12月議会松村議員の一般質問と当局の回答です

OLYMPUS DIGITAL CAMERA  (松村議員質問)

 日本共産党議員団の松村ヤス子です。先の市長選挙を経て、ひきつづき市政運営にあたられることに敬意を表し、お祝い申し上げます。市長におかれましては、市民の信託にこたえるために、決意を新たにしておられることと拝察いたします。より良い尼崎市をめざし努力されることを心より祈念しつつ、市長選での公約およびその他の項目について質問いたします。

 まず、「市財政難と生活保護世帯増加との関係」について質問します。

 この問題を考えるにあたって、地方交付制度と生活保護制度との関係をきちんと整理することが大切だと考えます。地方交付税制度は、三位一体の改革で算定方法も変え、その総額が低く抑えられ、自治体財政にとっては、改善が求められる課題でもあります。しかし、基本的には、財源保障機能と財政調整機能を持っている地方交付税を無視して、自治体財政を語ることはできません。生活保護費など自治体独自の裁量が働かない支出が多い場合、また、税収が少ない場合は、地方交付税でカバーし、一定の行政水準が担保されるのが、地方財政の基本になっています。

 お尋ねします。

 地方財政法に規定しているとおり、地方交付税制度により、生活保護世帯の増加が財政難の要因にはならない算定措置がとられていると理解していますが、市長のご見解をまず、お尋ねします。

(当局答弁)

 地方財政法において、生活保護費に要する経費につきましては、国がその経費の全部又は一部を負担し、地方公共団体が負担すべき部分は地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入されることとなっております。

 しかしながら、地方交付税の算定におきましては、基準財政需要額と基準財政収入額の差額が普通交付税として算定、交付される仕組みとなっているため、基準財政需要額と同額が普通交付税として交付されるものではございません。

 また、地方の一般財源総額は「中期財政計画」において平成27年度までは平成25年度と概ね同水準とされているため、特定経費が増となった場合、その他の経費が減傾向となり、こうした傾向が普通交付税の算定にも反映されることとなっております。こうしたことから、生活保護費の増加につきましては、本市財政の圧迫要因というよりは、本市を含めた地方全体の問題であると考えております。

 一方で、過去は生活保護費に係る基準財政需要額の算定結果と決算額において、大きな乖離がありましたが、本市の国への働きかけの成果などもありましてζ近年、その乖離幅は縮小してきており、今後におきましても「切な財源保障がなされるよう、引き続き、国への働きかけを行ってまいります。

 (松村議員質問)

 市長選に関連する各社の新聞報道を見ると、読売新聞は、「最近は、生活保護受給者が急増。一般会計に占める生活保護費を含める扶助費の割合は、10年前の1.5倍。財政圧迫の大きな要因に」とあります。

 朝日は「不況による税収低迷、生活保護費や高齢者医療費の増加が財政を圧迫し」とあります。

 毎日も「市は、定住促進による税収アップや、増加し続ける生活保護費の抑制のために受給者の就労支援を行うなどしているが、財政再建の道のりは遠い」とあります。

 神戸も、「財政を苦しめる要因の一つは、生活保護世帯の数の増加だ。保護率は2014年7月時点で4.07%と県内トップ」とあります。

 このように、読売、朝日、毎日、神戸 の 各紙が、生活保護世帯の増加が市財政難の主要な要因と書いています。

 これまでも、市民から、生活保護世帯に対するさまざまな誤解に満ちたバッシングを聞いてきました。まるで、生活保護の人 全員がパチンコをしていると言わんばかりの声です。市長選挙の後、その声がより大きくなっており、これらマスコミの記事の影響だと受け止められ、私は大きな危惧を抱いています。生活保護世帯の方たちもきっと、肩身の狭い思いをしているのではないかと思います。

 生活保護制度は、憲法25条に基づく、無差別平等を原則にし、いのちと人権を守る重要な制度であり、地方交付税と生活保護制度の関係を理解してほしいと切に願うものです。新聞各紙がこのような書き方をするのは、議会への説明文書でも、財政難について「生活保護費など扶助費の増」との説明が慣用句のように使われていることとは無関係ではないと思っています。

  お尋ねします。

 市長は、このような報道について、どう受け止めておられますか。また、かねがねから、指摘もしてきたことですが、生活保護世帯の増加が尼崎市の財政難の原因ではありません。市民にも職員にも、マスコミにも丁寧に説明する必要があると思います。なぜ、誤解を招かない、正確な発信をしないのですか。

  今年4月に発行された、あまがさき「『未来へつなぐ』行財政基盤の確立にむけて」を見ると、類似都市として、比較される8自治体の2012年度の一般財源の平均額は1053億円で、尼崎市は1,068億円で、ほぼ、8市の平均です。一方、借金返済にかかわる指標である将来負担比率をみると、他の7市の単純平均が52.3%にたいして、本市は、155.6%と約3倍となっています。

 公債費、つまり、借金返済にかかる支出については地方交付税で基準財政需要額に算定されているものと、そうでないものがあります。同じ借金払いの支出でも、学校耐震化にかかる公債費については、80%から70%が地方交付税で措置されることになっており、市財政に与える影響は、比較的小さいと言えます

 。しかし、アルカイック広場のように、土地開発公社が長期間保有していた土地の買戻しやその後の整備にかかる支出、行政改革推進債、退職手当債などに対しては、地方交付税で措置されません。バブルの崩壊以前に大量に取得した土地代にかかる借金残高がいくら多額であっても、地方交付税では、まったく措置されないために、金利を含めてさらに膨らんだ過去の借金の返済金は、まるまる今の市民の負担になり、市財政悪化の最大の要因となっています。

  お尋ねします。

 尼崎市の財政悪化については、生活保護利用者の増加が原因ではなく、過去の過大な土地購入にかかる借金払いが、主要な原因だということを市民にも、職員にもマスコミにも正確に広報する必要があると思いますが、なぜ、そういう発信をしないのですか。理由をお聞かせください。

 (当局答弁)

 今日の本市の財政が厳しい要因につきましては、①市税収入や収益事業収入の落ち込み、②生活保護費をはじめ、後期高齢者医療療養給付費や介護保険給付費など、高齢化の進行も相まった扶助費等の増加、③過去のまちづくりにおいて発行した多額の市債等の償還、などにあると分析しており、あまがさき「未来へつなぐ」プロジエクトの中でも、そのように整理し、発信しております。先日行われた市長選挙における各新聞紙面を見ましても、これら3点を主たる要因として報道されていると認識しており、行財政に係る広報誌やホームページ、庁内外におけるあらゆる説明の機会を通じて、それら一つ一つの要因を説明しているところでございます。

 (松村議員質問)

 次に市の歳入確保のためには、税金を納める所得階層の市外への転出を食い止め、市外からの転入を増やすための施策の実施が大きな課題になると市長も考えておられることは承知しています。

