予算特別委員会での2016年予算案に対する徳田みのる議員の意見表明です

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 おはようございます。日本共産党議員団の徳田稔です。会派を代表して2016年度予算案及び関連議案に対する意見表明を行います。東日本大震災から5年が経過しました。激しい揺れと津波、福島原発事故により、いまだに17万人以上の人が不自由な避難生活を強いられています。安倍首相は、「大規模な自然災害」を口実に、憲法に「緊急事態条項」を新設し首相権限の強化や国民の権利制限を行おうとしていることに対し、会派の代表質疑で市長は、「大規模な自然災害時の対応に関しては、憲法改正をすることなく、現行法のなかで対応できる」と答弁されました。高く評価しております。さて、一昨年4月の消費税8%増税の影響から、まだ脱しきれていません。

 アベノミクスの3年間で、大企業は史上空前の大もうけをあげ、内部留保は300兆円を超えました。一方、労働者の実質賃金は下がりつづけ、非正規雇用の拡大、子どもの貧困、人口減少がとまりません。さらに来年、4月から消費税が10%に増税されようとしています。安倍政権は、これらの失政の反省もなく、地方創生、アベノミクスの地方への波及などと言っていますけれども、消費税再増税、社会保障費削減、雇用破壊のアベノミクスは、地方の衰退をさらに加速させるだけです。3月16日と昨日22日に、安倍首相も出席のもとに開かれた「国際金融経済分析会合」でノーベル経済学賞を受賞したアメリカのコロンビア大学・ジョセフ・スティグリッツ教授とニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授が相次いで、来年4月の消費税率の10%への増税について「いまやるべきではない」との考え方を示し注目されています。そして、政府内で来年の消費税率の引き上げ延期が検討されていると報道されています。このことはアベノミクスの破綻、景気対策の失敗を安倍首相、自ら認めるものと言わざるをえません。また、「保育所に落ちたのは私です」と国会前でプラカードを掲げるなど、待機児童の問題は大きな社会問題となっています。これは国の社会保障費削減に対する国民の声なき声、怒りの現れでありました。今、地方は住民の暮らしの困難、福祉、医療の危機、地域経済の衰退など深刻な問題に直面しています。

 こうした中で、尼崎市は市制100周年を迎えます。市長は施政方針の中で,「百花繚乱、色とりどりの花が、そして人が咲き誇る、魅力あふれるまち、尼崎」と美しく述べられましたが、市民のくらしは、さらに厳しくなっています。安定した雇用と地域経済を活性化し、暮らし、福祉、教育を中心に子育てしやすい環境をつくっていくことが求められています。今年から選挙権年齢が18歳まで拡大されました。これはこれまで日本共産党も求めてきたものです。

 18歳選挙権実施にかかわり、文部科学省が高校生の政治活動にさまざまな制限をつける動きを強めています。学校の恣意(しい)的な判断で政治活動を禁止できるよう通知したのに続き、学校外での活動を学校に届け出させる見解も示しています。高校生の思想・良心の自由を侵害するもので、許されません。選挙権行使のために、若い人自身が自ら判断できる環境を十分に保障していかなければなりません。

 地方創生関連事業、まち・ひと・しごと創生総合戦略についてです。市は昨年、尼崎版総合戦略を策定しました。3つの基本目標は①ファミリー世帯の定住・転入を促進する、②経済の好循環と「しごと」の安定をめざす、③超高齢社会における安心な暮らしを確保するとなっています。人口増につなげるファミリー世帯の定住・転入促進は大切ですが、若い人の安定した雇用が確保できないなど、ゆとりのある生活ができないことは、人口が減り続ける原因ともなっています。安定した雇用と地域経済を活性化し、暮らし、福祉、教育を中心に子育てしやすい環境をつくっていくことが求められています。

 次に、個別の事業についてであります。まず番号制度導入関係事業費などマイナンバー制度に関連するものです。今年1月から本格運用が始まったマイナンバー制度をめぐり、トラブルが相次ぎ、しくみの矛盾が浮き彫りになっています。マイナンバーの通知書をいまだに尼崎でも1万以上の世帯が受け取っていません。そして個人番号カードいわゆるマイナンバーカードの発行でシステム障害が繰り返されていることが新たな問題として浮上しています。この様な問題を放置したまま、制度を推し進めるのは、あまりに乱暴です。個人情報を危険にさらし、国民への国家管理と監視強化につながるマイナンバー制度は凍結し、議論を行うことが必要です。

