2020.12月議会 松沢ちづる議員の一般質問と当局答弁概要

日本共産党議員団の松澤千鶴です。

私は、コロナ禍が市民のくらしにどのように影響してきたのか、それに対して市が何をすべきかについて、主に国民健康保険や介護保険の事業を通じて質していきます。

また、地域の要望としてJR尼崎駅のホームドア設置についてもお聞きします。

 

 市長は、9月議会の場で来年度の予算編成の考え方として「コロナ禍の下、経済が低迷し市税収入が大きく落ち込むと予測している」と話されていました。

また、11月までに今年度だけでも11本のコロナ対策の補正予算をあげ、その中で生活困窮者の住宅確保支援で市営住宅の一時的提供や家賃支援を実施したり、事業者支援として事業継続支援給付金などを行ない、市民の生活実態に対応してこられました。そこで市長にお伺いします。

Q1 市長はこれまでのコロナ対策を通じて、コロナ禍が市民のくらし全般にどんな影響を及ぼしてきたと感じておられますか。

答弁要旨

この度のコロナウイルス感染症は地域経済に大きな影響を及ぼしており、尼崎市事業所景況調査においては、業況判断が全産業で急激に悪化し、製造業でリーマン・

ショック後の平成21年を下回るとともに、市内有効求人倍率も6年ぶりに1.0を下回る結果となっています。

また、「住居確保給付金」の給付など生活や住まいに係る「しごと・くらしサポートセンター」への新規相談者数は、2月から11月の実績で前年に比べ5倍を上回るなど、新型コロナウイルス感染症の市民生活への影響は甚大であると認識しています。

本市といたしましては、感染拡大防止はもとより、「市民生活への支援の強化」や「地域経済の活性化」などをコロナ対応の「五つの柱」として掲げ、市民一人ひとりに寄り添った支援や従業員の雇用を守り事業を継続している事業者への支援等を実施しているところです。一例を申し上げますと、議員ご指摘の「住宅確保支援」においては、住居に困られている市民15人に市営住宅を一時的に提供するとともに、「あまっ子お弁当クーポン」においては、生活が困窮している世帯の児童・生徒に対し、約24,500人分(延べ)の食事を提供することができました。

また、「事業継続支援給付金」の申請件数が3,400件を超えるなどの事業所向け施策については、当初の見込みより申請件数が非常に伸びており、本定例会におきましても予算の増額を提案させていただいているところです。

加えて、4月に開設した「新型コロナウイルス総合サポートセンター」では、これまで延べ6,400件を超える相談を受け付けており、市が実施する施策だけでなく、国・県も含めた支援制度や事務手続きについて丁寧にサポートし、体制を強化した「しごと・くらしサポートセンター」などとも連携して、困難を抱える方の迅速な制度の利用に繋げているところです。

現在、感染者が急増している「第3波」の状況にあり、現時点で、新型コロナウイルス感染症の影響や市の施段踊策が与えた効果などを総括できるにはありませんが、適宜、その進捗状況、市内外の感染状況や経済・雇用情勢などを見据えた見直し等を行いながら、引き続き、市民・事業者のニーズに寄り添い、その安全と安心を確保できるよう全力を尽くしてまいります。以上

 

(松沢)次に国民健康保険ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が30%以上減少した世帯に対する保険料の減免が行われています。申請者は11月25日時点で2,547世帯、これは国保加入63,381世帯の4.02%にあたります。そのうち所得が300万円以下の世帯が対象の100%減免が2,316世帯、それ以外で廃業・失業で100%減免が対象は64世帯になっています。

 

 次に、介護保険についても国保と同様に保険料の減免が行われています。

10月31日時点で237人、そのうち所得が200万円以下の人が対象の100%減免は165人、それ以外で廃業や失業による100%減免が19人とお聞きしています。私は、廃業・失業による減免件数がこんなに多いことに、あらためて驚きました。

 

Q2当局は国保料や介護保険料の減免申請を受け付ける中で、市民のくらしにどのような影響が出ていると感じていますか。

答弁要旨

国保被保険者に係る新型コロナウイルス感染症に伴う暮らしへの影響につきましては、国内で感染者が増加し始めた今年2月頃から、失廃業や収入減など、被保険者の経済的窮状を訴える声が窓口にも届きはじめておりました。

