2012年6月市議会一般質問 辻おさむ:琴浦市営住宅跡地活用

6月6日の本会議で一般質問をしました。要旨をお知らせします。

辻おさむ市政レポートNo.184(2012.6.10.)
日本共産党尼崎市会議員 辻 おさむ

辻おさむ

次に、琴浦市営住宅跡地のスーパー銭湯への土地貸与について伺います。

尼崎は、戦後の高度成長期に人口が増え、地方から「金の卵」といわれた労働者が多数、入ってこられました。当時の住宅事情では、企業の寮や木造、パートで対応したため、風呂のない住宅が多数存在します。

尼崎市の公衆浴場は、兵庫県内の3分の1が集中しています。

家にお風呂のない人は、約1万人といわれ、市内の銭湯は、市民の衛生保持だけでなく、高齢者の癒しの場、見守り活動の一翼を担っているとの自負を持ってがんばっておられます。

阪神淡路大震災の時には、西宮・芦屋・神戸からの被災者を受け入れてきました。

私も、駅前で「銭湯の場所を書いた地図」を配って、案内したものです。

大庄西町の私の近所のお風呂屋さんには、いまでもそのときに世話になったからと西宮から時折お風呂に入りに来ている人もいます。

しかし、年々、銭湯を取り巻く情勢は厳しくなるうえに、尼崎はスーパー銭湯の激戦地区でもあります。そこへ、市役所が、公衆浴場に近接する市の土地にスーパー銭湯を誘致するのでは、既存の銭湯はたまったものではありません。

予算委員会の中でも、各会派が問題点を指摘したところです。

 浴場組合からの質問状

さて、尼崎浴場組合連合会から3月19日に尼崎市にたいして「質問状」がだされました。

「スーパー銭湯が名乗りを上げた時点で、なぜ国や公衆浴場を所管する部局の見解を求めなかったのか」

「公衆浴場組合との十分な調整を行なわず計画を決定、推進できるのか」「浴室を有しない世帯も含めた市民の意見が、事前調査に反映されているのか」

銭湯が淘汰されたとき、「地域住民の日常生活において保健衛生上、必要なもの」である浴場施設を尼崎市は財政支出をしてまで確保するのか――などです。それぞれ、もっともな質問です。

3月28日の尼崎市の回答は、次のものです。

「今回の提案された施設は、その他の公衆浴場の一つであるスーパー銭湯と呼ばれるもので、大型の駐車場を確保し、温浴施設だけでなく、岩盤浴、エステ、ボデイケア、フィットネススタジオを併設したレジャー型の施設であり、設置の目的、施設の規模や集客対象の範囲が異なっている」。

つまり、対象にする客の範囲が違うので問題はないという態度ですね。

この回答をうけたあとも、浴場組合の方々は、納得されていませんでした。

4月11日に、市の担当部局と、浴場組合連合会との協議の場が持たれ、翌12日に浴場組合連合会有志が再度の質問状を出されています。

その内容は、「住み分けについて、どう考えて、どう各部署に指示を与えるのか」ということについて、担当者でなく市長自からの考えを聞かせてほしいというものでした。

これにたいし、4月24日に、市長名で回答されました。

回答は、「温浴施設が営業されることによって既存の公衆浴場に全く影響を及ぼさないとは考えておりません」というものでした。

 銭湯への影響は考慮しなかったのか

そこでお聞きします。この回答は、市長自身の考えと受け取っていいのでしょうか。 また、選考する当初から、既存の公衆浴場に影響を及ぼすという認識があったのでしょうか。

あったのならば、なぜ事前に協議しなかったのでしょうか。

なかったのなら、地元商業者への影響を考慮しなかったことについて、どのような反省をしているのでしょうか。

資産統括局長

琴浦住宅跡地につきましては、温浴施設の建設のため、4月18日付けで、事業者と一時使用賃貸借契約を締結したところでございます。

この温浴施設は、岩盤浴を中心としたレジャー志向の強いもので、300台程度の駐車場を確保し、市内はもとより市外からの集客を見込んだ施設であることから、設置の目的や規模、集客の対象が公衆浴場とは異なっているものと認識しております。

しかしながら、こうした違いはあるものの、温浴施設が運営されることにより、周辺の公衆浴場に全く影響がないとは言い切れないため、議員ご指摘のような趣旨で市として回答したものでございます。

また、このたびの跡地活用の提案募集にあたりましては、地域イメージの向上や市財政への貢献を目的とし業種を限定せずに広く公募したもので、総合的に選考した結果、温浴施設に決定したものでございます。

こうした業種に決定したことにより、周辺の公衆浴場への影響を一定考慮する中で、事業者に対し公衆浴場との住み分けとして、入浴料金について提案のとおりとするよう、改めて強く申し入れを行ったところでございます。

