2025.3月議会 川﨑としみ議員 代表質問と答弁要旨

 

日本共産党議員団の川崎敏美です。会派を代表して、2025年度予算並びに関連議案、施政方針についてお聞きします。

 総務省が2月21日発表した1月の全国消費者物価指数(2020年を100とした場合)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が109・8と、前年同月比3・2%上昇。1年7カ月ぶりの高い伸びで、米類の上昇率は70・9%と過去最大を更新。

野菜の高騰などが影響し、生活実感に近い生鮮食品を含む総合指数も4・0%上昇と、2年ぶりの高さとなりました。

 生鮮食品を除く食料は5・1%プラス。米類は需給の引き締まりに加え、生産コストが上乗せされ、上昇率は4カ月連続で過去最大となりました。生鮮食品は21・9%プラスで、04年11月以来の高い伸び。昨夏の猛暑などが響き、キャベツは3倍、白菜は2倍の高さとなりました。

 エネルギー全体の伸びは10・8%(前月は10・1%)。上昇幅は、電気代と都市ガス代はやや縮小した一方、政府の補助金縮小が響きガソリンは3・9%(同0・7%)、灯油は6・3%(同1・8%)と、それぞれ大幅に拡大しました。

 生鮮食品を除く総合指数は41カ月連続の上昇。このほか生鮮食品とエネルギーを除く総合指数も2・5%上昇しました。

 

昨年、主食であるコメがスーパーの店頭から消えました、コメを求めてスーパーを何件もまわり、ようやく見つけても2倍以上の高値となっており、手が出せないという状況が生まれていました。政府は新米が出回ればコメ不足は解消されると、備蓄米の放出を最近まで怠ってきていました。

 

 こうした物価上昇のもとで、市民の置かれている状況は深刻です。ある喫茶店での話、コーヒーいっぱい400円で頑張ってきたが、450円にやっと値上げした。お客さんは500円ぐらいにせんとあかんやろと言うてくれるけど、お客さん自体毎日のコーヒーを3回にしたりして倹約している。ただでさえ街の人通りが減っていてお客さんは常連客ばっかりなのに、値上げはお客さんを減らす、これからも商売を続けていけるのか不安だと言って嘆いています。市民の多くは、1万円なんか持っていても、物が高くてすぐにお金がなくなる、だからできるだけ買い物に行かないで生活防衛をしています。年金暮らしの高齢者は、以前はお米など子育て真っ最中の娘に援助していたが、コメ高すぎて助けをしたくてもできへんとため息をついています。

 

  • 物価高騰対策 消費税の減税について

 

 2025年度の予算全体を見渡すと、市民の負担軽減を見直すというよりは、例えば物価高に対して給食の負担増、市民に公平性を求めることを口実に公共施設の利用料を引き上げる等の施策が散見されます。市が市民の暮らし、社会活動を応援する、コミュニティを育んでいくといった観点がもっと重視されるべきではないでしょうか。

 (提供している税負担の割合を示した図表をご覧ください)日本共産党は国会でも、消費税の低所得者こそ重い負担となっている逆進性の問題や、国民の払っている税の中でも、消費税の負担割合が高いことを示して、消費税減税が必要であることを訴えてきました。勤労者世帯の年収別税負担率をみると、低所得者のみならず年収900万円以下の世帯まで所得税より消費税の負担率が重いことがわかります。

 

Q1 .物価高騰に市民の暮らしが圧迫されています、市としてできる最も有効な対策は何だとお考えでしょうか、また国の物価高騰対策の最も有効な対策の一つが消費税減税だと思いますが、市として国に消費税減税を要請する考えはありませんか?

 

答弁要旨

 

物価高騰対策は賃金の上昇がもっとも重要と考えていますが、賃金の上昇が定着するまでの間、物価高を乗り切るための負担軽減に向けた取組を、国や県の動向も踏まえ、市民や事業者の声に耳を傾けながら、機動的に実施していくことが重要であると考えています。

そうした中、消費税率の引き下げについては消費税が国と地方を通じた財政の健全化や、社会保障施策の財源となるものであり、市歳入の一部となっていることから、安定した財政運営への影響、ひいては市民サービスへの影響が懸念されます。

また、税率変更による事業者への負担も伴うため、税率の引き下げにつきましては、慎重な対応が必要であると認識しています。

以上

 

2市長の施政方針について 市の財政について

 

市長の政方針で、財政運営の指針が示されています。『財政規律、財政運営の目標とルールを踏まえた予算を編成し、公債費に起因する収支不足に対応するために現在基金を取り崩すことで、実質的な収支均衡予算を確保。また、本市の財政運営において、長きにわたって課題となっていた将来負担についても、これまでの教訓を踏まえ適切に管理している。今後も税源の涵養(カンヨウ)などによる収支確保に努めるとともに市債の早期償還や基金の活用により財源を確保し、規律ある財政運営と魅力ある街づくりに向けた投資の両立を図る。あわせて昨今の経済状況や本市の財政状況が好転していることも踏まえ、より柔軟かつ効果的な財政運営を目指す。』とあります。受け取り用によっては、市長は財政運営の方針を積極財政に転じたのではないかと感じています。

 

Q2施政方針での財政運営で示されていることは、緊縮財政から積極財政への転換をおこなっていくとの姿勢を表しているのですか?

 

答弁要旨

昨今の経済状況や、20年間にわたる行財政改革の取組により、一時期の危機的な状況からは脱し、本市の財政状況は好転しています。

そして、こうした好循環を続けていくためには財政構造の弾力性確保に向けた取組を強化することが重要であり、そのために不可欠な税源洒養に向けた戦略的な投資として、市民の皆様にとって、「生活する場」としても、「働く場」としても魅力的と思えるまちとなるよう「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」、「良好な住環境形成のための住宅施策パッケージ」といった政策プランを「実

行・実現」させてきました。

したがいまして、必要な財源を確保し、必要な事業への投資も行いながら、規律ある財政運営を行うことで、将来にわたって安定的で持続可能な財政基盤を築いて

いくことが何より重要でありますので、「緊縮財政から積極財政への転換」「緊縮財政の堅持」などと、その方針を明確にするものでもないものと考えています。以上

 

市長が掲げる第2ステージへの引き上げに向けて、主要3基金も積極的な活用がなされるようになり、一定の前進がなされていると感じています。しかし、そのあゆみはあまりにも慎重で、市民が求めている施策の充実に追いついていっていないと思います。財政調整基金をはじめ主要3基金は一体どこまで積み上げるのでしょうか、他の中核市と比較して、その平均値を目標に据えることは妥当なのでしょうか?また、毎年負担しなければならない経常支出には使えないなどとの財政規律も、固定的に考えなければならないのでしょうか。自治体の成り立ちはそれぞれ違いますし、課題も千差万別です。財政支出には柔軟な対応を行うべきだと思います。

 

Q3.基金の活用について、これまでのルールを見直し積極的な活用ができるよう柔軟な対応ができないのでしょうか?

 

答弁要旨

 

議員ご指摘のとおり、主要3基金については、財政運営方針に基づく計画的な積立・活用により、残高は増加傾向にありますが、財政調整基金につきましては、緊急的な事態が生じた場合に他都市と同等の対応がとれるよう、決算剰余等を積み立てることで、目標として定める類似他都市並みの残高に近づいてきているものの、引き続き目標水準まで残高の確保が必要であると考えています。

一方、公共施設整備保全基金については、目標として定める類似他都市並みの残高が確保できていることから、活用方策につきましては、様々な財政需要を検討する過程で柔軟に検討してまいります。以上

 

3,子ども支援策3つのゼロについて

 

 30年間経済の成長が止まり、働く人たちの実質賃金は減少しているところへ物価高が覆いかぶさり、市民の暮らしは厳しさが増すばかりです。ところが国の政治は相変わらず大企業ばかり応援の経済政策、アメリカいいなりの軍事費増額が続けられ、国民の暮らしや中小企業、子どもの教育などについては、自助努力が強調されています。

こうした情勢のもと子どもを産み育てようとする世代の負担感は、ますます大きくなっています。人はどこに生まれどこに住んでも、すべての子どもがお金の心配なく、安心して希望に向かって前に進めるまちづくりが行われるべきです。

子育て世代が持つ大きな負担感を政治の力で軽減し、安心して暮らしていける尼崎にして行くため、次の3つのゼロを要望します

  • 18歳まで所得制限なしで医療費をゼロにすること
  • 小中学校の給食費をゼロにすること
  • ゼロから2歳児の保育料をゼロにすること

これらを実現させるためには財政的な裏付けが必要です。一足飛びに実施することは困難だと思います。国や県に強く働きかけ、連携して実現に向かっていくことが必要です。

新年度予算を見たとき、果たして子育て世帯の負担を軽減する、あるいは増額しないものになっているかが、問われます。

子どもの医療費が対象18歳まで拡充し、助成内容を前進させていることは評価できます。しかし、小学校給食費が昨年より1食あたり16円値上がり、年間約3000円負担増となる。公立保育所3歳児以上の給食費が月300円値上がり、年間約3600円増となる。準要保護就学援助金の入学支度金は他自治体に比べ、2年連続小学校で約1万円、中学校で約1万5千円も低いまま手がつけられていません。児童ホーム育成料の決め方を変更し、それによって負担増となる子どもが、推計値で4.7%増えるなどの問題があります。

 

Q4 .市民の暮らしが厳しさを増す今こそ予算編成上、子育て世代の負担を増やさない目配りが求められており、配慮すべきではないでしょうか。

 

答弁要旨

若い世代が希望をもって尼崎で生活し続けたいと思えるようなまちづくりを進めるうえで、子育て世代が抱える負担を軽減し、多様なニーズへ対応していくことは私にとっても一丁目一番地の取り組みであると考えています。

そうしたことから、「子ども・子育てにかかる支援」を市が重点的に取り組む項目に位置づけ、保育料の引き下げやこども医療費助成の拡充など、様々な取組を進めてまいりました。

議員ご指摘の給食費の改定につきましても、材料費の・高騰などによる値上げが避けられない状況の中、保護者の負担を可能な限り軽減するため、費用の一部を公費負担するものです。

一方で、安心して子どもを産み・育てられる環境の充実には、経済的負担の軽減に加え、時間的、心理的負担の軽減も含めた様々な観点からの出産・子育てにかかる支援策が必要であり、それらの実現に向けては子育て世帯の実情やニーズはもとより、本市の財政状況等も踏まえた検討が必要となります。このことからも、まずは「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」に掲げた各項目の実現に向けた取組を進めるとともに、今後も国や県の制度改革等も注視しつつ、更なる子育て支援策の充実・強化に努めてまいります。 以上

4.教育のあり方について 

 

 教育委員会は「子どもファースト」からより広い解釈につながるとして「子どもセンタード」という用語を使うようになってきています。大変良いことだと思います。子どもを中心にして、教育をどう充実させようとしているのか、この言葉を使用することの意味、その目的はどこにあるのか、たえず考えていかなければならないと思います。

私は常々、学力至上主義、点数主義、競争主義が子どもたちを壊しているのではないのか、また置き去りにしてきているのではないのか、この考えを改めない限り子どもの健全な発達は得られないのではないのかと思っています。

教育の目的とは何でしょうか。近年、教育の現場から子どもの全人格的な発達に取り組むということが聞こえてこなくなっていると感じているのは、私だけではないと思います。

日本の教育はどうなっているのか、その目的について探ってみました。教育基本法2006年の改正から紐解き、様々な文献を参考にしているうちに、法政大学教授児美川孝一郎氏の一文に目をひかれました。紹介します。

 

『教育基本法の改正について、旧法の第一条「教育の目的では」、人格の完成を目指し平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成を期して行われなければならないと、主体的なつくり手を育てることを期すとされていた規定には、改正後の第一条ではそのために「必要な資質を備えた」という言葉がわざわざ追加されました。必要な資質を身につけていない子どもは、国家・社会の主体的なつくり手になどならなくてもいいと言わんばかりです。教育改革において財界や経済界経産省は人材という言葉を使っています。教育の目的が変えられ、経済界に役立つための必要な資質を備えたものが人材と言われるわけですが、今なら、そうした文脈において文科省までが人材という言葉を使用しています。みんな同じ土俵に乗ってしまい、誰も人格の完成などという武骨なことは言えなくなりました。』とあります。

児美川氏は、また戦後の教育改革の流れの中で育ってきた世代は、ある特徴を有していると分析されています。

 

何でも市場に任せ、競争を煽り、勝ち組が利益を独り占めにしていく新自由主義の考え方が社会全体に強要された結果、なんでも自己責任を多くの人々が受け入れていく状況が生まれていると指摘されています。

児美川氏は、『新自由主義の内面化は自分事ではないことに関しては「傍観」を勧めます。自分に火の粉はかかってこないのだから、そのくらいは見て見ぬふりをしろとささやくのです。他方で、自分ごとの問題は自己責任で受容しろと迫ります。競争社会の中で、学校に入ってからずっと他人と競わされ評価を受け続け、小学校受験から始まり中学入試、高校入試、大学入試そして就職活動まで、すべては自己責任であると言われてきました。とうの昔から自己責任を内面化させられているのです。競争原理で世の中は回っているのだから努力した人がいい目を見て、そうでない人はそれなりの状態に甘んじざるを得ないと教えられてきたのです。そういう感覚で世の中のことを見ていれば、最初は多少の違和感を持つことがあったとしても、それは最終的には自己責任の論理に回収されていきます。なんとか歯止めをかけていかないと、社会が問題を認識しない、社会的要因で引き起こされた問題が、全て自己責任に置き換えられていけば、社会的発展、文化の発展は遠くに追いやられ、経済的発展のみが目的化されてしまうのではないでしょうか。』と論じられています。私は、教育を取り巻く環境と社会的的影響によって、人間が自分のことを自分で縛って自己規制しているのだと半ば納得させられました。

 

Q5 .このような新自由主義の内面化が進んでいるとの論に、市長はどう思われますか、また本来の教育の果たすべき役割を市長はどう考えますか?

