2026年度予算 意見表明 川崎としみ

2026年度(令和8年度)予算委員会 意見表明

日本共産党議員団んを代表し、2026年度当初予算及び関連議案について意見を申し述べます。

 

1,財政規律の再定義と抜本的な物価高騰対策

市は財政調整基金の残高目標を標準財政規模の20%(200億円)に設定との代表質疑の答弁にありました。この水準の妥当性を問い直す必要があります。一般的な適正水準は10~15%とされており、市も「財政再生団体に陥らないための目安」と言っています。本市はバブル崩壊・阪神大震災・リーマンショックという三度の危機を経験しており、それが慎重な積み立て姿勢の背景にあることは理解します。しかしその結果、好調な決算による残高拡充が続いているにもかかわらず、目の前で苦しむ市民への支援を後手に回してはなりません。

「守り」の姿勢が固定化し、財政運営が硬直化することは、市民にとっての「機会損失」にほかなりません。昨年度には一般財源を活用して全世帯にお米券を配布した実績が示す通り、市独自の直接支援は可能です。物価高騰が市民生活を直撃し続けるなか、基金活用を含めた柔軟な財源対応によって、市独自の家計支援策を切れ目なく講じることを求めます。

 

2,アウトソーシングの見直しと直営体制の堅持

本市では、長年の「効率化」路線のもと、窓口・福祉・インフラ管理など市民生活に直結する多くの業務が民間委託や指定管理者制度に移行してきました。その結果、市職員の専門性と技術が失われ、現場の実態把握が困難となる「ブラックボックス化」が進んでいませんか。委託先の低賃金・不安定雇用が慢性的な人材不足を生み、それがサービス水準の低下につながるという悪循環に陥っているのではないでしょうか。市側の答弁では「専門性を有する担い手の確保など組織管理上のリスクも考慮する」とされましたが、まさにそのリスクは、委託によって現場を失った結果として生じているものです。「アウトソーシングが組織管理上のリスクを生む」という逆説を直視すべきです。

下水道事業へのウォーターppp導入については、東部処理区への限定導入という判断自体が技術喪失リスクを市自ら認めた証です。命に直結するインフラの管理において、将来にわたる公的責任を担保するために、少なくとも以下のような手法の検討を求めます。第一は、PPPを導入しない処理区を「議JY仏維持拠点」として直営で恒久的に維持し市の比較基準(ベンチマーク)を保持すること。第2は、業務の再委託・再々委託を原則禁止し責任の所在を明確にすること。第3は、災害時や事業者の運営破綻時に市が即座に運営権を接収できるステップイン権を契約に明記すること。第4にモニタリング結果や事業データ等を市民に公開し市民自身による監視を可能にすること。こうした公的責任の担保策を具体的に制度化すべきです。

また、近隣の明石市・川西市では「公契約条例」を制定し、受託業者の労働報酬化減額を独自に設定するとしています。委託先で働く労働者の賃金水準・労働環境を市が点検・担保する仕組みとして、尼崎市においても公契約条例の制定を検討すべきです。

3,公共交通の再生

市バス事業を阪神バスへ移譲して以降、園田・築地・大庄地域などで路線や便数が削減され、高齢者の「買い物難民」や通院困難が生じています。「AIオンデマンド型交通の実証運行」にとどまらず、既存バス路線の充実に向け、市が責任をもって阪神バスと協力に協議し、地域交通ネットワークを再構築することを求めます。

4,気候危機対策

気候変動は今や「遠い将来の問題」ではなく、本市においても豪雨・猛暑・浸水被害として市民生活に直撃しています。市はゼロカーボンシティ宣言を掲げていますが、「あまがさき環境オープンカレッジ」など啓発・連携活動にとどまっており、市民が政策そのものを形成する参加の仕組みが不十分です。

