2022.9月議会 山本なおひろ議員の一般質問と答弁要旨

 

第1登壇

日本共産党議員団の山本なおひろです。私は、「生活保護制度」と、「国民健康保険」に関わるいくつかの問題について質問いたします。

まず「国民健康保険」についてお聞きします。

国民健康保険制度は、国民皆保険として誰もが安心して医療にかかれる、社会保障制度の根幹をなすものです。国保法第1条では「この法律は、国民健康保健事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記されています。相互扶助ではなく社会保障制度であることは明白であります。しかし、年々引き上げられる国民健康保険料は加入者の生活と健康を脅かし、「払いたくても払えない」状況が広がっています。そして、コロナ禍の中、多くの市民、とりわけ不安定雇用で働き口から解雇された人たち、女性、自粛を強いられた事業者たちが、「高すぎる国保料」が払えず、実質無保険と同様の資格証明書あるいは期間の短い短期保険証の状態になっているのではないかと懸念するものです。

 

 Q1  お尋ねいたします。直近3ヵ年の国保料滞納世帯数、資格証明書、短期保険証発行世帯数の推移をお示しください。 

 

答弁要旨

直近3か年の保険料の滞納世帯数等について、順次お答えいたします。

1 まず、保険料の滞納世帯数でございますが、令和元年度が7,893世帯、令和2年度が7,180世帯、令和3年度が7,122世帯、

2 次に、資格証明書の発行世帯数は、令和元年度が685世帯、令和2年度が579世帯、令和3年度が416世帯、

3 最後に、短期被保険者証の発行世帯数は、令和元年度が5,388世帯、令和2年度が4,508世帯、令和3年度が3,946世帯でございます。  以上

 

次に、「生活保護制度」についてお聞きします。

生活保護制度は、憲法25条で「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定された条文を根拠に、失業などで生活に困窮した国民の生存を保障する、最も重要な社会権の1つです。

しかし、最低限度の扶助費の中から、文字通り「爪に火を点す」ような生活を強いられている、利用者の方に今、かつてない物価高騰が生活を直撃しています。とりわけ2013年と2018年に、段階的に生活保護費が引き下げられてきたこともあって、この未曽有の物価高騰はかつてなく深刻です。中でも、電気料金の値上げにより、エアコンの使用を控える利用者もいらっしゃいます。しかし、今の暑さは、10年前、20年前とは過酷さが段違いです。気象庁によると1951年8月の平均気温(東京)は26.7度。2018年の同月は28.1度です。観測記録を連日塗り替えるような異常な猛暑が毎年のように到来し、もはやエアコンなしでひと夏をしのぐことはいのちの危険がある、ということに異論はないと思います。

特に高齢者の方は体温調節機能が低下し、熱中症発症の危険性が大きい。生活保護支援団体と保護利用者が、寒冷地における「冬季加算」のように、エアコン代を扶助するための「夏季加算」を厚生労働省に求め続けているのも当然であり、道理あるものだと思います。

 

  Q2 お尋ねします。記録づくめの猛暑の中、エアコン使用をためらう生活保護利用者の状況を、市として把握していますか。

そして、「夏季加算」などの措置を国が行わない中で、市独自に助成する考えはありませんか。

 

答弁要旨

冷房器具’一については、生活保護申請時の面談、実地調査での家庭訪問などの際に保有の有無を確認し、また定期的な家庭訪問の際にも同様の確認等を行っています。令和3年度末では、570世帯、率にして、4.1%の世(ぐ)帯が冷房器具を保有していない状況となっており、この中にはエアコンの風が苦手なため設置を希望しない方がいる一方で、保有している方でも電気代を懸念されるケースがあるとお聞きしています。

次に、夏季加算については、電気料金が生活扶助基準に経常的最低生活費として含まれていることから、市独自で助成を行う考えはございませんが、全国市長会等を通じまして、すべての生活保護受給世帯に対して冷房器具の設置や買替えを支給対象とするような制度の変更、加えて冷房器具使用に係る電気料金相当分を扶助する制度の創設について要望を行っており、引き続き国への要望を行っていきたいと考えています。          以上

 

 以上で第1問を終わります。以降は一問一答形式で質問します。

 

