2023.6月議会 松沢ちづる議員の一般質問と当局答弁要旨

 

 

日本共産党議員団の松澤千鶴です。

私は、18歳までの医療費を所得制限なしで無料にすることについて、自衛隊に18歳と22歳の個人情報を市が提供していることについて、家族介護用品支給事業について質していきます。よろしくお願いします。

まず、18歳までの医療費無料化についてお聞きします。

これは市長の選挙公約でもあり、3月の代表質疑ではほとんどの会派から質疑のテーマとしてあがっていました。日本共産党は、子育て支援策として本来国の責任でしっかりと実施していくべきだと考えていますが、国待ちではなく、市民の運動によってどんどん各地で無料化が進んでいることを積極的に応援するものです。尼崎でも、粘り強い市民運動が少しつつ無料化の範囲を拡充してきています。

 

さて、無料化の広がりにブレーキをかける動きも一部にあります。

私は、2つを指摘しておきます。一つは、「安易な受診が増える」というものです。しかし、これは各地での実績が「そんなことはない」ということを証明しています。資料①をご覧ください。

 

兵庫県保険医協会が行った調査結果です。医療費無料化の運動の広がりと夜間・休日応急診療所の受診者数の増減を表しています。安易な受診が増えるのであれば、受診者数は右肩上がりに増えるはずですが、横ばいです。「安易な受診」は実際ないことが証明されています。

 

もう一つは、蒼風会が今年3月予算委員会の総括質疑で示された「不適切な抗生物質の利用が大幅に増加する」というものです。これは、今年2月19日付け日経新聞に掲載された東京大学教授らの調査結果に基づくものでした。

調査では、受診に1回200円の負担を課すと、無料の場合と比べ不適切な抗生物質の使用が20%減ったといいます。これを受けて、政府は、不適切な医療が増えることで医療費全体が膨らんでいくことは問題だ。自己負担は一定必要だと言わんばかりです。一方、200円の負担で「価値の高い医療」は10%受診が抑えられたことも報告されていますが、ここに政府は関心を示そうとしません。小児にとってのいわゆる価値の高い医療とは、以前は予防接種が例に挙げられていました。しかし今ではほとんどが無料になっているので、現在では、肥満、 ADHD (注意欠陥・多動性障害)、小児・思春期うつ病の診療などの予防医療のことをさしています。

不適切な診療を減らすために必要なことは、医療機関への指導や啓発であり、そのために市民に一定の負担を課すというのは問題のすり替えだと思います。

そこで当局に伺います。

 

 

Ql 不適切な診療を減らすことを理由に、自己負担を課して、結果、受診を抑えるのは本末転倒だと思いますが、いかがですか。

 

福祉医療制度とは、対象となる高齢者や障害者、母子家庭、子どもを育てる方たちが安心して医療を受信していただけるよう、その医療費を助成し、保健の向上に寄与するとともに、福祉の増進を図ることを目的としています。

 その助成にあたり、財源にも限りがある中で受益者の方には応能的にご負担いただくため、所得に応じた一部自己負担を設定しており、議員ご指摘の受診を抑制する意図はございません。以上

 

 

次に、自衛隊に18歳・22歳の個人情報を提供することについてです。

自衛官募集事務については、自衛隊法第97条で市町村の法定受託事務となっています。そのため、尼崎市ではおよそ19年前から住民基本情報を「閲覧」方法で提供してきました。ところが、2019年からは電子データで提供をしています。

 

Q2「閲覧」から電子データ提供に方法を変更した理由は何ですか。何が契機となったのですか。

 

 自衛官募集事務は、議員ご指摘のとおり法廷受託事務として行っており、当初は住民基本台帳の閲覧により情報提供を行っておりました。

 そうした中、平成31年4月に国から自衛官の募集環境が厳しい中、幅広く広報資料の送付などを行うため、紙媒体、電子媒体で情報を提供してほしいとの依頼があり、兵庫地方協力本部と調整した結果、令和元年6月に同本部と覚書を締結したうえで電子データの提供を行うこととしたものでございます。以上

 

 

次は、家族介護用品支給事業についてです。

尼崎市は家族介護用品の支給事業を行っています。住民税非課税世帯と生活保護利用世帯の内、要介護4あるいは5、なおかつ常時紙おむっなどを利用している方を介護している家族が対象です。今年度予算は15,378千円、利用登録者は219人、1人当たり年間7.5万円の現物支給とお聞きしています。利用さ

