予算特別委員会最終日に辻おさむ幹事長が意見表明をしました

OLYMPUS DIGITAL CAMERA発言の内容です

おはようございます。辻おさむです。日本共産党議員団を代表して意見表明を行います。「戦後70年」を迎える今年、安倍政権によって、憲法改悪、「戦争をする国づくり」がすすめられようとしています。70年という年月は、戦争を経験しない国民が大半を占めるようになるなかで、歴史を過去に逆戻りさせようとする策動をゆるさず、日本の平和と憲法を守り抜くために重要な節目でもあります。いま地方は、住民のくらしの困難、福祉・医療の危機、地域経済の衰退など、深刻な問題に直面しています。しかし、地方の衰退は、政府の失政が招いたものではないでしょうか。消費税増税と円安誘導による物価高が、くらしと地域経済を直撃しています。福祉・介護・医療への国庫負担の削減は、人手不足や「介護難民」、「医療崩壊」を深刻化させ、保険料などの重い負担を強いています。大規模小売店舗法(大店法)廃止が身近な商店街をつぶすなど、大企業優先の政治が地域経済を破壊してきました。安倍政権は、これらの失政への反省もなく、「地方創生」「アベノミクスの地方への波及」などといっていますが、消費税再増税、社会保障切り捨て、雇用破壊の「アベノミクス」は、地方の衰退をさらに加速させるだけです。こうしたもとで、国の制度変更にともなう施策が、新年度予算にも盛り込まれています。

まず、「地方創生関連事業 まち・しごと総合戦略」についてです。人口増につながるファミリー世帯の定住・転入促進は大切ですが、これは都市間競争で若い人を奪い合っているだけで、日本全体、地域全体の人口が増えるわけではありません。若い人の安定した雇用が確保できないなどで、結婚しない人が増え、結婚してもゆとりのある生活ができないことは、人口が減り続ける原因ともなっています。安定した雇用と地域経済を活性化し、くらし、福祉、教育を中心に子育てしやすい環境をつくっていくことが求められています。

マイナンバー制度は、政府は「行政手続きが便利になる」といいますが、多くの国民は制度を知らないうえ、膨大な個人情報を国が一手に握ることへの懸念、情報漏れの不安も広がっています。国民のプライバシーを危うくする仕組みづくりを強引に推進することは乱暴だと言わなければなりません。

生活困窮者対策として、「自立相談支援」「就労準備支援」「学習支援」「住宅・生活支援」が盛り込まれています。もともと生活困窮におちいることそのものは政治の責任といわなければなりませんが、生活困窮者に対する支援は必要です。ただし、この制度がいわゆる「水際作戦」=本来生活保護が受けられる世帯を受けないようにさせる運用にしてはなりません。生活困窮者の生活実態、法の精神にしたがって、生活保護の申請権を侵さない対応を要望しておきます。

こども子育て支援制度が新年度から導入されます。「地域型保育」が新たな事業として展開されるのですが、これまでの認可保育所の基準を下回る状況が生まれています。いずれの事業のもとでも、今後、子どもたちが等しく同一の条件で育てられる環境づくりをめざしていくことを要望します。

 児童ホームは、こどもクラブと、全く違う制度です。しかし、市が行おうとしている土曜日開所は、これまでの方針を覆すかのような、子どもクラブと児童ホームの渾然一体とした運営であり問題です。一線を画した事業として実施すべきです。

つぎに、産業振興についてです。市場・商店街等安全・安心対策では、7割以上の空き店舗のある市場商店街のアーケード撤去などを行うもので、安全、防犯対策として必要な面もありますが、3割の店舗は営業されています。そのお店の対策としてワークショップが実施されますが、わずか2団体です。残っているお店の対策を強化しなければ市場商店街の撤退に手を貸す事業となってしまうことを指摘しておきます。

中小企業資金融資制度は、利用件数が、平成24年度53件、25年度25件、26年度は12月までで6件と、激減しています。中小企業、小規模事業者の要求に合う利用しやすい融資制度に改善することを求めます。

産業振興の基本的な考え方をしめす産業振興基本条例に基づき、施策の方向性を検討する産業振興推進会議が開催されます。産業振興にあたっては、尼崎市内に多い小規模事業者の声がどれだけ事業に反映されるかがカギです。産業振興会議に小規模事業者の参加を求めます。

環境モデル都市 住宅エコリフォーム助成については、もともと①環境の取り組みの促進、②市内業者に発注した場合に補助金を1.5倍にし、地域経済の振興に役立てようという二つの目的がありました。今年度、1000万円の予算でしたが実績は4分の1程度、来年度には半分の500万円だけ予算計上したものの国のエコポイント制度実施に伴い、予算執行そのものを取りやめるものです。取りやめるだけでなく、この制度の検証が必要だと思います。なぜ4分の1の実績に終わったのか。エコに特化したことが市民ニーズに合っていたのか、市内業者の仕事づくりとしてどうだったのか、等々です。使いにくかったのであれば、エコをはずして一般的な「住宅リフォーム助成制度」として、市内業者の仕事づくりに役立つ制度に再構築するのも一つの方法です。意見として述べておきます。

