第1登壇
私は、今回「保育所の待機児解消と保育の質について」「教育問題について」「尼崎子どもの生活に関する実態調査の結果について」を質問します。
最初は〈待機児解消と保育の質〉についてです。
今年度4月1日現在で、保育施設等に入所できなかった児童数は624人、前年度同月より184人の増加でした。ただし先日、国が定める要綱に基づく待機児数は156人という報告がありました。156人というのは、入所申込み提出がされており入所要件に該当しているが、入所できていない児童の数であり、多いことには変わりません。昨年度は公立保育所の定員増や小規模保育事業の設置、弾力枠を活用した定員以上の受け入れをおこない、現時点ではこれ以上の対策がないというところまで努力しました。しかし様々な対策に努力されても、それを上回る希望者の増がありました。そして今年度は、来年度に向けた取り組みとして認可保育所(1か所90人)や小規模保育事業の新設(16か所297人)認定こども園への移行・改築(1か所20人)私立保育園の改築(3か所)24人、企業主導型保育事業(9か所69人分)、の受け入れ増を事業拡大で対応しようとしています。
質問:来年度に向けた待機児対策では、事業拡大で約510人分の対応。弾力化運用で637人分を見込んでいます。この弾力化対策は実現可能ですか?どんな方法での弾力化対策ですか?
答弁
保育の受入れにかかる弾力運用につきましては、これまでも法人保育施設において、.定員の20%の制限の範囲内で児童を受入れいただいたところです。このことは市の待機児童数の抑制に結び付いていることから、平成29年度に中間年見直しを行った子ども・子育て支援事業計画においては、今後見込まれる保育需要への対応策として、これまでの利用定員に加えその受入れ見込み数を計上したものでございます。またこれに併せ、公立保育所においても各施設の環境を整える中で弾力受入れを積極的に実施することといたしました。計画で見込んでいる637人の弾力枠の内訳としましては、473人分が従来の法人保育施設での受入れ実績で、今後も同規模で継続することを想定しています。残り164人分は、公立保育所で新たに受入れを拡大するものでございます。これらについては、受入れ環境や保育の質に影響のない範囲で行うことを基本に、法人については本年度新規事業である新卒保育士確保事業等様々な受入れ支援策を講じる中で、また公立保育所については、保育士の採用数増や施設改修による保育スペースの確保等により対応してまいります。以上
また企業主導型保育事業は、保育基準がない無認可の保育事業です。企業主導型保育事業による待機児解消は、保護者が選択するのは仕方ないとしても、市が待機児解消の手段にするものではないと思います。これでは保育の質が保たれるのかが問われます。いかがですか?
答弁
企業主導型保育事業は、従業員の福利厚生の一環として企業が主体となり保育を運営するもので、従業員の子どものみならず、地域の子どもも利用できる認可外の保育事業所であり、本市内には平成30年4月時点で11 か所設置されております。事業の運営に当たっては、認可施設と同等の運営費が国から助成され、保育の質や安全の確保については、国の委託を受けた法人が、全事業所に対し定期及び随時監査を実施するともに、本市も指導監査を行っています。同事業は、保育需要が増え続けている中、保育の受け皿として、国が平成28年度に制度化したものであり、市としましても待機児童解消のための一つの手段と考え、中間年見直し後の事業計画の確保策として計上しているものです。以上
(まさき)続いて〈教育問題について〉です。
尼崎市は徳田前教育長が退職され、文部科学省から松本眞教育長をお迎えしました。私は松本教育長に尼崎市の教育方針をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
就任から2か月経過しました。尼崎市の教育状況はどのように見えておられるのでしょう。松本教育長にお聞きします。
質問:新教育長は、尼崎市の教育の課題は何であると考えておられますか、また今後の教育方針も併せてお聞かせください。
答弁
教育長に着任して以来、施策評価の策定を通じ、これまでの教育施策の振り返りを行いつつ、成果と課題を認識したところでございます。