今後とも必要があれば、事業者と協議してまいりたいと考えております。

銭湯を尼崎の魅力に

辻おさむ

今回、誘致されるスーパー銭湯は、20年間の定期借地であり、20年後には出て行きます。それ以前にも撤退することも考えられます。

一方、尼崎の公衆浴場は、長年にわたって尼崎市民の公衆衛生保持のために貢献してこられました。

最悪の事態は、スーパー銭湯が進出することによって、周辺の銭湯がつぶれ、その後にスーパー銭湯が撤退することです。

そのためにも、尼崎市が、公募時の料金設定を守らせるよう、強く要望しておきます。

ちょうどいま、人気コミックを映画化した「テルマエ・ロマエ」という映画が公開されています。日本のお風呂屋さんと、古代ローマの浴場を結びつけた楽しい映画です。

尼崎の浴場組合でも、お風呂屋さんが注目されているときをチャンスにしようと、市内の銭湯をマップにして、振興を図ろうとされています。

そこでお聞きします。市内に50以上もある公衆浴場は、尼崎の特徴でもあり、資産でもあります。尼崎の魅力を作り出すことにつながる可能性もあるのではないでしょうか。公衆浴場が多いといった魅力を生かした振興策を考えるべきだと思いますがいかがでしょうか? 市長の考えをお聞かせください。

企画財政局長

市としての公衆浴場への支援策といたしましては、これまで、公衆衛生の観点から、水道料金の減免措置等を実施してまいりました。

今回、本市における公衆浴場が多いことを資源とした新たな振興策のご提案につきましては、現在のところ考えておりませんが、浴場組合として、市内銭湯マップを作成された場合には、PRの協力等について、検討してまいりたいと考えております。

▲競艇場駐車場と の関係

辻おさむ

次に、競艇場との関係です。

誘致するスーパー銭湯には、約300台の駐車場がつくられる予定です。

競艇場の公営駐車場は、競艇場敷地内の南側に集約され、競艇を開催していないときは、時間貸し駐車場として利用されています。

また、民間の駐車場も、少なくはなりましたが競艇場の北側に存在しています。

もともと琴浦市住跡地の一時活用にあたって、周辺駐車場への影響があるため、「駐車場にするためには貸さない」ということではなかったでしょうか。

それなのに、スーパー銭湯に300台の駐車場ができると、その使われ方によっては周辺駐車場に大きな影響が出てきます。

そこでお聞きします。スーパー銭湯の駐車場設置は、既存の周辺駐車場にどのような影響があると考えているのでしょうか。

また、スーパー銭湯の駐車場と競艇場周辺駐車場との利用の住み分けはどのようにするのでしょうか? そのための対策をどのようにするつもりでしょうか?考えを聞かせください。

資産統括局長

温浴施設に併設する駐車場につきましては、あくまで施設利用者を対象としたもので利用者数を勘案したうえで必要な台数が確保されるものであり、その管理につきましては、事業者がゲートを設け、温浴施設の利用者の利用に供するものとなっております。

 公有地の活用は市民の声を反映させよ

辻おさむ

さて、種々、琴浦市住跡地活用についての問題を指摘してきました。

こうした問題は、今回の公有地の土地利用についての選考が職員だけでおこなわれたという問題があります。予算委員会では会派議員がただしましたが、選考委員会の議事録さえ作られず、検討内容も非公開です。

市長は、東日本大震災のガレキ広域処理の受け入れを検討するにあたって、2回も直接、市民の意見を聞かれました。市バスの経営のあり方についても、公営審で具体的検討に入る前に市民説明会を開いています。

しかし、琴浦市住跡地の活用については、市民の意見を聞かずに決めてしまいました。一貫性がありません。市長の政治姿勢が問われるもので
す。

大庄地域では、これから大庄西中学校跡地についても本格的な活用方策が検討されるでしょう。また、最終的にどうなるかはわかりませんが、市全体の公共施設の再配置、あるいは小中学校の統廃合による市有地活用が、課題にされようとしています。

これら、ひとつひとつが、まちづくりや、地元経済への大きな影響を及ぼすものと考えられます。それだけに、今回の琴浦市住の選定方法での問題点を市として総括する必要があるのではありませんか。

そこでお聞きします。

今後の公有地の土地利用については、地域産業の影響、市民の暮らしへの影響を考慮したうえで、職員だけでなく市民の声を反映させるべきではないでしょうか? お答えください。

資産統括局長

この度の琴浦住宅跡地の活用につきましては、平成20年度から21年度に設置されていた大庄中部《未来につなぐ》まちづくり市民委員会において、ご検討いただきそのご提案を踏まえ、暫定的な土地活用を図ったものでございます。

今後とも、こうした大規模な市有地の土地活用につきましては、周辺環境はもとより、まちづくりを進める上においても、大きな影響を及ぼすものであることから、その検討にあたっては、市民、地域住民の皆様のご意見をお聞きする中で、慎重に進めてまいりたいと考えております。