 

答弁要旨

私も戦後教育改革の流れの中で育ってきた人間として、児美川氏のご指摘を伺いますと、大変肩身の狭い思いをいたしますが…

私自身は「新自由主義」と言ったらよいのか、「資本主義」と言ったらよいのかわかりませんが、このことと教育における競争原理との因果関係は、素直に受け止めることができず、例えば、中国における「科挙」や、もっとさかのぼれば、各国の文明で多くみられた身分制度なども、ある種の人間の中の差別化・競争でありますので、その意味では、人間そのものに備わった、仏教でいう「業(ごう)」のようなものではないかと受け止めています。

その上で、「教育の本質」は、文化の継承と一人ひとりの人間がより豊かで幸せな人生を送るための成長を手助けすることが第一であると考えており、その結果、平和でで民主的な社会を担う構成員の育成を目指すものであると捉えています。

この思いは、今回定めた「教育大綱」の冒頭に記載させていただきましたので、改めて、読み上げをさせていただきます。

 

「「教育」は、先人が蓄積した文化を継承しつつ、一人ひとりが、他者を尊重し助け合いながら、それぞれの持てる能力を最大限に発揮し、より豊かで幸せな人生を送るための成長を手助けするものであり、そのことを通じて、平和で民主的な社会を担う構成員の育成を目指すものです。

われわれは、教育の本質である、個々の内発的動機付けを重視し、一人ひとりの学習する権利の保障を目指します。」

少なくとも、教育は、国家や資本が先に来る時代ではないのだろうと思っています。

以上

 

  • 人口減少社会をどう乗り切るか?

 

「少子化・人口減少社会と地域・自治体ができること」と題した、自治体問題研究所の中山徹先生の講演をお聞きしました。その要旨をご紹介します。

政府は異次元の少子化対策として、様々な対策を講じています

しかし政府の異次元の少子化対策はには、5つの大きな問題があります。

1、新自由主義的な雇用政策は見直しされず、放置されています。国際競争力を強化するため人件費の削減、正規雇用を減少させる不安定就労の拡大、そして賃金の低下がもたらされてきました。こうした状況のもとで自分の将来を見通せない若者が結婚し子供を産むのかという問題があります。

2つ目の大きな問題としてジェンダー問題には手をつけていないということもあります。女性の社会進出が進んでいるにもかかわらず様々なジェンダー問題が存在しており、家事育児の負担が女性にかかっている限り少子化対策は前進しないのではないでしょうか。

3つ目に長時間労働全体の見直しがされていません。子育て期間のみ長時間労働を是正するのは困難です。日本の長時間労働全体を改善しつつ、その中で子育て世帯の長時間労働を見直すべきです。

4つ目に、東京一局集中の見直しがありません。若者が東京に集中していますが、東京の合計特殊出生率は常に全国最下位です。東京は通勤時間が長く、住宅が狭いなど子育てしにくい街となっています。東京に若者が集中している限り少子化は止まりません。

5つ目に、教育費の個人負担が大きすぎると言う問題にも対応できていません。 以上5つの問題です。この問題解決を含めて

今後どのように少子化対策を進めるべきか。提言されています。

国レベルでは、これまでの新自由主義的な政策を抜本的に改めることが必要。女性の就労と育児の両立を可能にする、すべての年齢層を対象とした働き方改革を進める、東京一極集中の是正、教育費の自己負担を軽減する、少子化対策の財源は大手企業、富裕層に求めていく。

自治体レベルでの少子化対策として、市区町村によって行われる少子化対策は経済的支援が大半となっており、まちづくりとの関係で少子化対策をどう位置づけるか重要と指摘されています。以上、中山徹氏の講演要旨です。

 

私がこの講演で学んだことは、少子化対策は国の対策と自治体の対策が両輪となって推し進められなければならないということでした。尼崎市における少子化対策の基本的な考えを見直さなければならないと思いました。

自治体として少子化対策を進めるために、経済的支援や専門性の重視、地域の参加を促すことが重要。経済対策と一体化し、地域全体が子どもを大切にする環境を作ることが求められている。また、施設の統廃合を進め集約化することではなく、住み続けられるまちづくりの中で少子化対策を推進することが必要ということでした。

 

Q.6 子どもの減少に応じて、学校、公立幼稚園の廃止、公立保育所の民間移管などではなく、少人数学級・少人数保育の導入で、地域に学校・幼稚園・保育所を残しつつ教育環境の改善、保育環境の改善を進めるべきだと考えるが、市はどう思うか?

 

答弁要旨

 

本市では、多様化する保育ニーズへの適切な対応や、保育所機能の充実とより効率的な保育所運営を行うこと、老朽化した保育施設の環境改善、待機児童の解消に向けた取組などを目的に、公立保育所の民間移管を進めてまいりました。

こうした中、社会情勢や子育て家庭の状況など保育を取り巻く環境の変化に対応するため、民間移管を含めた、今後の公立保育所のあり方について、改めて、検討を進めています。

今後におきましても、保育ニーズに応じた保育定員の確保を図るとともに、国が定める保育士配置基準に沿った保育体制の確保に努めるなど、こどもたちの安全・安心につながる保育環境の改善に取り組んでまいります。以上

 

 

教育長答弁要旨

小中学校一学級当たりの児童生徒数には基準が定められており、議員ご提案の、地域に学校を残したまま現行の基準数を下回るような少人数学級を導入すれば、学級数と学級担任の教員を増やす必要があり、その増員に要する費用は市が負担することとなります。

こうした費用負担の問題のほか、近年の教員確保の難しさを踏まえると、国・県の基準数を下回る少人数学級の導入は現実的ではなく困難であると考えております。

また、市立幼稚園については、「尼崎市就学前教育ビジョン」に基づき、効果・効率的な運営体制を構築すべく、令和6年3月に条例改正を行い、保護者需要等を踏まえる中で、9園のうち3園を廃園するとと

もに、残る6園のうち4園で3年保育等の充実策を実施することとしました。

幼稚園は、様々な園児同士が関わること等により、人格形成の基礎を培うとても大切な時期のため、適切な人数の中での保育が望ましいと考えており、今後も「尼崎市就学前教育ビジョン」に沿った取り組みを丁寧に進めてまいります。以上

 

6、市職員の雇用のあり方について

 

尼崎市の正規職員は、この約30年間で最高時の約5600人から昨年の3100人へと、45%も減りました。会計年度任用職員など非正規職員の割合が、再任用を除き全体の40%近く占めています。非正規の皆さんは働く時間が決められており、原則として残業を求められることはありません。

正規職員を減らしてきたことにより、会計年度任用職員の雇用に頼らざるを得ない状況となっています。しかし会計年度任用職員は、勤務時間が限定されているため、コロナ期にみられたように、正規職員に過大な負担がのしかかっていた状況からは何とか脱しているとはいえ、この歪な構造を続ける限り、災害時、マンパワーの不足は如何ともし難い状況となっています。

またワークライフバランスの観点から見ても、非正規職員の1年ごとの契約更新は安定的な雇用が得られなくなっており、正規職員の働き方にも影響を及ぼし、改善、改革が求められているのではないでしょうか。希望があれば、働く時間が選べる、正規に登用するなどの人事政策を改めることが必要となってきています。

 

Q7 . 今こそ、正規市職員の雇用を増やす方向に人事政策を転換すべきと思いますが、市の見解は?

 

答弁要旨

 

市役所の正規職員の適正数については、様々議論があるところでありますが、あらゆる非常事態を想定したときに必要となる最大の職員数を見越した正規雇用数を維持することは、現実的ではありません。

非常変災時に、全ての部局が同じように忙しくなるわけではないことから、仮に、マンパワーがひっ迫した部局が出たとしても、組織全体で柔軟に助け合える組織文化を、平時から作っておくことが大切と考えています。

一方で、例えば、今後、デジタル化や児童相談所の体制整備、救急需要の増加に対応するための救急隊の増隊など、通常業務において、必要業務量が増している分野もございます。

こういった分野については、正規職員の採用を進め、通常業務が確実に担える体制整備を進めてまいります。以上

 

7、公立幼稚園 長洲・小園・竹谷3園の廃止

 

 2023年、市は「尼崎市就学前教育ビジョン」を11月に発表しました。その中で、9園ある市立幼稚園のうち、入園希望が定数を大きく下回る長洲・小園・竹谷の3園の廃止を2025年度から実施するとしていました。

 このビジョンに対し、12月に意見聴取が行われ、700を超える意見が出されました。そこでは「来年の入園募集を行う10月を過ぎて11月にこのビジョンが発表されており、廃止が決まっているところに応募なんかしなかった」等の意見が数多く出されており、事前の計画の周知が徹底されていなかったことが明らかになりました。

そして意見を参考にするとの当局見解で、3園の廃止を1年間先送りする方向が示されました、まさに朝令暮改です。3園廃止は拙速すぎるということは、はなからわかっていたことです。

 しかし1年延期だけでは根本問題は解決されません。幼稚園は公立が2年、私立は3年保育の違いがあります、以前から共産党議員団は公立の3年保育を実施する中で、市立幼稚園のあり方を検証するべきと提案していました。公立だけ2年保育では年々公立の入園希望が少なくなるのは当たり前であるにもかかわらず、教育委員会は2年連続応募者が少なければ廃園という決まりを変えようとしてきませんでした。今回もこの規定はのこされ、3年保育を実施するのは4園だけで、2園は据え置かれています、これで正しい検証ができるとは思われません。すでに2年保育しか行わない園和北と武庫は廃園を決定したも同じ扱いとなっていくのではないでしょうか。

また今回のビジョンでは、就学前のインクルーシヴ教育(障がい児との共生)の必要性が打ち出されていますが、公と私でどう取り組んでいくのか議論が不足しています。特に公立はこうした問題を研究する機関としての役割とともに、障害のある子どもたちをあずかる最後の砦としての役割を持っています。かつては18園もあった公立が9園まで減り、さらに6園、最後には全くなくなる恐れも内在しています。そうなれば、障がい児保育やグレーゾーンの子どもたちの受け入れ先の多くが、失われてしまいます。さらにインクルーシブ教育のリードオフマンとしての公立の機能も失われてしまうのではありませんか。スクラップアンドビュルドの考え方をこの分野に持ち込んではなりません。公立の役割を軽視しないでほしいと願います。こうした数多くの問題があるにも関わらず、市教委はすでに「尼崎市就学前教育ビジョン」計画は決定と取り扱っています。

 

Q8 .今一度、「尼崎市就学前教育ビジョン」計画を中断して、この問題を全市的に議論すべきだと思います。

 

教育長答弁要旨

 

市立幼稚園は、近年利用者数が大幅に減少する一方、特別な支援が必要な幼児が増加傾向となる等、多くの課題があります。

そのため、令和3年度に設置した「尼崎市立幼稚園のあり方検討会」の報告書を踏まえた上で、「尼崎市就学前教育ビジョン」を策定しました。

その策定作業の過程においては、市民意見聴取プロセスに基づき、各市立幼稚園での保護者説明会や各地域での市民説明会等を数多く実施するとともに、法人団体とも協議する等、できる限り時間をかけて丁寧に策定事務手続きを進めてまいりました。

教育委員会といたしましても、存続する6園全てで3年保育の実施が出来れば望ましいと考えている一方で、人材や財源には限りがあるため、地域ニーズ等を踏まえ、4園での3年保育実施といたしました。

また、インクルーシブ教育については、存続する全市立幼稚園で充実を図るとともに、私立幼稚園等を対象とした特別な支援が必要な幼児の受入に係る補助制度の創設や、特別な支援が必要な幼児の受入体制について市立幼稚園と私立幼稚園とが情報交換する等により、本市の就学前におけるインクルーシブ教育を推進してまいりたいと考えております。

今後とも「尼崎市就学前教育ビジョン」を推進することで、市立幼稚園については市民に選んでもらえる魅力ある園づくりを目指すとともに、官民が連携して、どの就学前教育施設においても質の高い教育が受けられるよう努めてまいります。

以上

 

8、PF I(Private Finance Intiative)の活用による下水道事業の整備等について

 

今後の下水道の整備をだれが担うのかというテーマに関連して、新聞「赤旗」が八潮市の事故を報道しています。紹介します。

1月28日に起きた埼玉県八潮市の県道交差点陥没事故を受け、上下水道施設の維持管理の重要性が浮き彫りになっています。石破茂首相は2月20日、デジタル行財政改革会議で上下水道の老朽化策として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を急ぐよう担当閣僚に指示しましたが、優先すべきは技術系職員の確保です。

 八潮市の事故は運用から42年たつ下水管腐食が原因といわれますが、下水道に起因する道路陥没は全国で2607件(2022年度)発生。標準耐用年数50年を経た管路の割合は2042年に全国で約40%になるとされ、老朽化対策は緊急課題です。しかし現場では、予算と職員が足りず、日常の運用管理はおろか補修や点検、更新が追いついていません。特に小規模自治体は事務系と技術系職員を合わせても数人以下のところもあり、職員の高齢化も相まって業務のひっ迫は深刻です。
 背景には総務省の「集中改革プラン」(2005~2009年度)などによる人員削減があり、上下水道職員数は1995年の6万2千人から2022年には3万9千人に激減しました。
 上下水道は、住民の命と暮らしを守る大事な施設です。現場では人にしかできない作業が多数あり、職員の技術やノウハウは重要な財産です。災害時に各自治体の職員が自力で復旧するためにも、技術系職員を抜本的に増やすべきです。以上が赤旗の記事です。

 

昨年の代表質疑で、下水道事業、東部雨水ポンプ場の建設、維持管理は公共が行うべきと、当局の考えについて聞きました。答弁は、『下水道事業については、経験豊富な技術職員の減少や老朽化施設の急増、将来投資額の縮減などの課題を抱えており、「ウォーターPPP」をはじめとする官民連携により、こうした課題の解決を図っていく必要がある。また、その導入については、下水道管の改築の国庫補助事業の採択要件となることから、維持管理と改築更新の一体マネジメント方式の検討を進める。また、東部雨水ポンプ場の建替えも、市の方針に基づき、「PPP/PFI手法」を検討する』と答えています。

八潮市の事故を受けて当局の今後の対応は、この時の答弁と基本的に変わらないのでしょうか?昨年の能登の災害では、自治体職員が少なくて受援体制ができず、復旧・復興の大きな障害となっていました。

技術系職員は募集しても来ないから民間に頼ると当局は言いますが、処遇改善や働きやすい環境の改善を図る中で対応すべきではありませんか、仕方がないから民間へでは安易すぎませんか。

今後、本市においては、公務員の技術系職員の配置動向は、どうなっていくのでしょうか。今後、技術系の職員がどんどん減少していくと、結果、ほとんど全ての業務を民間に委ねることになってしまい、コスト面でも言いなりになって経費削減どころか経費増大、いざ災害時には協定があるからといっても物理的に民間が対応できないのではないのか、その結果市民サービスの低下は免れないと思います。

技術系職員が募集しても来ない問題は、職員の処遇改善で対応すべきです。インフラ整備の責任は、現在もそして未来も、国と自治体にある、民営化丸投げにつながる民間委託はやめるべきであり、行うとしても限定的に行うべきであると考えます。

 

Q9 .「ウォーターPPP」の見直しを行い、民間連携が丸投げにならない取り組みを進めるべきではないのか?当局の見解を求めます。

 

答弁要旨

 

国が推進する官民連携方式である「ウォーターPPP」は、下水道事業において、施設の老朽化や職員の不足が懸念される中、民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるものであり、本市では令和10年度の導入を目途に準備を進めているところです。

導入にあたりましては、民間事業者が施設管理の全ての裁量を掌握するという、いわゆる「丸投げ」とはならないよう、災害時の対応も含め、市職員と民間事業者の両方がノウハウを共有・蓄積する官民の適切なパートナーシップを構築するとともに、今後ニーズが増加する施設の老朽化対策や新たな整備については、必要となる市職員の体制を確立し、将来にわたる事業の持続可能性の確保に努めてまいります。以上

 

以上で第1問を終わります。

 

第2登壇

 

9、児童ホームの待機児童対策について

 

児童ホームの待機児童数は、昨年24年の5月1日現在で290人となっています。前年度の214人と比較すると、76人待機児童が増えています。

待機児童の学年別の内訳をみると一年生が18人、二年生が65人、三年生が123人となっており、児童ホームの運営上バランスの取れた構成となっていません。

実際の入所者数の学年別を見ると、一年1,147人と二年861人、三年445人、4年195人、五年58人、六年18人となっており、学年が上がるにつれて極端に高学年が減少しています。必要度から言うと、3年生までは利用できる環境を整えるべきとの意見もありますが、全ての希望者を受けいれることをめざさなければなりません。

待機者の状況、日常的な居場所は、こどもクラブが242人、自宅が48人となっています。民間利用登録数は660人、うち公設の児童ホームの待機者はわずか21人です。

市は待機児童の解決策として、民間の学童保育を活用とすることを第一にするとして、取り組みを進めています。しかしすでに民間はわずか数年で閉所したりして、不安定な経営状態となっています。待機児童対策は、国基準である施設1箇所40人定員の公設の施設の拡充で対応すべきです。

 

Q10 .児童ホームの待機児童対策は公設公営で行うべきであり、そのことが公平性平等性を担保するのではないでしょうか。民間の学童保育に安易に頼る方針を見直すべきではないでしょうか?

