兵庫県「借金」が大変?起債許可団体ってなに?高校生にもわかるように考えてみたよ

兵庫県の「借金」が大変なことに? 起債許可団体って何が問題なのか?
新聞報道などを見ていても、漢字がいっぱいでわかりません。

少し、まとめてみました。長文ですがお付き合いください。

 

「兵庫県が起債許可団体になった」

「実質公債費比率が19.2%になった」

「公債費負担適正化計画を総務省に提出した」

新聞を読んでいると、こんな難しい言葉が次々に出てきます。

でも、結局何が起きているのでしょうか。

ものすごく簡単に言えば、

「兵庫県の財政、つまり県のお財布がかなり苦しくなってきたので、国から『これから借金するときは、ちゃんとチェックしますよ』と言われる状態になった」

ということです。

そして、ここで気になるのが、

「そもそも、なぜ兵庫県はそんなに借金を抱えることになったの?

ということです。

日本共産党兵庫県会議員団は、この問題について2026年8月18日、斎藤元彦知事に申し入れを行いました。

単に「震災のせいで借金が残っている」という話ではなく、兵庫県が長年進めてきた大型開発や土地取得、そして現在の県政の財政運営に問題がある、という見方を示しています。

ここから、できるだけ難しい言葉を使わずに説明してみます。

■ そもそも「起債許可団体」って何?

「起債」というのは、簡単に言えば「借金をすること」です。

県がする借金を「県債」と呼びます。

例えば県が100億円かかる道路を作るとします。

100億円をその年の税金だけで払うのは大変です。

そこで、

「道路は何十年も使うものだから、何十年かけて返そう」

と考えて、県債という借金をします。

これは必ずしも悪いことではありません。

学校、橋、道路、防災施設など、長期間使うものなら、将来の県民にも負担してもらうという考え方には合理性があります。

問題は、

「借金をしすぎて、返すのが大変になっていないか?」

ということです。

そこで国は、「実質公債費比率」という数字を使って、自治体の借金返済の重さをチェックしています。

兵庫県は2025年度決算で、この数字が19.2%になりました。

18%を超えると、「起債許可団体」になります。

つまり、

「兵庫県さん、これから新しく借金をするときは、国の許可を受けてくださいね」

という状態です。

ただし、

「兵庫県が破産した」という意味ではありません。誤解ないように…

 

■ では、兵庫県の借金はいくらあるの?

ここで驚くような数字が出てきます。

2025年度末の兵庫県の県債残高は4兆8,141億円。

地方財政調査方式で見ると3兆7,334億円です。

「4兆円?」

と思いますよね。

兵庫県の年間予算と比べても、とても大きな金額です。

ただし、ここで注意したいのは、「県債残高」の数字にはいくつかの計算方法があるということです。

ですから、

「兵庫県が現金で4兆8千億円を誰かに借りていて、今すぐ返さなければならない」

という意味ではありません。

長い年月をかけて返していく借金が積み上がっている、というイメージです。

 

■ 「震災の借金」が大きな原因なのは間違いない

兵庫県の財政を語るとき、阪神・淡路大震災を抜きにすることはできません。

1995年、阪神・淡路大震災が起きました。

兵庫県は道路、鉄道、住宅、港湾、学校など、壊れたものを大量に復旧しなければなりませんでした。復旧・復興には、とてつもないお金がかかりました。

震災復興事業の総事業費は16兆3千億円、そのうち兵庫県は約1兆3千億円の県債を発行しています。

つまり、

「震災が兵庫県の財政に大きな負担を残した」ので

「借金は30年前に作ったら、30年後には自動的に消える」

わけではないことです。

借金は返済が終わるまで残ります。

実際、震災から20年以上たった後にも、震災関連の県債が残っていました。

だから、「震災は30年前なんだから、もう関係ない」とは言えません。

 

■ でも、「全部震災のせい」なのか?

ここが今回の問題を考えるうえで、とても大事なところです。

日本共産党兵庫県会議員団は、

「兵庫県の財政が悪化した原因は、震災だけではない」と指摘しています。

具体的には、

・震災後の大型開発
・高速道路などの大規模な公共事業
・土地の取得
・開発が進まず残った土地
・現在の斎藤県政による投資事業

などを問題にしています。

つまり、

「震災があったから仕方なかった」

だけではなく、

「震災後にどんな事業を選び、どこにお金を使ってきたのかも検証すべきだ」

というのが県議団の主張です。

■ 「創造的復興」という考え方

阪神・淡路大震災後、兵庫県では「創造的復興」という考え方が掲げられました。

単に、「壊れたものを元に戻す」だけではなく、

「震災をきっかけに、もっと発展した兵庫県をつくろう」という考え方です。

これは一見すると、前向きな考え方です。

しかし、日本共産党兵庫県会議員団は、この「創造的復興」の中で進められた事業の中に、必要性や規模を十分に検討すべきだった大型開発があった、と批判しています。

申し入れでは、神戸空港、関西空港2期事業、淡路交流の翼港などを挙げ、「過剰な開発」だったと主張しています。

「こうした大型開発が本当に必要だったのか、いま改めて検証する必要がある」

という問題提起をしています。

 