また、時間の許す限り学校現場に足を運び、教育施設の視察や学校行事等への参加を通じて、学校長等から現状を聞き取り、課題の把握に努めてまいりました。`そうした中、学校の施設・設備の老朽化対策や、教員の年齢構成の偏りによる管理職のなりて不足と急激な若返り、教員の多忙化など、全国で共通する多くの課題が見えてまいりました。
また、今後予定している中学校給食の実施、不登校や就学援助などの課題、さらには学習習慣の確立、自尊心の確立など、尼崎市において特に配慮すべき課題も多くあるものと考えております。私といたしましては、これら課題はすべて解決すべき重要な課題と考えており、また、いずれもが互いに関連する課題と考えております。
尼崎の子供が、”自ちの持てる能力を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生の作り手となっていけるよう、①確かな学力の育成、②心の教育の充実、③家庭・地域・学校の連携の推進、④安全な教育環境の確保等の取組を総合的に進め、子どもたちの「生きるカ」の育成を図ってまいります。以上
(まさき)さて今年から「あまっ子ステップ・アップ調査事業」を開始することが決まりました。
この事業は、子どもの学力向上を図るため、小学1年生から中学2年生までを対象に、学力調査と生活実態調査を行うものです。この調査を全学年で実施するのは兵庫県内では初めてのことです。結果を分析した上で課題を見つけ、翌年度の学習計画に反映させる。改善と検証のサイクルを確立させ、尼崎市全体の子どもの学力の底上げをするとしています。3月議会の総括質疑で、徳田前教育長は最後の答弁に立ってあまっ子ステップ・アップ調査事業について、「今度新たに始める事業では、一人一人の子どもがどこでつまづいているか、教師がどう援助すればいいのかの教育の糸口が見つかればよい。事業の中でこれが成功すればありがたいと思う」と期待と不安が入り混じった答弁をされていました。
現在、小中学校現場では小学4、5年生、中学1、2年生は、尼崎独自の「学力・生活実態調査」をおこなっています。また、「全国学力・生活実態調査」を小学6年生と中学3年生に行っています。全国と尼崎の生活実態調査では、共通の質問があり、かなり詳しく聞いています。そこで導き出された分析結果・今後の取り組みも共通していました。つまりは重複している、さらに同じことを何回も繰り返す調査は必要はありません。松本教育長にお聞きします。
質問:「あまっ子ステップ・アップ調査事業」県内で初めてとなる事業です。徳田前教育長は「成功すればありがたい」と言われました。学力向上に効果的なのかもわからない事業です。この事業を行うために、子どもの負担と教師の多忙化は、はかり知れないと現場の教師は大変危惧しています。教育長はさらなる学力・生活実態調査について、どのような見解をお持ちですか?お聞かせください。
答弁
「あまっ子ステップ・アップ調査事業」は、調査対象を、小学1年生から中学2年生までに広げ、経年変化を分析する中で、よりきめ細かな指導の充実や学習状況の改善を図ることを目的とし、これまでの「学力・生活実態調査」に替えて行うものです。子どもたちが学校における学習指導により、どのように変化したかを正確に把握するためには、経年変化を追うことが不可欠であり、このことにより、教員にとっては、調査結果を受けて自分の指導を振り返り、次年度の学習指導や授業内容に反映させ、また、その取組を検証するという、継続的な指導力向上に向けた循環が生まれるものと考えております。子どもたちにとっても、自分自身の成長を振り返るとともに、課題が明らかになる中で、次の目標に向かって主体的に学習することができます。また、調査実施に当たっては、教員の負担が生じないよう、問題作成、一採点、集計等を業者に委託することとしております。こうしたことから、「あまっ子ステップ・アップ調査事業」は、教員にとっても、子どもたちにとっても、学力向上に直結した効果的な取組だと考えております。以上
(まさき)1問目の最後は〈「尼崎市子どもの生活に関する実態調査」の結果について〉です。
