となっています。そのためにも地域住民の強い要望である園田地区会館の現在地での建て替えを検討すべきではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください

答弁要旨

公共施設の最適化に向けた取組におきまして、中央地区を除き、老朽化が進む支所と地区会館の複合化による建替えを進めていくこととしておりますが、園田地区の複合施設につきましては、地区のコミュニティ創造の拠点として、また災害時には一定の防災上の役割を担う施設となるよう、地区内の配置バランスや、十分な敷地面積が確保できることも考慮する中で、尼崎東高校跡地に設置することとし、これまで議会や地区住民の皆様にご説明してきたところでございます。一方で、地元からのご意見にもございます防災機能に関しましては、園田消防分署の建替えを機に、施設集約後の地区会館の跡地を活用する中で、災害時の活動拠点として、或いは地域の災害に備えた訓練や講習等の場として、新たに消防施設を整備し、地域の安全安心に配慮してまいりたいと考えております。また、新たに整備する消防施設には多目的ホールを設置し、消防活動のほか、地域住民の皆様にもご利用いただけるよう運用することにより、東高校跡地に建設する複合施設の補完的な役割を担っていくこととしております。こうした取組につきましては、地域住民のご要望を踏まえる中で十分に検討を重ねてきたものでございますことから、ご質問のように園田地区会館を現在地で建て替えることは考えておりません。以上

次に市の借り上げ復興住宅についてです。

阪神・淡路大震災では、10万戸以上の住宅が全壊し、全半壊は25万戸以上となっています。多くの市民が住宅と生活基盤を失いました。その中で、復興公営住宅の建設がどれだけ、どこに建設されるかは重要な課題でありました。多くの復興公営住宅が建設される中、被災者の公営住宅入居のニーズに急いで応えるために借上げ住宅の制度が活用されました。借上げ住宅は、震災翌年の1996年の公営住宅法改正により、それまでの直接建設方式に加え、民間住宅ストックを活用した公営住宅の供給方式として導入されたものであります。

 阪神・淡路大震災後、この制度を活用して兵庫県内では、兵庫県、神戸市、西宮市、伊丹市、宝塚市、そして尼崎市で、当時の住宅・都市整備公団、現在の独立行政法人都市再生機構(UR)や民間マンションなどが借上げられ、公営住宅として活用されてきました。

そしてその借上げ住宅戸数は、兵庫県はURから3120戸、神戸市はUR、市住宅公社、民間から3952戸、西宮市はURから447戸、伊丹市は民間から42戸、宝塚市は民間から30戸、そして尼崎市はURから120戸の借上げを行い、公営住宅並みの家賃で住めるようにして、復興住宅として市民の住まいを確保してきました。

この金楽寺町にある尼崎市の借り上げ復興住宅は、1998年8月13日から20年間の期限でURから借り上げました。そして2018年8月12日に入居の明け渡し期限がきます。当初、2018年8月12日までに住宅を空にしてURに返還するとしたため、2014年度、移転の為の予算が計上されていました。しかし、市がURと協議する中で2018年8月12日まで居住して、その後、移転を話し合うと変更されたため、予算は執行されませんでした。

 そこでお尋ねします。現在、金楽寺町にある市の借上げ復興住宅に何世帯居住されているのでしょうか。

答弁要旨

平成28年8月末時点で92世帯、147人が入居されています。以上

 さて、先行して明け渡しの期限が到来している神戸市や西宮市では入居者に対して明け渡し裁判が行われています。今回、明け渡し請求訴訟で訴えられている入居者の多くは、入居時に20年で退去しなければならない説明は一切聞いていないし、入居許可書にもそのことは書いていないと述べられ、このことが裁判の大きな争点となっています。

 そこでお尋ねします。尼崎市の借り上げ復興住宅の入居契約書に入居は20年と記載されているのでしょうか

答弁要旨

入居の際の賃貸借契約書に当たる金楽寺住宅の「市営住宅使用証書」には、「住宅・都市整備公団(現UR)が建設したものを20年間の借上げ契約により、尼崎市が借受け入居者に転貸するものです。このため、借上げ期間満了後、他の市営住宅に移転していただく等のことがありますので、ご承知おきください。」と記載しています。なお、一部に20年間の借上期間に関する記載がないものがございますが、市営住宅の募集要項には借上げ期間が満了した際には住替えていただく旨を記載しており、入居者説明会の際にも説明させていただいております。また、平成26年4月に、借上げ期間満了後の対応について、住民説明会を実施する際、金楽寺住宅はURから借上げたものであり、平成30年8月12日に20年の借上げ期間が満了する旨を記載したお知らせを全戸に直接配布するとともに、掲示板にも掲載するなど、その周知に努めてきたところでございます。以上

