2025年12月議会 松沢ちづる議員の一般質問と答弁要旨

日本共産党松沢ちづるです。

2つのテーマで一般質問を行います。よろしくお願いいたします。

一つ目のテーマは訪問介護事業所の支援についてです。

私は3月議会の総括質疑でも紹介しましたが、2024年4月から訪問介護の基本報酬が2~3%削減され、全国で訪問介護事業所の倒産・廃業が広がっています。尼崎市でも今年の7月末までに24事業所が倒産・廃業しました
現在、私は独自で訪問介護事業所の実態調査を行っています。調査はまだ途中ですが、聞き取り調査からうかがえることは、①求人広告を出してもほとんどヘルパーさんが集まらない②ケアマネージャーの依頼に対し、求められる時間帯や回数の面で事業所の今の態勢ではムリだと断ることがある③事業所の収支はトントンか赤字④ヘルパーの主力は40~60代、⑤今いるヘルパーさんが辞めないようにと思うが最賃アップに対応して賃金アップはできない経営状況などです。
また、市が行っている唯一の介護事業所支援である初任者・実務者研修の受講費支援は、訪問介護事業所の場合、すでに介護福祉士の資格をもっているヘルパーさんが大半を占めており、ほとんど活用されていませんでした。
つまり、苦境にたつ訪問介護事業所にとって、市からの支援はほぼないに等しいということです。

尼崎市は、第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を作成するために、来年1月介護事業所や市民対象のアンケート調査を実施する計画のようですが、実態がよく反映される内容にすることをまず要望しておきます。

Q1 2024年4月基本報酬が引き下げられ1年9か月が経ちました。訪問介護事業所や市民にどのような影響が出ているととらえていますか?

 

答弁要旨

 本市の訪問系サービス利用者数は増加傾向にありますが、現時点で、市民の方から「サービスを受けられない」といった具体的な相談はお聞きしておらず、各事業者の皆様のご尽力により、必要なサービス提供体制は維持できているものと認識しております。

一方で、事業者の皆様からは「人材確保に苦慮している」との声をうかがっており、現在、国に対して全国市長会を通じ、「報酬改定の影響を十分に検証し、訪問介護サービスの実態に即した抜本的な見直しを行うなど必要な措置」を要望しているところでございます。以上

 

 次に2つ目のテーマ。 就学前の保育・教育現場における障害認定を受けている、あるいは認定は受けていないものの特別な支援が必要な「気になる子」の支援について、お聞きします。

これまで、補助金の面で公立保育所は障害児2人に1人の保育士を加配しているのに対し、法人園では1人入所につき月74,140円 3人の入所ではじめて1人の保育士を雇用できる額であり、共産党議員団は「公私間格差がある、是正を」と指摘してきました。しかし、長らく改善はされないまま経過してきました。

一方、市政の重点政策の一つである保育所待機児解消では、今年度待機児は6人となりましたが、理由はいずれも「障害があること」でした。まさに待機児解消するためには、障がい児保育の体制・環境改善が喫緊の課題としてクローズアップされてきたと思います。

先の9月議会・決算審議資料として出された令和7年度施策評価結果の57ページには、「加配保育士の配置を補助条件とすることも含め、補助金の見直しを検討する」と記載があり、また、10月2日付の法人保育施設長などへの通知では「加配職員を配置する場合の人件費補助の拡充等を検討している」という記載がありました。当局が来年度補助金アップを具体化しようとしていることがうかがわれます。共産党議員団は大いに歓迎するものです。

しかし、あまりに突然「人件費補助の拡充見直しの検討」が示されたと感じる議員は、私だけではないと思います。背景として考えられることのひとつは、昨年1月ある法人保育園に通う障害をもつ子の保護者から「障害や発達の遅れを理由に実年齢よりも低いクラスで保育を受けるように求められた」との相談が子どものための権利擁護委員会に寄せられたことだと思います。6月になって権利擁護委員会が法人園・認定こども園に実態調査を実施、また、聞き取りに協力すると応えた16園にヒヤリングを実施されました。調査の結果、今年に入り、ようやく8月21日「法人保育園および認定こども園における障害のある子どもの受け入れに関する提言書」が公表されました。

おたずねします。

Q2 人件費補助の拡充見直しを検討するに至った背景には、子どものための権利擁護委員会からの提言があったからですか。

 

答弁要旨

「法人保育施設障害児保育事業補助金」等の人件費補助の拡充につきましては、これまでも法人保育園会等からご要望をいただいていたほか、本市としましても、阪神間の各自治体の状況や昨今の人件費の高騰等を踏まえる中で検討を行ってまいりましたが、拡充には多額の一般財源が必要なことから、実施には至らなかったものです。

