2023.9月議会 川﨑としみの一般質問と当局答弁要旨【自治体DXデジタル化・少子化時代の保育所の在り方】

 

日本共産党議員団の川﨑敏美です。

今回の一般質問のテーマは自治体のデジタル化と少子化時代における保育所等のあり方についてです。

 はじめに自治体のD Xデジタル化についてです。

岸田首相は今年の通常国会の施政方針演説でデジタル社会への移行が当面の最大の政治課題の一つであるとして、「地方創生に向けたすべての基礎となる取り組みが、デジタルの力で地域の社会課題を解決し『全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会』を実現するのがデジタル田園都市国家構想だと述べています。デジタル社会の推進によって、本当に全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会がやってくるのでしょうか?

 国は2年後の2025年度中に、全国一斉に自治体のDXデジタル化を開始しようとしています。

 

Q1 このデジタル化を推進することによって、どのようなメリットが生まれるのでしょうか?また進捗状況は全体を100として考えた場合、現時点でどの程度まで到達しているのでしょうか?

答弁要旨

国は、自治体のデジタル化、いわゆる「自治体DX」を進めることの意義として、「住民の利便性の向上」や「業務の効率化により、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げること」などを挙げております。

議員お尋ねのデジタル化の進捗状況を現時点で数値化して具体的に申し上げることは困難ですが、市民の皆さまの利便性、満足度向上を常に念頭に置きながら、取り組みを進めてまいります。以上

 

 次に少子化時代における保育所のありかたについてです。 国立社会保障人口問題研究所のデータによれば、2008年が日本の人口のピークとされ、現在約1億2千万人が約90年後の2110年には 4000万人 まで減少するとされています。この数字は明治の頃の人口と変わらないということです。近年の子ども1歳から4歳までの人口は 2000年から2020年を比べてみると、この20年間で591万人から468万人へと123万人も減少、21.2%の減少率です。

  「地方創生」の目標として合計特殊出生率は2020年が1.6 、2030年が1.8 、2040年が2.07を掲げています。しかし、実際には2020年で1.26となり、この統計を取り始めて最低の値となっており出生率は上がろうとしていません。目標の78.8%の達成率でしかありません。

子どもの出生数は2020年が77万人であったのが 2023年には73万人となっています。

保育所等利用者は2021年 2,742,071人から2022年には2,729,899人となり、一年前と比べて12,172人の減少、減少率は0.4%となっています。保育所等利用者が減少したのは2022年が初めてのことです。

日本は少子化が先進国1位のスピードで進んでいます。しかし、女性の就業率上昇がそれ以上の速さで進んだため、保育所利用者は増え続けました。少子化に歯止めがかからなければ、いずれ保育所の利用者も減少に向かいますが、それはまだ10年以上先のことだと思われていました。ところが2020年に新型コロナ感染症が生じ、少子化のスピードが想定以上に早まりそうです。その結果、全国的には2025年までに保育所利用者が減少すると予想され、保育所利用者は増え続けると言う大前提の転換が生じそうです。所謂2025年問題です。

 少子化時代における今後の保育所のあり方が問われています。

 

Q2 近年の推移を見ると、尼崎での合計特殊出生率、出生数は減少、保育所等利用者数については、緩やかな増加傾向を示しています。今後尼崎において保育所利用者が減少すると予想される年度はいつ頃と予測されていますか?

 

答弁要旨

直近3力年の4月時点の保育施設等の利用者数は、令和3年度8,475人、令和4年度8,716人、令和5年度8,969人と増加が続いています。

今後については、第2期子ども・子育て支援事業計画策定の際に実施した保護者へのニーズ調査の結果から算定した潜在的保育ニーズが54.4%であることを踏まえ、人口減を想定した推計においても、令和10年頃までは保育ニーズの増加が続き、1万人を超えるものと見込むとともに、利用定員に関しては令和10年時点では充足されていないものと考えております。

また、国においてば全ての子育て家庭を対象とした「こども誰でも通園制度」の創設など、今後も保育制度の見直しが考えられることから、保育所等の利用者数は令和10年以降も、当面の間、伸び続けるものと見込まれます。

市としましては、より精緻に中長期的な将来推計を行ってまいりますが、現時点では、いつから利用者数が減少に転じるか予測することは困難であります。以上

 

第2登壇 

答弁ありがとうございました。

【自治体のデジタル化】

第1問でデジタル化の進捗状況は○○ということでした。

Q3 自治体のデジタル化を実施するにあたって、どのような体制、スケジュールで臨むのですか?デジタル政策監はどのような役割を果たしていくのでしょうか?民間事業者ベンダーとの関係性はどのようなものになるのでしょうか?

