2012年12月議会一般質問 松村ヤス子:消費税増税と”市民のくらし”、市財政への影響について

2012年12月7日

2012年12月議会一般質問 松村ヤス子議員

日本共産党議員団の松村ヤス子です。

消費税について質問します。

尼崎市財政も市民の暮らしもドンドン悪化しており、政治に対する失望と閉塞感が町中に漂っています。これは、戦後60年間続いた財界の利益を最優先する古い自民党型政治の矛盾の吹き出しではないかと思っています。

バブル景気がピークを迎えた1989年4月に消費税を導入。その翌年にバブルがはじけ、景気は急速に悪化。政府は、景気対策と称して年間50兆円もの公共投資を行うなどしましたが、ゼネコンなどの大企業を儲けさせるだけで、景気回復につながらず、結局、借金を増やし続けることになりました。そして、1997年に5%に増税、景気は悪化、金融機関の破綻、ITバブルの崩壊などを経て2000年代には、「戦後最長の景気回復」がありましたが、もうけたのは、一部の大企業と富裕層だけで、多くの国民には好景気の実感はないまま、リーマン・ショック、東日本大震災と原発事故、急激な円高などで、日本経済は出口の見えない低迷を続けています。

私は、バブル崩壊後の1993年6月に議会に送っていただきましたが、全国的にも、飛行場・高速道路、港湾建設、都市再開発事業など、大型公共投資で、国、自治体は借金を増やし続けている時期でした。本市もその流れのなかにありました。

議員になってのほぼ20年間は、行革と称する市民サービスの削減、負担増の連続です。これまでの経営再建プログラム、行財政構造改革推進プランと計画以上に緊縮財政を実行しても、どこまでも財源不足が続く。まるで、逃げる自分の影を追っているごとくです。市職員の数と給与の削減も進められ、市民と直接触れあう公務員を削減し、公的責任も後退し続けています。

それでも、まだ、収支均衡にはならず、市民負担増が続きます。

このようななか、この秋の臨時国会で、民主党、自民党、公明党により、2014年4月から消費税率を8%に、翌年10月には10%にと増税が可決されました。

今後の消費税増税が市民の暮らし・市内経済そして市の財政に及ぼす影響を大変心配しています。

国のことだと座視するだけでなく、市民の暮らしを守る責任のある地方自治体として、デフレ不況からの脱出のために、真剣に考えていただきたいとの思い強くしています。

先日、雇い止めになった元パナソニックの派遣社員だった48歳の男性が、足首から下が、赤くはれ上がり、熱もあり、強い痛みで、何かにつかまらなければ歩けない手持ち金は数十円、家賃も数ヶ月滞納、ガスも電気も止められたままで、共産党の事務所にやっとの思いで救いを求めてきました。なんとか仕事をと10数回もハローワークを通して、応募したものの、採用されなかったとのこと。「なんとか、がんばろうとハローワークに通い続けたけれどダメだった」と涙ぐんでいました。住宅管理会社が借家管理をしている場合は、2ヶ月ほどの滞納で、追い出しにかかる昨今ですが、その人の家主さんは、私もよく知っている方でした。「まじめに一生懸命だし、仕事がなくて払えないのがわかっている。そんな人を追い出せない」といい、厳しく取り立てもせず、その後、電気代、ガス代までも払ってくれました。この家主さんとは対照的に、世界的な大企業が、尼崎市から、多大な税の軽減を受けていながら、税金を払ってきた尼崎市民を、古い部品のごとく使い捨て、ウツ状態になるまで、追い込んでいるのです。電機情報産業では、13万人もの正規社員が、リストラ・退職強要のために、何度も呼び出され、執拗に退職を迫られるなど違法行為も続発しています。

「年金が増えないのに、介護保険料も後期高齢者医療保険料もあがった。生活やっていかれへん」、切実な高齢者の声です。自公政権時に「100年安心の年金」と大々的に宣伝されたのは、なんだったんかと聞かされることが多くなりました。