「尼崎市子どもの生活に関する実態調査」(以後「調査」と略します)では、相対的貧困層に置かれている子どもたちの状況を見る中で、学習や進路、友達関係、大人との関係、将来の夢、「頑張ればいいことがある」という自己肯定感等、小学生は意欲的な回答が多いのに比べ、中学生になると少し否定的に物事を考えてしまう傾向がありました。またこれは私個人的な思いですが、尼崎の子どもは元気で前向き、友達と遊ぶのが大好きな子どもが多いこと、大人に信頼を寄せていることに、尼崎の子どもの強さを見た気がしました。
質問:市長と教育長にお聞きします。「子どもの生活に関する実態調査」の結果をご覧になり、どのような感想をお持ちですか?それぞれお答えください。
答弁
(市長)子どもの生活に関する実態調査の結果から、相対的貧困層とそれ以外の世帯、または、ひとり親世帯とふたり親世帯を比較してみますと、相対的貧困層やひとり親世帯では、例えば学校の授業以外の学習時間が短いことや、学校の勉強の理解度が低いこと、落ち着いて勉強できる場所を持っている人が少ないことなどの傾向が見られ、子どもの置かれた厳しい状況を改めて認識いたしました。子どもの生まれ育った家庭環境と、その子どもの生活習慣や学習習慣の関連についての調査は、今回が初めてであり、調査結果につきましては、今後の事業実施の参考となるもので、貧困の連鎖を防ぐ観点で効果的な施策に繋げたいと考えております。以上
(教育長)本調査の結果から、相対的貧困層はそれ以外に比べ、小・中学生とも「1日あたりの家庭での学習時間が短いこと」、「学校の勉強が『わかる』割合が低く、『わからない』割合が高いこと」、「『落ち着いて勉強できる場所』を持っている割合が低いこと」など、厳しい学習状況の子どもたちがいる実態を改めて認識いたしました。教育委員会といたしましては、格差を拡大させないためにも、引き続き、学力向上を最重要課題と位置づけ、授業の改善、家庭との連携による学習習慣の確立など、子どもたちが確かな学力と豊かな心を身につけられるよう、取組を進めてまいります。以上
(まさき) さて、この調査では回収率が39%と低く、特に相対的貧困層からの回答が十分に得られていないという問題がありました。
そんな中でも相対的貧困層の半分以上がひとり親世帯ということです。
私は、今回の調査で、保護者の生活状況が、貧困層とそうでない層の格差が出てきていると思いました。今回は、ひとり親世帯の支援に注目して質問をしていきます。
今回調査の分析結果でもひとり親の厳しい生活状況や精神的に追い込まれている状況について次のように書いてありました。「相対的貧困層とともに、ひとり親世帯に特に顕著にみられることがわかります。たとえば食事を作るなど子どもに対するケアの度合い、子どもと一緒に何かをして過ごす機会とその度合い、各行事への参加の度合い、不安や身体の不調など心身の状態、経済的な困窮など、多岐にわたっています。ひとり親世帯の保護者の状況を踏まえた支援のあり方を検討することは重要です」と述べてあります。ひとり親世帯はそのほとんどが働いています。それも半分以上がパート・アルバイトです。Wワーク・トリプルワークで夜中まで働いています。それでも経済的困難があります。たとえ相対的貧困層には入らなくても、その差は紙一重です。
質問:ひとり親世帯の支援の検討とはどんなことを考えておられるのでしょうか?
答弁
国が定めた「子どもの貧困対策に関する大綱」において、子どもの貧困対策は、一教育の支援、生活の支援のほか保護者に対する就労の支援や経済的支援等の総合的な支援が必要とされております。また、相対的貧困層が少なくないひとり親世帯に対しても、その抱える様々な課題に対応することが求められております。こうした国の方向性に即して、現在は、ひとり親世帯への支援としまして、児童扶養手当や母子家庭等自立支援給付金などの取組みを行っておりますが、今回の調査結果から、ひとり親世帯では毎日食事を作る割合が低いことや、心に関して気になることがある割合が高いなどの傾向が見られることから、ひとり親世帯が安心して子育てしながら生活していくための支援についても検討していきたいと考えております。以上
これで第1問目を終わります
第2登壇
第2問目の最初は、保育所の待機児問題についてです。
先日、法人園長会の代表の方が、待機児対策についての申し入れに来られました。