答弁要旨

本市のデジタル化につきましては、市長をトップとし、私が議長を務めるDX推進会議を設置し、DXに係る方針を策定するとともに、DXについての全庁的なマネジメントを図っていく予定であり、その実行部隊として総務局(デジタル推進課)を中心とする体制で進めてまいります。

デジタル政策監はDXに係る方針(案)の策定及びその評価、全庁のデジタル化に係る助言などを担っていただく予定でございます。

なお、デジタル化を進めるにあたってのベンダーとの関係性につきましては、システムの導入や運用に加え、市民の皆さまの利便性、満足度向上を図るため、最新の情報や技術などの動向を得ることができるパートナーとして、互いに協力する関係であると考えております。以上

 

国が推し進めようとしている「行政のデジタル化」で危惧されるのは、行政内容の吟味を無視して、行政のやり方(形態)だけを拙速に変えようとしていることだと思います。

デジタル社会の基礎となるデジタル技術には、利便性とともに大変危険な特徴があります。

デジタル技術の危険性として、個人的危険性と社会的危険性があります。個人的危険性として、デジタル機器にあまりに依存しすぎると、長い期間にはさまざまな影響が現れて大変心配です。例えば教科書が読めない中学生とか、簡単な暗算ができない大学生など、すでに色々な問題が起きています。

 社会的危険性として、個人情報を含む様々なデータが企業や国に集中・集積されて、人々が知らない間に監視され、治安体制の強化に利用されるようになると、行き着く先はデジタル監視国家になってしまうという問題です。元々デジタル技術にはその技術的な特質から様々な危険性を持っています。

資料1参照 

労働者教育協会理事 友寄秀隆 研究者がデジタルの社会的危険性について考察。6つの問題を指摘しています。

 

 第1に、情報処理の「不可視性」、第2に情報処理の「集中・集積、流通、検索の容易さ」、第3に情報の「模倣のたやすさ」、第4にデジタル情報の「匿名性」を利用した「新たな犯罪」、第5にデジタル機器の「故障」、第6に戦争兵器への利用などです。

 デジタル社会を推進するのに際して、デジタル技術の利用を間違うことの危険性、デジタル技術の悪用による危険性の問題を深く検討しなければならないと思います。

 

Q4 市はこのような社会的な危険性に対して、どのような対策を講じようとしていますか?

 

答弁要旨

自治体がDXを進める大前提として、取り扱う個人情報に対するセキュリティの確実な担保が必要であると考えております。

そのためには、技術的な対策はもとより、情報を取り扱う職員に対する情報セキュリティ対策を確実かつ継続的に実施し続けることが何よりも重要であり、各種監査や研修等をはじめとする全職員の情報セキュリティに対するリテラシーの向上に向けた取組を、より一層強化する必要があると認識しております。

加えて、AI等の新たな技術の活用に関するりテラシーの向上も進めていくことにより、議員ご指摘のような社会的危険性に対する的確な判断や行動へつながるものと考えております。以上

 

 新しい技術の発展にはそれに対応する厳格な社会的ルールが必要です。例えば鉄道、船舶、自動車、航空機の普及には交通法規が必要なように、デジタル社会の安全性を保つためには、個人情報の保護はデジタル社会の大前提とならなければなりません。

 政府の重点計画でも、個人情報及びマイナンバー制度における安心・安全の確保として、行政機関等の検査をはじめ、効果的かつ効率的な監視監督に向けた取り組みの強化を図る等、個人情報及び特定個人情報の取扱いについて、国民の安心・安全が確保されるよう各種取り組みを拡充するとあります。

デジタル化の推進と個人情報保護の強化は一体ですすめられるべきです。“本人同意なしに個人情報を提供する”など個人情報の「利活用」をはかる国の改悪の押しつけに反対し、自治体の個人情報保護制度を守り、発展させることが必要です。

 

Q5 本市では厳格な社会的ルールとして、個人情報の保護をどのように進めようとしているのでしょうか?

