2020年3月 徳田みのる議員による意見表明

日本共産党議員団の徳田稔です。

会派を代表して2020年度予算並びに関連議案に対する意見表明を行います。

安倍政権は、昨年10月から消費税率10%へ引き上げを強行し、家計も経済も直撃しています。

こうした状況に加えて、新型コロナウイルス感染により先行きが不安となり、地域経済は深刻になっています。国の方針を受けて、幼稚園・学校が突然休校になり、卒業直前、学年末の別れで、子どもたちの学ぶ権利を奪われました。小学生は教室と児童ホームを利用していますが、校庭で遊ぶことが制限されています。給食の配食が求められ、すでに川西市や西宮市は,学校給食調理員がランチを始めています。保護者は「いつまで休まなければならないのか」と、いら立ちが強くなっています。

 

市は、感染拡大防止に努めながら、子どもの心のケアに配慮し校庭などの開放を認め、あまよう特別支援学校、あこや学園、たじかの園はスクールバスの運行、給食、障害に応じたケアを実施し、そしてすべての学校再開の展望を明らかにし、再開後は無理のない計画で、授業の遅れを取り戻せるようにすべきです。

新型コロナ感染に関する、緊急対応が行われますが、医療機関や福祉施設等へのマスク、消毒液など必要な資材の支給、衛生研究所の検査体制強化、中小企業・小規模事業者への思い切った支援策が求められます。

 

 さて市の財政は、赤字再建団体に転落するような、状況から脱したといわれてから、何年もたっています。市民がくらしのための施策を要望しても、「厳しい財政事情の下で実施できません」、という言葉が飛び交い、公債負担割合をいかに減らすかが、第一優先課題となっています。これでは地方自治の本旨である「住民福祉の向上」を、最優先する市政とは言えません。

 

 尼崎では、子どもの貧困問題が特に深刻です。他市に比べても市民の所得は低くて、ひとり親家庭が多く、就学援助は小中学生の4分の1が利用、子どもの貧困が進んでいることを、示しています。そのような中で虐待報告も多いなどの状況があります。いまこそ子どもの貧困対策に、取り組んでいかなければなりません。

 

また、いじめは人権侵害であるということを、認識して対応すべきです。ストップイットなど様々な手立て、対策が講じられていますが、スピード感のある取り組みを求めます。

 

 あまっ子ステップアップ調査事業は、小学1年から中学2年生を対象に学力調査と生活実態調査を実施するものですが、先生からは、「子ども達や教師の負担だけが重くのしかかり、そもそも学校教育には役に立たず異質な内容」と、悲鳴の声が寄せられています。この調査事業は大量の個人情報を流出させた、大手企業のベネッセが出題、採点を行っています。

公教育はすべての子に対して、わかる楽しさと生きる力・成長発達を見据えて教えるという、重要な役割があります。誰もが学習って楽しいと思えるには、テストづけの、学力向上ではできません。この事業は見直し、少人数学級で教師が余裕をもって、丁寧に教えることができる環境を整えるべきです。

 

 英語学習ホップステップジャンプの、ジャンプ事業は、これまでの高校生をマレーシアへ4週間から、オーストラリアへ2週間のホームスティになり、自己負担10万円が30万円へ増えます。ジャンプ事業に参加したいと思っても、多くの家庭は自己負担30万円を出すことができません。公平公正を欠くこの事業は見直すべきです。

 

 ファミリー世帯の定住転入促進のために、県下でも遅れている中学卒業まで、所得制限なしでの、子どもの医療費無料化を早急に実施すべきです。

 

産後ケア事業の目的は、退院直後から助産師によるケアや、育児指導などを切れ目なく行い、産後の育児不安を軽減するとなっています。昨年12月母子保健法が改正され、産後ケア事業実施が努力義務になりました。

国の指針では、短期入所型、通所型、居宅訪問型に分かれていますが、本市は居宅訪問型を採用します。すでに保健師が、妊娠期から1歳まで訪問支援を行う、無料の育児支援専門員派遣事業を、本市は実施しています。産後ケア事業は、短期入所型、通所型での実施を検討すべきです。

 

介護保険1号・被保険者保険料は、低所得者軽減が行われましたが、高すぎる保険料がくらしを脅かしています。一般会計から繰り入れを増やして、安心できる保険料にすべきです。