市側答弁でも「市民の皆様と意見を交わす機会を大切にする」とされていますが、それをさらに一歩進め、フランスや英国で実績のある「気候市民会議」のように、無作為抽出の市民が対等に議論し政策提言を行う場を尼崎市でも創設すべきです。専門家・行政・市民が同じテーブルで合意形成を図ることで、再生可能エネルギーの普及促進や省エネ支援など、実効性ある施策へとつなげるべきです。

5,雨水貯留管整備事業について

武庫・立花地区における雨水貯留管整備事業は、近年頻発するゲリラ豪雨による市街地浸水への対策として重要な取り組みです。市は今年2圧に市民説明会を3階開催したとされており、一定の周知努力は評価します。しかし、この事業はかつていったん中止された経緯があります。なぜ中止されたのか、その理由と反省が今日の事業推進にどう活かされているのかを、市民に対して明確に説明する責任があります。
過去の中止という経過を持つ事業を復活・推進するにあたっては、細心の注意が求められます。「想定する豪雨の雨量や発生確率・施設規模の概要」にとどあらず、事業費・整備前後の浸水軽減効果のシミュレーション・地域ごとの優先順位の根拠を数値とともに市民にわかりやすく公開し、検証可能な形で合意形成を図るべきです。市民の信頼を得ながら丁寧に進めることが、事業の持続的な推進にとっても不可欠です。

6,教育環境の充実と子どもの権利保障

(1)不登校対策と少人数学級の実現

本市の不登校児童生徒数は1,000人あたり86,2人と全国平均を大きく上回っており、深刻な状況が続いています。その根源には、点数による序列化を当然とする学力至上主義が続いています。子どもたちが「できない」ことへの恐怖や羞恥心を感じ続ける環境が、登校を困難にしているのです。「あまっこステップアップ調査」のような競争を煽り現場にも負担を強いるテストは、こうした学力至上主義を加速させるものであり、中止すべきです。不登校の問題に対して教育委員会の答弁では「問題行動としてとらえず社会的自立を目指す」とされていますが、であればこそ、子どもを序列化する評価の在り方を根本から見直す必要があります。

少人数学級については、市独自での正規教員任用・学級編成基準変更は制度上困難との答弁でしたが、市は学習支援員の配置やサポートルームの整備など独自の取組を進めています。財政・教室不足等の課題があるとしても、国・県へのつよい働きかけを続けるとともに、市独自でできる支援策の拡充を求めます。また、不登校の子どもが「学びたいと思った時に学べる環境」を補償するため、校内サポートルームの環境整備に特化した予算確保と、フリースクール利用過程への市独自の利用料補助制度の創設を求めます。

(2)学校と地域の真の連携(コミュニティスクール)

学校運営協議会(コミュニティスクール)については、教職員には業務負担、つい行には「動員」として受け止められてはいないでしょうか。三鷹市のように地域社会が主体的に参画し、「地域の大人」が子どもの居場所を提供する開放的な「共同の教育」へと転換すべきです。学校と地域が対等なパートナーとして課題を分かち合う場として、学校運営協議会を機能させるための支援策を求めます。

(3)中学校部活動の地域移行
2029年末完了をめざす中学校部活動の地域移行については、子どもたちの不安解消・指導者確保・保護者の経済的負担という課題が山積しています。教育委員会が責任を持ち、地域と協働して問題解決にあたる体制を早急に構築すべきです。

(4)公立保育所の役割堅持・保育士の配置基準見直しと処遇改善

公立保育所の「基本的方向」の改定については、新たに「保育保障の役割」が追加されたことは一歩前進です。しかし、公立保育所は障害児やグレーゾーンの子どもを受け入れる「最後の砦」であり、地域保育のスタンダードを示す牽引車の役割を担っています。市長は「設置者の種類に区別はない」と答弁しましたが、現実には公立でなければ担えない困難ケースが存在しており、コスト削減を目的とした安易な統廃合・移管は撤回すべきです。