 こうした中、令和6年11月公表の「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」において、令和8年度以降に向けて、保育所、幼稚園等での特別な支援を必要とする子どもの受入体制の充実を図るといった方針を示したことを契機に、実施に向けた本格的な検討や調整を開始したものであり、議員ご指摘の子どものための権利擁護委員会からの提言を契機として検討を開始したものではございません。以上

 

「提言書」の指摘では一つ「障害のある子どもの受け入れに関して、制度が整っていないことによる、各保育所・園における保育の不均衡が生じていることを認識したうえで、市は手立てを講じる必要がある」こと、二つ「国や市に対して、保育に必要な体制を整えるための環境整備のための支援策の改善、例えば補助金の見直しや施設の改修等の検討が求められる」こと、三つ「市が主導する研修の実施や、専門家による巡回訪問などが定期的に行われたり、関係機関との連携を市としてシステム化するなど積極的に働きかけることにより、障がいのある子どもに対する対応や支援が、園にとってわかりやすいものになり、保護者の思いに寄り添った対応につながると考える」ということが述べられています。

 

Q3 保育の質つまりインクルーシブな就学前の保育・教育と、それを保障する環境・体制づくりの課題が指摘されていると思います。市長は、どのように受け止められましたか。

 

答弁要旨

 尼崎市子どものための権利擁護委員会からの提言書では、議員ご指摘のとおり、インクルーシブ保育を進めるにあたって、必要となる体制や環境整備に係る支援策の改善のほか、市が主導する研修実施や、関係機関との連携を市として積極的に進める必要性などが示されているところです。

 また、当該提言の契機となった法人保育園での事案における保護者の思いをはじめ、アンケート調査等による法人保育施設の現場の声なども記載されており、こうした内容を拝読し、私自身、提言内容を非常に重く受け止めるとともに、特別な支援が必要なこどもの受け入れを公立保育所はもとより、法人保育施設等を含め、市全体で更に進めていく必要性を、改めて認識したところです。こうしたことから、先ほどもご答弁いたしました、特別な支援が必要な子どもの受入において、加配職員を配置する場合の人件費補助の拡充を検討することに加え、現在、障害のある子どもの受入れや保育に関する研修実施のほか、インクルーシブ保育の推進に向けた公立保育所による公開保育の実施など、公立保育所と法人保育施設等が共に学び合える仕組みづくり等についてパッケージ化しながら支援を展開することも検討しており、こうした取り組みを通じて本誌と法人保育施設等の連携・協力を更に強化し、尼崎市全体でインクルーシブ保育を推進してまいりたいと考えております。以上

 

第2登壇

 

尼崎市内には訪問介護事業所が現在280余りあり、1つ2つ事業所が倒産・廃業されても支障はないとお考えかもしれません。とんでもない思い違いです。サービス利用者にとっては、慣れたヘルパーさんがいなくなる、希望するサービスが制限されるといった影響が出てきます。ケアマネージャーのケアプランも、利用者に寄り添うことが制限され窮屈になります、介護が必要になっても、住み慣れたこの地域で、自分らしく暮らしていきたいという願いが叶わなくなってしまいます。

今こそ、訪問介護事業所への直接支援が必要です。

直接支援を行っている新潟県村上市の支援策を紹介します。村上市は人口約5.3万人、高齢化率40%の自治体です。2024年訪問介護の基本報酬が引き下げられたその年から向こう4年間に限って、基本報酬引き下げによる影響額相当分について各事業所へ支援をする支援金事業をはじめておられます。

資料①をご覧ください。従来からあった介護人材確保推進事業を2022年から更に拡充され、介護福祉士などの資格を持つ人が就職すると、20万円の支給です。推進事業給付金を受給した後、最低3年は継続勤務という条件はありますが、ケア労働者の就業を後押ししています。

 

Q4 尼崎市も、村上市のように訪問介護事業所を直接支援し、介護人材確保に向けた積極的な施策を創設すべきだと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

 議員ご紹介の村上市の支援金事業は、介護保険法に基づく保健福祉事業という位置づけであり、事業費が全額第1号被保険者の保険料負担となるため、実施した場合、本市の保険料への影響が懸念され、現時点で同様の事業実施は考えておりません。

 また、介護人材確保に向けた施策につきましては、最大6万円の資格取得費用女性や潜在介護士等への復職支援、就職フェアなどを実施し、事業者の皆様からは一定の評価をいただいております。引き続き、第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けたニーズ調査や介護人材実態調査により、事業者の皆様の必要とする支援ニーズを把握し、次期計画に合わせて新たな支援策を検討してまいります。以上

 

今、国は拡大し続ける介護需要に対し、国の負担増を抑え、専らサービス利用者と事業所に負担を転嫁する方向で介護保険の見直しを進めようとしています。

具体的には、ケアプランの有料化、要介護1・2を介護保険から外して地方自治体が行う総合事業に移す、サービス利用料2割負担の対象を広げるといった内容で、介護3大改悪と言われています。