100年どころか、まだ、8年です。安心どころか、不安いっぱいの年金です。

また、現役市民の所得は減る一方。商店主さんたちは「景気をなんとか良くしてほしい」と悲痛な声を上げています。

職を失う、所得は下がる、消費が落ち込む、内需が冷え込む を繰り返す。「デフレ不況」が深刻になる悪循環です。国の政治のあり方に問題があり、つくられたデフレ不況です。

質問

内需の大部分は家計消費で、GDPの6割を占めています。デフレ不況から抜け出すためには、国民の所得を増やし、内需を活発にすることが最も重要な対策と考えますが、市長は、どうお考えでしょうか。

答弁

一般に内需を活発にするためには、所得を増やし、消費を促すことが有効であると考えますが、曰本全休がデフレ基調にあり、通貨の流通が少ない現状で、適切な処方篝が見つからない状況にあるとも考えております。

このため、本市におきましては、所得の流出を防ぐ循環型地域経済の構築を目指し、取り組んでいるところでございます。

日本共産党は、国民の所得を増やす政策への転換を提案しています。

消費税増税の中止を

まずは、消費税増税の中止です。

消費税を上げられたら生活が成り立たない、商売もやっていけないと切実な声でいっぱいですが、国の借金は増え続けて、今年度末で709兆円にのぼる見込みと繰り返し聞かされ、多くの市民は、高齢化社会が進むなか、社会保障財源をどうするか、これからどうなるのかと大変心配しています。消費税増税は困るけれど仕方ないのではと思っておられる方たちがおられるもの事実です。

民間労働者、公務労働者を問わず、賃金は下がり続けています。医療保険料や窓口負担、介護保険料や利用料などの負担は増加し、その分野で働く労働者の賃金等に転嫁しますが、その賃金そのものが、低いことも周知の事実です。

阪神間の市民税の課税所得200万円以下が年を追うごとに増加し、700万円以上が減少しており、なかでも、尼崎市の状況は、他都市より課税所得の低い層が多く、取り崩す預金も少ない分、貧困化が進むことで、購買力の低下は他都市よりも激しいと考えます。

中央商店街の各商店も、喫茶店、花屋さん、酒屋さん、散髪屋さんや美容院も、新聞販売店など、どこで聞いても売り上げが減っているとの話ばかりです。特に、節約しても何とかなるものから削って生活防衛しているのがうかがえます。

尼崎市議会でも6月議会で、「政府は社会保障と税の一体改革の中で、特例水準を解消するために、2012年度から3年間で公的年金を2.5%引き下げようとしているが、実施しないでほしい」と要望する陳情書を賛成多数で採択し、政府に意見書を提出しました。

しかし、解散直前の臨時国会で、民主・自民・公明は消費税増税だけでなく、年金の特例水準解消として、13年10月から3年連続で2.5%の削減も決めてしまいました。

「年金の特例水準は、本来水準より高すぎる」という理屈です。しかし、尼崎に多くおられる、基礎年金だけの人の平均は、月額44,000円程度です。それをさらに下げるわけです。物価が下がったといっても、下がったのは、薄型テレビやパソコンなどで、食料品などは下がっていません。その上、ものさしの「消費者物価指数」には、上がり続けている介護保険料や後期高齢者医療制度の保険料、国民健康保険料は反映されていません。

今年、2月10日、国会で日本共産党の志位委員長が、東京都葛飾区の、世帯年金が月額18万円の75歳以上の夫婦世帯を例にして、質問しています。12年6月の年金引き下げ、介護保険料等の引き上げ、特例水準解消による年金引き下げ、15年にマクロ経済スライドが発動されるとさらに、年金引き下げ、消費税率の10%への引き上げで、ひと月分の年金に匹敵する17万5千円も消費できるお金が減ります。そのうち、消費税増税分は8万円です。

また、3歳から中学生の子どものいる年収400万円の方働き世帯でも、子ども手当の減額、年少扶養控除廃止、厚生年金保険料や健康保険料の引き上げ、復興増税、それに、2回の消費税率引き上げで29万1千円、ほぼ、ひと月分の月給が飛んでしまいます。そのうち、消費税分が10万7千円です。

このように、使えるお金が減るのは尼崎市民も同じです。

所得が減り、消費が落ち込んでいるときに、13兆5千億円もの消費税大増税をすれば、デフレ不況の悪循環がますますひどくなり、日本経済はどん底に突き落とされてしまいます。