生活支援サポーターの養成に、努力されていますが、就労になかなか繋がっていません。そのため家事支援を、やむなく正規のヘルパーが対応しますが、報酬が1割カットされています。生活支援サポーター制度を見直し、報酬カットはやめるべきです。

 

昨年10月から、3歳から5歳までの保育料が無償化されました。それに伴い副食費の有料化や、認可外保育施設にも公費が投入されるようになりました。

保育制度の発足以来、公定価格の中に副食費が含まれていましたが、今回の無償化により、副食費が公定価格から外され、主食費とともに保護者から徴収することになりました。保育の一環として、主食・副食費への補助を求めます。
 さらに公立保育所については、4月からの無償化の財源を自治体が全額負担することになるので、統廃合や民営化がさらに進むのではないかと危惧されています。

 

認可外保育施設について、国は指導監督基準を設けていますが、5年間の猶予を与えています。指導監督基準を満たしていない施設を、無償化の対象から外すことが可能なことから、昨年の12月議会に、わが会派は条例を提案しましたが、制定されず残念でした。認可外保育施設についても、保育の質の確保や、子どもたちの安全を守るために指導の強化を求めます。

保育所の待機児数は2019年、隠れ待機を含めると671人、2020年度は昨年同様の670人相当になるということです。保育所の待機児童対策は、規制の緩和ではなく、保育の質を確保した認可保育所の増設で、対応すべきです。保育士の確保のために、処遇改善も不可欠です。公立保育所として残す老朽化した、杭瀬、次屋、武庫南の建て替え計画を直ちに策定し、ゼロ歳児保育の拡充、定員の拡大を図るべきです。

 

 児童ホームの待機児童対策は、60人定員の弾力的運用が8つの児童ホームで実施され、国基準に反して大規模化し問題です。40人定員の児童ホームの増設や、余裕教室を活用して、待機児解消を行うべきです。

また待機児童対策として、民間の学童保育が活用されていますが、2019年度の実績はわずか6人です。この人数の利用者では民間の学童保育への支援策は、有効な待機児童対策になっていません。民間の学童保育施設に補助金を出すより、公設公営の児童ホーム増設へ重点を置く政策転換が必要です。

2020年度より全校一斉で、子どもクラブでの夏休みの昼食で、弁当持参を認める対策が講じられます。シルバー人材センターに委託するとのことですが、設置目的の違う子どもクラブと児童ホームの混然一体の運営につながる危険性をはらんでいます。

 

国民健康保険制度には、他にない人頭税のような、均等割りという制度上の問題があります。全国市長会が、国に対して、均等割をなくし、国庫負担1兆円を投じることを求めています。同時に市独自でも国保料の引き下げに努力すべきです。尼崎の均等割りは一人当たり、年3万6千円、理不尽なものです。子どもの均等割りを減免することは、子育て支援にもなります。

国保が県単位に広域化され、市は県下一律の保険料となることを見通し、特別減免以外の法定外繰り入れをやめて、基金で対応するとしていますが、県下一律は何年先になるかはわかりません。一般会計からの繰り入れを継続すべきです。

 

グループホームの、障がい者が、土日祝日など自宅に帰った時、家から外出する際の移動支援が在宅ケアとされて、移動支援が認められておらず、家族に負担がのしかかっています。

特に近年では、障がい者と、ともに保護者である親もさらに高齢化して、家族だけでは対応することができず、ヘルパーを依頼したりして、金銭的な負担も多くなり悲鳴をあげているといった、実態となっています。尼崎市も支援制度がある西宮に倣って、対策を講ずるべきです。

 

地域総合センターは、他の公共施設と比較して、休館の設定や委託料等に問題があり、検証が必要です。

 

 気候変動が深刻化する中、国際社会は二酸化炭素などの、温室効果ガスを削減するための、脱炭素の取り組みを加速させています。環境都市宣言を行っている本市として、一層の取り組みを強めるべきです。

 

 中小企業資金融資の新規受付を、本年4月から停止するとしています。融資受付は継続して、消費税増税やコロナ問題で、売り上げ減に陥っている、中小企業を救済するための、特別融資を創設すべきでです。

 

近年、高齢単身者や障がい者、低所得者にとっては、家賃が高い、バリアフリーの住宅環境が整っていないことから、安心して入居できる住宅が得られ、にくくなっており、大変深刻な状況が生まれています。

