日本共産党の川﨑敏美です
議員団を代表し、議案第1号ほか当初予算および当該予算関連議案について質問を行います。 質疑に入る前に一言申し上げます。
米・イスラエルのイラン攻撃中止と、平和の国際秩序を求める
アメリカのトランプ政権とイスラエルによるイランへの先制攻撃は、国連憲章を蹂躙する明白な侵略行為です。この無法な軍事行動により、子どもを含む多くの民間人が犠牲になっています。
この軍事衝突が私たちの生活に直結する危機を招きかねません。攻撃を受け、イランは世界のエネルギー供給の要である「ホルムズ海峡」の封鎖を宣言しました。これが現実となれば、原油供給が途絶し、世界経済、そしてエネルギーの多くを依存する日本経済に計り知れない打撃を与えることは避けられません。
トランプ大統領は、外交交渉の最中に一方的に攻撃を強行し、さらにはイランの体制転覆まで公然と呼びかけています。このような覇権主義的な暴挙は、中東と世界の安定を根本から破壊するものです。
武力による解決に道はありません。日本政府は「法の支配」を掲げるのであれば、米国に追随するのではなく、攻撃の即時中止と、外交による解決を毅然と迫るべきです。私たちは世界の人々と連帯し、理性の声を上げ続けていこうではありませんか、心から呼びかけるものです。
それでは代表質疑に入ります。
今、私たちの社会は大きな転換点に立っています。
長引く物価高騰は市民の暮らしを根底から揺さぶり、実質賃金の低下は「経済的災害」とも呼べる事態を招いています。こうした中、本来であれば市民の最後の拠り所であるはずの「公共」が、効率化やコスト削減の名の下に細り続けていることに、強い危機感を抱かざるを得ません。
これまでの新自由主義的な手法、すなわち窓口の民間委託や指定管理者制度の拡大、さらには水道事業へのPPP(官民連携)導入といった動きは、一見すると経費削減に見えるかもしれません。しかし、その裏側で失われているのは、長年蓄積されてきた行政の専門性や技術、そして何より「市民の命と暮らしを、公の責任で最後まで守り抜く」という自治体本来の使命ではないでしょうか。利益を優先する民間企業への過度な依存は、不測の事態や災害時における対応力の低下を招き、結果として市民が不利益を被るリスクを増大させています。
今こそ、尼崎市は「公共を取り戻す」という旗印を鮮明に掲げるべきだと思います。公共サービスは単なる「コスト」ではなく、市民が人間らしく生きるための「社会的共通資本」です。財政規律という言葉を、単なる数字合わせや類似都市との比較に使うのではなく、困窮する市民に手を差し伸べ、次世代へ豊かな公共資産を引き継ぐための「生きた規律」へと再定義すべきだと考えます。
教育、福祉、雇用、そして防災、あらゆる分野において、民間に丸投げするのではなく、市が主体となって責任を果たす体制を再構築すること。働く人々が誇りを持って、安定した条件で公共を支えられる環境を整えること。そして、外国籍住民も若者も高齢者も、誰もが「この街に住み続けたい」と思える、顔の見える温かなコミュニティを再生すること。
市長、あなたは今の市民の置かれている状況を、そして公共が削られていく現状をどう見ておられるのでしょうか。本日の質疑を通じ、市場原理に身を任せる「効率優先の市政」から、市民の命と尊厳を最優先にする「公共再生の市政」への転換を強く求めるものです。以下、具体的な質疑に入ります。
1. 財政規律について
尼崎市の財政運営は、今まさに大きな岐路に立っています。市はこれまで、1990年代後半の財政危機を教訓に、徹底した行財政改革を断行してきました。その結果、2026年度末の市債残高見込みは1,396億円と、かつての水準から着実に減少しており 、財政調整基金、減債基金、公共施設整備保全基金の主要3基金の合計も、2026年度末には441億円に達する見通しです 。客観的に見て、尼崎市は「財政危機」のフェーズ(局面)を脱し、堅調な財政基盤を再構築したと言えます。
市はこれまで、類似都市との比較や財政指標の平均値を基準に、抑制的な予算編成を続けてきました 。しかし、本来の財政規律とは、単なる家計簿的な数字合わせではありません。真の規律とは、市民の命と暮らしを預かる自治体として、必要な時に必要な支援を迅速に行える「備え」ができているかどうかにあるはずです。
市が目標として掲げている財政調整基金の残高目標140億円という数値は、類似中核市の平均値に依拠したものとお聞きしています。しかし、自治体ごとに人口構成、産業構造、災害リスクは千差万別です。単なる「他都市との横並び」を根拠に積み増しを続けることは、本来その資金で救われるべき市民のニーズを後回しにすることとなってしまいます。
現在の物価高騰は、市民にとっては予期せぬ「経済的災害」です。能登半島地震などの教訓からも明らかなように、平時の「平均値」に縛られるあまり、有事に動けない体質になっては本末転倒です。将来への備えも大切ですが、今、目の前の市民が生活に困窮しているならば、積み立ててきた基金を大胆に活用し、市民の暮らしを支えることこそが、納得感のある財政運営と言えるのではないでしょうか。
Q1:財政調整基金の残高目標について、類似都市並みの平均値という基準をあらため、災害時に必要な金額等を示し、市民が納得する数値を提案すべきではないか?その上で急激な物価高に対応する一時的な基金の支出を認めるべきではありませんか?
答弁要旨
本市はこれまでの過去を振り返るとバブル経済の崩壊や阪神・淡路大震災、リーマンショックといった危機的な状況に直面し、様々な手段、方法を用いて乗り越えてきました。
その中で一番の問題が、財政調整基金が枯渇し、多額の市債を発行せざるを得ない状況となったため、行財政改革の取り組みを進めつつ、その支払いに苦しんできたことです。
こうした過去の教訓を踏まえ、財政運営方針において、緊急的な事態の際に類似他都市並みの対応が行えるよう残高の目標を設定しているところです。
災害時に必要な金額は災害の規模や被害状況によって大きく異なるため、予め必要な金額をお示しすることはできませんが、今後については、好調な決算により残高が拡充できていることも踏まえ、いわゆる財政健全化法で定める財政再生団体に陥ることがないよう、一般的な目安とされている標準財政規模の20%、200億円程度の基金残高を念頭に置いておくべきと考えています。
なお、物価高への支援につきましては、国からの交付金に加え、決算剰余金も活用しながら取り組んでいるところですが、ひきつづき財政調整基金の活用も含め、様々な財源を活用しながら必要な支援に取り組んでまいります。以上
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2. 物価高騰対策について
総務省が20日発表した1月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が112・0と、前年同月比2・0%上昇しました。プラスは53カ月連続。食料の高騰が全体を押し上げた一方、ガソリンが暫定税率廃止に伴い大幅に下落し、全体の伸び率は24年1月以来、2年ぶりの低さとなりました。
エネルギーは5・2%下落。このうち、ガソリンは14・6%下落と、20年5月以来、5年8カ月ぶりのマイナス幅となりました。電気代は1・7%、都市ガス代は3・7%、それぞれ下落。政府による1~3月の電気・ガス代補助の効果は2月分の消費者物価指数から表れる見通し。
生鮮食品を除く食料は6・2%上昇。米類は27・9%上昇と、高騰が続いています。コメの高止まりを受けておにぎりやすし(外食)も上昇が続きます。チョコレートも原材料価格の高騰で25・8%上昇しました。
このほか、宿泊料が訪日客をはじめとする旅行需要の拡大で6・0%上昇。東京を中心とした家賃上昇を受け、民営家賃は0・7%上昇と、1998年3月以来の高い伸び率となりました。
生活実感に近い生鮮食品を含む総合指数は1・5%、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は2・6%、それぞれ上昇しました。
長引く物価高騰は、もはや一時的な現象ではなく、市民生活を根底から揺さぶる「構造的な危機」へと深化しています。実質賃金がマイナスを続ける中で、まさに「災害級」の事態を招いています。
市民からは悲鳴が上がっています。喫茶店の店主は、客の負担を考えれば値上げを躊躇せざるを得ず、しかし経営は限界に達していると嘆いています。高齢者は、孫へのわずかな援助さえも削らざるを得ない状況にあります。また年金生活者は子どもたちに迷惑をかけないように、自分の葬儀代を貯めていたが、それもできなくなりついには今まで貯めていた葬儀代にも手を付けざるを得なくなっているという声もお聞きしました。政府の対策は限定的で遅れが目立つ中、自治体が「国の対策待ち」という受動的な姿勢を続けていれば、市民の困窮を放置することになります。
今求められているのは、一部の限定的な給付ではなく、全市民を対象とした商品券配布など、市独自の直接的な家計支援策です。2025年度に実施されたお米券の配布は市民から高く評価されました 。こうした成功事例をさらに発展させ、地域経済全体の循環を活性化させるべきです。市民全員が使える支援策は、家計を助けると同時に、厳しい状況にある市内の商店街や中小企業への「消費」という形での強力なエールになります。
Q2:実質賃金が上がらない中での物価高は災害級だ。国の対策待ちではなく、「全市民への商品券配布」など、市独自の直接的な家計支援策を、財政調整基金を活用して実施すべきだと思うが、いかがでしょうか?