中でも、議員ご指摘のとおり、特に所得の少ない世帯を中心に所得減少による生活への影響を受けているものと感じております。以上

答弁要旨

介護保険料の減免に関して、今年度は通常の所得減少に伴う減免の人数が10月31日現在で249人となっております。この人数に加え、コロナ減免の申請人数が10月31日現在で237人上乗せされている状況であり、コロナ減免の要件が前年の収入の3096以上の減少等であることから、市民の方が経済的に困窮されている状況がうかがえ、特に所得の少ない方にとっては、日常のくらしに大きな影響がでているものと認識しております。以上

 

 (松沢)次に介護事業所などを対象としたPCR検査について伺います。11月に補正第11号で新規入所者に限って希望者に検査することが追加されました。12月から3月までで障がい者施設を含めて約700人を検査する規模です。

 昨日の徳田議員への当局答弁は、私の印象としては当局にコロナ感染症への危機感が足りないと思いますので、重複する部分がありますがあえて質問します。

感染拡大を抑えるために必要なのは社会的検査だと、専門家が指摘されています。

厚労省によれば11月24日時点で、全国の医療機関での院内感染が386件、高齢者などの福祉施設での設での施設内感染は452件に達しています。また、大阪府では、「第2波」以降に発生したクラスターのうち、医療機関と高齢者施設などでの発生が7割を占めています。

そしてそこに入院・入所する人の大半は高齢者であり、ここでの集団感染を防ぐことは、重症や死亡事例の発生を抑えることに直結します。コロナ感染症の治療法は確立していませんが、

Q3 市長は、なぜPCR検査 の対象を新規入所者だけに限ったのですか。感染防止の立場に立てば、ケア労働者やすでに入所されている人も対象にすべきではないですか。

答弁要旨

PCR検査事業の制度構築の過程において、議員ご指摘の介護従事者や全入所者へのPCR検査についても検討を行いましたが、集団感染の恐れがある施設等への定期的な検査は、「感染状況を確認できる」、「一時的に従事者や施設利用者等の不安を解消できる。」というメリットがある一方で、多額の経費を要するとともに、検査体制が逼迫し、検査を必要とされる方への対応が遅れる可能性があると考え、実施は困難と判断しました。

こうしたことから、介護保険施設等において、外部からの感染要因になりうる新規入所者を対象とすることで、検査体制等に影響が出ない範囲でより効果的に施設内におけるクラスターの発生予防につなげることができるものと考え、PCR検査事業では、新規入所者のうち希望する者を対象としたものです。(以上)

 

 (松沢)次に、JR尼崎駅のホームドアについてお聞きします。

視覚障害者の方がホームから転落し死亡する事故があとを絶ちません。最近でも東京都江東区で東京メトロの事故が起きています。

国は1日の乗降客数が10万人を超える駅のホームドア設置を2020年度までに達成する目標を掲げています。

JR尼崎駅は約9万人ですがJR西日本はそれらに準ずる駅として別途今後設置していく駅ととらえており、兵庫県もホームドア設置の対象駅にあげています。しかし、一向に設置に向けた動きが見えてきません。

Q4 これまでの県やJR西日本との折衝の経過を教えてください。

答弁要旨

JR尼崎駅のホームドアにつきましては、国が進めている乗降客10万人以上の駅には該当しておりませんが、JR西日本は、平成30年12月の定例社長会見において、JR尼崎駅を含む管内35駅の約90乗り場に、ホームドアを整備もしくは整備に着手すると公表しました。

それに合わせて、本市にも情報提供があるとともに、今後の事業計画等の詳細については、別途協議・調整させて欲しいとのことでした。

その後、昨年7月に、ホームドア設置対象は神戸線の普通電車が停車する上下線の2ホーム(4、5番線)、事業費は他駅の事例から約22億円、時期は令和2年度から調査・設計に着手予定等、具体的な事業計画の説明があったことから、県とも調整しながら事業費や費用負担等について協議を進めるとともに、他都市の事例研究を行ってきました。

