2013年7月臨時議会 2議案に対する反対討論

                           2013.7.30
日本共産党市会議員 徳田 稔

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おはようございます。日本共産党議員団の徳田 稔です。
議員団を代表して議案第94号及び議案第95号に対する反対討論を行います。

最初に、議案第95号「尼崎市立保育所移管法人選定委員会条例」についてです。

 日本共産党議員団は従来から一貫して、公立保育所の民間移管そのものに反対してきています。その理由は公立保育所の民間移管を次々とすすめることは、公的保育制度の解体に道を開く危険性があるからです。

 また尼崎市における、これまでの公立保育所の民間移管計画は、保護者、保育関係者などの意見を十分に聞かずに、移管計画が強行されており、多くの保護者の理解が得られていないからです。このことは、大島保育所や立花南保育所で民間移管反対の裁判が行われている事実が証明しています。
また現在、2015年(平成27年度)実施予定の「子ども子育て支援新制度」のもとで、市の保育制度が大幅に変わる検討がなされようとしています。過去の市の計画について全面的な見直しに着手しておきながら、一方で過去の計画を実行することは矛盾しています。

 よって市は、裁判の終結を見守り、保護者や保育関係者の理解と納得が得られる状況が作り出されるか、また「子ども子育て支援新制度」に基づく保育制度見直しの基本プランが策定されようとしている今、公立保育所の民間移管計画そのものを白紙にもどすべきです。

 さらに「尼崎市立保育所移管法人選定委員会条例」は様々な問題を含んでいます。

 第一に、選定委員に「市民団体の代表」とあるが、これまで選考されてきた委員は民生児童委員のみだけで、市民団体の定義が曖昧だし、「地元の事情に精通し保育所のことがよくわかっている専門家を」との保護者の要望が満たされていないという問題があります。

 第二に、選定委員の人数が6人という定めについて、保護者委員の数を増してほしいとの保護者からの要望に応えていないという問題があります。

 第三に、この委員会はこれまで公開されておらず、委員には守秘義務が課せられており、保護者代表の委員は誰にも相談すらできず、結果的に代表として委員会に参加できない状況がつくられており、個人の判断で保育所の選定に関わるという重大な責任を負わされています。また保護者委員の代理出席や任期途中での交代を認めないなど、保護者委員の権利が保障されていない問題があります。

 これらの問題点から、公正な審議を行い民間法人を適正に選んでいくための条件が、「尼崎市立保育所移管法人選定委員会条例」には備わっていないという点も指摘します。

 以上により、「尼崎市立保育所移管法人選定委員会条例」の制定に反対します。

次に、議案第94号「尼崎市自動車運送事業移譲事業者選定委員会条例」についてです。

 まず、大阪市の市バスの民営化の取組を紹介しますが、大阪市は移譲事業者を選定する前に「市バスの廃止条例を議決する」手順にしています。

 また、尼崎市は公立保育所を民間に移管しつつありますが、手順としては公立保育所の廃止を議決してから移管法人を選考しています。これは、公立保育所の廃止条例が議決されたことをもって、その保育所における児童の保育を保障するために、法人の選考手続きに入るという、行政運営の筋道が通っている手順と考えます。

 同じように、自動車運送事業移譲事業者の選考については、本来なら市バス廃止条例を議決し、その条例をもって、市民の足をまもる「代わりの措置」として民営化を進めるために、事業者選定委員会条例を提案するべきだと考えます。

 市バスを走らせている現行条例が存在しており、議会として「廃止の議決」もしていない状況のもとで、民営化のための事業者選定委員会を先行して設置するのは、行政運営の手順として筋道が通らないことを指摘します。

 次に、公営企業の市バスは市民福祉の増進の一環として市民の足をまもる役割がありますが、民間事業者は運賃収入から利益を上げ、株主配当をだすことが事業目的のひとつです。民営化された後、現行のバス路線が存続するのは、協定による3年間だけで、協定期間が過ぎたあと赤字路線は切り捨てられる可能性があります。

 協議会が設置されるとしていますが詳細は不明であり、民間事業者への補助金制度をつくるとしていますが、これも内容は不明のままです。

 協定期間が過ぎたあとも民間事業者によってバス路線が守られる保証もはっきりしないまま、移譲業者を選定するための条例を制定することでは市民に対する責任が果たせません。以上により、本条例の制定には、反対します。

 以上、御賛同いただきますようお願いしまして反対討論を終わります。