答弁要旨

個人情報保護法が改正され、令和5年度から、個人情報保護制度については、すべての地方公共団体において共通の制度となったところです。改正後の同法では、個人情報保護とデータの流通の両立の考えのもとに、個人情報の漏えい等を防止するための安全管理措置を規定し、各地方公共団体の制度運用について、国の個人情報保護委員会が監督・監視を行う制度となっております。本市におきましても、こうした制度の中で、安全管理措置をはじめとした個人情報の取扱いについて、法律の規定を厳格に履行することにより、個人情報保護を徹底していくものでございます。以上

 

総務省は数年前から「スマート自治体研究会」を設けて報告書を発表、自治体のデジタル化の究極の目標は「スマート自治体」を実現することだと述べています。「スマート自治体」とは最新のデジタル技術を装備した賢い自治体という意味です。「スマート自治体」を実現するためには「国・地方公共団体の情報システムの共同化・集約」が必要になるとしています。

今の仕事を前提にした改築方式ではなく引越方式が必要、つまりは全く新しいシステムの構築を行い、そのために「ベテラン職員の経験をAIに蓄積・代替」して職員を事務作業から解放するとしています。これはベテラン職員のリストラにつながるのではないでしょうか。自治体業務のデジタル化は、自治体の人減らし「合理化」に拍車をかけ、職員不足をますます深刻にするのではないでしょうか。

 

Q6 このような懸念に対して、本市でも実際に自治体のデジタル化によって職員の削減が行われていくのでしょうか?

答弁要旨

今後の人口減少社会においては、生産年齢人口の減少による労働力不足が見込まれます。そのため、今後、限られた体制において、多様化する市民ニーズに対応し、市民サービスを維持・向上させていくためにも、デジタル技術やAl等の活用を積極的に図り、市民の利便性向上とともに、職員が直接的に取り扱う業務量そのものを減少させていくことが重要と考えております。そういった状況の中、本市におきましては、デジタル化に伴う業務の効率化により生み出される人的資源については、福祉や子育てなど、行政需要の増加が見込まれる分野へ重点的に配分していくことを基本に考えております。以上

 

さらなる職員の削減の方向ではなく、デジタル化から取り残された市民への対応が必要とされている。

 2021年5月に制定されたデジタル改革関連法の中に「地方公共団体情報システム標準化法」という法律がありますが、これが実際に情報システムの標準化を求める法的根拠となっています。

 標準化の対象とされているのは、基幹系20業務 資料2参照 で、これらの業務の情報システムについては、自治体は国が定めた標準化基準に適合するものを採用しなければなりません。具体的には、国が指定する、自治体が共通に利用するガバメントクラウドの上に、各ベンダーが標準仕様に準拠したアプリケーションを構築し、自治体はその中から自らに最適と思われるものを選択する、つまり自治体は情報システムをいわゆるSaaS(Software as a Service)で運用するという制度設計です。

※SaaS(インターネットを通じて、ソフトウエアーを提供する事業者のクラウドサーバーに接続し、サービスを利用するものをいう)

自治体の情報システムの標準化共通化の基本的な問題は、自治体の独自のサービスが標準化によって削られてしまうおそれがあるということです。国は、実際の情報システムのカスタマイズの自由を保障すること、そのための財源措置を保証することが必要です。

 

Q8 国の示す共通部分以外の尼崎の独自政策を反映させていくための項目はどのようなものがあるのか、具体的にお示しください。

Q9 尼崎独自のサービスを反映していくための取り組みはどうなっているのか、市独自の費用負担はどの程度になるのか、試算されていますか?

答弁要旨

システム標準化は、自治体独自のシステム運用による人的・金銭的負担の拡大や、市民サービスを向上させる取組を情報システムの差異によって迅速に普及できないなどの課題を解決することを目的としており、国においては、標準準拠システムのノンカスタマイズを原則としているところでございます。

そういった状況を踏まえる中で、本市においても、独自施策について、新たなシステムを構築(アドオン)することは原則不可とした上で、これまでシステムで対応していた事務については、改めてその事務の必要性を検討するとともに、事務手順の見直しやシステム以外のICTツールの活用によって対応していくことを基本と考えております。

仮に独自政策部分をシステム構築(アドオン)する場合は本市がその部分に係る全額を費用負担することになります。以上

 

行政手続きのオンライン化・情報システムの標準化・共通化の究極的なねらいはデータ連携基盤の構築です。データ連携のあり方や全体像がわかるように、データ連携基盤の透明性を確保するとともに、住民のパーソナルデータについて、本人の同意なしに個人情報が他者に利用されることを拒否できるといった、「自己情報コントロール権」を確保する仕組みを設けることが必要ではないでしょうか。

 先般、本市でも個人情報保護法の条例改訂がなされましたが、市民のプライバシーの尊重、本人の自己情報コントロール権を確保する仕組みづくりについてはまったく疎かにされています。

 

Q10 デジタル化の推進のための社会的ルールを作っていくためにも、市民に対する説明とともに、理解を求めることが必要だと思いますが、どのような取り組みを考えていますか?