つぎに、稲村市政がすすめるまちづくりと土地活用の方向について意見を述べます。「旧聖トマス大学」については、大学廃止にいたった経過からも、慎重な対応が必要であり、施設の活用にあたっては、予期せぬ出費という面もあり、公共施設の全体計画との整合性や、地域住民の意向を十分に聞くことを要望するものです。

「地域交通政策の策定」については、日本共産党議員団は、かねてから総合交通政策を主張してきましたが、本来、あらゆる交通手段を総合的に検討したうえで、バス交通の役割を位置づけるべきでした。順番が逆だといわなければなりません。

「自動車運送事業」については、「民営化補助金」は、「経営改善補助金」にすべきです。また県立総合医療センターのオープン後は、市民の移動の自由を守る立場から、杭瀬からの増便、園田、武庫川からの直行路線の検討、あるいは県に、シャトルバスの運行を要請すべきです。

「公共施設マネジメント推進事業」をはじめ、「旧梅香小学校敷地複合施設整備」 「尼崎東高等学校跡地活用」 「若葉小学校・啓明中学校敷地活用、  大庄西中学校跡地活用」など、学校跡地活用の事業が目白押しです。学校施設の多くは、建設時に土地の提供など尼崎市民の協力なくしてはできなかったものであり、地域住民の意見を十分に聞いたうえで、活用方向を決めるべきです。「尼崎東高等学校跡地活用」については、園田地域の複合施設の在り方について多くの住民から意見が出されており、住民の合意が得られる内容にすべきです。「旧梅香小学校敷地」に予定されているホール機能については、労働福祉会館の代替ということを忘れてはなりません。かつて労館は、結婚式や各種集会など、飲食も可能な使い勝手のよいホールとして、多くの市民に利用されてきました。新しいホールは、中央公民館の付帯施設ではなく、労館のように、市民だれもが気軽に使える施設にすべきです。

「地域学習館」について、運営補助金は来年度までとされています。趣味のサークルや生きがい促進など、多くの住民が利用している施設が継続できなくなることは市民にとって大問題です。なかには、「部屋を利用した人が掃除をして帰る」ことを徹底して経費を節約し、再来年以降の運営費を備蓄するなど、努力をしている地域学習館もありますが、それも限界があります。再来年以降の補助の在り方を検討すべきです。

「県施行街路事業地元負担金」のうち「園田西武庫線」については、移転交渉の内容も非公開のまま負担金のみ支出するのは問題があります。「競艇場事業」については、住民合意である年間180日を超えての開催は問題です。

つぎに、市民生活と健康にかかわる問題です。「犯罪被害者等支援」に関しては、条例化されたことは、大いに評価します。しかし、過去の犯罪被害にあわれて苦しんでおられる被害者の救済や、他都市で行われている被害補償の立て替え制度が盛り込まれていないなど、不十分な点は、今後の条例運用の状況をみて、改善を求めるものです。

「市民窓口改善事業」は、市民課窓口を民間委託するものですが、かつて入力業務を委託事業から嘱託職員に戻した経過があります。きわめて偽装請負になりがちな危険をはらんでいます。当局は、指摘された点を踏まえて対応するといっていますが、市民の個人情報を扱う部署だけに、そこまでして民間委託する必要があるのか疑問です。

「国民健康保険」について、尼崎の国保料は、一貫して、阪神間で一番高い水準が続いています。新年度は、同じ所得、同じ家族構成で阪神間を比較すると今年度の一人当たり85,479円に対して、新年度は、87,909円で2,430円高くなります。同じ所得・家族構成で比較すれば阪神間一高い国保料になると見込まれ、国保加入世帯の生活を痛めつけます。保険料引き下げのために、さらなる努力が必要です。

アスベスト検診では、環境省によるアスベスト対策として、データ収集を目的として実施されてきた「リスク調査」が、来年度より検診実施に伴う課題の調査を目的に、「試行調査」として実施されます。検診内容の後退にならないようにして、恒久的な健康管理体制の拡充と市の責任による疫学調査の実施を求めます。

次に「平和啓発推進事業」についてです。私は、4年前、原爆被害者の会への年間補助金7万円を削除したことについて、総括質疑をしました。原爆被害者の会の人たちが高齢化していること、核爆弾の脅威を体験した苦しみは大変なものであり、その体験は貴重なものであることに思いをはせたからです。もう一つは、稲村市長が県議時代もふくめ、集会などでご一緒するなかで、平和は守りたい、核兵器は廃絶したいという見識をお持ちだと思っておりましたから、補助金の削減を非常に残念に感じたからです。その後、「事業補助に」と、原爆の「語り部活動」への補助となり、今年度は、語り部活動や被害者の会で作成された「紙芝居」をDVDにまとめられ、先日、上映会が開かれました。教材としても、市民への平和啓発の材料としても、大いに役立てるべきだと思います。上映会では、原爆被害者の方々のあいさつがありましたが、一人の方が体験を語っておられました。広島での原爆投下直後、熱風が自分の体の上を通り過ぎ、起き上ったときには周りは瓦礫と化し、誰もいない。宿舎に帰る途中、ただれ、はがれた皮膚を指先から垂らしながら水を求めるおびただしい人びと…。聞きしに勝る地獄絵ですが、まるで昨日(きのう)のように克明に語っておられました。今年は、戦後70年であると同時に、ヒロシマ・ナガサキの被爆70年でもあります。被爆体験を風化させずに、次の世代に引き継いでいくのは、今の世代の役割でしょう。また、今年は核兵器廃絶へむけたNPT国際会議が開かれます。完成したDVDも活用し、市民への平和・核兵器廃絶にむけた取り組みを強化するよう要望するものです。