 以上で第1問を終わります。

第2登壇

 ご答弁をいただきました。洪水の浸水想定は今回は国の見直しですので、県の見直しを受けてから洪水はハザードマップの修正するとのことですが、防災意識を高める点からも、住民への周知や説明会は急ぐべきだと思います。あらためて要望しておきます。東高校跡地の特別養護老人ホーム建設計画は、変更しないとのことですが、やはり防災の観点から見直す決断が必要と思います。島之内地域の指定避難所は小学校、中学校を活用するとのことです。しかし、島之内3万3千人の住民、その1割の皆さんが避難すると想定しても、指定避難所はとうてい足りないぐらいです。市の借り上げ住宅の現在の入居者は92世帯、147人で、入居契約書に20年と記載されていない人もいるとのことですが、この点も踏まえてそれでは第2問に入ります。

まず市の借り上げ復興住宅についてです。2015年3月の予算特別委員会第3分科会での私の質疑に対して、住宅管理担当課長は、平成30年8月にいったんURにお返しするという形になります。その後、そこに残られる方については、他の市営住宅に移っていただくというのが1つの手法でございます。転居支援困難者につきましては、まだ基準等を定めておりませんが、個別に継続というか、個別借り上げを延長として行くような形で現在、検討しております、と答弁されています。

 お尋ねします。市営住宅に移っていただくことも1つの手法と答弁されていますが。2018年8月の後、どのように対応されるのでしょうか。お答えください

個別に継続あるいは個別借り上げを延長として行く転居支援困難者としての兵庫県の基準では①期限満了時に85歳以上、②重度の障害者、③要介護3以上のいずれかがいる世帯、④、①~③に準じる人で判定委員会が認めた世帯となっており、これらの世帯は継続して居住を認めることになっています。2013年に市が行った借り上げ住宅入居者の住み替えアンケート結果では、住み替えが困難と回答された方は病気、体調不良のためが54件、高齢の為が45件となっています。

 お尋ねします。尼崎市の転居支援困難者は継続入居を検討されているのでしょうか。転居支援困難者とは、どのような方を想定されているのでしょうか、お答えください。

答弁要旨

借上げ復興住宅にかかる継続入居など、一連のご質問に対しまして、一括でお答え申し上げます。URからの借上げ契約が平成30年8月に満了することから、これまでもこ答弁申し上げましたとおり、金楽寺住宅につきましては、住替移転を基本とし、金楽寺住宅の周辺を中心に市営住宅を確保いたします。また、住替移転困難者とされる方々につきましては、URから個別に住宅を借上げることで、継続して入居していただくことを考えております。その要件につきましては、85歳以上の高齢者や、重度障害者など、基本的には兵庫県が定めた基準に準じた内容にしたいと考えております。それ以外の方々につきましては、金楽寺住宅の周辺を中心とした他の市営住宅への住替移転を基本に対応してまいります。Jいずれにいたしましても、個別事情をお聞きして対応して参ります。以上

 県は今年、8月31日に、2017年4月から11月までに期限を迎えるUR借上げ復興県営住宅入居者の継続入居可否に関する判定結果を発表しました。対象となる100世帯のうち、継続入居を希望して判定を申請した70世帯について、判定委員会が69世帯を継続入居を認めました。その内3世帯は、県の独自の基準を満たさないが、基準に準じ住み替えが困難と判定委員会が認めました。2013年に市が行った借り上げ住宅入居者の住み替えアンケート結果では16世帯の方はずっと住み続けたいと回答されています。

阪神・淡路大震災被災者支援の原点に立ち返り、いまの場所で引き続き居住を希望する方に対して、個別借り上げも検討が必要と考えます。

 

つぎにアスベスト被害者対策についてです。

私はこの問題について、2013年の9月議会、昨年の6月議会で質問してきました。この質問を踏まえて行っていきます。かつてクボタ旧神崎工場周辺に居住していた住民遺族が起こした環境型の尼崎アスベスト訴訟は、昨年2月17日、最高裁判所第3小法廷が原告と被告クボタ双方の上告を棄却し、大阪高等裁判所の判決が確定しました。高裁判決は、クボタの周辺住民への加害責任を認め、1人の遺族に対してクボタに3200万円の支払いを命じました。公害としてアスベスト被害の企業責任を認定したのは全国で初めてのことでした。昨年の6月議会での私の質問、「上告却によって大阪高裁判決が確定し、住民への企業の加害責任を認め、公害としてアスベスト被害の企業責任を全国で初めて認定したことに、市長はどのようにお考えでしょうか」に対して、市長は、「平成27年2月の最高裁におきまして、企業の責任を認める判決が確定いたしました。クボタが青石綿を大量に使用し、大気中に飛散させ、工場周辺の住民に被害を与えたことがあらためて認められましたことは、大変重いものと受け止めております。公害と向き合ってきたまちとして、多数の被害者が出ている問題であるということをしっかりと受け止め、取り組みを進めてまいる所存でございます」と決意が述べられました。