答弁要旨
物価高騰対策に関しては、国や県の支援の届かない層や物価高騰の影響をより濃く受ける方々に対する各種支援について、その時々の社会経済情勢や財政状況を見極める中で、国の交付金措置の有無にかかわらず、実施する必要もあると考えており、昨年9月には一般財源を活用して全世帯にお米券を配布しました。
市の独自施策を講じる際は、その財源として財政調整基金の活用を除外するものではなく、必要性を十分に見極めた上で、柔軟に対応してまいります。以上
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3. 公共の再生について
「公共を取り戻す」――これは、効率化という名の下に削り取られてきた自治体本来の機能を、市民の手に取り戻す闘いです。尼崎市では、行財政改革の結果、正規職員数が30年前の約5,600人から約3,100人へと45%も減少しました。その一方で、非正規職員(会計年度任用職員)が全体の約4割を占め、窓口業務や福祉の現場など、市民と直接接する重要なサービスが不安定な雇用の海に沈んでいます。
こうした「行き過ぎたアウトソーシング」の弊害が全国で露呈する中、注目すべき挑戦を始めているのが三重県伊賀市です。伊賀市では、2024年度からこれまで民間委託していた住民票発行などの窓口業務の外部委託を順次廃止し、「直営」に戻す決定を下しました。 伊賀市が直営化に舵を切った理由は明確です。外部委託を続ける中で、「業務のノウハウが市に残らず、トラブル時に職員が迅速に対応できない」「マニュアル外の柔軟な市民対応が困難になる」「委託料の上昇でコスト削減効果が薄れている」といった深刻な課題に直面したからです。伊賀市は、単に人を戻すだけでなく、職員を適正な処遇で直接雇用することで、責任感と専門性を持った質の高い公務サービスを安定的に提供する道を選びました。これは、新自由主義的な手法の限界を認め、公共の責任を再定義する歴史的な転換です。
翻って本市の現状はどうでしょうか。下水道事業のウォーターPPP導入に際しても、市は技術継承への懸念を抱えながらも、民間への依存を強めようとしています。伊賀市の事例は、一度民営化した業務であっても、市民の利益のために「直営に戻す」という選択が現実的に可能であることを示しています。
市は「指定管理者制度運用ガイドライン」を策定し、モニタリングや評価を行っていると説明しています。しかし、その実態はどうでしょうか。ガイドラインに基づいたチェックが行われていると言いながら、現場では働く人の劣悪な労働条件や、サービスの質の低下に対する懸念が絶えません。現在の評価システムは、提出された書類上の数字を追うだけの「形式的なチェック」に陥っていませんか、現場の切実な声や市民の満足度が十分に反映されているとは思えません。
今求められているのは、すべての委託業務を聖域なく検証し、市民サービスの質、労働環境の安定、そして災害時の対応力を基準に、公営へ回帰する決断です。公共サービスを「コスト」として切り捨てる時代を終わらせ、市民の命と尊厳を守る強靭な行政組織を再構築すべきです。
アウトソーシング
尼崎市では、効率化の名の下に業務の民間委託(アウトソーシング)が加速してきました。しかし、その結果として何が起きているでしょうか。2025年4月からは家庭ごみの収集運搬業務の直営率が24%から15%へと大幅に引き下げられてきました。これは、災害時にがれき処理や緊急対応を担うべき「公のマンパワー」を自ら削ぎ落とす行為に他なりません。
Q3:業務のアウトソーシング化によって、様々な職場で民営化、業務委託、指定管理制度が広がっています。これらのすべての業務について市職員の意見も反映させる仕組みも整え、これまでの委託のあり方を根本から見直し、必要に応じて公営に戻す取り組みを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか?
答弁要旨
インフラ関連も含めた各業務の実施手法については、政策目的を実現するにあたり、コスト面だけではなく、事業の性質やボリューム、民間活用による効果や効率性、また、昨今の雇用情勢を踏まえる中では特に専門性を有する担い手の確保など、組織管理上のリスクも考慮し、様々な観点から、業務ごとに最適な手法を検討すべきものと考えております。
このような中、今後も市の人材確保も困難となる中で現時点で委託事業を直営に戻すことは考えておりませんが、アウトソーシングの実施にあたっては、組織としてしっかりと庁内議論、庁内調整を行うことはもちろんのこと、必要に応じて職員団体とも事前に協議を行うなど、関係職員の意見を踏まえてつつ進めてまいります。以上
指定管理
指定管理者制度においても、その運用実態がブラックボックス化している懸念があります。制度の導入は自治体の責任を後退させ、労働条件の悪化やサービスの質低下を招くリスクを常にはらんでいます 。
Q4:指定管理者制度の運用が適正に行われているのか、議会には十分な情報が伝わってきません。労働条件やサービスの質を市民目線で定期的に検証し、総合的な評価を行うシステムを構築すべきではありませんか?
答弁要旨
本市では、適正で効果的、効率的な施設管理運営の確保を図るため、指定管理者における業務の評価として、毎年度モニタリング評価を実施しています。
その評価は、指定管理者が労働関係法令をはじめとした法令を遵守しているかに加え、市と指定管理者が共有した目標を設定し、その達成に向けて、業務の履行状況や経理状況、利用者のニーズを踏まえた取組が行われているか等について、共に振り返りを行い、不備な点は改善を行い、よりよい施設維持管理運営、市民サービスの向上を図る仕組みとしています。
またモニタリング評価の結果については、ホームページで公表するとともに、当該モニタリング項目に対してすべて「適正」と評価を受けた施設割合を、施策評価の目標指標とすることで、指定管理者制度の適正な運用に努めています。
ウォーターPPP
国は今、下水道事業等において「ウォーターPPP(官民連携)」の導入を強力に推進しています。特に看過できないのは、国が多額の補助金や地方債の優遇措置で、財政的に厳しい自治体に民営化を選択させる「誘導策」をとっている点です。これは、本来、自治体が地域の特性に応じて判断すべき公共インフラのあり方を、国が金銭的な圧力で捻じ曲げるものであり、地方自治の根幹を揺るがす「実質的な民営化の強制」に他なりません。
下水道事業における「ウォーターPPP」の導入については、市自身も技術継承や災害時の対応に懸念を表明しています 。利益を最優先する民間企業への過度な依存は、不測の事態において市民の安全を担保できない状況を作り出します。
Q5:ウォーターPPPの実施において懸念される技術継承や災害時の対応について、民間任せにせず、市が主体となって公的責任を担保するための具体的な対策は何ですか?