■ さらに問題になっているのが「土地」です

今回の共産党県議団の申し入れで、個人的にかなり重要だと思うのが「土地」の問題です。

兵庫県はバブル経済の時代から、大規模な開発構想を進めてきました。

その中で、将来開発する予定の土地を先に購入することもありました。

ところが、

「ここに大きな街を作ろう!」「ここを開発しよう!」

と計画して土地を買ったものの、思ったように開発が進まないことがあります。

そうなると、土地だけが残ります。

これがいわゆる「塩漬け土地」です。

簡単にいえば「将来マンションを建てるつもりで土地を買った。でもマンションを建てる計画がなくなって、土地だけずっと持っている」という状態です。

土地は持っているだけでも、管理費などのお金がかかります。

借金して買っていれば、利息も発生します。

つまり、

土地を買う

開発が進まない

土地が売れない

管理費や利息がかかる

県の負担になる

ということが起きます。

県議団は、こうした土地取得と「塩漬け土地」の問題が県財政を圧迫してきたと指摘しています。

 

■ 震災が終わった後も、大型公共事業は続いた

ここが、今回の問題を理解するうえで重要です。

「震災復興のために借金が増えた」

だけなら、

「震災が終われば、借金を減らしていけばいい」

という話になります。

ところが、兵庫県では震災後も高速道路などの大規模な公共事業が続きました。

県議団は、「高速道六基幹軸」「基幹道路八連携軸」などの道路整備を挙げ、全国でも非常に長い高速道路網をさらに整備してきたことを問題視しています。

ここで大切なのは、

「道路を作ること=悪」

ではないということです。

道路は必要です。

老朽化した橋を直すことも必要です。

災害から命を守る道路も必要です。

物流を支える道路も必要です。

問題は、

「その道路は本当に必要なのか?」

「今すぐ作る必要があるのか?」

「何百億円、何千億円をかける価値があるのか?」

「他にもっと優先することはないのか?」

という優先順位の問題です。

 

■ 「借金を減らす」と聞くと、普通は何を考える?

ここで一度、自分の家に置き換えて考えてみましょう。

あなたの家に100万円の借金があるとします。

「借金を減らさないといけない!」

となったとき、二つの方法があります。

一つ目は、「必要なものまで全部買わないようにする」という方法。

二つ目は、「毎月のお金の使い方を見直して、無駄な大きな出費を減らす」という方法です。

県の財政も基本的には同じです。

ところが問題は、「何を削るのか?」です。

 

■ 「財政が苦しいから福祉を削る」は、本当にいいのか?

日本共産党兵庫県会議員団が今回強く求めているのが、

「財政が悪いからといって、県民の負担を増やしたり、福祉や県民サービスを削ったりしないでほしい」

ということです。

これは過去の兵庫県の経験とも関係しています。

兵庫県は2008年にも「起債許可団体」になりました。

そのときに行財政改革を進め、

医療費助成や私学助成の削減、
保健所の削減、
土木事務所の削減、
農業改良普及センターの削減、
県職員の削減

などを行いました。

県議団は、こうした過去の改革によって県民サービスが削られたことを問題視しています。

だから今回、

「また財政が悪くなったから、今度も福祉や教育や県民サービスを削るのでは?」

ということを警戒しているわけです。

 

■ では、県は何を削ろうとしているの?

今回、兵庫県が国に提出した「公債費負担適正化計画」では、2027年度以降、公共工事などの投資事業を現行より少なくとも10%抑える方針が示されています。
計画期間は2026年度から2035年度です。

これは一見、

「おお、それなら大型公共事業を減らすんだからいいじゃないか」

と思うかもしれません。

しかし、問題は、「どの公共事業を減らすのか?」です。

例えば、

「古くなった橋を直す」
「学校を改修する」
「県営住宅を直す」
「災害対策をする」

といった事業まで一律に減らしてしまえば、県民生活に影響が出ます。

一方、

「利用者が少ない」
「将来の需要が見込めない」
「巨額のお金がかかる」
「他の方法で代替できる」

という大型開発なら、

「本当に今やる必要があるの?」

と見直す余地があります。

 

■ 共産党県議団が言っているのは「公共事業を全部やめろ」ではない

県議団は、

「防災・減災」
「生活インフラ」
「教育・医療施設」
「県営住宅」
「公共施設の老朽化対策」
「橋や生活道路の老朽化対策」

など、県民生活に必要な公共事業は必要に応じて行うべきだ、としています。

つまり、

「道路も橋も学校も全部作るな」という主張ではありません。

むしろ、

「本当に県民に必要な公共事業は残して、不要不急の大型開発を見直したらどうか」

という考え方です。

 

■ では、具体的に何を見直せと言っているの?