 稲村市長は今年6月17日に国に対し石綿による健康被害救済制度等の更なる充実に関する緊急要望をされています。この要望書の要望趣旨を紹介します。「この間,石綿による健康被害の救済に関する法律に基づき、これまで600人以上の方々の申請手続きを本市で行ってきたところでございます。現状の救済給付だけでは家族とともに生計を維持していくことが難しい方々もおられます。さらに発症までの潜伏期間は10年から50年の長期にわたることから、今後とも石綿による健康被害者が続出することが予想されます。本市では、人口動態統計によると平成17年から平成26年の間に毎年21人から43人の方が中皮腫で亡くなられるなど,未だに被害が続いており、中皮腫治療方法の確立は患者にとって切実な願いであります。今後とも石綿による健康被害を受けた方を継続的に支援していくためには、石綿健康被害救済制度で医療費全額を負担することが必要であると考えます。住民の方が安心して生活できるような健康管理制度の早期創設については、この3月に本市をはじめ、関係都市共同で要望を行ったところでございます。今回「石綿健康救済法」の改正に伴い、国におかれましては、石綿による健康被害者に対する救済制度の充実及び石綿健康被害の未然防止に向けた取組への支援として次の措置を講じられることを強く要望します」として、そして6項目の要望をされています。

そこでお尋ねします。この要望全体に対して国はどのような回答をされたのでしょうか

答弁要旨

6月17日に行った国に対する緊急要望の場では、環境省を中心に意見交換を行いました。特に、今回見直しを検討されている石綿健康被害救済制度については、いわゆる働き盛りの人に対する経済的な負担の軽減をするに当たり、これらの方々だけでも療養手当の引き上げを行うよう、強く訴えてまいりました。その場で、環境省からは、今後とも患者の方も含め、幅広く意見を聞き、検討していくと回答がありました。現在、国では、中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会において、救済制度の見直しについて検討し、とりまとめを行っているところと側聞しております。今後も機会あるごとに、救済制度をより良くしていくために意見を述べていきたいと考えております。

国への要望の1つが「石綿による健康被害の発生が今後も見込まれることから、石綿健康被害救済法において、医療費全額を負担するよう制度構築を図られたい」です。これと同趣旨の内容の陳情を昨年、本議会により全会一致で採択しました。内容は、「アスベスト疾患に対する治療費の自己負担はゼロですが、国の負担は、国民健康保険の高額療養制度を優先した上で、本人負担となる費用の部分を国が負担するというものであります。公害による被害者の治療は、国費や加害企業などが行うべきものと考えるべきだ」となっています。

お尋ねします。この石綿健康被害救済法において、医療費全額を負担するよう制度構築を図られたいとの要望に対して、国はどのような回答をされたのでしょうか。また、この回答に対して市はどのように対応しようと考えているのか市長の見解をお聞かせください。

答弁要旨

環境省では、医療費全額の負担は、公害等の「補償制度」でなければ難しく、仮に「補償制度」になると救済の対象から外れる方も出てくると認識していることなどから、現行の形で、迅速な救済の促進に力を入れていきたいとの意向がありました。しかしながら、この医療費については、国民健康保険料に影響を与えている重要な問題であると認識しております。そのため、この8月23日には、近畿都市国民健康保険者協議会から、厚生労働省に対して医療費全額の負担に対する要望を提出したところです。このように、今後とも様々な機会を捉え、国へ要望を行ってまいりたいと考えております。(以上)

アスベストによる健康被害の特徴は、低濃度であっても、アスベストを吸い込んで20年から50年経過して中皮腫や肺がんなどを発症します。市内における中皮腫による死亡者は、2012年は31人、2013年は33人、2014年も33人と続き、2002年からの2014年までの13年間で339人の方が中皮腫で亡くなられています。アスベスト疾患による犠牲者を減らすためには、早期発見にあることは言うまでもありません。中皮腫は早期に発見できれば手当ができる治療も確立がすすんでいます。アスベスト検診受診のための積極的な呼びかけと、恒久的健康管理体制の確立が不可欠となっています。