答弁要旨
下水道事業の「ウォーターPPP」は令和10年度の事業開始に向けた準備を進めており、技能継承や自然災害の対応等の課題を十分に踏まえ、対象施設を東部処理区の処理場とポンプ場に限定したところです。
この導入にあたっては、モニタリングや共同研修等を通じ、官民の適切なパートナーシップを構築することが肝要であり、技能継承につきましては、民間事業者の新たな創意工夫や本市がこれまでに培ったノウハウを共有し、官民両方で計画的な人材育成を講じて参ります。
また、災害対応では、日々の事業運営を通じて民間事業者との連携を強化し、迅速な緊急措置や応急復旧を実施できる体制を構築してまいります。
ウォーターPPP導入後におきましても、一方的に下水道事業を民間事業者に担わせるのではなく、引き続き、持続可能なサービスを提供し、本市が担うべき公的責任を果たしてまいります。 以上
行き過ぎた民営化は、長年蓄積されてきた行政の専門性やノウハウを喪失させます。一度失われた技術を再び構築するには多大な時間とコストがかかります。すべての業務において市職員の知見や現場の意見を反映させる仕組みを再構築し、必要であれば「公営」に戻す勇気ある決断をすべきです。市民の命と直結するインフラや窓口業務こそ、公共が最後まで責任を持って担うべきではないでしょうか。
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4. 雨水貯留管整備事業について
全国的に激甚化する豪雨災害から市民の生命・財産を守ることは、都市インフラの最優先事項です。尼崎市が再スタートさせようとしている雨水貯留管整備事業は、地下に巨大なトンネルを作る大規模プロジェクトであり、投入される公金も莫大です。しかし、過去の計画では、工事に伴う公園の利用制限といった「目に見える不利益」が先行し、事業の必要性そのものに対する市民の理解が十分に得られたとは言い難い状況にありました。
公共事業の成功は、単なる技術的な完遂ではなく、市民がいかにその事業を「自分たちの安全を守るためのもの」として納得できるかにかかっています。現在の計画において、公園の不使用問題が一定の解決を見たとしても、それはあくまで表面的な課題の解決に過ぎません。地下深くで行われる大規模工事が、実際にどのような仕組みで浸水被害を防ぐのか、市民には実感しにくいのが現実です。
「どの程度の豪雨に対して、どれほどの浸水軽減効果があるのか」という具体的なデータを、専門用語に頼らずわかりやすく提示することが不可欠です。計画の初期段階から、市民目線での情報公開を徹底し、丁寧な説明を繰り返すことこそが、行政の誠実さであり、公共事業に対する信頼を築く唯一の道です。
Q6:雨水貯留管の整備事業の再スタートが始まろうとしていますが、最初の計画で最大の懸案となっていた公園不使用だけで、問題は解決していないと思います。どの程度の豪雨災害に対して必要となる貯留管の規模などの説明をもっと事前に行うべきではないでしょうか。当局の見解を求めます。
答弁要旨
雨水貯留管整備事業につきましては、近年の全国的な豪雨災害を受け、本市の下水道全体の整備水準を引き上げるために、その手法の1つとして、武庫・立花地区に雨水貯留管を整備するものです。
当該施設の整備の必要性については、想定する豪雨災害の雨量や発生確率、また、施設規模の概要について、これまでから各地区社会福祉協議会や農会などの地元団体等に対して説明してきたところであり、直近では本年2月に市民説明会を3階開催しました。
今後におきましても、整備内容の詳細を精査していく中で、事業費やその被害を軽減する効果などについて、市民の皆様への丁寧かつわかりやすい説明に努めてまいります。以上
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5. 多文化共生について
今、日本の外国人政策は大きな岐路に立っています。長年、国際貢献という「建前」の裏で安価な労働力調整弁として利用されてきた技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されました。しかし、この新制度もまた、労働力の確保という「本音」を隠しきれておらず、日本語教育や生活支援の責任の多くを、財政基盤の弱い地方自治体や中小企業に丸投げする構造は変わっていません。転籍(転職)制限の緩和は、地方から都市部への人材流出を招く懸念があり、自治体間の「奪い合い」を加速させる危うさを孕んでいます。国が真の「定住政策」を持たぬまま、場当たり的に労働者を受け入れ続ける姿勢は、地域社会の分断を招きかねません。
尼崎市には、2024年4月1日現在約1万3,000人の外国籍住民が暮らしています。かつては韓国・朝鮮籍が約85%を占めていましたが、ベトナム籍が16.9%に急増するなど、87の国・地域に及ぶ多角化が進んでいます。特に懸念すべきは、ベトナムやネパール等から急増している「家族滞在」の在留資格者です。その内訳の約91%が女性と子どもであり、彼女たちの多くは日本語能力が十分ではなく、行政からの重要な情報が届きにくい「孤立」の状態にあります。
市はこれまで「情報発信」に努めてきたと言いますが、2023年3月の尼崎市外国人生活実態アンケート調査の回答率がわずか1割に留まった事実は、既存の広報が機能していないことを如実に示しています。多文化共生とは、外国人を「守るべき弱者」としてのみ扱うことではありません。言葉の壁や文化の違いは情報が遮断される要因となりますが、それを超えて、彼らを地域防災やまちづくりの「主体」として対等なパートナーに位置づけるべきです。コミュニティの希薄化が進む中で、顔の見える関係を築くことは、災害時における「共助」の力を最大化させ、一人ひとりの命を守るための最も確実な「インフラ」となります。
例えば、仮称『外国籍住民会議』のような場を設置し、当事者が自ら声を上げ、市政に対して提言できる仕組みを構築すべきです。行政が一方的に教えるのではなく、共に議論し、共に街を作る。公共が多様な価値観を繋ぐハブとなり、誰もが自分の居場所と役割を実感できるコミュニティの再生を、尼崎から発信していくべきです。
Q7:行政からの情報発信からもう一歩進んで、外国籍住民の方が自ら地域防災やまちづくりに参加できるような、仮称『外国籍住民会議』の設置などをサポートし、お互いの顔が見えるコミュニティづくりを、市として取り組むべきではないでしょうか。
答弁要旨
外国籍住民が、地域防災やまちづくりに主体的に参加し、互いの顔が見える関係を築くことは、本市が目指す多文化共生社会に合致するものであると捉えております。
そのためには、リーダーシップの発揮や参加意欲が期待できる外国籍住民の存在が重要となることから、地域における交流イベンド等を通じ、まずはキーパーソンとなる外国籍住民の発掘に取り組んでいるところです。
具体的には、市民ボランティア団体や市内大学および行政などが連携し、外国籍住民向け防災イベントや日本文化を体験するイベンドを実施するなど、定期的な交流の場を設けています。
議員ご提案の会議体も一案ではありますが、まずはこうした交流イベントを通じ、地域での顔の見えるコミュニティづくりに努める中で、外国籍住民の抱える課題やニーズ把握を行ってまいります。以上
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6. 教育について(少人数学級・不登校)
尼崎市の子どもたちを取り巻く教育環境は、今、極めて深刻な危機に直面しています。本市の不登校児童生徒数は、2018年度の674人から2022年度には1,352人と、わずか5年間で2倍以上に激増しました。1,000人あたりの不登校者数は86.2人と、全国平均(59.8人)を大きく上回る異常事態です。学校現場では、教職員の超過勤務が平均135時間に達し、「あまっ子ステップ・アップ調査」などの数値目標に追われる中、子ども一人ひとりに寄り添う余裕が失われているのではないでしょうか。
この閉塞感を打破するヒントとして注目すべき事例が、東京都三鷹市の「コミュニティ・スクール」の実践ではないかと思います。三鷹市では、単に会議を開くだけの形式的な組織ではなく、地域住民や保護者が「学校運営協議会」を通じて学校運営に主体的に参画しています。特筆すべきは、放課後や授業補助、部活動の支援に地域住民が日常的に関わることで、学校を「先生と生徒だけの閉鎖的な場所」から「地域みんなで子どもを見守る開放的な場」へと作り替えた点です。これにより、不登校傾向にある子に対しても、教員以外の「地域の大人」が多様な居場所や関わりを提供し、子どもたちの自己肯定感を育む土壌が生まれています。
