日本共産党議員団の松村ヤス子です。1月20日、「過激武装組織IS」が2人の日本人男性を拘束し、2億ドルの身代金を要求する衝撃的なテロ事件を、広く国民が知ることになりました。その後、2人は殺害されました。救出できなかったことは、本当に残念です。ご遺族の皆様方に、心よりのお見舞いと哀悼の意を表します。あわせて、日本共産党の見解を述べます。この事件は、いかなる口実をもっても許されない残虐非道な蛮行であり、強い憤りを感じます。テロそのものは絶対に許されるものではありませんし、武力でなくせるものでもありません。相手が、最も野蛮で、無法な組織だからこそ、日本の対応は、国連の事務総長も述べているように、2014年8月の安保理決議2170にそって、国際法、国際人道法に基づいて行うべきであり、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなどして武装解除と解体に追い込む外交をおこなうことが必要です。そして、政府がとってきた対応については、冷静な検証が必要であり、そのために、必要不可欠な情報を公表する必要があります。もともと憲法改悪を狙っていた安倍首相は、このテロ行為の前から、現行憲法のもとでも解釈を変えて、集団的自衛権の行使を可能だとし、さらに、今回の事件を契機に、米軍などによる「IS」への空爆などへの自衛隊の支援が「憲法上は可能」とし、「邦人救出」を名目に自衛隊の海外派兵の拡大を検討するとしています。「海外で戦争する国」づくりを推進する動きは断じて認めるこことはできないと表明いたします。
2015年度予算案等に対する代表質疑に入ります。
昨年12月の総選挙で与党の自民党は現有295議席から291議席となり4議席 減らしています。自民党の比例代表では得票率は33.1%しかなく、68議席でした。しかし、小選挙区では48.1%の得票率で、75.6%にもなる223議席を確保しました。大政党有利に民意をゆがめる「小選挙区効果」によるものです。自民党は、小選挙区効果で多数の議席を確保したものの、国民の支持率が議席占有率に比べてはるかに低いことを自覚し、本来なら、謙虚な姿勢で国民の意志にそう政権運営をすべきです。しかし、安倍政権が行おうとしていることは、消費税率10%への引き上げ、格差拡大のアベノミクス推進、海外で戦争する国づくり、原発の再稼働、沖縄での米軍の新基地建設 などであり、このようななか、本市では、稲村市長が2期目当選後、最初の予算議会を迎えました。特に市南部の衰退は著しく、空き家が目立ち、中央・三和商店街も人通りが減少し、往年のにぎわいもなく、さびしい限りです。市民生活はますます厳しさを増しています。市民生活に大きくかかわる問題について、順次市長に尋ねてまいります。戦後70年日本の無条件降伏により、第2次世界大戦は終結しました。しかし、日本の侵略戦争と植民地支配で、310万人の日本国民とともに2000万人を超すアジアの人々を犠牲にしたにもかかわらず、日本を含むアジア・太平洋の首脳が過去の戦争での式典に集まることなど考えられません。歴代自民党政権とも異質な、侵略戦争を正当化する安倍首相が政権についていることは、アジア諸国との和解や対話の上で、大きな障害になっており、靖国神社参拝の強行は、米政府からも「失望」を表明される事態を生んでいます。これでは、中国や韓国との外交関係も築けません。侵略戦争の断罪の上に、築かれた戦後国際秩序を覆す姿勢では日本がアジアでも世界でもまともに生きてはいけません。新年度予算案では、「平和啓発推進事業費」が今年度の27万3000円から88万8000円に増額され、戦争の悲惨さを風化させないために、原爆被爆者の語り部事業を実施するなど、(仮称)平和の祭典事業が予算計上されています。
お尋ねします。
福島第1原発事故は収束どころか、放射能汚染が深刻化するなか、川内原発に続き、高浜原発3,4号機も、原子力規制委員会は、昨年12月17日に、審査書案を了承し、原発再稼働に突き進む安倍政権です。
- これに対して、昨年、12月25日に、高浜原発再稼働に関して、関西広域連合が、国に対して、
- 次に原発再稼働についてお尋ねします。
- 戦後70年にあたって、市長の思いを改めてお聞かせください。
- 「二度と戦争をしない」と誓った憲法9条を壊し、日本を「戦争する国」にすることを狙う安倍政権の暴走をはばむことは国際的にも重要です。戦後70年の節目、「戦争する国」づくりを阻止し、希望ある平和な未来を切り開く努力こそ必要です。
- 今年は、戦後70年です。戦後50年にあたって出された、村山談話では、我が国が、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたと述べ、こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を述べる とあります。そして、戦後60年での小泉談話でも、この部分は、引き継がれました。また、自民党の幹事長経験者の野中広務氏、加藤紘一氏、古賀誠氏は、それぞれ、集団的自衛権の行使容認の安倍政権を厳しく批判しています。
- 昨年6月、第2次大戦の戦争犠牲者を追悼する70年記念式典に、敵同士としてたたかったアメリカ・イギリス・ロシアとドイツの首脳らが一堂に会しました。これは、ドイツ自身を含めナチス・ドイツの行為にたいする明確な否定が国家の指導者の共通の土台にあるからです。
- 2015年、今年は、アジア・太平洋地域で侵略を重ねた軍国主義日本の敗北から70年、節目の年です。
- ことごとく、国民の過半数が反対することばかりです。特に、戦後、新しい憲法のもとで、「国民が主人公」「戦争をしない平和な日本」に私たちは、一定の安心感を持って生きてきました。それだけに、現在、多くの国民は、安倍内閣の進める方向に危機感を持たざるを得ない状態となっています。
