2020年2月議会 まさき一子議員 近畿中央病院の存続不採択への反対討論

 

 

 

 2020年2月21日「近畿中央病院の存続を!」               

日本共産党議員団のまさきいちこです。団を代表して「陳情第10号 近畿中央病院の存続について」の委員会不採択に反対する討論をします。

 私は看護学校を卒業して、新卒看護師として勤めたのが近畿中央病院でした。(以後愛着を込めて近中といいます)25年間務めた後現在に至っています。まさかこの場所で今、近中存続の討論をするとは思いませんでした。

 この討論を考える際に、忘れられない患者さんのことを思いました。20歳で乳がんが発見され全摘の手術を受けました、若さゆえに全身への転移が早く26歳で亡くなったAさんです。今日はAさんから届いた手紙を紹介します。「まさきさんへ ご無沙汰していますがお元気でしょうか。私の方は腰のつっぱれるような痛みがちょっとつらい以外は元気にしています。入院中は本当にお世話になりました。まさきさんの声が聞こえると元気が出たものでした。髪が抜けた時には、いろいろ良くして頂いて本当にうれしかったです。おかげさまで髪はずいぶん伸びてきました。まだまだ病院とは縁が切れそうにないですが、5階西病棟の看護師さんに会えるのを楽しみに頑張って通いたいと思います。5階西の看護師さんに合うととてもホッとするんです。甘えているのでしょうか。ささやかですがクリスマスプレゼントを受け取ってください。あまり上手ではなくてすみません。買い物に行くときでも使って頂けると嬉しいです。」という内容でした。手紙の中に手編みの5本指手袋がはいっていました。抗がん剤投与で髪が抜けたとき、二人で抱き合って泣いたのを思い出します。私が言うのもなんですがいい病院でした。癌治療の拠点病院として、厳しくもあったかい病院でした。中でも看護師は先輩ナースから看護や技術を教わり、また後輩を育てるという質の良い看護を継承・実践する病院でした。

 

 また、近中は伊丹市の南部、尼崎市の北部に位置しており、隣接する職員宿舎は尼崎にあります。たまたま伊丹の住所ですが、あと10数メートル南に立地すると尼崎の病院でした。年間通院患者は20万人、その3分の1が尼崎市民です、公立学校共済組合の病院として公立の教職員が、大阪、和歌山、奈良、兵庫県の各地からも受診する病院です。ストレスの多い教職員のメンタル治療、職場復帰のためのリハビリ治療等、近中ならではの特色ある取り組みをしています。

 

 今回陳情が提出され、健康福祉委員会で2回にわたり審議がされました。そこで徳田議員が発言したことを紹介します。12年前の兵庫県が県立塚口病院を廃止することを発表しました。地元団体が「尼崎北部の総合病院がなくなる。塚口病院をなくすな」と県につめよりました。その際、県は「尼崎北部には近畿中央病院があるではないか」と言われたとのことです。兵庫県も認める尼崎北部地域の唯一の総合病院です。

 

今回近中の存続を求める会で、近中は地域にとっては生活に密着した病院であり、それがなくなるかもしれないという話をしたら「そんなん困る何とかならないのか」「妻がお世話になった。親を看取ることができた」と署名が集まり、1万6180筆を伊丹市長あてに提出されました。署名の半分は尼崎市民です。近中がなくなったら、阪急線以北の医療をどう穴埋めしていくのか、利用している住民の現状や願いはどうしたらいいのでしょうか。

 

 また尼崎市内から3つの産婦人科病院がなくなります。近中には小児科がありリスクのある分娩では、小児科医と連携して対応します。そんな病院がなくなったら、ますます子どもが産めない街になります。市民は「孫はどこで出産したらいいんだろう」「子どもが入院できる病院がなくなる」等の悲鳴の声が上がっています。近中は尼崎市民の地域医療を守るうえで、現地になくてはならない病院です。この声を尼崎市議会から伊丹市長に上げることは、全く問題ありません。

 

 以上、「近畿中央病院を現在地で存続させるため、伊丹市に対して意見書を提出する陳情」に賛同していただきますようよろしくおねがいします。