 待機児童が増加する児童ホームについては、指導員の正規化を含めた公設公営の拡充が本筋です。変則勤務による人員確保の困難さという課題があるとしても、まずは処遇改善によって人材が集まる環境をつくることが先決です。民間活用を進めるとしても、市が責任を持って質を保証する仕組みを構築すべきです。

市長の任期中の公約である18歳までの医療費の所得制限なしの完全無償化については段階的改善にとどまっており、約束の実現が果たされていないことは残念です。

 

また、保育士の処遇改善を進めていく上で最も求められている課題の一つに、保育士配置基準の問題があります。国基準を上回る改善策を検討することで保育の質を高めるとともに、保育士の処遇改善・キャリアパス構築を公立・民間を問わず進めることで、尼崎市全体の保育環境の底上げを図るべきです。

7,福祉・社会保障:命のセーフティネットの堅持

【介護保険】制度開始以来、高騰し続ける保険料に対し、抜本的な負担軽減策が講じられるべきです。国による訪問介護の基本報酬引き下げで市内事業所が廃業危機に瀕しており、書面アンケートだけでなく直接聞き取り調査を実施し、市独自の救済策を早急に検討すべきです。国に対して「ケアプランの有料化」や「要介護1.2の総合事業への移行」には断固反対する姿勢を示していただきたいと思います。

【生活保護】2025年、最高裁は「いのちのとりで裁判」において、安倍政権下の生活保護基準引き下げを「違法」と認定する統一判断を示しました。厚労大臣が合理的根拠を欠いたまま基準を引き下げたことが裁量権の逸脱・濫用にあたるという判決は、憲法25条の生存権が単なる建前ではないことを司法が確認したものです。

市の答弁では「国の専決事項であり市から個別に要望することはない」とされましたが、市民の命に直結する問題として、市長は国に毅然と意見を述べるべきです。市独自の対応としても、猛暑下でエアコン使用をためらう受給者の命を守る支援策と、申請しやすい環境づくりおよびケースワーカーの増員・研修充実を求めます。

8,地域経済の活性化

物価高やインボイス制度の影響で市内の中小零細事業者・フリーランスが廃業危機に瀕しています。令和8年度から信用保証料補助が実施されることは一定評価しますが、これにとどまらず、地域経済への波及効果の高い「住宅リフォーム助成」「店舗リフォーム助成制度」の創設を求めます。

9,人権・ジェンダー平等・多文化共生

【ジェンダー平等と公的ワーキングプアの解消】

市役所の会計年度任用職員の多くを占める女性の低賃金労働を放置することは、公共によるジェンダー不平等の再生産であり、「官製ワーキングプア」を作る行為です。市の答弁では「近年の報酬改定や勤勉手当の新設など一定の改善を図っている」とされましたが、恒常的・専門的な業務を担う職員が不安定な任用のまま低賃金に置かれている実態は変わっていません。業務の恒常性・専門性に応じた正規化のロードマップを示すとともに「同一労働同一賃金」の原則を市が率先して実践すべきです。また、長時間労働・過密業務が常態化している市職員全体のワークライフバランスを守るため、業務量に見買った人員配置と適正な超過勤務管理を徹底することを求めます。公共が働く人を大切にしてこそ、市民への質の高いサービスが持続できます。

【多文化共生】育成就労制度への転換に伴い、外国籍住民が地域社会で孤立しないよう、当事者がまちづくりに参加できる仕組みや、生活・教育面での公的サポート体制を強化すべきです。市の答弁でも「キーパーソンとなる外国籍住民の発掘」や交流イベントの取組が示されましたが、さらに踏み込根、外国籍住民が政策形成に参加できる「(仮称)外国人市民会議」の設置を検討すべきです。

むすびに

以上、2026年度予算案に対し、市民の命と暮らしを守る立場から意見を申し述べました。財政の健全性を口実に、目の前で苦しむ市民への支援を先送りすることは許されません。市は「公共の再生」という観点に立ち、市民一人ひとりの尊厳が守られるまちづくりに本腰を入れることを強く求め、意見表明といたします。

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