こうしたなか、今年9月にコロナ禍での業績悪化により、JR尼崎駅のホームドア整備計画は延期せざるを得ない旨の報告があったことから、本市としましては、県とともにJR西日本の動向を注視しているところであります。以上

 これで第1問を終わります。第2問からは1問1答で行います。

 JR尼崎駅のホームドア設置について、日本共産党は9月3日JR西日本大阪支社に要望書を提出してきました。駅の安全は、視覚障がい者のみならず利用する市民全ての願いです。

Q5 市長にお聞きします。一刻も早くJR尼崎駅にホームドアが設置できるよう、強いリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、市長の決意のほどはいかがですか。

答弁要旨

鉄道駅舎のホームドアにつきましては、視覚障がい者のみならず一般利用者においても、ホームにおける転落・接触事故等の防止効果が高い設備であることは、認識しております。

また、ホームドアの整備は、JR尼崎駅の2ホームで実施した場合の事業費が約22億円であるように、エレベーター等の他のバリアフリー施設と比べても極めて高額なコストが事業進捗上、全国的な課題となっております。

しかしながら、本市としましては、鉄道施設の整備については、本来的には、その主体である鉄道事業者において行うものとの考えをもっております。以上

 

 (松沢)ホームドア設置で完全に転落事故が防止できるわけではありません。また、1日の乘降客が10万人以下の駅で転落事故の危険性が低いというわけでもありません。根本的な解決方法は、ホームドア設置とともにホームで駅員が安全確認できる体制をとることだと思います。日本共産党は、今後も安全に利用できる駅を求めて市民のみなさんとともに声をあげていきます。

尼崎市も積極的に取り組むことを要望しておきます。

 

次に移ります。

 日本共産党議員団は、コロナ危機が市民のくらしにどのような影響を与えてきたのかを知るために訪問や相談会を開く中で、聞き取りをしてきました。

あるお豆腐屋さんは「いつまで商売続けるかこれまでも悩んできたが、コロナで踏ん切りがついた。がんばってもこの先見通しが立たないから、もうやめるしかない」と盆明けから店を閉じられました。

地域で「おいしい」と評判のお店、みんなに喜ばれるのがうれしくて、80歳近くになっても夫婦でがんばってきた商店がコロナで消えました。

市の国民健康保険や介護保険の保険料の減免申請の状況から見ても、自営業の人や年金だけでは暮らしていけず定年後も働き続けている低所得の人たちから、コロナの影響が真っ先に押し寄せ、生活困窮が進んでいると思われます。今、第3波が広がりつつあります。今後年度末さらには来年度に渡って減免対象になった人たちの周辺にも生活の厳しさが広がると予想されます。国民健康保険料・介護保険料の負担感は、コロナ禍でなくても市民に重くのしかかっており、来年度も引き続き保険料の減免対応が求められるところです。

Q6 国から来年度の保険料減免について何か通知が来ていますか。 

Q7 来年度ひきつづき保険料減免を継続・拡充することを国に要望すべきと考えますがいかがですか。

答弁要旨

お尋ねのような通知は、現在のところ、届いておりません。

なお、国への要望につきましては、すでに、全国市長会を通じまして、新型コロナウイルス感染症対

策に関する重点提言として「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合においても、国民健康保険制度の持続可能な財政運営が行えるよう、国において必要な財政措置を講じること」を要望しているところでございます。以上

 

次に、国保についてお聞きします。

国保事業については、来年度の見通しとして、保険料を上げざるを得ないとお聞きしました。

その要因は、①葬祭費3万円から5万円に引き上げるために、県への納付額が約296万円増えること、②今年度の保険料について近隣市は引き上げたが本市はしなかった。その影響で来年度は引き上げざるを得ないといった説明をお聞きしています。