ケアプラン有料化や利用料負担の2割化は、お金がかかるからと必要な介護サービスをあきらめる人を増やし、要介護1・2の介護保険外しは、経営が厳しい訪問介護事業所などを更に追い詰めます。安心の介護や介護離職の防止に逆行します。

 

Q5 市長に伺います。介護3大改悪をやめるよう、国に求めていただきたいですがいかがですか。

 

答弁要旨 

 現在、国の社会保障審議会において議員ご指摘の内容についても議論がなされており、こうした制度改正は慎重に判断すべきといった意見も出ております。

 また、国に対しては、全国市長会を通じて、都市自治体の財政負担や被保険者の保険料負担が過重とならないよう財政措置の充実等に係る要望を継続して実施しております。

 引き続き、次期計画策定に向けた国の動向に留意しつつ、状況に応じて、各市とも足並みをそろえながら、国への要望を行ってまいります。以上

 

 次に、2つ目のテーマ、障害認定されているあるいは特別な支援が必要な「気になる子」について質問を続けます。

 

尼崎都市・自治体問題研究所が昨年「尼崎市における就学前の障害児・「気になる子」の保育・教育実態調査」をされています。市内すべての就学前保育・教育施設に調査票を届け、回収率は36%だったとのことです。

私は、特にインクルーシブ保育・教育を進めるうえで、この調査結果を参考に質問を進めます。

まず、保育・教育現場で「気になる子が増えている」という点についてです。

資料②をご覧ください。

尼崎都市・自治体問題研究所の調査に回答された結果です。73施設中69施設の合計706人、全体の11.4%が「気になる子」となっています。

「気になるとは、情緒面の問題、人とのかかわり・集団参加の問題、興味・関心、こだわりなどの問題、注意力・集中力の問題、多動などの問題をかかえる子どもを示し、保育・教育現場では特別な対応が必要な子どもです。

2021年度国立特別支援教育総合研究所調査で「特別な支援を要すると保育者がとらえた子どもの割合」は全体で8.2%という数字があり、それと比較すると本市は高い割合になっています。

 

Q6 尼崎市には「気になる子が増えている」という認識はありますか?

 

答弁要旨

 議員ご指摘の保育・教育現場での「気になる子」につきまして、詳細な児童数は把握できておりませんが、障害児保育事業で障害児認定を受けた子どもの人数は、令和2年度の152人に対し、令和6年度には289人まで増加しており、過去5年で約2倍に増加している状況が見られるところです。

また法人保育施設からも、配慮が必要な子どもが年々増加しているとの意見をうかがっており、保育・教育現場の「気になる子」は増えているという認識でございます。以上

 

 次に、障がいのある子どもを受け入れている法人保育園や認定こども園の、補助金支給についてお聞きします。

身体障がい者手帳・療育手帳を所持している、あるいは特別自動扶養手当を受給している場合は、障害児保育の適用認定はおります。

問題は「気になる子」の場合です。専門機関の意見書が必要となります。

 

Q7 専門機関とは、具体的にどこを指しますか。意見書を書いてもらうためには、保護者や保育現場は何をしなければなりませんか。

 

答弁要旨

 議員ご指摘のとおり、障害児保育事業等における障害児認定の際の提出資料の一つとして、専門機関の意見書がございますが、この専門機関については、主に医療機関や児童発達支援センター等を想定しています。

 本市では、障害児判定に必要な発達検査の結果や医師の診断書等を各保育施設から提出していただく必要があるため、保育施設は保護者に対して専門機関からの必要な書類を受け取っていただく依頼を行い、保護者は医療機関等で必要な書類の交付を受け、保育施設に書類を提出することとなります。以上

 

 保護者は保育園などの集団に入って、はじめて他の子どもと比べて我が子の発達上の特性を視ることが多いと聞きます。保育現場では、丁寧に保護者に子どもの状況について話し、専門機関への受診を納得してもらわなければなりませんが、保護者はなかなか我が子の遅れや特別な支援が必要な特性を受け入れがたく、受診行動につながらない場合が多々あります。すすrと、障害児保育の申請は出来ず「気になる子」の発達をしっかりと保障するためには、特別の保育体制を園の自己努力でやるしかありません。

資料③を見てください。横浜市では、手帳での判断ではなく保育所や療育機関が記載する児童状況書に基づいて区福祉保健センター長が判断され、保育士の加配や助成金が支給されています。

 

Q8 尼崎市も、専門医療機関で意見書を書いてもらうことが困難な「気になる子」への支援策を、新たに創るべきではないですか。

 