 

答弁要旨

 

児童ホームにつきましては、近年、工場跡地等の大規模マンション開発や児童ホームの利便性向上の取組みによる更なる需要の喚起などにより、入所希望者が増加しており、特に人口集中地域の小学校区で多くの待機児童が生じています。

そうしたなか、待機児童対策として、今年度に武庫庄児童ホーム、令和7年度には上坂部及び園田南児童ホームのクラス数を増設するなど、公設児童ホームの定員拡大に向けた取組を進めているところですが、公設児童ホームのクラス数の増設には、学校に児童ホームに転用できる余裕教室がないなど、実施場所の確保が難しいこと、また、全国的に保育士等の有資格者が不足しており、指導員の確保が難しいことなどの課題があります。

そうしたことから、特に待機児童の多い地域など、本市が開設を推進すべき地域を指定し、指定地域で民間事業者が児童ホームを新規開設した場合に、当該事業者に対して、施設整備に要する費用の一部を補助する設置促進事業補助金のほか、運営費の一部を補助する運営費補助金を交付しているものであり、令和6年5月現在で660人の児童が民間児童ホームを利用されています。

議員ご指摘のように、民間児童ホームの事業所数は、令和3年度をピークに減少傾向にありますが、待機児童の解消に向けては、現在のところ必要不可欠と考えており、官民双方で受け皿整備に取り組む必要があるため、民間児童ホームの定員数及び安定的な運営の確保に向け、令和7年度から補助金制度を拡充することとしており、今後も公設児童ホームのクラス数の増設とあわせて、民間児童ホームの参入を促進してまいります。以上

 

10、公立保育所の今後のあり方について

 

公立保育所の今後のありかた、民間移管計画が見直されようとしています。これまで、まるで秘密会のような、2年にわたって職員だけの庁内議論を行い、そこでまとまった意見を、新しく立ち上げる審議委員会で検討、成案化するとのことです。かつて45カ所あった公立保育所は9カ所にするというのがこれまでの方針でした。公的保育はどうあるべきなのか、尼崎における公立保育所の民間移管の検証、ふりかえりを十分に行い、全体的に検証結果を共有すべきではないでしょうか。順番、方法が間違っています。そこで成案がまとまると、それが決定になっていくのが通例です。尼崎における公立の果たす役割はもう終わったと判断するに等しい乱暴なやり方です。なぜ庁内だけの議論を先行させたのでしょうか、またしても市民は置き去りにされているのではないでしょうか。

 

Q11。まずは、広く関係する団体、専門家、地域、市民の意見を聞くべきです。職員だけの議論で結論を押し付ける「今後の公立保育所のありかた」の検討は見直すべきです、再考を求めますがいかがですか?

 

答弁要旨

 

公立保育所の民間移管は、平成19年に策定した「公立保育所の今後の基本的方向」等に基づき実施してまいりましたが、策定から15年以上が経過する中、子ども・子育て家庭や保育を取り巻く環境は大きく変化しています。このような背景を踏まえ、公立保育所に求められる役割の再整理が必要なことから、昨年度、まずは庁内の関係課で構成する会議体を立ち上げ、検討を重ねてまいりました。

議員が御指摘されている趣旨を踏まえ、学識経験者、関係団体及び保護者代表からなる委員で構成された「公立保育所のあり方懇話会」を昨年10月に設置し、庁内会議体で議論した課題について御意見をいただきながら、検討を進めています。

当該懇話会の運営におきましては、保育に関連した客観的データを示したうえで、委員それぞれの立場から、幅広い視点で御協議いただいています。

今後、引き続き懇話会で御協議いただきました後、当該懇話会からの御意見を踏まえ、「公立保育所の今後の基本的方向」の見直しを行い、民間移管を含めた公立保育所のあり方を整理してまいりたいと考えています。以上

 

11、体育館の断熱化、空調について

 

日本共産党議員団は、22年12月から1月と23年8月と、築40年以上の老朽化した34校の学校施設を視察して、これまで様々な要望を行ってきました。主にはトイレの洋式化、体育館の断熱化・空調整備、学校のプール環境の改善等々についてです。すぐに改善が行われたものもありますが、しかし残された未実施の課題は大変多く、一朝一夕に改善は困難です。中長期の計画とともに何を優先課題としていくのか充分な検証が必要でもあると思います。

昨年の代表質疑では、体育館の断熱化・空調整備をすすめる計画を、24年度あらためて実施する考えはないかと質問しました。答弁は「学校施設の整備改修については、老朽化した校舎の建替えや大規模改修、トイレの洋式化、照明器具のLED化など児童生徒の安心安全な教育環境を維持・確保していくため、多額の経費が必要、一定の財源の中で優先順位をつけて取組を進めている。来年度ただちに体育館の空調整備についての計画を策定する予定はないが、その必要性は認識しているので、他都市の事例や機器メーカーからの情報収集など、実現に向けて、より実効性のある空調設備の調査・検討を進める。」とのことでした。

 政府は12月17日に成立した2024年度補正予算で「空調設備臨時特例交付金」を創設しました。政府は全国の小中学校体育館の設置率は22、1%にとどまっており、全国の小中学校の95%が避難所に指定されていることから、今後10年間で設置率を95%まで引き上げる目標を掲げ、新たに交付金を創設しています。

 尼崎では、今年度、中学・高校の体育館から進めるとして3校の名前が上がっています。考え方として2026年度からの本格的な地域クラブ活動が実施されることからこのような優先順位になったのではないかと推測しています。しかし、体育館はどこも避難所として指定されています、学校ごとの課題を明示して、今後何年かけて実行していくのか、全体計画を示すべきではありませんか。市民は自分たちが居住している体育館の空調整備はいつから始めるのか、その優先度について納得のいく説明を求めていると思いますがいかがでしょうか。

 

Q12 .お尋ねします、体育館の断熱化・空調の全体計画はどうなるのですか、その優先度の考え方とともにお示しください?

 

教育長答弁要旨

学校体育館の空調整備につきましては、夏休みを含め使用頻度が高いことに加え、避難所としての市域全体の配置バランスを考慮し、まずは中学校、高等学校から優先的に整備を進めてまいります。

今回、国において新たに「空調設備整備臨時特例交付金」が創設されましたが、断熱性能の確保が要件とされていることから来年度は、断熱性能等が異なるタイプの体育館の整備に着手し、より効果的な整備方策について検証したうえで、小学校を含む全体計画を踏まえた整備方針を来年度中に策定し、できるだけ早期に全小中学校への設置に努めてまいります。以上

 

12、図書館のあり方について

 

北図書館が昨年8月半ばより約1ヶ月半の間、一定期間閉鎖やサービスの限定がされていました。

8月7日突然冷房が効かなくなったそうです。年度初めの空調点検では異常がなかった、すぐ直せないので他の公共施設から冷風機を借りてきたりして急場をしのいでいたが、それも夏の暑さに限界となり、8月15日から閉館されていました。復帰まで時間がかかったのは、空調は20年ぐらい使っている機械なので、部品の調達等がなかなかできなかった。また図書館そのものの建て替え問題もあり、検討していたからとのことでした。公共施設のメンテナンスが計画的に充分に行われていたのか問われるところです。また、運営が指定管理となっているからそうだったのかこの問題の検証と総括が必要だと思います。

 

Q13 .お尋ねします。図書館が1ヶ月半もの間、休館やサービスの限定を余儀なくされたことについて、事前対策で防止できなかったのか、指定管理という運営上の体制に問題はなかったのか?

 

答弁要旨

北図書館の空調設備につきましては、夏場の最も暑い時期に故障したため、利用者や職員の健康を配慮し、令和6年8月15日から一部のサービスを除き館内の利用を一時的に休止しました。その間は、貸し出し・返却業務のみ出入口にて対応しました。急遽、空調機を1台設置し、9月3日に窓ロカウンターで貸出し・返却業務を再開、暑さが和らいだ10月1日より全ての館内サービスを再開しました。

故障の主な原因は、冷温水発生機のコントロールモーターが老朽化により突然故障したものであり、稼働前の保守点検や試運転では不具合は確認されておらず、予期せぬ事態であり、指定管理者の運営体制に問題があったとは考えておりません。

また、故障後の指定管理者の対応も中央図書館や専門業者等と緊密に連携する中で、適切に対処できたと考えています。(以上)

 

1月に会派視察で福井市の図書館を見てきました。そこの運営については、図書の貸し出し窓口については、一部委託するなどしているが、全体としては指定管理を行なっていませんでした。そこで質問すると、やはり佐賀の武雄市で起こっていた蔦屋に対する指定管理の問題を重く受け止めて、指定管理は図書館運営にそぐわないからと福井市は実施していないということでした。

 

Q14 .図書館の運営についても学校や地域との連携など、全市的な観点で考えられていかなければなりません。これまでの図書館の指定管理を実施してきたことをどう評価しているのか、また指定管理のあり方を見直す考えはありませんか。 

教育長答弁要旨

図書館の主な役割は、「いつでも、誰でも」図書に親しめる環境をつくり、読書を推進することであり、地域や学校と連携し、きめ細かな図書サービスを展開することが重要であると考えています。

本市の図書サービス網は、中央図書館と北図書館を中心に構築しており、直営の中央図書館は、主に学校や生涯学習プラザなどの関係機関との連携を図る、いわば全体の司令塔の役割を担っております。

一方、指定管理制度を導入している北図書館では、民間の専門知識を活かし子ども向けのお話し会や大型紙芝居大会を定期的に開催することで幼少期からの読書習慣の定着を図るなどの取り組みを行っております。このように両館が相互に補完し合う関係性のもと成り立っていることから、現行の体制を見直すことは考えておりません。(以上)

 

13、市の住宅政策について 賃貸低所得者への家賃補助制度

 

昨年の代表質疑で、低所得高齢者の住居補助制度の充実、高齢者のための市営住宅を増やすことについてお聞きしました。市の答弁は「市営住宅については、高齢者が入居しやすいよう、抽選時の優先入居枠の設定、高齢者のみが申込みできる部屋を設けるなどの取組も行っている。加えて、23年9月より、定期募集で入居者のなかった部屋については、常時募集にするなど、高齢者などが入居できる機会の拡充にも努めている。市営住宅の管理戸数については、今後の持続可能な管理運営の観点から、削減することとしているが、低所得者の方々の大切なセーフティネット機能でもあるので、こういった機能については、引き続き、維持できるように留意する。」との答弁でした。

 

国の住宅政策のもとでは、少子高齢化や人口減少が顕著に進む中で、市場重視で住民への適切な住宅供給や、安心・安定した居住の継続への支援をすることはますます難しくなってきています。先般も真崎議員が議会で紹介していますが、杉並区の岸本聡子区長は、「命と暮らしを守る最前線にある自治体にできることはあります。選挙公約で住まいを失った人や失いかけている人に対して、安定した住まいの確保を最優先とする、ハウジングファーストの理念に則った支援を行ない、民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした家賃補助制度を創設することを掲げました。『住むことは権利だ』という視点に立つと住宅政策は大きく変わってきます」と述べられています。非常に高い見識だと思います。居住保障の実現をめざす自治体住宅政策への転換が尼崎でも必要だと思います。

 

Q15 . 民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした家賃補助制度を創設することにどのように考えていますか?