 市民からは、尼崎市の子どもの学力向上にもっと力を入れてほしいと子育て真っ最中の方だけでなく、年配の市民の多くからも、そういう声を聞いてきました。

 11月6日の朝日新聞では、貧困と教育の問題に詳しい 道中 隆 関西国際大学教授の「尼崎市の現状を考えれば、もっとも力を注ぐべきことは、子どもの勉強を見る余裕のない家庭への支援。貧困の世代間連鎖を断ち切るのは教育しかない。今後は、親たちに対しても、教育への関心を促すような働きかけが必要」とのコメントを掲載しています。

 私どもも、現状認識はまったく同じです。

 しかし、親への働きかけだけで解決できるものではないと思っています。尼崎市民の子どもたちに、「学ぶ意欲」を引き出す教育、そして、競争に勝つための教育でなく、基礎 基本をしっかりと身につけるための教育こそが必要です。基礎がしっかりしてこそ、上への積み上げが可能になります。

 尼崎市は、納税者一人あたりの納税額も西宮市の67%です。親の所得が高い場合、子どもたちを塾に通わせている割合は、おそらく高いと思います。塾通いは当然、受験競争に勝つことをめざし、そこに焦点を当てた教育であり、場合によっては、子どもの健全な成長に問題を生じさせる懸念もあるのではないかと思っています。大人の干渉のないなかで、子どもたちが友達と一緒になって、時間を忘れて自由にのびのびと遊ぶ光景が見られなくなって久しいことに、今の社会の危なっかしさをかんじています。教育の目標が、受験競争に打ち勝つことに、置かれている社会は、異常だと思いつつも、やはり子どもの学力問題は、自治体にとっては、重要な課題だと認識しています。本市では、教師の指導力向上や基礎学力向上を図るなどとして、学力向上クリエイト事業や計算力向上事業、学習到達度調査事業、不登校対策事業、子どもの自立支援事業などを実施しています。

 しかし、日々の通常の授業の中で、一人一人が大事にされ、しっかり、基礎 基本を身につけられるようにする丁寧な授業を行うという点では、やはり、不十分さがあるのでは思います。学校教育の果たす役割が問われます。児童生徒のつまづきを放置せず、理解できるまで、丁寧に教える、わかる喜びを実感させてこそ、自信が付き学習意欲を高めることができるものです。「自分はダメだ」と思わせてはならないのです。丁寧な公教育の充実こそが尼崎市の子どもたちに必要だと思います。子育てをしてきた経験からも子ども自身が「できた」「わかった」そして、「自信がついた」と実感できる丁寧で温かい教育環境にすることこそが、子どもの健全な学力向上に寄与すると考えます。また、「できた」「わかった」「自信がついた」と自己肯定感を持つことは、勉学はもちろんのこと、いろんなことに前向きになれるものです。教育の原点です。

  お尋ねします。

 児童生徒にわかる喜びが得られる学習環境、教育環境をつくるためには、少人数学級の拡充が一番です。財務省が、少人数学級の効果を否定的に見ていますが、説得力がなく、絶対に容認できるものではありません。国に対して、少人数学級の拡充を強く求めるべきです。国への具体的な行動を強く求めますが、いかがでしょうか。あわせて、市独自の職員配置を強化すべきです。答弁願います。

 (当局答弁)

 各学校におきましては、日々の授業の中で、一人一人を大切にするとともに、意欲や能力を引き出す工夫を行い、確かな学力の定着に向けた取組を進めております。また、担任による補充学習のみならず、学力向上クリエイト事業による指導補助員を活用した放課後学習等、基礎学力を定着させるための努力をしているところでございます。

 お尋ねの少人数学級につきましては、県教育委員会の施策を活用し、小学校4年生まで35人以下学級で学級編制を行っております。市教育委員会といたしましても、きめ細かな指導の観点から、少人数学級の実現が望ましいと考えており、「兵庫県都市教育長協議会」や「全国都市教育長協議会」等の機会を通して、早期実現に向けた法整備の要望を引き続き行ってまいります。

 本市におきましては、これまでも市独自の支援策として、学力向上クリエイト事業指導補助員や心の教育特別支援員を配置し、教員を補助し子どもたちを支援することで、わかる喜びや達成感がもてるよう取り組んできております。さらに、放課後についても、教職経験者や地域ボランティア等の協力を得て学習活動を行っており、児童生徒が主体的に取り組む学習の場を拡充してきております。今後とも、各学校の課題に応じ、児童生徒にわかる喜びが得られるよう学習環境の充実に努めてまいります。

 (松村議員質問)

 塾に行かなくても、基礎 基本をしっかり身につけてこそ、ステップバイステップで伸びるものです。そんな学校教育こそ、保護者の信頼も得られるものと思います。子どもは親だけでなく、学校はもちろんのこと、社会で育てるものです。尼崎市の学校教育に信頼が得られれば、定住意識も高まり、市税収入確保につながることになります。

 次に中学校給食の実施についてです。市長は、 中学校給食の実施を検討すると公約されています。中学校弁当事業は担当職員の涙ぐましい努力にもかかわらず、期待する利用率には至っていないことを認めざるを得ません。早期の中学校給食の実施が強く望まれます。

 市長の1期目の公約は、弁当事業でした。昨年、12月の文教委員会で「中学校給食の実施を求める陳情」が継続審議になり、今年の2月議会冒頭で、市長は、委員会審査に先立ち、急きょ給食実施の検討を表明されました。市民の運動や議会での相次ぐ質問が市長の背中を押したのだと思います。その後に陳情は全会一致で採択されました。

 今回の市長選挙では、「実施を検討」と公約されました。公約されたことを歓迎いたします。しかし、その取り組みに対しては、残念ながら、熱意の強さを感じることができません。食の専門家からは、学校給食法に基づく学校給食は、子どもたちの学力向上とも強い関連性があるとの指摘もあります。

  お尋ねします。

 就学援助を受けている子どもたちが多い本市です。学力向上を目指す上からも、また、子育て支援策の充実からも中学校給食の実施は急がれます。実施に向けた検討を急ぐべきです。市長の見解を伺います。

 (当局答弁)

 中学校給食の実施については、栄養面の充実や子育て支援の観点から、ニーズが高く、学校の空調整備と同様に取り組んでいかなければならない課題であると改めて認識し、2期目の公約として、中学校給食の実施に向けた検討を開始する、としたものでございます。

 ∵しかしながら、ほかにも財政負担を伴う多くの課題がございますので、教育環境の整備として、まずは、暑さによる学習や健康への懸念や、空調整備済と未整備の学校間の不公平感もあることなどから、小・中学校の空調整備について、具体化に向けた取り組みを始めてまいりたいと考えております。

 中学校給食の実施につきましては、実施手法の検討や実施にあたっての様々な課題の対応などを整理するなどの準備を進めてまいります。

 (松村議員質問)