Q8 来年度の国民健康保険料は引き上げるつもりですか。市民のくらしの状況を見れば、保険料は最低でも今年度並みに、むしろ引き下げるべきではないですか。

答弁要旨

現時点におきましては、令和3年度の国民健康保険料の算定に必要な、県に納める納付金の額が確定しておりません。

したがいまして、来年度の保険料の水準につきましては、納付金の額が県から示された後に、検討してまいりたいと考えております。以上

 (松沢)国民健康保険事業基金が現在36億円あります。基金の活用については、国民健康保険事業基金条例で4点の規定を設けて運用されています。①国保事業に要する経費が財源不足になったとき②保険料が著しく増加が見込まれるとき ③国民健康保険条例第8条に規定する特定検診などの経費 ④その他市長が認めるものとなっています。おそらく2027年頃には県下同一所得同一保険料になると思いますが、そうなれば、保険料の著しい増加に対する緩和の財源に活用するといったこと自体なくなるのではないでしょうか。

Q9 2027年度の同一所得同一保険料を見据えて、基金をどのように活用しようと考えているのか、見解を述べて下さい。

答弁要旨

基金につきましては、同一所得・同一保険料の導入以降におきましても、保険料の歳入不足に伴う赤字補填などに活用する場合がございますことから、一定額を維持していく必要があると考えております。以上

(松沢)

 国保料の法定外減免に対する一般財源からの繰入は認められています。元々、なぜ国保会計に基金ができたのかといえば、国保加入の市民が、高すぎると悲鳴を上げながらも何とか努力して納め続けてきた国保料の繰越金ではないですか。著しい保険料の増加でなくても、保険料引き下げの財源に使うべきです。

Q10 一般会計からの繰入れを減らすために基金からの取り崩しをしていく運用は、コロナの影響で市民のくらしが厳しさを増す来年度はやるべきでない。その分は保険料引き下げ財源に活用すべきと考えますが、いかがですか。

Q11 葬祭費を3万円から5万円に引き上げるために必要な約296万円は基金の取り崩しで対応し、保険料に転嫁すべきでないと考えますが、いかがですか。

答弁要旨

先日、国民健康保険運営協議会においてご審議いただきました、葬祭費の引き上げにつきましては、本市の独自施策や一時的な措置ではなく、県下で支給額を統一し、県に納める納付金で負担し合おうとするものでございます。

したがいまして、原則、国・県の財政支援及び保険料により賄われるべきものであり、基金を取り崩して対応する考えはございません。以上

(松沢)

 国民健康保険の保険料算定だけにある「均等割り」。税金を収める能力のない子どもにも一人当り尼崎市では2.6万円かかってきます。これが子育て世帯の場合、他の健康保険に比べて2倍の国保料になっている大きな要因です。兵庫県も全国知事会を通じて廃止と代替財源措置を求めています。共産党議員団は昨年この問題を取り上げ、子育て支援の一助となる子どもの均等割り減免について、国や県がやらない間は市独自ででも取り組むことを求めました。市は「検討する」との答弁でしたが、市の財政負担が大きいということで実現に至っていません。

Q12 子どもの均等割り減免の実施を基金の活用で考えられませんか。

答弁要旨

子どもの均等割に係る減免につきましては、本市の独自減免のあり方などと合わせて検討してまいりましたが、現在実施しております特別減免が、多人数世帯の負担緩和に寄与していることや、県下の減免制度の統一により、短期的な措置となることが見込まれ、システム改修にも時間と経費を要することなどから、実施を見送ることとしたものでございます。

なお、兵庫県は、子どもの均等割について、制度設計の責任と権限を有する国に対して廃止と代替財源の措置を求めることとしており、本市といたしましても、同じ考えの下、国への要望を行っているところでございます。以上

(松沢)

 基金の活用について伺ってきましたが、いずれも尼崎市全世帯の28.84%に当たる国保世帯に対したいへん後ろ向きの考えだと思います。先ほども言いましたが基金の原資は国保世帯が納めた保険料です。国保世帯の負担軽減に活用すべきです。

 次に資格証について伺います。11月に入って、病院受診したある市民からお聞きしました。受付で会計を待っていたところ、立て続けに3人も10割負担が必要な資格証の人が窓口の職員さんとやり取りをしていたとのことでした。

Q13 資格証の発行は増えているのですか。

答弁要旨

本市国保における資格証明書につきましては、毎年12月1日付と4月1日付で発行しております。

実績値が確定しております、12月1日付発行分で申し上げますと、

・平成30年度は、550世帯、

・令和元年度は、464世帯、

・令和2年度は、393世帯と、減少傾向にございます。以上

 