- 原子力発電所の運転期間延長については、審査内容等を関係自治体に十分説明を行い、理解を得ること、
- 「再稼働にあたっては、安全第一義として川内原発での地元同意のプロセスによるのでなく、地域の実情に応じて対応すること、
- 原発から半径30㌔内の区域を含む周辺自治体と事業者との安全協定は立地自治体並みとし、早期締結に応じるよう指導し、自治体が国や事業者と平時から安全確保について提言できる法的な仕組みを構築すること
- 原子力災害時の広域避難が早期に策定できるよう、国が主体となって必要な調整を行うこと、また、関西広域連合は、昨年、3月には、高浜原発事故時の「広域避難ガイドライン」を発表し、尼崎市は、61か所の体育館で16,000人の舞鶴市民を受け入れるとあり、原発再稼働は、尼崎市民にとっても直接かかわる重要な課題となっています。この、国への要望からは、関西広域連合が、原発再稼働に絶対反対という立場でないことが分かります。しかし、それでも、事故が起こることを前提に国の原子力規制委員会の審査だけでなく、事故に対する様々な対策も必要だ、と しています。原発事故の恐ろしさは、他の事故と違い、空間的にも、時間的にも、異質の危険性を持っています。それに、使用済み核燃料の最終処理問題など、未解決の大きな課題を持っています。将来的にも、もっとも安全なのは、原発を稼働させないことです。お尋ねします。関西広域連合の国への要望や、広域避難ガイドラインについては、市からは、何も知らされていません。そのため、ほとんどの市民は知らないと思います。市長は、国への要望や広域避難ガイドラインに賛成しているのでしょうか。また、なぜ、市民に知らせないか、その理由をお聞かせください。関西広域連合は、原発再稼働について様々な前提条件を付けて、それが満たされなければ、再稼働は認められないとしています。しかし、満たされたからと言って、再稼働しても安全と言えるものではないと考えます。これについて、市長はどう考えておられますか。答弁をお願い します。
- など、7項目の対策等を示し、その実行がなければ再稼働は容認できないと申し入れています。
アベノミクスによるトリクルダウンと市民の暮らしについてです。
安倍首相は、社会保障制度を持続させるためにと、負担増とサービス切り下げとともに、消費税を8%に、そして、10%へと2段階引き上げを表明していました。ところが8%への引き上げで、景気が悪化したため、10%への引き上げは2017年4月まで1年半延期。その際は、景気の動向に関係なく引き上げるとのことです。社会保障の財源確保を大義名分に、大企業は1円も負担しない消費税率の引き上げを行い、一方、大企業には法人税の減税です。大企業が利益を上げれば、下請けなど中小企業もうるおい、労働者全体の賃金も上がり、雇用も増えるとする「トリクルダウン」で経済は活性化すると主張しています。しかし、経済協力開発機構・OECDは、昨年12月に発表した報告書で「成長の恩恵が自動的に社会にトリクルダウンすることはない」と指摘し、各国政府に格差是正に力を入れるよう呼びかけました。同報告書は、「所得格差が拡大すると、経済成長は低下する」とし、「格差問題に取り組めば、社会を公平化し、経済を強固にすることができる」と提言しています。また、各国政府に対して、下位40%の所得層の教育や医療などの公共サービスを充実させるよう求め、 日本にも、格差の拡大が成長を押し下げていると指摘しています。安倍首相は“大企業が利益をあげれば賃金が上がり、雇用が増える”と主張し、円安の誘導、派遣労働への置き換えなどを進めていますが、OECDは、こうした「トリクルダウン」の考え方は国際的には通用しないとしています。今、フランスの経済学者のトマ・ピケティ著の「21世紀の資本」が、世界でも日本でも驚異的な売れ行きとのことです。1%の富裕層が世界の富の半分近くを持っており、わずか80人の億万長者が保有している富が、この5年間で倍加、昨年は、貧しい50%の人たちの富の総計を上回ったと明らかにしています。安倍首相は、社会保障のために消費税増税を、国際競争力を高めるために法人税減税をといっていますが、これまでの消費税収総額の282兆円は、同期間の法人3税の減収分の255兆円にほぼ匹敵しており、消費税が法人3税の減収の穴埋めに使われてきたことを示しています。低賃金の派遣労働などの非正規雇用が増え、働く貧困層が増加する一方、大企業や資産家に富が集中しています。所得が10億円を超える富裕層は1年間で2.2倍に急増しました。一方、「働く貧困層」と言われる人々は、史上最多の1120万人に達しています。
お尋ねします。
OECDが指摘するように、成長の恩恵が自動的に社会にトリクルダウンし、社会全体が潤い、格差がなくなるものではなく、格差是正の対策が必要です。市長はどうお考えですか。
市民の暮らしはどうでしょうか。2014年度の阪神間7市で比較すると、納税者一人当たりの所得は、最も高い芦屋市が545万5千円、本市は、298万円でもっとも低く、芦屋市の54.6%です。一人あたりの市民税額も芦屋市は25万7200円、本市は10万9900円で、芦屋市の42.7%です。7市の中で、所得の低い人の割合が最も多く、高い人の割合が最も少ないのが尼崎市であり、所得そのものも、ほとんど伸びていません。個人市民税は、新年度予算でも伸びているとはいえ、0.5%の伸びしか見込めておらず、市民の所得の伸びがきわめて厳しい状況です。それにもかかわらず、生活保護の給付減、国民健康保険、介護保険などの社会保障の市民負担増で市民生活は厳しさを増す一方ではないかと思います。1015年度予算案は、予算規模が2085億4000万円で、前年度より、87億3000万円増になっていますが、市税や地方交付税など主要な一般財源が減となり、扶助費や借金返しの公債費は高い水準が続いています。税収入は、2011年度784億6900万円、その後、12年度、13年度はさがり続け、14年度で若干回復、しかし、15年度予算案では、また、減少し、786億1600万円と見込んでいます。市債は、240億円前後で推移してきましたが、15年度予算案では、300億円を超えています。