市は市営住宅立替等・基本計画で、市営住宅の管理戸数10,887戸から9,255戸まで削減する計画をすすめています。今でも高い入居倍率の、市営住宅の戸数削減をせず、高齢者、身障者が安心して住める、住宅を整備すべきだと考えます。

また2018年からは、空き家利活用の一環として、子育てファミリー世帯や新婚世帯が、市内の空き家の戸建て住宅を取得し、改修工事を行う場合に工事に要する費用の、一部を補助する事業や、空き家エコリフォーム補助事業を実施しています。

しかしこれらの補助制度は限定的で、市民のニーズにマッチせず、結果応募件数も少なく、年ごとの予算も、減らし続けています。空き家やエコに限定せず、すべての住宅や店舗を対象にした、リフォーム助成制度を実施すべきです。

 

身体障害者福祉会館・移転事業費ですが、FM計画に基づき、教育・障害福祉センターの2階に移転するものです。機能は変わらないとのことですが、床面積は3分の1減少し、不便になることは明らかで、見直すべきです。

(仮称)健康ふれあい体育館整備事業については、福喜園と武庫体育館を機能統合するものです。福喜園の機能は低下させないとの説明ですが、床面積は大きく減少して、風呂がなくなり、サービスの後退は明らかで、再検討すべきです。 

 

市は市民課窓口の利用の軽減を図り、証明書のコンビニ交付を促すため、説明会を開き、マイナンバーカードの普及を熱心に進めています。市内事業所や地域団体などに、職員が出向いて受付を行い、本人限定の受け取り郵便で自宅に送付するとしています。

マイナンバーカードは情報漏えいや、なりすまし被害が指摘され、多くの市民から不安の声が上がっています。マイナンバーカードの発行、マイナポイント事業は、一度立ち止まって議論が必要です。

 

 業務執行体制の見直しについてです。これまで業務を見直し効率化を図りつつ、民間で対応できるとされるところは、アウトソーシングを実施、そこで生じる人員を行政の役割が増える部署に、重点的に配置していく計画を実施しています。すでに本庁の市民課窓口やサービスセンター、さらに上下水道の各種業務、道路や公園の維持などが実施されています。

これまでも偽装請負、市職員のスキルや、市民サービスの低下問題など、何度も指摘してきました。特に災害時の対応がどうなるのかは深刻な問題です。更なるアウトソーシングの推進は、理解できません。

ゴミ収集についても、市は直営の比率を2018年の52%から、19年は35%、そして21年度はさらに24%にまで引き下げ、アウトソーシングを加速させています。直営であったからこそできた対応力が失われてしまいます。

 

 武庫地区の雨水貯留管の計画変更の、基本的な考えが示されています。発進立て坑は武庫之荘総合高校の敷地内から進み、シールドマシンを地中に残置させるとしています。

説明会は、またしても工事を行う周辺だけにとどまっています。住民側は単に地域に貯留管をつくるだけの問題ではない、と考えるようになってきています。武庫川が氾濫したらどうなるのか、集中豪雨の時の内水浸水対策はどうするのか、総合的な治水対策がどうなっているのかを、突き詰めて考えなければならないと思っています。

貯留管をつくるだけの工事とした、市の対応は改めるべきです。県や流域事務所と連携し、総合治水対策、防災・減災の観点で積極的に地域に出かけて説明すべきです。。

 

市民共済の補助金のあり方についてです。総括質疑で市は、「外郭団体などへの人的支援は、人事異動の調整の中で決定しており、結果の確定が3月中旬頃になるため、人的支援と人件費補助の内容を当初予算で示すことは難しい」と答弁されてますが、市民共済は当初から元局長級を指名してきており人事異動とは関係ありません。また、年度に入ってから人件費補助を求めてくる順番は、適切ではないことを指摘しておきます。

 

県道園田西武庫線整備事業は、現在藻川にかかる橋梁の工事と並行し、東園田地域の基礎工事に着工しています。周辺住民の合意を得ておらず、市民は「生活環境を破壊される」「個人資産を奪われる」「周辺住民のコミュニケーションが分断される」といった不安をかかえています。地元合意ができず、急ぐ必要のないこの事業は凍結すべきです。

 

モーターボート競走事業会計については、住民合意である年間180日を超えての開催で問題です。

以上で意見表明を終わります。ご清聴ありがとうございました。