 

  第2登壇

 

  昨年の9月議会の一般質問でも申しましたが、広島市や名古屋市などでは、制裁的、懲罰的な資格証明書の発行を行っていません。

改めて、尼崎市もこれらの市に倣って、制裁的な国保行政を抜本的に転換するべきだと強く申し上げたいと思います。

 

次に、国保の減免制度についてお聞きいたします。

長引くコロナ禍と、原材料、物価高騰、消費税負担などで、中小業者をはじめ多くの市民は生活苦にあえいでいます。構造的に低所得者や年金者、無職の方たちで構成する国民健康保険制度において、あくまで補完的・救済的ではありますが、減免・軽減制度があります。

失業や廃業した場合の失業廃業減免、所得が前年比50%以上減少する見込みの場合申請できる所得激減減免、申請をしなくても一定の所得の世帯に適用される低所得世帯軽減、そしてコロナ禍で3割収入が減少した場合の「コロナ特例減免」などです。

 

Q3  お尋ねいたします。昨年度において、これらの減免・軽減制度ごとの適用状況はどのようになっていますか。

 

答弁要旨

本市国保料における減免等の令和3年度実績としましては、1、失業・廃業により所得が著しく減少した場合に適用される「失業・廃業減免」が、5,244世帯、2、その年の総所得見込額が前年に比べて50%以上減少する場合に適用される「所得激減減免」が、271世帯、3、新型=Mコナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者に係る保険料の減免、いわゆる「コロナ減免」が624世帯、4、最後に、低所得世帯に適用される「保険料軽減」が、40,916世帯でございます。

以上

 

 

Q4 お尋ねします。コロナ減免の申請の要件をお示しください。

 

答弁要旨

「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る保険料の減免」、いわゆる「コロナ減免」につきましては、主たる生計維持者が感染症の影響を受けた場合に、保険料の全部または一部を減免・するものでございますが、その申請要件といたしましては、

・主たる生計維持者が、感染症により死亡、または重篤な傷病を負った場合、

・あるいは、主たる生計維持者の当年の事業収入等が、前年の同一収入と比べて3割以上減少することが見込まれる世帯でございます。以上

 

このコロナ減免の収入に係る要件、主たる生計維持者の収入が、前年の収入に比べて、3割以上減少というものです。つまり前年の収入が大きいほど、3割減少する確率といいますか、可能性、容易さが広がります。しかしこの前年の収入からはコロナの影響でもらった給付金等を除外、差し引かなければならないことになっています。これでは3割減少となるハードルが上がらざるを得ません。国は税金の計算上はコロナ給付金を含めさせる一方で、こういった減免の計算上からは給付金を除外せよと規定する。少しご都合主義ではないかと思いますが、今ここでこの矛盾についてあれこれ言うことは差し控えさせていただきます。コロナ減免という制度の現状はこうであるということです。

 

しかし、減免対象から漏れる人たちを救う独自の施策を行っている自治体もあります。群馬県渋川市は、減収額の比較対象となる前年の収入に、持続化給付金を含めて計算すると減免対象を広げています。

  北海道の大雪地域広域連合では、国の基準で減免対象にならない加入者に独自の減免を実施しています。

 

Q5 お尋ねします。尼崎市もこれらの自治体に倣って、コロナ特例減免の対象から漏れる加入者に対する独自減免をつくるべきではないでしょうか

 

答弁要旨

いわゆる「コロナ減免」は、.一国の制度であり、その収入の考え方につきましては、国の

基準により、「国や都道府県から支給される各種給付金を事業収入等の計算に含めないこと」とされております。

議員ご指摘の、一部の自治体で運用されている「事業収入等に各種給付金を含める」という独自制度は、国庫補助や県繰入金の対象とならないことから、本市独自で基準等を緩和する考えはございません。

今後とも、コロナ減免の非該当世帯に対しては、可能な限り既存の減免制度による救済を図るとともに、真に生活が困窮し、保険料の支払いが困難な世帯には、個別に納付相談を行う中で、個々の事情に寄り添いながら適切に対応してまいります。 以上

 