このようななか、2014年度と比べると、地方交付税・臨時財政対策債あわせて、34億4700万円の減額であり、ますます、厳しい状況になっています。結局、少しずつためてきた貯金を取り崩して対応せざるを得ない状況です。「当初予算の概要」で用語解説を毎年掲載しています。そこでは、地方交付税の規準財政需要額について、「各自治体が標準的な行政を合理的に実施したと考えた時に必要と想定される一般財源の額」であり、各自治体が実際に支出した額あるいは、支出しようとする額ではないとわざわざ解説文を入れています。現行制度上はそうだというだけのことであり、それに問題があるのか、ないのかが、根本的に問われなければなりません。2014年4月から消費税率が5%から8%に引き上げられたことにより、地方消費税率は1%から1.7%に引き上げられました。地方消費税交付金の予算は、14年度の46億3900万円から74億1500万円となり27億7600万円増加しました。しかし、この地方消費税交付金の74億1500万円のうち、社会保障財源分の30億5300万円については、留保財源なしで全額が、地方交付税の基準財政収入額に算定されます。そのために、地方交付税は、社会保障財源分と同額の30億5300万円が減額されます。これも影響し、結局、地方交付税の予算額は、14年度予算よりも22億4700万円の減額です。消費税が増税され、地方消費税交付金が増えたものの、全額が地方交付税で減額され、消費税増税で、尼崎市の収入が増えるわけではありません。全国の都道府県及び市町村の総数が1765でそのうち、2013年度では、不交付団体は、東京都や東京都内の6市、神奈川県内の2市、愛知県内の9市など49自治体にすぎません。
お尋ねします。
全国でわずか2.8%ほどの自治体を除けば、尼崎市を含めて、消費税のうちの0.7%分の地方消費税交付金収入は、ないに等しいことになります。全国の自治体が、是正を求めているにもかかわらず改善されないとのことですが、地方交付税算定で、地方消費税交付金の留保財源をゼロにしていることについて、政府は、どのように説明しているのでしょうか。また、その説明について、市長は、どう反論しているのでしょうか。ご答弁願います。
なお、1989年4月から、消費税が3%でスタートし、1997年4月から5%になり、その内の1%が地方消費税とされました。地方消費税が始まったときから、留保財源ゼロで全額、基準財政収入額に入れられていたのでしょうか。答弁願います。
次に、市内事業者の動向についてです。
市内事業者の状況を把握するために、3カ月ごと年4回のDI調査である「事業所景況調査」が行われています。調査した結果の特徴をまとめて、記述された文章をみると、消費税率が8%に引き上げられる前の小売業の業況では、2013年は、 1月から3月期は、「サービス業に懸念があるものの、全体には持ち直しの兆し」 4月から6月期では「小売業の回復の遅れ」 7月から9月期では、「小売りは低調ながらもやや改善」 10月から12月期では「小売業も回復基調」とあり、13年度は、少しずつ回復しています。しかし、2014年 1月から3月期では、「小売業・サービス業は悪化」。消費税増税の後の4月から6月期では、「小売業は依然として低調」 7月から9月期も「小売業は依然として低調 」 10月から12月期も、「小売業は依然として低調」とあります。景況調査からは、消費税率の引き上げ前には、若干の回復基調もありましたが、引き上げ後の去年4月からは、小売業の業況判断DI、売上高DIはマイナスが大きく、しかも、改善の兆しが全く見えていません。正に、消費不況そのものです。
お尋ねします。
小売業の低調が続いているのは、消費税率引き上げによる消費不況の深刻さと、賃金低下によるものだと思いますが、市はどう分析していますか。本市は、生活保護率も4%を超えており、全体として、収入・所得が低く、消費に使える総額が低い都市です。そのうえ、消費税率が引き上げられても転嫁しにくい、零細な事業者や低所得者の生活が、一層苦しくなると思います。このような市民の状況について市長はどうお考えでしょうか。消費税そののは、税の基本原則に反する逆進制の税です。国においても、地方自治体においても、大切なことは、担税力に応じた税制により人権を保障するに足る財源を確保できるようにすることだと思いますが、市長は、どう考えますか。
つぎに、残業代ゼロ法案についてです。
安倍政権は、日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」にするとし、雇用に関する二つの法案、いわゆる「残業代ゼロ法案」と「労働者派遣法の改悪法案」を提案する予定です。これらは、財界の要請に基づくものであり、労働者にとっては、どちらも許すことができない重大な改悪です。ホワイカラーエグゼンプション、つまり、「残業代ゼロ法案」は労働時間に関係しない、「残業という概念のない働かせ方」です。これまでも、仕事に追われ、長時間過密労働を強いられ、過労死する労働者が後を絶たない状況の日本です。この制度が人件費総額を抑える効果を持っているからこそ、財界が要請するのです。この制度を認めれば、合法的に、過労死を増やすことになります。安倍首相は、国会で、ごく限られた労働者にだけ適用するものだと答弁しています。しかし、国民の抵抗をできるだけ抑えるために、「小さく生んで大きく育てる」のが財界の利益優先の自民党政治の基本路線です。3%でスタートした消費税がいまや10%をめざしているのがよい例です。
