「安全保障関連法案」の慎重審議を求める意見書を採択しました

「安全保障関連法案」の慎重審議を求める意見書案を日本共産党、緑のかけはし、維新の会の共同提案で6月24日の本会議に提出し、賛成多数で採択しました。

意見書第1号 「安全保障関連法案」の慎重審議を求める意見書について

「安全保障関連法案」の慎重審議を求める意見書を別紙のとおり、衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣へ提出するものとする。

平成27年6月24日

                  尼崎市議会議員  弘中 信正
同     須田  和
同     酒井  一
同     都築 徳昭
同     田中 淳司
同     北村 竹師
同     松村ヤス子
同     辻   修
同     真崎 一子
同     徳田  稔
同     川崎 敏美
同     松澤 千鶴
同     久保 高章
同     光本 圭佑
同     長崎 寛親
同     楠村 信二

  平成27年5月15日、安倍内閣は国会にいわゆる「安全保障関連法案」を提出し、今国会での成立をめざそうとしています。

 これは昨年7月1日の閣議決定による憲法解釈の変更に基づいて、自衛隊法、事態対処法、周辺事態安全確保法、国際平和協力法など10本の改正法案を一括した「平和安全法制整備法案」と、国際紛争に対処する他国軍の後方支援を随時可能にする新法の、「国際平和支援法案」の2法案をまとめたものです。

 戦後70年にわたって日本政府の憲法解釈は、「日本に対する武力攻撃がない場合、武力行使は許されない」、「海外での武力行使は許されない」、「集団的自衛権は行使できない」というものでした。

 ところが、これらの「安全保障関連法案」は日本に対する武力攻撃がなくても、政府の政策判断で、限定的に集団的自衛権の行使を認めるものとなっています。また、集団的自衛権の限定的容認を受けて実施された世論調査の結果をみても、国民の理解は不十分と言わざるを得ません。

 日本国憲法は、政府の行為によって日本が再び「戦争をする国」にならないことを決意し、制定されました。戦後日本の原点となった平和憲法の解釈を、ときの内閣によって変更し、それに基づく法律を制定することは、日本の進路を左右する可能性があります。

 よって、政府及び国会におかれては、慎重な審議を尽くされるよう求めます。

以上、地方自治法第9 9 条の規定により意見書を提出いたします。 

 平成2 7 年6 月24日

尼崎市議会議長 杉山公克

衆議院議長  大島理森
参議院議長  山崎正昭 様
内閣総理大臣 安倍晋三

 

平和安全保障法案意見書 提案理由説明

緑のかけはし つづき徳昭

 緑のかけはしの都築です。ただいま上程されています。「安全保障関連法案の慎重審議を求める意見書(案)についての提案理由説明をさせていただきます。

 現在国会では、昨年7月1日に「閣議決定」を行った憲法解釈の変更に伴って提案された「安全保障関連法案」が審議されています。自衛隊法、武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動協力法など10法案を一括した「平和安全法制整備法案」と国際紛争に対処する多国籍軍の後方支援を随時可能にする新法「国際平和支援法案」の2本にまとめたものです。

 これまでの政府の憲法解釈では「日本に対する武力攻撃が無い場合、武力行使は許されない」「海外での武力行使は許されない」「集団的自衛権は行使できない」としてきました。

 しかし、今回の変更では、現行法にある「後方地域」がはずされ、周辺事態法から「わが国周辺の地域」という地域の限定が無くなりました。そして「イラク特措法」では「非戦闘地域」の語句も削除され、戦闘地域でも活動が可能になり、そのほか弾薬の提供や武器の輸送の解禁もされています。戦地に自衛隊を派兵し戦闘を行うことや新たな活動の拡大によって自衛隊のリスクは確実に高まり、日本に対する武力攻撃が無くても、「日本の平和と安全に重要な影響与える事態」と政府が判断すれば、全地球規模で米軍や多国籍軍の軍事支援が可能となります。

 その上この法案は、6月4日に開催された衆議院憲法審査会では与党推薦を含む憲法学者3人の参考人が揃って「憲法に違反する」との認識を表明するなど、重大な疑義が生じています。6月15日に高知市で開催された地方公聴会でも、6人の陳述者のうち合憲との立場を示したのは高知県知事だけという有様です。「都合のよいことを言ったときは専門家ともてはやし、悪いときは素人とけなす」という与党議員のご都合主義的な発言に多くの学者・研究員は不快感を表しています。「安全保障関連法案に反対する学者の会」の「戦争する国へすすむ安全保障関連法案に反対するアピール」に賛同する学者・研究者は、6月24日9時現在6651人にのぼっています。そして、6月20,21日に実施された共同通信社の世論調査では、安倍政権が安全保障関連法案を「十分に説明していると思う」という回答はわずか13.2%です。

 日本国憲法は過去の戦争の反省の上にたって、再び「戦争をする国に」ならないことを決意し、制定されました。戦後日本の原点となった平和憲法を、時の内閣によって解釈を変更し提案された「安全保障関連法案」は、日本の針路を左右する可能性があるにもかかわらず、政府・与党の説明はあまりにも粗雑で乱暴です。

 この「安全保障関連法案」は多岐に亘り複雑です。国民の理解が進んでいません。反対の声が多くあります。憲法を守るべき立法府が、憲法違反の疑義をもたれる様な法案の採決を急ぐことは許されません。慎重な審議を求めるものです。ご賛同のほどよろしくお願いします。

 以上、ご賛同賜りますよう申し上げました、提案理由の説明とさせていただきます。