質問

消費税を増税すれば、市民の暮らしも、地域経済も、市税収入もより一層悪くなるのではないかと考えますが、市長はいかがお考えでしょうか。

答弁

消費税増税の目的は、社会保障関係費の財源として安定的な税収の確保を図ることであるといわれておりますが、一方で、増税により個人の消費活動の低迷も懸念されますことから、市民生活を始めとした本市の経済においても少なからぬ影響はあるものと考えております。

 消費税の増税における市税収入への影響につきましては、一部では購買意欲が一時的に落ち込むと言われており、個人市民税や法人市民税などの減少が懸念されますが、その一方で、消費税全体に占める地方消費税の割合が増加することにより、地方消費税交付金は、増収となるものでございます。

消費税は、1989年に3%で実施。8年後の97年に5%に。課税売上高が3000万円以上が課税業者でしたが、2003年には、1000万円以上に引き下げ。一日当たり、3万円から4万円程度の売り上げがあれば課税業者です。よほど零細な事業者以外は、課税業者です。その翌年の2004年には、総額表示方式、いわゆる内税方式にされました。激しい価格競争のなか、消費税を上乗せした価格では売りにくい環境がつくられました。

立て続けに、消費税制度が変更されましたが、マスコミでほとんど報道しなかったのが、高額所得者や大企業を優遇する所得税率や法人税率の引き下げです。

所得税 担税力に応じた制度に

所得税についてです。

給与所得であれば、給与所得控除、扶養控除など各種所得控除を差し引いたものが所得税のかかる課税所得です。

日本の所得税は、超過累進制で、課税所得をいくつかの段階に分けて、段階が高くなれるにつれて、税率が高くなり、格段階ごとの合計額が所得税額です。消費税実施前の1988年までは、課税所得2000万円超の部分は50%で、5000万円超の部分が最高税率の60%でした。しかし、消費税実施の翌年に、最高税率は「5000万円超で60%」がなくなり、2000万円超で50%に引き下げられました。

その後も、繰り返し最高税率が引き下げられ、課税所得1億円の人は、消費税実施前では、所得税は5110万円だったに、10年後には、3451万円。1659万円の減税です。課税所得10億円とすれば、5億9110万円から3億6751万円にと2億2359万円もの減税です。

最高税率の引き下げだけではありません。分離課税である株式配当や株の譲渡所得は税率20%でしたが、2003年に、10%に軽減されました。しかも、優遇期間が2007年度までの5年間としていたのに、2013年末まで続けます。国税庁の「2007年分申告所得税の実態」によれば、申告所得1億円の所得税負担率は26.5%で、これをピークにして、申告所得が100億円程度では、実に、14.2%にまで下がっています。課税所得の中で、10%しか課税されない配当所得や証券譲渡所得の割合が高ければ高いほど、所得税の負担割合が、10%近くまで下がる仕組みです。担税力がありすぎるほど、ありすぎるスパーリッチの税負担率があまりにも低いという異常な実態です。

あけび書房の富山泰一氏著の「庶民増税によらない社会保障充実と震災復興への道」に、2009年分の確定申告の実績をもとに、消費税導入前と比べて高額所得者がどれほど減税されているかについて書いておられます。課税所得100億円を超える人が10人おられ、その10人だけで468億2804万円の減税、一人当たり46億8280万円減税です。課税所得5000万円を超える人は4万795人で、合計減税額が1兆2072億円以上という膨大な額です。最高税率の引き下げと、株式などの資産性所得の、低い税率での分離課税による減税です。

著者は、民主党も自民党も「最高税率を引き上げると、高額所得者は納税地を海外に移動する」だから最高税率の引き上げは実効性に乏しいといっているが、かつて、75%まであったときに海外に何人の人が移動したのか とも述べておられます。

このような大減税の恩恵を受けているのは、財界を代表するような人たちです。超高額所得者への減税をテレビでも新聞でも報道しないのは、スポンサーである大企業への心遣いとわが党以外の政党への企業献金の影響でしょう。