答弁要旨

自治体情報システム標準化については、法で定められたものであり、国からの指示やルールにより、本市も含め、すべての自治体が住民サービスに影響を与えることなく、円滑に移行するよう、現在その準備を進めているところでございます。以上

 

国は拙速に、半ば強引にデジタル化を推進しようとしています。しかしマイナ保険証に見られるように、マイナンバーカード制度の根幹が揺らいでいます。このままデジタル化を強行すれば、直接市民と向き合う自治体が混乱、市民の人権が守れないといったことも出てくるのではないでしょうか。

 

Q11 自治体のデジタル化・D Xについて、本市も全国市長会などを通じて、国に要望もされることだと思いますが、今後どのようなことを国に要請することを考えていますか?

答弁要旨

システム標準化やDXにつきましては、その費用負担等を含め、既に全国市長会、中核市市長会ともに本年6月に国へ提言を行っております。また、先月17日に開催された中核市市長会においても総務大臣に要望するとともに、松本市長と杉原デジタル政策監がデジタル庁副大臣と面会し、自治体情報システム標準化に関して、移行経費だけでなく、標準化に伴って発生する関連システム改修費の全額国費負担とすることや事業者による経費の高止まりが発生している可能性があるため指導等を行ってほしい旨の申し入れを行ったところでございます。今後新たな課題が生じた場合も、こうした様々な機会を通じて、国に要望をしてまいりたいと考えております。以上

 

 【意見・要望】

国に対してデジタル化の延期とともに、市の独自システムの構築のための助成制度を行うことを求めるべきだと思います。また市民に対しては、自治体のデジタル化にともなって、個人情報はどう守られ、市民生活がどのように変わるのか、市役所での手続きがどう変化するのか、知らせることが必要です。単にお知らせにとどまるのではなく、市民からの意見聴取を積極的に求め、今後のデジタル化への対応を市民と共有すべきだと考えます。

 

【保育所における2025年問題、少子化時代における保育所のあり方について】

 

 少子化の下で、今後保育所が直面する問題を整理してみると3つのことがあげられます。

  • 保育所利用者の減少、②保育所等の定員充足率が大幅に低下すること、③待機児童の解消が数字上は進むこと等です。そしてその結果として保育所が定員割れに直面するということになってしまいます。

尼崎ではどうなるのでしょうか。待機児童対策のために、民間の保育所の誘致に取り組んでいますが、コロナ禍以前に策定した保育計画の見直しが求められます。

 

 保育所等の定員の充足率も、全国平均は近年低下してきています。2012年97.2%、2020年には92.2%まで低下しています。

 

Q12 尼崎市の保育所の定員の充足率はどのように推移していますか?

答弁要旨

令和5年4月時点の保育施設における定員充足率は、99.3%でございます。本市の定員充足率の推移としましては、5年前の平成30年4月時点は101.8%、一昨年の令和3年4月時点は100.6%、前年の令和4年4月時点は99.2%と、従前から100%前後で推移しております。なお、直近の令和5年9月時点の定員充足率は、103.8%でございます。以上

 

 これまで待機児童対策のために、民間保育所の誘致を進めてきましたが、今年に入ってから法人保育園会の申し入れにもあるように、これ以上の保育園の新規の誘致は行うべきでないという声も上がってきています。

 

Q13 私立保育園の誘致の現在の進捗状況と、これらの計画の見直しについて検討されているのでしょうか

答弁要旨

本市では、これまで待機児童対策として、保育の量確保事業を実施しており、その中で、新設の民間保育所の公募・設置を進めてまいりました。具体的には、令和元年度以降、保育ニーズが高い地域に新設保育所を9箇所開設し、720人の定員を確保しました。また、令和6年4月までに3箇所開設する予定であり、270人の定員を確保しております。加えて、今年度においては、新設保育所4箇所の公募・選定を行い、令和7年4月までに360人の定員を確保するよう取組みを進めています。令和元年度から令和7年4月までを通算しますと、合計16箇所の新設保育所を設置し、定員1,350人を確保しているものでございます。近年の少子化による就学前児童数の減少傾向を踏まえると、いずれは保育ニーズも頭打ちとなることが想定されますので、今後の保育ニーズの動向を的確に見極めながら、既存施設の活用に軸足を置いた待機児童対策を進めてまいります。以上

 

国が推し進める保育政策の元では、行政がとるべき道は、一つは公立施設の統廃合を進め、公立施設の定員を減らすこと。そして公立施設の役割を福祉的役割に矮小化する。もう一つは、通常保育は民間中心にし、市町村の関与を減らすことです。

しかし、こうした方向ではより良い保育をつくっていくことになり得ません。むしろ保育所利用者の減少を利用して、保育基準の改善を進めることが必要ではないでしょうか。

 

