こんにちは共産党議員団第139号を発行しました

日本共産党議員団ニュースNo.139 2012.4.25.

東日本大震災 ガレキ処理の受け入れ検討は安全確保と住民合意で
日本共産党議員団 市長に申し入れ

尼崎市は4月9日、東日本大震災でのガレキの広域処理を「受け入れるかどうかの検討を始める」と表明。4月12日に日本共産党議員団は、この問題で市長に申入れをしました。

住民の不安解消に全力を

東日本人震災のぼう大な災害ガレキは、いまも山積み状態で、岩手県、宮城県の被災地の復興の大きな障害です。被災地だけで処理を行うことは困難です。

政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、被災県以外の協力を得て「広域処理」をすすめることが必要です。
しかし、ほとんどすすんでいません。
その最大の障害は、政府が放射性物質への対策を真剣に行っていないことにあります。

日本共産党議員団は、市民が抱いている、「がれきの処理」にあたっての、焼却や埋め立てによる汚染の拡大への懸念や不安に、市長がきちんとこたえるべきと考えています。

そこで、党議員団は、先日、尼崎市が示した「東日本大震災に係る災害廃棄物の受け入れ検討について」の方針を受けて、次のことを要望しました。

【要望項目】

1.「東日本大震災に係る災害廃棄物の受け入れ検討について」に示された検討の各段階において、すべてのデータを公表すること。

2.尼崎市での受け入れ、処理、最終処分の方針が決められたとしても、最終処分場への積み出し基地がある大阪湾広域臨海環境整備センタ「に他府県市町村からの焼却灰が、通過、中間貯蔵ざれる危険があり、大阪湾センタ「にたいし、尼崎市の検討結果を無視した処置・決定がなされないように申し入れること。

3.災害廃棄物処理を受け入れる場合は、必要な財源を国に求めること。

4.住民合意ですすめる立場を貫くこと。

尼崎市は100ベクレルで検討
原子炉等規制法に基づくクリアランスレベル

尼崎市は、原発事故前の原子炉等規制法に基づいて策定されたクリアランスレベルである100ベクレルを基準に検討することを打ち出しました。

具体的には、搬入時も100ベクレル以下のガレキを受け入れ、焼却処理の途中でも100ベクレル以下で焼却し、最終焼却灰(搬出)も100ベクレル以下になるように、あらゆる段階で100ベクレルを超えないように対応したいとのことです。

100ベクレルで受け入れ可能量は1000トン

尼崎市は、本来は1万トンの受け入れ能力があり、佐用町の水害時も1万トンのガレキを受け入れてきました。

しかし、焼却するとセシウムが濃縮されるので、焼却時一般廃棄物と混ぜて、濃度を下げる必要があります。

そのために、廃棄物全体の4%ぐらいしか災害ガレキを混入できません。尼崎の第1工場の焼却能力は年間3万トンなので、4%だと1200トンであり、余裕を見て1000トンぐらいが受け入れ可能な量になる計算です。

クリアランスレベルとは

原子炉等規制法に基づいて策定ざれた基準で、震災の発生前から定められていた廃棄物処理における放射線の基準です。放射性セシウムについては、1キログラムあたり100ベクレル以下であれば放射性廃棄物ではなく普通の廃棄、物として処理が可能な基準です。

ガレキ処理の受け入れ

政府は、ガレキのうち特別に管理が必要な指定廃棄物は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計で1キログラム当たり8,000ベクレル以上のものと定めています。

つまり、焼却後に8,000ベクレル以下なら、「埋め立てOK」ということです。

原発事故前は、100ベクレルを超えると低レベル放射線汚染物質として管理処理していました。

いきなり80倍に引き上げ、「8,000ベクレルまでは、普通に埋め立てても大丈夫」と言われても不安です。

政府の試算でも廃棄物の処理に携わる作業者に年間1ミリシ「ベルト近い被ばくを容認するものです。

一方、関西広域連合が、独自に2,000ベクレルという基準を打ち出しました。

これも、2,000ベクレルなら安全なのか、よくわかりません。

指定廃棄物の基準

●国の基準        8000ベクレル/kg
●関西広域連合の基準   2000ベクレル/kg
●尼崎市が考えている基準 100ベクレル/kg
●原発事故前の国基準   100ベクレル/kg

この基準値で大丈夫?

尼崎の焼却灰はどこへ?

尼崎で焼却した灰は、平左衛門町の大阪湾広域臨海環境整備センター(通称・大阪湾センター)の積み出し基地から船に載せて、大阪と神戸沖のフェニックス埋立地に運びます。東海岸町はすでに埋め立てが終わっていて、もって行くことはできません。

海洋埋立ての基準なし

国の最終処分場での基準8,000ベクレル/kgは、陸上の管理型埋め立ての場合で、海洋埋め立ての基準は、まだ示されていません。

そのため、尼崎で焼却しても、焼却灰を持っていくところがありません。

尼崎で受け入れる場合は、海洋埋め立ての安全基準が示される必要があります。

尼崎は通過点

もうひとつの問題は、尼崎が、近畿2府4県168自治体の焼却灰の積み出し基地になっていることです。

大阪湾センターに加入している自治体のすべての焼却灰が来るわけではありませんが、尼崎を通過し、大阪湾センターに中間貯蔵され、積み出されることになれば、せっかく尼崎で100ベクレル以下にする努力をしても、他の自治体の8,000や2,000ベクレルといった濃度の高い焼却灰が集められることになったら、苦労が水の泡です。

昨年10月に大阪湾センターが持ち込み灰の検査をしたら、ほとんどは「不検出」ですが、ときどき、ばいじん処理物に8~13ベクレル程度が検出ざれています。