次に、資産調べについてお聞きします。

先日私はある国保加入者の方から相談を受けました。 

その方は昨年、給与所得者から個人事業主として独立し、これまでのようには国保料が支払われなくなることを見越して「所得激減減免」と分納の相談のため国保課窓口に行きましたが、毎月の分納額で折り合わず、やむなくご本人が支払える金額で納めていました。払える資力があるのに、払わないわけではありません。コロナ禍、そして長引く不況もあって、精一杯絞り出して保険料を納めてきたそうです。

その後、その方の取引先、元請の会社に「照会文書」が送付され、本人との取引内容、締日、支払日、支払口座、直近4カ月の支払金額を調査されたそうです。元請先からは「こんなものが市から届いているが大丈夫か?」と言われて本人はびっくりしたそうです。すぐに国保課の窓口で確認したところ、担当者は、「資産調べをやる義務がある。いちいち本人に確認しなくてもできる」「生命保険料が払えるなら国保料を先に払うべき」「滞納分を1年以内に完済できないなら売掛金の差し押さえをする」と機械的な回答をされたということです。

Q6 お尋ねいたします。

  資産調べを行う判断基準はどのようになっているのですか。

 

答弁要旨

被保険者から保険料の納付相談を受けた場合におきましては、個々の事情をお聞きする中で、真に困窮されていると考えられる方に対しては、分納誓約の取扱いを行っており、合わせてご本人の実情を確認するため、資産調査のうち、預金及び生命保険調査も実施しているところでございます。

そうした中で、分納誓約の履行が確認できない時などにおいて、被保険者の申告外の給料等が判明した場合は、これまでの経緯や現状を適切に見極める中で、照会文書の送付などの対応を行うこともございます。 以上

 

なるほど、国保課も未納保険料の収納率を上げていかなければいけない立場もおありでしょう。予告なく資産調べすることができる、本人に確認せずともできる。しかし、今回のケースで言えば、商売をされている方たちの感覚からすれば、行政当局から「お尋ね文書」が送られてきたら、この場合元請先の方ですが、面食らってしまうわけですよ。「何かこの人は、不義理なことをしているのではないか」と不信感を持たれるおそれがあるわけです。また、売掛金を差し押さえられたら、取引を今後、うち切られてしまうかもしれない。

そうなると売上が減り、コツコツと分納で払っていた保険料も払えなくなってしまって、払える人が払えない人になってしまいます。国保料の未納額がこのままではいつまでたっても減らない、誠実不誠実な市民であるかどうかいちいち判断できない、ある一定のルールのもとで一律に適用しないと公平性が担保できない、そのあたりの理屈はもっともではありますが、しかし、そうはいっても高すぎる国保料で払いたくても払えない市民がたくさんいます。

 

  Q7 お尋ねします。 資産調べは慎重に行うべきだと思いますが、見解をお聞かせください。

答弁要旨

ただ今ご答弁いたしましたように、これまでの経緯や現状を適切に見極める中で、照会文書の送付などの資産調査を行うこともございますが、被保険者の実情を丁寧にお聞きしながら、可能な限り個別の事情に寄り添った対応に今後も努めてまいります。以上

 

次に生活保護制度についてです。

 夏季加算の必要性は、熱波とも言うべき猛暑、酷暑の中でますます高まっています。

 保護利用者のエアコン修理にかかわる問題についてお聞きします。

エアコンは耐久消費財であり、ある一定の年数が経てば当然不具合が発生し、猛暑の折にタイミング悪く故障の憂き目にあうことも当然あると思います。

 

Q8 お尋ねします。 

 現行の保護制度において、エアコン購入、修理にかんする規定はどのようになっていますか。

 

答弁要旨

冷房器具は家具什器費に含まれており、その購入に関する規定につきましては、

○保護開始時において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

○単身の被保護世帯であり、当該単身者が長期入院・入所後に退院・退所し、新たに単身で居住を始める場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

○災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては、災害により失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなうことができないとき。

○転居の場合であって、新旧住居の設備の相異により、現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず、最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき。

〇犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。という要件のいずれかに該当し、当該世帯に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合であって、必要となる時期を迎えるにあたり、最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがなく、真にやむを得ないと実施機関が認めたとき、とされています。