お尋ねします。
市民のいのちの保障という点からも、「残業代ゼロ」のホワイトカラーエグゼンプションは、導入すべきでないと考えます。市長の見解をお聞かせください。
次に、地域経済と「地方創生」について質問します。
政府与党は、疲弊する地方自治体に対応するとして「地方創生」を掲げていますが、地方は、なぜ、疲弊したのでしょうか。また、安倍首相は、地方創生のために、「東京一極集中の是正」をと言っていますが、なぜ東京に一極集中したのかです。一つは、地方から東京圏への人口流出は、地方の産業が壊され雇用が失われたこと。二つは、「企業立地促進法」は、多国籍企業の地方進出を後押しし、自治体の企業誘致の補助金競争をあおり、肝心の雇用は非正規を増やし、最後には大企業の身勝手な工場の縮小・撤退が繰り返され、産業の空洞化や産地の崩壊を招いてきたこと。 三つは、「平成の大合併」によって、地方自治体はほぼ半減。面積は平均で2倍になる一方、地方交付税は大幅削減され、地方の疲弊を加速させたこと。四つは、国際競争力の名で都市関連法制の規制緩和を進める都市再生政策や道路、港湾、空港など大都市部の大規模開発を進め、地方の人口を吸い上げたことです。本市経済にも影響している問題があります。2000年に商業施策の完全規制緩和で大店立地法が制定され、それまで、大型店出店に際して、地元商業者との間で行われていた「商業調整」が禁止されました。尼崎商店連盟の役員さんから、「これまでは、大型店の出店では、声がかかり、かならず、大型店と協議してきたが、この頃は呼ばれることがない。いったいどうしたのか」と怒りをあらわに話しかけられたことが忘れられません。後日、大店立地法の写しを持って「商業調整はしてはならない」旨が、条文に書かれていることを示して、「自民党がアメリカの要請に応えて、こういう法律を制定させたからです。これからは、大型店が、どんどん出てくるでしょう」と説明しました。大型店での売り上げや利益は地域内循環が弱く、市内での消費が大型店の本社に吸収されるのが特徴です。市場商店街だけでなく、自民党政権が進めた規制緩和により、酒店、米穀店、理髪店、美容院、薬局など個人店が廃業に追い込まれ、ますます、地域内循環型の経済が縮小されてきたことが市の財政にも影響しているのです。また、「補助金削減」、「地方交付税削減」、「少なすぎる税源移譲」の三位一体の改革は、本市の財政も痛めつけてきました。さらに、現在、尼崎市を苦しめているのが、多額の借金返済です。1997年に計画した、国の「第4次全国総合開発計画」に基づいて、「にぎわい・創生あまがさき」と題する総合計画を策定。政府は、1990年、2月の日米構造会議で、日本が13年間で630兆円の公共事業を行うことを約束し、全国各地で、再開発事業などが行われました。尼崎市も、国際会議ができるようにと、都市ホテルの建設、阪神出屋敷駅前、阪神尼崎駅前、JR立花駅前、JR尼崎駅前の再開発事業がすすめられたことも、多額の財政負担を余儀なくしました。市は、1988年から94年にかけて、アルカイックホテル西側の広場用地約3900㎡・167億1300万円を土地開発公社に購入させました。その後の買い戻しも全額借金で、2028年まで、元利あわせて、毎年、15億円程度、返済し続けなければなりません。しかも、この借金返しに必要な支出は、1円も地方交付税の基準財政需要額には算入されません。これら再開発などを最優先にしたこと、経済が悪化したこともあり、市財政がみるみる厳しくなり出しました。労働法制の改悪もそうです。派遣労働など不安定雇用の拡大が消費を冷え込ませ、地方経済を痛めつける原因になっています。
お尋ねします。
このように、歴代の自民党政権の地域内経済の循環に反する方向での政策誘導が、地方の衰退に拍車をかけてきたと考えますが、市長の認識をお聞かせください。
本市としても、過去の市政運営を厳しく総括して、地域活性化にさらなる取り組みをすべきであり、政府は、そういう自治体を応援すべきです。財源を保障して地方自治の拡充をはかるなど、住民の立場にたった「地方再生」こそ求められると考えますが、いかがでしょうか。次に、「総合計画」「未来へつなぐプロジェクト」と市民・議会への情報提供の在り方についてうかがいます。これまで、「経営再建プログラム」「行財政構造改革推進プラン」という行財政改革の計画がすすめられ、今年度は新たな計画である「未来へつなぐプロジェクト」の2年目です。過去2回の計画は、11月に財政見通しと、新規事業とあわせ、スクラップすべき事業を示して市民や議会の意見を聞いてきました。先日も、市議会で議員研修会が開かれたのですが、講師の関西(かんせい)学院(がくいん)大学の 稲沢克(かつ)祐(ひろ)教授も、9月決算による点検と、予算までの半年間の進捗状況の点検の重要性を強調されていました。ところが、今回、市長は、「施策評価」を実施し、2014年9月に「施策評価」結果とあわせて、予算編成にあたっての「施策の重点化方向」などを示したものの9月の時点では、「事務事業評価」をださず、今議会に「事務事業評価」を公表されました。あわせて、「未来へつなぐプロジェクト」による改革改善項目と新規事業も、11月には示さずに、これも今議会の提出となりました。「事務事業評価」「財政見通し」「新規事業」「改革改善事業」が一度に示されたことになります。 これで、市民の意見を聞くことができるでしょうか。今年度については、秋に市長選挙があったので、一定、時間的余裕がなかったのは理解できます。