次に、子どもと教育の問題です。「学校適正規模・適正配置推進事業」については、遠距離通学を余儀なくされることや、通学路の安全対策など多くの課題があります。児童・生徒、保護者・地域住民の意見を十分に汲みつくすよう要望します。

公立幼稚園の最大の魅力は「保育料が安いこと」と「歩いて行ける身近な場所にある」ことです。今回の保育料の大幅引き上げで、この魅力が失われます。2年続きで定数を割る事による暫定園の廃止を食い止めようと頑張っている地域・関係者の努力に冷水をかけるものです。

読書力向上事業で、教育委員会は、今年度までの言語力向上事業との違いをるる説明しますが、発展させた事業であることは否めません。これまで嘱託職員は、専門の能力をもつ職員として、尼崎市に貢献をしてきました。これからもそうした嘱託職員の能力が欠かせません。教育長の答弁を聞いていますと、「嘱託職員のノウハウは、習得したので、もういりません」「今度は、短期の臨時職員でこと足ります」と聞こえてなりません。ノウハウだけは取り込んで、あとは安い臨時職員に置き換え、ワーキングプアをつくるやり方で、どうして優秀な人材が集まるでしょうか。反省すべきです。ここで一言いわなければならないのは、来年度の新規事業の発表が2月になったことです。市長は、今後改善をする旨の答弁でしたが、やはり、議会・市民の意見を聞きながら事業をすすめるのであれば、早期の公表がのぞましいのは言うまでもありません。その弊害がもっとも強く出たのが、「言語力向上事業」に携わってきた嘱託職員の方々ではなかったでしょうか。こうしたことの一つ一つで、市民の信頼をえるやり方をすすめないと、「尼崎らしいまちづくりのルール検討」といっても、魂の入ったものになりません。

「中学校給食」について、市長が実施の方向を決断されたことは、高く評価します。いまや全国的にも兵庫県内、近隣自治体でも中学校給食は「あって当たり前」になりつつあります。問題は「できるだけ早く」ということと「よりよい給食を」という課題を、「同時にどうすすめるか」ということにあります。その点で、来年度の検討委員会が1回でいいのでしょうか。市長は総括質疑答弁で「任期中に約束はできないが」と言われましたが、総括でまさき議員が明らかにしましたように、「尼っこ検診」での子どもたちの生活習慣病予備軍の心配、「食育アンケート」で現れた子どもたちや若い世代での食事に関する課題、また中学校弁当の利用状況の低迷からみて、優先して取り組まなければならない課題です。たしかに財源問題もありますが、市長の任期中に着手、あるいは道筋をつけるよう、要望しておきます。また子どもたちの健康をまもるため、「尼っこヘルスアップ」を提案しましたが、食育推進事業など一層の充実をもとめます。

さらに、「こども医療費」について、西宮市との市境にある医療機関で聞きましたら、診療に来る中学生にたいし、窓口で「お金をもらう子、もらわない子がいる」ということです。西宮の子は無料、尼崎の子は有料だというんですね。ファミリー世帯の市外転出は、学力や中学校給食だけではありません。医療費無料制度の充実度も影響しているのではないでしょうか。市長は、「2億円のお金がかかる」「もともと県と2分の1づつ負担する制度」といわれました。「県がやるなら市もやる」というのであれば、そのとき負担する1億円分でもいまから市が負担し、制度の充実をはかってはいかがでしょうか? 要望しておきます。

「少人数学級」が、尼崎市の課題である「学力向上」「不登校対策」に大変有効というのは、全国的にも試され済です。ひきつづき国・県に、強力に働きかけていただけるよう要望しておきます。「保育所民間移管」について。移管をうけた施設側もいろいろ努力されているでしょう。しかし、保護者の不安や不満があるのも事実です。ですから、第3者機関による検証が必要だと考えます。要望しておきます。

最後に、「公共用地先行取得会計」について一言言っておきます。パナソニックが撤退しても、定期借地契約があるはずです。分科会でお聞きしましたら、「パナソニックから借地料はもらっているけれど、予算計上していない」ということでした。「解約の話がすすんでいる」からという理由ですが、途中解約の場合、違約金として「1年分の地代をもらう」とのことです。つまり、解約を「しても」「しなくても」1年分の地代・年間2,259万2,000円が入ってくるのですが、予算計上されていません。会計処理上もおかしな話ですが、他の部局で予算査定にあたり、施策枠配分で、10万、20万のお金を削るため苦労しているのに、2000万円ものお金を、隠すやり方は是正すべきです。以上で、日本共産党議員団の意見表明を終わります。