2024年10月 決算特別委員会 川﨑としみ議員の総括質疑と当局答弁要旨

【子どもの医療費助成について】

市民意識調査で、本市にこれからも住み続けたいと回答した市民の割合が85.9%、その理由として尼崎市への愛着、買い物などの利便性、地域とのつながりが評価されています。一方で住み続けたくないとの理由としては、ルールマナー、子ども子育て支援、防犯が挙げられています。単身世帯および2人世帯がファミリー世帯になっても、本市に住み続けたいと感じてもらえる街づくりが必要とは、誰しも思うところです。

子育てをしやすい街だと感じている市民の割合は、51.2%前年比+0.8%ほぼ横ばいで推移しています

こうしたデータから見ても、ファミリー世帯定住のために1丁目1番地に取り組むべき課題は、医療費助成事業、18歳までの子どもの医療費を所得制限なしで無料化にする制度だと思います。

子ども医療費助成制度は、2021年・22年・23年(令和3・4・5年)と助成金額を約1億円・3億円・5億円と事業費をのばしてきました。そして医療費の2割負担が→所得別にゼロ円とか、400円とか、800円と減り、市民に大変喜ばれ、また、多くの市民が救われていると思います。

 

Q .1 実際にこのこども医療費助成制度の件数は、2021年以来、どのように推移していますか?また受診する診療科目の変化について、どのような特徴があるのでしょうか?

答弁要旨

 乳幼児等医療費助成事業とこども医療費助成事業を合わせた年間総助成件数につきましては、拡充前の所得制限があった令和3年度は約52万件でしたが、制度拡充後の令和4年度は約63万件、令和5年度は約78万件と増加しており、この伸びについては、制度拡充以外の全国的な医療費の増加分も加味されております。

 次に、受診する診療科目の変化につきましては、医科・歯科・調剤のデータを見ますと、令和3年度から令和4年度には医科120%、歯科116%、調剤123%と全体的に助成件数が増加しており、令和4年度から令和5年度には医科121%、歯科111%、調剤134%と更に全体的に助成件数が増加している状況であり、調剤の伸びが他に比べて少し高い伸びを示しております。以上

 

歯科の受診が増えていると思います。歯科の先生は口の中に貧困やネグレクトがあると言われます。お金がなくて歯を治せない、兄弟でもらった薬を分けているなどのことが、解消の方向に向かっているのではないでしょうか。

 

Q .2 市は歯科の受診が増えていることを、どのように評価されていますか?

答弁要旨

 先ほどご答弁申し上げましたとおり、令和3年度から令和4年度、さらには令和5年度と歯科も含めて全体的に助成件数は増加しております。

 この要因としましては、これまでの制度拡充に伴い、医療費の負担が軽減されたことにより、必要な時に安心して受診できるようになったことによるものと認識しております。以上

 

さらなる支援策の強化が必要だと思います。

 

Q .3 18歳までの医療費完全無償化にするためには、どのくらいの予算が必要とされるのでしょうか?

答弁要旨

 子どもの医療費助成制度について、18歳までを完全無償化にする場合、完全無償化をしている未就学児を除き、小学生及び中学生の無償化に約1億8千万円、高校生の無償化に約3億2千万円必要となり、合わせて約5億円の財源が必要になると試算しております。以上

 

一気に実施すべきだとは思いますが、今の財政状況からはすぐには無理となるのであれば、段階的にどのように進めていくのでしょうか。

 

Q.4 段階的に実施するとなれば、どのような展開をめざしているのでしょうか?

答弁要旨

 先ほど答弁いたしましたとおり、現在、診療科目ごとの実績も含め、受診頻度や事業費の変化・推移など、その効果や影響について、検証を進めています。

 一方で、完全無償化は、経常的に多額の財源が必要となるため、制度の持続可能性について留意が必要であると考えております。

 そのため、制度拡充にあたっては、先に申し上げた検証結果に加え、制度の持続可能性を考慮するほか、ライフステージごとの子育て世帯の家計負担の状況や、すでに実施している各種支援策とのバランスなど、様々な視点で検討し、できるだけ早期に拡充策を明らかにしてまいります。以上

 

ぜひとも子育てしやすい街、当面は兵庫県下で、他の市町とそん色のない他の市町並みにしていただきたい。早期の取り組みを求めます。

 

【上下水道事業へのPPP/PF I手法の導入について】

 

市は、2027年(令和9年)より、下水道事業の一部をPPP/PFI化しようとしています。国は補助金助成で、国の政策を強引に自治体に押し付ける政策を実行してきており、それが市民の暮らしに真にプラスになるのか、慎重な検討が必要だと思います。

またこれまでも、様々な分野で事業の民営化が急速に進んできたことに対し、市民サービスに直結する公共事業を見直す取り組みがはじまっています。イギリス・欧州では上水道の民営化は公共に戻す等のことが行われ、日本では「公共を取り戻す」スローガンのもとに、いくつかの自治体でも民営化の見直しが始まっています。

本市でも、アウトソーシングの実効による課題として、市職員のノウハウの損失、災害時の対応、コストの妥当性といった問題点をあげています。

 

Q .5 これらの課題について、どのような検証を図り、事業計画を作っていくのかお答えください?