お尋ねします。
来年度以降、今後も事務事業評価の公表時期、財政見通し、新規事業項目などについて、どのようにすすめるつもりなのでしょうか。今年のように、市民への徹底や意見を聞くことや、議会にも十分に審議する時間を与えないやり方は、改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、市民の意見を十分聞く時間を与えないことは、市長の「決める前に、市民の意見を聞く」という政治姿勢に反するのではないでしょうか。 これで第1問目を終わります。
第2問目
日本全体でも、本市でも、人口減少が続いています。その背景には、結婚して、子どもを生み育てることが困難な雇用環境があります。継続性がある雇用、子どもを産み育てられるだけの収入が確保できる雇用が必須の課題であり、それは、また、地域経済の活性化にとっても極めて重要な課題です。持続可能なまちづくりをする上でも、若者が元気に働き続けられるよう「雇用問題」そして未来を担う子どもたちを支援する「教育問題」について質問します。
若者が元気に働き続けられることが大切です。
労働者派遣法改悪についてお尋ねします。
労働者派遣法は、1986年に一時的業務など13業務を対象として制定されました。その後、1996年改正で、専門的27業務に拡大され、2003年改正では、製造業にも拡大されて以降、急速に派遣労働者への置き換えが進みました。派遣労働への置き換えが進んだ後も、財界からの強い要請があったのでしょう。同じ仕事での派遣受け入れは、「原則1年、最大3年」という期間制限を撤廃し、3年ごとに派遣労働者を入れ替えさえすれば同じ仕事で、無期限に派遣労働者を使い続けることができるようにする法改正が予定されています。このような大改悪が行われれば、それこそ、正社員から派遣への大量置換えがさらに進むことは、明白です。先日、ある家主さんから、借家人が家賃を払ってくれないとの相談を受けました。その借家人の健康状態が気になるので会いに行きました。大学中途退学の40代の女性でしたが、結局、派遣労働者の仕事が切れて、手持ち金も底をつき、食事もままならない状態でした。まだまだ若いにも関わらず、心がぼろぼろになっているのがわかります。派遣労働の害悪が人間を壊していく怖さを実感しました。特に未来ある若い労働者が元気に働き続けられなくなり、低賃金の派遣労働者を増やす労働者派遣法の改悪は、若者の未来をも奪いかねません。持続可能なまちづくりの点からも、派遣労働ではなく、正規雇用の拡大が望ましいのは当然のことです。結婚して、子どもを生み育てられるためには、安定した一定の収入が得られなければなりません。人口減少をストップさせるためにも、派遣労働に歯止めが必要です。それに、不安定雇用の拡大は、本市の地域経済及び、本市財政にも大きなマイナスです。お尋ねします。不安定雇用の拡大を防ぐために、市として、どのような努力をしていかなければならないと考えておられますか。答弁願います。
次に、生活困窮者自立相談支援事業と生活保護制度との関連についてお尋ねします。
2月12日付毎日新聞に、本市の嘱託職員である就労促進相談員の仕事ぶりの記事が掲載されているのをみて、心から、嬉しく思いました。保護利用者の心に寄り添う姿勢の大切さを示している記事でした。このように、生活保護利用者など、生活困窮者に温かく寄り添っての実践は、生活困窮者自立相談支援事業にも、ぜひ、いかしてほしいと願っています。生活保護を利用したいと思う市民は、まず、生活保護の相談窓口に行きます。保護課では、収入状況や預金などの資産関係、家賃、自動車の所有状況、健康状況、親族の状況など総合的に、聴取され、保護法に定められているその世帯の最低生活費と給与や年金などの収入状況から保護の可否が判断されます。しかし、生活困窮者自立相談支援事業についての当局の説明文書では、「自立相談窓口を設置し、生活困窮者の相談に応じて、生活困窮者の抱える様々な課題に対応した支援計画を策定し、就労支援をはじめとした、各種支援が包括的に行われるよう関係機関との連絡調整等を行う。また、離職により、住居を喪失、または、その恐れの高い生活困窮者に対し、住居確保給付金を支給する」とあり、151件、644万1千円で、1件当たり、43,000円ほどの住居確保給付金が予算提案されています。生活に困っているとして、市役所に、相談に訪れる生活困窮者と一口で言っても、その困窮のレベルはさまざまです。おそらく、自分が、生活保護制度に適用するのかどうかをしっかり知っているわけではないしょう。また、年齢が65歳未満で健康体であれば、就職して、自立をと考えるのは、当然でしょうが、問題は、就業先を確保できるかどうか、確保できた後に、就労し続けられるかの問題もあります。
お尋ねします。
この生活困窮者自立相談支援事業では、相談者は基本的に、生活保護制度を正しく理解しているわけではないとの前提のもと、生活保護の利用が適応されるケースなのか、そうでないのかをまず、確認することが必要だと思いますが、当局は、どういう姿勢で、相談に対応するのでしょうか。答弁願います。生活保護適用が可能にもかかわらず、市民がよく知らないことをよしとして、市当局が、生活保護適用を排除する立場に立つことは、絶対にあってはなりません。明確な答弁を求めます。生活保護では、担当ケースワーカーがいます。そして、先に述べた就労促進相談員も配置されており、一人一人の生活を支える機能が明確です。生活困窮者自立相談支援事業については、まず、相談、そして支援計画、支援計画に沿って、関係機関との連絡調整をおこない、就労支援など、各種支援を包括的に行うと説明されています。