翻って、尼崎市でも「学校運営協議会」の設置は進んでいますが、なぜ三鷹市のような劇的な効果が見えないのでしょうか。それは、本市の取り組みが「行政主導の形式」に留まっており、現場の教職員には「新たな業務負担」として、地域住民には「動員」として受け止められている側面があるからではないでしょうか。真の地域連携には、学校側からの協議会への権限委譲と、地域が主体的に動ける予算・仕組みの裏付けが不可欠です。今の尼崎に必要なのは、数値を競う教育ではなく、三鷹市のように地域社会が学校の「壁」を取り払い、共に子どもたちの命と学びを支える「共同の教育」への転換ではないでしょうか。
そのためには、思い切って一歩前に進むべきではないでしょうか。まずは、国や県の基準を待つのではなく、市独自で少人数学級へ踏み出すとともに、地域と学校が真に手を取り合い、誰一人取り残さない教育体制を再構築すべきだと考えます。
Q8:市独自での少人数学級への柔軟な対応や居場所づくりに向けて、もう一歩踏み出していただけないでしょうか。
答弁要旨
議員ご指摘の少人数学級につきましては法律に基づき、小学校全学年および 令和8年度はty8宇う学校1年生で35人以下学級が実施されております。令和10年度までに中学校の全学年で実施することになっています。
また、公立小中学校の教職員は県費負担教職員であり、その定数は県条例等に基づき算定・配置される仕組みとなっておりますので、市独自に正規の教員を任用し、学級編成の基準を変更して少人数学級を実施することは、制度上困難であると考えております。
一方で、きめ細やかな指導を行うことは学習面、生活面においても効果的であることから、学級の人数を一律に減らすのではなく、学習補助を行う学習支援員の配置による同室複数指導や、加配教員による少人数指導など、指導の場面における個別指導・支援等を図っております。
また居場所づくりとして、小中学校内にサポートルーム・サポートエリアを設置し、そこに学習支援員を配置して、不登校児童生徒も含めた一体的な学習支援を行っております。
今後も各学校の実情にあわせて、柔軟な対応や居場所づくりに努め、児童生徒一人一人に応じた指導を行えるよう教育体制の充実に努めてまいります。以上
Q9:財政や人員の壁を理由に立ち止まるのではなく、先生方の負担を減らし、笑顔で子どもたちに寄り添える『少人数学級』の実現に向けて、市独自の支援策の検討や、国・県への強い働きかけを、一歩前に進めていただけないでしょうか。
答弁要旨
現在、少人数学級の取り組みでは、兵庫型学習システム加配を活用し、小学校では教科担任制の推進などを、中学校では数学・英語を中心にした少人数での学びを展開しております。
今後も、国・県に対して特別な学習指導や生徒指導、不登校等、一人ひとりの児童生徒に寄り添った指導・支援ができるよう加配教員の一層の増員について、要望してまいります。
また、市独自の支援策につきましては、財政面や人員配置面のほか、学校によっては必要な教室数が不足すること等、解決すべき課題も多くありまsが、DXによります保護者との連絡・書類提出等のシステム化や、先生方の出退勤、休暇管理のデジタル化のほか、生成AIの活用等のICT環境の整備等、教職員の負担軽減に向行けた取組とあわせて検討してまいります。
Q10:不登校問題の根本解決をはかる方策についてどのように考えるのか?
答弁要旨
本市の不登校対策は、不登校というだけで問題行動としてとらえ学校復帰のみを目指すのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的にとらえ、社会的な自立を目指していけるよう働きかけることを基本的な姿勢として取り組んでおります。
教育委員会と学校が連携を密にしながら、誰ひとり取り残さない学びの保障に向け、不登校児童生徒が学びたいと思った時に学べる環境を整えること、そして、学校に行けるかどうかにかかわらず、どの児童生徒も安心して自分らしく学べる多様な学習環境を当たり前のものとしていくことが、本質的な課題解決につながっていくと考えております。
教育委員会といたしましては、児童生徒一人ひとりの不登校の背景にある要因を多面的かつ的確に把握し、早期に適切な支援につなげるアセスメントの視点を大切にするとともに「子どもセンタード」の視点に立ち、グラデーションのある不登校支援の一層の充実に努めてまいります。以上
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7. 公立保育所の今後の在り方について
こども青少年局が2025年(令和7年)11月に発表した「公立保育所の今後の基本的方向(素案)」において、市は「公立保育所の運営費は民間園の約4倍に達している」という数値を持ち出しました。しかし、この「4倍」という計算は、あまりにも一方的で不誠実なものです。
第一に、この比較は国からの地方交付税措置という重要な財源を完全に無視しています。公立保育所の職員人件費などは、地方交付税の基準財政需要額に算入されており、実質的な市の持ち出し分はこれほど多くはないはずです。市は、歳入側にある国からのバックアップを意図的に計算から外し、歳出の数字だけを膨らませて「公立は高コストだ」というレッテルを貼っています。これは、市民に対して正確な情報を提供すべき行政として、あるまじき行為ではないでしょうか。
第二に、公立保育所が担っている「質の高い保育のセーフティネット」としての役割が、この素案では軽視されています。現在、公立保育所には全ての園に障害児が在籍し、発達に課題を抱える「グレーゾーン」の子ども、あるいは家庭環境に困難を抱えるケースを積極的に受け入れています。
市内の民間保育園からは、「これ以上の新設は保育士不足を招く」「経営が不安だ」という悲痛な声が上がっています。このような状況下で、公立が果たしてきた「地域保育のスタンダード(基準)」としての役割を縮小すれば、尼崎全体の保育の質は底割れしてしまうのではないでしょうか。公立保育所は、単なる「待機児童の受け皿」ではなく、どんなに困難な状況にある親子も決して見捨てない「最後の砦」であり、地域全体の保育力を牽引する「機関車」です 。
コスト論だけで公共を切り捨てるのではなく、国からの交付金を正しく評価し、公立保育所が持つ専門性と安定性を維持・発展させることこそ、本市が選ぶべき道です。
Q11:公立保育所の民間移管に際し、公立保育所の役割が軽視されてきているのではないでしょうか。公立の保育はスタンダード(基準)であり、障害児やグレーゾーンの子どもたちが増えている現状の下で、いつでも子どもや保護者に寄り添える場として、公的保育を推進していく「牽引車」の役割が公立には求められていると思います。市の見解を求めます。
答弁要旨
第3次民間移管計画以降の公立保育所の民間移管は平成19年度に策定した「公立保育所の今後の基本方向」等に基づき実施してきましたが、保育環境を取り巻く社会情勢の変化、保育ニーズの多様化も踏まえ、現在、今後の民間移管の進め方や実施予定園も含め、「基本的方向」の改定を進めています。
令和7年11月に作成した改訂の素案では「公立保育所が果たすべき役割」を改めて整理し、これまでの役割である①保育のセーフティネットの役割 ②市全体の保育の質の向上を図る役割 ③地域の子育て家庭等の支援拠点としての役割 の3点に加え新たに「4保育所運営が困難な地域における保育を補償する役割」を追加しました。
これらの役割に従い、より質の高い保育を行うことはもとより、特別な支援が必要なこどもの受入れを市全体でさらに進める観点からも、民間の保育施設へのサポートを含めた連携強化など、公立保育所が地域の支援拠点としてその役割を果たすような取り組みを進めてまいります。
なお、児童福祉施設をふくめた 福祉施設の面的な体制整備についてはもちろん市町村の責務ではありますが、その体制整備については、様々な設置主体による参画によって実現されるものと考えており、私は、福祉の理念の実現にあたって、本来、公立・民間等の設置者の種類に区別はないものと考えていまs。
このため、来年度予算においては、法人保育園に対するインクルーシブ保育の体制強化に係る予算を優先的に確保したところです。
こうした意味で、設置者の種類による責務の違いを強調するのではなく、児童福祉法の理念を、保育事業に関わる全ての者が共有し、官民一緒になって実現していくことを前提に、現実的な対応をしていきたいと考えております。以上
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8. 児童ホームについて
