「こんにちは日本共産党議員団です!」第147号 暮らしやすい尼崎市めざし修正案を提出

日本共産党尼崎市会議員団ニュース第147号(2013年3月31日)

「こんにちは日本共産党議員団です!」第147号(この記事の画像PDF)

市長提出予算案
子育て支援 現役世代の定住といいながら

学校開放事業 子どもの団体も有料化
中学校給食 実施検討すら行わず

日本共産党議員団
暮らしやすい尼崎市めざし修正案を提出

・学校開放事業有料化中止
・中学校弁当事業凍結
・議員報酬の減額
・学力向上策に予算増
・手話通訳者の増員など

 稲村市長は施政方針で「プロジェクトで取り組む10年間は、行財政改革だけではなく、中長期的な視点で、住民福祉の支え手となる現役世代の定住・転入の促進など『都市の体質転換』を目指します。」としています。

 ところが、新年度予算では、「受益と負担の適正化の名」で子どもにまで学校開放の有料化を求め、近隣都市で導入が進められている中学校給食の実施の検討すらしようとしていません。

新年度尼崎市予算に異議あり  4会派から修正案提出

 今回、日本共産党議員団をはじめ、4会派から予算修正案が提出されました。

日本共産党議員団の提案は、
●労働福祉会館と労働センターの廃止に伴う、「しごと支援施設の出屋敷・リベルの移転は中止すること。
●「中学校弁当事業」については、利用率が低迷している現状では新たな中学校へ拡充しないこと。
●議員定数の削減でなく、議員報酬を減額すること。
●学校開放事業の有料化を撤回すること。
●聴覚障害者の願いである手話通訳者1人を増員すること。
●学力向上のための補助指導員などの人的配置の拡充は、各学校からの要求どおリ増員すること。
以上の修正です。

 残念ながら、党議員団の修正案は、予算員会で否決されましたが、各会派が共通して修正を求めた「学校開放事業有料化の中止」「手話通訳者の1名増員」は、1議員以外の賛成で可決されました。

「新総合計画」と「行革プロジェクト」は国の悪政が前提

市財政難の原因は・・

 尼崎市の財政悪化の最大の要因は、「市の財政力を超える規模の駅前再開発事業を行い、買いすぎた土地開発公社の塩漬け土地の買戻しにかかる多額の借金返済にあること」だと市も認めています。

 国の方針に基づく、行財政運営に原因があることを厳しく反省することが必要です。

 多額の借金返済が、現在の市財政を極めて厳しくしておリ、この解消のために、公共施設の再配置で土地を売却し、市民の利便性が大ぎく後退ざせられようとしています。

長引く不況の大きな原因は、
①大企業の儲けとは裏腹に国民の所得が増えないこと、
②非正規労働者の増大で格差が広がったこと、
③社会保障の切リ下げが暮らしを圧迫することとあわせて将来不安を増大させていることです。

 さらに、TPP交渉参加、消費税増税、一層の社会保障切リ下げという国民にとって耐えがたい苦難を持ち込む動きも強まっています。

 今の政治が続くことを前提とした、尼崎市の新しい行革プロジェク卜での財政見通しは、あまり明るいものではありません。

予算の焦点

2013年度予算を審議する予算市議会は3月25日に閉会、学校開放事業の有料化を中止し、手話通訳を充実させる修正案を可決しました。予算審議で論議となった点を紹介します

学校開放有料化はやめよ

尼崎市は,小中学校のグラウンドや体育館の夜間・土曜・日曜などの空き時間を地域のスポーツ団体などに無料で貸し出す「学校開放事業」を1968年から行っています。

 ところが,尼崎市は7月から大人の団体1回1000円、子どもの団体1回500円の有料化を提案、利用団体から8件の有料化中止を求める陳情が提出されました。

日本共産党議員団は、
① 利用者への説明が不十分で利用団体が納得していない。
② 陳情者が「経費がかかるなら、自分たちも協力できることがある」と述べているように利用団体との話し合いが不十分
③ 経費計算に安全管理費用も含まれており料金設定があいまい。
④ 教育委員会の経費削減の努力が足りない--という点を追及しました。
教育委員会は、自らの努力が不十分なまま、全庁的に「受益と負担の適正化」の方針だから「有料化する」と繰り返すだけです。

有料化中止の修正案が1人を除く賛成多数で可決

 議員団は、有料化中止をふくむ修正案を提出、他の3会派からも有料化中止をふくむ修正案がだされ、緑のかけはしの1人を除く賛成多数で修正案は可決されました。

「注文弁当」よりも 「中学校給食」を

 稲村市長は、昨年10月より、3中学校で試行的に「中学校注文弁当事業」を実施、新年度では、8校に広げるための機材購入などの予算か組まれています。

 ところが、実施中の3校での利用率は、10%を目標としたものの、毎月下がりつづけ、1%前後にまで落ち込んでいます。この状況の改善が見られないまま、新たな経費をかけて8校に広げても効果が期待できず、経費がムダになってしまう可能性があります。

 日本共産党議員団は、実施中の3校の実績について、教育委員会がきちんと分析し、改善の結果がでるまで、広げるべきではないと主張しました。

 そして、子どもたちに人気がない「弁当事業」に固執するのでなく、いまや全国8割以上の中学校て実施され、近隣各市でも実施にむけて動き出している「中学校給食」の検討をはじめるよう強く求めました。