お尋ねします。
生活困窮から抜け出すまでの継続した支援になるのでしようか。また、関係機関とは、具体的には、どのようなところが考えられのでしょうか。答弁願います。
お尋ねします。
生活保護が適用できるにもかかわらず、生活保護を利用させないために、43,000円程度の住居確保給付金を支給するという取扱いにしてはならないと考えますが、答弁願います。
また、生活保護利用に対する水際作戦として、生活困窮者に社協での貸し付けを意識的に誘導しているのではと受け取れる市民からの訴えも聞いていますし、福祉事務所の受付で、お金がないけれど体調が悪いので医者に行きたいとの訴えには、医療生協の無料低額診療事業のパンフレットの案内で済ませてしまうなどの対応も確認しています。このような対応を行うよう指導しているのかどうか、答弁願います。
福祉事務所では、このような対応を改めて、生活状況・資産状況などを丁寧に聞き取り、保護申請の意志を確認するよう改善すべき考えますが答弁願います。
次に教育問題です。
戦後の国家主義教育の反省に立ち、教育が政治からの影響を受けないようにと独立して教育行政の運営を担ってきたのが、教育委員会です。戦後70年にわたって、過去の戦争の反省の上から、政治と教育は完全に分離されており、教育委員会が教育に必要な予算を市長に要求する制度となっていました。
まずお尋ねします。
このようなあり方について市長は、どう評価されてきましたか。弊害を感じたことがありましたでしょうか。ご答弁願います。
昨年6月に、教育委員会制度を見直し、首長権限を強化する改正地方教育行政法が成立、新年度から、教育長と教育委員長を一本化した「新教育長」を置くほか、教育方針を市長・教育長・教育委員で話し合う「総合教育会議」を設置し、市長が招集することになりました。戦前、学校教育が戦争推進に果たした役割は極めて大きく、その反省により、戦後、新しい憲法のもと、教育と政治は明確に分離されました。教育委員会は、市長部局から独立し、首長の考えによって教育内容が偏ったり、ころころ変わることを防いできました。
教育委員会は、責任をもって教育行政を検討し、その結果に基づいて市長に予算要求することを原則とし、市長は、教育委員会の要求を尊重しなければなりませんでした。いま、安倍政権は憲法改正まで視野に入れており、日本を戦争する国にしようとしている危険な状況です。教育委員長という役職が廃止され、新しく、「総合教育会議」が設置され、首長が、教育内容に踏み込んで行ける体制に変えられました。あわせて、現在、尼崎市の教育課題では、耐震化、エアコン設置、中学校給食実施、それに学力向上対策などが、特に急がれる課題であり、これに、教育委員会と市が連携して、取り組むことを市民が強く願っていることには、疑いありません。
そこで、市長にお尋ねします。
教育委員会が設置されることになった歴史的経過を踏まえ、従来通り、教育のあり方については、「政治的中立性の確保」、「方針の継続性・安定性の確保」、「地域の人たちの参加で住民の意向を反映」するという教育におる3大原則をしっかりと守ることを市長に強く求めるものですが、答弁願います。
次に中学校給食実施についてお尋ねします。
来年度予算には、中学校給食準備事業費として、26万1000円が計上されています。検討委員会を立ち上げる予算です。
お尋ねします。
まず、検討委員会のメンバーには、食の専門家および市民の代表は必ず、入れるべきと考えます。メンバー構成についての基本的な考え方を示してください。
自校方式、センター方式、弁当方式のそれぞれについての長短を保護者市民にわかりやすく示し、市民の意見聴取やアンケートなどの実施が必要と考えますが、いかがですか。給食の開始時期はおおむねいつごろと考えられますか。答弁願います。
市民が元気に暮らせる街にと強く思っています。市民の暮らしやすさ、生きやすさにかかわる社会保障制度を中心に順次、質問します。安倍政権のもと、社会保障制度が大きく変えられようとしています。国民皆保険・皆年金の達成から半世紀が過ぎ、少子高齢化、貧困・格差の問題など、時代の要請に合ったものに変える必要があり、社会保障制度の改革とともに、財政健全化を同時に達成するために、「社会保障と税の一体改革」が必要だとし、「自己責任論」を前面にして、「給付抑制」と「負担増」を柱とする「社会保障と税の一体改革」が計画されています。座視することはできません。
憲法第25条は、社会保障制度の理念を定め、国民の権利であることを明確に定めています。社会保障制度の充実に努めるのが、国や自治体の責務です。私は、誰もがこの社会保障制度の恩恵によくすることができるように、経済の発展と富の偏在つまり、格差の拡大を是正する政治の見直しが求められなければならないと考えます。
順次、市長に質問いたします。
先ず国民健康保険制度についてです。
社会保険とは比較にならないほど問題の多いのが国民健康保険制度です。まず、高すぎる国保料ゆえに、滞納し、まともに保険で医療を受けられない資格証明書についてお尋ねします。