共働き世帯が当たり前となる中で、放課後の子どもの居場所である「児童ホーム」の役割は、今や教育・福祉の両面において欠かすことのできない社会インフラです。しかし、本市の児童ホームを巡る状況は「パンク状態」と言わざるを得ません。2025年5月1日時点の待機児童数は323人に達し、前年の269人からさらに54人も増加しました。市が掲げる「待機児童ゼロ」の目標とは裏腹に、現実は過去最多水準の待機者を出し続けているのです。
市はこの事態に対し、「民間事業者の活用」を対策の柱に据えてきました。しかし、利益を優先せざるを得ない民間企業に子どもの命と育ちを委ねることの危うさは、既にあらわになっています。本市でも大手民間事業者が運営から突然撤退するという事態が発生しました。民間企業にとって、不採算や人手不足は「撤退」の理由になりますが、地域に暮らす子どもたちにとって、放課後の居場所がなくなることは許されない事態です。経営の不安定な民間に依存し続ける手法は、待機児童対策の本道とはなり得ません。
児童ホームにおいて最も大切なのは、子どもたちが安心して過ごせる「継続的な人間関係」です。それを支えるのは、現場で働く指導員の存在に他なりません。しかし、現状では多くの指導員が非正規雇用であり、低賃金と将来への不安から人員確保は不安定です。専門性を持った優秀な人材が定着しなければ、保育の質を維持することは不可能です。指導員の処遇を抜本的に改善し、「正規化」を進めること。これこそが、質の高い放課後の居場所を安定的に提供するための解決策だと考えます。
「公設公営」の児童ホームには、利益に左右されない圧倒的な安定感があります。学校との緊密な連携、地域住民との長年の繋がり、そして何より「公が最後まで責任を持つ」という信頼感は、保護者にとって何物にも代えがたい安心材料です。待機児童解消という「数」の論理を優先して民間へ委託するのではなく、市が主体となって公設公営の施設を着実に拡充し、指導員を専門職として支える体制を整えるべきです。
Q12:市は、待機児童数対策として、民間活用を第一に考えていますが、先般も大手の民間事業者が撤退しているように、恒常的な安定、抜本的な対策とはなり得ません。児童ホーム職員の正規化等をはかるなどで、公設・公営を貫くべきと考えますがいかがですか?
答弁要旨
本市では待機児童対策として、これまでも公設児童ホームの定員拡大に取り組んでおり、令和6年度以降定員は140人拡大したほか、今後も令和8年度に浜児童ホーム、令和10年度に武庫の里児童ホーム、それぞれ1クラス増設し、合計で80人の定員増を見込んでいます。一方、公設児童ホーム増設の課題としては、学校内で児童ホームに転用できる余裕教室がないなど実施場所の確保が難しいことに加え、人員確保の課題と変則勤務である。指導員に対する柔軟な労務環境の確保の困難性等が相まって、議員ご提案の職員の正規化等による公設・公営だけでは急増する需要に対応することが難しくなっているものとしています。そのため、本市では待機児童の多い地域において、民間児童ホームの設置を促進しており、令和7年5月時点で554人の児童の受け入れ実績があり、民間児童ホームの設置運営に係る補助金を準次拡充することで、来年度には立花西及び小園小学校区でそれぞれ1事業所の新規開設を予定しています。
児童ホームの利用希望者はどんどんと増えている現状の中で、官民総力を上げて待機児童の解消に向けた取り組みを進めていかなければならないと思っています。このため、早急に庁内横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、一定のアクションプランをまとめていくことを通じ、待機児童の解消に向けた取り組みを加速させて参ります。以上
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9. 国民健康保険料について
国民健康保険制度は、今や「最後のセーフティネット」としての機能を失いかねないほどの負担増に直面しています。協会けんぽと比較しても保険料は「高すぎて払えない」という声は、単なる愚痴ではなく、市民の生活破綻を警告する悲鳴です。尼崎市のような都市部では、所得に対する保険料の割合が極めて高く、制度が受診抑制を招いている現状を重く見るべきです。保険料算出所得に対して2割以上の保険料を払っている特別減免の対象世帯数は、2024年度決算で12.238世帯あります。
2027年度からの全県一律保険料の導入に向け、さらなる値上げが懸念されています。しかし、市として指をくわえて見ているわけにはいきません。他市では子どもの均等割の減免を18歳まで拡充する動きもあります。
「命の格差」を生まないために、一般会計からの繰り入れによる負担軽減や、市独自の減免制度の拡充を検討すべきです。健康保険証の廃止・マイナ保険証への一本化が強行される中、情報漏洩や窓口トラブルへの不安も拭えません 。自治体として、市民の皆さんが安心して医療にかかれる体制を守り抜く決意が必要です。
2026年度から子ども子育て支援金分が加算されます。さらに27年度からは兵庫県の標準保険料率の統一も考えられており、これによって保険料がさらに引き上げられることが予想されます。24年度決算で見ると、現年度分保険料の滞納世帯は8327世帯、滞納総額は約6億900万円となっています。抜本的に滞納改善は必要ですが、そもそも払いきれない高すぎる国保料の引き下げこそ解決すべき課題ではないでしょうか。
Q13:国民健康保険料の引き下げについて、市長は県とどのような意見交換を行ない、市としてできることは何とお考えですか、お答えください。
答弁要旨
平成30年度の国民健康保険制度の都道府県単位化以降、県内での同一所得、同一保険料を実現するため、兵庫県と協議を重ねてまいりました。協議においては制度の財政基盤を強化し、持続的・安定的に運営できるよう、公費や経費の相互扶助化等についての検討を行っており、その結果、県からは市独自の減免や給付については廃止するとの方針が示されたところです。
また、都道府県単位化に合わせて国からは保険料抑制のための一般会計からの繰り入れは解消すべきとの方針が示されており、令和9年度を目標とする保険料水準の統一後は、保険料の引き下げを目的として一般財源を活用する事はできなくなるため、保険料の引き下げについての協議は行っておりません。
本市といたしましてはこれからの保険料を少しでも抑制できるよう保険事業の推進による医療費の適正化や保険料収納率の向上に努めるとともに、国に対して国負担率の引き上げなど引き続き財政支援の拡充を求めており、実際、令和8年度の春要望においても負担割合の引き上げを要望しております。以上
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10. 介護保険料について
2025年度税制改正の影響で、介護保険の一号被保険者の保険料について一部の被保険者の保険料段階に移動が生じ、26年度の介護保険料収入が減少することが見込まれます。これについては、特例措置で国県市で対応するとしています。しかし、27年の第10期からは保険料そのもので充当することとなり、3年ごとに毎期保険料が引き上げられる状況をさらに深刻化させると考えられます。保険料は、介護保険が始まった2000年は基準額第5段階2.911円だったものが、現在第9期は6.225円、約2.1倍と跳ね上がっており高齢者の生活そのものを苦しめています。国は一般会計からの繰り入れを禁止していますが、ペナルティーはありません。
高齢化が急速に進む尼崎市において、介護保険制度は「命の安全網」そのものです。しかし、制度発足から25年が経過した今、介護保険は「保険あって介護なし」と言われるほど深刻な事態に陥っています。追い打ちをかけるように、政府は社会保障費抑制の名の下に、介護保険の根幹を揺るがす「3大改悪」を画策しています。
第一の改悪は、「介護サービス利用料の2割負担対象の拡大」です。現在、原則1割(一定所得以上は2〜3割)となっている自己負担について、2割負担の対象者を一気に広げようとしています。物価高騰で年金が実質的に目減りし続ける中、負担が倍増すれば、必要なサービスを諦めざるを得なくなり、その結果として「介護心中」や「介護離職」が激増するのは火を見るより明らかです。
第二の改悪は、ケアプラン(居宅介護支援)の有料化です。現在は全額保険給付(利用者負担なし)で提供されている「ケアプラン作成」について、他のサービスと同様に利用者負担を導入しようとする案です。介護の入り口である相談・プラン作成に料金が発生すれば、適切な支援に繋がる前に孤立してしまう高齢者が増えかねません。有料化により、利用者が「お金を払っているのだから」と特定のサービスを強く要求したり、逆にケアマネジャーが過度な遠慮をしたりすることで、専門的かつ中立的な判断が阻害される懸念があります。ケアマネジメントの公共性を損なう重大な変更です。
