9月議会で辻おさむ議員が行った議案に対する反対討論です

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日本共産党議員団の辻おさむです。認定第1号、4号、議案第98号、99号、103号について、反対討論を行います。まず、認定第1号「平成26年度尼崎市歳入歳出決算」についてです。平成26年(2014年)度は長引く不況で、働く人の実質賃金は、連続マイナスが続く中、4月からの消費税8%への増税、市民税均等割りの引き上げに、物価の高騰が追い打ちをかけ、さらなる市民負担が増加した年でした。このことは、生活保護率が4.09%となり、前年比0.07%も増えたことにも表れています。こうした中、生活保護では、財政面で市負担25%分の基準財政需要額が約5億円不足し、市の持ち出しが行われています。本来100%国費で賄われるべき事業なので、国に、しっかりと要求すべきです。また国民健康保険料や、介護保険料について、市民負担が重くなっており、国庫負担金などの増額を、国に求めるよう要望しておきます。尼崎市としても、市民の暮らしをささえる取り組みが求められます。それにもかかわらず、県「行革」に追随して老人医療費助成制度、母子家庭等医療費助成制度の対象者を、前年より老人で100人、母子家庭等で2770人削減しました。これまで、県と市で半分づつの財政負担でやってきた事業です。市の負担分だけでも継続し、低所得者の支援を継続すべきでした。市税収納率アップのために差押え件数が増えています。本来、やってはならない、「給料」や「年金」など、債権の差し押さえが949件、前年より381件も増えています。また、国民健康保険では、収納率を上げる取組みが強化され、前年比0.8%アップしました。市民からは「分納の相談に行くと、前年の滞納分と合わせて毎月2万円払え」と言われたなど、窓口での対応が厳しくなっています。尼崎市の保険料は、所得192万円、夫婦と子ども1人の3人家族で、宝塚市より8万円、西宮市より4万円程度、高くなっています。また、所得に対する保険料の割合が10~30%も占める世帯が41.2%もあり、重い負担になっています。強権的な取り立てを強化する前に、高すぎる保険料の解決をすすめるべきです。昨年度は、マイナンバー制度の施行のためシステム整備が行われました。総額で1億0097万円ほどの事業でしたが、7割強は国庫支出金から残りはほぼ地方交付税で賄われたようです。しかし、導入前から「なりすまし詐欺」の被害が懸念されていたものの、市民を守る相談機能の確立は国任せで、市としての検討はなんらされていません。マイナンバー制度については、国民のプライバシーの問題、情報漏えいの危険など、問題も多く、中止すべきですまた、高校学区拡大による入試が初めて行われました。市教育委員会は「希望した人が希望した高校に入ることができた」と評価していますが、これは、「その他志望」がなくなったことによるものです。学区拡大によって、実際には、差し引き232人の生徒が市内公立高校から弾き飛ばされたことは事実です。しかたなく学費負担の重い私学へ行った生徒が多くいます。学区拡大の見直しを県に求めるべきです。 また、県道園田西武庫線の建設事業について、藻川工区では、道路建設による私有財産の提供や周辺生活道路の分断などについて、地域住民から反対の声があがっています。市は、市民の声をもっと県に伝え計画の見直しなど要望すべきです。以上、2014年度の予算執行によって、市民福祉を増進するうえで問題点があったことを指摘し、認定第1号は、認められません。