れている何人かの方から、実情に合わず使いにくいとの声が届いているので、ご要望に沿って伺います。

 

Q3 この事業の目的は何ですか。

 

 家族介護用品支給事業につきましては、在宅要介護高齢者の家族介護者に対し、家族介護用品として紙おむつ等を支給することにより、当該介護者と在宅要介護高齢者の精神的負担や経済的負担を軽減し、在宅要介護高齢者の福祉の向上に寄与することを目的としております。以上

 

 

これで第1回目の質問を終ります。2回目からは1問1答形式で伺います。

 

 

(1問目の答弁をうけて・…)

東京都立大学教授らが、子どもの医療費助成制度の受診抑制に対する影響について、2021年調査結果を発表されています。ひとり親世帯と生活保護利用世帯に対する医療費助成制度の影響を除くため、2人親で非保護世帯に限って行われた調査です。中学2年生については、3割負担や償還払いの自治体に住ん

でいる場合、自己負担が0円の自治体に住んでいる場合に比べ、約2倍の確率で受診抑制が起こっていることがわかりました。小学5年生では、経済的に厳しい層のみに関連が見られたとのことです。

子どもの医療費無料化は、どの子も分け隔てなく健やかに育つ権利を保障する優れた施策です。松本市政の下で、18歳までの医療費無料化が1日でも早く実現することを多くの市民が切望しています。

市長は市長選挙の選挙公約だった18歳までの子どもの医療費無料化について、2月・3月議会の各会派の質問に対し、任期4年の間に少しでも前進させたいと述べられました。「少しでも前進させたい」という表現に、私はトーンダウンしたと感じています。財政確保という課題がありますが、改めて市長の決意をお聞かせください。

 

Q4 市長は、18歳まで医療費無料化をどのように実現されるおつもりですか。

 

子どもの医療費助成については、令和4年度に引き続き、今年度も就学前の完全無償化を行うなど、拡充を進めてきております。

 一方で、子育て支援策の充実に向けた方策は、医療費助成のほかに、その他検討すべき子育て支援策も数多く存在していることから、現在、本市が持っている強みや弱みなども踏まえ、様々な観点から検討を進めているところです。

 医療費助成を含め、市民ニーズに沿ったより効果的な支援策について、子育て支援施策全体をみる中で、財源や優先順位も考慮しながら取りまとめてまいりたいと考えております。以上

 

 

次に、自衛隊への個人情報の提供について伺っていきます。

(第1問の答弁を受けて…)

 

 

そもそも、本市が個人情報を提供する根拠としている自衛隊法第97条第1項の規定ですが、この法律を作った人たちの考え方を確認できる唯一の文献である1974年自由国民社発行の「防衛法」という本には、次のように記述されています。「(自衛隊)募集事務がスムーズに遂行されるよう、防衛大臣は都道府県知事及び市町村長に対して、募集に対する一般の反応、応募者数の大体の見通し、応募年齢層の概数等に関する報告および県勢統計等の資料の提供を求め、地方の実情に即して募集が円滑に行われているかどうかを判断」するためのものだということです。

ある憲法学者は「自衛隊法施行令第120条は、募集事務がスムーズに遂行されるための規定であって、個人情報保護というプライバシーに関する権利の観点はない。したがって、これらの条文を根拠に、自衛隊が個人情報である個々の具体的な適齢者情報の提供を求めることも、市町村が閲覧を超えて積極的に提供することも憲法違反だ」と述べておられます。

 

 

Q5 今、本市が電子データで情報提供しているという事実は、個人のプライバシー権保障より自衛隊法を優先していると捉えていいですか。

 

 自衛官募集に係る事務につきましては、自衛隊法第97条に基づく法定受託事務として行っており、電子データの提供についても、法令、国からの通知に基づき実施しているものでございます。以上

 

 

名簿提供という個別具体的なプライバシー侵害にあたりかねない問題だと思います。

次に、本市は電子データを自衛隊に提供するにあたって、防衛相自衛隊兵庫地方協力本部と覚書を取り交わしています。これについてお聞きします。

 