 

答弁要旨 

PPP/PFIは公共施設の整備・運営に民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスを実現する手法であり、本市の下水道事業におきましても、施設の老朽化や技術職員の不足が懸念されるといった課題を抱える中、国が推進する官民連携方式である「ウォーターPPP」の考えを踏まえた上で、当該方式の導入を計画的に進めるものです。

 この手法の導入にあたっては、公営企業局内に設置する検討会議で議論を重ねるとともに、下水道事業や民間事業者の動向、また、コスト分析などに高い知見を有する事業者への導入検討業務の委託などを通じ、職員のノウハウの蓄積、災害時の対応や導入コストなどの課題につき、十分に精査した上で導入に向け検討をしてまいります。 以上

 

 

今後、補助金がでるから、PPP/PFI化で事業の民営化を進めることにはもっと慎重になるべきだと思います。絶えず検証し、立ち止まって評価を行い、問題解決のために何をなすべきか考察すべきと考えます。

能登の地震の際、公務員が現場にいなくて、受援体制が整わず、復興に遅れが生じている現状に私たちは遭遇しています。

 

先に実行ありきでの進め方は改めるべきです。また国に対してPPP/PFI化の事業でなければ補助金を出さないという、国の強引な政策誘導に自治体の主体的な判断で取り組みが進められるよう、こうした制度を見直すべきだと主張することも大事ではないでしょうか。

 

Q.6 全国市町村会等を通じて、施策誘導につながるひも付きの補助金制度はやめるよう申し入れるべきです、市の考えは?

 

答弁要旨

 下水道事業における、いわゆるウォーターPPPは、増大する施設の老朽化への対応や、技術職員の不足か懸念される課題が全国的となる中、国において、新たな官民連携方式として示されたものです。

 また、国は、このウォーターPPPの導入拡大に向け、下水道事業の汚水管の改築に係る国庫補助採択について、この官民連携方式の導入が決定済みであることを、令和9年度以降に採択要件化することとしております。

 本市としましては、下水道事業の持続可能性が懸念される課題に対し、国が示す「ウォーターPPP」の導入による効果の発現を期待するところであり、ご指摘の補助金の採択要件化の廃止を申し入れる考えはございません。以上

 

【公立保育所の役割について】

1)待機児童対策について

保育所の待機児童数は2019年236人が2023年11人まで減少しました。しかし、隠れ待機児童と呼ばれる、保育所を希望していながら、実際には様々な理由で、保育所に入所できていない子どもの数は、2020年895人、2021年865人、2022年607人、2023年597人、2024年530人となっています。やや減少傾向となっていますが、いまだに530人というのは、大変大きな数字だと思います。

 

Q .7 直近の隠れ待機児童の状況は、どうなっていますか?

 

答弁要旨

 保護者が育児休業中で早期の副食を希望しない者や、特定の保育施設等を希望している者など、国の待機児童の定義には該当しない、いわゆる未入所児童数につきましては、令和6年4月1日時点では530人、現在把握できる直近のデータの令和6年8月1日時点で780人となっております。以上

 

2)ゼロ歳児の定員割れ問題について

待機児童対策のために昨年度は3カ所民間園を増やして228人の定員増、来年度はさらに4か所増やして360人の定員増を図ろうとしています。しかし実際には、民間園では定員割れという問題が発生しています。特にゼロ歳児で極端な定員割れといった問題が発生しています。民間園では4月当初から、定員に基づく職員の配置を行っていますが、実際に定員が充足されるのは10月ごろになってしまう、結果人件費がますます民間保育園の経営を圧迫しています。年度途中で職員を募集してもなかなか職員が集まらないからと、4月から職員体制を整え苦労されています。

ある保育園では、昨年はゼロ歳児の定員7人に対する、定員割れは4月が2人、5月が一人だけでしたが、今年は4月から7月まで5人、8月も4人、9月も3人とあり、年度中に定員7名を満たすことは難しい予測となっています。結果その分だけ子どもの委託費は一人当たり月額で215,120円減少しています。今年度10月以降2名の定員割れが続くと想定しても、年間でマイナス9,680,400円減収になるということです。

 

Q .8 このような実態について、市はどのように把握されていますか、数字をつかんでいますか?

 

答弁要旨

 各法人保育施設における保育士の配置につきましては、年齢ごとのクラス単位での詳細な状況までは把握しておりませんが、市に対して「保育士等配置状況確認書」を毎月ご提出いただく中で、入所児童数に対して保育士数の充足状況を把握しております。

 また、法人保育園等におきましても、保育士を募集しても、必要な時期に必要な人材を確保することが困難なため、年度途中の入所児童数を見越した保育士数を年度当初から確保することが人件費の増加につながり、少なからず経営に影響を及ぼしていることについて、法人保育園会からお聞きし、補助金創設のご要望もいただいております。以上

 

Q .9 また、ゼロ歳児が年度当初から少なくなってきている、その原因はどこにあると思いますか?