 次に、市税収入増にも寄与する 市内の小規模企業に対する支援策の充実についてお尋ねします。公約「未来通信」には、「産業振興条例に基づいて既存の産業施策を再構築し、起業支援やモノづくりの高付加価値化、メリハリのある商業支援などに取り組みます」。 とあります。小規模企業振興基本法にもとづく市の取り組みがこの公約に大きくかかわる問題になります。まず、小規模企業振興基本法に関連して質問します。

 1999年に中小企業基本法が改正され、昨年、小規模企業活性化法が制定、今年6月に小規模企業振興基本法が制定されました。

 中小企業とは、 製造業では、従業員300人以下または資本金3億円以下

         小売業では、 従業員50人以下または資本金5千万円以下

         サービス業 従業員100人以下または資本金5千万万円以下

 小規模企業者とは、製造業では 従業者20人以下

          商業・サービス業では、従業員5人以下

 小企業とは、おおむね従業員5人以下 と定義しています。

 全事業者の9割が中小企業、中小企業の9割が小規模企業、小規模企業の9割が小企業です。ということは、全企業のうち、小企業が7割強を占めているということです。

 1991年から、2012年の21年間の尼崎市内の小規模企業、小企業の推移をみると、従業員1人から19人の小規模企業では、24,547から16,046に34.6%減、従業員1から4人の小企業では、17,519から10,25へと41.5%減となっています。

 このような状況の中、地域経済を支える根幹ともなり、中小企業の9割を占める小規模企業の振興を図るために、新たに、2014年6月20日に小規模企業振興基本法が策定されたのです。

 小規模企業振興基本法は、国は小規模企業の振興に関する施策を総合的に策定し及び実施する責務を有すると定めており、特に、多数を占める個人事業者をはじめ小企業の事業が持続的に発展できるように国・自治体の責務を定めています。

 茂木経産大臣は「国は、小規模企業についての総合政策を決定する、そして地方自治体は地域特性を踏まえた「小規模企業振興計画」を策定して実行していく、具体的な施策の企画立案・実行は地方公共団体の役割だ」と明確に述べています。

 また、田中政務官も・小規模事業者の振興には、地方公共団体の積極的な取り組みが不可欠である。

  • 本法案においては、地方分権を尊重しつつ、地方公共団体に対して、各地域において小規模企業振興施策を講ずることを求めることになっている。
  • 具体的には、それぞれの地域の特性に応じた企画立案をし、実施することを地方公共団体の責務としている。
  • 具体的な方策については地方公共団体の判断となるが、地元の小規模事業者の実態調査もひとつの有効な取り組みであろう

と説明しています。

地方自治体は地域特性を踏まえた「小規模企業振興計画」を策定して実行していかなければならないのです。

 そこで、お尋ねします。

 尼崎市は小規模企業振興基本法に基づく、小規模企業振興の責務をどのように果たそうと考えているのでしょうか。答弁願います。また、具体的な振興計画の策定はどのように進めていこうとしているのでしょうか、答弁願います。

 (当局答弁)

 小規模企業振興基本法における地方公共団体め責務としては、①小規模企業の振興に関し、国との適切な役割分担を踏まえ、地域の特性に応じた施策の策定及び実施、②小規模企業が個性豊な地域社会の形成に貢献していることに対して住民の理解を深めることと、大きく2つ挙げております。

 また、小規模企業振興基本計画につきましては、本年10月に国が策定しており、重点的に講ずべき施策について、とりまとめているところでございます。

 一方、本市では、本年10月に、地域経済の持続的発展を推進するため、産業の振興、起業の促進と雇用就労の維持創出を柱とした「尼崎市産業振興基本条例」を定め、その中で、市の責務として、産業の振興等に関する施策の策定及び実施、また、市民の役割として、事業者の活動が地域経済の発展に寄与していることに対する認山;を持つことについて明確にしております。

 現在、産業振興基本条例の基本理念を踏まえ、本市で取り組んでいる産業施策について一定の整理を行い、市として重点的に取り組むべき施策の再構築に取り組む予定であり、本市独自の振興計画を策定する考えは持っておりません。

 (松村議員質問)

 9月議会で尼崎市産業振興基本条例が制定されました。「小規模企業振興計画」を策定するためにも産業振興基本条例を活かしていくことが大切です。この条例は地域経済の持続的な発展を目的に市内産業の振興に係るよりどころとしてされたものです。

 そして地域経済に与える影響を認識して、産業の振興等に係る市の施策などを推進する体制づくりとして、(仮称)産業振興会議を設置し、当事者の参画をもとめ、変化する時代、社会状況にタイムリーな対応を行うとなっています。

 「産業振興会議」とは、本市産業の課題等を共有し、産業、起業や雇用就労に関する施策をともに推進するための会議体として設置し、構成員として、学識経験者、産業関係団体等に加え、国、県等を考えており、議論内容に応じて、適宜構成員を変更できるような態勢にするとしています。産業振興会議での議論においても、小規模企業振興基本法の理念や小規模企業振興についても議論されなければならないと考えます。

  お尋ねします。

 産業振興会議はいつから、どのようにして開催していくのでしょうか。また、この振興会議の構成員に、小企業の代表も必ず含めるべきと思います。合わせてご弁願います。

 (当局答弁)

 (仮称)産業振興推進会議については、市及び産業関係団体等が一体となり、産業の振興等に関する課題を共有した上で、本市地域経済の持続的発展に向け、各団体と連携し、産業の振興等に関する施策を推進するための場と考えており、具体的な内容、時期及び構成員については、今後検討してまいります。

 また、関係機関を通じ、小規模企業も含めた事業者と産業施策について意見交換する機会の設定についても、実施してまいりたいと考えております。

 (松村議員質問)

 選挙前の読売新聞の記事で、市が中小企業支援策として制定したものの、まったく利用されなかった事業、少数の利用にとどまった事業があると書かれており、事業者の「我々のニーズと合わず、使いづらい」とか、「会社の特性や規模に応じて、どんな制度があり、どうすれば受けられるのかを教えてほしい」との声を紹介し、市が「企業との交流が乏しく、ニーズが把握できていない」と答えたとの内容です。ニーズの把握なしに施策を実施すること自体、ナンセンスの極みです。民間企業での販売戦略などでは、まったく考えられないお粗末さです。

  お尋ねします。

 先に述べた小規模企業振興基本法に基づいて、「小規模企業振興計画」策定が自治体の責務になり、計画策定のためには、地域の特性に応じた企画立案、そして実施としています。そのためには特性や要望を把握するための調査が欠かせません。最低でも、2000社ぐらいの実態調査、ニーズ把握を行った上での「生きた振興計画」をつくるべきと考えますが、いかがですか。答弁願います。

 要望に応えた「小規模企業振興計画」を策定し、それに基づく施策を構築し、多数の小規模事業者の経営に貢献できれば、市税収入増に結び付くと考えますが、取り組みに対する市長の決意をお聞かせください。

 当局答弁

 さきほども申し上げましたとおり、いわゆる振興計画の策定までは考えておりませんが、市として重点的に取り組むべき施策を検討するにあたっては、産業関係団体や小規模企業を含めた事業者と、幅広く意見交換をすることで、実態及びニ一ズを把握できるものと考えております。