(松沢) 資格証は国保料の滞納が続き何度も納付指導をしても改善しない時、発行されるものです。受診時窓口での本人負担は10割になります。そのため、少々しんどくても我慢をして受診されない場合が多く、全国民医連が毎年調査している「手遅れ死亡事例調査」では2018年度77件、19年度55件が報告されています。

 厚生労働省は資格証の人がコロナウィルス感染症で医療を受けたときは、全額公費負担にするとしていますが、医者が「コロナ感染症の疑いがある」と診断した時だけしか無料にならないので、経済的理由でコロナ感染が拡がっている時期でも受診控えは横行します。

Q14 本人の命を守りコロナ感染の広がりを抑え込むためにも、なにがしかの症状があるとき受診しやすい環境をつくることが必要です。感染拡大しているこの時期に限ってでも、資格証の発行は止めるべきではありませんか。

答弁要旨

資格証明書の発行に際しては、保険料の滞納が生じた世帯に対し、納付相談等できる限りの寄り添った対応をさせていただいているところですが、それでもなお、約束をお守りいただけない方や、市からの連絡に応じていただけない方については、公平性の確保を図る観点から、やむを得ず発行しているものでございます。

資格証明書が交付された被保険者は、原則として医療機関における窓口負担割合が10割となりますが、新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる被保険者については、国からの通知に基づく特例として、「発熱等受診・相談センター」から「診療・検査医療機関」を受診した場合等に限り、保険証と同様に、窓口負担が2割または3割で受診できることとなっております。

 また、この取扱いについては、12月に資格証明書が交付されている全世帯に案内文を送付しており、感染が疑われる症状が発生した場合は、まず初めに「発熱等受診・相談センター」にご相談いただくよう周知に努めているところでございます。

ご質問の「全ての世帯の資格証発行を止める」という一律的な取扱いは、考えておりませんが、コロナウイルス感染症の影響により、真に生活が困窮し、保険料の支払いが困難であるという方に対しましては、個別に納付相談を行う中で、可能な限り、個別の事情に寄り添いながら適切な対応をしていきたいと考えております。以上

 次に介護保険について伺います。

現在高齢者保健福祉審議会で第8期・来年度から3年間の計画を作っています。案の段階ですが基準保険料で、年76,944円から79,873円に2,929円のアップです。

Q15 来年度から介護保険料がさらに引き上げになる見通しですか。

答弁要旨

今後、介護需要の高い後期高齢者人口の増加に伴い、保険給付費も増加の一途をたどることが見込まれており、そのため、少しでも保険料の上昇を抑えるため介護給付費準備基金の全額取り崩しや、更なる保険料収納対策の強化に取り組んで参りますが、次期計画期間における介護保険料の上昇は避けられないものと考えております。以上

Q16 市民のくらしは困窮度が増しています。介護保険特別会計への一般会計からの繰入を行うなどして、保険料の引き上げは止めるべきと考えますが、いかがですか。

答弁要旨

 介護保険制度におきましては、事業に要する費用について、国、県、市、第2号被保険者保険料及び第1号被保険者保険料のそれぞれが、法令により負担割合が定められておりますことから、一般会計からの繰入により、第1号被保険者の保険料を引き下げることは認められておりません。

そのため、先程もこ答弁申し上げましたとおり、介護給付費準備基金の全額取り崩しや更なる保険料収納対策の強化等により、少しでも保険料の抑制に資するよう努めて参ります。以上

 

(松沢)厚労省が10月30日「介護事業経営実態調査」結果を発表しました。平均利益率は2年連続で低下し、過去最低となりました。昨年比較で訪問介護で-1.5%、通所介護で-2.2%、通所リハビリで-2.6%、施設系では0.1~0.3%のマイナスです。新型コロナウィルスが介護事業所を直撃しています。12月3日の東京商工リサーチの発表では、「老人福祉・介護事業」の倒産件数が112件に達し、これは介護保険の施行以降最多となった。また、「休廃業・解散」も過去最多となる見通しで、倒産と合わせて初めて600件を超える可能性が高まったとしています。