第三の改悪は、「要介護1・2の生活援助等を保険給付から外し、総合事業に移すという見直し案です。市町村の「総合事業」へ完全に移行させることで、国庫負担を減らし、サービスの質や単価を自治体任せにする狙いです。事業者にとっても運営面で大きな減収となり、運営そのものが危機的状況となってしまいます。これは、憲法第25条が保障する生存権に基づいた「国の責任」を放棄するものであり、断じて容認できません。
本市の現状を見れば、介護保険料の基準額は制度開始当初から約2.5倍にまで跳ね上がっています。介護事業所の閉鎖も出てきており、ケア労働者の賃金不足による人手不足は限界点に達しています。市は、全国市長会などを通じて国に抜本的な改革と国庫負担率の引き上げを求めていくべきです。しかし、国の動きを待つだけでは市民の命は守れません。他都市に比べても厳しい状況にある本市の高齢者の実態を直視し、市独自の踏み込んだ支援が必要です。
これ以上の制度の後退・改悪を許さず、高齢者が住み慣れた地域で尊厳を持って生きられる尼崎を構築するために、市の姿勢を問います。
Q14:市は、全国市長会などを通じて介護保険への国庫負担の引き上げを要望しているが、それとともに市独自でも一般会計からの繰り入れで、保険料の引き上げを止める努力をすべきだと考えるが、どうでしょうか。
答弁要旨
介護保険制度は全国一律の制度として、介護保険法で市の法定負担分が規定されており、保険料減免を目的とした法定負担分が規定されており、保険料減免を目的とした一般財源の投入は被保険者間の公平性の確保や財政規律の観点から認められておりません。
こうしたことから、本市独自で法定負担割合については課題として認識しており、国に対し全国市長会等を通じて、国の負担割合の引き上げ等による介護保険料負担の軽減を行うよう、今後も粘り強く要望してまいります。以上
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11. 18歳までの医療費無料化
子育て支援を市政の最優先課題に掲げるならば、市長の公約でもある子どもの医療費完全無料化は、その本気度を測る試金石です。尼崎市では対象の拡大が進んできましたが、いまだに所得制限が残っていることは、子育て世帯の間に拭いがたい不公平感を生んでいます。子どもの病気に、親の所得は関係ありません。
県内では既に6割を超える自治体が、所得制限のない18歳までの無償化を達成しています。近隣自治体が決断を下す中、本市が立ち止まっている理由は、もはや財政的な問題ではなく、市長の「政治的優先順位」の問題に他なりません。年度の途中からであっても、基金を活用すれば実施は可能です。子育て世帯にとって、数百円の窓口負担も、積み重なれば大きな重荷となります。すべての親が、子どもの体調不良を感じた時に迷わず病院へ連れて行ける環境。それこそが、本市がめざすべき「子育てしたい街」の真の姿です。
Q15:市長の任期中、年度の途中からでも所得制限なしの子どもの医療費完全無償化の決断はできないのでしょうか?
答弁要旨
子どもの医療費助成については、令和4年度以降、入院に係る医療費の高校生までの完全無償化や、通院に係る医療費の助成対象者の拡充、未就学児の完全無償化、自己負担金の軽減を段階的かつ継続的に実施してまいりました。
子育て支援施策は、子どもの医療費助成だけではなく、子ども医療費を完全無償化するということは、本市の財政状況を踏まえれば、同じだけの財源が必要となるその他の子育て支援施策を実施しないことを意味します。財政運営に対しても責任を持たなければなりません。そう考えたとき、より効果的な子育て支援施策について、優先順位とバランスを考えながら検討すべきであり、そうした観点から、これまでも、保育料の負担軽減や保育の質向上等を行い、来年度に向けてもインクルーシブ保育・教育の支援体制強化、就学援助費の増額、不登校対策、学校体育館の空調整備等を進めているところです。
こうした全体の子育て支援施策の底上げを考えながら、子育てを応援するまちとしての総合的な魅力を上げていきたいと考えています。以上
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12. 中小企業への支援策について
尼崎の産業の底力を支えてきた中小・零細企業の現場は、今、未曾有の危機に瀕しています。2025年の全国の休廃業・解散企業は6万7千件を超え、過去最多を記録しました。本市においても、原材料費やエネルギー価格の高騰分を取引価格に転嫁できず、資金繰りが限界に達している事業者が後を絶ちません。また経営者の高齢化で後継者も得られず廃業せざるを得ない状況に追い込まれている事業者も少なくありません。
市が進めるDX推進や新事業展開への補助金は「前向きな投資」として重要ですが、こうした支援を受けられるのは、一部の余力ある企業に限られています。今、本当に救いを求めているのは、日々の家賃や光熱費の支払いに汲々としている零細事業者です。ゼロゼロ融資の返済も本格化し、経営はまさに綱渡りです。
地域経済の灯を消さないための「防波堤」として、市独自の直接的な支援を強化すべきです。今回、2月の補正で信用保証料の4分の1が市、3分の1が国の補助が実行され、長年の業者運動にとっては歓迎すべきことであります。しかし、実際には全額補助が望ましいと考えます。
高崎市の「住環境改善助成」のような市内循環型の制度は、予算の6倍以上の経済波及効果を生むことが証明されています 。既存の「攻め」の支援だけでなく、事業継続を最優先とした「守り」のセーフティネットを直ちに構築すべきです。
Q16:既存の「攻め」の投資支援だけでは、足元の物価高や債務返済に苦しむ零細事業者を救えません。地域経済のセーフティネットとして、「信用保証料の市独自の全額補助」や「物価高騰対策としての固定費助成」など、事業継続を最優先とした直接的支援を創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。
答弁要旨
行政の企業への支援に対しては、急激な物価高騰等への緊急時への一時的な支援、下請け・いじめ等の不公正な取引関係の是正など、健全な市場形成を歪める行為に対する毅然とした対応、さらには地域経済の発展につながる投資的視点からの支援は必要と考えますが、企業経営そのものに対する扶助的な視点での支援に対しては、自由主義経済や職業選択の自由の理念を踏まえれば謙抑的であるべきと考えています。
国においては緊急的な物価高騰対策として電気ガス料金について令和8年1月から3月に値引きを実施しています。本市においても信用保証料補助については兵庫県が今年度から補助メニューを終了させる中で、令和8年度当初から実施する予定であり、対象となる融資制度は限定していますが、保証料のうち国が3分の1 本市が4分の1を補助し、合計で企業負担の2分の1以上を軽減することとしています。
本事業により資金調達の円滑化を図り、設備投資や事業分野への進出を促すとともに、事業継続のセーフティーネットとしても活用できる制度となっていきます。また今後実施予定のあま咲きコインのプレミアムキャンペーンも地域経済循環を作るという意味で、市内の商店を中心とする中小企業支援の側面が強いものと理解しています。こうした取り組みを通じ、地域経済を担う中小企業資源を実施してまいります。以上
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13. 環境問題について
気候危機はもはや「将来の課題」ではなく、現在の市民の命と暮らしを脅かす差し迫った危機です。尼崎市も「ゼロカーボンシティ」を掲げ、脱炭素社会への転換を目指していますが、その足元の施策は極めて不十分ではないでしょうか。
かつて本市には、家庭用太陽光パネルの設置に対する直接的な助成制度がありましたが、市はこれを廃止しました。それに代わって導入された兵庫県との共同購入事業(「あまがさき太陽光発電共同購入」等)は、果たしてどれほどの効果を上げているのでしょうか。市民の実感としては、以前の直接助成に比べてハードルが高く、普及のスピードは決定的に鈍化しています。行政がリスクを負わず、市民に「共同購入」という形での自助努力を強いる今のやり方では、2050年のカーボンニュートラル達成など到底不可能ではないでしょうか。