 業務プロセス分析事業費についてです。これまで、市営住宅、図書館の管理業務など、様々な分野での民間委託が進められてきました。さらに今年から市民課窓口業務が民間に委託をされました。昨年10月に、「今後の超少子高齢社会に対応するための行政執行体制のあり方について、さらなるアウトソーシングの導入のための基本的方向性」が示されました。

 それによると「政策企画業務、公権力の行使、高度な専門性を必要とする業務を除く業務は、基本的にアウトソーシングの方向で検討を行う」としています。そしてすべての業務を検討する業務プロセス分析事業費が計上されています。市職員は通常の業務以外にも災害時の対応も欠かせません。また業務の技術的蓄積も必要であり、安易にアウトソーシングを行うべきではありません。また、尼崎市も「公共調達基本条例」の制定にむけて動き出しました。安定した入札・契約制度を継続していくためには、受注者や労働者の意見をしっかり聞くことを求めます。

 公共施設の再配置についてです。ファシリティマネジメントで、今後35年間で30%の公共施設を削減するとしています。公共施設の適正化、小中学校の統廃合、市営住宅の建て替え時の高層化と戸数削減などにより、今後も大規模空地が生み出されます。尼崎城建設や市役所本庁舎の建て替えについては、具体的な計画ができていないので、態度を保留しておきます。公共施設の再配置については、計画づくりの段階から市民の意見をよく聞くことを求めます。園田地域の複合施設のあり方については、多くの住民から意見が出されています。尼崎東高等学校跡地活用、若葉小学校・啓明中学校敷地活用、大庄西中学校跡地活用、武庫3住宅の建て替え事業などは、住民の合意が得られる内容にすべきです。宮の北公園については、地域の意見を聞いて計画を変更すべきです。旧梅香小学校敷地に予定されているホール機能については、中央公民館の付帯施設ではなく、旧労働福祉会館のように市民、誰もが気軽に使える施設にすべきであります。

 地域学習館についてです。運営補助金が今年度で打ち切られます。市民のサークルや生きがい促進など多くの市民が利用している施設が使用できなくなることは大問題です。部屋を利用した人が掃除をして帰るなど徹底して経費を節約し、運営費を備蓄する努力をしていますが、それも限界があります。地域学習館を今後とも運営できるよう補助金を継続すべきです。

 県施工・街路事業・地元負担金のうち園田西武庫線については、三菱電機構内の移転交渉の内容も非公開のまま負担金のみ支出するのは問題があり、急ぐ必要のない事業です。

 モーターボート競走事業については、住民合意である年間180日を超えての開催は問題です。

 次に、産業振興についてです。中小企業・資金融資制度は、利用件数が平成24年度が53件、平成25年度25件、26年度は6件、27年度は12月までで2件と激減しています。中小企業・小企業者の要求に合う利用しやすい融資制度に改善することを求めます。住宅エコリフォーム助成制度については、もともと環境の取り組みを促進し、市内業者に発注した場合に補助金を1.5倍にして、地域経済の振興に役立てようという2つの目的がありました。今年度は、国のエコポイント制度実施に伴い、予算執行そのものを取りやめられました。これまで実績が少ないのはエコに特化したために市民ニーズに合っていないのか、市内業者の仕事づくりとしてどうだったのかなどが考えられます。使いにくかったのであれば、エコを外して一般的な住宅リフォーム助成制度として市内業者の仕事づくりに役立つ制度に再構築すべきです。

 次に、健康にかかわる問題です。まず国民健康保険についてです。尼崎市の国保料は阪神間で一番高い水準が続いています。来年度は国保料の賦課限度額が総額で年間81万円から85万円へ引き上げられます。引き続き加入世帯の生活を痛めつけています。国保料引き下げのためにさらなる努力が必要だと考えています。現在、国保は市町村単位で運営していますが、2018年度から都道府県単位になります。現在本市も各種の軽減措置、そして独自に9億円を国保会計に繰り入れています。それでも、高すぎる国保料が市民を苦しめているのが実態です。市は県の統一的な給付サービス基準や財政措置を踏まえ、市の独自事業見直しを検討していくとしています。一般会計からの財政健全化のための繰入れ、多人数世帯の負担軽減を図る特別減免など独自の事業は継続すべきです。

 介護保険についてです。高い介護保険料も市民の生活に食い込むものとなっています。介護事業所は今年度の報酬引き下げで小規模ほど経営が厳しくなっています。その上総合事業の実施で要支援者へのサービスはこれまでと同じサービスを提供しても、介護予防の時よりも単価が低く抑えられるようでは、参入が困難になることが予想されます。介護予防・日常生活支援総合事業実施の準備が進められています。専門家により、介護サービスの質と量をしっかりと守っていかなければなりません。

