近年、マンションの投機や水源地の売買などをめぐって、「外国人によって日本の土地が買い占められている」という不安の声を耳にすることが増えました。
とくに中国人の資本による土地取得が話題になることが多く、その不安は「日本が乗っ取られるのではないか」という疑念にまで発展しています。
けれども、そうした不安に冷静に向き合うためには、
「誰が買うか」ではなく、「どう買われているか」「何が問題なのか」という視点が欠かせません。
問題は「外国人」ではなく「行為」そのもの
マンション投機や水源地の売買に問題があるとすれば、それは資本の性質や国籍ではなく、行為の内容です。
「中国人が買うのはダメで、日本人なら良いのか?」
そんな問いかけこそが、本質を突いています。「外国人だから問題だ」とする議論は、真の課題を曇らせ、結果的に実効性ある対策を遠ざけてしまう恐れがあります。
不動産高騰の主因は国内資本
実際のデータを見れば、不動産価格の高騰は中国人など外国人投資家だけではなく、国内資本によってもたらされた側面が大きいことが分かります。
アベノミクス以降、大規模な規制緩和のもと、国内外の資本が不動産投資を加速させました。
総額46兆円にのぼる不動産ファンドの取引のうち、海外投資家によるものは約4分の1。三井不動産の首都圏物件購入者に至っては、外国人投資家はわずか1割。
東京をはじめ全国で進んだ住宅価格の高騰には、むしろ国内投資家の影響が大きく、外国人だけに矛先を向けるのは不公平と言えるでしょう。
必要なのは包括的な規制強化
だからこそ、対策を講じるならば、
国内外問わずすべての投資活動を対象とした制度設計が必要です。そのうえで日本共産党は具体的にはこう考えます。
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容積率規制緩和の見直し
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非居住物件の短期売買への超過課税
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非居住物件そのものの売買禁止 等です
これは、「誰が買ったか」よりも「何のために買ったか」「どのように活用されているか」を重視する姿勢です。
水源地の売買も国内外に共通する懸念
地下水への影響などをめぐっても、問題は外国資本だけに限りません。
地下水の過剰な汲み上げや周辺環境への負荷は、日本人による所有であっても起こり得るものです。
1998年には、国土利用計画法が改正され、都市計画区域外での1ヘクタール以上の土地の売買が事前届け出制から事後届け出制に緩和されました。
その結果、届け出のない売買も増え、実態把握が困難になってきています。
こうした中で、長野県など森林の多い自治体では独自の条例を設け、規制強化を進めています。
「中国人による買収」に限らず、すべての不動産取引に透明性を確保し、公共の利益を守るには、次のような制度改革が求められています:
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1ヘクタール未満も含む事前届出・許可制の導入
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水源地を購入する市町村に対する助成の実施
こうした取り組みによって、外国人資本に対する冷静かつ公平な対応が可能になります。
山林、土地、水源は「公共財」でもあるという見方
土地や住宅は、単なる「資産」ではなく、人々の暮らしと地域の未来に直結する「公共財」でもあります。
誰が所有するかに目を奪われるよりも、どういう価値を共有し、いかに社会の持続性を守るか。その視点が、これからの制度設計に必要不可欠ではないでしょうか。
真に国を愛するならば
安易なデマに踊らされず、また、ヘイトに加担するようなこともせず、
真に国を愛するならば、アベノミクスの規制緩和にはじまった「野放し状態」から真に国土を守るためにやらなければならないことはなんなのか。
その視点を絶対に忘れてはならないと思います。