Q .10 大阪市のような市独自の支援策を構じる考えはありませんか?

 

答弁要旨

 議員ご指摘のとおり、大阪市では0歳児は育児休業SY風良悟からの途中入所が多く、保育施設においては年度途中における保育士確保が困難であることから、年度途中の入所を見越し、年度当初から保育士を配置している保育施設に対し、その間の保育士の人件費を助成する「0歳児途中入所対策事業」を実施しております。

 本市におきましても、育児休業制度の拡充等により、大阪市と同様に年度当初の0歳児の利用が少なくなっておりますが、年度当初から年度末にかけて順次、保護者の産後休暇や育児休業が終了するなど、年度途中において利用希望者が増加している状況です。

一方で法人保育園や認定こども園の入所児童数については、令和6年4月時点でも利用定員に対する平均入所率が100%を超えており、依然として保育ニーズが高い状態で推移しております。

 また、今後もしばらくの間は保育ニーズの増加が続くと見込んでいることから、一時的な0歳児クラスの定員割れに対する補助制度の創設は現時点では考えておりませんが、いずれ迎える少子化の影響等も見据えながら、持続的に法人保育施設の運営が確保できるよう保育行政を進めてまいります。 以上

 

こうした状況下で、市に対してすでに法人保育園会から要望も届いていると思いますが、大阪市などで行われているような支援が求められています。大阪市では、保育人材確保策として、0歳児の途中入所に対応するため、1歳児保育士配置基準を改善するための人件費助成が行われています。年度途中の入所を見越した保育士を配置する保育施設に対し0歳児が入所するまでの間(4月〜9月)、0歳児一人当たり140.400円の助成が行われています。

 

 

3)障害児対策 公私間格差

障害児やグレーゾーンにいる子どもたちが保育園、公立の保育所に入所しづらい状況が出てきているのではないでしょうか。またこうした子ども達の受け入れが、公立と民間で大きな差が生まれています。

私たちはかねてより公私間格差の解消を訴えてきました。2022年の9月議会で真崎一子議員が、また昨年の3月予算委員会の総括質疑では、松澤議員が質問しています。障害児保育事業補助で、現在障害児1人に月74,140円の加算がされていますが、この単価は20年以上変わっていません。障害をもつ子どもの対応には保育士がつきっきりで当たる必要があり、公立保育所では障害児2人に1人の保育士が加配となっていますが、法人園では障害児一人につき74140円ですから賃金べ一スにすれば障害児3人に保育士1人の加配となり、明らかに公私間格差があると思います。と質問しています。

【資料23年3月予算 松澤議員の総括質疑 答弁】

公立保育所におきましては、概ね障害児2名に対し保育士1名とする配置を標準としております。一方、法人保育施設においては、加配保育士の有無にかかわらず、法人保育施設からの申請等に基づき、市において障害児として判定された児童1人当たり、月額74,140円を補助する制度を活用し、障害児保育に対応されています。障害児若しくは気になる児童の態様も様々であり、その実情に即して各法人保育施設において、保育士の配置がなされるなか、一概に公私間格差があるとの認識はございませんが、障害児若しくは気になる児童が多数在籍していることは認識しており、障害児保育推進の観点から、今後もよりよい保育士確保策を検討してまいりたいと考えております。

 

昨日の維新の会の別府議員の質問にも答えられていると思いますが、お尋ねします。

 

Q .11 民間への助成を公立並みに引き上げることは、なぜできないのでしょうか。いつから実行されるのですか?

答弁要旨

 法人保育施設障害児保育事業補助金につきましては、昨日、別府議員にご答弁した内容と重なりますが、加配保育士の有無にかかわらず、市が障害児として判定した児童1人当たり、月額74.140円(年額889.680円)を補助する制度で、保育に必要な経費として人件費だけはなく、研修費や設備購入費等も補助対象としております。

 このような中、保育現場の法人保育園会からも補助制度の充実を図るよう要望を受けておりますこと、また、補助額につきましても、地方交付税により財政措置された平成15年度以降、単価額を設定して約20年にわたり変更していない状況でございます。そのため、阪神間の各自自治体の水準、昨今の物価高や人件費の高騰、保育現場のニーズ等の状況や「尼崎市就学前教育ビジョン」に基づく私立幼稚園等への新たな補助制度の内容を踏まえた上で、よりよい障害児保育の環境整備につながる制度の在り方を検討してまいりたいと考えております。以上

 

公立といえども障害児や障害を抱えていると思われる子ども達が、入所待ちといった状況が生まれています。

 

 

今後、事業計画の次期策定、公立保育所の今後の基本的方向についての見直しや時期公立保育所の民間移管計画の検討などが行われようとしています。現実との乖離、見込み違いが生まれないような、充分な対策を講じてほしいと思います。

 

以上で日本共産と市議団の2023年度決算、施策評価等に対する総括質疑を終わります。ご清聴ありがとうございました。