2023年度決算についての意見表明

 

2023年度決算についての意見表明

 

 日本共産党議員団の松澤千鶴です。議員団を代表して、本委員会に付託された2023年度決算案に対する意見表明をいたします。

 

就学前教育ビジョンについてです。

 ビジョンは2024年2月に策定されました。運営体制として、竹谷・長洲・小園の3園を廃止、残り6園中4園で3年保育を実施、一時預かり事業の時間延長、支援が必要な幼児の受け入れや人数の拡充をうたっていますが、財政的には3園を廃止することで生まれる約2億円の範囲内で取組むという制限付きで、財政運営基本条例に規定されたスクラップ&ビルドの考え方に縛られています。JR神戸線以南に公立幼稚園は1園のみという偏在や、残る6園全てでの3年保育実施ではないこと、また、6園についても今後定員半数割れが続けば廃園にするなど、財政運営の考え方が先行して、行きつく先、就学前教育の公的責任を放棄するものになっています。

  再検討を強く求めます。

 

体育館の空調整備についてです。

 災害時の避難所となる学校体育館の空調整備が遅れています。市は、建替える場合は壁を空調効果の上がる断熱材使用にしていくとしていますが、その他については学校施設マネジメント計画に具体化されていません。早急な計画立案を求めます。

 

学力向上についてです。

 市は全国学力テストやあまっこステップアップ調査事業の積重ねが学力向上に資するとしていますが、こども一人一人のつまずきや思いは、これらのテストを実施しなくても教員が把握しています。教育現場をテストの点数を良くするための競争に駆り立てるのではなく、教員不足の解消と少人数学級の実現にこそ力を注ぐべきです。

 

準要保護の新入学学用品費についてです。

 一般質問でも追及しましたが、国が2023年度要保護基準を引上げ、それに準じて阪神間他都市も引き上げを行っていますが、本市では据え置かれ、他市との差額は中学校で1.5万円、小学校で1.3万円にもなっています。市は、対象児童生徒が増えていることや他に予算の振り分けが必要だったと言い訳をしましたが、行政の怠慢でしかありません。早急な予算措置を求めます。

 

 

 

 

 

 

こどもの医療費助成についてです。

 18歳までの子どもの医療費無償化は市長公約です。松本市長就任後2021年度就学前は所得制限なしで全て無償に、22年度は小1から中3まで所得制限はあるものの大きく負担軽減が進み、安心して受診できるようになってきたと市民の声が聞こえるようになってきました。

次のステップはいよいよ18歳まで助成対象を拡充することですが、ここにきて当局は、「調剤費がとても伸びている」ことや各ライフステージに合わせた必要な支援の検証が必要などといって足踏みをしているようにみえます。調剤費の伸びについては診療報酬などで処方抑制措置がすでに取られていますからそちらに任せればいい話であり、市としては、積極的に18歳までの医療費助成の拡充実現を目指していただきたい。強く求めます。

 

保育についてです。

 障がい児の受け入れにあたっての公私間格差は明らかです。公立では障がい児2人に保育士1人加配していますが、民間園では障がい児1人に対し月7.4万円の補助金が付いています。受け入れにあたって一番必要なのは保育士の体制であり、7.4万円では障がい児3人受入れでやっと1人の保育士が雇用できる額です。7.4万円自体21年前から増額になっていないこともあり、早急に民間園でも障がい児2人に1人の保育士が加配できるよう補助金増額を求めます。

 総括質疑で0歳児の定員割れの問題を取り上げました。育児休暇終了時点から保育園入所を申請される傾向があること、待機児解消策で新規保育園が増設され、そうした地域では0歳児の取り合いになっています。保育士確保が大変厳しい昨今、園では4月当初からたとえ定員割れが予測出来ていても定員に見合った保育士体制をとります。必然的に定員充足するまで、保育士の人件費は園の自腹です。大阪市の保育人材確保策を紹介し、欠員の間の市独自支援策を求めましたが、市はいずれ定員になるのだから一時的な定員割れに補助金を出す施策は考えないと答弁されました。保育の質と量を維持確保するために重要なポイントだと思います。またウを求めます。