現場の方々は「待機児対策には、保育士確保が一番。今保育士不足が危機状態にある、来年度からは保育士不足による定員減を考えなければやっていけないという状況。これでは事業を拡大して待機児解消に対応できない」という事でした。
尼崎市は新卒の保育士は1年が経過したら10万円の報酬金を渡すとの政策を挙げています、それを否定はしませんが、保育士が長期的に生きがいを持って働けるような支援が必要です。
昨年度は、保育士の処遇改善を求める陳情がでました。陳情者によると「勤めて10年、給料は月額15万円。子どもの保育料を払うと残らない」とのことでした。2~3年働くと、他都市の条件がいいところに再就職するというパターンがあります。せっかく育てたのにやめてしまうと園長が嘆いていました。近隣都市間の保育士争奪戦も起こっています。2013年に東京都がおこなった調査では、保育士調査で退職または退職を考えている保育士にその理由を聞くと、①給料が安い(65.1%)②仕事量が多い(52.2%)③労働時間が長い(37.3%)でした。保育士の給料が低いのは、国の保育単価で算定されている保育士の給与単価が低いこと、また加えて朝夕の長時間保育、延長保育、一時預かり保育などの対応に、国で定めている配置基準と実際の人員が見合っておらず、多めに人員を配置しなければならず、そのために国が定める給与単価より実際の給与がさらに下がっています。保育士不足を解消しなければ市は、保育の弾力化を求めても、とても受け入れられる状況ではありません。
保育士の処遇改善できるよう、保育の公定価格の引き上げと配置基準を引き上げることを、緊急課題として国県に求めるべきです。また市独自の対策が必要であると思います。
質問:保育士が尼崎市の保育園で10年・20年と夢を持って働ける。長期的な支援、安定した生活の保障が必要です。 国に対して保育の公定価格と配置基準の引き上げを緊急的に求めることが必要だと思います。また保育士の配置基準と実際の配置実績が合わない分は、市が支援を行い、保育士の給与単価の引き上げに努力するべきです。いかがですか?
答弁
公定価格の引き上げについては、保育の質の向上や保育士の処遇改善等につながることから、過去からも全国市長会や中核市市長会を通じ必要な要望等を行ってきたところです。次に、年齢毎に保育士1人当たりの受け持ち児童数を定めた国の配置基準の引き上げについては、保育士不足が深刻な中、現行国基準の範囲内でより多くの児童を受け入れることが待機児童対策として有効と考えることから、国へ改善を求めることは考えておりません。従いまして、待機児童解消のための保育士の確保・定着を最優先課題とする本市といたしましては、保育の質や安全の向上に向けての取組は欠かせないものと認識していますが、基準以上の保育士配置を理由とした独自の支援は現状では考えておりません。(以上)
(まさき)次は教育の問題についてです。
全国学力テストで毎年最上位になっている福井県では、教師から激しく叱責を受け続けた中学生が自殺をするという痛ましい事件をきっかけに、昨年末、県議会が「県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」を採択しました。同意見書は「学力日本一を維持することが本県全域において学校現場に無言のプレッシャーを与えている。日本一であり続けることが目的化し、本来の公教育のあるべき姿が見失われてきたのではないか」と述べています。
徳田前教育長は3月議会で、学力の問題で「自ら学ぶ時間と力、教えてもらうのも大切ですが、すくなくとも中学生くらいになったら自分で一人でもきちんと勉強できる習慣をつくっていきたい」と言われていました。教師は学習の道しるべをつける、一人一人の子どもに寄り添った丁寧な授業が求められます。教育効果があるといわれる「アクティブラーニング」また放課後学習クリエイト事業の充実と教師の加配で学力は伸びています。さらなる学力向上と教師のゆとりを保証するためには、少人数学級や図書司書等の人員配置こそ必要であると考えます。
質問:市長と前教育長は、国と県に対して少人数学級をすすめることを要望されていました。
松本教育長は、少人数学級についてはどのように考えておられますか?