 本市地域経済が持続的に発展し、市税収入の増加につなげていくためには、小規模事業者も含めた、事業者全体の活発な事業活動により、生産、雇用、消費の好循環を生み出すことが重要であると考えております。

 (松村議員質問)

  今、全国で住宅・店舗リフォーム助成制度を実施する自治体が増え、今年度で628自治体に上っています。住宅のリフォーム事業が市外の大手建設会社に仕事が回っていることが増えていると市内の工務店の社長さんからもお聞きしています。市が助成することでリフォームの意欲を引き出すことができる、そして市外でなく、市内事業者の仕事確保につながり、すでに実施している自治体の調査では、助成額の23倍から29倍の経済効果があるとの結果が出ています。

  お尋ねします。すでに西宮市でも事業実施の意義を認め、実施しています。税収増に貢献するこの住宅・店舗リフォーム助成事業の実施を求めるものですが、答弁願います。

 (当局答弁)

 住宅・店舗リフオーム助成制度については、市内事業者に限定することにより、受注機会を拡大させることで、一一時的に経済波及効果が発生するものと考えておりますが、その助成により、リフォームの総需要の増加や、地域の活性化、にぎわいづくりにどの程度寄与するのかなど、その効果については慎重に判断していく必要があると考えております。

 なお、今年度から「環境モデル都市」及び「尼崎版グリーンニューディール」関連事業として、環境をキーワードに、より付加価値を生み出すための「住宅エコリフォーム助成制度」を実施しております。また、商店街等に新規に出店する事業所に対して、内装費や家賃の一部を補助する「空き店舗活用支援事業」を既に実施しているところでございます。

 (松村議員質問)

 大店立地法の制定により、支援の必要な市場商店街は、実際のところ、壊滅に近い状態です。

 商業分野での規制緩和策の大店立地法が1998年に日本共産党以外の賛成で、可決されました。大店立地法制定以降、一気に、市場・商店街などで営業していた小規模商業者、そして、お米屋さんも酒屋さんも廃業に追い込まれてしまいました。まさに、アメリカの要請に応えた自民党政治による規制緩和の被害によるものです。

 身近な商店がなくなることで、市域の狭い尼崎市でも、ごく近所でちょっとした買い物ができていた便利さがなくなりました。

 また、常時地元で商売をしている人は、近隣の人とのつながりが豊富で、地域の世話役など、地元住民の安心の暮らしに貢献している消防団員や民生委員、社協の役員などを担ってもらえる人材でした。地域から、元気な商売人がいなくなると、地域活動を担っていただける人材の確保も困難になり、一人でいくつもの役割を担わざるを得ないといった状況も生まれているのが実態です。

  お尋ねします。地元から元気な商売人がいなくなっている現状の下、市長が言われるメリハリのある商業支援とは一体どういう内容なのか、何を意味しているのでしょうか。御答弁願います。

(当局答弁)

 市内の市場・商店街等は、市民生活において身近な買い物の場であるとともに、地域コミュニティを維持・促進する面においても重要であると認識していることから、これまでも、商業団体等が主体的かつ意欲的に取り組むにぎわいの創出など、商業振興につながる事業に対して支援してまいりました。

 一方で、人ロの減少や消費者ニーズの変化などの様々な要因により、空き店舗の増加、建物の老朽化が進み、商業集積地としての機能が十分果たされていない市場・商店街等が増えております。

 そうしたことから、今後におきましては、地域と一体となって、主体的かつ意欲的に取り組む商業者に対して、これまで以上に、重点的に支援を行うとともに、今日的課題である「安全・安心」といった新たな視点も加えた取組を進めるなど、地域や商業団体の実情に見合った施策を展開していこうと考えているものでございます。

(松村議員質問)

 次に、市長選挙にあたって出されたあまがさき「未来通信」に掲載された公約に関して質問いたします。

 まず、地域別予算制度についてお尋ねします。「地域振興センターの機能を強化し、学校や公民館との連携、地域活動の活性化推進のために地域別予算制度の導入などの取り組みを検討、実施する」との公約についてです。

 現在、地域振興センターを中心に、明るく住みよい地域社会を形成するため、市民の総意と参加による市民運動を総合的に推進することを目的に、たとえば中央地域では、阪神尼あんしんまちづくり事業、サマーコンサート、運動会、ふれあいもちづくり大会などが実施されており、1センター当たり120万円の予算が配分されています。また、あまがさきチャレンジまちづくり事業には、1振興センター当たり70万円の予算となっていると聞いています。1地域振興センター当たり合計190万円です。

  お尋ねします。

  • 市長の言われる「地域別予算制度」とは、どういう予算制度なのでしょうか。現在の予算の組み立てとどのように異なるのか、わかりやすく説明してください。
  • また、現在の方法ではなく、「地域別予算制度」にしようとするのは、どのような考え方からなのでしょうか。
  • この予算配分の受け皿はどこになるのでしょうか。
  • 地域別予算制度にする場合、その使途の範囲についてのルールを定めるのでしょうか。
  • 「地域振興センターの機能の強化」とありますが、充実させるうえで避けられないのが、人的配置です。先日も、職員を削減しすぎて、新しい事業を進めることに支障がでていると、市長自らがのべておられましたが、機能の充実を図るということは、何を意味しているのでしょうか。ご答弁願います。

 (当局答弁)

 地域別予算制度とは、従来、市が有していた地域における身近な課題解決のための予算配分、執行の権限を、多様な市民の主体的な参加を求めて、地域住民に委ね、市民自らが優先順位を決めて、身近な課題について迅速に解決を図っていくものでございます。

 他都市の事例等によりますと、地域の防犯や美化活動、イベントの補助から街灯の小修繕や公園の維持管理等、ソフト事業からハード事業に至るまで広範囲にわたり活用されております。

 なお、予算の組み立てにつきましては、地域において会議体を設置し、学校区単位や、町内会単位を地域別予算の受け皿とし、地域において自ら企画提案された事業内容について審査を行い、補助金や交付金として、均等割、人ロ割で配分されている場合が多く、また、財源については、一般財源のみならず、基金や民間企業からの寄付金の活用等多様であります。

 また、従来の補助制度は、予算配分、執行につきましては、事業費等細部にわたり市として決定してまいりましたが今後、地域に委ねることがよりふさわしい事業を全庁的に点検・整理する中で、より身近な単位で予算の配分、執行ができるよう検討を進めてまいります。

 さらに、予算の配分や執行、地域における会議体等の運営にあたりましては、市も地域との協働を進めてノいくという視点から、地域振興センター等行政が支援を行ってまいりたいと考えております。

 他都市の事例を踏まえますと、使途については、定めない都市もございますが、政治的な活動や宗教的な活動など思想信条に係る事業や公助良俗に反する事業など、使途の範囲に制限をかけている場合が多く見受けられます。