申し入れでは、いくつか具体的な事業が挙げられています。

例えば、

・播磨臨海地域道路
・東播丹波連絡道路
・名神湾岸連絡線
・但馬空港への事業費補助
・神戸空港への事業費補助
・三宮再開発
・大阪湾岸道路西伸部への補助

などです。

県議団は、これらについて中止や見直しを検討するよう求めています。

また、大企業に対する補助制度についても見直しを求めています。

 

■ ここで大事なのは「借金を誰が返すのか」ということ

県が借金をすると、「県が返すんだから県民には関係ない」

というわけではありません。

県のお金は、基本的には県民が納める税金などから成り立っています。

もちろん国からのお金もあります。

しかし、県が借金を返すために年間何百億円、何千億円というお金を使えば、その分だけ、

福祉
教育
医療
子育て
防災
公共交通
高齢者支援

などに使えるお金が少なくなる可能性があります。

だから、

「借金が何兆円あるか」だけを見るのではなく、

「借金を返すために、毎年いくらのお金が必要なのか」を見ることが大切です。

 

■ そして、もう一つの問題。「県民にツケを回すな」

今回の共産党県議団の申し入れで繰り返し出てくるのが、

「県民負担増や県民サービス切り捨てをしないこと」です。

例えば、

「財政が苦しいので県民向けの補助金を減らします」

「医療や福祉の支援を減らします」

「県職員をさらに減らします」

という方法だけで財政を立て直すのではなく、

「そもそも、県は何にお金を使ってきたのか?」

を先に検証すべきだ、ということです。

 

■ では、斎藤県政はどう考えているのか?

ここも公平に見ておく必要があります。

斎藤知事は、兵庫県の財政について、過去から類似団体と比べて投資規模が大きかったことや、震災の影響などによって構造的に厳しい状況が続いてきたと説明しています。

さらに最近の金利上昇によって、今後の収支や実質公債費比率への影響も懸念されるとして、「持続可能な財政運営」を検討しています。

つまり県側も、「何も問題ありません」と言っているわけではありません。

「財政を立て直さなければならない」という認識は共通しています。

違うのは、

「何が原因だったのか」「どこを削るべきなのか」「どんな公共事業を残すべきなのか」という部分です。

■ 今回の問題を一言でいうと

兵庫県の財政問題を、

「阪神・淡路大震災の借金がまだ残っているから仕方ない」

だけで説明するのは不十分です。

一方で、

「兵庫県は無駄な公共事業ばかりしてきたから借金まみれになった」

とだけ説明するのも単純化しすぎです。

実際には、

震災復興

大型開発

土地取得

開発が進まない土地

その後の公共事業

税収や地方財政制度の問題

借金返済

基金の取り崩し

さらに財政が苦しくなる

という、何十年にもわたる積み重ねがあります。

そして現在、そこに金利上昇という新しい問題も加わっています。

 

■ 「借金を減らす」ことと「県民の暮らしを守る」ことは両立できるのか?

私は、今回の問題で一番考えなければならないのは、ここだと思います。

財政再建は必要です。

借金を無制限に増やしていいわけではありません。

しかし、

「借金を減らすためなら、県民サービスを削っても仕方ない」

という話にもなりません。

例えば家庭で、

「借金があるから、子どもの食費を削ろう」

というのは、健全な家計改善とは言えません。

まず見直すべきは、

「本当に必要な大きな出費なのか?」

「もっと安くできないのか?」

「今やらなければならないのか?」

というところでしょう。

県政も同じではないでしょうか。

 

■ 「何を削るか」が、これからの最大の問題

兵庫県は今回、「投資事業を最低10%抑制する」としています。

でも、「10%削る」だけでは、県民には何も分かりません。

大事なのは、「何を10%削るのか?」です。

高速道路なのか。大型開発なのか。公共施設なのか。

学校なのか。防災なのか。橋の修繕なのか。県営住宅なのか。

そして、

「削った結果、誰が困るのか?」です。

だから今後の兵庫県政で重要なのは、単純な「財政削減」ではありません。

「何にお金を使うのか」という優先順位を県民の前にきちんと示すことです。

 

「本当に必要なのか分からない大型開発」
「将来の需要が見えにくい事業」
「巨額の費用がかかる開発」などを優先的に見直すのか。

ここが大きな分かれ道になります。

財政再建は必要です。

でも、

「県民の暮らしを削って借金を減らす」

のではなく、

「不要不急の大型開発などを見直して、県民の暮らしを守りながら財政を立て直す」

という道があるのではないか。

日本共産党兵庫県会議員団が今回の申し入れで訴えているのは、まさにこの点です。

兵庫県の財政問題は、単なる「県の借金の話」ではありません。

これから兵庫県のお金を、

「何に使うのか」

「何をやめるのか」

「誰のために使うのか」

という、県政そのものの問題なのです

 

そして県が「財政再建」を理由に何かを削ろうとするときには、

「それ、本当に削るべきものですか?」

と県民が問い続けることが大切なのだと思います。

 

なお、今回の日本共産党兵庫県会議員団の申し入れは、2026年8月18日付で公開されています。申し入れ全文には、県債残高、大型開発、土地取得、震災復興、過去の行財政改革、今回見直しを求める具体的な事業などが詳しく書かれています。