 

答弁要旨

住宅に困窮する低額所得者につきましては、住宅セーフティネットの根幹であり、類似中核市と比較しても多くの管理戸数を有する市営住宅での対応を基本としており、必要に応じた家賃の減免制度を実施していることから、住宅セーフティネット施策である家賃低廉化の補助などの経済的支援や、個人に対する給付としての家賃補助を実施する予定はございません。以上

 

14、中小企業支援策について 住宅・店舗リフォーム助成で市内循環型の経済発展を

 

 これまで、中小企業支援策として住宅・店舗リフォーム助成制度を行い、市内循環型の経済発展をと何度も訴えてきました。しかし、市は「商店リニューアル助成制度」は、助成がなくともいずれ実施されるであろう店舗改修を前倒しして行うものであり、新たなリニューアル需要を生むものではない」との答弁を繰り返してきました。また本市では、「商店リニューアル助成制度」よりも、省エネ効果や商店街活性化を重視した「脱炭素化設備等導入促進支援事業」や「空き店舗改修」を優先している。また、空き家問題と地域経済活性化を同時に解決するため、「エコリフォーム助成」ではなく、「空き家改修助成」を実施していると述べています。

実際にこの制度を実施している高崎市では、この制度を14年も続けています。

高崎市の「住環境改善助成事業」は、市民が市内業者に住宅の修繕や改修工事を依頼すると、助成金として工事に要した費用の30%、上限20万円を支給し、間接的に市内小企業・業者を支援する制度です。

同時に既存住宅の長寿命化や住環境の改善を図ることを目的としています。外壁や屋根の塗装などの外装工事、浴室やキッチンなどの水回り改修工事、壁紙の張替えや障子ふすま、畳の取り替えなど、非常に多くの種類の工事が助成対象になっています。

  予算規模は、当初予算で1億円、申請は500件の見込みですが、補正予算5千万円を足して2022年度は1億5千万円、805件の申請。総工事費951,051千円で、予算額の6倍以上の経済流通となっています。

当初は、3年間実施して、その後継続するかどうかを検討するということでしたが、市民からの継続の要望が強いということです。

高崎市には、市民が市の事業をただ利用するだけにとどまらず、まちづくりに協力していこうとのエネルギーを感じます。住宅・店舗リフォームか空き店舗・空き家対策どっちがいいのか、対立的に硬直的に捉えるのでなく、できることは積極的に取り組むべきではないでしょうか。実行して検証すべきではないでしょうか。

 

Q16 . 市内循環型経済を発展させるために、商店リニューアル助成事業や、住宅リフォーム助成制度の実施について再考を求めます

 

答弁要旨

ご提案の商店や住宅リフォーム助成制度は、対象事業者を市内事業者に限定することや助成金額の条件設定を行うことで、一定の経済効果が発生するものと考えますが、リフォーム需要の前倒し効果はあるものの、リフォーム自体の総需要の増加につながるものではなく、地域経済全体に及ぼす効果は限定的であると認識しています。

そうしたことから、本市としましては、市内事業者による省エネ診断から設備導入までを対象に補助を行う、「脱炭素化設備等導入促進支援事業」や、商店街の活性化につながる空き店舗改修など、地域経済効果に加え、省エネや本市が抱える課題の解決にも資する取組を優先することが望ましいと考えています。

また、住宅に関しましても、居住中の住宅へのリフォーム助成ではなく、活用可能な空き家の利活用を促進する「空き家改修助成」など、本市が抱える空き家問題の解消を優先することが望ましいと考えています。以上

 

15、公園の整備について

 

中央公園、小田南公園のリニューアルが進んでいます。両公園の木々がかなり伐採されていることに多くの市民が驚いています。中央公園は公園PF I事業で行われており、そのなせる技かなと思います。市内には、この事業に馴染む公園はここだけのとのことですから、問題はこれ以上拡大しないのかもしれませんが、あまりにも変容を遂げる公園PFIのあり方については、今後これで大丈夫なのかとの思いを強くしています。

今後全市的に、みどりのマスタープランによって公園の見直しがされるようですが、どのように市民意見を拾い上げていくのでしょうか、気になるところです。

 

Q17.公園をエリアや機能で分担して、特色づくりを行うということですが、どのようにして実行して行くのでしょうか。

また、日常的な公園整備についても、老木の処理、草刈り、掃除、洋式トイレの設置等、課題は多岐にわたります。市民からの問い合わせ、苦情に敏速に対応できる体制、それに伴う予算措置など全市的な整備計画が必要となっていると思います。

Q18.市民にとってより良い、憩いの場としての公園づくりのための維持管理、整備計画が必要と思うが、今後どのように対応していこうとしていますか?

 

答弁要旨

昨年度末に改定した「みどりのまちづくり計画」では、主要な取組の1つに魅力ある公園づくりを掲げ、その中では、身近な公園の機能分担について取り組んでいくこととしています。

機能分担とは、一定の地域にある複数の公園を一体的に捉え、利用実態や施設の状況、地域ニーズに合わせて、例えば「遊具の充実した公園」や「ボール遊びができる公園」といったように、公園の機能を分担するというもので、利用実態の把握や、公園ごとの役割を考える際など、検討の段階に応じてアンケートやワークショップなどを通じて、地域住民との協働で進めていくこととしており、その対話を重ねる中で、学校とも連携しながら取組を進めてまいります。

また、併せて老木の処理、草刈り、清掃などの日常的な維持管理やトイレなど公園の諸施設のあり方についても、そのなかで検討を進めながら、効率化や省力化に向けてICTを活用した公園情報のデータベース化にも取り組むことで、今後も市民の皆様により良い憩いの場としての公園づくりに努めてまいります。以上

 

16、個人情報保護法について 自衛隊への個人情報を電子データでの提供

 

個人情報を提供できる根拠として自衛隊法97条一項「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う」や同法施行令第120条「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市 町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる」が引用されています。しかしこの条文によれば防衛大臣は自衛隊員の募集に必要があると認める場合、都道府県知事や市町村長に対して必要な報告や資料の提出を求めることができるとしか書かれていません。提供されている個人情報は、まさしく個人を特定できるものであり単なる資料として扱うものではありません。

一方で個人情報保護法に基づく規定も存在します。個人情報保護法第69条第一項では、「法令に定めがある場合を除いて自治体が保有する個人情報を利用目的以外の目的で提供することはできない」と規定されています。ただし個人情報保護委員会は自衛隊法施行令第120条に基づく個人情報提供は法令に基づく場合に該当するとの見解を示しています。政府は個人情報の提供はあくまで自治体への協力であり住民基本台帳法は、防衛省自衛隊が行えるのは閲覧請求だけだとしています。この問題は法的な側面だけでなく個人情報保護と公益についても考慮していくことが必要です。

またこのような提供が行われるようになったのは、2019年に安倍首相が自民党大会や国会答弁で自衛官の募集業務について自治体が非協力だと発言したことがきっかけでした。その後、2020年12月18日に閣議決定がなされ、2021年2月5日に防衛省と総務省から自衛隊法を根拠とした「個人情報」の提供は、「住民基本台帳法」に特段の問題を生じるものではないとの通知が出されたことで、2022年度には、1068の自治体が自衛隊に個人情報を何らかの形で提供を行うまでになっています。

個人情報は、憲法13条の基本的人権に含まれるものでプライバシーへの関心が高まる中で、住民基本台帳法や個人情報保護条例などで厳格に扱われてきました。このような中で市は自衛隊から求められるままに個人情報を「電子データ」として提供を続けています。

データ提供を拒否できる制度は周知の不備もあり、機能しているとは到底思えません。まず市が自衛隊に市民の個人情報を提供していることを、多くの市民は知りません。情報提供をやめよとの市民からの要請があって、ようやく市は個人情報提供の辞退を求める手続きを定めましたが、市のホームページに載せているだけで、周知は徹底されていません。その結果、情報提供の拒否を行っている市民は、今年度18歳で4人、22歳で2人と極めて少ない状況となっています。

 

Q19.個人情報保護の観点から住民基本台帳の電子データでの自衛隊への提供はやめるべきです、市の見解は?

 

答弁要旨

自衛官等の募集に係る住民基本台帳情報の提供につきましては、自衛隊法第97条に基づく法定受託事務

として実施しており、自衛隊法施行令第120条に基づく、防衛大臣からの資料提供依頼に応じて、自衛官及び自衛隊候補生の募集のため必要な住民基本台帳情報を提供しているものです。

そうした中で、個人情報保護の取り扱いにつきましては、議員ご紹介のとおり、個人情報保護委員会において、「個人情報保護法第69条第1項の法令に基づく場合に該当する」とされているところです。

一方で、情報提供を望まない方への対応としましては、令和4年度から、兵庫県下では最初に除外申出の受付を行っており、データを提供する時期だけではなく、本市のホームページにおいて常時掲載しており、引き続き、より多くの市民の皆様に認識していただけるよう、努めてまいります。(以上)

 

17、がん検診について

 

今国会で、高額療養費の患者負担増を巡って、議論がされていました。高い医療費がかかった時、患者負担に上限を設ける高額療養費制度は患者の命綱です。その上限額を大幅に引き上げようとする石破政権。「全国がん患者団体連合会」などが取り組んだ反対署名は135,000人を超えました。石破首相は長期治療に限って負担増の凍結を表明したものの、高額療養費の上限額の見直し自体は実施する方針です。

この問題で注目を集めているのが、がん治療患者です。高額な医療費のため生活がままならない患者にとって、この制度があるからこそ生きていくことができる、制度を存続させてほしいと言う声が大きなものとなっています。

そして何よりも、がんの早期発見によって高額医療にならない体制整備がより必要とされているところです。

 

毎年死亡原因の上位を占める各種がんについては、検診による早期発見、早期治療の重要性が年々高まっています。天寿を全うするまで健康であり続ける「健康寿命」の延伸は誰もが願うことです。医療費の抑制にとっても早期発見、早期治療が有効であることは論を待ちません。

阪神間他都市が、軒並みがん検診を無料、あるいは低廉な費用で実施しています(2024年度伊丹市は胃がん検診500円、肺がん検診100円、喀痰検査400円/川西市は5大がん検診がすべて無料)

しかし本市においては、肺がん検診300円、胃がん検診800円、大腸がん検診900円、乳がん検診2200円、子宮頸がん検診1500円、依然として有料のままです。がん検診の無償化を妨げているものは、またしても財源それとも市の考え方にあるのでしょうか。

 

Q20 .お尋ねします阪神間他都市にならって、がん検診を無料にすべきだと思いますが市の見解は?

 

答弁要旨

日本人の死因の第一位であるがんは、本市においても年間1,500人程度が亡くなっている疾患であることから、がん検診による早期発見・早期治療が重要であり、併せて、医療費の抑制にもつながるものと考えています。

国が定めるがん検診の指針においては、特に受診を推奨する者として、40歳から69歳が(子宮頸がん検診については20歳から69歳)示されています。

阪神間の他都市では、年齢は各市で異なるものの、高齢者を中心とした、がん検診の無料化を実施しておりますが、本市につきましては、国が推奨する初年度にあたる40歳の方に対して、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん検診を、更に20歳の方に対して、子宮頸がん検診を無料化することにより、がん検診の受診の動機付け及び継続的な受診に繋げていくことを目的として、実施しているところです。

どこの年代をターゲットにして、無料化も含めたがん検診の受診勧奨をするかは、財源確保も含めて、様々な研究が必要と思いますが、少なくとも、これまでの取組とし.て、ハガキによる受診勧奨を行った年齢層の受診率が高いという結果から、子宮頸がん検診については、受診勧奨対象者の拡充を考えているところです。

今後、これまでの効果を検証するとともに、引き続き、受診勧奨はがきやホームページ等での情報発信に注力し、がんの早期発見の重要性を市民一人ひとりが意識して、多くの方にがん検診を受診していただけるよう、効果的な取り組みを進めてまいりたいと考えています。以上

 

18、生活保護について

 

2018年生活保護法の改正により、保護開始時や転居等の新たに住居を構えた場合など、エアコンの購入費用の支給が可能となりました。昨年の12月議会で、尼崎市の支給実績を聞いたところ、2018年から24年までの6年間で553軒の支給がされておりました。エアコンが設置できていない世帯は、壊れて使用できないものも含め24年末で570世帯全世帯の4.2%ということでした。

昨年の夏は65歳以上の市民が熱中症で病院に救急搬送される事例が相次ぎ、6月から9月までで314人ありました。生活保護世帯では、エアコン設置されていても光熱費を気にして使用を控え、熱中症になる事例がありました。市は、毎年のように夏の最高気温が更新される中、市民の命と健康が守られるよう最善を尽くさなければなりません。

 

Q21 .生活保護世帯のエアコン設置ができていない世帯に対する措置について、また電気代一部補助への対策について、市としての考えをお示しください。

 

答弁要旨

定期的な家庭訪問の際に、エアコンの持ち合わせがない、または、故障で使用できないことが確認された場合には、ケースワーカーからお声がけし、必要に応じ、社会福祉協議会の貸付制度の案内を行うとともに、申請手続きに同行するなど、設置に向けての働きかけや支援を行っています。

また、生活保護制度では、電気代の一部補助について、国によって全国一律で様々な基準が定められており、電気料金等の光熱水費は、生活扶助として最低生活費に含まれていることから、市独自での負担は困難です。

しかしながら、気候変動による近年の熱中症の危険性については、特に高齢者の方にとっては、命に関わる問題であると認識しておりますことから、夏季における冷房器具使用に係る電気代相当分の扶助については、引き続き、国への要望を続けてまいります。以上

 

また、生活保護の受給数が近年減ってきています。受給者が高齢で亡くなるという要因だけではないと思います。決して、低所得の市民の暮らしが向上しているとも思われません。根底には、生活保護は憲法25条の国民は健康で最低限の生活を営む権利を有するとの考えに基づくものであり、権利であるという考えが、まだまだ社会に定着していない問題があると思います。

ここ数年来、尼崎生活と健康を守る会が、毎年行われている市との懇談会で、ポスターを作り公共施設等に掲示し、生活保護は権利であることをもっと知らせていこうと訴えています。生活保護の補足率は、日本は極めて低いと研究者が指摘しています。2018年、厚労省が国民生活基礎調査に基づく推計として出している、捕捉率の数値は所得考慮で22.6%、資産考慮で43.3%となっています。生活保護基準以下で生活している人がたくさんいるわけです。生活保護受給者に対するバッシングはいまだに多く見受けられます、私も相談活動でなぜもっと早く受給申請しなかったのかと聞くと、「恥ずかしい」という答えが圧倒的に多く、また社会に対して申し訳ない、受給していることが世間に知られるのが怖いとの声をお聞きしてきました。安倍首相が、困っている人は生活保護を受給してくださいと呼びかけたのは何年前のことだったのでしょうか。

 

Q22 .生活保護は権利であるという啓発活動を強め、補足率を引き上げていくための取り組みとしてポスターなどの活用を含めて、実行しませんか?