 本市におきましては、今後、制度化する際には、その趣旨・目的につきましては自治基本条例など条例に定めていくことや、制度の具体的な運用につきましては、要綱で定めるなど、市民の皆様のご意見を踏まえながらルール化を図ってまいります。

 地域振興センターにつきましては、現在、協働のまちづくりと地域コミュニティーの創造を図る拠点として、「新たな交流の場の創出とネットワークづくり」、「防犯、防災体制の強化」、「情報提供、情報助言機能の強化」、「人材の発掘育成支援機能の強化」、「各種団体の側面的支援と連携」、「地域政策形成力を高める取組」という6つの柱を基本に機能強化を目指しているところでございます。

 一方、地域におきましては、地域自治を担っていただいている住民の皆様方からは、地域振興センターの職員が、「地域に十分に入りきれていない」、「様々な市民団体との調整を十分に図れていない」、などのご意見を頂戴しているところでございます。

 現在、公共施設最適化の取組にあたり、地域別予算制度の導入も含めて、改めて地域振興センター機能強化について検討を進めているところであり、今後、それらに基づき、組織体制の見直しにつきましても検討してまいりたいと考えております。

 (松村議員質問)

 次に、公契約についてお尋ねします。

 市長は、「未来通信」のなかで、「労働条件の切り下げを防ぐ公契約のあり方を検討し、取り組む」と書いておられます。

 今年、10月4日、5日に、「公契約セミナー in あまがさき」が開催されました。公契約条例に関心のある学者・研究者、弁護士、労働組合が実行委員会をつくって、西日本を中心に全国に呼び掛けたものです。稲村市長も、開催地の市長として歓迎のあいさつをされました。また、尼崎市の幹部職員も参加されていました。

 全国で、最初に公契約条例を制定したのは、千葉県野田市ですが、関東圏で条例を制定する自治体が増え、最近では兵庫県三木市、九州の直方市、奈良県、高知市など西日本にも制定する自治体が出始めています。同セミナーでは、条例を実施した自治体の職員も報告者として参加しており、条例化をすすめた動機には、公共調達の質の確保、労働条件ばかりでなく、地域経済の振興や、地元業者を守るためなど、多様な形態があることの交流がされたことも特徴でした。そして、公契約条例のあり方は、それぞれの自治体が抱える課題解決によって、さまざまな取り組みの違いがあることも、再認識されました。

 稲村市長の「未来通信」では、「労働条件の切り下げを防ぐ、公契約のあり方について検討し取り組むとともに地域内経済循環を促進する取り組みを重視する」と書かれています。

  そこでお尋ねします。

 市長の公約に書かれている「公契約の在り方」について、どういう問題意識を持っておられるのでしょうか。また、どのように検討されるつもりなのでしょうか。さらに、今後、条例化をする必要が出てきた場合には、公契約条例の制定も視野に入れるべきだと思いますが、市長の考えをお聞かせください。

 (当局答弁)

 私の、公契約に関する問題意識といたしましては、特に、労働集約型といわれる業務委託について、入札の際過剰な低価格競争により落札されることなどが労働条件の切下げに繋がらないか危惧しているものです。

 また、こうした労働条件の切下げを避けるため、市が当事者となる、いわゆる公契約のあり方の検討について公約のなかで掲げたものでございます。

 一方、公契約条例につきましては、平成20年に議員提案された際には、条例により民民の個々の労働契約に介入すべきではないとの考えや経営者側から様々な意見が出されていることも承知いたしております。

 しかしながら、労働者の適正な労働条件を確保することが、業務の質の確保にもつながることから、労働条件の切下げを防ぐ公契約のあり方を検討していくことが必要であると考えており、今後、公契約条例の制定の必要性も含めて、本市にとつてふさわしい公契約のあり方について検討してまいります。

 (松村議員質問)

 また、「未来通信」では、 既存施設を活用した(仮称)歴史文化センター整備に向けて取り組み、同時に新たな文化振興ビジョンを策定し、尼崎の歴史、文化を学び発信する取り組みを推進 とあります。

 この地域は、阪神電鉄尼崎駅南側には、本興寺をはじめ、11カ所のお寺が集積している寺町、尼信貯金箱博物館・尼信記念館、産業道路・庄下川の東側の大物までの道路沿いには、まちかどチャーミング賞を受賞した旧阪神電鉄発電所、中央図書館、歴史博物館用地として、土地開発公社に購入させている2721㎡の土地があり、城址公園、三の丸公園、旧城内中学校跡を活用しての市立文化財収蔵庫・旧尼崎警察署・新築された市立琴ノ浦高等学校があります。そして、少し東に行くとユニチカ記念館がある地域です。それぞれ、尼崎市発展の足跡を刻んでいる歴史的な建物です。

 「未来通信」に書かれているこの地域は、今、述べたように、種々の施設・建物が集積しており、歴史的な興味のある方には、大きな魅力のある地域だと思いますし、それぞれ歴史的価値のある財産です。

 そういうところだとして、ほぼ32年前の1983年2月に、中央図書館西側に歴史博物館建設を計画したのでしよう。そのために土地取得を始めたころは、財政的に豊かな時期でもあり、理解できるところです。しかし、1軒残った民家の立ち退き交渉に時間を要している間に、財政状況は、どんどん悪くなり、土地開発公社に取得させた用地は、いまだに、買い戻しがなされていないために、土地開発公社の借金も工夫をしているとはいっても、増加しています。土地の活用方法が明確にされていないばかりか、土地開発公社からの市の名義にするためには、土地活用を具体化させて、市が土地開発公社からの買い戻しをしなければなりません。その資金も市の財政に重くのしかかってきますし、買戻し前の原価と金利、買い戻すにも全額借金ということも考えられます。

 市長が、「未来通信」で述べている、既存施設を活用した(仮称)歴史文化センターは、旧城内中学校2階を活用してとのことですが、気になるのが、この歴史博物館用地の本格的な活用をどのようにするのかということです。

  お尋ねします。

 歴史博物館の建設用地の買戻しの時期及び、原価、金利および買戻し額はどの程度になると見込んでいるのでしょうか。答弁願います。

  (仮称)歴史文化センターを旧城内中学校の校舎の2階に設置するにしても、また、文化振興ビジョン策定するとしても、この歴史博物館建設用地の活用計画と整合性を持った取り組みにすることが必要だと考えますが、この点についての市長の考えをお聞かせください。

 (当局答弁)

 金利の発生をなるべく圧縮するため、できるだけ早期に買い戻したいと考えておりますが、現時点においては、買戻し時期は未定でございます。

 なお、用地の取得原価は、26億7千万円で、今年度末時点の利息は15億6千万円であることから、仮にこの時点で買戻すとした場合、買戻し額は42億3千万円となります。

 また、用地の活用につきましては、城祉公園や図書館との連続性や、一帯は歴史文化ゾーンとして位置づけられていることなどを考慮し、今後、具体的に検討してまいります。

(松村議員質問)