 議員団は、「中学校給食のないまち・尼崎」といわれないように.中学校給食実現にむけて頑張ります。

おかしいぞ しごと支援施設の移転

 労働福祉会館の廃止にともない、労働センター内の「しごと支援施設」の移転先として、阪神電鉄所有の出屋敷・リベルの3階空き床が提案されました。

 就職支援・労働相談などに全市から行くには出屋敷は交通が不便です。一方、阪神尼崎駅近くの開明庁舎には空き床があります。

 尼崎市は、開明庁舎への移転は、エレベーター設置など「2億円の費用が必要」と答弁。

 ところが、党議員団の追及で、リべルに移転した場合の賃料は年間1116万円もかかり、検討中の保健福祉センターもリベルへ移転した場合は、賃料合計が年5600万円、10年で5億円を越えることが明らかになりました

 議員団は、当面、移転せず労働センターでの活用を修正提案しましたが、他会派の賛同は得られませんでした。

 また,これとは別に、リベルの振興策としての「再開発ビル整備促進事業」は、地元商業者の活性化策として実のある対策として進めるよう要望しました。

結核感染防止対策の充実を

デイサービスを受けている高齢者が、結核に感染し、サービス提供者等に感染が広がるという集団発生がおこりました。これを受けて、特に65歳以上で以前、結核にかかったことがある人、また、咳・痰がある人は、在宅サービス利用者も介護保険事業利用の前には、結核検診を市が負担してでも行うべきという質問に対し、当局は、「検討していきたい」と答弁しました。

介護保険・予防事業
シルバーハウジング等事業に市の補助金を

 8年前、それまで市が単独で行っていたシルバーハウジングの派遣事業などが介護保険事業に移されました。

 その結果、市の一般財源の負担が10分の1程度まで減らされる一方、その分は、保険料が引き上げられています。市当局は、保険料を負担している高齢者による「65歳以上の高齢者は介護保険料を負担していますが、介護サービスを受けていない65歳以上の高齢者に対する給付と考えている」と答弁。

 しかし、現在、高すぎる保険料が市民生活を圧迫しており、保険料の引き上げとなっている金額の「繰り入れを行うべき」と、当局に求めました。

尼崎養護学校市内移転先 梅香小学校に

西宮市にある尼崎市立尼崎養護学校の市内移転は、多くの関係者の長年の願いです。市当局も、教育委員会も、昨年の予算議会で「12年度の遅くない時期に、移転先を決める」と答弁していましたが、いまだに発表がありません。今回の予算委員会で複数の会派からの質問に対し、教育委員会は、「統合後の梅香小学校跡地を強く希望している「と答弁。重ねての党議員団の質問に対して、副市長が、「教育委員会の要望がかなうように調整する「と答えました。やっと市内移転が実現できそうです。

議員定数の削減より議員報酬の減額を

 「議員の定数を4人減らそう」という定数削減の動きは、12月議会に突然、公明党から提案されました。

 今任期の間、議会改革の課題については、各会派から項目を出し合い、議長の整理のもと、「議会のあり方検討委員会」に、議会運営委員会から諮問する形で、進められてきています。このルールを無視をするものでした。

 党議員団は、①そもそも、議員の定数は、市行政への市民意見の反映、つまり市民全体の生活にかかわる問題であり、市民的議論が必要、②市民の問には、多様な意見があり、その意児の代表者である議員は一定数以上必要だと考えています。しかし、財政状況などを考慮し「議会も協力を」というなら、市職員と同等に「報酬の減額」が、市民にわかりやすい方策です。他会派が合意した「定数2減」よりも、「2減」に相当する額の報酬を「減額すべき」と主張し、議員報酬減額を議員提案しました。

市バスは「民営化ありき」の予算

市バスの完全民営化を打ち出した公営企業審議会の答申にもとづき、市は「市営バス事業の民営化に向けた取組方針」を2013年2月に決定しました。

主な内容は
① バス事業者と協定を締結し、移譲から3年間は移譲時の路線、運行回数等サービス水準を維持する
② 市、バス業者、市民・利用者、学識経験者などによる路線等について検証、協議する協議会を設置する
③ 補助制度を整備する(新しい補助制度をつくる)。その上で、2015年4月から民間バス業者が運行する計画にしています。

 取り組み方針にもとづき市長は2013年度予算に、バス業者の選定委員会費用として約33万円、交通局への民営化補助金2億8200万円を計上しました。

 党議員団は
① 条例にもとづき運行されている市バスを民営化することは議会で「議決」されていない
② 協定内容も協議会のあり方の詳細も明らかにされていない
③ 住民全体の合意が得られてない
よって、民営化を前提にした予算に反対しました。

幻と消えた「新施設」
公共施設の「最適化」は市民的議論を

労館の暫定利用を

 尼崎市は昨年の予算議会で、労働福祉会館廃止の代替として市役所南駐車場ヘホール機能を持った新施設を建設するといっていました。ところが今年2月に駐車場への建設計画を撤回、新施設は梅香小学校跡で再検討されますが、最短でも5年かかります。

 議員団は、労館の建物を貸館として暫定利用するよう求めました。

身近な窓口をなくしていいのか

公共施設は、一旦建設すれば40年以上使用することになり、「まちづくり」や「まちの形」にも影響するものです。

 8年前、市民は「支所存続」を求めました。ところが尼崎市は、地域振興センターだけを残して地区会館と合築する計画を作ろうとしています。

 また老朽化している市役所本庁舎の将来的な位置と規模も明らかではありません。

 身近な窓口をなくし「巨大な本庁舎にするのか」、それとも身近な窓口を地域に残して「効率的な本庁舎にするのか」という、市民的な合意がないまま支所をなくそうとするところに根本問題があります。

 公共施設の再配置は、身近な市役所、地域自治充実の観点で、全体像の市民合意を得た上で再検討すべきです。