それとは対照的に、連日のように、ギリシャなどの財政危機を報道し、「ギリシャのようになっては大変」と国民に恐怖心を植え付け、また、高齢化社会だから、仕方がないと思わせ、低所得者ほど重い負担を負わせる消費税率の引き上げを誘導してきたのです。

質問

このような所得税の累進性の緩和やあまりにも低い税率で分離課税している証券優遇税制などで、超高額所得の方たちへの優遇制度は、税収そのものを低く抑える作用をしており、国債残高の増加や地方交付税の配分にも影響していると考えますが、いかがですか

また、担税力に応じた制度に変えるべきと考えますが、いかがですか。

答弁

 一般論で申し上げますと、所得税の減少は、国における歳入の減につながることから、これを別の手法でカバーできない限り、国債の増につながるものと考えられます。

一方、地方交付税につきましては、その総額が地方財政計画に基づいて決定されるものでございますが、近年は、所得税をはじめとする国税5税の法定率分のみでカバーできない地方全体の財源不足について、国が赤字国債を発行して交付税総額を加算する一方、地方は臨時財政対策債を発行して対応するという、いわゆる「折半ルール」によって、地方の一般財源総額が確保されるような地方財政の姿になっております。

 従いまして、所得税の減少は、実質的な地方交付税の配分にはただちに影響しないものの、国における赤字国債増発の要因にはなり得るものと考えております。
しかしながら、税制改正の影響は、単に制度変更のみに着目するのではなく、その改正が与える経済情勢への影響も含めて、財政的効果を判断すべきものであり、一概に、議員ご指摘の税制改正が、税収の減少や国債残高の増加等を招くとは言い切れないものと考えております。

なお、担税力に応じた税制改正は、税制度全体を見る中で、国政レベルで議論されるべきものと考えております。

法人税率は、消費税実施からこの間に4回も税率が下げられた

次に法人税です。

1981年当時42%だった法人税率は、消費税実施からこの間に4回も税率が下げられ、30%にされました。法人3税の実効税率は約40%でしたが、03年から11年の法人3税の負担率は、三井物産・住友商事・三菱商事が10%前後、ブリジストン・神戸製鋼・日産自動車が22~23%程度、トヨタ自動車が31%です。実効税率40%に対して、こんなに少なくなるのは、海外子会社配当益不算入制度や研究開発減税・連結決算納税制度などの優遇税制の恩恵です。日経連の税制担当幹部自身が法人税について、「表面税率は高いけれども、いろいろな政策税制あるいは減価償却から考えたら、実はそんなに高くない」とまで言っています。中小企業は大企業より低い法人税率です。しかし、現実は、資本金1000万円から1億円程度の中小企業の法人税負担が26%程度に対して、資本金10億円以上の大企業では、わずか19%弱です。にもかかわらず、2012年、今年から法人税は、30%からさらに25.5%に引き下げられます。

私たちは、大企業をつぶせというのではありません。「担税力のある大企業になぜ減税なのか」「能力に応じて負担し、社会に貢献してほしい」と思っているのです。

質問

国も地方も市民の暮らしも大変というときに、設備投資などへの使い道のない内部留保金が260兆円も溜め込まれており、十分すぎるほどの担税力がある大企業に大盤振る舞いの減税を行い、消費税増税を行うことには納得できません。市長のご見解をお聞かせください。また、これで、内需は拡大するでしょうか。ご答弁願います。市財政に与える影響については、どうお考えでしょうか。

答弁

 ご質問の税制改正は、国全体にかかることであり、国政レベルで議論されるべきものであると考えますが、今回の法人税の減税は、経済活動のグローバル化が進展する中で、わが国の企業の国際競争力を高めるといった観点から実施されたものであり、消費税の増税は、少子高齢化を背景に、今後の社会保障の充実・安定と財政健全化の目的から行われるものであると認識しております。

こうした税制改正により、企業による国内での設備投資が増えれば、景気の向上も期待できると考えられます。しかしながら、現在の景気の状況や世界的に見た今後の景気動向を勘案しますと、内需拡大をもたらすかを判断することは困難であると考えております。

 本来、一定の税収を確保しながら、社会の活力を維持していくためには、税の基本原則である「公平・中立・簡素」に則り、所得課税、消費課税、資産課税等を適切に組み合わせた税体系を構築することが必要でございます。