 次に地域住民の自主的な活動を支援する取り組みである、地域学習館について質問します。

 昨年度から、市は財政難や利用率低下を理由に、公民館分館廃止し、必要ならば、地域で自主管理をと、2013年度、14年度、15年度、の3年間だけ、1か所年約300万円の補助金を出すことになりました。

 16か所あった分館のうち、現在、12か所が管理運営協議会をつくり、自主管理・自主運営を行っています。各地域学習館は、多彩な活動を行っており、昨年度のべ14,000サークル・12万人を超える利用がありました。

 利用者からは、「公民館から希望する図書を回してもらえるので、楽しみにしている」「労館廃止後、練習場所を探すのに、苦労していた。週1回利用できるので助かっている」「身近にあるので利用しやすい」といった声が寄せられている一方、土・日が休館になり、「町会の行事をする場所がない」と頭を悩ます地域役員もいます。

 今、地域では、補助金が来年度までしか出ないので、はたして、自主運営続けられるのだろうかと不安の声が上がっています。年間300万円の補助金は、おそらく管理者の人件費と光熱水費でしょう。補助金がなくなれば、無償ボランティアによる管理、 館利用者の利用料の大幅引き上げによるしかないのではないでしょうか。

  お尋ねします。

 市は、いまだ、使える施設があるのに、そして使いたい市民がいるのに、補助金を来年度いっぱいで打ち切るつもりなのでしょうか。これまで、サークル活動を続けてきた市民は、どこへ行けばいいのでしょうか。答弁願います。

 年間の述べ利用率が12万人以上いるということは、ざっと、月にして、1万人以上、1日・1館当たりでは、ほぼ40人が利用していることになります。決して少ない数字ではありません。

  お尋ねします。

 市民の生きがいづくりや暮らしに潤いを与える活動の場を奪うことは、市民のモチベーションや市民力を減少させてしまいます。市にとっては決してブラスにはなりません。3年での打ち切りを見直し、今、利用している方たちの意見をしっかり聞いて、自主的な活動ができる場を確保するよう、努力すべきです。答弁願います。

 (当局答弁)

 施設の老朽化が進み、維持管理経費の増加等が見込まれるなか、公民館と分館あわせて22館全てを維持していくことが困難であることから、経費節減と業務の効率化を図るため、分館につきましては、地域移管を行い、6地区公民館に人員と財源を集中することといたしました。

 移管にあたり、市といたしましては、土地・建物の無償貸与に加え、施設警備等の経費を負担するとともに、将来の自主運営に向けた一定期間の支援策として、3年を限度に運営補助金を交付することといたしました。

 そうしたなか、運営補助金につきましては、平成27年度末で終了し、6地区公民館の機能強化を図ってまいりたいと考えております。なお、活動場所の確保につきましては、6地区公民館はもちろん、他の公共施設等を紹介するなど、様々な市民活動が継続できるよう、支援を行ってまいります。

 (松村議員質問)

 選挙戦のさなか、 11月11日のMBSのテレビニュースでは、「市長が将来世代への投資も推進すると訴えている」との報道でした。また、12日の朝日新聞では、「未来への投資とバランスを取りつつ、財政再建をやりたい」との市長のコメントが掲載されています。

  お尋ねします。市長が言われる「将来世代への投資」とは主にどういう分野への投資を行おうとしているのでしょうか、御答弁願います。

(当局答弁)

 歳入を増やし持続可能なまちづくりを進めるためには、定住・転入の促進やまちの魅力増進、健康や就労といった市民の生活支援など、「都市の体質転換」を着実に図っていくことが大変重要となります。その中で、将来世代への投資の一つとして、生きる力や学力向上に向けた取組や、全小・中学校への空調整備を進めます。これらの学校環境の充実により、学校を地域活動の場としてさらに開かれた存在とし、子どもたちの成長とともに、地域が活性化する取組にもつなげていきたいと考えています。

 (松村議員質問)

 アスベスト被害問題についてお尋ねします。

 アスベスト疾患の中皮腫、肺がんなどの被害者は、なお増加の一途をたどっています。アスベストを吸い込んで発症するまでの潜伏期間は20年から50年といわれ、また、アスベスト疾患発症のピークは2028年と言われています。中皮腫、肺がんなどで亡くなる人が後を絶ちません。ご近所でお付き合いのあった体格の良い、男性2人も中皮腫と診断されたあと、ごく短い期間で亡くなられました。中皮腫による死亡者は、市内で2011年43人、12年31人、13年が33人にのぼっています。

 またアスベストを大量に使用していたクボタの発表では、今年9月末で、クボタが石綿被害者救済金を労災に上乗せ支給した職員は192人、周辺住民は271人、計463人となっています。

 この数字はクボタ独自の厳しい基準で認定した場合に限定されており、救済金を申請しても拒否される事例もあり、アスベスト被害者の氷山の一角だと思います。

 市は2006年度から環境省の委託事業としてアスベスト環境暴露による健康リスク調査を実施してきました。2010年度から今年度までの第2期調査が来年3月末で終了します。そして医師などによる最終検討を経て、来年3月末に、2014年度のリスク調査報告書と2010年度からの第2期リスク調査をまとめ環境省に報告するとなっています。来年度以降は、環境省の委託として、内容を一部変更して、新たに試行調査を行うとなっています。

 いつまでも調査ではなく、受診できる医療機関を増やし、不安を持つ市民が継続的に、安心して受診できるシステムの確立が求められています。

 お尋ねします。

 2013年度までのリスク調査結果をどのようにとらえているのですか。来年度以降の試行調査はどのような内容を考えているのか。また、アスベストのハイリスク者に対して恒久的な健康管理体制の確立が必要と思いますが、どのように取り組むのか答弁願います。

 (当局答弁)

 2013年度までのリスク調査結果につきましては、環境・省からの受託事業であるため、最終的な調査の結論は、同省の判断を待つこととなりますが、本市におきましては、例年、石綿関連所見の有所見者が一定数認められることから、今後も石綿ばく露に関して不安のある方への対応をしていく必要があるものと考えております。

 来年度以降の試行調査の内容につきましては、現在、環境省では、従来のような、データ収集を主な目的とする調査ではなく、肺がん検診等と一体的に健診を実施するよう転換していくとしており、次年度以降はその課題等を検討するための調査を行うと聞いております。具体的な内容は、同省の「石綿の健康リスク調査に関する有識者会議」で議論されておりますが、本市の意見が考慮されるように、現状や課題などについて、同省と意見交換しているところであります。

 また、恒久的な健康管理体制の確立につきましては、一般環境を経由した石綿にばく露した方が全国にいると、考えられることから、国の責任においての健康管理システムの創設が必要と考えおり、今後とも、機会がある毎に、環境省に対し要望してまいります。

(松村議員質問)

