発達障害診療の現場の声を反映し、診療報酬の大幅減額を改善
発達障害のある子どもや家族を支える医療現場から強い懸念の声が上がっていた診療報酬改定について、日本共産党の国会論戦などを受け、一定の改善が図られました。
問題となったのは、2026年度診療報酬改定で導入された「通院・在宅精神療法」の見直しです。診療報酬は医療機関の収入の基礎となる公的な報酬であり、その水準は地域医療の維持に大きな影響を与えます。
改定では、精神保健指定医ではない医師が精神科外来診療を行った場合、限られた例外を除いて診療報酬が約4割減額される仕組みが導入されることになっていました。
精神保健指定医は、精神保健福祉法に基づき、措置入院や医療保護入院、身体拘束などの判断に関わる権限を持つ医師です。一方で、発達障害の診療に携わる児童精神科医や専門知識を持つ小児科医のなかには、こうした権限を必要とする診療を行わないため、指定医資格を持たない医師も少なくありません。
厚生労働省は「質の高い精神医療の評価」を理由に制度を見直しましたが、現場からは「指定医資格の有無と発達障害診療の専門性は必ずしも一致しない」「診療能力を適切に反映していない」「大幅減収で診療所の経営が成り立たなくなる」といった批判が相次ぎました。
発達障害診療はもともと深刻な医師不足と長い待機期間という課題を抱えています。厚労省調査では、発達障害の初診待機期間は平均2.6カ月、最長で4年6カ月に及ぶ例もありました。
その後も改善は十分とは言えず、大阪府の2024年調査でも平均8.8週間、最長1年の待機期間が報告されています。
こうした状況のなかで診療報酬を大幅に引き下げれば、発達障害を診る医療機関の縮小や撤退を招き、子どもたちの受診機会をさらに狭めるおそれがありました。早期発見・早期支援を進めるという国や自治体の方針にも逆行しかねない内容だったのです。
日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員は5月13日の衆院厚生労働委員会で、「このままでは発達障害を診る医師が減ってしまう」と指摘し、現場の実態を示して改善を求めました。
その結果、厚労省は5月29日、一定の要件のもとで、20歳未満の子どもや、子ども時代から継続して診療している患者については、診療報酬の減額対象から除外する事務連絡を出しました。現場や当事者の切実な声が制度の見直しにつながったものです。
ただし、課題はなお残されています。
発達障害の診療を担う小児科や心療内科などでは、「小児特定疾患カウンセリング料」という診療報酬が活用されています。しかし、この報酬は初診から最長4年間しか算定できません。例えば3歳児健診をきっかけに受診した場合、7歳頃までしか評価されず、長期的な支援が必要な子どもの成長に寄り添う医療を十分に支えられていません。
また、発達障害支援では保護者への助言や相談が極めて重要ですが、保護者だけを対象にしたカウンセリングは十分に評価されていません。厚労省の委託研究でも、医師・保護者双方が保護者単独の相談支援の重要性を指摘しており、診療報酬への適切な反映が求められています。
発達障害のある子どもたちが必要な時に必要な医療を受けられる体制づくりは、社会全体の課題です。今回の改善は重要な前進ですが、長い初診待機の解消、専門医療の確保、家族支援の充実など、引き続き制度の見直しが必要です。
日本共産党は今後も、当事者や家族、医療現場の声に寄り添い、誰もが適切な支援を受けられる医療体制の整備に力を尽くします。