財政的な影響、ということに限定してお答え申し上げますと、歳入の地方消費税交付金の増収が見込まれる一方で、基準財政収入額の増による実質的な地方交付税の減が見込まれるほか、大規模な税制改正であるため、地方交付税制度全体の変更による影響も想定されるところでございます。

これに加え、今回の消費増税は、社会保障・税一体改革の中で実施されるものであり、地方税・地方交付税のみならず、社会保障制度における影響も見込まれますが、その詳細は現時点では明らかになっておらず、本市財政への影響は非常に見込み難いものとなっております。

こうしたことから、次期行財政改革に係る計画・素案の収支見通しにおいても、消費増税を含めた社会保障・税一体改革の影響については、現時点では盛り込まないことといたしており、今後、本市財政へ与える影響が一定明らかになった段階で、収支見通しに反映させ、その影響をお示ししてまいりたいと考えております。

質問

税については、民主的原則が大切です。最低生活費非課税の原則、勤労所得は不労所得より軽い負担の原則、特定の所得の分離課税でなく総合課税の原則、累進性による垂直的公平を図る原則、これらの原則を貫いてこそ、所得の再配分機能を高めることになると考えます。市長の税に対する認識をお聞かせください。

また、こうした方向でこそ、貧困と格差を縮めることもでき、多くの市民国民の暮らしを改善させ、景気の底上げにもつながると思いますが、いかがでしょうか。

答弁

 税の機能につきましては、所得の再配分の他、公共サービスの資金調達や景気の調整などがあり、国民が公平感をもって納税し得る税制を確立し、これらの税の機能をバランスよく発揮させることが、重要であると考えております。

税制のみで市民国民の暮らしを改善し、景気について論議できるものではありませんが、所得の再配分は、たいへん重要な機能であると認識しております。

 なお、消費税は、尼崎市も負担しています。担当課によれば、荒い荒い試算だとの断りつきですが、今年度一般会計予算では、ざっと7~8億円程度の負担とのことです。これが2倍になります。資料をいただくときに、国から消費税の配分としてこれ以上もらっていると当然のことも言われました。しかし、消費税でない財源を確保すれば、市が負担する消費税は増加しません。そのぶん、市民サービスに使えます。

質問

市も消費者です。市民サービスを削っても、消費税負担はあるほうがよいとお考えでしょうか。負担する消費税について、どうお考えでしょうか。

答弁

 議員ご指摘のとおり、市も消費税を負担することから、今回の消費増税において、追加的な財政負担の増が見込まれるところでございます。
しかしながら、今回の消費増税は、増加する社会保障経費に対応する財源を、国民全体が分かち合って負担することに、その意義があります。

本市は、消費税を負担すると同時に、今回の増税によって、ご負担いただいた税を、地方消費税や地方交付税として交付を受け、行政サービスに対する安定した財源に寄与するものと認識いたしております。

商品の価格のなかに埋没する消費税

先日、息子さんに酒屋の経営を譲っているお父さんからお聞きしたことですが、
「息子から消費税を支払うために、お金を貸してほしいと頼まれた。10%になったら廃業も考えなければといっている」とのお話です。

消費税の増税で、消費者以上に大変な影響を受けるのが、中小企業や商店などの自営業者です。
消費税は、「所得の低い人ほど重くのしかかる逆進性の不公平税制」という性質の税金です。しかし、さらに、深刻な問題を持った税金でもあります。

消費税法には、納税義務を課せられた「納税義務者」の規定がありますが、実際に税金を負担する「担税者」の規定はありません。商品を購入した場合、価格と消費税を支払いますが、取引の力関係で、価格と消費税分の区別がなく、値引き等を余儀なくされることがあります。消費税分を価格に転嫁できない、できても100%とはいかない場合があるのです。

日本商工会議所など中小企業4団体による2011年度のアンケート調査では、「消費税5%分をすべて転嫁できている」と答えたのは、年間売上高2億円超の企業でも67%、33%の企業が転嫁できていないとの答えです。500万円以下では、実に70%以上が転嫁できていないと答えており、自腹を切っているのです。