 2014年3月にとりまとめたアスベストの健康影響に関する検討会の報告書では、これまでの健康リスク調査により一定の知見が得られたことから、第2次リスク調査終了後の2015年度以降は、データ収集を主な目的とする調査ではなく、アスベスト検診の実施に伴う課題などを検討するための調査として、リスク調査にかわってアスベストばくろ者の健康管理に係る試行調査が始まっています。この試行調査が実施され1年が経過しました。アスベスト健康相談の流れでは、まずアスベストについて健康不安がある方は、肺がん検診を受けます。この肺がん検診の受診場所は保健所または地域巡回検診となっています。そして、必要に応じて尼崎総合医療センター、関西労災病院、兵庫医科大学病院で胸部CT検査を受けることになります。

そこでお尋ねします。肺がん検診は検診場所を保健所や巡回検診に限定していますが、アスベストについて健康不安のある方の肺がん検診を希望する医療機関を市が募り、市民が身近で検診できるようにすることが必要と考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁要旨

平成27年度の試行調査からは、石綿の健康管理について肺がん検診等を活用することで、従来の保健所での実施に加え、地域での特定健康診査等の会場でも受診ができるようになるなど、より市民の方が身近で受診していただけるような取組を行ってきております。肺がん検診につきましては、2名以上の医師による二重読影や過去のエックス線写真との比較読影の必要があり、市内医療機関での実施については、このような実施方法等含めた課題について、現在、尼崎市医師会と協議検討を続けているところです。今後とも、市民の皆様の健康管理に役立てていけるよう、身近なところで受診できるような取組について検討していきたいと考えております。(以上) 

市内でアスベスト被害者救済に取り組んでいる民間団体、「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」の相談者は、旧小田南中学校の卒業者が続いています。昨年10月に、悪性胸膜中皮腫と診断された68歳の女性は、3歳の時に尼崎に転居し、1954年から長洲小学校、1960年から小田南中学校で学んできました。今年4月に、悪性胸膜中皮腫と診断された66歳の男性は、長洲西通り、北大物町に居住し、小田南中学校の卒業生です。

そこでお尋ねします。中皮腫などアスベスト疾患は小田南中学校など、クボタ周辺の小中学校卒業者に集中しているもとで、1955年から1975年にクボタ旧神崎工場周辺の小学校、中学校、高校に在学していた人、現在、市外在住者も含めてアスベスト検診の勧奨を強化すべきではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁要旨

当時通学していた人を把握することは、個人情報保護の観点や転居等の問題もあり、困難であると考えております。しかしながら、これまで石綿の健康リスク調査及び試行調査を受けられた方が転居された場合には、身近なアスベスト疾患センター等で試行調査を受けることができる旨の案内文書を毎年度送付しております。加えて、リスク調査及び試行調査を受けられた全ての方に対して、友人や同級生等転居された方も含めた知り合いの方へ試行調査の受診勧奨もお願いをしております。今後も引き続き、市報やホームページを含め、「石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査」の受診勧奨に取り組んでまいります。(以上)

以上で第2問を終わります。

第3登壇

 第3問は要望に留めておきます。市の借り上げ復興住宅についてです。公営住宅法第1条では、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対し低廉(ていれん)な家賃で賃貸(ちんたい)し、又は転貸(てんたい)することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」としており、憲法25条の生存権保障の規定に則り判断することが大切であると考えます。

 宝塚市は、借上げ復興住宅のすべてを引き続き継続借上げを行うことを、すでに決定しています。市の借り上げ復興住宅入居者で、入居時に20年が期限であることを契約書に明記されていない方もあるとのことですが、いまの場所で引き続き居住を希望する方に対しては、個別借り上げも検討が必要であることを要望しておきます。

 アスベスト被害者対策ではこれまで繰り返し質問してきました。石綿健康被害救済法において、医療費全額を負担するよう制度構築を求める問題ですが、国民健康保険へ影響与えます、8月23日に国に要望したとのことですが、市の積極的な働きかけをさらに強化することを求めておきます。

アスベストの健康不安を抱える人が、肺がん検診を受ける場所について医師会と協議検討を続けているとのことですが、身近で検診を受けることができることは、健康管理体制の確立の点からも必要です。

 クボタ周辺の小・中・高校の卒業者へのアスベスト検診の勧奨は個人情報や転居等の問題ででできないとの答弁でした、民間人が卒業者に知らせることは問題があると思いますが、行政がまたは学校もしくは教育委員会から卒業生に知らせることが、なぜ個人情報に抵触するのか、また個人情報は命にかかわる点は除外するとなっており、なぜ卒業生に検診をすすめることが個人情報に抵触するのか理解できません。以上で、私のすべての質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。