Q6 自衛隊に提供した18歳と22歳の個入情報の電子データは、目的外利用等の禁止や利用後の廃棄措置等を詳細に定めた覚書を交わし、個人情報の保護を図っているとのことですが、覚書通りに自衛隊側が対応しているかどうかの確認は取れていますか。

 

 兵庫地方協力本部と締結した覚書の中で、利用後の廃棄措置については、情報資産の廃棄又は消去が完了したことを証明する書面を市に提出しなければならないこととしており、提出された書面により対応状況の確認を行っております。

 また、目的外利用については、市の求めに応じ情報資産の管理状況を報告しなければならないこととしております。以上

 

覚書の第10条に「情報資産の廃棄」という条項があります。乙、ここでは自衛隊ですが、乙は保有する必要がなくなったときは、確実かつ速やかに廃棄し、又は消去しなければならない。情報資産に個人情報が含まれる場合は、乙は、その廃棄又は消去が完了したことを証明する書面を甲、ここでは尼崎市ですが、甲に提出しなければならないとされています。

 

Q7 乙が保有する必要がなくなった時とは、どんな時ですか。

 

 提供した電子データは、自衛隊の募集事務に係るダイレクトメールを送付し、問合せなど対応を終えた後は保有する必要がなくなるものでございます。以上

 

第7条取扱い上の義務第2項では、甲の許可なく複写し、又は複製しないこととされています。

 

Q8 尼崎市は複写又は複製の許可をすることがあるのですか。また、複写・複製されていないかのチェックは可能ですか。

 

 提供した電子データは、覚書の中で、本件情報資産の全部または一部を市の許可なく複写し、又は複製しないことを取扱上の義務として定めておりますが、これまで複写や、複製について許可を求められた実績はございません。以上

 

次に、市民への周知についてお聞きします。

本市のHPに、「自衛官等募集事務に係る対象者情報の提供について」がアップされています。昨年から「自衛隊への情報提供を希望されない方の申出について」いわゆる除外申出という手続きですが、これが貼り付けられました。申し出件数は、昨年が0,今年は13件だったとお聞きしています。

 

Q9 このHPはこれまで何回閲覧されていますか。また、除外申出の件数の動向について、どのように捉えておられますか。

 

 ホームページに掲載さいた令和4年度の閲覧数は、月45件程度で推移しておりましたが、令和5年2月には、787件、3月には410件、4月には740件という状況となっております。

 なお、除外の申出につきましても、令和4年度の実績は0件でしたが、今年度(令和5年度)は13件の申出があり、徐々にではありますが、周知が進んでいるものと考えております。以上

 

 

市のHPには、「閲覧に供するという方法に加え、報告又は資料の提出という方法で防衛大臣に提供を行うことができるものです。」と説明されています。

ここを読んで、市民が「閲覧で書き写ししていたのを、電子データで提供することに変更したんだ」と理解できるでしょうか。

 

QIO HPを見た市民に分りやすいように、「電子データをCDで提供する方法で行っています」と記載しないのはなぜですか。

 

 現在のホームページの掲載では、「住民基本情報の提供は、閲覧に供するという方法に加え、報告又は資料の提出という方法で行う」と、経過等を含めて掲載しておりますが、より市民の皆様にご理解いただけるよう、掲載文の改訂を検討してまいります。以上

 

 

市民は、これまで自衛隊に個人情報が提供されていること自体知らされてこなかったのではないでしょうか。私は、自身の市政ニュースで地域のみなさんにお知らせしていますが、初めて知ったという反応ばかりです。市報に掲載されたことも一度もなかったと思います。

 

Q11 これまで市民にどのように周知してきましたか。

 

 自衛官等募集事務に係る対象者情報の提供につきましては、ホームページにおいて掲載しておりますが、データを提供する時期だけ掲載するのではなく、常時掲載することで、より多くの市民に認識していただけるよう、努めているところでございます。以上

 

市民への周知ができていないと言わざるを得ません。この状況で、除外申し出のみ受付けて、申し出がなければすべて自衛隊への個人情報の提供は合意されたとするのは、あまりに乱暴なやり方です。

 

Q12 個人情報保護の観点からまず最初にやるべきことは、対象者に「あなたの個人情報が自衛隊への情報提供の対象になっている」ことを知らせることだと思いますが、いかがですか。

 