消費税法には、「転嫁」という言葉もなく、事業者は、消費税を価格に転嫁する義務も権利もありません。その時々の景気・不景気に左右されながら、事業者と消費者、事業者同士の力関係で、弱い側がより多く負担させられる税金です。

消費税は毎年確定申告の際にまとめて納税します。納税額は、「1年間の売上額の5%」から「1年間の仕入れ額の5%」を差し引いて計算します。消費税をもらっていようといまいと消費税が含まれているものとして計算します。これが税を転嫁できない中小企業や自営業者を苦しめている理由です。

消費税は、一個一個のものに課税する税金ではありません。1年間の売上額が4000万円、仕入れが3000万円、人件費が1000万円だとすれば利益はゼロですが、納める消費税額は50万円。利益がなくても消費税の納税義務からのがれられません。

日本の中小企業は7割が赤字と聴いています。尼崎市の09年度から11年度の3年間を見ると、全法人数は10,483社から10,339社にと若干減少ですが、全体では、65~6%の企業が赤字です。全法人の73%を占めている資本金1000万円以下では、73%ほどが赤字です。経営者等の給料などの経費を増やし、赤字法人化している場合もあるとの話を聞いたこともありますが、そんな対策で赤字化できるというのは、そもそも、大きな利益を出せていない、厳しい経営状況にあると考えられます。

国税の滞納のうち、消費税の滞納額が50%前後を占めており最高です。5%に上げた翌年、免税点1000万円に下げた翌年に、滞納件数が大幅に増えました。全国の税務署は、収納率を高めるために、消費税徴収に最も力を入れていますが、新規発生件数は、横ばいを続けています。

消費税の免税点が1000万円に引き下げられ、1日当たり、3万円から4万円の売り上げで、課税業者です。規模が小さい事業所ほど転嫁できない割合が高いことにかんがみても、小規模な事業者も加えて、利益がすくなくても、赤字でも、収めなければならない消費税は、中小企業にとっては、死活問題です。現に、払えないために自殺する業者さえでています。

中小企業の多い本市にとっては、消費税率引き上げは、企業活動の縮小・廃業・撤退に拍車をかけ、雇用の破壊、税収減少につながります。

質問

市長は、このような消費税のもつ性質から来る大問題についてご存知のことと思います。地域経済を支える中小企業や雇用を守る上からも、消費税の引き上げは、容認すべきでないと思いますが、いかがでしょうか。

答弁

 消費税の引き上げにより、中小企業だけでなく国民生活へも少なからず影響が出てくるものと考えておりますが、国においては、消費税増税時に中小企業が増税分をスムーズに価格転嫁し取引上の不利な立場を解消できるようにするため、全国に相談窓ロを配置することとしております。

本市といたしましては、消費税増税が実施された場合には、市内中小企業に対しまして、こうした国の対応策等の情報提供をはじめ、市内産業団体と連携しながら、対応してまいりたいと考えております。

人間らしく働ける労働のルールを確立する

 自公政権時に、製造現場にも派遣労働を認めるなど雇用法制を大改悪し、正規労働者から低賃金の派遣労働者に切り替え、民間労働者を低賃金に押し込め、公務員が多すぎる、給料は高すぎると民間労働者と公務労働者を対立させて、徹底的に、公務員バッシングを広げ、官民双方の労働者の低賃金化を進めてきました。低賃金化だけでなく、初めに紹介したように、市から、固定資産税の優遇を受けていたパナソニックのように、派遣で働いていた労働者から仕事を奪い、命を脅かし、地域経済にも悪影響を及ぼしましています。国、地方の税収を枯渇させ、財政危機を肥大化させてきました。尼崎市の財政構造からも明確です。最後の命のとりでとなっている生活保護さえも排除・切り下げを進めようとしているのが今の動きです。

私が日本共産党の一員になって間もない頃でしたが、戦後農地解放で小作農家が自作農になり、高い小作料から開放されたことや、禁止されていた労働組合が認められ、労働者の闘いで賃金が引き上げられたことにより貧しかった国民の所得が上がり、購買力が高まったことが戦後の日本経済を急激に向上させたと学んだことがあります。原理原則です。いまは、グーバル経済だからと、この原則に反していては、絶対に内需は回復しないし、税収もますます悪化するばかりでしょう。