 尼崎市は7月末、第8期計画改定の基礎資料にするため、市内介護事業所のアンケート調査をしていますが、サービス稼働状況の問いで、コロナ禍以前に比べ「人員が不足しており、受け入れ数を制限せざるを得ない」「人員体制は整っているが、利用ニーズが少ないあるいはない」が増えています。ここからもコロナの影響が見て取れます。

Q17 介護事業所の現瞬間と今後の経営状況について、市はどのように見ていますか。市としてどのような支援が必要と考えていますか。

答弁要旨

昨日、土岐議員のご質問にご答弁申し上げたとおり、コロナ禍の影響が特に懸念される、通所介護及び訪問介護について、昨年3月から10月までの保険給付実績と、コロナ禍における今年3月から10月までの保険給付実績を比較いたしますと、1事業所当たりの月平均給付費は、対前年比で、通所介護では94.6%とやや減少、訪問介護では105.7%とやや増加、といった状況であり、コロナの影響は限定的なものであると考えられます。

しかしながら、事業所によっては大きな影響を受けているところもあり、通所介護では17%の事業所が、また、訪問介護では11%の事業所が、対前年比で保険給付費が2割以上減少している状況です。その一方で、通所介護では11%、訪問介護では2496の事業所において、保険給付費が2割以上増加しております。

傾向といたしましては、要支援認定者を中心に軽度の利用者が多い通所介護事業所ほど、コロナ感染への懸念による利用控えの影響を受けているものと考えられます。

今後とも事業所の状況把握に努めるとともに、連携を図り、適切な事業運営の確保に向けた支援に取り組んでまいります。以上

 介護は、人と近距離で接し感染症に対してたいへんリスクの高い仕事ですが、コロナ禍の下でも介護を必要とする人の暮らしや健康維持をお手伝いする必要不可欠なケア労働です。ここをしっかりと支援することが重要です。

 市はこれまで消毒液やマスク、防護服の支援はしています。それも必要ですが、今求められているのは、国や県の直接支援が届いていない事業所への直接給付だと思います。国などは収入が30から50%減少した場合に給付金の対象としてきました。しかし事業規模が小さい所が多い介護分野では、15~20%の減収でも事業運営は先行きの見通しがたたなくなっています。

Q18 市独自で介護事業所への直接給付を考えるべきだと思いますが、いかがですか。

答弁要旨

コロナ禍において、経営状況の悪化している介護事業所があることは十分に認識しておりますが、現段階では、今後の国からの臨時交付金の追加交付の詳細が不明であり、様々な小規模企業者や個人事業主が打撃を受けている中で、介護事業所のみに給付金を支給することは考えておりません。

以上

 生活支援サポーターの確保が全く進みません。市は今後、養成講座修了者が一人で訪問することの不安軽減のために、ヘルパー同行実習を加えたり、サポーターの雇用を考えている事業者に養成講座を委託することなどを考えているようですが、果たしてそれが要介護者にとって、また、事業者にとってプラスになるのでしょうか。

調理や部屋の掃除は生活支援サポーターでもできる、専門性のあるヘルパーは介護度の高い人の介護に当たるという考え自体がそもそも間違っているのではないでしょうか。

 ヘルパーの処遇改善を求めて運動をされている介護福祉士さんの訴えを紹介します。

2012年の介護報酬改定で、訪問介護の1コマは60分、45分、30分、20分と細切れに変えられた。朝、デイサービスに行くための介護や排せつ介助は、以前はできるだけオムツなしで済むように食後にトイレ誘導したり、本人が嫌がれば同意が得られるまで話を聞くことができたが、今は30分しかないので本人の気持ちにかかわらず「さあオムツ替えますよ」になってしまう。掃除も部屋の隅々までできず、丸く掃いておわり。ヘルパーが忙しそうに動き回ること自体、認知症の人を不安にさせてしまう。認知症の利用者の場合、認知症の世界を理解した上で接しないと不安が現われ、暴言や暴力がでてしまうことがあり、ボランティアが認知症の方のケアに当たるのは危険だ。国は細切れの訪問時間で無駄なくやれ、調理や掃除はボランティアでもできるだろうという姿勢だが、私は国による虐待のように感じている。介護に「生産性」や「効率性」を持ち込むと、利用者の人権侵害につながってしまう。