2000年から国民健康保険料の滞納世帯には、資格証明書を発行すると法改正が行われました。資格証は国保証ではありません。受診後、医療費は100%支払い、保険料納付後に、保険負担分の返還を受け、その返還分は、直ちに滞納保険料として納付を求めるとのことです。「資格証で、受診した人がどれぐらいいるのか」と国保課に実態を聞いたところ、把握できない」との回答でした。資格証を交付されている世帯は、所得に対する保険料の割合が、10%以上20%未満の世帯と所得なし世帯で77%を占めており、世帯主の年齢構成が、30歳~50歳代の世帯が78%を占めています。これは、比較的所得そのものが低く、家族数が複数の世帯ではないかと推察されます。最近、国保の窓口対応がきわめて厳しくなっています。聞く耳を持たす、有無をも言わせない強権的な対応です。「滞納するのはあなたが悪い、高くても、払ってくれている人がいる。平等でなければならない。滞納額を減らせるように、最低でも、これぐらいずつ払ってもらわなければ、保険証は渡せない」こんな対応を市民から聞いています。私も担当幹部から「払ってくれている人との不平等」と言う言葉を何度も聞いています。同じ所得であっても、それぞれの家庭が同じ状況ではありません。平等と言う言葉で、市民を苦しめることの異常さに気づいていないことが大きな問題です。払えないことを責めるよりも、払える国保料でなければならないのです。1984年に、国保会計に占める国庫支出金の割合を49.8%から退職者医療制度の実施に合わせて、24.3%まで削減しました。国の負担を引き上げるように求めてほしいとの質問に対して、当時の国保担当局長は、「国庫負担率の引き下げ分は、診療報酬支払基金からの繰り入れで賄われているから、国庫支出金の負担割合を増やすよう国に求めることはしない」と答弁されました。私は、実際に各年度の国保会計の決算から、退職者医療制度のための診療報酬支払基金から入っている額とさまざまな名目の国庫負担の総額を比較し、国庫負担の総額の削減幅が大きいことを明らかにしました。国庫の削減により、市の国保財政が圧迫され、被保険者である市民が場合によって所得の20%以上もの保険料を払わなければならなくなっているのです。私は、国保料の計算の仕方の基本を知らないわけではありませんし、市も、一定の努力をしていることも承知しています。そして、国保課職員は、与えられた職務を忠実にこなしているだけだということも理解しています。しかし、あまりにも窓口での強烈な対応は、滞納者に、「生活やっていけないから、保険証はいらない。病気になったら、その時に考える」と言わせてしまい、払う意欲と国保と市役所に対する信頼をなくさせているのです。職員のそのような言動を是正させる幹部職員の責任そこ問われます。
お尋ねします。
滞納する市民の実態をよく聞き、払えるように丁寧な指導をすることが必要だと思います。滞納世帯の納付意欲をなくさせることは、国保課の敗北ではありませんか。
国保課からいただいた資料によれば、資格証から、短期保険証の交付を受けた世帯が概ね1割弱です。資格証世帯に対する取り組みをどのようにしているのか、答弁願います。
医療機関への受診が必要になり、窓口に来ても、滞納保険料を納付できない場合は、どのような対応をしているのか答弁願います。
次に、国民健康保険制度の広域化についてお尋ねします。
国民健康保険制度により、誰もが保険で医療を受けることができ、世界でもトップレベルの長寿社会を築いてきました。しかし、現在、国保料の滞納により、保険証が手元にない人、また、その実態は把握されていませんが、加入の手続きをしていない無保険の人も少なからずおられます。国民健康保険制度については、2018年度から都道府県単位化すると決められています。国保については、これまでも繰り返し質問してきましたが、市民が最も願っているのは、高すぎる保険料の引き下げです。国保料を引き下げるためには、保険料以外で賄う部分、つまり、公費負担割合の引き上げ、医療費支出の削減と収納率の向上以外にありません。尼崎市財政から、現在、約6億円を繰り入れています。東京都は、日本で最も国保料が安くなっていますが、日本一、多額の繰り入れを行っているからです。広域化では、市町村が、保険料軽減のために行ってきた法定外繰り入れは、できなくなり、国保料が高くなる恐れがあります。高すぎる国保料の改善にはならないのではと危惧しています。尼崎市の国保料の所得割料率も均等割り額も現在、阪神間では最も高く、同じ所得、同じ世帯数では最も高い国保料です。2013年度の収納率は87.4%で、市は、これを広域化までに91%まで引き上げるとしています。厚労省は2011年10月~今年2月12日までに広域化をにらんで、「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」略して「国保基盤強化協議会」を5回開いており、第1回目の協議会で、厚生労働省の担当者は、国保の現状について、❖年齢構成では、65歳~74歳の割合が健保では2.6%にたいして、国保では約3割と高く、❖一人当たり医療費は、健保組合では13.3万円に対して、国保では29万円と高いのですが、❖加入者の平均所得は、健保組合が195万円にたいして、国保では、91万円と低いという3点を報告し、その後の協議会で、市町村国保の構造的問題への対応、そして、国民健康保険制度の見直しについて議論しています。国保基盤安定化協議会は、昨年8月に、中間整理をまとめており、都道府県と市町村の役割分担のあり方などの改正案を通常国会に提出し、2018年度に都道府県単位化をスタートさせる予定です。おなじ都道府県内であっても市町の規模や受診環境に違いがあり、都道府県内で同一基準の保険料にするのは難しくなります。地方代表からは、財政基盤強化の具体策について、あくまで、国費の投入によって抜本的な財政基盤の強化を図るべきであり、新たな地方負担を前提とすべきでないとの強い意見も出されています。当然のことだと思います。都道府県が保険料の必要額を算出し、各市はその必要額を分賦金として都道府県に納め、市は分賦金を賄うに必要な保険料を被保険者から徴収することになるようです。
お尋ねします。
稲村市長は、もともと、広域化で保険料が安くなるとして、賛成の立場を表明されていました。いまのところ、広域化するものの、都市部では、それぞれの市単位に使った医療費と年齢構成、所得によって、分賦金が定められるようですが、このような状況変化の中で広域化に対して、どのように思っておられますか。答弁願います。