さらに、これまでの環境政策は行政主導の数値目標や、一部の企業・家庭への補助金に留まってきました。環境問題の本質は、私たちの経済活動や生活のあり方そのものを、持続可能な「公共の財産」としてどう再構築するかにあります。ここで以前にも提案しましたが、改めて提案したいのが、無作為抽出などで選ばれた市民が対等に議論する『気候市民会議』の創設です。
市は以前の答弁において、気候市民会議について「啓発効果が限定的となることから、開催する考えはない」と、極めて後ろ向きな姿勢を示しました。しかし、これは気候市民会議の本質を決定的に履き違えています。この会議の目的は、単なる「啓発」や「お勉強」ではありません。専門家の知見を学びながら、痛みを伴う政策を含めた「街の未来」を市民自らが熟議し、合意を形成する「熟議民主主義」の実践です。
「行政が教え、市民が教わる」という上下関係の啓発では、市民の行動変容は起きません。自分たちの意見が政策に反映されるという実感があってこそ、市民は主体的に動き出すのです。市民の知恵と力を過小評価し、最初から「効果が限定的」と決めつける姿勢こそが、尼崎の環境政策を停滞させている最大の要因ではありませんか。
Q17:『気候市民会議』のような、市民の知恵と力を信じ、行政と市民がフラットに対話できる場を設けることを、提案します。ぜひ前向きにご検討いただけないでしょうか。
答弁要旨
本市では、かつて公害問題を行政・市民・事業者が連携・協力して克服してきた歴史があり、環境問題についても市民が行政や事業者とも連携しながら主体的に取り込む関係性が長年にわたり築かれています。
また、尼崎環境オープンカレッジ推進事業において、子どもや学生も参加する中で、環境学習や啓発、イベント、地域での実践活動など様々な取り組みを市民・事業者、行政の連携、共同により進めているところです。引き続きこうした尼崎ならではの官民連携・協同の関係を生かしながら市民の皆様と意見を交わす機会を大切にしつつ、関係問題に取り組んで参ります。以上
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14. 住宅政策について
「住まいは人権である」――この視点こそが、本市の住宅政策に今最も欠けているものです。老朽化した市営住宅の建て替えに伴い、市は管理戸数の削減計画を進めていますが、その陰で、高すぎる民間家賃や不安定な住環境に苦しむ市民が置き去りにされています。住宅は単なる「ハコ」ではなく、市民の尊厳と生活を守るための最重要のセーフティネットです。
現在、低所得者、高齢者、障害者、そして若者たちが、民間の賃貸市場で排除されたり、劣悪な環境に追い詰められたりしています。市営住宅の削減は、こうした「住まいの貧困」に対する公の責任を放棄することに繋がりかねません。削減ありきの計画を見直し、既存の住宅ストックを積極的に活用して、希望するすべての人が安心して入居できる体制を整えるべきです。
さらに、市独自の「家賃補助制度」の創設も急務です。摂津市では高齢者が受けられる家賃助成制度をつくっています。月額家賃が5万円以下の世帯であれば家賃の3分の1(上限1万円)までが補助されます。ぜひ参考にしていただきたいと思います。住む場所を失うことは、社会との繋がりを断たれることを意味します。誰もが安心して住み続けられる尼崎にするために、公共が居住保障にどこまで責任を持つのか、その明確なビジョンと具体的施策が今、問われています。
Q18:市営住宅の削減計画を見直し、家賃補助も含めて、誰もが安心して住み続けられる尼崎にしていく具体的な施策を進めていく考えはありませんか?
答弁要旨
市営住宅は住宅に困窮している方々のセーフティーネットとして重要な役割を果たしていることから、次の杉並区のように供給が追いついておらず、その役割を民間住宅にも求める必要がある場合などは、それに対する家賃補助等の経済的な支援を検討する必要があります。しかしながら、本社では募集に対し、駅前などの立地の条件の良い住宅等は応募が集中するものの、総じて募集割れする住宅がその都度発生している状況であり、住宅供給料の面では充足していると考えており、こうした状況から計画の見直しや民間賃貸住宅に対する家賃補助制度の創設などは考えていませんが、所得の状況など一人ひとりの事情に応じて入居に向けての相談や入居後の見守り、生活面での支援といった幅広い居住支援に取り組んでおり、そうした住宅政策と福祉政策の連携により誰もが安心して住み続けられるまちづくりを進めていきます。以上
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15. 自衛隊への個人情報の提供について
市民のプライバシー権は、憲法第13条によって保障された基本的人権の核心です。しかし、尼崎市が自衛隊からの要請に応じ、18歳と22歳になる市民の氏名・住所を電子データで提供し続けている現状は、この権利に対する深刻な侵害と言わざるを得ません。行政が保有する個人情報は、福祉や住民登録などの行政サービスのために信託されたものであり、本人の同意なき「目的外利用」は許されません。
情報の提供を希望しない人のための「除外申請制度」はありますが、その周知は極めて不十分です。実際、2024年度の拒否件数は18歳で4人、22歳で2人と、全対象者数に比してあまりに少なく、制度が実質的に機能していないことは明らかです。年齢によって拒否の申請をする期間が異なっていることも課題となっています。多くの若者や保護者は、自らのデータが提供されている事実すら知らないまま、同意なき提供が行われているのです。
かつてのような「紙媒体の閲覧」から「電子データでの提供」へ変更されたことで、名簿としての利活用は極めて容易になり、市民の心理的負担は増大しています。本人の意思を尊重するならば、対象者全員への個別通知を徹底し、同意を前提とした運用に改めるか、少なくともデータの提供を中止し、閲覧のみに戻すべきです。
Q19:市民のプライバシーを守る立場から、「除外申請制度を対象者全員へ個別に直接郵送で通知」 し、本人の同意を前提とした運用に改めるべきです。また、データの提供から 「紙媒体の閲覧のみ」へ戻すなど、若者の不安に寄り添った運用の見直しを求めますが、いかがですか。
答弁要旨
自衛官等の募集に係る住民基本台帳情報の提供につきましては、自衛隊法第97条に基づく法定委託事務として実施しており、自衛官及び自衛官候補生の募集のために必要な住民基本台帳情報を自衛隊法施行令第120条に基づく防衛大臣からの資料提供依頼に応じて紙媒体での閲覧ではなく、CDにて提供しているものです。情報提供を望まない方への対応としましては、令和4年度から除外申し出の受付を本市のホームページに常時掲載しているほか、今後は市報への掲載も検討するなど、引き続きより多くの市民の皆様に認識いただけるよう周知を進めて参ります。令和8年5月の市報において周知をしていく予定としております。以上
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16. 犯罪被害者への補償制度について
今回の条例改正には、犯罪被害者支援の活動を長年続けてきた者として、深く感謝を申し上げる次第です。しかし、まだまだ課題は山積しており、あえて意見を申し上げたいと思います。
犯罪被害に遭われた方々とそのご家族は、予期せぬ事件によって一瞬にして日常を奪われ、深い傷を負います。しかし、現在の制度では加害者に支払い能力がない場合、被害者が正当な賠償金を受け取れず、経済的困窮に追い込まれるという「二次被害」が深刻な社会問題となっています。
公共の役割とは、こうした困難に直面した市民を孤立させないことにあります。国に対しても損害賠償金の立て替え払い制度や、被害者に寄り添う「犯罪被害者庁」の設置を求めるべきです。また、市としても独自にできる支援を拡充すべきです。例えば、被害直後の混乱期に、行政側から積極的に手を差し伸べる「アウトリーチ型」の相談活動の強化です。
本市の犯罪被害者支援条例の見直しは、制定から「10年」という時間が経過しています、今後の見直し期間については固定的に考えるのではなく、被害者のニーズの変化に合わせて、より柔軟に、短いスパンで制度を改善していく体制を構築していただきたいと思います。被害を受けた方々が、以前のような日常生活を少しでも取り戻せるよう、温かく、そして実効性のある伴走支援を尼崎から広げられていけたらと心から思います。
Q20:損害賠償金の立て替え払いや、犯罪被害者庁の設置等を国への要望を求めていくとともに、市が独自にできる犯罪被害者へのアウトリーチで相談活動を行うとか、今後の条例の見直しについても10年ではなくもっと期間をつめて見直しをはかる必要があると思います。いかがですか?