次に、市バスの民間委譲に関しての一連の議案についてです。まず、議案第103号「尼崎市自動車運送事業の設置等に関する条例等の廃止等に関する条例」は、来年度から市営バス事業を阪神バスに委譲することを前提に、市営バス事業にかかる条例を廃止しようとするものです。尼崎の市営バスは、67年間、市民の足として、通勤・通学・通院・買い物など、市民の暮らし、また市内経済を支えてきました。昭和23年3月8日、高洲~鶴町間1.6㎞を、電気バス3台で運行を始めたのが、尼崎市営バスの出発でした。市の人口増加、市民の生活圏拡大に合わせて市バス路線も拡大し、昭和30年代半ばには、市内全域の路線網が確立、昭和42年には1日平均12万8000人の乗客数を記録しました。しかし、その後、自動車・自転車という私的交通手段の普及や、道路交通の混雑、渋滞など、走行環境の悪化など厳しい環境に加え、急激な高齢化の進展や、環境問題に配慮したまちづくりが求められるなか、「市民の足」として、「ひとにやさしい」「環境にやさしい」市営バスとなるよう努力が重ねられてきました。全国に先駆け、全車両「ノンステップバス」の導入は、全国に誇れるすぐれた取り組みでした。市民の感想を紹介します。「年齢が高くなるとノンステップバスのように、入口が広く、ステップが低い方が良いですね。」「高齢者の方の乗車時、乗務員が発車しないで座席に着くまで見守っていたことや、運賃を払ったら『ありがとうございます。』と声をかけられたり、何番のバスに乗れば良いか判らず尋ねたら『このバスは、遠回りとなりますので時間がかかりますよ。』と教えてくれたり、いろいろと嬉しい思い出もありますね。」――これは、「尼崎市交通局50周年記念誌」に寄稿された、当時のPTA連合会の津田加寿男さんの感想文です。こうした市民に愛されてきた市バスの経営悪化を決定づけたのは、6年前の「高齢者特別乗車証」の有料化でした。当時、他都市の有料化の事例から、収入が大体3割ぐらい減るのではないかという見込みでした。先日の決算特別委員会での質疑で明らかになったのは、平成26年度決算では、高齢者特別乗車証有料化前の平成21年度との比較で、やはり収入が3割減っているということです。ある意味、予想どおりでした。 有料化は、市バス事業への収入減というだけでなく、それに伴って特別乗車証を利用している高齢市民の乗客が、6割減りました。一日当たり1万1,000人の高齢市民が、市バスから締め出されたことになります。高齢者特別乗車証=敬老パスの有料化は、市バス経営の悪化と、高齢利用者の締め出しをもたらし、市民福祉を担う行政として、失策だったといわざるをえません。また、今年度と比較して、民営化後の市負担は3年間、約2億9,000万円が軽減されるという見込みです。しかし一方では、民営化に伴う一時的経費として、IC化に3億1,000万円、退職手当6億3,000万円で、あわせて9億円以上が必要になりますから、3年間の収支はトントン、財政効果としては薄いものです。さらに、3年間は路線ネットワーク、料金が維持されるということですが、3年後については、地域公共交通会議に委ねられますけれども、法的位置づけから言っても、やはり権限が弱く、必要な路線が確保される保障はありません。本来、公営企業審議会が指摘したように、「総合交通政策」を確立し、その中で市営バスの位置づけがされるのが、本筋です。市営バスをなくしてから「総合交通政策」を考えるということですから、順序が逆であり、まちづくりの観点からも逆立ちしていることを指摘して、議案第103号については反対をするものです。

認定第4号「平成26年度尼崎市自動車運送事業会計決算」については、民間委譲を前提とした「民営化補助金」は、「経営改善補助金」とすべきであり、26年度自動車運送事業会計決算は認められません。

最後に、議案第98号「尼崎市乗合自動車特別乗車証交付条例の一部を改正する条例」、および、議案第99号「尼崎市高齢者乗合自動車運賃助成粂例」については、市バスの阪神バスへの委譲にともない、高齢者特別乗車証の規定を変更しようとするものですが、これまで、市バスしか使えなかった特別乗車証が、阪神バス・阪急バスなど、他の民間バスにも使えるようになることは、一定の前進です。しかし、これは、市バスを民営化しなければできなかったものとは、考えられません。加えて、来年度の移行時について本人負担は変わりませんが、将来の負担については、増税やり料金値上げがあった場合、本人負担が増えることになります。当局から、高齢者特別乗車証の利用者が減ったことについて、「自動車や、自転車が増え、元気なお年寄りが増えた」との答弁がありました。自動車や、自転車に乗れない元気でないお年寄りは、どうしたらいいんでしょうか?高齢者の移動の自由を確保し、市民の足としての役割を忘れたものと、言わざるをえません。よって、議案第98号、99号について、反対します。以上、ご賛同賜りますようお願いいたしまして、私の反対討論を終わります。ご清聴、ありがとうございました。