なぜ、広域化するのか、広域化により、国保加入者にどんなメリットが出ると考えられるのでしょうか。また、デメリットはないのでしょうか。答弁願います。
現在、市は、独自に約6億円の繰入を行っています。
広域化後は、県に分賦金を支払うことが市の最大の義務になります。この支払い義務のある、分担金から、少なくとも従来からの繰入金の6億円を差し引いた額を市民負担の保険料として徴収することは可能だと考えます。それによる事務上の弊害はないでしょう。広域化に乗じて、市民に対する負担軽減策を奪うことは、行うべきではありません。地方自治を重視する立場から、市の独自事業に対して、市の一般会計からの繰り入れを可能にするよう、強く求めるべきです。
お尋ねします。
国保引き下げのために現在行っている約6億円の繰り入れを広域化後も行うことを強く求めます。ご答弁願います。
国保料引き下げのためなど、自治体独自の財政支援を可能にするよう、あらためて、国に求めてください。御答弁願います。
本市の国保料の滞納額は、現在約61億円です。市民の暮らしの状況を考えると、この滞納の整理は、そう簡単にできるとは考えられません。広域化にさいして、この滞納額は、どういう扱いにするのでしょうか。答弁願います。
また、鍼灸マッサージの助成、ヘルスアップ尼崎戦略事業費など、独自に実施している施策などについては、どうしようとしているのでしょうか。答弁願います。
次に介護保険制度についてお尋ねします。
尼崎の特養を運営している社会福祉法人が、介護職員を募集しても人が集まらず、こまっているとの話を聞きしました。仕事の大変さに比べ、賃金が低いのではと思っています。
このような状況の中、介護保険制度で、介護報酬の削減は大きな問題です。来年度は、過去最大規模の介護報酬2.27%の削減が計画されています。特別養護老人ホームでは、6%削減ですが、事務職員・理学療法士・作業療法士・給食調理士は加算なし、試算すれば、3割赤字が5割赤字になると現場は悲痛な声をあげています。削減する理由は、特別養護老人ホームの収支差率が約9%あり、社会福祉法人に多額の内部留保があるからとのことです。しかし、全国老人福祉施設協議会の調査では実際の収支差は4.3%。社会福祉法人は事業撤退が許されず、多額の借り入れも禁止されており、施設改修などのために、一定の資金を長期保有しておく必要があり、大企業の内部留保とわけが違います。285兆円もの内部留保をためこんでいる大企業に減税する一方で、特養の内部留保を問題にするなど、許せるものではありません。日本共産党は、介護報酬とは別枠で国費による介護労働者の賃金引き上げの仕組みをつくるべきだと考えます。
お尋ねします。
尼崎市での特養待機者は何人ですか。介護現場での職員確保の実態を把握していますか。また、今後の特養建設計画はどうなっているのでしょうか。
人手の確保は必須の問題です。必要な人材確保の上からも、特養の介護報酬引き下げは、絶対に避けなければならないと考えます。特養の運営に支障をきたさないよう、市は、どのような努力をするつもりでしょうか。答弁を求めます。
それに、自治体は、2017年度からの「地域包括ケアシステム」への取組を検討することになります。厚労省は、無資格者や元気な高齢者の力も借りて、と、ボランティア的な助け合いを重視しています。介護の必要な人に、必要な介護が十分保障されるのかが問われます。
厚生労働省は、介護保険法第4条で、国民は、「健康の保持増進」と「能力の維持向上」に努めるものとすると義務を強調し、個人の自助努力とさらに、家族・近隣で支え合うことを「自立支援・介護予防の理念・意識」とし、国民に、「自助努力」と「助け合い」を強いる方向を強めようとしています。そもそも、介護保険制度は、2000年度からスタートしました。老々介護などでの介護疲れから、心中事件や殺人事件が起こり、公的介護の必要性が叫ばれ、「家族介護」から「専門的な知識・能力を備えた社会的介護」にと介護保険制度が始まったことを忘れてはならないと考えます。
お尋ねします。
国民に、「自助努力」と「助け合い」を強いる方向は、サービスの質の低下と安上がりの制度にということであり、介護における公的責任を弱めることになると考えますが、市長はいかがお考えですか。
市民との対面の仕事である市民課窓口業務の民間委託化についてお尋ねします。
これまでも学校給食の調理業務の民間委託化についても、「偽装請負」と言う労働法制上の観点からも質問してきました。市民課の窓口業務の民間委託についても、同様の危惧があります。窓口業務を委託化すると、市民が請求する各種文書の発行申請書を受け取るのは、民間業者の職員です。発行申請書に基づき、コンピューター入力し、必要な文書を打ち出し、手数料と交換に文書を渡すことになります。一連の作業の中で、受付の民間職員が直接、入力業務の市職員に依頼することは、偽装請負になると思われます。
お尋ねします。偽装請負を防ぐために、どのような体制にするのか答弁願います。
これで、第2問目を終わります。
第3回登壇
私は、主権在民、戦争放棄、社会保障制度の充実、生存権尊重などを明記した現行憲法を否定する安倍政権にたいして、強い危機感を抱いています。私たちの命を守るためには、武器も爆弾も銃もいりません。最も有効なのが現行憲法を守り通すことだと確信しています。徹底して現行憲法の精神を現実の外交、そして、国政・県政・市政にいかしきることを今ほど大切にと思うことはありません。その思いを込めて、代表質疑をしてまいりました。残余の問題は、分科会、総括質疑で会派議員が質してまいります。これで、私のすべての質疑を終わります。