 

答弁要旨

しごとくらしサポートセンターや生涯学習プラザ、国民健康保険や市民税の窓口において、生活にお困りの方には、生活保護の窓口へつなぐよう関係部署間で連携を図り、幅広く受け止める支援体制を整えており、市民にとって生活保護の申請の権利が妨げられることの無いよう十分に配慮しています。

生活保護制度の相談では、様々な聞き取りを行う中で生活保護制度上の権利のみならず義務についても漏れなくお伝えしており、ポスターなどの掲示物にて生活保護制度を詳細にお伝えすることは困難と考えておりますので、支援が必要な方に対しては、個別の事情を踏まえた相談・支援を実施し、生活保護を必要とされる方が抵抗感を抱かれるようなことがないよう、丁寧に制度の説明を行っており、今後も寄り添った対応を心がけてまいります。以上

 

19、万博について

 

 大阪・関西万博の開催まで1ヵ月半となっています。大阪府が進める小中高の児童生徒を学校単位で万博に招待する事業には安全性などに、教員や保護者から懸念の声が上がっています。近隣の市町村から不参加の表明や参加中止を求める声が広がっています。大阪府では吹田市、交野市、熊取町、島本町が招待事業への参加を見送っています。

吹田市教委は、「児童らの昼食時や待機場所での熱中症対策、団体行動をする際の導線などで安全を確保できないと判断。団体として行く際の安全対策の懸念が、払拭されなかった。」とコメントしています。

熊取町の小中学校校長会は、昨年末、保護者に向けて参加見送りを通知。安全面の懸念などを理由にあげています。

 安全への懸念が広がったきっかけは、昨年3月に会場内の建設中トイレで起きた爆発事故でした。コンクリートの床約100平方メートルが破損し、地下から1階天井に被害が及びました。万博会場の夢洲はゴミの最終処分場として埋め立てられた人工島です。事故が起きた1区は焼却灰や生ゴミなどの有機物も廃棄される区域。分解過程でメタンガスが発生。ガスが発生しないとされていた他の地区でも工事中にメタンガスを検知しています。

熱中対策も不十分です。医師がいる救護施設は3箇所だけです。熱中症は1人や2人ではなく集団発生する可能性があるのに、医師の数は最大時でも4人。設置されるベッド数は最大で74床。会期中、来場客数はピーク時で1日22万人を見込んでおり、熱中症対策のための手立てがあまりにも貧弱です。

 交野市は昨年5月不参加を表明しています。10月には事業の中止を要望しています。交野市長は「万博会場までのアクセスに難があります。バスを確保すると一人当たり5000円程度の費用負担が発生します。電車での移動は混雑が予想されます。危険も伴い、引率する教員の負担が大きくなります。メタンガスの爆発事故への対応や熱中症などの対策も不十分だと感じました。」と述べられています。

 

尼崎市は、万博の子ども動員について、開幕前に下見をするとのことでしたが、実現できるのか、またその判断を各校の校長の判断に委ねて良いのか。近隣他市でも行かないとの判断を示している自治体が増えてきています。

伊丹市では、昨年の12月議会で「県が実施する大阪関西万博に子どもたちを招待する取組」について議員が質問しています。伊丹市教育委員会は、現時点で万博に行く予定の学校は37%、予定がない学校59%、検討している学校は4%と答えています。参加を希望しない学校に対して参加を促すものではないとも答えています。

伊丹では万博への校外学習に対して具体的な報告を出しています。尼崎はどうなっているのでしょうか?

 

Q 23.万博に子どもを連れていくことに対して、市長としての、または教育長の判断が必要となってきているのではないのか。こどもたちの安全を守るために危険箇所には行かせない決断が求められていると思うが、市長はどう考えているのか。

 

教育長答弁要旨

昨日もこ答弁いたしました通り、「万博」は世界中からたくさんの人やモノが集まるイベントで、地球規模のさまざまな課題に取り組むために、世界各地から英知が集まる場所であり、本市の児童生徒が、未来社会や将来の自分を考えたり、SDGsへの関心を高めたりする機会が得られるなど、特別な学びの場になるものと考えています。

一方で、熱中症対策や緊急時の対応、会場までの交通手段の課題などの懸念事項がございます。

校内外における教育活動は、学校が主体的に計画・実施するものと考えており、とりわけ、校外で教育活動を実施する際には、「学習の目的に適した場所であるかどうか」や「現地までの交通手段を含めた安全性」、施設の状況や地理的環境、所要時間等、児童生徒及び引率する教職員にとって無理のない行程となるよう、慎重に検討する必要がございます。

教育委員会といたしましても、万博開幕1週間前に大阪・関西万博博覧会協会が実施する「テストラン」において、事務局職員を派遣して情報の収集を行い、各学校の判断の一助となるよう情報提供に努め、児童生徒の安全面を第一に教育的効果も含め、検討してまいります。

 

以上で代表質疑を終わります。ここで取り上げなかった残余の問題については、予算委員会の分科会および委員会の総括質疑、意見表明で述べさせていただきます。ご清聴ありがとうございます。

 

 

2022.12議会 川﨑としみ議員による代表質問と答弁要旨

12月20日川崎議員が市長への代表質問を行いました。

 

日本共産党の川崎敏美です。日本共産党議員団の代表質問を行います。松本市長、当選おめでとうございます。

 市長に対する代表質問に入る前に、少し国内外の情勢について触れておきたいと思います。12月17日に臨時国会が閉会しました。岸田首相は、8月に新内閣を組閣して以来、野党の臨時国会開催要求に背を向け続け、ようやく10月3日開会したにもかかわらず、国民にとって、たくさんの課題を残したまま早々と国会を閉じたことは、無責任極まりない政治だと一層の批判が高まっています。

大きくは3つの点を指摘しておきたいと思います。

 

 まずは統一協会問題です。

 

 統一協会が行っている正体を隠した伝道活動、霊感商法と高額献金、当事者の意思を無視した集団結婚など数々の反社会的活動は、どれも司法によって法律違反と断罪されたものであるとともに、日本国憲法に保障された思想・良心の自由、信教の自由をはじめ基本的人権を蹂躙(じゅうりん)するものです。統一協会の反社会的活動を一掃し、被害者救済をはかることは、憲法に保障された国民の基本的人権を守る意義があります。国会は終盤で被害者救済法を成立させましたが、被害者団体からもまだ不十分だと指摘されており、直ちに見直して 実効性ある救済制度をつくる、統一教会の解散命令を請求する、自民党と統一教会の癒着を解明する等の問題が残されています。自民党は50年来の統一教会との関係性について明らかにせず、調査もしないという態度は許せません。統一協会と政界との癒着を一掃することが求められています。

 

 第二は、物価高騰と国民の生活苦がいよいよ深刻になっている問題です。

 

岸田政権は、その最大の原因である異常円安に対して対応不能に陥り、「構造的賃上げ」と言いながら中身はありません、物価高騰のさなかに医療や年金削減、今後介護保険の負担増を押し付ける計画がすすめられる政治が行なわれています。「総合経済対策」を打ち出しましたが、電気・ガス料金の抑制などの個別的、一時的対応では、焼け石に水です。

 この現状を打開するためには、賃上げを軸とした実体経済の立て直しに本腰を入れて取り組むことが必要です。

 日本共産党は、大企業の内部留保への時限的課税を行い、税収10兆円を中小企業の賃上げの直接支援にあて、最低賃金を1500円に引き上げる具体的な賃上げ政策の実現を求めています。

 また消費税の5%への緊急減税とインボイスの中止、社会保障と教育の負担軽減を行うことが必要だと考えます。

 農産物の価格保障・所得補償の抜本的強化によって食料自給率を引き上げ、省エネルギー・再生可能エネルギーの大規模普及によってエネルギー自給率を引き上げることは、地球規模の食料危機、気候危機の打開にとって急務であるだけでなく、地域に新たな産業をつくり、国民生活と日本経済の基盤を強くするうえでも待ったなしの課題であると考えます。

 

 第三は、岸田政権の暮らし、憲法、平和を破壊する危険な大軍拡の動きについてです。三つの問題が起こっています。一つは、自民党と公明党が「反撃能力」の名で「敵基地攻撃能力」を保有していく方針を合意した。二つ目は、岸田首相が、軍事費を「5年間で総額43兆円」にするよう指示した。三つ目は、首相が、その財源として「足らない部分は増税」などの指示を出したという問題です。

 こうして「敵基地攻撃能力」の保有、「軍事費43兆円」、「増税」という3点がセットであらわれてきました。日本国憲法の恒久平和主義に基づく戦後の国のあり方を根底から覆し、「戦争国家づくり」に突き進む非常に危険な動きです。

 この道を進んでしまったらどうなるか 第一は暮らしの破壊です。軍事費の財源をめぐり、消費税の大増税や社会保障削減の加速の危険があり、恐るべき暮らしと経済の破壊の泥沼に落ち込むことになります 。第二は憲法の破壊です。敵基地攻撃能力保有が憲法違反であることは明瞭であり、従来の政府の憲法解釈を180°覆しという点では立憲主義の破壊に他なりません。第三は平和の破壊です。 安保法制に基づいて集団的自衛権を行使する際に、敵基地攻撃能力が使われれば日本に対する甚大な報復攻撃を招き、日本を守るとの言い分とは正反対に、日本に戦禍を呼び込むものとなります。日本共産党は、大軍拡・大増税に断固反対の立場でこの逆流に立ち向かって参ります。

 

 

Q1日本は法治国家であるのに、憲法を無視して戦争をするくにづくりが、国会での議論を経ることなく決められていくことについて、市長はこの問題についてどうお考えでしょうか?

 

答弁要旨

12月16日に閣議決定された「反撃能力」について明記した安保関連3文書及び、それに伴う与党税制改正大綱における防衛力強化にかかる財源確保のための税制の措置について、私自身、日本が過去に戦争悲惨さ経験し、戦争による被害者を絶対に出さないと強く願う心と、大きく変化する日本をめぐる安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土・領空・領海を守るという政府が果たすべき大きな役割を想像する中で、一国民として、非常に揺れ動いているというのが率直な、見解です。

現時点では、政府・与党における議論の段階であると認識しており、まだまだ多くの論点があることから、今後、国会において丁寧な議論がなされることを期待しています。以上

 

 

 

【市長の政治姿勢】

これまでの稲村市政について

稲村市政の前身は、20年前に誕生した白井市政でした。市の大幅な行財政改革を突然一方的に発表した宮田市政から、日本共産党も加わる「民主市政をつくる会」や市民派などの市民団体との共同の力で誕生しました。しかし白井市政は2期目となると、財政再建を市の最優先課題として、市民には緊縮財政を強いる行政運営を行うようになりました。

その後白井市政を引き継いだ稲村市政は様々な業績を残されました。評価すべき点として挙げられるのが、公共施設の耐震化、小中学校のクーラーや洋式トイレの設置、ひったくり防止策や、放置自転車をなくす、暴力団事務所の撤去等があります。さらに今年からは、1月の中学校給食の実現、7月からの中学卒業までの子どもの医療費の無料化の制度が一歩前進しました。

しかし財政再建を最優先で取り組んできたため、市民の暮らし・福祉に関わる施策は後景に追いやってきました。高すぎる国保料、介護保険料に市民は苦しんでいます。特に子育て施策の立ち遅れは、ファミリー世帯の転出超過の流れを推し進めています。

学校の耐震化など国の予算がつく事業は行うが、市民のための独自予算を使った施策は小さな予算で限定的なものばかり。それどころか国の「2040構想」に沿う30%以上の公共施設の再編・再配置計画を推進、公立保育所は45から15カ所にまで民間移管計画が進行中です。公立幼稚園も18園から9園にまで減らされました。市営住宅も市民ニーズがあるにもかかわらず10,800戸から9,200戸まで削減する計画です。さらに業務執行体制の見直しで、市民課窓口や上下水道の各種業務、道路・公園の維持管理、ゴミ処理の公務労働もアウトソーシングが押し進められ、市民サービスの切り捨てにつながる事態が進行しています。中学校給食では、小学校と同様に自校調理方式を望む市民の要望は横に置かれ、PFI方式で給食が実施されています。こうした状況が生まれたのは、国が強硬に推し進めている自治体のトップランナー方式が押し付けられてきた結果となっています。交付金頼みで国言いなりの市政運営がなされてきたといっても過言ではありません。一面財政再建を優先せざるを得なかったということがあったとしても、さまざまな業務が民営化、アウトソーシングされた結果、失ったものの大きさに気付くべきです。USB流出事件も民間委託ゆえに、しかも業務管理体制の甘さともあいまって、委託業者任せにしてしまい、市職員のスキルも低下し、杜撰なチェック体制を生んだということではなかったのではありませんか。

 またコロナ禍を体験して、尼崎市も全国と同様に、保健所や職員数を減らし続けてきた結果、緊急事態に対応できない脆弱な体制となっていることが明らかになりました。市の総合計画の根底にある、なんでも効率化という新自由主義の考え方からの脱却が必要とされています。

 

Q2市長は対話重視、実行力、誰一人取り残さないという政治姿勢を示されています。稲村市政のどこを引き継ぎ、どのような尼崎市政を作っていくのか?さらなる次のステージへとうたっていますが、具体的には次のステージとは何をさしているのですか?

答弁要旨

私は所信表明において、稲村市政における、本市財政をはじめ、治安や環境の改善、学力や都市イメージの向上など市民の皆様との取組の成果を「胎動」と表現しました。

こうした「胎動」を確実なものとし、この尼崎市を「住みたいまち」、「住んで良かったまち」、そして誰もが関心と興味を抱き、「人が集まる賑わいのあるまち」へと発展させていくことを「次のステージ」と考えています。

そのためには、公約で掲げた5つの観点から、それぞれの施策を連関させ、全体の底上げを図っていくことが重要であり、特に、ファミリー世代が、安心して子育てをし、教育を受けることができるようなまちに向けた取組や住環境整備、マナー向上などまちの魅力とイメージ向上に向けた取組に注力してまいります。以上

 

市の最上位計画である総合計画についてお伺いします。私は、この計画は根底に新自由主義の考え方があり、また国が進める2040構想や田園都市構想に沿ったもので小さな市役所づくりがめざされている、職員の手引き書として総合計画があるとの印象を受けています。本来は、市民にとって将来の尼崎の街づくりがどのようなものになるのかということが具体的にイメージ化できるものこそ、総合計画だと思うのです。

 

Q3市の最上位計画である総合計画について、評価する点、また課題をどのように捉えているのでしょうか?

 

答弁要旨

新たに策定した第6次となる尼崎市総合計画は、今後IO年間のまちづくりの大きな方向性を示す大変重要な計画であると認識しています。

過去20年間の行財政改革路線の取組などにより、各施策のさらなる充実に向けた展開方向が示されており、これら内容の方向性自体が、これまでの尼崎市民の努力を示すもので、前向きな計画だと受け止めています。

一方で、社会経済の変化はスピードを増していることから、今後、尼崎市総合計画の大枠は重視しつつ、個別の施策の展開については、市民の生活状況等を踏まえ、柔軟に優先順位を組み替えるなど、臨機応変な対応行っていくことも必要だと考えています。以上

 

 2008年度に13都市、2012年に本市も含め7都市、2013年度に3都市の計23都市が、低炭素社会の実現に向け高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジしている都市を「環境モデル都市」として政府が選定しています。選定された都市では、地域資源を最大限に活用し、低炭素化と持続的発展を両立する地域モデルの実現を先導する役割が期待されています。

そして、2021年6月5日に尼崎市気候非常事態行動宣言が出され、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする炭素社会を実現するため、日々の行動を変えていくことを宣言しています。

市長はマニュフェストで、脱炭素社会に向けて、2030年までに二酸化炭素排出量を2013年比で50%削減を達成するため食品ロスやプラスチックごみの減量に取り組もうとしています。この数値目標自体低いものであり(2010年度比で50~60%削減がのぞましい)、気候危機変動対策についてはもっと大胆な政策提言が必要だと思います。省エネ、再エネ、新しい産業を起こしていく、宝塚市などで行われている市民発電所の取り組みなど大いに参考にすべきです。

 

Q4気候変動危機、地球環境を守っていく脱炭素化社会を目指す取り組みについて、市が率先して行っていく最優先の取り組みとしてあげられるのは何ですか?