また、0歳児の取り合いになるような問題が生まれないように、新規保育園増設は規模や地域を市が一定コントロールすることが求められます。新たな子育て支援計画に入れ込むことを求めます。

 

生活保護についてです。

 ケースワーカーの国の標準定数は80世帯の利用者に対し1名ですが、2023年度は113世帯、過去にさかのぼっても二桁になったことさえありません。何年か前社会福祉士の有資格者を積極的に採用したこともありますが、ここ数年は見られません。ケースワーカーの仕事は、貧困から派生する様々な苦しみや生き辛さを抱える人に寄り添い、社会復帰や人間としての尊厳あるくらしを支援するたいへん肉体的にも心理的にもハードなものです。それがこんなオーバーワークが当たり前の体制のままでいいのでしょうか。職員増を強く求めます。

 

住宅政策についてです。

 ファミリー世帯の転入・定住を促進し都市の低湿転換を図るとして、子育て世帯向け住宅取得等支援事業が取り組まれています。これ自体反対するものではありませんが、老朽化した文化住宅などから解体のため立ち退きを迫られるのは低所得の単身新高齢者が多く、この方々の住処の保障も必要です。市は市営住宅に単身高齢者枠があり対応しているといいますが、住み慣れた地域から遠く離れたところではニーズに応えられないし、急に立ち退きだと言われても市営住宅の募集は年3回しかありません。また、保証人のいない単身者の場合、入居を断られる民間借家も依然として多い状況です。

 市は、住宅セーフテイネットづくりを県任せにしないで、積極的に関わることを求めます。また、住宅の質を保つことは生活の質を高めることでもあります。高槻市で行っているような低所得者向け家賃補助制度の創設を求めます。

 

トレピエの今後について

 一般質問でも追及しましたが、北図書館とトレピエの貸館機能の統合再編のみが先行し、市民にとってトレピエの今後について市の説明や意見を聞く場が不足しています。丁寧な対応を求めます。

 

物価高騰に対する事業者や市民への支援についてです。

 これまで資材、光熱費、食材料費などの高騰の影響を受ける事業者や市民に対し、国の臨時交付金を使った支援が行われてきました。今後も臨時交付金のあるなしに関わらず、実情を把握する中で必要な支援を実施するよう求めます。そのためにも、総括質疑で取り上げた中小事業者連絡会の再開を求めます。

 また、物価高騰に対する特効薬はなんといっても消費税の減税です。また、小事業者やフリーランスなどに増税を強いるインボイス制度も廃止の声があがっています。全国市長会などを通じて、国に対し求めてください。

 

ボートレース競争事業についてです。

 公営ギャンブル自体、人の不幸で儲けるものに変わりはなく、その収益を自治体財政運営で当てにするのは認められません。加えて、ギャンブル依存症への対応や予防に尽力することを求めます。

 

水道事業についてです。

 水道料金の滞納対策は、未納者に対し分納も含めた相談と料金納入を継続する間は給水をしていますが、料金納入が遅れればすぐに給水ストップとしています。水が止まれば人は生きていけません。未納者の個々の状況に寄り添った丁寧な対応に改めるべきです。

 

 

 

 

下水道事業についてです。

 分科会の質疑の中で、国主導で今後の設備改築工事は、2027年度時点でウオーターPPPの導入の決定がなされていなければ補助金がつかない方向だということが明確になりました。お金で地方自治を壊していく国のやり方に、憤りを感じます。

総括質疑では、PPP導入は職員の技術不足を補うものだと当局は説明していますが、これまで浄水場やポンプ場の民間委託を進める中、技術職員の育成や補充をせず、いまやメンテチェックしか市職員はできない状況をつくってきたのはあなた方です。この先さらに民間依存度が増し、分科会で当局が「職員の規模を将来にわたって今と同じようにずっと保っていくということにならないかもしれない」と答弁していますが、民間丸投げになる可能性は非常に高いと思います。災害時の、市民に責任持ったライフラインの復旧ができなくなる危険性があります。私たちは反対です。