答弁要旨
今回の犯罪被害者等支援条例の改正と支援メニューの拡充については一昨年の川崎議員の代表質疑も契機となって、見直しの検討が具体化できました。このことに対しては感謝を申し上げます。
この度の条例改正により、性犯罪被害見舞金の創設など支援を拡充します。
また関係機関や関係部局が連携したワンストップによる支援をはじめ、被害者等の希望に応じて自宅での相談を受けるアウトリーチ活動など、相談体制の充実も図ってまいります。
なお、損害賠償金の建て替え払い党については、警察庁の第5次犯罪被害者等基本計画案において、課題とされており、今後も検討が続けられることからその動向を注意していきます。
まだまだ支援として足りない部分もあるかもしれません。今後も犯罪被害者等を取り巻く状況などを踏まえ、期間にとらわれずに条例改正を行うとともに、本市単独では支援が困難な事例に関しては、全国市長会等の要望活動を通じて、国や警察庁に働きかけてまいります。以上
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17. 生活保護行政について
「生活保護は憲法25条が保障する生存権に基づく権利である」――この理念が、司法の場でも明確に裏付けられました。2025年6月27日、最高裁判所第三小法廷は、2013年から行われた史上最大の生活保護基準引き下げを「違法」と断じ、処分を取り消す画期的な判決を言い渡しました。これまで下級審で「行政の広範な裁量」を盾に退けられてきた「いのちのとりで裁判」において、最高裁が「デフレ調整」などの恣意的な計算を、専門的知見を欠いた裁量権の逸脱であると断罪した意義は極めて重いものであります。
しかし、この歴史的な判決に対する国(厚生労働省)の対応は、あまりに不誠実であり、司法を軽視するものです。厚労省は2026年1月、違法とされたデフレ調整に代わり、別の計算方法を用いた新たな基準を提示しましたが、その実態は「再減額(引き下げのやり直し)」に他なりません。司法が示した「健康で文化的な最低限度の生活を保障せよ」という命令に対し、単に計算の帳尻を合わせて基準を低いままに固定しようとする姿勢は、法治国家の破壊であり、三権分立を揺るがす暴挙です。さらに、原告とそれ以外の受給者で補償内容に差を設けるなど、「無差別平等の原則」を自ら投げ捨てるような冷淡な対応が続いています。
尼崎市の現状を直視すれば、本市の生活保護率は約4.0%(被保護者数約1万7,000人)と推移しており、これは全国平均の約1.6%を大きく上回り、兵庫県内でも極めて高い水準にあります。物価高騰が直撃する中、生活保護基準の引き下げは、受給者から食費や光熱費、さらには葬儀などに参列したくても経済的な事情で行くことができない等、社会との繋がりさえも奪ってきました。
本市は、国の不当な「再減額」方針に抗議し、2013年以前の基準への即時回復と全面的な損害賠償を国に強く働きかけるべきです。同時に、自治体として生活保護申請を権利として尊重する体制を構築しなければなりません。ケースワーカーの増員(標準世帯数の順守)や専門性の向上、そして何より、困窮した市民が尊厳を傷つけられることなく相談できる、窓口運営がより求められています。
Q21:「いのちのとりで裁判」の判決を真摯に受け止め、「生活保護基準の引き下げ中止と即時回復」を国へ強く要望すべきではないでしょうか。また、市独自の改善策として、「申請プロセスの簡素化やケースワーカーの増員」など、受給者の尊厳を守るための具体的な体制強化を図る考えはありませんか。
答弁要旨
全国一律の制度である生活保護制度の基準設定は国の専決事項であり、市は、法定受託事務として、国の定めた基準に基づき、適正に事務を執行する立場にあります。
そのため、今回の最高裁判決への対応につきましても、国が司法の判断を重く受け止め、自らの責任において適切に判断すべきものであり、本市から個別に要望を行う考えはありません。
一方、生活保護受給者の各種申告手続きのオンライン化の検討や、令和8年度に予定しているケースワーカー業務への預貯金等のオンライン紹介ツールの導入等、生活保護業務のDX化を推進し、生活保護制度の手続きの簡素化やケースワーカー業務の負担軽減を進めてまいります。以上
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18. ジェンダー平等と女性の経済的自立
ジェンダー平等の実現は、単なる意識変革の問題ではなく、構造化された「経済的不平等」を解消するための政治の責務です。尼崎市においても、女性が経済的に自立し、自らの人生を主体的に選択できる環境が整っているとは言い難い現実があります。
まず、市民生活の実態を直視すべきです。本市のひとり親世帯(その多くが母子世帯)の平均年間就労収入は約133万円という極めて低い水準にあります。これは、全世帯平均の半分にも満たず、現在の物価高騰下では、日々の食費や光熱費を賄うだけで精一杯の状態です。女性の多くが家事や育児、介護といったケア労働の重い負担を担わされた結果、正規雇用への道が閉ざされ、不安定で低賃金な非正規雇用に従事せざるを得ない「貧困の構造化」が起きています。
さらに、市民の模範となるべき尼崎市役所自体の雇用実態はどうでしょうか。本市の全職員のうち、非正規職員である「会計年度任用職員」が占める割合は約40%に達しています。そして、その会計年度任用職員の圧倒的多数(約8割から9割)が女性であるという厳然たる事実があります。窓口業務や福祉・教育の現場を支えているのは、これら多くの女性職員です。しかし、彼女たちの処遇は、勤続年数を重ねても給与が上がりにくい仕組みとなっており、年収200万円に満たない「官製ワーキングプア」の状態に置かれているケースも少なくありません。
市が「女性活躍」や「ジェンダー平等」を掲げながら、その足元で女性の労働を低賃金・不安定雇用として利用し続けているのであれば、それは公共による「ジェンダー不平等の再生産」に他なりません。民間企業に対して賃金格差の是正を求めるのであれば、まず市が最大の雇用主として、非正規職員の処遇を劇的に改善し、生活できる賃金を保障する姿勢を示すべきです。
Q22:行政自らが雇用主として、働く女性の経済的自立を支える姿勢を明確に示すことで、地域全体の労働条件改善を牽引するといった観点からお伺いします。市内の男女間賃金格差の解消に向け、まずは市が率先して、「非正規職員(会計年度任用職員)の賃金底上げと正規化」に向けた具体的なロードマップを示すべきだと考えますが、いかがですか。
答弁要旨
本市では、業務の性質や難易度、権限行使の有無など、業務に応じた適切な担い手として、正規職員だけでなく会計年度任用職員の任用や賃金につきましては、男女の格差等はございません。また、処遇面につきましては、人事院勧告を踏まえた近年の大幅な報酬改定や、令和6年度から勤勉手当が新たに支給されるなど、常勤職員に準じた報酬体系となるよう、一定の改善を図っているところです。
今後も引き続き、国や他都市の動向を踏まえながら、会計年度任用職員の処遇改善に留意してまいります。また、男女間賃金格差解消だけを理由とした正規職員化といった考えはありませんが、業務の恒常性や専門性などを踏まえつつ、引き続き、適切な任用携帯や執行体制の構築に努めてまいります。以上