質問

改めて、市長の認識を確認させていただきます。

賃金切り下げや派遣切りは消費を冷え込ませ地域経済を疲弊させ、国、自治体の税収を減少させ、デフレスパイラルによる不況を深刻にすると考えますが、いかがですか。

答弁

 わが国の経済においては、グローバリゼーションの進展や産業構造の変化、雇用形態の多様化が進む中、様々な問題も発生しております。

さらに、世界景気の減速等を背景とした国内景気の低迷など、厳しい状況が続いております。
こうした中、本市におきましても、税収の安定・向上につながる取組みの-つとして、今後成長が期待される環境エネルギー産業分野への市内企業の参画を支援するほか、地域内で経済を循環させる仕組みの構築に取り組んでまいります。

最後に

私は、病気の夫と2人の子どもを抱えながら、ささやかな自営業で生計を立てていました。そんななか、ふとしたきっかけで税金について学ぶ機会に恵まれました。知って驚いたのは、あまりの不公正な税制でした。当時、日本の7大総合商社が300億円以上の法人所得がありながら、数々の優遇制度で、法人税額ゼロだったことです。労働者や中小零細事業者のはたらきがなければ、社会は成り立たないし、社会の発展もありえない、それなのに、弱い立場のものは、あまりにも大事にされていないことに理不尽さを感じたのが政治に関心を寄せるきっかけでした。

しかし、私がそう感じたときに比べて、今の社会はもっと過酷な社会です。主権者である国民が力を合わせれば、改善できる、変えられると確信して、そのために努力しようと心に決めて、日々を送っています。

私たちは、能力に応じた負担で、社会保障をよくし、所得を増やして経済を立て直すことを目指しています。

社会保障では、減らさない年金、低年金の底上げ、国保料の引き下げ、医療費窓口負担は子どもはゼロに、現役は2割に、高齢者は1割に、特養ホームの待機者を無くし、保険料・利用料の引き下げで、安心の介護保険に、保育所の待機児解消、障害者の権利を守る法律の制定、生活保護の切り捨てでなく、貧困対策の強化などを第1段階の充実策として提案しています。
その財源は、ダム建設など不要不急の大型公共事業の見直し、米軍への思いやり予算や戦闘機などの軍事費にメスを要れ、政党助成金や機密費の廃止、原発推進予算など無駄の削減で3兆5千億円確保できると試算しています。

そして、証券優遇税制を廃止し、課税の強化、所得税・住民税・相続税の最高税率引き上げ、富裕税の創設、高額所得者の厚生年金・被用者保険の上限のみなおし、新たな法人税減税の中止、研究開発減税など大企業優遇税制の見直し、為替投機課税などの創設などで、富裕層や大企業減税をやめれば、8から11兆円を生み出せます。

社会保障の第2段階は、すでに、ヨーロッパで実現されている水準の実現を目指します。最低保障年金の創設、医療費の窓口負担ゼロ、教育費の無料化・研究予算の拡充などです。

その財源、6兆円ぐらいは、国民全体で支えますが、その場合も消費税でなく、能力に応じた負担という原則を貫き、所得税の累進課税を強化する税制改革で国民生活や日本経済に打撃を与えないで安定した財源とします。

このように、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」への改革をすすめ、賃金、雇用、中小企業や環境対策など、大企業がその力にふさわしい社会的責任を果たすようにします。そうすれば、260兆円の内部留保を「生きたお金」として日本経済に還流させ、国民の所得を増やし、家計を暖め、内需主導の健全な成長軌道に乗せることができます。この道に踏み出せば、税収も増え、財政危機も解決できます。経済成長による20兆円の増収を図ることも可能だと考えます。

あわせて40兆円程度の新たな財源が生まれ、2030年ごろをピークに国、地方の長期債務残高を減らしていく、こういう取り組みが進められるように、市民国民の皆さんと力を合わせて、財政危機を打開していけるよう努力したいと思っています。

このような方向に政治を進めてこそ、社会保障が充実し、誰もが安心して暮らせる日本にできると確信していいます。これで私のすべての質問を終わります。