 

答弁要旨

尼崎市は、2050年の脱炭素社会の実現に向け、市民や事業者の皆さんと共に行動するため、「尼崎市気候非常事態行動宣言」を表明し、市は率先して、特に効果が大きい「省エネ対策」と「再エネ導入」について、民間の新たな技術・ビジネスモデルを取り入れ、取り組みを開始しています。

具体的には、公共施設のZEB Ready(ゼブレディ)化や、さらにZEB Readyに近づけるため、民間によるPPAモデルによる太陽光発電設備の導入などに取り組み、これらの経験、成果を広く周知し、市民、事業者の疑問や不安を解消することで、市域全体の脱炭素化につなげてまいります。以上

 

 次にコロナ対策についてです。兵庫県では、人口100万人あたりのコロナ死亡者が全国ワースト4位になっています。県政が病床削減と保健所つぶしを継続し、医療が脆弱な県にしてしまったからです。2014年の地域医療構想で病床削減を続け2020年までに急性期病床を5883床も削減。2020年からのコロナ期でも3年間で484床もの削減を行い、2025年までに10490床削減する計画を変更していません。

1997年に県は、41か所あった保健所を、現在17か所まで減らし、尼崎でも4保健所2支所が1か所となっています。尼崎には市民病院がありません。医師会の協力に頼らざるを得ず、発熱外来を受診することも、検査が受けられない、入院先がなかなか見つけられない等の逼迫した状況がうまれています。せめて、保健所は10万人に1か所、最低でも4か所にして、保健所主導で対応できる環境を整えるべきではないでしょうか。

 

Q5、コロナ禍から市民の命と健康を守る施策について、何を最優先で取り組むのか

 

答弁要旨

 

新型コロナウイルス感染症対策につきましては、本年9月26日より、高齢者等の重症化リスクの高い人へ医療的な支援を重点化させるため、国が全数把握の見直しを実施しているところであり、本市としましても市民の生命を守るためには、ハイリスク者への対応を重視した取組が最優先であると考えています。

そのため、保健師等の正規職員が重症化リスクの高い人への対応に専念できるよう、医療専門職や事務職の派遣職員を積極的に導入しているところであり、あわせて、医師会との連携による往診をはじめとした医療提供や、高齢者施設へのサーベランス事業、新型コロナワクチンの接種等を通じて、死亡率や重症化率の低下に努めているところです。

今後とも、県や医師会等の関係機関と有機的に連携しながら、臨機応変に対策を講じていきます。以上

 

 

【子育て施策】

 中学3年までの子どもの医療費の無料化は、市民の運動ともあいまって県下41市町中37市町へ前進しています、そのうち19の市町が所得制限なしです。また残念ながら尼崎は一部負担金が残され、不充分です。一刻も早く完全無料化、そして18歳までの高校卒業までの医療費無料化をめざすべきと考えます。

 

Q6、18歳までの医療費の無料化に向けて、市長は所信表明で推進する、任期中に前進させると述べられています。実現までどのようなロードマップを策定しようとしているのか、お答えください?

 

答弁要旨

 

地域でできる子育て支援の充実・子育て負担の軽減に向けた取り組みは、一丁目一番地の課題と考えており、すでに、こども医療費の無償化を推進するための、具体的な検討をはじめとする子育て支援の充実に向けた総合的な検討の指蹴ところです。財源とセットの話となり、どのような手法や手順で進められるのかも含め、今後、検討を進めてまいります。以上

 

 中学校給食は2022年から尼崎市と川西市が実施、その他の計画も含めると県内全自治体で ほぼ実現の見通しとなっています。 給食費の保護者負担は小学校が年間に43,920円 中学校が56,730円と大変重くなっています。 兵庫県では加西市が小中学校で、明石市、 たつの市が中学校で無償化を実施しています。一部補助実施を合わせると17の市町と2組合が取り組むようになっています。 更に物価高騰対応の地方創生臨時交付金を活用し、単年度でも給食費無償化を実施しているのは 八つの市町にのぼっています 。憲法、教育基本法、学校教育法で義務教育は無償と定めています 。食育として教育の一環と位置づけられる学校給食は無償であるべきです。 給食費無償化を推進するために 県に 無償化補助を 実施することを求め 、さらに市の独自の取り組みも必要だと考えます。

 

Q7、義務教育の無償化についてどう考えるのか、給食の無償化は不可欠の問題であると認識されていますか?

 

答弁要旨

 

日本国憲法第26条第2項で「義務教育は、これを無償とする。」とされており、その具体的な無償の内容については、教育基本法において「授業料を徴収しない」と定めることにより具体化されています。

ただ、現行制度においては、授業料に加え、教科書無償措置法等により教科書も無償となっていますが、これは、日本国憲法で保障する「無償」から直接的に導かれるものではなく、立法措置による無償と解されるのが通例と理解をしています。

私としても、これからの尼崎市の成長を考えたとき、可能な限り、子育て負担の軽減を図ることは望ましいものとは考えておりますが、このように、義務教育の無償の範囲は、財政状況も踏まえて現実的に定めざるを得ないものでもあり、まずは、公立学校に通っていない子どもも対象となる、こども医療費の無償化の推進に向けた具体的な検討を進めていきたいと考えています。

いずれにしましても、庁内で指示をした子育て支援の充実に向けた総合的な検討の中では、給食の費用負担の在り方も排除することなく議論をしていきたいと思います。以上

 

【教育・保育】

 市長方針である「誰一人とり残さない」子どもバージョンとして、インクルーシブ教育、医療的ケア児の保育と教育についてお聞きします。

インクルーシブ教育にふさわしい教育制度の検討――国連の「障害者権利条約」(08年5月発効)は、障害のある人が障害のない人と分け隔てなく人権を保障され、豊かに生きられる社会を実現するために、教育の分野で「インクルーシブ教育」(障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず参加を保障される教育)を提唱しています。そのためには、子どもの「最大限の発達」と「社会への完全かつ効果的な参加」が大切にされなければなりません。

 

 本市ではすべての子どもが健やかに育つ社会の実現を目指して「尼崎市子どもの育ち条例」を策定しています。

 条例では、「子どもはその成長過程において生きる、育つ、守られる、参加する権利といった子どもの人権が尊重されるとともに、多様な人々との関わり、多様な経験を重ねることにより、自分を大切にする心、他者を尊重する心、規範意識等が育まれ、社会の一員として責任を果たせる大人へと成長していく」ことをめざしています。

 近年、医療的ケアを必要とする子ども、発達上の障害を持った子ども、また家庭的な困難を抱えている子どもが年々増えており、医療的ケアやインクルーシブ保育・教育のニーズが高まっています。医療的ケアを必要とする子もしない子も、「ともに遊び、共に学び、共に育つ」よう、インクルーシブな保育や教育をすすめていくための保健・医療・障害福祉、学校、保育分野の理解と連携が必要です。

 

Q8、医療的ケア児の受入れ、障がいを持つ子どもの受入れ、インクルーシブな保育・教育を実践していくうえでの課題はなんとお考えでしょうか?

 

答弁要旨

 

インクルーシブな保育・教育を目指す上での最大の課題は、障害の種類に応じて、きめ細やかに制度を整え、その制度に対象者を計画的に振り分けるといった制度設計から由来する考え方、そして、「合理的配慮」を巡る十分な財源保障がないことだと考えています。

簡単な問題ではありませんが、関係者の意見もよく伺いながら、共生社会の実現に向けたインクルーシブな保育・教育の充実に向けて、着実に取組を進めていきたいと考えています。以上

 

障がいがある・なしに関わらず、幼児期に集団の中で育つこと、遊びを通じて社会性、コミニュケーション能力を身につけ、小学校へとつないでいく。それが誰もとり残さない社会、尼崎で生まれ育つことへの喜びにつなげられるのではないかと思います。

全国的にも保育所(こども園)におけるバス置き去りや保育士による虐待事件等を踏まえて、保育士の適正配置の見直しと処遇改善が大きな社会の問題として提起がされています。特に1歳児6人に対し保育士1人の配置基準では子どもの安全が保障できないと思います。尼崎自治体問題研究所が、昨年より実施したアンケート結果では、実際には公立保育所では4.7:1、民間保育園では4.6:1でおこなわれています。1歳児は月齢差の発達差が大きく自己主張が出始める時期であり、いやいやが出始め、嚙みつきなど目が離せない時期、一人ひとりに丁寧な対応が求められます。だからこそ実態に合わせた1歳児の配置基準の改善が必要です。保育士からは「せめて保育士あと一人ほしい」という切実な声があります。

保育団体が行った保護者向けアンケートでも「保育士さんが忙しすぎで子どもが怪我したことに気づかない。子どもの状況を聞きたくても保育士さんに声をかけにくい、保育士に余裕がないと、良い保育はできないと思う」等、保護者からも保育所に望むことの一番に上がっています。

2011年地方分権一括法による児童福祉法の一部改正によって、保育士の配置基準は県・政令市・中核市の条例で定めることになりました。本市も中核市として独自基準を作ることは可能です。

 

Q9、国に対して保育士の配置基準の改善を求めるとともに、本市自ら配置基準を改正して、民間保育園と小規模保育事業所に対し市独自の補助を創設することを求めますが、市長の見解をお示しください。

 

答弁要旨

 

保育士配置基準の見直しについては、去る11月17日、全国市長会を通じて国への要望を行ってきております。

一方、市内保育事業者からは、保育士が不足し確保に苦労しているとの声も寄せられていることから、市としてもこれまで保育士の確保・定着につながる各種施策の充実等を進めてまいりました。

もし国基準を上回る配置基準を設定した場合、待機児童を多く抱える本市においては、一層の保育士不足を招き、これまで以上に保育ニーズに応えられなくなるといった課題が生じることから、現状において、市独自の配置基準の見直しや補助金の創設は困難ではありますが、いずれにしましても、今後の国の動向を注視するとともに、保育士の負担軽減に係る現実的で持続可能な制度の構築に努めてまいります。以上

 

公立幼稚園の3歳児受け入れの問題でも、2019年から3歳児からの就学前教育の無償化が始りました。

本市での公立幼稚園における児童数は、定員1325人に対し実際は420人であり3分の1にも満たしていません。この少ない原因は3歳児を受け入れていないからです。私立幼稚園では障害児の受け入れが行われておらず、障害を持っている3歳児は幼稚園による就学前教育が受けられないことになります。

 

Q10、公立幼稚園の3歳児受け入れについて、市長の見解をお示しください。

 

答弁要旨

 

市立幼稚園においては、少子化の影響や就労と子育てを両立する家庭の増加等に伴う保育需要の増加等により、園児数が大幅に減少する一方で、特別な支援が必要な子どもの入園割合が増加傾向にある中、特別支援教育のあり方についても検討が必要な状況にあります。

そのため、現在、就学前教育施設に共通する教育内容の充実策や官民幼保の連携方法、更には、今後の市立幼稚園に求められる機能・役割の再整理や少子化を見据えた効果・効率的な運営体制等について、その方向性や取組等を示す「尼崎市就学前教育ビジョン(素案)」の策定作業を進めており、その中で、市立幼稚園における3年保育の実施や特別な支援が必要な子どもの受入の拡充についても、検討の対象としているところです。

3年保育につきましては、幼児の発達の面からも好ましいものと考えておりますが、その実施にあたっては、適正な職員配置や財源の確保の課題とともに3年保育を既に実施されている私立幼稚園連合会等のご理解を得る必要もあります。

そのため、今後は、市立幼稚園の在り方や、特別な支援が必要な子どもの就学前教育の在り方などについて検討していくヰ1で、3年保育についても、関係者のご意見も丁寧に伺いながら検討を行ってまいります。以上

 

 

第2登壇

以下、私が教育問題で特に関心が高い問題について質問をします。

 

ICT教育は諸刃の剣となっており、タブレットの長時間使用は健康を損なう、まだ知られざる健康被害が発生するかもしれないという問題を抱えています。また教師との対面授業や生徒同士の集団による学習などに、どのように活用していくのか、まだまだ課題がたくさんあると思います。特に私が危惧するのは、授業がパッケージ化され機械的に一律に授業が提供されるということになると、教師との人間的なふれあいによる教育が軽視されるのではないかという問題です。

 

11、ICT教育について市長が考える、メリットとデメリット、今後の展開についてお示しください?

 

答弁要旨

教育におけるICT活用は、ICTの特性とそれぞれの授業目的の理解が不可欠と考えています。

ICTの特性の例としては、例えば、プロジェクター等を通じて「瞬時に共有できること」など限られた授業時間の中で、教師が子どもの意見を把握するためには、従来では、いわゆる「机間巡視」をしたり、子どもを指名して発表させたりすることが通例でしたが、ICTを活用すると、クラス全員がどのような作業をしているかを瞬時に把握し、それを踏まえた授業展開が可能となります。また、子ども同士も、クラスメートの様々な考え方の比較をすることも可能となります。

こういった多様な意見を瞬時に集約したり比較したりできることにより、一方的な教え込みの授業ではなく、子ども同士が協働で学習したりする環境がより強化されると考えています。

一方で、課題については、視力への影響、セキュリティ、費用などが考えられます。

いずれにしましても、ICTを活用した教育は万能ではなく、ICTの特性を理解しながら、どういった場面で使うことが効果的か、教員自身が考えることが大事であり、教育委員会や学校においては、そうしたICTを活用した授業研究が進むことを期待しています。以上

 

日本共産党はいじめ問題について、今から10年前の2012年に、提言を発表しています。10年前の共産党の提案であることが味噌です。10年経ってもこの提言で述べられていることは色褪せていません。多少社会は少しだけいい方向に向かっていると思いたいのですが。提言を紹介します。

 今日の「いじめ」は人間関係を利用しながら相手に恥辱や恐怖を与え、思い通りに支配しようとするもので、ときに子どもを死ぬまでおいつめる事件に発展し、ネットによる中傷、傷害、性暴力、恐喝などの犯罪ともつながっています。多くの「いじめ」被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷を受け、大人になっても恐怖で社会に出られないなど後遺症に苦しんでいます。「いじめ」はいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。

 そしていじめ根絶のために、様々な提案を行なっています。ここではどのようなことを提案しているのか。主な項目だけを紹介させていただきます。

 提案の第1は、「いじめ」から子どもの命を守る――「いじめ」対応の基本原則の確立です。
■「いじめ」への対応を後まわしにしない――子どもの命最優先の原則(安全配慮義務)を明確にする