雨水貯留管の整備手法が経費の関係で一部見直しになり、貯水能力は計画の8割に留まるとのことです。残り2割分は、経費がそれほどかからない西宮市で進んでいる学校の校庭貯留や公園貯留を検討し、早期の浸水被害対応を進めるよう要望します。

 

国民健康保険事業についてです。

 保険料の引き上げで、年々市民の個人負担が重くなっています。国保料で、基準所得の2割以上になる世帯が2023年で11.9千件にもなることは異常です。市はその世帯に対し特別減免をしていますが、2割以上になった分の4分の1を減免するもので、負担感は高いままです。更に思い切った市独自の支援策を求めます。

 また、高すぎる保険料の元凶は国にあります。ひとつは均等割りで、赤ちゃんから大人まで一人当たりに加算されるもので、45歳の人の場合53,964円/年、もうひとつは平等割で1世帯32,292円/年、同一所得の他の健康保険の被保険者より86,256円も高いものになります。地方自治体でその分をカバーできるはずもなく、国庫支出金を増やす以外解決はしません。引き続き全国市長会などを通じて、国負担の増を強く求めることを要望します。

 マイナ保険証については、今年12月2日以降従来の紙の保険証が発行されなくなりますが、この時期になっても全国の状況で取得が75%に対し利用は11%と低い状況です。国民の中にあるマイナカードそのものに対する不信は払拭されないままです。加えて、今、国が医療や薬局の現場に対し、マイナ保険証利用率アップすれば報酬面で優遇するアメを

ちらつかせており、これも現場でのトラブルを増加させています。私たちはマイナカード先にありきの国の強引なやり方に反対です。

 市は今後も、国民皆保険制度の一端を担う国民健康保険の施行者として、加入者がマイナ保険証を使う人も拒否する人も等しく安心して保険医療が受けられるよう、特段の配慮を行うよう強く求めます。

 

 

 

 

介護保険事業についてです。

 65歳以上の方の保険料負担が3年ごとの計画改定とともに引きあがり、国の経済無策の下、市民から悲鳴が上がっています。国の負担割合を増やすよう、全国市長会などを通じて強く求めてください。

 ヘルパー事業所では人材不足とヘルパーの高齢化が進んでいます。また、今年度国が訪問介護の報酬単価を引き下げたことから、事業所運営にマイナス影響が出てきていると懸念されます。また、事務事業シートには、経年のサービス別の利用件数が載っていますが、たとえば、訪問型サービスがここ3年毎年約1000件ほど減少し続いている、一方通所型は増え続けている。このことと要介護市民のケアの充足度がどうリンクしているのかを調査把握することは、今後の計画作成や政策立案に有効だと思います。

市はこれまで介護事業者の実態調査をしていません。悉皆調査をすべきと強く求めます。

 

トライやるウィークについてです。

 2023年度は、トライやるウィークで4校12人の中学2年生が自衛隊伊丹駐屯地に行っています。安部元首相から岸田前首相、そして石破新首相へと戦争の準備に走る自公政権の下で、自衛隊は敵地攻撃能力を保有しアメリカ軍と共に他国への先制攻撃も辞さない軍隊化が進んでおり、伊丹駐屯地もまたその拠点の一つとされています。

 市は自衛隊へのトライやるウィークを、挨拶や時間厳守など社会人として必要な礼儀を学べる機会になっていると言いますが、それは自衛隊でなくとも体験できることです。戦争準備に突き進むような所へ、わざわざ教育の一環として中学生を行かせることは問題です。

 

自衛官の募集に係る個人情報の提供についてです。

 日共産党議員団は、18歳と22歳の個人情報をCDで自衛隊に毎年提供していることを、市報などで市民周知せよと求めてきました。市は「市のHPに連続掲載している」と応えています。しかし、市のHPは知りたいものを自ら探していかないと、知りたいものに行きつきません。市民のほとんどは個人情報が自衛隊に提供されていることを知りません。調べようがありません。

自治体には市民の個人情報を守る責務があります。自衛隊への情報提供は法定受託事務でやっているのであればなおさら、市民の個人情報が自衛隊に提供されることがあるとお知らせすることは、個人情報保護上前提として必要です。 

 

 これで日本共産党議員団の意見表明を終わります。