資料3 

 

日本における5歳児一人当たりの床面積は1.98平方メートルに対して、アメリカ3.25(スエーデン7.5)、保育士一人当たりの5歳児の人数は、日本は30人、アメリカ9人(スエーデン6人)。日本の基準の多くは戦後すぐに決められたままで、他の国に比べて極めて劣悪です。保育利用者が減少する割合に応じて、基準を引き上げる、利用者が30%減れば30:1の配置基準を20:1に改善するということです。同様に面積基準もそのように変えれば、子ども一人当たりの1.98平方メートルを2.6平方メートルにすることができます。保育所の定員数についても同様に措置すれば、100人定員が70人になり、運営費が変化しなければ経営面での問題は生じないのではないでしょうか。

 

Q14 少子化時代における今後の保育のあり方として、保育利用者の減少➡最低基準の改善➡保育環境の改善+運営費の維持といった方向性をめざすべきだと考えます。市の見解は?

答弁要旨

急速な少子化・人口減少に歯止めをかける必要があるとして、少子化対策を推進する「こども未来戦略方針」が令和5年6月に国から示されました。その中で、幼児教育・保育について、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移すこととし、1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は30対1から25対1へと職員配置基準を改善するとともに、民間給与動向等を踏まえた保育士等の更なる処遇改善を検討することと明記されております。また、これらの検討内容については、令和6年度のこども家庭庁の予算概算要求において、事項要求として列挙されております。

従いまして、保育環境や教育・保育施設の運営費についても、保育の質の向上に向けた改善が図られるものと考えておりますことから、今後も国の動向を注視して参りたいと考えております。以上

 

少子化時代における保育所のあり方を考えるうえで、重要な問題が残されています。コロナ禍を体験して、ポストコロナの新しい社会、保育所はどうあるべきかという課題です。

 新型コロナ禍は社会に対して様々な仕組み、生活の見直しを提起しています。新型コロナ感染症 が広がる中で、保育所は地域のエッセンシャルワーカーの就労を保証する施設として注目されました。子育て中の医師・看護師が働くためには、子どもを保育所に預けなければなりません。保育所は地域医療を維持するために欠くことができない存在です。これは公立私立に関係なく保育所が果たすべき役割です。一方保育所内で陽性者が発生した場合保育所は休園となり、地域医療を崩壊させないためには、地域で一定数の子どもを保育できる体制を築かなければなりません。感染症や自然災害の中で、公立保育所は子どもの受け入れ、保育士の派遣などを通じて地域レベルで保育を保障するセイフティネットの役割を果たすことができるのではないでしょうか。

 

Q15 コロナ禍以前に策定された公立保育所の民間移管計画等はいったん凍結して、災害時や感染症対策の際に、全市的に、公立保育所が地域レベルで保育を保障するセイフティネットの役割を果たすことができる体制を新たに構築するべきだと考えますが、市の見解は?

答弁要旨

平成10年度以降取り組んでいる公立保育所の民間移管事業のうち、平成21年度以降の民間移管については、平成19年9月に定めた『公立保育所の今後の基本的方向』を基に実施しております。

この基本的方向に従い、平成31年度から令和6年度までを計画期間とする第4次民間移管計画を策定し、現行計画の最後に当たる南武庫之荘保育所については、現在、令和6年4月1日からの民間移管に向けて準備を進めております。

一方、『公立保育所の今後の基本的方向』を平成19年に策定以降、子ども・子育て支援新制度の開始、幼児教育・保育の無償化や医療的ケァ児への対応など、保育環境を取り巻く社会情勢や、地域における保育二一ズの変化が生じております。

こうした状況を踏まえ、次期民間移管計画については、今日的視点に立った上で、公立保育所の担うべき役割について改めて整理する必要があることから、今年度、庁内の関係部局の職員で構成する「公立保育所のあり方検討会」を設置しました。本検討会のなかで、地域保育のセーフティネットとしての公立保育所の役割についても検討課題として議論を進めているところでございます。以上

 

少子化時代に対応した国の保育所に対する政策的誘導は、自治体の保育に対する公的責任を後退させ、やがては公立保育所のさらなる統廃合を進めていくものとなっています。待機児童対策ができたからそれでいいといったものではありません。

コロナ禍を体験して、医療崩壊を引き起こさないためには、エッセンシャルワーカー、看護師、医師等が安心して仕事ができる体制づくりが求められています。

公立施設が地域における保育の質、量に責任を持つことが求められていると思います。地域の標準的保育を提供し、地域の保育水準を保つ取り組みが必要だと思います。