 自衛隊員募集は、自衛隊法令に基づき行う法定受託事務であり、対象者全員へ個別にお知らせすることは考えておりませんが、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、データ提供を行う時だけホームページに掲載するのではなく、より多くの市民に知っていただけるよう、継続して掲載することで、情報提供を希望しない方の申出についても併せて認識していただけるよう、周知に努めてまいります。以上

 

 

直近の統計で18歳の人口は3985人、22歳は4697人です。合わせて8682入、すべての対象者にダイレクトメールを届けても、それほどの費用は掛かりません。それよりも、本市が個人情報保護をしっかりとやっていることが市民に分ってもらえることのほうが、ずっと重要だと思います。ぜひ、対象市民に自衛官募集のためにあなたの個人情報の提供が防衛省から求められていることを、知らせるよう強く求めます。

 

 

次に、家族介護用品支給事業について伺います。

 

(第1問の答弁を受けて・…資料②をご覧ください。現在支給されている介護用品の種類一覧です。

このセットから希望を出し、月ごとに1セット市が選定した業者が利用者宅に届けています。

 

Aさんは夫の介護にテープ式と尿取りパットを利用しています。夫がテープを外すことがあるのでその上を紙パンツでカバーしています。こういう使い方なのでテープ式に比べパンツ式は使用数が少なくなります。紙おむつや紙パンツと尿取りパットがセットになっているので、どんどん尿取りパットが余っていきます。余ってきて、「来月は紙おむつだけで尿取りパッドはいらない」と思っても0か1セットの選択しかないので、渋々1セットを頼んでいる状況です。

 

Q13 なぜ融通が利かないのですか。

 

議員からご案内いただきましたとおり、本市では紙おむつの型やサイズ毎、種類毎の枚数等、10通りの介護用品セットを用意し、その中から、利用者の希望する1種類を選択していただいております。

 紙おむつや尿取りパッドの使用頻度につきましては、個人差があることから、原則10通りのセットの中から選んでいただくこととしておりますが、ご家族から相談があれば、年度途中でのセット変更や、紙おむつか尿取りパットのいずれか一方のみの支給の要望におこたえさせていただいております。

 今後はパンフレット等においても、このような柔軟な対応をしている旨を記載し、周知していきます。以上

 

 

Aさんは、日常介護には他にも色々なものが必要、せっかく低所得者支援の施策なのだから、おむつ交換時の使い捨てナイロン手袋や食事用エプロン、おねしょシーツなどもメニューに入れてほしいとおっしゃっています。

Bさんは要介護4の妻を介護しています。妻は肌が敏感で、市が提供する紙おむつではおむつかぶれができてしまうため、この事業の利用は断わり、他メーカーの紙おむつを実費購入しています。生活保護を利用されていて、月に紙おむつだけで1万円ほどかかるのは、とても負担が重いと話されています。

西宮市は月6500円を上限に、宝塚市は月6000円、伊丹市は月6900円が上限です。3市ともに紙おむつや尿取りパットの形式やメーカーは、利用者が選択できます。宝塚市と伊丹市は対象支給用品が紙おむつと尿取りパットに限定ですが、西宮市は使い捨てナイロン手袋も対象です。本市のこの事業は、利用者一人当たり月額にすれば6250円で金額的には他市とあまり変わりませんが、利用者にとってとても使いにくい内容になっていると思います。

 

Q14 なぜ、たった一つのメーカーの製品しか利用できないのでしょうか。

 

 本市では、限られた予算の中で、利用者により多くの枚数を支給できるよう、一般的に多く使用されている紙おむつの型やサイズを基本に指定し、入札による業者選定を行っているところです。以上

 

 

3市ともに、毎月上限を超えればその分は自己負担にしていて、特に問題はないようです。

 

Q15 他市のように、利用者の使い勝手の良いものに事業内容を改めるべきと思いますがいかがですか。

 

 本市では、対象商品を一括購入することで、市販価格よりも安価で購入できており、これにより多くの枚数を支給できるように努めているところですが、今後とも、利用者のお声や他市の取組にも注視し、支給方法の検討を行ってまいります。以上

 

利用者の方々の声を聴き、また他自治体の実情も調査して、早急に改善してください。繰り返しますが、利用者がメーカーの選択ができるように、利用対象品目を増やして利用者が選択できるような改善を強く求め、私の一般質問を終ります。