■「いじめ」の解決はみんなの力で――ささいなことに見えても様子見せず、全教職員、全保護者に知らせる

■被害者の安全を確保し、加害者には「いじめ」をやめるまでしっかり対応する

■被害者、遺族の知る権利の尊重

■「いじめ」の解決にとりくむための条件整備をすすめる

教員の「多忙化」の解消、35人学級の完成、養護教諭・カウンセラーの増員、「いじめ」問題の研修――「いじめ防止センター」(仮称)の設立

提案の第2は、子どもたちに過度のストレスを与えている教育と社会を変えることです。

【競争と管理の教育と子どもたち】

 国内の調査では、子どものストレスの最大の因子は「勉強」です。競争教育の勉強は子どもを早くから「できる子」「できない子」により分け、多くの子どもが劣等感を与えられ、「わかる喜び」やみんなで学ぶ心地よさを得ることができません。この間の「学力向上」政策でテストばかり繰り返したり、夏休みを減らしてまで授業時間を伸ばすなども、子どもに強いストレスを与えています。

 

【「いじめ社会」と子どもたち】

 社会の変化に目をむければ、90年代後半からの「構造改革」により、国民のなかに「貧困と格差」が急速に広がったことは重大な問題です。

 競争原理が労働や社会の各分野に浸透し、人間的な連帯が弱まり、弱い立場の人々を攻撃する風潮が強まりました。弱肉強食の社会を正当化するため、競争に負ける方が悪いという「自己責任論」の考え方もひろがっています。文化のなかでは、タレントをイジったり困らせたりして笑いをとる、嘲笑的で暴力的な要素が組み込まれるようになりました。

 こうして社会自体が「いじめ社会」とも言うべき傾向をつよめているのではないでしょうか。子どもの「いじめ」の深刻化は、その反映に他なりません。

 

子どもたちが人と人との間で生きる喜びを感じられる教育と社会を築くために、私たちは以下の三つのことを提案しています。

第1に、子どもの声に耳をかたむけ、子どもの社会参加を保障することが大切です。世界では、子どもの権利条約の精神にそって生徒が学校運営に参加するなど、子どもの社会参加が大きな流れになっています。耳をかたむけられ、参加を保障された子どもたちは、自己肯定感情を深め、人と人との間で生きる喜びを感じながら成長できます。こうした教育や社会は、大人どうしの人間関係も豊かで平和なものにするのではないでしょうか。

第2に、日本の競争的な教育制度は、憲法の精神に反して、財界の要求で1960年代頃からつくられ、自民党政治により強められてきました。それは高校受験の存在、一点差できまる個別の大学入試など他国に例がなく、子どもたちの創造性や思考力を歪め、世界では通用しないものになりつつあります。国連・子どもの権利委員会も日本政府に再三、「過度に競争的な教育制度」の改善を勧告しています。過度な競争教育から脱却し、すべての子どもたちの能力を豊かにのばす教育と学校制度のあり方を探求する、国民的な議論ととりくみをよびかけます。

第3に「いじめ社会」に立ち向かい、人間的な連帯のある社会に

 東日本大震災はあらためて助け合い連帯することにこそ、人間らしさがあることを示しました。人間の尊厳を踏みにじる政治や経済社会にたいする国民の批判は、「原発なくそう」「ストップ貧困」など様々な運動や新しい政治を模索する動きとしてあらわれています。そうした大人たちの姿をみて、子どもたちは明日に希望をつなぎます。

 子どものことを学校、地域、社会の各分野で語り合い、「いじめ」のない学校と社会をつくための共同をひろげることを心からよびかけます。と提言は結んでいます。

 以上のことと関連して、教育問題で3つのことをお聞きします。

 

12、いじめの問題が発生した時に、社会がその問題を共有するまでに時間がかかりすぎているという認識はありませんか?対策を行っている間に問題が広がったり、その事案に関わる人だけが対応して、周りには事後の検証結果だけが伝えられるという状況になっているという問題を抱えていると思うのですが、市長はこうした問題をどう捉えていますか?

 

答弁要旨

 

いじめの問題は、当事者が私人であり、また、事案発生の経緯等も決して単純でない場合が多かったり、家庭環境が複雑であったりする場合も多く、早い段階で共有することばかりが望ましいわけではないものと認識しています。

また、いじめ事案が社会的に共有される場合は、当事者の同意が得られていることが前提になります。

こういった教育委員会の事情については、私自身も一定の理解をしておりますが、一方で、例えば、保護者や当事者の意向を盾に、本来、社会的に共有すべき事案や、当該事案に対する教育委員会や学校の対応までもがブラックボックスになってしまうことは、その後の適切ないじめの防止や事後対応の改善等の観点からも望ましいものとは考えておりません。議会の皆様への説明も含め、学校や教育委員会等の

対応については、いじめの当事者のプライバシーに配慮しつつ、可能な限り透明性を持って、速やかにご説明できるよう、教育委員会と連携してまいります。以上

 

13、帯学習などが10分間とはいえ、日に2回も行っていることによって、子どもの遊びの時間が奪われているのではないか。学力至上主義が教育のあるべき姿を壊しているという見方、または子どもの全面的な発達と人間の成長を手助けする教育を取り戻していくという考えについて、どう思われていますか?

 

答弁要旨

 

公教育は、一人ひとりが、自律した生活を送ることができるようになること、その結果、持続可能な社会の担い手となることを期して行われなければならないものと考えています。

このような視点に立ったとき、教育において大切なことは、決して一面的ではなく、物事を考えたり、判断したりするための基礎的な学力(知識・技能)も当然大切でありますが、例えば、他者を尊重したり、自然を愛したりできるようにする教育も大切であり、特定の側面のみにこだわりすぎないようにしていくことが大切であると考えています。

 

14、あまっこステップアップ調査事業が行われていますが、子どもたちの学力のつまずきを発見するために、悉皆調査が必要なのでしょうか?子ども個々人のつまずきを把握したとしても、そこを改善していくための取り組みは今の教育体制の下では、一人ひとりに寄り添う時間的余裕もなく、すぐに学年も変わることから、不可能であることを、現場の教職員自身が認めています。見直しを検討すべきではありませんか?

 

答弁要旨

 

「あまっ子ステップアップ調査」の目的は、教育活動に関する継続的な検証改善サイクルを確立することにあり、調査結果に基づくフィードバックにつきましては、個に応じた指導の充実を迅速かつ継続的に図っていく必要があると考えています。

この調査を毎年悉皆で行うことによって、児童生徒一人ひとりの学力やつまずき等を早期に発見することができ、また、学力の定着が図られていない層に改善が見られるなど一定の成果が上がっていることから、引き続き、継続実施すべきものと考えています。

なお、当該調査の更なる運用・改善については、引き続き、教育委員会と連携して模索してまいります。

以上

 

【学童保育・児童ホーム】

 尼崎における学童保育、児童ホームの制度は発足当初、公設・公営・利用者の費用負担なしの無料の制度でした。しかも施設のほとんど全てが学校内に設置されるといった、全国的にも非常に優れた制度として注目を集めてきました。運営についても、指導員と保護者が連携、毎日のおやつの手配や、運動会、ドッジボール大会、スキー教室などにも参加、行事に積極的にかかわることで、子どもを育てていく喜びを共有して、良好な関係が築かれてきていました。

しかし近年保護者の児童ホームへの関わり方も大きく変わってきており、また従来から課題となっている待機児童問題、教室のすし詰め状態、延長保育、指導員の処遇改善、早期の解決策が求められている課題が山積しています。

 

Q15、延長保育を19時まで、1か所40人定員の国基準にしていくこと、職員の処遇改善についてどう考えるのか?

 

答弁要旨

 

私も教育長時代児童ホームの利用者でしたが、仕事で(?)帰宅が遅くなる時は(?)も併用するなど、苦労したこともございました。19時までの延長保育については、市民からも要望が多い中、整理すべき課題も多々ありますが、できるだけ早期に実施できるよう取り組みたいと考えています。

次に、定員につきましては、厚生労働省令で各自治体の状況に応じて条例で定めるとされています。

本市では待機児童が発生している現状もあり、既存施設については当分の間、60人としている施設もありますが、待機児童の解消を進め、児童にとって良好な環境の確保に努めてまいります。

職員の処遇改善につきましては、本年2月に国の方針に基づき、保育士や児童ホームの指導員等の処遇改善がなされたところであり、本市としても、全国市長会を通じ、国に対し更なる処遇改善を要望してまいります。以上

 

【ジェンダー平等】

会計年度任用職員の処遇改善について

 全国自治体労働者連合組合では、全国の自治体で働く約62万人の会計年度任用職員を対象とする「今だから聴きたい!誇りと怒りの2022年アンケート」に取り組み、オンライン回答率57%の結果をまとめました。会計年度任用職員の約8割が女性であり、その4分の1が「主な家計維持者」と答え、そのうち4分の3が年収250万円未満、そして2分の1が世帯年収で200万円未満の「官製ワーキングプアの世帯」であることがわかりました。会計年度任用職員制度の低すぎる処遇が、ワーキングプア世帯を生み出しています。ジェンダー平等の視点からも、行政として速やかに実効性のある処遇改善が求められます。

 尼崎市は国の制度をそのまま引き継いでおり、会計年度任用職員の8割が女性、平均年収は260万円、期末手当はありますがそこには勤勉手当はありません。ジェンダー平等の観点から本市の会計年度職員の処遇改善を行い、女性職員のやりがいと自治体職員である誇りを持ち続けながら仕事を継続できる道筋を作ってほしいと思います。

 また女性幹部職員の登用についてです。市長の公約には「女性幹部の登用などダイバーシティーマネジメントを推進します」とあります。2021年兵庫男女共同参画についての調べでは、阪神間の女性管理職の占める割合は、あしや35.2%、伊丹27.2%、尼崎12.4%で、阪神間都市で最も低いのが尼崎市でした女性幹部の登用を積極的に実現するべきです。

 

Q16、自治体から会計年度任用職員の官製ワーキングプアを生み出さない処遇改善について、市長の見解を求めます。また今後、女性幹部職員の登用をどのようにすすめますか?

 

答弁要旨

 

本市の会計年度任用職員につきましては、令和2年度に現在の会計年度任用職員制度を導入した際には、初任給再算定による実質的昇給等の仕組みを導入し、また、今般の給与改定に当たっては、勤勉手当の引上げも踏まえた改定を実施するなど、一定の処遇改善が図られたところです。

引き続き国や他都市の動向を踏まえながら、会計年度任用職員の処遇改善について検討したいと考えています。

また、女性幹部職員の登用につきましては、今後、定期昇格に係る育児休業による除算期間の見直しやテレワークの活用、国が実施するキャリアアップ研修の受講促進等、女性職員が自らのキャリアをデザインし、能力を発揮できるような環境づくり、そして男性職員側の意識改革にも努めながら、管理職割合を着実に増やしつつ、幹部職員の登用についても積極的に検討をしてまいります。以上

 

 

【自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)】

 

 自治体のデジタル化を進める、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)が、今から3年後の2025年より実施とされています。

  2021年5月、当時の菅政権のもとでデジタル関連法が国会で成立しました。関連法には6つの法律があります。①デジタル社会形成基本法②デジタル庁設置法③デジタル社会形成整備法④公的給付支給預貯金口座登録法⑤預貯金口座マイナンバー管理法⑥自治体情報システム標準化法等です。日本共産党は、プライバシー侵害、地方自治の侵害、国民生活への影響、そして官民癒着の問題があるとの理由から、これらの法律全てに反対しました。

 第1の問題は、デジタル技術は、誰が、何の目的でどのように使うのかということです。

・デジタル技術は人類が生み出した最新の技術であり、実際においてもこの技術を有効に活用して、住民の福祉の増進と自治体職員の労働条件の改善を図ることが必要です。

・しかし技術は未完成でセキュリティーは万全ではありません。使い方によって住民に重大な被害をもたらしかねないという問題を抱えています。

第2の問題は、政府がすすめるデジタル化戦略で住民の暮らし、地域は良くなるのかということです。国が進めてきた構造改革によって、非正規雇用の拡大、社会保障の削減と負担増、大企業減税、消費税増税、賃金の地域間格差・貧困と格差の拡大等が生まれています。国の「行政改革」によって〜住民サービス削減、市町村広域合併、三位一体改革、自治体職員削減、民営化などがすすみました。

 政府の「デジタル田園都市国家構想」で、「人口減少、人材不足の問題が解消し、住民の利便性向上と行政の効率化が実現する」、「日本の新たな経済成長が実現できる」、「東京一極集中を是正できる」、「誰1人取り残さない、人に優しい社会になる」等とあり、デジタル化さえ進めれば、地域の未来はバラ色となるような記述があります。本当にそうでしょうか?

そうであるなら、暮らし、地域を疲弊させてきた最大の原因である「構造改革」路線は転換されなければなりません。しかし、政府の狙いは転換どころか、デジタル化で新たな「構造改革」を進める方向となっています。そのことによって、今後は新たに、国の「規制改革」によって〜大企業の利益拡大を目的に国民の安全・権利を守る規制を緩和・撤廃されるのではないかとの恐れが出てきています。

その根拠となるものとして、3つのことがあげられます。

一つは、岸田内閣は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2021年12月閣議決定)で、構造改革のための基本原則」を定めています。

二つ目に、「自治体戦略2040構想」(2018年総務省研究会報告)では、・AIなどを活用した「従来の半分の職員でも、自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みが必要」と、自治体職員の大幅な削減が狙われています。

自治体は、公共サービスを提供するサービスプロバイダー(サービス提供者)から公共サービスを管理するプラットフォーム(行政の施策を実施するための基盤)ビルダーに転換する。市町村の行政サービスを圏域に統合・一元化するなどとしており、これは単なる自治体連携にとどまらず、将来的には新たな市町村合併をもたらすことにつながりかねません。

三つ目に総務省「自治体DX推進計画」(2021年)の意義・目的では、「多様な主体との連携により、民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値創造等が創出される」とありますが、実際のところは、デジタルで国民の情報を集積・活用し、大企業の新たな利益拡大と権力による国民監視を行うということになります。

そして、自治体業務の集約化、民営化、中央集権化で、地方自治体を財界・政府に奉仕する機関に変質させる、新たな構造改革が実行されるということになってしまいます

 

Q17、2025年度から実施予定の自治体デジタルトランスフォーメーション(D X)について、市長はどうとらえているのか、見解をお示しください?