答弁
現在、国においては、小学校1年生は35人学級とされ、2年生以上は40人学級とされているところ、兵庫県においては独自に小学校4年生まで、35人の学級編制を実施しているところです。教育委員会といたしましては、個に応じた指導を充実させるには、少人数の指導が望ましく.少人数学級は必要だと考えております。このため、これまでも「全国都市教育長協議会」において、少人数学級の早期実現を要望してまいりました。今後も引き続き、教育長会議等を通して、文部科学省や兵庫県教育委員会に対し、少人数学級の推進について、要望していきたいと考えております。以上
(まさき)次は「公立高校複数志願選抜の新通学区域」についてです。
兵庫県教育委員会は、2014年度の高校入試から公立高校通学区域が16学区から5学区に再編されました。尼崎市はそれまで単独学区だったものが、尼崎・西宮・伊丹・宝塚・丹有に広げられました。そのため近隣市から交通の便が良い、尼崎の高校を受験する生徒が増えました。近隣市と比べて学力が低い尼崎の子が尼崎の高校からはじき出されるという状況が続いています。2015年当初は232人、2年目は213人、3年目は278人の子どもが尼崎の公立高校に入れませんでした。今では小学生の保護者からも「中学校になったら半分くらいに入っとかないと公立高校に入れないだって、うちの子、大丈夫かな?」、また中学生の保護者は「子どもが4人いるのでどうしても公立高校に入ってもらわないといけないのに、本人がなかなか勉強してくれない」「先生から公立に行くのなら、遠くの学校を選ばないと入れないと言われた」と保護者が集まれば不安の声があります。
私はこれまで学区拡大によって、尼崎の子が近くの公立高校に入れない現状を訴えてきました。前教育長は、「生徒にとっては多様な学校を選べるようになった。また尼崎の高校が選ばれる学校になった。」と答弁されていました。その上で受験者数に見合う定員数の増加・クラス数の増加等を県教育委員会に求めておられました。
質問:松本教育長にお聞きします。尼崎の中学生の状況、複数志願選抜通学区域についての見解をお示しください。そして尼崎の受験生のために、どのような努力をされますか?
答弁
生徒にとっての多様な選択肢の確保と、高校の魅力・特色づくりを目的とし、平成27年度から公立高等学校の通学区域と複数志願選抜の改編がされ、4年がたちました。
今年度の入試において、新しい入試制度となって以降、進学者の割合がもっとも高くなっていること、また、昨年度と比較して本市から他市町の公立高等学校への進学、他市町から本市の公立高等学校への進学がともに増加していることなどが特徴であり、これは通学区域が拡大したことにより、中学生にとっては多様な進路選択が進んだものと考えております。また、本市にある公立高等学校が、他市町の生徒からみても魅力のある高等学校となっていることは喜ばしいことだと思っておりますが、本市の生徒が自分の希望する進路を実現することができるよう、さらなる学力向上と、進路指導の充実に取り組むとともに、市内の公立高等学校の定員数の増加についても、引き続き兵庫県教育委員会に求めていきたいと考えております。以上
(まさき)次は「尼崎子どもの生活に関する実態調査」についてです。
保護者アンケートで、私は相対的貧困層の保護者が「よく肩や腰が痛くなる」等体の不調や「不安な気持ちになる、イライラする」等の精神的ストレスの割合が高いことに注目しました。
体の不調があっても経済的な理由で、病院に受診せずにずーと我慢している状況が伺えます。そのことが蓄積され精神的にも追い込まれるということになっているのではないかと思いました。生活経済基盤の弱い母子家庭は家族の一人が病気になるとたちまち生活が成り立たなくなる。母子家庭等医療費助成事業(以後母子医療と略します)は、安定と自立の促進を図るための福祉の一環であり、だからこそ子どもだけでなく、親・養育者も含めた世帯・家庭全体の支援として進められてきました。期限は子どもが18歳に達した日の年度末までです。所得制限があります。
2014年兵庫県は、母子医療の所得制限を、児童扶養手当の一部支給額(所得限度額192万円)から全部支給の19万円に引き下げました。大幅引き下げにより保護者・高校生2607人が対象外となり3割負担に、また小中学生は乳幼児医療、子ども医療に移行された1681人のうち子ども医療に移行した1068人については自己負担が増えました。合わせると4288人が、母子医療から外されてしまいました。ある保護者から「心療内科で睡眠薬をもらいながら仕事をしていたが、母子医療が受けられなくなり、受診が出来ず薬が飲めない。不眠が続き朝起きれなくて仕事に行けなくなり辞めざるを得なくなった。生活保護に頼るしかない。尼崎市から見捨てられた」と抗議がありました。当時、尼崎市は県制度に準じて母子医療の所得制限を大幅に引き下げました。しかし宝塚、西宮、芦屋、神戸市は市独自で助成し、従来通りの所得制限を維持しました。また明石、西脇市、福崎町は子どもの医療費については、192万円の所得制限にしています。