答弁要旨

 保育施設等での集団行動が苦手な子どもなどの発達特性については、普段家庭で子どもと接している保護者の理解が得られにくい場合もございます。仮に保護者の理解が無い状態で障害児保育事業の対象としたとしても、保育現場以外の日常生活での困りごとや、就学後の集団生活における様々な困りごとに対処できない事態になりかねないため、保護者の理解を得ながら、早期の支援につなげていくことが必要と考えております。

 そしたことから、児童発達支援センター、子どもの育ち支援センター「いくしあ」が実施する施設支援事業等を通じて、保育施設とも連携した取組を進めているところであり、現在のところ、新たな支援策を創設する考えはございません。以上

 

横浜市は政令市なので、教育分野も市の所管となっていることから、障害児等の保育・教育をひとまとめにして2015年に実施要項をつくられています。障害児・個別支援が必要な子いわゆる気になる子、被虐待児、医療的ケアが必要な対象児童すべてに保育教育の向上及び地域療育センター等関係機関での早期の支援につなげることを目的にこの要綱が作られています。

尼崎市の場合はどうでしょうか。法人保育施設・認定こども園など別々に要綱が作られ、法人保育施設の要綱には目的として「障害児の成長発達を促進するとともに、他の児童との相互理解を深め、もって児童福祉の向上を図る」と従来の古い視点が示され、認定こども園・私立幼稚園の要綱にいたっては目的さえ明確に描かれていません。

 

Q9 この機会に、特別な支援を必要とするすべての子どもを網羅したインクルーシブな保育・教育を保障することを明記した補助要綱に作り直すことを求めますが、いかがですか。

 

答弁要旨

 本市の障害児保育に関する各補助要綱につきましては、補助金の申請や至急決定等に係る手続きを定めているものであり、現状は、それぞれの事業ごとに要綱を策定しています。

 一方「横浜市障害児等の保育・教育実施要綱」は、議員ご指摘のあった対象児童の認定に係る手続きから、保育士・教諭等の加配区分の認定やその配置等まで、幅広い事項を定めた特徴的な要綱となっております。

 補助要綱の改正に関しましては、教育委員会とも連携しながら、インクルーシブ教育・保育の視点を踏まえた目的条文となるよう改正を行うほか、今後も、こうした他都市の取り組み事案について引き続き調査・研究を進めてまいります。以上

 

次に、巡回発達相談についてです。インクルーシブな保育・教育を進めるうえで、保育現場にとって頼りになるのが、発達相談支援の専門家による巡回相談です。市の施設支援事業と阪神特別支援学校、たじかの園、民間医療機関などからの援助があります。たじかの園と民間医療機関の情報は入手できていませんが、事前に当局から実績資料をいただき資料④にまとめています。ごらんください。

 

Q10 この現状で、市の施設支援事業は各施設からの相談要請に十分応えられていますか。

 

答弁要旨

 本市で実施しております「施設支援事業」につきましては、発達に不安のあるこどもへの対応方法に悩んでいる保育園や学校等の職員に対し、子どもの育ち支援センター「いくしあ」の心理士や作業療法士等の専門職が施設を訪問し、そのこどもにとってよりよい環境を整えるための助言等の支援を行う事業です。

 令和6年度の実績では、申し込みのあったすべての施設に訪問を実施できており、事後に行う施設へのアンケートでは96,2%で「相談できてよかった」という評価を得ており、相談要請にこたえられているものと考えています。以上

 

保育現場からは、相談したいケースはたくさんあり1施設当たりの回数を増やしてほしい、また、 子どもの発達を経年的にフォローする対応もしてほしいといった声をお聞きします。

 

Q11 現場のねがいに応えて、施設支援事業の頻度や取組内容の改善・発展を求めますが、いかがですか

 

答弁要旨

 施設支援事業の申し込み回数につきましては、原則、1施設毎年度2回までとしておりますが、実績としては約7割の施設が一回の申し込みであり、また2回で足りないという施設があれば、3回目の申し込みについても受け付けるなど柔軟に対応を行っているところでございます。

 訪問実施後については、専門職からのフォローアップとして3か月後に施設に連絡し、困りごとの改善状況を確認するとともに、改善していない場合には再度専門職が施設を訪問し助言等を行っております。

 その後の経年的なフォローアップについても、個々のケースに応じてにはなりますが、実施しているところでありますが、各施設からのご意見を踏まえたうえで、引き続き事業内容の改善に努めてまいります。以上

 

来年度予算の方向として、就学前の保育現場への補助金見直しを行おうとしていることを評価します。そのうえで、根本にすえるべきはインクルーシブな保育・教育を保障する現場の体制・環境づくりを支援することだと思います。「気になる子」への支援の拡充、手続きの簡素化、迅速化を求めて、私の質問を終わります、ありがとうございました。