また、現行の生活保護制度におきましては、修理に関する規定はなく生活費の中から捻出していただくことになります。       以上

 

生活保護利用者は、エアコン修理のための扶助費が制度としてないために、社会福祉協議会の貸付金を利用することしかできません。しかもこの貸付金を利用するには一定の条件があって、条件を満たす利用者ばかりではありません。

この貸付金を利用できない方はやむなく、エアコンをつけるのを我慢して、やり過ごすといったことになります。

 生活困窮者ほど、電気代をはじめ生活にかかわるあらゆるものの値段があがってさらに生活が大変になっています。エアコンが壊れてしまったら文字通りいのちに関わります。

 ここは思い切って行政として購入時だけでなく、修繕費用に対しても補助、助成を行うべきだということを強く要望いたします。

 

次に生活保護制度の市民への周知についてお聞きします。

 

私は昨年6月に議員になってから、何人かの市民の方の生活保護制度申請相談を受けました。北部南部両保健福祉センターに市民の方と行き、職員の方の説明を受けながら私自身も制度の勉強をさせてもらいました。

 しかしそこで職員の方から出される書類は、「生活保護について(相談窓口説明用)」と書いたA4の用紙1枚、いわゆる“ペライチ”だけでした。この簡略な制度の説明の用紙も、紙幅の関係か、専門用語が多く初めての方には非常にわかりづらいと思います。 そして、申請の段になって大量の申請書類は渡されますが、制度の内容が記された書類はこれだけでした。相談員の方から、制度の概要、注意点などを口頭で説明していただきましたが、生活保護制度のより具体的、詳細に書かれたパンフレットの類が出されることはありませんでした。

各自治体では生活保護のしおり、パンフレットが作られているので、尼崎市でもあるはずだと思い、別の機会に保健福祉センターに出向いた際、窓口で生活保護制度のパンフレットの請求をし、窓口の職員の方からいただきました。それが資料で出している「生活保護のしおり」という、保健福祉センターが作成したパンフレットです。

 

 Q9 お尋ねします。誰でも気軽に生活保護制度を知ることができるよう、この「生保護のしおり」を、他の様々なパンフレット同様に、生涯学習プラザをはじめ、市の施設に置いて市民に制度の周知をすべきだと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

「生活保護のしおり」については、生活保護制度のしくみや基本的な考え方を、正しく理解し、適正に受給していただくために作成しているもので、生活保護法第25条を冒頭に掲げていることをはじめ、制度のあらまし等を記載しています。

この「生活保護のしおり」は、生活保護開始にあたって、多岐にわたる扶助の内容や権利義務について、誤解のないように正しく理解していただくため、世帯の状況に合わせて個別具体的な説明とともに手渡ししているものであり、窓口等に設置し、広く配布するといった予定はございませんが、引き続き、生活にお困りの方が地域振興センターをはじめ、生活保護以外の窓口に相談に来られた際は、関係部局間で連携し、情報共有を図る中で、個々の相談内容に応じて適切なサービスに繋げるなど、丁寧な対応に努めてまいります。    以上

 

  次に、「扶養照会の改善」ついてお聞きします。

2021年2月26日厚生労働省社会・援護局保護課は、各都道府県指定都市中核市の生活保護担当課にむけ、「扶養義務履行が期待できないものの判断基準の留意点等について」という事務連絡を発出しました。

この事務連絡には、「扶養義務履行が期待できないものの判断基準」の類型と運用について示されています。

 

Q10 お尋ねします。厚労省がこの事務連絡で、「当該扶養義務履行が期待できないものへの該当に係る判断基準」を明確化した内容についてお示しください。

 

答弁要旨

扶養義務履行が期待できない者の類型として、大きく3つが示されており、1つ目として、当該扶養義務者が、被保護者、社会福祉施設入所者、長期入院患者、未成年者、70歳以上の高齢者、専業主婦(夫)などの非稼働者である場合。

2つ目として、要保護者が当該扶養義務者から借金を重ねていたり、相続をめぐって対立している場合、縁が切られているなどの著しい関係不良の場合、一定期間(10年程度)音信不通で交流が断絶していると判断されるなど、それまでの生活歴等から、特別な事情があり、明らかに扶養ができない場合。