 こうおっしゃっています。そのとおりだと私も思います。

 

Q19 いつまでもサポーター養成に固執せず、質の良い安心の介護が提供できる体制を維持できるようにするためには、予防介護も要介護も生活支援を含めて、全て有資格者でサービスを行う。つまり、総合事業導入以前の形にもどすことを求めますが、いかがですか。

答弁要旨

標準型訪問サービスの担い手としての生活支援サポーターの数が確保できていないことは十分に認識しております。しかしながら、今後、介護サービスの担い手不足がますます深刻化していくものと考えられており、担い手の育成が強く求められております。こうした状況の中、今後とも引き続き、生活支援サポーターの養成を粘り強く続けることは極めて重要であると考えておりますので、総合事業導入以前の形にもどす考えはございません。以上

(松沢)

 私はこれまでの議会質問などで、予防介護・日常生活支援総合事業の導入で有資格のヘルパーさんが行ってきた生活支援サービスの報酬が8割、9割に削減されるのは理不尽だと主張してきました。コロナ危機でさらにその理不尽さに怒りを覚えます。

総合事業の国の補助金は上限額が決められており、市はそれに縛られています。上限額をオーバーする分は、財政調整基金の取り崩しで対応すればいいのではないですか。

Q20 総合事業で行っているヘルパー資格者の生活支援報酬を10割にもどすべきです。

いかがですか。

答弁要旨

(音声認識不可のため推測記述)…現在、身体介護を伴わない標準型訪問サービスをホ一ムヘルパーが行う場合の報酬を9割とする経過措置を当面の間は継続する考えであり、総合事業における国の上限額を考慮する中で、報酬を10割とする考えはありません。以上

 (松沢)今、国では介護報酬改定を巡って論議されています。社会保障審議会では、報酬アップしないと介護事業所の経営が危機的だといった意見が交わされ、それに対し財務省は「報酬アップは被保険者の保険料負担の増につながる」とか「コロナが介護事業者に与えている影響はそれほど大きくない」などと言っているようです。

 市が行った7月の介護事業者へのアンケートで、事業運営上の問題点を聞いています。

施設系、訪問系どちらの回答も「賃金が上げられない」「良質な人材確保が困難だ」ということが上位に上がっています。もともと全産業と比べて、介護労働者の賃金は月10万円も低い。その上にコロナ危機が追い打ちをかけていることが、このアンケートからもうかがえるところです。

Q21 国に対し、介護保険への国庫負担を今の25%からとりあえず30%に増やし、保険料や利用者負担のアップなしで介護報酬単価を引き上げるよう求めるべきと考えますが、いかがですか。

答弁要旨

介護保険の財源については、法によりそれぞれの負担割合が定められておりますが、国庫負担の割合を引き上げることについては、全国市長会等を通じて、国に要望を行っているところです。以上

 

 次にPCR検査についてです。

 金の問題、検査キャパの制限など課題は山積みだということは理解します。

Q22自治体として、感染拡大を抑え込み市民のいのちと健康を守ることが第一義的に求められることではないでしょうか。 市長の政治姿勢がまさに問われていますが、市長いかがですか。

 介護現場では今この瞬間も「自分が感染源にならないか」と不安を抱えながらのケア労働が行われています。

答弁要旨

市民のいのちと健康を守るためには、正しい情報の発信による不安の解消や、発熱等症状のある患者を適切に医療につなげることが重要だと考えております。

そのため、本市といたしましては、これまでも週報で感染状況をお知らせするとともに、『新型コロナウイルス感染症について「正しく恐れる」ための基礎知識と事例集』を活用し、新型コロナウイルスに関連する正しい情報を発信する等、市民の皆様の不安解消に努めております。

さらに、発熱等症状がある患者を、速やかに診療や検査につなげるため、発熱等診療・検査医療機関の拡充に取り組むとともに、兵庫県が行う、入院患者の病床確保や、無症状者や軽症者の療養を行う、宿泊施設の確保について、積極的に協力してまいります。以上