 昨年の徳田議員の質問に対して、「本格的な疫学調査には、相応の予算、国や県の協力、複数の専門家のかかわりが必要で、本市単独での実施には限界があるとかんがえている。しかし、本市としても、今後も中皮腫死亡小票調査を行うなど、本市における一般環境経由による健康被害の状況把握に向け、引き続き積極的な情報収集に取り組んいく。なお現在、昨年度に公衆衛生学の専門家の方々から本市に対し協力依頼があり、本市における中皮腫死亡者に係る疫学調査については、実施に向けて専門家の方々と意見交換などを行っているところである」との答弁でした。

 また今年5月14日に「アスベスト被害からいのちと健康を守る会」の代表が稲村市長に疫学調査の実施を要請したことに対して、市は「疫学調査について、文科省への研究費助成申請が2年続けて不採択にされているが、専門家と実施に向けて準備をしている」と回答されています。

 お尋ねします。

 疫学調査は現在,どのような進捗状況になっているのでしょうか。答弁願います。

 (当局答弁)

 現在、公衆衛生学の専門家の方々が進められております疫学調査は、昭和49年末までに尼崎市民となり、継続して市民である方を対象集団とし、人ロ動態調査で判明した平成14年から平成24年までの間に中皮腫で亡くなった方の死亡率を、全国標準の死亡率と比較するものです。

 また、地理的情報システムも活用し、中皮腫死亡者の、市内での地理的集積性の解析も行うこととされています。この調査の進捗状況といたしましては、現在、対象集団における中皮腫死亡者の確認及び、住所情報のデータ整理などに取組まれているところです。

 なお、国から研究費が助成されず実施が困難となっている調査についても、専門家の方々と検討しているところです。

 一方、本市が実施する「中皮腫死亡小票調査」につきましては、現在、ご遺族へのアンケート調査に向けた準備をしており、今後、聞き取り調査の実施、分析と報告書の作成を行う予定としております。

 (松村議員質問)

 母子家庭等医療費助成制度について、お尋ねいたします。

 全国の就学援助受給率は、小中平均で15.6%ですが、尼崎市では、1.7倍の25.9%です。子どもの貧困が深刻です。現場の教師からは、「夏休み明け、痩せて登校する子がいる」との衝撃の発言も聞いています。

 低所得層の子どもたちであっても、健康に成長できるように努めるのが、自治体の責務です。国や県の福祉削減に対して、市民を守る立場から、毅然と向き合わなければ、だれが子どもたちを守るのでしょうか。地方自治体は、けっして「福祉の心」を見失ってはなりません。

 9月議会で、一人親家庭の福祉医療の対象削減について、松沢議員が質問をしました。また、母子家庭等医療費助成の対象範囲を元に戻してほしいとの陳情が出されました。

 市の見解は、「一人親家庭と同程度の所得水準である両親がいる子育て世帯とを比較した場合、医療費助成を受ける対象者や負担額に不均衡が生じており、より公平な制度として維持するため見直した」という県行革の考えに同調するというものでした。

 同じ所得であっても、一人より2人とも働いている場合は、給与所得控除や基礎控除、配偶者控除などにより、収入額は、一人親より、2人親の場合が多くなります。

 そして、一人親の場合は、病気になっても生活のためになかなか休めないのが実態であり、病気が重くなりかねません。

 より公正な制度に見直したという説明は、正当な説明ではありません。結局、偽りの「不均衡」「不公正」という言葉で、行政が厳しい生活を余儀なくさせているのです。月々の手取りがたった10万円~11万円で一人で子育てしながら頑張っている母親が、「市に見捨てられた」と泣いています。

 西宮市や宝塚市では、県が対象者を削減しても、市単独で助成措置を取っています。財政が厳しいとしても、もともと、県に制度の維持を求めていたのですから、財政が厳しいことは、理由にはなりません。助成額は県と市で負担する制度です。県の負担がなくなったとしても、市の負担額を活用して、所得制限の緩和に努めることも可能なのです。

 お尋ねします。従来通り制度を維持した場合に市が負担すると見込まれる額を投入して、所得制限を緩和できるよう助成措置を取るべきだと思います。できるだけ早く、できれば来年度予算に反映させることを求めますが、いかがですか。

 (当局答弁)

 県と市の共同事業である母子家庭等医療費助成事業を県が見直した時に、市単独で制度を維持すると約1億円の財源が必要となり、厳しい財政状況が続く本市にとって大変大きな負担となる中で、最終的には県と同様の見直しを実施いたしました。

 従前、市が負担しておりました約6千万円の範囲内で所得制限を緩和できるようにというお尋ねでございますが、母子家庭等医療費助成事業のみを充実することは、一人親家庭と同程度の所得水準にある両親のいる家庭とで、医療費助成の対象範囲や負担額において不均衡が生じることにもなりますので考えておりません。

 なお、今後とも引き続き、こどもの健やかな育ちを支援していく観点からの医療費助成事業のあり方につきまして、調査、研究して参ります。

 (松村議員質問)

 また、これまでも、質問した「保育料などの寡婦控除見做し適用について」は、請願が審議されています。

 保育料に一番多くの不均衡がうまれているのは、当局も認識しておられ、具体的に必要な額の調査などを進めていると聞いています。来年度予算にぜひ反映するように強く要請しておきます。

 消費税増税についてお尋ねします。今年の4月に消費税が5%から8%に引き上げられました。三和本通り商店街で、お聞きすると、やはり、8%への引き上げが影響していると嘆いており、10%になれば、やってはいけない、こんな声すら出ています。まさに、消費税増税不況です。

  お尋ねします。

 2期連続でGDPが下がっていますが、これは、消費税増税によるものと思いますが、市長の認識はいかがすか。

 (当局答弁)

  2014年7月から9月期におけるGDP(国内総生産)が下がった要因につきましては、内閣府のGDP速報や甘利内閣府特命担当大臣の公式見解を要約いたしますと、「在庫調整が進展したことが大きく影響しており、また、消費税率引上げなどに伴う駆け込み需要の反動等の影響で、住宅投資や設備投資がマイナスになったこと、消費者マインドの低下や夏の天候不順の影響による個人消費の足踏み」などが主な要因とされております。

 (松村議員質問)

 社会には、所得の高い人と低い人、資産を多く所有している人とそうでない人がいます。しかし、どの人も、憲法に保障された人間らしく生きる権利は保障されなくてはなりませんし、格差が大きい社会は、決して暮らしやすい社会ではありません。暮らしやすい社会にするために、課税の原則は、能力に応じてという応能負担にすることが、本来のあり方です。

 市長に伺います。

 消費税は、応能負担に反する逆進性の税だとの認識をお持ちでしょうか。逆進性の税は、所得の低いものには、一層厳しい生活を余儀なくさせるものですが、市長はどう思われていすか。国民の消費を抑え、景気を悪化させている逆進制の消費税を更に、10%に増税することについて市長は、どのように思っておられますか、それぞれ御答弁願います。

 (当局答弁)