3つ目として、夫の暴力から逃れてきた母子や虐待等の経緯がある場合など。

となっています。  ・以上

 

さて、この扶養照会の判断基準に関わる記述が、この尼崎市の「しおり」にどのように記載されているか。

資料として出してます、2頁に「補足性の原理」の記述、保護の適用の前にまず優先されるいくつかの事項、例えばまず資産を処分、活用してください、また、就労できる能力がある方はできるだけ就労する努力をしてください、という中に、扶養義務者からの扶養の優先、という民法が規定する扶養義務者の扶養を優先することが書かれていますが、扶養照会の判断基準を書いたものではありません。

3頁下段「保護制度のQ&A」というQ&A形式の3つ目のクエスチョン、「扶養義務者に対する扶養の確認はなぜ必要なの?」の質問に対し、扶養義務者からの暴力等から逃れてきた場合などで扶養義務者に照会することが自立を著しく阻害すると認められる場合は、扶養照会を行いません」という回答が書かれていますが、これだけです、

  先ほどの厚労省が示した「扶養義務履行が期待できない者」の類型についての記述が、これでは全く不十分はないかと思います。様々な個人的な事情により、保護申請したくても扶養照会されることを心配して、申請そのものをためらう方もいらっしゃいます。原則と例外を明確に市民に知らせることで、申請する上での心理的なハードルを下げることが必要ではないでしょうか。

 

 Q11 お尋ねします。この「生活保護のしおり」に、扶養照会をする必要のないケース、改善内容をキッチリと記載すべきだと思いますが、いかがですか。

答弁要旨

生活保護制度は、憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するため、生活困窮者に対して等しく公平な適用が求められるもので、要保護者個々の事情を客観的に把握したうえで実施することが重要ですが、その制度内容は非常に複雑で、かつ、日々見直しもなされている状況です。

一方で、要保護者が制度を正しく理解したうえで、生活保護を受給することは重要であり、本市では、保護の相談を受けた際に、申請意思の有無や世帯の状況を聞き取るとともに、まずは生活保護制度がどのようなものなのか、例えば、自身の資産活用や他制度による給付等が優先されることや、国が定める最低生活費と自身の収入とを比較して、その不足部分が保護費として支給されること…等について、それらを2ページにまとめた「生活保護制度について」を用いて説明しており、その中で「扶養義務者からの援助が保護開始の要件にはならない」ということも含めて、扶養義務者との交流状況や扶養照会に関しても、丁寧な説明に努めているとこ

ろです。

そうした過程を経て、保護の申請がなされ、生活保護開始に至った場合については、多岐にわたる扶助の内容や権利義務について、誤解のないように正しく理解していただくため、改めて担当のケースワーカーから、制度のポイントを簡潔にまとめ、要保護者が読んでも理解

しやすいよう工夫した冊子、「生活保護のしおり」を用いて、説明を行っており、当然ながら、扶養照会に関しても、繰り返し、丁寧な説明に努めているところです。

「生活保護のしおり」等については、可能な限り平易な表現に努めつつ、必要の都度見直しをしており、紙面のスペース的な制約もありますが、今後も、誤った理解によって、生活保護が必要な方が、その申請を躊躇うことなどがないよう、生活困窮者に寄り添った対応を心掛

けてまいります。以上

 

 最後に一言申し上げます。国民健康保険と生活保護制度は、市民のいのちとくらしを守る「セーフティネット」です。コロナ禍の収束がまだまだ見通せない中、また、ロシアによるウクライナ侵略、異次元の金融緩和政策による円安が続く中、未曽有の資源高、物価高騰が市民生活を直撃して、多くの方が困窮しています。

 先月8月には2431品目の食品が値上げされ、9月から10月にかけては8043品目もの食品値上げが予定されています。

今行政が、生活保護制度をはじめとしたセーフティネット制度の存在を積極的に市民に伝えると共に、市民の生活や営業の実態に心を寄せ、国の施策の延長線上でない、市独自の施策を行うことが今こそ求められているという事を申し上げて、私の質問を終わります。