 支所の廃止と保健福祉センターの建設についてです。支所の廃止で市民からの相談窓口は保健福祉センターに移行させ、申請業務のみ社会福祉協議会に業務委託されます。社協が委託される申請窓口業務として、例えば身体障害者手帳の交付・変更申請、障害者の福祉サービスの申請・変更、精神障害者の通院医療公費負担の申請・更新などがあります。受付件数は年間7万6千件にのぼります。一人ひとりの市民の状況に応じて、相談活動を行い、そして様々な制度を活用するための申請を行うことができるのか、疑問です。また2014年度の乳幼児健診の受診率が低下しています。2017年度から保健福祉センターの2カ所のみで行うことになり、場所が遠くなります。乳幼児健診は、引き続き支所で行うべきです。

 アスベスト被害者の救済についてです。アスベストが原因の中皮腫で市民が毎年30人から40人なくなっています。アスベスト被害による発症はこれからピークを迎えます。引き続きアスベスト健診を強化して早期発見・早期治療が求められています。特にクボタがアスベストを使って操業をしていた当時、近隣の小中学校に通っていた人からの発症が多発しています。継続的なアスベスト健診の強化を求めます。

 次に、子供と教育の問題に入ります。まずこどもの医療費についてです。子育てファミリーが、近隣市へ引っ越す決め手となった行政サービスの第1は、乳幼児医療の助成、第2が小・中学校の空調や給食の教育環境となっています。乳幼児医療、こども医療について、西宮市・宝塚市とも尼崎市より一人当たりの受診件数が多いのは、医療費助成が充実し、安心して受診ができる環境が作られている結果だと思います。県下で中学校卒業までの医療費無料化は、今年1月から三木市が実施、来年度予算に猪名川町、稲美町、上郡町の3町で盛り込まれ、県下41自治体のうち34市町まで広がっています。残るは尼崎市など7市町です。早期の実施が求められます。尼っ子健診についてです。生活習慣病予備軍の子どもが半分以上、特に有所見の重なりによる重篤なリスクの子が5人に一人です。子どもの将来にとって、深刻な状況です。あらゆる手段を使って、保健指導の強化と改善を求めます。中学校給食実施については、中学校給食検討委員会がつくられ、第1回委員会が開かれました。早期によりよい給食の実施を求めます。

 教育委員会は、小中学生の学力が全国平均になったと発表しました。少人数学級が学力向上、不登校対策に大変有効というのは、全国的にも試され済みです。引き続き国、県に強力に働きかけていただけるよう要望しておきます。英語学習ホップ・ステップ・ジャンプ事業についてです。英語を使ったコミュニケーションの充実を図り、生徒の英語力の向上を推進するためとなっています。公教育のあり方として、経済的困難で自己負担が払えないために、希望する生徒が排除されないよう対策を求めます。

 親の失業や低収入、病気、離婚、死別などが家庭の経済状況の悪化をもたらし、こどもの貧困は年々深刻になっています。特にひとり親家庭はもっとも深刻です。こどもの貧困を示す類似データとして、小中学校の就学援助認定率があります。これをみると2013年度、西宮市や伊丹市などの平均は16.8%ですが、尼崎市は25.9%と近隣市に比べ深刻であることを現しています。その対策のために貧困の実態調査とともに、こどもの居場所づくりのための、こども食堂への支援を求めます。

 保育所のさらなる民間移管についてです。公立保育所の民間移管、2016年度4月開所の立花南保育所の移管をもって、第3次計画が終了します。計画制定から9年がすでに経過しており、今日的課題とマッチしているのか整合性があるのか検証が必要です。次の計画が、今年度検討される模様ですが、これらの計画の大元である「公立保育所の今後の基本的方向」も含めて見直すべきです。保育所の待機児童対策も深刻です。老朽化した公立保育所を計画的に建て替え、定員を増やすなどして待機児童解消が急がれています。児童ホームの待機児対策も急がれます。留守家庭児童の家庭にかわる、生活と安全な場所を提供する児童ホームと、安心して遊べる場と異年齢が交流する場を提供することを目的とするこどもクラブは、区別した運営が必要です。

 最後にJR塚口駅のエレベーター設置は地域住民、議会、当局の努力によって実現することができました。引き続き、阪急園田駅への早期のエレベーター設置も求めておきます。以上で日本共産党議員団の意見表明を終わります。