 少子高齢化の進行に伴い、社会保障関連経費が増加の一一途をたどる中、これまで国と地方は、赤字国債や臨時財政対策債などのいわゆる「借金」で、こうした社会保障経費の増に対応せざるを得なかったところですが、今回の消費増税は、「借金」で賄うのではなく、国民全体が税負担を分かち合う仕組みであるところに意義があるものと考えております。

 しかしながら一方で、消費税は、所得の少ない人ほど消費税負担率も高くなるという、いわゆる逆進性の問題を指摘される側面を持っていることから、増税の実施に際しては、本市経済や市民生活においても少なからず影響があるものと考えております。現在、国において、例えば食品や衣料品などに対する軽減税率の導入など、低所得者の負担を減らす対策が検討されているところでございます。

(松村議員質問)

 アベノミクスが華々しく打ち上げられ、日銀による大幅な金融緩和が行われ、消費税が8%に引き上げられ、GDPは、2期連続低下しました。そして、また、日銀はカンフル剤的に2度目の金融緩和を行いました。景気のバロメーターとして株価の引き上げと円安誘導でGDPを引き上げようとしました。

 アベノミクスの2年間で国民のくらしはどうなったでしょうか。

2012年7月~9月 と 2014年の7月~9月の状況を見てみると、

正規雇用労働者数は、    22万人の減少

非正規雇用の労働者数は   123万人の増加。雇用が増えたとしても、正規から派遣などへの置き換えが進んでいます。

年収200万円以下のワーキングプアは、29万9千人増加

雇用者報酬、つまり労働者への報酬は、4,320億円減少です。

個人消費はと言えば、当然ですが、2兆1186億円の減少。雇用者報酬が減少し、ワーキングプアを増やす中で、個人消費が伸びないのは当然です。

貯蓄なし世帯の割合は26%から30.4%へと増加。

一方、資本金10億円以上の大企業の経常利益は、4兆696億円の増加。

資産が100億円以上増えた株主は100人以上。

自動車大手8社は、「円安効果だけで1兆8000億円の儲けをあげています」 国の統計などからこのような状況が明らかになっています。  

 アベノミクスの2年で、大資産家と大企業は大きな儲けを手に入れました。しかし、物価は上がり、実質賃金は下がり、庶民の生活は苦しくなるばかりです。

各種の調査でも、8割から9割の人が景気回復の実感はないといっているとの結果が出ています。アベノミクスがもたらしたものは、格差拡大と景気の悪化だけです。

 このような状況で、尼崎市民の暮らしはよくなっているとお考えでしょうか。消費は増えるとお考えでしょうか。また、市の財政は、好転する見通しがあると言えるでしょうか。御答弁願います。

 (当局答弁)

 景気動向を把握する指標としては、様々なものがあり、一概には言えないものの、本市が四半期ごとに行なっている事業所景況調査によりますと、平成24年7月から9月と、平成26年7月から9月の全産業の景況感を比べますと、マイナス26.5%から、マイナス9.8%とマイナスではあるものの16.7ポイント増加し、10月以降も改善する見通しとなっていることから、本市事業所の景気については、一定回復基調となっております。

 これらの効果が市民の実感に至るには、時間がかかるものと考えておりますが、全体としては所得の増加につながれば、消費増加の要因となるものと考えております。

 こうした中、市の財政につきましては、歳入面では、平成26年度の法人市民税は、企業収益の増加により、前年度比で約20%の増額を見込んでいる一方で、個人市民税は各種統計などを参考にほぼ横ばいと見込んでおります。このような状況を見ますと、改善の兆しはあるものの、未だ不透明感が残っている状況であると認識いたしてお川ます。

 今後、国の経済対策も予定されていることもあり、引き続き、これらの状況を注i視しながら財政運営を行って参りたいと考えております。

 (松村議員質問)

 法人税の実効税率は、35%程度ですが、大企業の場合、数々の優遇税制で、実質的な税負担は14%で、中小企業は25%です。個々の企業でみると、トヨタ自動車は、2008年から12年までの5年間、法人税が0でした。ユニクロが6.9%、ソフトバンクに至っては、0.006%という驚くべき状態です。数々の優遇税制がこんな結果を生んでいます。優遇税制のおかげで、大企業の内部留保は、増え続け、2013年度は285兆円にもなっています。それにもかかわらず、消費税は、10%に増税し、法人税を20%台まで下げよと要求、安倍政権は企業献金の見返りとして、それに応えようとしているのです。大企業への優遇税制を見直して財源を確保すべきです。

 この2年間で、株価の上昇などで、100億円以上資産を増やした人が100人以上いますが、このような方たちにたいしても能力に応じた税制に改めること、そして、内部留保の一部を取り崩し、それを労働者の賃金引き上げにつなげること、また、最低賃金を時給1000円以上にすることで、税収も増え、消費も増え、経済の活性化にもつながり社会保障の充実に使える財源を確保することができると考えます。このような道に進めることこそ、まともな財政対策と言えます。

 お尋ねします。

社会保障の充実が強く求められていますが、市長は、消費税増税以外の方法では、社会保障に必要な財源を確保することはできないとの認識でしょうか。 御答弁願います。

以上で第2問目を終わります。

 (当局答弁)

 社会保障と税の一体改革につきましては、社会保障の機能強化・維持のための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すこととされております。

 また、その財源を消費税率の引上げに求めた理由につきましては、消費税が高い財源調達力を有し、景気や人ロ構成の変化に左右されにくく、税収が安定していることに加え、勤労世代など特定の人への負担が集中せず、経済活動に与える歪みが小さいという特徴を持っていることから、社会保障の安定財源としてふさわしいと国が判断したものでございます。

 社会保障関連経費の財源は、税負担の不足分をいわゆる赤字公債で補っている状況であり、国・地方を通じた財政の健全化、社会保障の持続可能性、世代間の公平という観点を踏まえると、偏在性が少ない安定的な財源の確保が不可欠であり、地方としても消費税率の引上げを理解した上で、国と議論を重ねてきたところでございます。

 (松村議員質問)

  先にも質問しましたが、いま、市民のくらしにとっての大きな問題は、消費税増税問題です。

 市民のくらしと中小企業の経営を痛めつけるとして、多くの国民があげることには、大きな危惧を抱いています。また、華々しく打ち上げられたアベノミクスでは、ごく一部の大企業には集中して恩恵となり、その一方で市民のくらしは物価上昇等で苦しめられ、雇用の拡大が進んだとしても、賃金の支払い総額もアベノミクスで低下しているのが実態であり、働く人々の実質賃金は、6カ月連続減と報道されています。

 このような状況の中て、尼崎市民のくらしをどう守っていくか、地域経済をどう元気にしていくかが、これからの市政運営においても、市長の力量が大きく問われることになります。

 今回は、市長選挙直前に公表された、あまがさき「未来通信」に示されたいわゆる公約の内容等について概略的に質問いたしましたが、今後、来年度予算では、市長の公約に基づいて、政策の具体化が進められるものと思っています。今後、国政によって痛めつけられるであろう市民の暮らしに寄り添う市政目指して、努力する決意を表明して、すべての質問を終わります。