 

答弁要旨

 

自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画などの国のデジタル化構想は、生活者の利便性の向上や行政運営の効率化を目指すものであり、ご指摘のような市民の皆さまの情報の集積や国民監視を目的としておらず、個人情報等の漏えいがないようセキュリティ対策を講じることで、さらにその効果を高めるものであると認識しています。

ただし、リスクを完全にゼロにすることは難しいことから、許容できるリスクについての丁寧な合意形成プロセスや、そのリスクを上回る利便性、政策的合理性の確保が合わせて求められるものと認識しています。

本市におきましては、このような認識のもと、行政手続等デジタル化推進計画に基づき、市民サービスの向上に努めてまいります。以上

 

 

【国民健康保険料・介護保険】

日本の健康保険制度は、全ての国民が何らかの健康保険に加入し、必要な医療が保険の範囲で受けられる国民皆保険となっており、国際的にも優れた制度と評価を受けています。その中で、国民健康保険は他の健康保険や後期高齢者医療に加入していない人全てを対象とし、国民皆保険を下支えするものとなっています。また、国民健康保険法第1条で、「国民健康保険事業の健全な運営を確保しもって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と示されているように、明確な社会保障の一制度です。

2018年から都道府県単位化が実施され、財政運営の主体は都道府県になったものの、市町村はこれまでどおり地域住民と身近な関係の中、被保険者の実情を把握した上できめ細かい事業を行うこととされています。

尼崎市の国民健康保険は、現在加入者が61,388世帯87,913人 人口比率19.3%です。保険料は、所得割の他に家族員の数による均等割り、世帯ごとの平等割が加算されるため、協会健保の同程度の所得・家族構成と比べて2倍近い高負担となっています。ちなみに尼崎では、均等割がひとり3、9万円、平等割が1世帯あたり2.6万円となっています。

また、加入者は個人事業者や無職、74歳までの定年退職者とその家族であるため、時々の社会情勢に左右されやすい低所得者が多くを占め、保険料の滞納が大きな問題になっています。滞納が解消されず市の指導に応えない状況が続けば、健康保険証は発行されません。いのちと暮らしを守る社会保障制度なのに、医療を受けにくくさせる制裁があることは、制度の大きな矛盾です。滞納世帯は8,809世帯、全体の14.3%にあたります。

国民健康保険への国庫負担は、1984年をピークにどんどん削減されてきました。それにつれて加入者個人が払う保険料の負担は重くなってきました。滞納問題を解決し国民健康保険財政の安定運営には、保険料の引き下げが不可欠です。

日本共産党はいのちと暮らしを守るために、保険料の引き下げを求め続けてきました。具体的には均等割と平等割をなくすこと、そのために国全体で必要な財源は約1兆円となります。また、国が実施するまでは、市として一般財源からの繰り入れを行って、保険料の引き下げに努力することを求めています。

 

Q18、市長は国民健康保険について、社会保障の1制度だという見解はお持ちでしょうか。大きな問題となっている滞納について、解決の方向はどのように考えておられますか。

 

答弁要旨

 

国民健康保険制度は、わが国の社会保障制度の一部であり、年金保険や介護保険と同じく、相互扶助の精

神に基づく社会保険として、国、県及び保険者としての市町村の責任のもとで運営されていると認識しています。

一方、保険料の滞納につきましては、国民健康保険は制度の構造上、年齢構成が高いことにより医療費水

準が高く、退職者や年金生活者といった低所得の加入者が多いため、所得に占める保険料の負担が重くなることが、要因のひとつであることから、今後とも本市として出来る限りの対策を講じるとともに、被保険者の皆さまへの丁寧な説明を行う中で、個々の事情にも配慮しつつ、解決に向けて取り組んでいきます。以上

 

 

 次に介護保険制度についてです。今、国では、2024年度からの介護保険制度改正に向けた作業が進んでいます。報道によれば、少子高齢化が加速する下で制度の持続可能性を保つためには、負担の増かサービスの縮小が問われているとのことです。具体的な論点は、①介護保険サービスの利用料について2~3割負担の対象を拡大 ②要介護1・2の保険給付外し ③ケアプランの有料化④老健施設などの相部屋の有料化 ⑤補足給付の資産要件に不動産を追加 ⑥高所得者の保険料引き上げ です。

 いずれにしても介護保険料はほとんどの人が年金や給料から、自動的に天引きされ、かつ改定のたびに引きあがっているのに、サービスを利用する際には負担がさらに重くなり、サービス内容についても制限がかかってきます。これではサービスを控えざるを得なくなって、介護離職や介護をめぐる不幸な事件が増えると懸念します。ケアプランの有料化はケアマネージャーの相談機能にも壁を作り、市民と介護保険制度の距離が生じてくると思います。

 

Q19、市長は次期介護保険制度改正の方向について、市民生活への影響についてどのよう捉えているのか見解をお示しください。

 

答弁要旨

 

超高齢化が進展する中、介護事業費全体の増加に伴う介護保険料の上昇と財政の圧迫、また、介護人材の不足が大きな問題となり、高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据えると、制度の持続可能性を確保していくことが大きな課題であると認識しています。

現在、国において、次期介護保険制度改正に向け、議員のご指摘のあった「給付と負担について」の見直しに関する議論を行っていますが、これまで、全国市長会を通じて、国に対し、将来にわたって都市自治体の財政負担や被保険者の保険料負担が過重とならないよう、国費負担割合の引き上げ要望を行ってきたと説明を受けています。

そのため、現時点で、その市民生活への影響について見解を申し上げることはできませんが、引き続き、市民生活に大きな影響のある見直しが行われることがないよう、必要な事項について(適時、必要な要望等を行ってまいります。以上

 

【経済・中小企業零細事業対策・支援策】

尼崎市は製造業者の街、商売人の街として長年栄えてきましたが、大店立地法の施行、消費税の相次ぐ増税、長引く不況と後継者不足などで、年々衰退してきました。

政府の中小業者つぶしとも言うべき無為無策により、日本全国の街並みは地域の特色が薄れ、どの駅に降りても金太郎飴のごとく大型チェーン店、パチンコ、サラ金の店舗が林立しています。

先般、NHKの夜ドラマ「あなたのブツがここに」などで、尼崎の街、商店街がロケ地になり、そのレトロな雰囲気が人々の郷愁を誘い、注目されています。しかし、商店街のシャッター通りとなった光景は、地域の衰退を最も如実に表しているものであり、看過することはできません。

 

Q20、尼崎の特色を生かしながら、地域の市場・商店街の再興、発展のために、行政が抜本的な施策を打ち出していくべきだと思いますが、市長の考えをお聞かせください。

 

答弁要旨

私自身も市内各地の現状を見て回る中で、シャッター通りとなっている市場・商店街も数多く、防犯やまちづくりの観点からも、市場・商店街の再興、発展への支援は、対応すべき大きな課題であると、強く認識しています。

商店街や市場には、それぞれの課題があると思いますので、商店街や市場の方々の声も伺いながら、ニーズに応じた適切な支援策の紹介など、伴走型での支援を一層進めてまいります。

一方で、空き店舗率が高いなどにより、再生が困難な市場・商店街は、共同設備の撤去経費への補助など、安全・安心なまちづくりに向けた支援なども、引き続き行ってまいります。

今後におきましても、市場・商店街における、にぎわいの創出や魅力づくりを促進するための支援を積極的に実施し、再興、発展に向けた取り組みを進めてまいります。以上

 

また、製造業をはじめ、地域の中小企業、小規模零細事業者の方々は、かつてない円安、ウクライナ侵略による原材料・資源高の影響で、未曽有の物価高騰に苦しめられています。来年10月からは1000万円以下の消費税免税事業者に、課税業者になるか、さもなければ取引きを打ち切られ、廃業に追い込まれるか、の選択を強いる「消費税インボイス制度」が予定されています。そもそも消費税が導入された1989年、当時の竹下内閣は、小規模零細事業者はその資本力の小ささ故に、消費税分を販売価格に転嫁できず、煩雑な事務をすることが困難であることなどから、年間売上3000万円以下(現在は1000万円以下です)の事業者に消費税の申告を免除する、免税点を設けました。

その逆進性の高い間接税である消費税によって、中小業者は当時よりさらに苦しめられているのが現状です。

 

Q21、市が、これら国の悪政の防波堤となり、また、持続可能な地域経済をつくっていくためにも、これまでの延長線上でない、コロナ禍における一時的でもない、地域の中小業者のための戦略的かつ早急な支援策、対策が必要だと思いますが、市長の考えをお聞かせください。

 

答弁要旨

 

本市の事業者支援につきましては、国・県の制度と連携する中で、めまぐるしく変化する経済環境に対応すべく、事業者の持続力向上を目指し、地域の中小事業者への効果的かつ効率的な支援を行うこととしています。

こうした考え方を基本とし、今後とも中長期の視点を持ちつつ、中示事業者の操業継続や発展を支えることを大きな目的として掲げ、時宜に合った対策を戦略的に実施していきたいと考えています。以上

 

【アウトソーシング・民営化】

 

指定管理、または民間移管してのち、市民サービスの低下が危惧されるものとして、取り上げるのが、尼崎市社会福祉事業団の事業です。

尼崎市社会福祉事業団は1984年市が設置した社会福祉施設について専門的な施設運営体制を確立し得る方法として、市の外郭団体として設立されました。2006年からは、03年に市が導入した指定管理者制度の下、児童養護施設・母子生活支援施設・身体障害者デイサービスセンター・児童発達支援センター・医療型児童発達支援センター・養護老人ホームの管理運営を担ってきました。09年には、母子生活支援施設と養護老人ホームについて市から施設移管を受けています。

 民間委託から今年で38年、2021年度事業団事業報告で人材確保が大きな課題であることが明らかになっています。①これまで30歳から50歳までの中間層で離職者が増え、新卒などでその補充を行ってきたことから、経験年数の浅い職員の割合が高くなった ②係長・課長級の職員のほとんどが後7~8年先に定年退職となり、このままでは後継者がいなくなる ということです。背景には、賃金や処遇等で兵庫県下中から少し下の水準にとどまっていることが上げられると思います。

 公共サービスの民営化は経費節減と効率化が目的とされてきました。施設の物的経費は運営形態によってそれほど変わらず、経費節減は人的経費に集中します。社会福祉事業団としては、所属ごとの職員数や専門職種・資格者の必要数などを示して尼崎市に指定管理料の増を求めているものの、なかなか前に進まないとのことです。社会福祉事業団の担っている業務は、公的責任の下で行うものばかりです。人件費が抑圧されれば人材確保はままならず、それは市民サービスの低下に直結します。

 

 ここに民営化の弊害が端的に現れていると思います。

議員団は,本来市職員が行わなければならない業務について,アウトソーシング,民間移管・委託することについて,議会で一貫して反対してきました。またこれまでの保育所の民間移管,市民課窓口の民間委託,下水道事業等の業務委託等についても,定期的に検証を行い,必要があれば見直しを行うべきだと主張してきました。その理由は,このまま民営化が進めば公務労働を担うベテランの職員,職務に精通しているスペシャリストがいなくなり,災害等の際の危機管理に対応することも、市民のニーズに積極的に応えることもできなくなる,ひいては市民サービスの低下をもたらすことになると指摘してきました。また守秘義務を有する公務員だからこそ,市民のプライバシーが守られ,安全を確保することができると訴えてきました。やみくもな民営化の流れは,情報漏洩を引き起こし,市民の安全性を担保することはできないと警鐘をならしてきました。

 

Q22、市長に伺います。今、例示したものに限らず民営化そのものの見直しを求めますが、いかがでしょうか

 

答弁要旨

 

私としては、アウトソーシングそのものについて否定するものではありませんが、業務の性質ごとにその効果をしっかりと見極めながら、丁寧なプロセスを経て、アウトソースの判断をしていくことが重要と考えています。

ご指摘のとおり、アウトソーシングには、本市職員のノウハウの喪失に加え、サービスの質、災害時の対応、個人情報の取扱いなどの課題があると認識していることから、コンサルティング事業者の知見も活用しながら、現在、評価検証に取り組んでいるところであり、必要に応じて改善等を行うことで、引き続き、適法・適正かつ効率的・効果的な行政運営に努めてまいります。以上

 

第3登壇 

 

ここでは今後の市政のあり方について、私たち日本共産党の基本的な考え方とともに、要望について述べさせていただきます。

まずは国の戦争する国づくりについてです。 政府は16日、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定しました。歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有を明記。日本が攻撃されていないもとでも、米国からの要請があれば「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)での敵基地攻撃も可能とし、「日米が協力して対処していく」(国家安保戦略)と盛り込みました。敵基地攻撃を実行するため、米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークなど大量のミサイル配備計画も明記。戦後安保政策の根幹である「専守防衛」を国民的議論もなく放棄する安保3文書の具体化を許さない世論と運動が急務となっています。日本共産党は、100年間反戦平和を貫いた党として、閣議決定の撤回を求めるものです。平和でなければ市民の暮らしを守ることはできません。ともに声をあげていこうではありませんか。

次のステージとのかかわりの問題では、過去の財政問題をどう総括するかということが問われていると思います。

 共産党議員団は、過去の身の丈を上回る大型開発によって借金が膨らんだことに、真摯に向かい合い反省をすべきだと主張してきました。次の議会で尼崎市財政運営基本条例案が提案されるようです。この条例案の制定背景で、説明されている点、「すでに着手済みであった駅前等の大規模開発事業の継続実施や、土地開発公社の経営健全化に取り組む必要が生じたことなどから、本市は多額の負債を抱えることとなり、利子を含めた多額の公債費負担が生じたことで、硬直化した厳しい財政状況が続くこととなった。」と述べ、そして「本市がこれまでに経験した財政的な危機を将来にわたって二度と招くことのないよう、過去の教訓を充分に生かして行くことで健全な財政運営を維持し市民の福祉の増進を図っていくため尼崎市財政運営基本条例を制定する」としています。大型開発の予算に一貫して反対してきた議員団の考えがおよそ30年を経てようやく共通認識となったことは感慨深いものがあります。

 

地域経済への支援策

日本共産党はこれまで「住宅店舗リフォーム制度」や「小規模修繕工事希望者登録制度」など、地域の事業者が潤う施策実現を要望してきました。

「地域内循環型の経済社会」の構築こそ地域経済の発展にとって大事であり、やみくもなグローバリゼーションの押しつけは、大企業、とりわけ多国籍大企業やIT産業だけを利するだけです。

地方自治体の役割として、格差と貧困を拡大する大企業優位の経済から地域内循環型の経済に抜本的に転換するよう、強く要望いたします。

 

民営化の見直しについてです

民営化路線を改めるべきです。

自治体の民営化路線を避けられない既定路線と考えるのか、それが本当に市民サービスにプラスになっているのか、質の高いサービスが提供でき、働き手が安心して就労できるものになっているのか、民間移管、民間委託、指定業者制度等、全面的な見直しが必要となってきていると思います。今後とも大いに議論して行きたいと思います。

 

最後に、国の政策を無批判に推進、行財政改革で借金を減らすことを、最優先で取り組んできた市政を、今後は、市民の福祉・暮らしを最優先で守る市政に転換していくためにともに力を尽くしていきたいと思います。                         

 

以上で日本共産党議員団の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。