質問:2014年当時、近隣都市は所得制限を据え置く中、尼崎市は県どおりにしました。
据え置くという選択肢は考えなかったのか、お答えください。
答弁
母子家庭等医療費助成事業につきましては、当時の県行革の取り組みの中で、ひとり親世帯と同程度の所得水準である他の子育て世帯を比較した場合に、医療費助成の対象範囲や負担額において不均衡が生じており、より公平な制度として維持するために、制度の見直しが行われたものでございます。こうした中、本市において、単独で見直し前の制度を維持していくにためには更に約1億円の事業費が必要であったことから、今以上に厳しい当時の財政状況を考えますと、県制度に合わせた見直しはやむを得なかったものと考えております。以上
(まさき)ある母親は「母子医療の対象外になり、この4年間一度も病院に行っていない。自分の事は我慢してしまう」「子どもが学校から歯や眼科の検診で要治療の用紙をもらってきても、病院に連れて行けない。お金がかかるでしょう。」と話してくれました。
母子家庭の友人は「子どもに喘息があったので薬が欠かせなかった。母子医療の適応から外され大変ショックだった」と当時を語っていました。
あれから4年、私はあの時の無念さを忘れることができません。また今回の調査では、相対的貧困世帯の約5割が「食費を切り詰める」「新しい服や靴が買えない」「美容室に行くのを減らした」「レジャーや趣味の出費を抑える」。そして約2割の人が国保や年金、家賃の滞納がある。約1割が医者にかかれなかった。約6割~7割が貯金をしたいができない等、貧困層とそうでない層の格差が鮮明に出ていました。
これらの悩みや困難さを一人で抱え込むのがひとり親世帯です。そんな中生活上の困難さを抱えながらも、しっかり子どもを育てようと頑張る保護者の姿、また「今が幸せ」と感じている保護者が7割おられることも、この調査でわかったことです。大阪市では「シングルマザーをひとりぼっちにしないために」のシンママ大阪応援団という大阪社会保障推進協議会の団体があります。物心ともに相談・支援をおこなう、子ども食堂も含めた仲間つくり、シングルマザーに寄り添う団体です。また明石市では離婚しても一緒に子育てをするという考えのもと、養育費支援に取り組んでいます。
最後の質問です:市として経済的な支援も必要です。加えて心を支える、安心して子育てができる等のサポーター的な取り組みも必要なのではないかと思います。市の見解をお示しください。
答弁
本市では、この5月から、子育て関連の手続窓口を北館2階のワンフロアに集約し利便性を高めるとともに、子育ての悩みや困り事など日常の身近な相談に情報提供やアドバイスを行い、必要に応じて専門的な支援機関につなぐなどの利用者支援事業に取り組んでおります。併せて、ひとり親支援といたしましては、これまでから母子・父子自立支援員による生活・就労相談等を受けております。困り事の本質を共有し、一緒に課題を整理したうえで、適切な支援につなげることが重要と考えており、養育費や慰謝料、面会交流等に係る情報提供等をはじめ、庁内の各種手続窓口には一緒に同行するなど、寄り添い型の支援に努めているところでございます。今後とも、ひとり親世帯が安心して子育てができる取組を進めてまいりたいと考えております。以上
これで2問目を終わります
第3登壇
少人数学級の実現は、教育長の太いパイプをフルに使って、文科省に要望してほしいと思います。お願いします。
保育所の待機児解消については、保育士の処遇改善の取り組まなければ、尼崎の保育は衰退していくばかりです。現場の保育園が悲鳴を上げています。その実態をきっちりつかんで、適切な対応をしてください。
教育問題では、1人1人の子どもに教師の目が行き届き、学習の遅れがちな子どもにも丁寧に対応し、多忙化を解消して教師が準備に十分時間をかけ、創意あふれる授業ができるようにしてこそ、子どもたちに確かな学力を豊かに保証することができます。これ以上の学力・生活実態調査は要りません。
「子どもの生活に関する実態調査」の結果では、やはりひとり親世帯への支援が急がれます。母子医療の所得制限を、引き上げでは今回取り上げようと準備していたら、健康福祉委員会での議案が出てきました。一般質問では十分に要望できなかった分、委員会では十分審議していきたいと思います。これで私の質問すべて終わります。ご清聴ありがとうございました。